Home/ 財政・税制 財政・税制 検証――介護保険制度4度目の改正法実施 2015.04.03 文/幸福実現党・栃木県本部副代表 みつはし明美 ◆地域医療・介護総合確保推進法案 昨年6月、「地域医療・介護総合確保推進法案(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案)」が可決されましたが、そこに含まれる介護保険制度もこの4月から順次施行されます。 私事、3月初旬に、福岡県小倉に住んでいた母・透析、父・心不全と痴呆を熊本県の老人施設に入居させるため一週間ほど滞在して引っ越しと一連の煩雑な手続きを経験しました。 その時に、国民保険、介護保険、後期高齢者保険、老人医療、更生医療、デイケアサービスケアマネジャー、老人ホーム様々な保険制度と事業者(保険者)と関わりましたが、この度の改正で利用しやすくなったのか否か?検証してみましょう。 ◆2015年4月改正でどうかわるのか? A) サービス提供体制 ・保険給付で行われていた訪問介護と通所介護が地域支援事業に移行されるので、市町村ごとの独自予算、判断の事業になります。 ・居宅介護支援事業所は国の基準に基づき都道府県が指定、監督、指導を行っていたがそれも市町村に権限移譲(2018年4月までの移行期有)されます。 ・特別養護老人ホームの入所待機者50万人超えのため 入所資格を要介護3以上の重度者に限定されることになります。 B)費用負担 利用者所得の区分を細分化しますが、結局のところ高所得者には負担増、低所得者には軽減されるようになります。 この軽減部分に必要な公費が推定1300億円で、ここに消費税増税分が充てがわれることになっています。 また、年金額280万以上の人は自己負担が2割になり、個人単位での査定になるので夫婦や同世帯でも一人は1割負担でももう一人は2割負担となる場合も出てきます。 C)在宅医療と介護の連携強化 医療保険財源と看護職員適正な配置などの課題から2014年4月の診療報酬改定の際に「地域包括ケア病棟」が創設されました。これは在宅復帰を重視し、在宅の急患を受け入れる機能を持ち合わせます。 改正はまだまだたくさんありますが、高齢者、利用者として関わるのは大きくは上記3点にしぼられます。 ◆今後の課題と懸念される点 まだまだ複雑で範囲が拡大した介護サービスを整理し適正に活用するにはケアマネジャーの資質向上が求められます。 私の周りにもケアマネジャーを職とする人が数人おりますが、みな利用者のために心より良いプランづくり、環境づくりに努めています。 しかし、そのような人材はまだまだ少ないように思えます。両親を担当してくださったケアマネジャーの方は、マネジャーというより、「介護保険の点数計算と案内」にとどまり、病院、介護施設、高齢利用者のパイプ役は務めていただけませんでした。 ◆もう一つ重大な問題点は やはり市町村の裁量によるところが大きいため、サービス内容、価格、質に格差が生まれ、財源が乏しくなればサービス打ち切りの権限も有するので、改正の大目的である包括的継続的介護で自立を目指すのが果たされていかないのではないかと思われます。 10年、20年先を見据えて先細りする財源を確保のための制度改正と共に、国民の意識改革を起こしていくことも急務であると感じます。 これから高齢者が増える時代に消費増税で医療・介護の財源を賄おうとすれば、増税をどこまでも繰り返さなくてはなりません。それでは経済は疲弊し、さらに財源の確保は難しくなります。 財源をどのように確保するかについては、経済成長による税収増の方向性を示す必要があります。 また親の介護問題を抱える私たち世代は、介護保険に全面頼るのでなく親に対する感謝と報恩の意を持つことが大切です。そして本来の使命や社会や家族内で、何らかの役割を担っているという生きがいを見出してもらうことが大切であろうと思います。 私たち自身は、年金や介護制度に頼ることを良しとせず、老後生活にも何らかの生産的活動をし、生涯現役を全うする気概をもって年を重ねていきたいと思うのです。 誰もが直面する高齢者介護の問題も水際対策的な制度改革にとどまらず、家族の絆と人生の目的まで示して社会としての発展に繋げていくのは、宗教政党である幸福実現党の役目であると考えます。 国家のビジョンは予算で示せ! 2015.04.01 文/幸福実現党・岡山県本部副代表 たなべ雄治 ◆かつて、国立の大学院での出来事 私が大学院の工学研究科に在籍していた時の出来事です。研究していた分野で、ある高価な実験装置があれば研究が一気に進むという状況がありました。 上司の助教授に相談したところ、いくらかの予算オーバー。しかし予算を繰り越して、翌年度分の一部と足せば十分に手の届く額でした。 ところが、制度上予算の繰り越しは出来ないとのことでした。予算を使い切らなかった場合は、余った額が翌年度の予算から削られるのだとか。「必要なかったのね」と判断されるのだそうです。 そして翌年の三月には予算が余っているのだとかで、要るのか要らないのか分からない購入物をリストアップさせられたのでした。 ◆単年度予算の弊害 そんな悔しい思いもいつしか忘れ去り、それが単年度予算という制度の所為だと知ったのは随分後になってからでした。 単年度予算には、予算を消化するための無駄遣い、予算配分の硬直化、など様々なデメリットが考えられます。国の組織の随所で、学生の時分の私が経験したような矛盾が発生しているのでしょう。現に様々な指摘がなされています。 ◆単年度予算にもそれなりの意味はあるが・・・ 弊害の目立つ単年度予算ですが、全くの無意味ではありません。国家の予算を一年単位で分断してチェックすることで、財政権の乱用を防ぐという意義はあるのです。 とはいえ単年度予算が、財政権力を抑制する唯一の制度というわけではありません。複数年度予算制度でも、それをチェックする方法くらい存在します。年度をまたいだ柔軟な予算のやりくりを、財政権の乱用だと理解するのは行き過ぎでしょう。 ◆複数年度予算は導入可能 憲法第86条では、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と規定していますが、ここに会計年度の定義はありません。 