Home/ 財政・税制 財政・税制 固定資産税制を考える【その4】 2015.10.07 文:HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 これまで『固定資産税制を考える』として、固定資産税の現状と問題だと考えられる点について述べさせていただきました。 今回は、このテーマの最終回として、固定資産税制度について、減税の方向での提案をさせていただきたいと思います。 ◆固定資産税のあり方を立法上明確にすべき そもそも固定資産税は、その課税根拠等が極めてあいまいであり、担税力も十分には考慮されていないと考えられることなど、見直していくべきだと思います。 現在は、通達によって地価公示価格の7割が課税標準の目途となっていますが、それが地方税法上の「適切な時価かどうか」は、「立法上」明確にされていません。 「わが国の固定資産税についても、この課税標準の明確化を立法上どのようにして達成するかが最大の課題」(『土地と課税』p521)という指摘もされるところであります。 本来これは国としての当然の責務ではないでしょうか。 したがって、まず、課税標準を定めなければなりませんが、そのためには、そもそもこの固定資産税という税金は何に担税力をみて課税するのかをはっきりさせるべきです。 1990年(平成2年)の土地税制基本答申では、「固定資産税については、保有の継続を前提として、資産の使用収益しうる価値に応じて、毎年経常的に負担を求めることから、「土地の使用収益価格(収益還元価格)」をあるべき「適正な時価」」としました。 基本的には土地に対する固定資産税を徴収するならば、それはその土地の「収益力」に担税力を見出すのが適当ではないでしょうか。 全国に公平に適用される課税基準を立法で明確に規定したうえで、固定資産税は地方税ですので、ある程度地方によって税率を自由に設定できるようにしてもよいと思います。 ただし、税収確保のためとして高すぎる税率を設定できるようにすべきではありません。 ◆2020東京オリンピックに向けて その上で、まずは短期的に2020年東京オリンピック開催に向けて、再開発等の投資を促進するためにも「建物固定資産税の減税」と「償却資産にかかる固定資産税の撤廃」、を提案したいと思います。 そもそも、前回指摘したように、立法行為を経ずに実質的な負担割合が引き上げられた固定資産税であるならば、減税を考えるのは当然ではないでしょうか。 その中でも、償却資産に対する課税の減税については経済産業省からも要望が出ています。 「平成24年度税制改正(地方税)要望事項」において「事業用資産に対する課税は国際的にも稀」と指摘しているとおり、そもそも課税される事自体が稀な税であるがゆえに、それが日本の国際競争力を削ぐ原因になっているのではないでしょうか。 経済産業省は「東日本大震災と急激な円高を契機に、産業空洞化とそれによる雇用喪失の懸念が強まっており、国内の企業立地の環境改善が急務。 このため、償却資産に対する固定資産税のあり方を見直し、新規設備投資を促進し、産業空洞化を防止する」と、政策理由をあげた上で、「『機械及び装置』ついて、新規設備投資分を非課税とすること」と「『機械及び装置』について、評価額の最低限度(5%部分)を段階的に廃止すること」を要望としてあげています。 対して、全国知事会は、2013年9月27日の「消費税率引上げに係る経済対策に関する要望・提案」において「償却資産に係る固定資産税については、償却資産の保有と市町村の行政サービスとの受益関係に着目して課するものとして定着しているものである。国の経済対策のために、創意工夫により地域活性化に取り組んでいる市町村の貴重な自主税源を奪うようなことはすべきでなく、現行制度を堅持されたい」として、経済産業省の要望に対して反対しています。 しかし、事業用資産は付加価値創造のための元手にあたるものになります。 したがって、ここに税金をかけることは経済活動を阻害する要因になります。そして、そもそも利益の元手に税金をかけるべきではないと考えます。 そして、全国知事会は「償却資産の保有と市町村の行政サービスとの受益関係」を言いますが、その行政サービスが何にあたるのか、全くはっきりしません。 全国知事会は、もし本当に、この「海外ではほとんど税金がかけられることのない、事業用資産の所有」に、日本だけ税金をかけなければならない理由があるのなら、具体的にあげるべきです。 全国知事会の意見は、税収確保のための言い訳であるとしか考えられないと思います。 私からの提案としては、そもそも事業用資産(償却資産)への課税は、課税根拠が極めて不明確であり、経済成長の阻害要因であると考えられるため、「これを撤廃すべきである」というものです。 そして国際競争力を伸ばし、企業の海外流出を食い止め、国内に生産拠点の回帰を図り、更に海外からの投資、および国内からの投資を促進し、大きく経済成長につなげていくべきであると思います。 ◆消費増税から落ち込んだ景気を減税で立て直し、未来都市建設も進めよう さらに、建物固定資産税は少なくとも思い切った減税をすべきだと思います。2020年オリンピック開催までの建設投資が促進されやすい時期に、思い切った投資促進政策を実施すべきではないかと思います。 特に2014年(平成26年)4月には消費増税も実施されたため、消費も落ち込み、2015年9月8日の内閣府からの発表でも4-6月期のGDPがマイナス成長に落ち込んでいます。 民間の最終消費支出は0.7%のマイナス、民間の設備投資も0.9%のマイナスです。 国外の要因もあるとはいえ、消費増税後に落ち込んだ景気を素早く回復させ、更に伸ばしていくためには、今こそ大胆な減税が必要です。 もちろん、我が党が主張してきたように消費税を5%に戻すことは非常に効果が高いものと考えますし、法人税減税等も議論が進むかもしれません。 