Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 環太平洋合同演習「リムパック」に中国海軍参加、問われる日本 2014.06.11 文/HS政経塾2期生 服部まさみ ◆環太平洋合同演習「リムパック」とは何か 中国海軍が今月下旬からハワイ沖で始まる、米海軍主催の環太平洋合同演習「リムパック」に初めて参加することになりました。 「リムパック」とは、アメリカ太平洋艦隊第三艦隊が主催し、2年に1度、ハワイ周辺で実施される多国籍訓練です。 1971年に初めて実施され、80年には、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス海軍に加えて日本の海上自衛隊が始めて参加しました。90年以降は、参加国が20カ国以上に増え、2012年にはロシア海軍も初参加しています。 このように、最近の「リムパック」は中国海軍を除いた太平洋周辺諸国と米国の同盟国が加わった大規模な海洋軍事演習が行なわれ、「中国封じ込め」戦略の一環のようでした。 しかし、ここにきて中国海軍が参加することになりました。この気になる動きを日本はどのように捉えるべきなのでしょうか? ◆中国が「リムパック」に参加表明した背景 今年、中国が「リムパック」に初めて参加することになった背景には、米軍最高指導者層内部にも親中派的立場の勢力が力を持ち始めていることが理由としてあるようです。 北村 淳(アメリカ海軍アドバイザー・政治社会学博士)氏によると、2012年のリムパック終了後、当時のパネッタ国防長官が訪中する際に、ロックリア太平洋軍司令官が中国海軍をリムパックに招待するようにパネッタ長官に進言したといいます。 そして、その進言どおり、2013年4月に中国政府が正式に中国海軍の参加を表明し、多くの海軍関係者を驚かせました。 北村氏は、米軍といえども中国に対する大戦略の部分で決して一枚岩とは言えない状況であることを指摘しています。 米国には、「中国封じ込め政策派」と「関与政策派」の二つの立場があります。 「関与政策派」とは、簡単に述べると、中国海軍が巨大化していく、脅威を抑え込むのではなく、米中双方で対話を進めてしっかりとしたルールを作って協力しましょうという立場です。 前述したロックリア太平洋軍司令官や、ジョセフ・ナイ教授がその立場で政策を提言しています。 そして、「関与政策派」の提言どおりに「中国側にアメリカが封じ込めを意図していないことを理解させる」一環として、リムパックに中国海軍を招待し、米中軍事対話を積極的に押し進めています。 今、米国軍上層部には、親中派ともいえる「関与政策派」的勢力が力を強めていると考えられているのです。 ◆日本は集団的自衛権行使容認で米国との信頼関係を強化せよ 中国は、何年も前から積極的に米国政府、連邦議会、軍関係者、シンクタンクや大学の研究者などアメリカの中枢部に強力なロビー活動を行なってきました。 そうした国家戦略で情報戦やロビー活動を仕掛け、自国に都合の良い政策をアメリカに採らせようと必死になっている中国と、長期戦略がない日本とでは、すでに大きな差が開いてしまっています。 日本が中国に対抗できるようなロビー活動や情報戦を展開することはもちろんのことですが、もう一段、安全保障に関する信頼関係を米国と築いていかなければなりません。 そのためにも、現在、議論が続いている集団的自衛権の行使容認を早急に行ない、憲法改正まで進めていく必要があります。 「アメリカは日本と中国どちらを選ぶの?」「アメリカは尖閣諸島を守ってくれるの?」「北朝鮮の核ミサイルに対して、アメリカは何をしてくれるの?」と日本は何もしないで、アメリカの言動だけを頼りにし、国の行く末を決めてもらう。そんな状態をいつまで続けるのでしょうか? 日本が自分の国は自分で守るという確固とした姿勢をしっかりと示すことで、本当の意味での同盟国の信頼、国際的信用が得られるのではないでしょうか。 自分の国を守り抜く防衛能力を保つためには、それに見合った国防予算の見直しが必要不可欠です。 感情的な平和論や、政権の維持、選挙に勝つことだけを考えた意見に振り回されず、この国の平和と繁栄を築いていくために「今、本当に何が必要なのか」という問いに、国民ひとりひとりが真剣に向き合うべきときなのではないでしょうか。 幸福実現党はこの国と未来を守るために国防強化を訴え続けます。 【後編】「集団的自衛権」行使容認が必要な理由 2014.06.06 文/茨城県本部副代表 中村幸樹 『抑止が破れた場合の対処とその影響』の観点 ◆「集団的自衛権」に関連する4つのシミュレーション 『抑止力』は、完全に100%働くとは言いきれない面があります。 なぜなら、例えば中国がベトナムやフィリピンに侵略する場合、対処する側(ベトナム、フィリピン、アメリカ、日本等)に、撃退する「能力」と「意思」があっても、侵略を意志決定する中国指導者側の、情報不足、分析や判断のミス、自己保身、性格上の欠陥等により、「認知」が正しく行われないことがあるからです。 では、抑止が破れた場合、即ち、中国が、ベトナムやフィリピンと戦争状態になった場合、その後どのような展開になるのか、対処とその影響を含め、「集団的自衛権」との関連で、4通りのシミュレーションを考察してみます。 (1)日本が「集団的自衛権」を行使できる場合で、米軍が介入するシナリオ 米軍が介入した場合、兵器性能の圧倒的な差で、中国軍は撃退され、中国の侵略は頓挫します。日本の自衛隊は、米軍に積極的に協力し、日米関係はより緊密になり、日米同盟は強化されます。 