会計年度を定めているのは、財政法第11条 「国の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終るものとする。」です。 憲法改正を待たずとも、財政法の改正で複数年度予算の導入は可能です。 ◆大切なのは国家のビジョン ただ複数年度予算を導入すれば解決するというものでもありません。柔軟な予算編成ができることは重要ですが、それよりもやはり「何を目的として国民の血税を使うのか」という国家ビジョンこそが大切です。 予算編成における国家ビジョンの欠落を如実に示すのは、何と言っても防衛予算でしょう。 中国は毎年毎年、日本の数倍の予算を国防費につぎ込み(Global Note社調べでは7倍)、さらにその額は伸び続けています。 中国の国防費がGDP比4%程度なのに対し、日本はなぜか数十年一貫してGDP比1%を死守しています。アメリカの国防予算対GDP比率の変動は大きいですし、2013年のインドの国防予算対GDP比は実に8%でした。 安全保障環境に応じて国防予算を変動させるのは、国家を維持するうえで当然のことです。ましてや日本は、尖閣諸島が中国に脅かされるなど、国防の危機にあります。 補正予算や継続費という制度をフル活用して防衛力強化に努めてはいますが、焼け石に水といった感が否めません。 防衛予算により、日本のビジョンと意思をはっきりと示すべきです。 ◆予算委員会は悲劇か喜劇か 会計年度の開始日4月1日までに予算を成立させるため、3月までは予算国会とも言われます。 予算委員会がTV中継されますが、その中で予算の議論はほとんどされません。話題に上るのは、国会議員のスキャンダルばかりです。 素行不良な与党議員も問題ですが、本質的な予算の議論をすることなく足を引っ張ることしか考えない野党議員にも残念な限りです。 有権者を馬鹿にするのもいい加減にしてもらいたいものですが、私たち有権者も、よく政治家を見て投票する必要があるのでしょう。 政治に関心のある人ほど、政治に失望していたりするものです。しかしもう一歩踏み込んで、政治のあるべき姿を考えてゆかねばなりません。 統一地方選を目前に控えています。”考える人”の力を結集して、政治を正していくことも幸福実現党の仕事です。 2015年、地球新世紀の幕開け――左派経済学の打破から第2の産業革命へ 2015.03.31 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆ピケティ経済学の論点 フランスの経済学者トマ・ピケティの著書『21世紀の資本』は米国での出版を契機に大きな話題となり、今年1月末の来日もあって日本でも注目されました。 ここではピケティ経済学の論点と矛盾点を踏まえつつ、私たちが築くべき21世紀の経済社会について論じてまいります。 ピケティは過去200年に渡る欧米諸国のデータを集積することにより、以下の言説を唱えました。 1)世界中で所得と富の分配の格差拡大が進んでいる。2)その要因は資本収益率>国民所得の上昇率(以下、r>g)にある。 つまり、例外的な期間を除けば、一部の資本家が所有する資本の収益率(r)は国民一般の所得上昇率(g)を常に上回る。3)グローバル資産課税や税制の累進性強化によって世界的所得格差を是正すべきだ。 これはノーベル経済学賞受賞者であるクズネッツが唱えた「資本主義経済は発展すればするほどに格差解消に向かう」とする定説を覆すものです。 ピケティによれば、クズネッツが研究対象とした期間は、二つの世界大戦とそれに挟まれた期間、すなわち1913年から1948年に限られており、この間に戦争や革命による動乱で株や海外権益等、資本家が保有する資産が暴落または喪失されたため、この期間に限ってr>gの不等式が逆転し、格差が解消に向かったとされます。 ピケティが空間的にも時間的にもクズネッツの研究を圧倒するデータを集積し、クズネッツの定説を陳腐化させた点は評価されるべきでしょう。 しかし政治的・政策的な結論としてグローバル資産課税や税制の累進性強化がそのまま正しいと言えるかどうかについては冷静な議論が必要です。 ◆ピケティ経済学の矛盾点 ピケティ経済学の特徴は理論によってではなく、過去の事実、膨大なデータの集積によって、未来の経済社会への予測を立て、政策提言をした点にあります。 例えばピケティは欧米における人口増加率の上昇期と一人当たりGDPの上昇期が、だいたい重なっていることから、人口増加率が低下傾向にある現在の世界経済はやがて長期停滞に向かっていくと予想を立てます。 しかし、たとえ人口の増加率と一人当たりの経済成長率に正の相関がみられたとしても、人口増加が経済成長を規定するとは言えません。 一方、著名な経済史家のウィリアム・バーンスタインは、著書『「豊かさ」の誕生』のなかで、19世紀西欧で富の飛躍的増大がもたらされた要因は、私有財産制の確立や科学的精神の勃興だとしています。 人々の勤労意欲を掻き立てるため、経済成長には所有権の確立が不可欠であるとする説は、理論的にも経験的にも批判の余地がなく、現代経済学においても基本理論となっております。 それを踏まえるならば、ピケティが言うように、rの上昇を抑えるため課税強化を進めると、人々の勤労意欲の減退を通じて、gの上昇をも妨げてしまい、結果、目的であったはずの格差是正も進みません。 また、そもそも格差是正を進めることが政治的正義であると無前提に受け入れられがちですが、ピケティ自身が認めるように、かつてr>gの不等式が逆転したのは戦時期前後の動乱期に限られます。 国民所得の上昇率が長期停滞に向かう世界で、もしもr>gの不等式を逆転させようとするならば、世界戦争や大恐慌に匹敵するインパクト、すなわち株や土地等のかたちで所有される富が喪失される事態を起す必要があるでしょう。 90年代初頭、日本で政策的に引き起こされたバブル潰しで幸せになった人がいなかったように、格差是正のためとはいえ、自発的に資産価値を下落・喪失させるのは馬鹿げています。 ◆2015年、地球新世紀の幕開け! それでは私たちはいかに長期停滞予測を打破し、豊かな経済社会を創造していくべきでしょうか。 