ただ、私からはさらに、日本全国の都市の発展、そして2020年に向けて東京をさらに素晴らしく、世界で戦える魅力的な未来都市にしていきたいという観点から、償却資産の固定資産税撤廃、および、建物固定資産税の減税を提案したいと思います。 「自由」から観たマイナンバー制度の考察 2015.10.06 文/HS政経塾5期生 水野善丈 ◆マイナンバーの手続き開始 いよいよ10月よりマイナンバー法が施行され、来年2016年1月よりマイナンバー制度の運用がはじまります。 全ての国民・企業に関わる重要な制度ですが、その内容を理解している人は少ないのが現状です。 今回は、「自由」という観点からマイナンバー制度がどのようなものなのかを考察し、「自由」というものの大切さを改めて感じて頂けたら幸いです。 ◆マイナンバー制度で見込まれる拡大利用 そもそもマイナンバー制度とは、国民一人ひとりに番号を割り当て、個人情報を役所が一元化するもののことを言います。 現在政府は「社会保障」「税」「防災」の目的のもと利用するとしていますが、すでに利用範囲拡大は見込まれています。 例えば、9月に成立した改正法では、2018年から本人の任意のもと「銀行口座」の情報と番号を結びつけることが決められ、さらに2021年を目度に、銀行口座への結びつけを強制する方向も検討しています。 このように政府が国民の私有財産まで把握しようとするところまですでに考えられているのです。 ◆ 「社会保障と税の一体改革」による課税強化の補強のためのマイナンバー制度 その背景にあるのが、政治家や財務省・国税庁が考える「社会保障の財源を確保する為に国民から税金を取れるだけとる」という考え方です。 例えば、今年に入ってからも、国税庁の富裕層への課税取り締まりは強化されており、1月には所得税や相続税の最高税率を引き上げ、7月には有価証券1億円以上の保有者の海外移住による課税逃れを防ぐ「出国税」も導入されました。 しかし、そもそもこうした流れは、国内の富裕層への自由を奪う課税だけでなく、増税という景気を悪化させながらも税収が増えない政策であり、社会保障の財源も得られず、根本的な解決は考えられていないことが分かります。 つまり、「国民からいかに税金を取るか」という視点しかなく「いかに無駄なく税金を使うか」といったところの政府の改善は考えられておらず、ただ国民の負担を求める姿勢が顕著に表れています。 こうした姿勢の中には、国民の血税である税金を当たり前に国民から取れるものと軽んじて考えられているのもうかがえます。 ◆導入コストに対するメリットの低さ〜企業にとっては「労務」という「増税」〜 また、3000億円以上の税金を投入して取り入れるマイナンバー制度でありながら国民へのメリットは「あらゆる手続きの簡易化」しかないのも問題です。 それだけでなく、企業にとってはマイナンバー導入そのものが負担でしかありません。 一番の負担となるのが、情報漏洩による厳しい罰則が企業に課せられており、各企業に従業員のマイナンバーの情報管理が任されているところです。 たとえば、全国に1万点以上ある大手コンビニエンスストアとなると、バイトも含め20万件以上の膨大なデータを管理しなくてはなりません。 こうした状況を見るにつけても、日本の99.7%を占める中小企業にとっては、セキュリティ管理ができず、倒産の危険性をはらんでくる企業も出てくるでしょう。 つまり、マイナンバー制度自体、企業にとっては「労務」という新たな「増税」になっているのです。 ◆マイナンバー制度の本質〜監視管理型社会への道〜 以上のことからも、マイナンバー制度は、「国民の自由」を代償に政府を中心とする国、社会主義的な「監視管理型社会」への一歩が踏み出されたものと見えます。 そのため幸福実現党は、マイナンバー制度を受けて、5つの問題点を発表しています。 「実は危険! 「マイナンバー制度」5つの問題点~情報流出リスクが高く、国家による監視社会を招く~ 」 http://info.hr-party.jp/2015/4709/ ◆自由への選択、そして繁栄へ〜選択の豊富さこそ経済成長への道〜 「自由」は選択の豊富さを与え、それが真の発展・繁栄へと導くものだと信じます。 マイナンバー制度導入により考えられている私有財産の監視・コントロールといったものは、逆にこの国から富を奪い逃すものです。 人それぞれに与えられた天性や仏性というものを、選択の豊富さ、自由の中で成長させていくことこそ、この国がより豊かになっていく道であります。 国民のこうした自由を奪うマイナンバー制度に対しては、動向を見ながら今後とも警鐘を鳴らしていかなければなりません。 この国が真に自由からの繁栄を実現することを止みません。 欺瞞に満ちた「安心の社会保障」 2015.09.30 文/幸福実現党・千葉県本部副代表 古川裕三 ◆支持率回復を狙った「新・三本の矢」 先般、安倍総理は、アベノミクスの第二ステージとして、(1)希望を生み出す強い経済、(2)夢を紡ぐ子育て支援、(3)安心につながる社会保障を謳った「新三本の矢」を発表し、具体的には、(1)GDP600兆円、(2)出生率1.8、(3)介護離職ゼロなどを掲げました。 特に(2)と(3)に社会保障の充実がうたわれていることをみてもわかるとおり、国民の生活重視の路線を強調し、安保法制の成立後の支持率回復と、来年の参院選を意識した内容となっています。 なお、8%→10%への消費増税についても、17年4月の予定通り実施するとしていますが、これは、子育て支援も社会保障も、10%への消費増税が前提であるということであり、逆に言えば、「社会保障」という大義のもと、「人命」を人質に取り、誰も反対できなくさせているわけです。 ◆滞納額ワーストの消費税 ちなみに、国税庁の発表によると平成26年における消費税の新規発生滞納額が、前年度比117.1%の3294億円で、全税目の55.7%を占め、例年同様に税目別滞納額でワーストでした。 消費税率が5%から8%に引き上げられたことで、消費税の新規滞納発生額が480億円も増えました。この結果をみても、例年、滞納額がワーストであるという状況を鑑みても、やはり消費税は減税していくべきではないでしょうか。 8%への増税後、滞納額が新規で増えたということは、事業の存続のために、滞納せざるを得ない中小零細企業が増えたということです。 法人税と違い、消費税は赤字であっても納めなければなりませんから、消費増税によって売り上げが落ちた企業、特に中小零細企業の事業者は自腹を切って納めているのが現状です。 今後の倒産件数や失業者の増加、またそれに伴う自殺者数の増加が懸念されます。 ◆アダム・スミスの徴税の原則 そもそも、国民の資本、生産手段など、経済活動の元手にあたるものに対して税金をかけることは徴税の原則から外れることを経済学の父、アダム・スミスは『国富論』の中で指摘しています。 つまり、木になった果実、その実りの一部を税として納めてもらうことが原則で、元手であるリンゴの木の枝をへし、折って納めてもらったり、木の幹を削ったりしてはならないということです。 元手である木が傷ついてしまったら、果実を生み出す力がなくなってしまうからです。 その意味で、消費税は、消費活動そのものを妨害するマイナス効果しかありません。企業の売り上げ、利益を減らし、果実を生み出す力を削ぎ落していきます。 消費税は、生産者から消費者に商品が届くまでの流通過程の全てに課せられるハードルのようなものであり、このハードルの高さが増税によって上がっているのです。 さらに、消費税は、逆進性が強く、低所得者ほど負担が重いという意味で消費者いじめの税金であり、日本経済を支える中小企業に大打撃を与える税金なのです。 本当の意味で、国民の立場に立って「安心の社会保障」を謳うのであれば、消費減税こそが、有効な政策手段であるはずです。 減税を通じて個人の経済力を上げ、自立した個人を増やしていくことが、膨張し続ける社会保障費を抑えていくことにもなるのです。 ◆欺瞞に満ちた「安心の社会保障」に騙されないために 今回の「新・三本の矢」の政策において、民をいじめる消費増税を表明した一方で「安心の社会保障」を謳うとは、国民を欺いていると言わざるをえません。 日本のGDPの約6割を占める消費を冷え込ませる消費増税を宣言しておきながら、GDP600兆円を目指すとする政策は矛盾しています。消費増税は、GDPを減らすのです。 世界一の経済大国であるアメリカも、逆進性があり、物価を上昇させ、行政上のコストがかかる、などの理由から国家としては付加価値税(消費税)を導入していません。 消費大国であるアメリカは、消費の大敵である消費税の威力をよくわかっている、というべきでしょう。 アメリカのように、個人消費を増やして経済成長を実現していく路線を日本もとるべきであり、その意味で、消費減税が起爆剤となるはずです。 幸福実現党は、国民の経済的自由を守る砦として、消費減税を訴え続けてまいります。 世界経済の安定には「成長産業」が必要! 2015.09.29 文/HS政経塾第5期生 表なつこ ◆原油安で混乱する国際経済情勢 中国の景気減速によって、投資家の真理が冷え込みこれまで需要が見込めると思われていた原油価格が暴落しています。中東のみならず世界の原油産出国の景気も悪化させ始めています。 他方、原油安は日本にとってはメリットがあります。日本は世界第3位の原油消費国、世界最大のLNG輸入国であるため、原油価格の安さは貿易収支の改善などに寄与します。ガソリン代や電気料金の下落にもつながります。 その反面で石油の元売り業など資源ビジネスには苦境となります。 また、短期的にはメリットがあるものの、原油安が長期化すれば、投資の減少によって石油生産量が減ることが考えられます。 石油開発は、探鉱から生産まで3~5年ほどかかるため、開発が停滞すれば5~10年後に供給が不足して、油価が高騰する危険性もあるのです。このように、原油安は世界を混乱させる可能性を含んだものです。 ◆消費が低迷していては国内経済の成長も見込めない 安倍総理は9月24日の記者会見で、GDP(国内総生産)を600兆円に行き上げることを今後の目標に掲げました。ですが、9月8日発表の2015年4~6月木の実質GDPは、3四半期ぶりのマイナス成長となっています。 この原因は、輸出の悪化と個人消費の減少が原因だと言われています。輸出の悪化は、中国経済の成長鈍化という外部要因が強いため、ある意味仕方がないと言えますが、GDPの6割を占めている個人消費が低迷していることは不安材料です。 ここを改善しない限り、GDP600兆円は実現できないでしょう。 GDP公表後に出された各シンクタンクの見通しでは、7~9月のGDPはプラス成長に転じるという予測が主流ですが、日本総合研究所の枩村秀樹氏の観測によると、これは猛暑効果やプレミアム付き商品の使用によるもので、消費の押し上げ効果はわずかであり一過性のものだと指摘されています。 さらに、食品や身の回り品など家計に身近な品目は値上がりしており、内閣府の調査では家計の85%が1年後に物価が上昇すると予測しています(9月26日の日経新聞)。消費税10%への再増税の問題などもあります。 値上がりと合わせて所得も増えているなら問題ありませんが、所得が上がらないなか物価がさらに上昇すると考える人が増えれば、節約志向が強くなり消費が低迷することは明らかです。 アベノミクス開始以降、名目上の所得は上昇していますが、物価の上昇を上回っていないため、実質の所得はまったく増加していません。 先述の枩村氏は、「景気回復の恩恵は家計部門には全く波及しておらず、ここで好循環のメカニズムが途切れてしまっている」と指摘しています。これは、幸福実現党がアベノミクスは失敗すると主張していた通りの内容です。 