近代の経済史に学ぶならば、まず国民の所有権を侵害する課税強化はなるべく避けられるべきです。そして19世紀の産業革命に先んじて科学的精神の勃興、すなわち新しい学問の誕生があったことも忘れてはなりません。 さて、本年4月、ついに日本発の本格私学、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)が開学します。 創立者の大川隆法総裁は著書『勇気の法』でこのように述べます。 「この21世紀の100年間に、日本を発展・繁栄させ、世界一の国にしなければなりません。政治や経済、芸術をはじめ、宇宙開発や海洋開発などの科学技術の分野、その他あらゆる分野で世界一になることです。それが、日本に生きる若者たちの使命です。」 今、まさしく地球新世紀の幕が開ける時です。幸福実現党は新しい科学、学問の発展を支援し、第2、第3の産業革命を起こして参ります。そして日本を中心とした史上空前の繁栄の文明創造に貢献いたします。 『自助論』を読み返してみよう! 2015.03.15 文/幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生 油井哲史 今や時の人であるフランスの経済学者ピケティ。格差問題を世界的にクローズアップしました。 彼の意見は、富裕層は持っている資本(金銭、株価、建物など)を活用し富を増加、蓄積させるが、庶民層の給与所得はなかなか増えない、富める者は富み、貧しき者はますます貧しくなっていくので、資本主義でそのギャップを埋めることは難しく、経済格差はさらに拡大していくだろうと論じました。 政府がこの歪みを正すために、所得税への課税や資産への課税を通し、富裕層の富を再分配することを提言しています。この考えはマルクスを想起させます。 ◆未だに影響を与えている共産主義的思想 マルクスが理想とした共産主義は、ソ連の解体や共産主義圏の資本主義的な市場の導入により、影響力はほとんど失われました。 しかし、共産主義思想は所得再分配という形でいまだに影響を与えています。 所得再分配の考えは税制や社会保障などを通じて、高所得者から低所得者へ富を移転させることですが、貧富の格差や階層の固定化に伴う社会的弊害を抑制するために、19世紀末より欧米で制度化されました。 これは資本主義のシステムは維持したままで、課税と再分配を通じて所得の格差を是正し、平等社会を実現する社会民主主義的な考えです。 国家が一元管理の下に、幅広く税金を課し所得の配分を促進させるという「大きな政府」で、具体的には英国労働党やフランス社会党などで、日本にも影響を与えています。 経済学者のシュンペーターは資本主義の成功が社会主義化することにつながると予言しましたが、世界の動向を見るとその流れを歩んでいると言えます。 ◆大きな政府による文明実験 社会民主主義の理想を実現した英国を見ると、労働党は労働者の生活の向上を唱え、医療や年金、保険で手厚いサービスで「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれる社会保障制度を確立、重要基幹産業の国有化を進めました。 高率な累進課税を敷き、これらの税制度や失業保険は勤労意欲の低下や社会的活力の減退を招き、労働組合が力を持った結果、財政破綻し、国際通貨基金(IMF)から融資を受けることとなりました。 それを救ったのが、サッチャリズムを推進したマーガレット・サッチャーです。 その政策のベースとなるのが、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者ハイエクの考えで、彼は個人の自由を最大化させることが大切であり、市場経済を重視します。 自由こそが進歩や創造の原動力であり、社会正義や福祉国家という美名で政府が市場に介入し、知識や知性で国家を管理すると、これまで培われてきた自由市場という秩序が破壊され、経済活動において機能不全を起こします。 そのため、「大きな政府」ではなく、政府の干渉を最小限にし、市場原理に基づく自由な競争で経済発展や国民生活の向上を図る「小さな政府」による国家運営を掲げたのです。 ◆大きな政府ではなく、自立した個人の時代へ 資本主義においては、富める者と貧しき者の構図が確立され、それは改善できず、対立関係にあるとしますが、各人の創意工夫や努力によって、成功を勝ち取ることができるという「セルフ・ヘルプ」の視点によって、これを乗り越えられると考えます。 どんな環境にあっても、努力や精進の姿勢によって、成功者は生まれてきます。 パナソニックの創立者である松下幸之助、ホンダの本田宗一郎はよく知られていますが、現代においても逆境に打ち勝ち、立身出世する例は多いです。 吉野家の元社長の安部修二氏は高卒のアルバイトから社長になり、現社長の河村泰貴氏も同様の経歴です。「カレーハウスCoCo壱番屋」の浜島俊哉氏も専門学校中退でバイトから社長になっています。 ブックオフの元社長で現取締役相談役の橋本真由美氏は「少しでも子供の学費の足しになれば」とパートからキャリアをスタートさせました。 各人の努力は公平かつ正当に評価しなければならないと思います。国家に頼るのではなく、個人個人の努力、精進と忍耐、さらに学習し続ける態度が求められ、そうした人々を多く輩出することで国家が繁栄します。 セーフティネットは必要ですが、行き過ぎた平等も勤労意欲を低下させ、個人を堕落させることになり、国家の活力の低迷、破綻の原因になります。 日本の近代化に大きな影響を与えたサミュエル・スマイルズ「自助論」の「天は自ら助くる者を助く」という考えを見直す必要があると考えます。 「自由の法哲学」を欠いた憲法改正議論には要注意! 2015.03.13 文/HS政経塾3期生 和田みな ◆憲法改正の重要3項目 自民党は11日までに、衆議院の憲法審査会の再開を与野党によびかけ、来週中に幹事懇親会を開き、今国会でどのように憲法改正を進めるかなどを話し合うことを提案しました。(3/12付「日経新聞」4面) 審議会が再開すれば、憲法改正のための議論が本格化していくことになります。 審議会では、自民党がすでに発表していた党の憲法改正案の重要25項目の内、これまで他の多くの党が必要性を認めている「財政規律」、「新しい人権」、「緊急事態条項」の3項目での議論を深め、他党との接点を探り、改憲への道筋としたいと考えています。 憲法改正の発議の高いハードルをクリアするため、安倍政権は他党とも協力することが不可欠な状況で、上記の3項目は公明党の主張とも合致し、維新の党も積極的な姿勢を見せています。 この3つの項目はそれぞれどのような意味を持つのでしょうか。 ◆財政規律 財政規律とは、財政赤字の拡大を防ぐために歳入と歳出のバランスが保たれている状態のことで、政府の支出を抑え、国債の発行額などに一定の制限を設けるものです。 しかし、機械的な財政規律条項を導入すれば、行政の柔軟性や自由な活動を阻害する要因となります。 例えば、歳出の強制削減が法律に明記されていることで「財政の崖」を招いた米国よりも厳しい状況が、日本に生じるかもしれないのです。 また、憲法に財政規律条項を入れるということは、そのための規範や数値目標を憲法に明記するということですが、このようなものは法律として整備するかどうかの類のもので、憲法に明記するレベルのものではありません。 この点について、経済学者の高橋洋一氏は次のように述べています。 「政府のムダ撲滅は当然として、経済苦境時の緊縮財政は経済を傷めて元も子もないので、そこまで規定したらまずい。こうした議論は、憲法改正後に制定される実定法での話であるので、憲法改正とは切り離して議論すべきである。」(2/28『「日本」の解き方』より) このレベルの内容を憲法に明記することは、今後、状況や目標が変わるたびに憲法の改正が必要になるということを意味しています。 それによって憲法の価値を落とし、憲法を一般の法律のレベルへと引き下げてしまうことにもなりかねません。 ◆新しい人権 環境権などを憲法に明記することは、これまではっきりとは認められてこなかった「新しい人権」を認めるということです。 このような人権は「幸福追求権」(憲法13条)から導き出されるもので、プライバシーの権利、環境権、日照権、平和的生存権など、多くの権利が主張されてきましたが、これまで最高裁判所が認めたものはプライバシーの権利としての肖像権のみでした。 なぜなら、このような新しい権利の多くは、それを認めることで他人の基本権を害することにもつながるため、個人の人格的生存に不可欠であるのかを、様々な要素を比較考慮して、慎重に決定しなければならないと考えられてきたためです。 したがって、このような新しい権利は、「権利」ではなく、あくまでも「利益」であって、個人の自律的決定に任せるべきレベルのものであると判断されてきました。 これが、一転して憲法に明記されるようになれば、憲法上認められた明確な国民の権利に格上げされることになります。 しかし、最高裁判所が認めていない「利益」を「権利」に格上げする根拠はどこにあるのか、また、これによって何の自由が守られることになるのかが極めて不明瞭で、逆に多くの自由の侵害を招く恐れがあります。 ◆緊急事態 緊急事態に即応するための条項を憲法に明記することは必要です。一方で、この緊急事態法制も個人の自由を制限するものであるという点を忘れてはいけないでしょう。 もちろん、有事の際には、「最大多数の最大幸福」のために、自由に一定の制限をかけることも必要です。しかし、法律レベルの利益や目標を憲法に明記しようとする現在の改憲議論者が、真の意味で自由の価値を理解しているとは到底思えません。 この程度の法理念の下で、緊急事態法制を行って国民の自由は本当に守られるのか不安が残ります ◆幸福実現党は憲法の真の価値を守る 自民党が悲願である憲法改正をなす為に、耳障りのよい項目で他党と協調したい気持ちはよく理解できます。しかし、それによって改正内容を間違えれば、逆に国民の自由が奪われてしまう危険性があります。 これでは憲法の持つ「国民の自由を守る」という真なる価値からくるところの崇高さを取り戻すことはできないでしょう。 その意味において、現在の憲法改正議論は、憲法の崇高さを失っていると言わざるを得ません。法律レベルのものか、憲法に明記すべき権利かは、それがいかに「国民の自由」を守るものかのレベルの差です。国民の生命、安全、財産を守り、日本を自由の大国とするための「自由の法哲学」をこそ、政治家は学ぶべきです。 幸福実現党は憲法改正を積極的に押し進めます。それによって国民の自由を守り、憲法の崇高な価値を守るためです。 幸福実現党が正面から訴えている憲法9条の改正は、このような「自由の哲学」を基礎に持ち、さらに、国家の自然権としてどの国にも認められている自衛権をしっかり持とうと主張しているものであり、法哲学的にも、歴史的にみても正当な理由があるものなのです。 幸福実現党は憲法の真の価値を守るという意味における「真の護憲政党」とも言える存在です。 ギリシャ債務の経済的帰結――EU問題からアジアの未来を考える 2015.03.10 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 はじめに――東日本大震災から4年を迎えて 3月11日――未曽有の被害をもたらした東日本大震災から4年を迎えました。 あらためて震災によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。 また被災された方々が一日も早く以前のような平穏な日々を取り戻すことができますよう、わが政党としても努力して参りますことをお誓い申し上げます。 ■ギリシャの債務問題 1月25日、ギリシャで反緊縮派の新政権が誕生し、一時、ギリシャのユーロ離脱やデフォルトの危機が高まりました。 先月20日のユーロ圏財務相会議では、国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)からの金融支援が条件付で4ヵ月延長されることが決定されたものの、ギリシャ債務問題をきっかけにした経済危機の可能性は拭えていない状況です。 さて、20世紀における2度の世界大戦の中心となった欧州で、欧州統合の理念が掲げられ、それを経済統合という形でいっそう推し進めるために導入されたのが共通通貨ユーロです。 