個人消費を回復させるには、国内産業を活性化させ企業が利益を上げ、それによって雇用者の賃金上昇を実現させる必要があるでしょう。 翻って日本の産業界を見てみると、中小企業の多くが、電気料金が上がってもその値上がり分を価格に転嫁できず、人件費削減などで対応しています。 電気料金は、「燃料費調達制度」で原油などの輸入費用が電気料金に転換される仕組みで、電気の使用者も燃料の輸入代を負担しています。 現時点では原油価格は安くなっており日本にはメリットもありますが、長期的に見ると原油価格は上昇し続けてきたもので、さらに国際情勢の変化に応じて乱高下する不安定なものです。 ◆変動する経済環境に合わせて何が必要か考えよう! 電気料金の安定化には、原発の早期再稼働が有効です。また放射線を無効化する技術や使用済み核燃料を再利用する技術の実用化などは、人類が必要とする成長産業だといえるでしょう。 日本は、国内の可処分所得を増やし、消費拡大によってGDPを成長させ、新たな成長産業を創っていくべきです。 日本の成長産業が新たなパイを創出することによって、世界の経済的混乱も収束させることができるよう、大きな志で成長産業の育成を訴えていきたいと思います。 固定資産税制を考える【その3】 2015.08.26 文:HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆負担の増加した固定資産税 現在の地価公示価格平均は、ほぼ1985年時点の水準と同等です。消費者物価でみると、現在は1985年当時よりも約1割上昇しているため、地価がいかに下落したかがわかります。 ただ、一方固定資産税の税収は1985年(昭和60年)では4.2兆円で、2011年(平成23年)では約8.9兆円になっており倍以上に増えています。 このような地価の下落が目立つ中、固定資産税の税収は2倍以上に上昇するという現象が起きたのは、負担率が上昇したからにほかなりません。 ◆資産デフレに拍車をかけた自治事務次官通達 1990年代前半は、バブル潰しから、さらに資産デフレを悪化させる政策をとり続けた時代でした。 1992年(平成4年)1月22日付で「固定資産評価基準の取扱についての依命通達の一部改正」(自治事務次官通達)が各都道府県知事あてに出されました。 そこで「地価公示価格、都道府県地価調査価格および鑑定評価額を活用することとし、「これらの価格の一定割合(当分のあいだこの割合を7割程度とする)を目途とすること」と明示」されました。 自治大臣書簡【1992年平成4年)11月17日付】では「今回の固定資産税の見直しは、土地評価の均衡化・適正化をはかることが目的であり増税を目的とするものではない」とし、地方団体に対しても「固定資産税の評価替えと税負担」というパンフレットを送付し「平成6年の評価替えは、基本的に評価の均衡化・適正化を図ることが目的であり、これによって増税を図ろうとするものでありません」としていますが、結果的は大増税となりました。 この1994年(平成6年)の評価替えでは「これによる指定市の基準地価格の調整結果は、47指定市の基準値の平均上昇は3.02倍、全国加重平均で3.96倍」になり、「三大都市圏平均で3.272倍、地方圏平均で2.96倍と大都市圏の上昇割合が大きなものとなり、特に東京都の上昇割合は、4.65倍」(『都市と課税』p261)となりました。 1994年(平成6年)ということは、既に地価はみるみる減少し、資産価値の崩壊が起きている中で、結果として大増税を「事務次官通達」で決定してしまいました。 ◆立法を経ない増税は憲法違反では? このような通達で課税標準を変更し、結果的に大幅な増税をすることになったのは、「憲法84条の定める租税法律主義に違反している可能性がある」と学説でも指摘されているところです。 (参考) 日本国憲法 第八十四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。 結局、その後2005年(平成17年)まで地価は下落しつづけました。 大蔵省の通達といい、この自治省の通達といい、国民から選ばれた国会議員による立法を経ることなく重要な国の行方を左右し、結果的に長い大きな不況をつくりだしてしまいました。 このような、一方的で法律の手続きすらも経ない「通達」によって国民負担を増加させ、経済に悪影響を及ぼすようなことをするのは厳に慎むべきであり、本来ならば厳しく責任を問われなければならないのではないでしょうか。 さらに、1994年(平成6年)に通達が出される以前から地価は大幅な下落を示しており、資産価値下落に苦しむ人も多く、景気も明らかに不景気の状態にあり、建設需要も大きく下落する中で税収だけを大幅に引き上げる、実施的な大増税を行ったことは明らかな間違いであったといえるでしょう。 そもそも地価がほぼ同等であった1985年(昭和60年)に比べて固定資産税の税収が倍以上になっている事自体が異常であるといえるのではないでしょうか。 やはり、税金については立法を経て課税の基準が明示され、その課税に変化が生じる場合も立法行為を経たうえで行われるべきであると思います。 このように立法を経ずに行われた増税については、もう一度見直しをかけ、しかるべき手続きを経る必要があると思います。 そして、投資を妨げる税金のあり方を変え、投資をしやすい土地税制を目指していくべきだと思います。 次回は「固定資産税制を考える」の最後として、いかにこの税制を変えていくべきかを考えてみたいと思います。 ギリシャ危機は終わらない。――根本解決に必要なこと 2015.07.29 文/幸福実現党埼玉県本部幹事長代理 HS政経塾2期卒塾生 川辺賢一 ◆ギリシャ危機は終わったか 今月23日、ギリシャ議会は増税や年金改革関連法案に加え、銀行の破綻処理手続き等を柱とする財政改革法案を可決。これにより、ギリシャはEUから求められていた金融支援の条件をクリアしました。 