今、欧州で起こっているのは、「ドイツもギリシャも一つの欧州だ」という政治的理想に、「ドイツとギリシャは違う」という経済的現実が突きつけられ、この矛盾をいかに乗り越えていくかという問題です。 これは私たち日本人にとって、遠い欧州で起こる無関係な問題ではありません。 なぜならば、かつて私たち日本の先人たちも大東亜の理想を掲げたように、国家民族の違いを超え、一つのアジア、一つの地球に住むもの同士、共通の価値観を持って交流交易を活発にし、平和と繁栄の文明を築いていきたいと願うのは同じだからです。 ただ、どんな高邁な政治的理想が掲げられても、経済の論理を無視しては達成できません。 そこで、ここではEU問題をきっかけとし、日本やアジアの未来を構想する材料を提供できたらと考えます。 ■解決策はユーロ離脱か さて、ギリシャのように巨額の対外債務を負った国がその返済を進めるには、一般に増税や政府支出の削減等、緊縮策を進めることが必要だとされますが、各国で反緊縮派の政党が台頭しているように、単純な緊縮路線に行き詰まりが生じています。 これまでの緊縮派の政権が試みてきたように、国内での雇用、特にギリシャのように若年層の失業率が50%を超える状況を見過ごして、対外債務返済のために緊縮財政が断行されるのは、政治的な困難さだけでなく、経済的合理性の観点からも見直しが迫られるべきです。 本来、対外債務返済のためには財政収支だけでなく、国際収支、特に経常収支改善の方法が議論されてしかるべきです。ところが、ギリシャの場合、自国通貨を持たないため、そうした議論が見られません。 通常、自国通貨を持つ国であれば、対外債務返済の困難が予想された場合、自国通貨の為替が切り下がることで、極端な緊縮策をとることなく、経常収支が改善に向かいます。 英国病で苦しんだイギリスでも、労働組合の弱体化や規制緩和による競争促進といったサッチャー改革の実効的な効果が現れるのには、1992年のポンド危機を経る必要がありました。 当時、イギリスは欧州通貨制度(EMS)の一員として、マルクに自国通貨ポンドの価値を連動させておりましたが、ジョージ・ソロスらヘッジファンドによるポンド売り攻勢を受け、結局、ポンドは暴落し、イギリスはEMSからの離脱を余儀なくされました。 ところがイギリスはEMSから離脱し、自律的な金融政策の手段を得ることで、90年代、00年代と平均5%程度の成長率を保持することができたのです。 同じことをタイやインドネシア、韓国等、97年のアジア通貨危機を経た東アジア諸国も経験しております。 経済合理性からすれば、一時的な混乱覚悟で、ギリシャは自国通貨ドラクマを復活させるべきです。 ■ギリシャのEU直轄領化 しかしギリシャのユーロ離脱は現在のところ、議論されることはあっても、実際、互いに望んでいない印象があります。 ヨーロッパの語源はギリシャ神話に登場する女神「エウローパ」とも言われますが、欧州発祥の地がユーロから離脱するのは、いろいろな意味で困難があるのでしょう。 では単純な緊縮策でもなければ、ユーロ離脱でもなく、現状の延長で事態が展開するならば、どんな状況が現れるのでしょうか。 現在、ギリシャは金融支援の見返りにEUやIMFで協議された経済改革案を実行しなければならない立場にあり、その延長線上で考えるならば、EUの認可なしで何一つ予算が決められない未来がいずれギリシャに訪れることが予想できます。 つまりギリシャにユーロ離脱以外の選択肢があるとすれば、主権や領土を担保に資金援助を受け続ける状態、すなわちEU直轄領となることです。 EUとしてはギリシャの主権を所有し、例えばギリシャをタックスヘイブンの「自由の大国」として、非ユーロ諸国に対抗するという手もあるでしょう。 ドイツは自国通貨マルクを捨てましたが、代わりにユーロを創設することで、欧州における影響力を保持、拡大させました。 私たち日本人も自国の財政収支だけに着目するのではなく、地球的視野を持った対外経済政策を構想していくべきです。 日本は「元」襲来に備えた戦略と「円」国際化構想を持て 2015.02.17 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆人民元が狙う国際通貨の地位 今から約1年半前、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立構想を発表しました。本部は北京、総裁は中国人、最大の出資国は中国政府となり、2015年中の運営開始が予定されております。 2020年までに8兆ドルとも言われるアジアのインフラ需要に応えるべく、GDP世界第2位の中国が主導で、世界銀行やアジア開発銀行を補完する長期の信用供与機関が設立されます。 その他にもBRICsの5か国の共同出資による新開発銀行や上海協力機構開発銀行、また「中国版マーシャルプラン」とも言われる400億ドルの「シルクロード基金」の設立など、中国は対外的な経済政策に躍起になっております。 こうした対外経済政策を進める中国の狙いは経済援助を通じて、親中派の国を増やしていくことばかりではありません。 2008年のリーマン・ショック以降、中国はアジアやラテンアメリカ諸国と、そして2011年にはイギリスと人民元建ての通貨スワップ協定を結びました。 中国の狙いはGDP第2位の経済力を使って、人民元の国際化を推し進めることなのです。 世界で人民元建ての資産を持つ企業や金融機関が増えれば、元建てを隠れ蓑にした米国発の金融制裁回避ルートができ、また「元建て資産の凍結」という強力なカードを中国は手にすることになるため、人民元の国際化は中国の覇権戦略の重要な一角であると考えられます。 むろん現在、人民元の為替レートは政府・中銀に管理され、資本取引は厳しく規制されているため、人民元が即座に国際通貨となることは考えられません。 しかし、元建ての貿易決済額は、円のそれを2013年に抜き、2014年にはその差が倍に開いています。さらに2013年に0.63%だった国際銀行間の決済通貨としての人民元のシェアは2014年10月時点で1.69%となり、すでに国際通貨である円の2.91%に迫る勢いをみせております(ドルは43.5%)。 ◆日本は円の国際化戦略を復活させよ 現在、各国の外貨準備やIMFを構成する資産として使われている国際通貨はドル、ユーロ、ポンド、円の4種ですが、円の各種国際シェアはドルやユーロと比べると、低い地位に甘んじております。 90年代、かつて日本にも円の国際化が活発に議論されていた時期もありましたが、バブル崩壊後の不良債権処理に予想以上に長く悩まされ、またBIS規制等、米英発のグローバル・スタンダードに必要以上に屈したため、いまやほとんど円国際化の議論が聞かれることはありません。 しかし、2008年のリーマン・ショック以降、米国市場、米ドル一極支配の国際金融秩序は各国からの疑念に晒され、その間隙を突いて中国が新たな金融秩序を形成しようとしているのです。 日本は国益追求の観点からだけでなく、アジアや世界の安定の観点から、改めて円国際化の構想を復活させるべきです。 ◆日本がやるべきこと ではそのために日本として政策的に何を推し進めれば良いのでしょうか。 ここでは一点に絞り、政策投資銀行や国際協力銀行といった政府系金融機関の資本を強化し、長期の信用供与を担う金融機関として、円国際化のためにフル活用していくことを提言いたします。 各種民営化政策が推進された小泉政権下では、2012年~14年を目途に政策投資銀行も完全民営化することが決まりましたが、現在、諸般の事情があって、その時期は5~7年程、延期されました。 しかし、これは時代の逆行ではなく、むしろ民営化は見送りとし、民間では出来ない長期の信用供与、国家プロジェクト的な案件を担っていくことを政府系金融機関のミッションとして改めて定め、資本増強を図っていくべきだと筆者は考えます。 実際、政投銀はメタンハイドレードの探査のために三井海洋開発(株)に1兆円の融資枠を設けるなど、民間の金融機関では負えないリスクを引受けております。 同じく円の国際化推進や「元」襲来を防ぐために、政府系金融機関が果たすべき公的な役割は大きいと考えます。 例えば円国際化のためには、東京市場でアジア通貨建ての債券や証券、金融商品が活発に取引されている状況をつくっていく必要がありますが、政府系金融機関を先導役とすることで、そうした金融市場の整備を需要面から支えていくことができます。 また「中国バブル崩壊対策」を打ち出して、中国から日本国内や東南アジアへ工場や営業所の撤退を考えている日本企業を資金面から支援していくこともできるでしょう。 日本にはアジアや世界の金融秩序を安定化させる使命があります。こうした政策を打ち出すことで、日本は「元」襲来、そして円国際化の進展を推し進めていくべきです。 これ以上の増税を許していいのか――2015年税制改正の注目点 2015.02.15 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆増税は国民の自由を奪う 私たち幸福実現党は立党以来、一貫して「自由」の大切さを訴えてきました。日本は、聖徳太子が「十七条憲法」において「和を以って尊しとなす」等と記しているように、古代から民主主義、自由の価値観を持ってきました。 こうした現状が当たり前なので、多くの日本人にとって、中国など社会主義国家の国民たちが自由が奪われ、苦しんでいる現状について、ほとんど理解がされていないようです。しかし同様に、我が国にも、残念ながら国民の自由が徐々に失われ始めているのです。 その象徴的な政策が「増税」です。「日本は財政危機で、今後の高齢化社会に対応する社会保障費の財源が必要」だとの大義名分のもとに、政府は消費増税を中心とした「税制改革」を進めています。多くの国民は「増税やむなし」との考えで、総意として明確な反対にまで至っていないのが現状です。 しかしながら、昨年4月に施行された消費増税の影響は、当初予想された以上の大きな反動で、「景気後退」といわれてもおかしくない状態に陥り、目的である財源確保とはほど遠い結果となってしまいました。 ウォールストリート・ジャーナル紙、ワシントン・ポスト紙などの海外メディアは、国内以上にはっきり「アベノミクス失敗」と報道しています。この状況を受けて昨年11月、安倍総理は更なる増税の期日を1年半先送りする事を決断しました。 ◆相続税増税のポイント 消費税については、先延ばしという結論になったものの、2015年からは、相続税の「改正」が実施されました。そのポイントは、以下のとおり相続税基礎控除の減額によって、課税対象者が大幅に増えるという事です。 改正前は、5000万円+1000万円×法定相続人の数 ↓ 改正後は、3000万円+600万円×法定相続人の数 となります。 この結果、相続税の課税対象者が、国民の4%程度から、一気に10%程度まで拡大される可能性が出てきたのです。 専門家の試算では、特に東京・大阪など大都市圏の土地の相続を受ける方が課税対象者になる可能性が高く、東京23区では25%程度が対象者になるとの試算もあるそうです。 今後は、こうした相続税増税の対策として、子・孫に対して非課税の範囲で贈与するという事や、また「どうせ税金で取られるならば、自分の意志でお金を使った方がマシ」という事で各種慈善団体などに寄付したり、あるいは消費行動につながる可能性も考えられます。 このような判断が結果として、日本全体の景気刺激策になるという捕らえ方も出来るかも知れませんが、政府の増税路線が着々と進められている事に間違いありません。 ◆マイナンバー法施行の衝撃 また、10月からすべての国民・中長期在留者・特別永住者に対して「マイナンバー」の通知が行われる事も注目されます。 政府(内閣官房)のウェブサイトでは「マイナンバー」について以下のように説明しています。http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/gaiyou.html 『マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。』 この制度が実際に施行されるのは、2016年1月1日です。表むきには、行政の事務手続きを簡素化するための制度と謳っています。 しかしさらに重要な事として、2018年からは、任意であるものの、金融機関にもマイナンバー適用が始まるのです。 