「ギリシャ危機の後退」を受け、世界の株式市場は高騰。2万円台を割り込んでいた日経平均株価も2万500円台まで回復しました。 では、これでギリシャ危機は終結に向ったのでしょうか。 確かに、労働人口の4分の1とも言われる公務員を抱え、早くて50代から年金受給が始まるギリシャ経済の現状は持続不可能であり、ドイツを始め、金融支援と引換えにギリシャに改革を求めるEU側の主張にも正当な点はあるでしょう。 しかし、若年層失業率が50%を超え、名目・実質共に一人当たりGDPがピーク時の4分の1も減少している状況で、増税を始め、さらなる緊縮政策が断行されれば、いっそう失業者が増大し、失業者救済のための公共支出が求められることが予想できます。 これでは、たとえEUが求める改革が断行されても、ギリシャ債務問題は深刻さを増すばかりか、EU支援に依存したギリシャはやがて国民の意思による予算決定、すなわち国民による主権行使が何一つできなくなるでしょう。 つまり、ギリシャとEUが現状、向っている未来は、かつて債務国であった東ドイツを債権国の西ドイツが吸収したとの同様、EUという第3者機関を通じた「ドイツのギリシャ吸収」、あるいは「ギリシャのEU直轄領化」です。 むろん、東ドイツと西ドイツの場合と異なり、言語も民族も異なる国家の統合は、常に破局の危機に晒され、その度に、日本も含め、世界経済は迷惑を蒙るでしょう。 では、ギリシャ危機の根本解決には本来、何が必要なのでしょうか。 ◆ギリシャに必要な改革 まず、「50代で退職したギリシャ人の生活を、どうしてドイツ人が税金で面倒を見なければならないのか」という率直なドイツ人の感覚は間違ってないでしょう。 かつて英国病とマーガレット・サッチャーが闘ったように、勤労意欲の低下したギリシャには労働組合の弱体化政策、国有資産の民営化、社会保障費の削減、行政のスリム化等といったドイツが求める改革の断行は一部不可欠であり、ギリシャは鉄の意志を持った指導者を選出しなければなりません。 しかし、同時に不可欠なのは、独自通貨の復活と通貨切り下げを通じたギリシャの国際競争力回復です。 現状、ギリシャは通貨切り下げではなく、デフレによって、つまりギリシャの製品・サービス、そして労働賃金が名目・実質共に、下落していくことを通じて、国際競争力を取り戻そうとしています。 ところが、統計上、あるいは直感的にも、名目上の賃金給与額が低下し続ける社会(デフレ下)で、景気回復や失業率の改善は不可能で、ギリシャは国際競争力の回復、つまり債務返済のために、失業率を増大させなければならないという、矛盾した状況に陥っているのです。 だから独自通貨の復活と通貨切下げが必要なのです。 もしもギリシャが独自通貨ドラクマの復活を決断すれば、通貨の切下げによって、ギリシャは自国の製品・サービス、また賃金給与の名目額を下落させることなく、対外的な競争力を取り戻すことができるのです。 実際、英国病からの脱却にはサッチャーによる改革だけでなく、ポンド危機による通貨切下げが必要でした。また97年通貨危機に見舞われた東アジア諸国においても、通貨の暴落自体が次の成長を後押ししました。 日本政府も世界経済のステークホルダーとして、ギリシャ問題をEUやIMFだけに任せるのではなく、意見を述べるべきです。 例えば日本政府には1兆ドルを超える外貨準備があり、その準備から一部融資することで、ギリシャの債務不履行を防ぐことができます。 日本はその見返りに、日本の改革案をギリシャに履行させ、また円建ての返済を求めることで、欧州における円国際化を進め、ギリシャ進出を足かせに欧州における人民元の国際化を企てる中国を牽制することもできます。 ◆緊縮財政と決別を 緊縮財政ではギリシャ問題の解決は難しいこと、そして根本解決に必要なことを述べて参りましたが、1930年代の大恐慌を経験した世界は、既に緊縮財政の間違いを痛い程、学んでいるはずなのです。 大恐慌以前の世界では、金と自国通貨の価値を連動させること、つまり金本位制がグローバル・スタンダードでした。 供給側に制限のある金を基準に貨幣を刷れば、貨幣の価値暴落はまぬがれ、世界経済は安定すると考えられていたのです。 ところが金本位制の下では、金の流通量、あるいは金の埋蔵量に世界の貨幣供給量が規定されるため、世界経済は成長しようとすればするほどに、デフレ、賃金の下落、景気悪化、結果的としての社会秩序の不安定化が進む構造となっていました。 そこで世界は金本位制と決別し、金ではなく、供給側に制限のない国債やその他債券・証券を担保に貨幣を発行するようになったのです。 金の価値は供給が制限されることで保たれますが、債券には供給側の制限がありません。ところが、たとえ新規債券が発行されても、人々の勤労により、新しい価値が付加されれば、債券の価値は保たれるのです。 緊縮財政の発想が世界経済の成長の足かせとなっています。これを乗り越えるために必要なのは、勤労によって富を増やすことができるという世界観です。 今こそ、私たちは緊縮財政と決別すべきなのです。 「コーポレートガバナンス強化策」の是非と、「長期金融制度」の必要性 2015.07.21 文/HS政経塾4期生 西邑拓真(にしむら・たくま) ◆安倍政権によるコーポレートガバナンス強化策 安倍政権は、アベノミクス「第三の矢」である「民間投資を喚起する成長戦略」の一環として、コーポレートガバナンスの強化を推し進めています。 コーポレートガバナンスとは、企業の法的な所有者である株主の利益が最大限に実現化されることに向け、企業を監査するための仕組みを指します。 この強化策の背景として、これまで、日本はコーポレートガバナンスが低く、経営の透明性が低かったことから、特に外国人投資家が積極的に日本株を購入していなかったことが挙げられます。 企業統治を強化して企業の収益性・生産性を高め、企業価値を向上させることを通じ、株式市場をより活性化させようとするところに、その狙いを求めることができます。 また、今年の6月には、金融庁と東京証券取引所により、コーポレートガバナンス・コードが導入されました。これは、株主の権利や取締役会の役割などといった、上場企業の行動規範を表したもので、上場企業はコードに同意するか、同意しない場合はその理由を投資家に説明することが求められるというものです。 企業統治の強化策としてのコードの導入により、上場企業は、資本効率を向上させることをより強く求められるようになったわけです。 ◆政策の効果 日本企業における「経営の透明性」が低いことの一要因として、長年の「株式持合い」という慣行の存在が挙げられています。 「株式持合い」を行えば、長期的に株式が保有され、相手株主から厳しい口出しがなされない「ぬるま湯的体質」が生じるとされます。持合いが解消し、経営陣が投資家によって厳しく精査されることで、経営効率が改善するだろうということが、この政策の狙いの一つであるとされています。 また、現に、このコーポレートガバナンス強化策を行った成果として、企業が取締役会に対する監督強化を図ることを念頭に、「社外取締役」を選任する上場企業が、昨年12月の72%から、今年の6月には94%以上に増加したとする報告もあります(米 Institutional Shareholder Services社調査)。 ◆外国人投資家 日本の株式市場における売買シェアの約6割を占めるのが、外国人投資家です。 外国人投資家とは、海外を拠点に活動する、ヘッジファンドを含めた短期売買の投資家や、欧米の年金基金・投資信託など長期運用を行う投資家を指します。 この外国人投資家は、企業が資本を使ってどれほど効率的に利益を出しているかを示す「自己資本利益率(ROE)」を重視する傾向にあると言われています。 日本の株価が上昇している一つの背景には、政府がコーポレートガバナンス強化を推進することで、日本企業のROEが上昇し、外国人投資家が日本に株式投資を積極化させていることがあるわけです。 ◆強化策に対する否定的な見方 しかし、そもそも「企業と投資家の交渉は、本来は市場メカニズムによって行われるべき」で、特にコードの導入は「経営者の手足を縛る内政干渉」であり、こうした一連の政策を「官製コーポレートガバナンス」であるとして、それを否定的に捉える向きもあります。 また、中長期的な経営の視点から見れば、例えば、多額で長期的な研究開発費を賄う方策として、株主からの調達に関しては、「ハイリスクな投資に否定的な株主が多い」のが現状であり、「ROEの低下要因である内部留保を使うことが現実的である」とする観点もあります(原丈人著『21世紀の国富論』参照)。 このような視点から見れば、政府によるコーポレートガバナンス強化策が、必ずしも中長期的な経済成長に寄与するとは限らないことがわかります。 ◆長期金融制度の必要性 日本は戦後復興時より、日本長期信用銀行などの長期金融機関が、高度経済成長を金融面でサポートしてきました。 今後、日本が長期的な成長を実現し、ゴールデン・エイジを実現していくにあたっては、株式市場の活性化も必要ですが、それだけではなく、国内での新たな長期金融制度の創設もまた必要であると考えます。 参考文献 小田切宏之著 2010 『企業経済学』 東洋経済新報社 原丈人著 2007『21世紀の国富論』 平凡社 固定資産税制について考える【その2】 2015.07.08 文/HS政経塾第二期卒塾生 曽我周作 前回は、土地税制のうち固定資産税、特に建物固定資産税のあり方について、「応益税と言えるのか?」「投資を妨げる効果があるのでは?」という問題提起をさせていただきました。 固定資産税制について考える【その1】 http://hrp-newsfile.jp/2015/2223/ ◆担税力が反映されない建物固定資産税 現在、建物に対する固定資産税は「再建築価格」を課税標準としています。しかしこれも非常に問題を多く含んでいます。 まず、これでは「担税力」、つまり「税金を負担する能力」を反映できません。例えば、同じようなオフィスビルが東京都と、かたや田舎にあったとします。 当然、東京にあるオフィスビルの方が賃料も高くなりますので、東京のビルを所有する方が収益力は高く、従って担税力も高いということになります。 しかし、仕様の同じビルを東京と、田舎で建てるコストはそれほど大きな差はありません。当然土地の価格は全く違うでしょうが、建物の建築費用に通常は極端な差は出ないはずです。 単純に言えば、再建築価格が同じであれば、東京にあるビルも、田舎にあるビルも同様の固定資産税を課されることになります。 しかし、これでは収益性が反映できなくなってしまいます。 ◆固定資産税は「役所にとって」都合の良い安定財源 まず、この課税標準を「再建築価格」としていることは、行政サービスと関係しているとは言い難く、建物は行政サービスによって新築時よりも再建築価格の方が高くなることはないのではないでしょうか。 やはり、建物固定資産税を応益税とするのは無理があると思われます。 また、どれだけ景気が悪化するなどして、周辺の地価が下落しても、建物固定資産税は「再建築価格」によって課せられるため、地価の下落に応じて少なくなることもありません。 これは資産を持つ者にとっては不利であり、行政側にとっては有利な制度になります。なぜなら、行政のサービスが悪く地価が上がらない、または、下落したとしても、建物部分の固定資産税は変わらないわけですので、非常に安定した財源になります。 ◆税金をかけてよいのは「果実」の部分 幸福実現党の大川隆法総裁は『幸福維新』の中で、以下のように述べられています。 「今、この国では、『果実』でないものに、たくさん税金をかけています。それが経済活動を阻害しているのです。国を富ませるための根本を知らないからです。経済活動をしようとすると税金がかかるような税制になっています。