この理由として、政府は、「脱税や生活保護の不正受給などの防止に役立てる」と説明していますが、個人のお金の流れが政府によって合法的に把握されることは、個人の財産権の侵害につながり、さらには国民の自由を脅かす大きな問題でもあると考えられます。 少なくとも、自由主義国・日本における政治の目的の一つとして「国民の生命と財産を守る」事がある中、こうした国家社会主義への道を開く政策が進められている事に対し、私は、強く異議を唱えるものです。 ◆国家の繁栄を築く幸福実現党の政策 先ほど述べた通り「税収を増やす」という大義名分のもとに行われた増税の結果、税収は大きく減る事となりました。 本来は、この結果に対して政府の担当者は国民に対して反省・謝罪し、消費増税を中止する事が必要だったにも関わらず、なんらの総括も行いませんでした。 また、消費増税を推進した多くの知識人、大手新聞紙も現在の厳しい状況に対して、何らの弁解も行う事なく知らんぷりを決め込んでいます。そして、次々と財産権を侵害する政策が現実化していく事になります。 もうそろそろ、国民は、自らの危機を自らの手で改めなければいけない時期に入ってきたのではないでしょうか。政府の増税路線には、はっきりとNOを突き付け、まずはGDP成長のための政策を真剣に討議する必要があります。 そうした意味では、私たち幸福実現党が立党以来訴え続けてきた政策が、必要となる時代がやってきたとも言えます。 まずは、消費税・相続税に対する減税路線の推進、マイナンバー法の廃止など、個人の自由を奪う方針の転換であります。そして、その他にも「成長戦略」として、様々な未来産業を構築する政策を訴えてきました。 私たち幸福実現党は、政府が進める国民の自由の制限から脱し、逆にさらなる自由を拡大する事で、GDP成長率及び税収増加を推し進め、その結果として国家の繁栄につながるものと確信しています。 どうか、一人でも多くの国民の皆さまのご理解をお願いする次第です。 「要注意“ピケティ”ブームに備えよ!」【後編】 2015.02.05 ※今注目されている経済学博士ピケティの「格差と貧困の新理論」について、幸福実現党・政務調査会長の江夏正敏メルマガから、前回に引き続き後編をお送り致します。 文/幸福実現党・政務調査会長 江夏正敏 ◆投資にリスクが伴うのは当然 資本は新しい事業に投資されていきますが、すべてが成功するわけではありません。 ピケティ理論では、「持てる者(資本家)はさらに与えられる」としていますが、投資にはリスクが伴います。 国民の給料の伸びよりも、資本家の投資の方が、儲けの伸び率が高いのでケシカランということですが、リスクに見合う高い収益がないと、だれも投資をしようとしません。 投資しなければ、新たな会社もできず、雇用もなく、失業者が増えてしまいます。お給料そのものがなくなってしまうのです。 これからは、宇宙とか、医療とか、海洋とか、ロボットとか、いろいろな未来産業の可能性がありますが、膨大な投資資金が必要となってきます。 その投資に成功すれば、多くの人が潤います。しかし失敗すれば、すべてが無くなってしまいます。 いろいろな企業家が出てきて、資金を使ってチャレンジしていく中に、未来が切り開かれていきます。その中で、労働者の給料も確保でき、また給料もアップしていくのです。 ちまちまと「格差格差」と怨嗟の声を助長するのではなくて、企業を、国を、世界をダイナミックに発展させていく発想の方が、国民や人類を幸福にしていきます。 ◆財産権の侵害、自由の危機 ピケティは、相続税の強化や、資産、資本に課税を提唱していますが、根本的に財産権の侵害であり、憲法違反です。 人間にとって普遍的な価値である「自由」を確保するためにも、私有財産は最後の砦となります。 政府が国民の財産を収奪、没収した場合、国民は生きるために「国家」の言いなりにならざるを得ません(私有財産がなくなると、政府に見捨てられたら生きていけないので)。 ピケティの発想自体が、社会主義的なので確信犯としか言いようがありませんが、社会主義的発想は、独裁国家へとつながっていくので要注意です。 ◆富の拡大が必要(グリーンスパン元FRB議長) グリーンスパン元FRB議長も、ピケティ理論に対して「それは資本主義のやり方ではない。何かほかの手法だ」 「システムが非常に複雑化しているとはいえ、生活レベルを向上させるのは経済に占める資産や富のシェアが拡大したときだ」と述べています。 やはり、パイの奪い合いではなく、新たにパイを焼くことで、生活レベルが向上すると言っているのです。 ◆成功者を肯定せよ(コーエン教授) また、ジョージメイソン大学のタイラー・コーエン教授も「最も成功している市民への法的、政治的、制度的な敬意と支援がなければ、社会がうまく機能するはずがない」「富裕層の富の拡大は戦略的なリスクテイクが必要で、想像以上に難しく、淘汰も多い」と述べています。 成功した人を、悪人のように見なして、課税を強化することは、社会の発展の要因を阻害します。 ◆国家の役割 国家の役割は、「機会平等」の環境を整えることであり、「努力した者が報われる社会」を創ることです。所得の再分配という「結果平等」は、国民のやる気を失わせ、国家を衰退させます。 幸福実現党は「小さな政府」を目指し、国民がイキイキと充実した人生を送る幸福を味わっていただくことを目的としていますので、単なる所得の再分配には反対します。 相続税の強化も反対です。なぜ、財産を持っているだけで、国家に収奪されなければいけないのでしょうか。 ◆唯物論的!? 「ピケティは不平等の統一場理論を発見した」と称賛されています。 しかし、過去200年以上の欧米諸国のデータを分析して、このままでは格差拡大が必然であるとして、税金を使って悪平等の世界をつくろうとしています。 とてもフランスの左派にありがちな唯物的な傾向が感じられ、人間を本当の意味で幸福にするとは思えません。 ◆企業家精神と騎士道精神、そして宗教心 やはり、富を創りだす企業家精神を持った人々を称讃し、努力する者が報われるようなチャンスの平等が約束された社会こそ、健全に国が発展してきます。 世界はまだまだ発展してきます(ピケティは発展は止まったと感じているようです)。大きなビックプロジェクトに取組み、未来産業を打ち立てねばなりません。 資本の収益率が大きいことは良いことです。そのことによって国民の所得も向上していきます。 かつてのアメリカン・ドリーム、そしてジャパニーズ・ドリームを目指して、成功者を多く出すことが国民全体を豊かにしていきます。 成功者に罰則(課税強化)を与えるような、社会システムにしてはいけません。さらに、成功者は倫理的・宗教的な騎士道精神をもって、社会に富を還元するように努力する使命があります。 成功者であるからこそ、お金を有効に使うことができるのです。そこに成功者(大富豪)の修行の道があるのです。 ピケティは「貧しい人にも教育を受ける権利を平等に」と訴えていますが、それに対して異存はありません。だからと言って、短絡的に課税強化をすべきではありません。 貧しい人に対する教育については、成功者が奨学金などを充実させるなど、慈善事業の奨励をすべきでしょう。 もし、成功者が我利我利亡者のようになったら、いずれその成功は終わるでしょう。 やはり、国民に倫理・宗教心をしっかりと根付かせ、その上で「小さな政府」「機会の平等」「安い税金」を目指せば、国民を幸福にすることができると確信します。 ◇江夏正敏の闘魂メルマガ登録(購読無料)はこちらから https://m.blayn.jp/bm/p/f/tf.php?id=enatsu 「要注意“ピケティ”ブームに備えよ!」【前編】 2015.02.04 ※今注目されている経済学博士ピケティの「格差と貧困の新理論」について、全2回で、幸福実現党・政務調査会長の江夏正敏メルマガからお送り致します。 文/幸福実現党・政務調査会長 江夏正敏 ◆“ピケティ”ブーム ピケティの『21世紀の資本』という本が売れています。そして、書店ではピケティコーナーが拡充され、マスコミでも、特に朝日系やNHKで持ち上げられています。 ピケティは何を主張し、世界にどのような影響を与えようとしているのでしょうか。私は経済学者ではないので、精緻な議論をするつもりはありません。 しかし、政治に携わる者として、国民・世界人類を幸福にするかどうかは大問題となります。 ◆ピケティの主張 では、ピケティは何を訴えているのでしょうか。 簡単に言うと「資本主義には根本的に矛盾があり、貧富の差が拡大してしまう」、つまり「このままでは格差が広がる」と訴えています。 それで、格差を無くすためには、(1)累進課税の強化、(2)資産や相続税への課税強化、(3)世界各国の協力による「資本税」の創設を提唱しています。所得の再分配です。 そのためには「世界各国の政府が協調して、個人の“金融情報を共有”しなければならない」とも言っています。 ◆マルクスと同じ!? 「ピケティは、マルクスには影響されていない」とか、「21世紀の資本主義を守るため」と言われていますが、単純に見れば、マルクスと同じ結論です。 もっと俗っぽく言えば「相続税をもっと取れ」「資本家からもっと収奪せよ」「金持ちが悪いんだ」となります。 ◆ピケティ理論を実践すると ということは、ピケティ理論を実践した国は貧乏になります。国は発展・繁栄しません。いかにマルクスとの関係性を否定しても、結論が同じなのですから。 マルクスの理論を実践したソ連、東欧などの東側は、すべて没落したので、歴史的に実証済みです。 さらに個人情報を全部把握し、資産を管理するために、巨大な徴税権を持つ官僚独裁国家への道に入ってしまう危険性があります。 ◆ピケティの位置づけ ということで、朝日系やNHKが持ち上げている段階で、ピケティの素性がわかってしまうのですが、フランス社会党の経済顧問をつとめているので、一般的には中道左派とされています。 つまりピケティ理論は、大きな政府を目指すので左翼が喜びます。さらに、増税理論なので財務省が喜びます。 ピケティ理論は、国を貧しくする危ない経済理論ということなのです。 ◆ピケティ理論の問題点 ピケティ理論は、今まで学者が手を付けていなかった「各地方に残る古文書」を発掘し、20カ国以上の200年間のデータを駆使しているので、反対派も決定打が出せず、各方面で賛否両論が巻き起こっています。 少し雑にはなるかもしれませんが、ピケティ理論、もしくはピケティ理論から導き出される今後の政治的動きを予想して、問題点を指摘していきたいと思います。 ◆資本主義で豊かになった 資本主義では格差が広がると言っているのですが、もっと大きな時間で見ると、昔の単純な農耕社会では、一部の王侯貴族を除いて、多くの人は貧しかったはずです。 当時は、格差はあまりなかったでしょう。産業革命が起き、富を集中して工場などを造り、大規模・効率的に事業が回り始めて、膨大な富が創造されていくと、国全体が豊かになって行きました。 発展段階においては、劣悪な労働環境の問題などもあったかもしれませんが、資本主義のおかけで、国民が豊かになったのは事実です。 ◆「大きな政府」は社会主義への道 資本主義は便利で効率的なシステムであって、善悪の問題ではありません。それは、資本(お金など)を集中して、大規模な事業を興し、多くの富を生み出すことができるのです。 その際、その便利で効率的なシステムを、正しく使うための倫理が必ず必要となります。 今の資本主義には倫理が必要なのであって、税金で吸い上げて再分配する「大きな政府」は、社会主義そのものとなり、人間を幸福にしません。 ◆相続税、資産・資本課税、累進課税の強化は、大企業が弱まり雇用不安を生む また、資本の集中によって、大きな事業が可能となり、多くの雇用を生むことができます。 社会保障の究極は、国民に職があるということです。大きな会社は、それだけ多くの人を雇うことができます。ありがたいことです。 しかし、ピケティ理論の結論からは、累進課税、相続税、資本課税を強化していくことですから、大きな事業を継続しにくくなり、小さなお店ばかりが生き残るようになってしまいます。 これでは、国の発展・繁栄は難しく、国民を養うことができなくなります。 (つづく) ◇江夏正敏の闘魂メルマガ登録(購読無料)はこちらから https://m.blayn.jp/bm/p/f/tf.php?id=enatsu すべてを表示する « Previous 1 … 7 8 9 10 11 … 33 Next »