これは、国を治めている人たちが勉強していないからです。税金をかけてよいのは『果実』だけなのです。」 つまり、経済活動の元手になるものへの税金はかけるべきではないと指摘されています。 特に企業にとって、建物固定資産税は経済活動を行っていく上での元手にかけられる税金であると言えるのではないでしょうか。 ◆償却資産に固定資産税を課税するのは間違いでは? さらに償却資産に対する税金も同様です。 GHQの要請によって1949年にカール・シャウプを団長とする日本税制使節団(シャウプ使節団)が日本の税制に関する報告書まとめました、これが日本の戦後の税制に大きな影響を与えました。 「シャウプ勧告」の第12章で課税標準をそれまでの賃貸価格から資産価格に新ためる勧告がなされ、その理由としては「本税(不動産税)を土地建物に限定しないで減価償却の可能なあらゆる事業資産に拡大するため」というものをあげています。 償却資産に対しても固定資産税が課されており、平成25年度で1.55兆円の課税(見込み額)がなされています。 しかし、この課税についても、単に大きな資産を持つことができるということに「担税力がある」とみなして課税しているにすぎず、建物固定資産税と同様、付加価値の元手に課する税金です。 そもそも、その所得や借入れによって手に入れた元手に税金を課する正当性はなく、本来そこから生み出された果実、つまり利益に対して課税がなされるべきです。 ◆固定資産税のあり方を変えていくべき 固定資産税は地方税の根幹をなすものでありますから、慎重に改革をすすめる必要があると思いますが、経済活動を阻害するような税金は無くしていく方向に進むべきであると思います。 政策研究大学院大学の福井秀夫氏が「建物に固定資産税を掛けると、どうしても投資を抑制してしまうわけです。保有税は、土地に掛けると有効利用のインセンティブになりますが、建物にかけると、建物に投資することが、その分だけ確実に不利になるわけです」と指摘しているように経済活動を阻害し、経済成長を妨げる圧力をかけてしまいます。 さらに、現在のような収益性が反映されない「建物の再建築価格」を課税標準とする税金のあり方にも問題があると言えるのではないでしょうか。 したがって、一定の移行期間を設ける必要があるかもしれませんが、固定資産税制の在り方は、役所にとって都合の良い制度であることを改め、大きく改革をしていかなければならないと思います。 次回は、固定資産税は「法律を作らずに増税されていた」ということを含めて、問題点を見ていきたいと思います。 ギリシャ危機に学ぶこと 2015.07.01 文/幸福実現党・千葉県本部副代表 古川裕三 ◆ギリシャ危機 ギリシャが再び危機に陥っています。09年10月にギリシャ政府による財政赤字の隠ぺいが明るみになって以来、財政再建が喫緊の課題であったわけです。 EUがギリシャ向け金融支援の月末での打ち切りを表明しており、同じく6月30日に支払期限を迎える国際通貨基金(IMF)への債務16億ユーロ(約220億円)の目途がつかなければ、債務不履行(デフォルト)になる可能性があります。 ギリシャのチプラス首相も「銀行が窒息状態にあるのにどうやって支払えというのか」と居直っています。 これを受け、すでにギリシャ国内では銀行業務が停止しており、ATMで引き出せる預金額も一日60ユーロに制限、さらに海外への送金も規制され、客で長蛇の列ができ混乱しています。 ◆注視される国民投票の行方 7月5日には、EUが求める緊縮財政策への賛否を問う国民投票が行われる予定ですが、国民がこの賛成案を拒否すれば、ギリシャのEU離脱という事態もありえます。 賛成票が勝った場合は、ギリシャへの融資が再開される可能性がありますが、否決された場合、公的債務の返済凍結、全面的な資本規制の開始、信用証書の発行増加という政策がとられることになり、国際的な信用失墜の危機を招くとも限りません。 デフォルトになった場合、国内の銀行で破たんも相次ぎ、年金や公務員給与の支払いができなくなるなどの恐れもあります。 さらには、経済規模の大きい欧州単一通貨であるユーロへの信用低下により、売り込まれる可能性があり、世界経済への影響も懸念されています。 ただ他方で、甘利経済再生相は、ギリシャの経済規模は小さく、影響を過大評価せずに冷静に対処すべきと発言しています。 ◆多すぎる公務員 ギリシャは過去30年にわたって積極財政路線で財政赤字が肥大化してきました。 歳出の大半が巨額な公共投資でしたが、必ずしも効率的ではなく、公的部門が民間よりも大きくなり、就業者数の4分の1が公務員と言われるまでになっています。 このことについてアテネ商工会議所の関係者は、「人口規模に比べて公的部門が大きすぎる。ギリシャの人口は約1100万人だが、110万人の公務員がいる。ちなみに人口規模がだいたい同じくらいのオーストリア(約830万人)は30万人だ」と指摘しています。 さらには、公務員の多さに加え、公務員の給与が民間よりも高いとも指摘されています。 自由を愛するギリシャの国の標語は「自由さもなくば死」だそうですが、公務員のストライキも頻発している昨今、「自由すぎる、そうすると死」ともいえる状況にさしかかっています。 努力して豊かになる自由ではなく、義務や努力からの自由、つまりは「怠け者の自由」を行使すると、国民の勤勉性が失われ、国力の衰退につながるのです。 ◆解決の方向性 こうした現状を踏まえると、大きくなりすぎた公的部門の民営化を進めていくべきでしょう。公務員が栄えて民間が衰退するのは国家経済の破滅を意味するからです。 ただし、EU側が提示する緊縮策を丸呑みできないギリシャの事情もわかります。ギリシャは観光が主要産業の一つです。 ギリシャ観光産業協会によると、観光業が昨年ホテルの予約などを通じて同国のGDPに直接貢献した額は全体の9%にあたる170億ユーロであり、かつ、店舗やレストラン、観光地などでの支出を通じて間接的にGDPに貢献した額は450億ユーロに上るといいます。 しかし、このホテル、レストランにも付加価値税(日本でいう消費税)を標準税率の23%に増税せよとEUの緊縮策では提言されています。 しかし、増税されれば国家としての稼ぎ頭である観光業がダメージをうけるのは必至であり、これに抵抗するのは当然と言えば当然です。 望むらくはギリシャの国民、特に公務員が、民間に下ってもっと勤勉になり、EUの金融支援に頼る「借金依存体質」を脱却せねばなりませんが、EU側も、数少ない主要産業の成長の芽を摘むような緊縮策を押し付けるべきではありません。 日本も、静観している、という大人な態度もいいですが、世界一の債権国なのですから、ピンチはチャンスとみて、EUとギリシャを仲介しつつ、大胆な金融支援でギリシャを救済し、EUへの影響力を増していくという考えがあってもよいのではないでしょうか。 いずれにせよ、大きな政府、高い税金の国は衰退し、小さな政府、安い税金の国は繁栄するということです。 幸福実現党は、日本の一国平和、繁栄主義ではなくして、世界の恒久平和と繁栄のために貢献するリーダー国家を目指してまいります。 時価総額バブル期超え――バブルとは言わせない本物の繁栄に向けて 2015.06.10 文/幸福実現党埼玉県本部幹事長代理 HS政経塾2期卒塾生 川辺賢一 ◆東証一部、時価総額バブル期超え 先月22日、東証一部の時価総額が591兆円に達し、バブル絶頂期(1989年12月)を上回り、25年ぶりに過去最高を記録しました。 こうした経済状況に対して、アベノミクスを評価する声もあれば、「官製相場」だと言ったり、「政治が無理やり作ったバブルだ」と言う声もあります。 では、私たちは一体、現在の経済状況をどのように分析し、どのような未来経済に向かうべきなのでしょうか。そこで本稿では経済金融の観点から、現在の分析と未来への提言を行います。 まず現在の相場を特別「官製相場」であるとする考えに対して、筆者は違和感を持ちます。 というのも、もし現在の相場が「官製」なら、「官製」でない相場を探す方が難しいからです。 例えば2003年4月末、厳格な不良債権処理に向けた小泉政権の方針発表を受け、当時バブル後最安値であった7603円台まで急落した相場も、デフレ容認的だった民主党政権期に8千円台~1万円台で低迷し続けた相場も「官製相場」に違いありません。 中央銀行を中心とした現代の銀行制度や統一的な財政制度を持つ近代的な主権国家を前提とするならば、良いか悪いかは別にして、政治の影響を受けない株式市場は存在しないのです。 そして一般に株価は景気の先行指標と言われますから、株は安いよりも高い方が良く、実体経済の回復のためにも株高は必要なのです。 ◆株高から「実感ある景気回復」へ しかし一方で現政権は実体経済の回復を潰すような、間違った政策も実行しております。 先月、名目賃金から物価上昇分を差し引いた実質賃金が24ヶ月ぶりにプラスに転じたと報道されましたが、24ヶ月も実質賃金が減少し続けたのは異常なことです。 それは昨年4月の消費税率の引上げで、賃金が上がらないのに一般物価が押し上げられたことが原因です。 また日本経済は米国等と比較して、株高が実体経済の回復に波及しづらいと言われます。 それなのに政府は昨年1月、NISA導入に伴って証券優遇税制を撤廃し、株高の実体経済への波及を阻害するばかりか、株高自体を阻害する手を打ってしまっているのです。 幸福実現党はかねてより消費税率5%への引戻しと証券売買に掛かる税金の撤廃を提唱し、株高から「実感ある景気回復」を後押しする経済をつくろうとしています。 ◆中央銀行改革――権力の正統性を問う さて冒頭では「政治の影響を受けない株式市場は存在しない」ということを述べました。 特に昨今の株高やドル高円安の為替相場が、日銀による2013年4月以降の「異次元緩和」や2014年末の「追加緩和」、また米連銀の「QE3終了」や「利上げ観測」によってもたらされているように、いかに中央銀行の権力が巨大であるかが伺えます。 円高が定着すれば、日本企業の海外移転比率が上昇し、円安が定着すれば、日本企業の国内回帰が促されるように、中央銀行の政策は為替への多大な影響を通じて、日本の産業構造をも変える力を持つのです。 しかし、こうした中央銀行の権力に関して、その正統性を問う議論はあまり見られません。 例えば日銀最大の株主は財務省であり、そのトップは財務大臣、そして財務大臣は総理大臣に任命され、総理大臣は国民に選出された国会議員により指名されます。 中央銀行においては時の政治や世論の動向に左右されない「独立性」が重要視されますが、その権力構造を冷静に分析する限り、「独立性」とは名ばかりで、一人一票を原則とした政治の原理と不可分であることがわかります。 「独立性」が担保されなければ、中央銀行は公共性や全体の景気動向を勘案するのではなく、マスコミ先導型の世論や政治の恣意的な判断に従って、例えば倒産寸前の金融機関につなぎ融資を提供したり、しなかったり、その判断を下すことになるのです。 それに対し、幸福実現党・大川隆法総裁は講演で「日銀は新たに出資を求めるべきだ」との提言を行っております。 日銀が民間から出資を募り、民間優位の資本構成になれば、これまでの世論による支配から、市場による支配へと、日銀の権力構造は根底から変わるのです。 現代の銀行制度の中心にあって一国の産業構造に多大な影響を与える中央銀行は、民間の金融機関や産業界の総意が反映される体制であるべきではないでしょうか。 東証一部、時価総額バブル期超えを迎えた今、株高を「実感ある景気回復」へ変え、バブルとは言わせない本物の繁栄を作っていく必要があります。 幸福実現党は新しい提案を通じて、日本と地球全ての平和と発展繁栄に全力で尽くします。 すべてを表示する « Previous 1 … 5 6 7 8 9 … 33 Next »