その後の日本や他のアジア諸国への帝国主義的侵略にも、『抑止力』が強く働くようになります。国民の生命、安全、財産が護られ、投資基盤が安定することで、経済的発展にもつながります。 ASEAN諸国はもちろん、中東、アフリカなど、世界中で中国の横暴を嫌悪していた国々の、日本への信頼感は増し、正義の国家、徳あるリーダーとして、良き影響力を発揮できるようになります。 (2)日本が「集団的自衛権」を行使できる場合で、米軍が介入しないシナリオ 日本は、国際正義実現のために、米国に対し介入を説得し続けなければなりません。ベトナムとフィリピンは、戦力的に中国には勝てず、見過ごすままでは、ASEAN諸国は、次々と中国の手に堕ちていくからです。 日本は、米国の核抑止力(核の傘)が有効であると判断できる範囲で、多くの国々との連携も密にすべきです。通常戦力で日本が介入すれば、米国も介入せざるをえなくなります。さすれば、事態は収拾できます。 米国の核抑止力が有効でないと判断される場合は、早急に日本独自で核抑止力を持たねばなりません。(この核抑止力も含めた「自主防衛力」の考え方に関しては、別途、詳しく説明させていただきます。) 日本が愛と正義の立場を貫き、智慧でもって世界をリードしていく中に、世界の未来はあるのです。 (3)日本が「集団的自衛権」を行使できない場合で、米軍が介入するシナリオ ベトナム、フィリピンは救われ、アメリカは称賛されますが、日本に対するASEANのリーダーとしての信頼感は大きく失われます。 米国の国民が激昂するようなことになった場合は、「日米同盟」を破棄される原因にもなりえます。 かつて日本は「日英同盟」を結んでいましたが、第一次世界大戦での協力が不十分だったことが破棄の原因になり、それ以降、アメリカの排日政策は激化し、日米開戦につながっていったことを教訓にするべきです。 「日米同盟」が解消された場合には、核抑止力を持たない日本は、中国に飲み込まれ、チベットやウイグルのように、日本国は消滅し、日本国民の自由、人権、幸福は失われます。 核兵器の脅しと使用に対しては、米軍なくしては抑止が効かず、降伏するしかないからです。 そうならない場合でも、中国の覇権を嫌う米国が日本を再占領するか、日本を戦場として米中が戦うか、米中ソで日本を分けるか、といったシナリオになります。 (4)日本が「集団的自衛権」を行使できない場合で、米軍が介入しないシナリオ アメリカの「神の正義、世界正義」の信頼は失われます。 アメリカが途中で回心しない限り、ベトナム、フィリピンはもちろん、アジア諸国から世界全体に至るまで、次々と中国の傘下に入っていき、粛清、強制収容所、侵略主義的覇権主義が世界にはびこることになります。 日本はシーレーンを中国に押さえられ、石油や各種資源の確保は、中国の支配下に置かれ、経済的に搾取される中、アメリカからは、弱って頼りにならない日本は見捨てよう、ということになり、日本国は消滅、中国の圧政下に置かれます。 ◆「集団的自衛権」行使容認が、日本と世界の生き筋 結局、日本は、「帝国主義的侵略を目差している無神論・唯物論の国家に対しては、毅然として対処すべし」ということです。 「集団的自衛権」を行使可能とすることが、不当な侵略主義を許さず(勝つべくして勝つ)、様々な攻撃や謀略への適切な対処を可能とし(不敗の地に立つ)、日本が「平和と正義の守護神」として「世界の恒久平和のために尽くす」リーダー国家になる(勢いに乗じる)道を開きます。 この「積極的平和」の道が、日本の生き筋であり、世界の生き筋だということです。 【前篇】「集団的自衛権」行使容認が必要な理由 2014.06.05 文/茨城県本部副代表 中村幸樹 『抑止力』の観点 ◆戦争と善悪の智慧 現在の日本にとって、安全保障上、最も脅威となっている国は中国です。 まず前提として、自国民にさえ信教や言論の自由を許さず、人権蹂躙、弾圧を繰り広げる中国が他国をも不幸に陥れる侵略戦争は悪であり、その横暴を防ぎ、人々の幸福を護ることは善であることを押さえたいと思います。 「侵略戦争に対する防衛の戦いも悪」であれば、「善悪を判断する智慧がない」「神仏の心がわからない」ということであり、悪への屈従や隷属、奴隷の平和になりかねないものです。 ◆具体的シミュレーションによる「集団的自衛権」の考察 パラセル諸島やスプラトリー諸島に、威嚇、強制、実力行使を重ねる中国は、ベトナム、フィリピンに、本格的な侵略戦争を起こす可能性も考えられます。 この情勢を例にとって、なぜ、「集団的自衛権」の行使容認が必要なのかを説明いたします。 第一に『抑止力』の観点から、第二に『抑止が破れた場合の対処とその影響』の観点から、確認していきます。 『抑止力』とは、「達成が困難、又は許容できない代償(結果への恐怖)を予見させ、侵略を思い止まらせる力」です。 『抑止力』は、三つの要因、即ち、①「能力」、②その能力を行使する「意思」、③その能力と意思が相手に伝わり「認知」されること、で達成が可能となります。 ◆日本が「集団的自衛権」を行使できる場合の『抑止力』 日本は、アメリカに対して、「ベトナムやフィリピンへの安全保障の使命と責任を果たして下さい。日本もアメリカと共にその正義の使命を遂行します。」と、アメリカの「意思」に対して、強い影響を与えることができるようになります。 中国は、アメリカの介入の「意思」を高く見積もり、日本の介入の「意思」も、「認知」せざるをえなくなります。 中国軍は、現時点では、米軍に対して、通常戦力も核戦力も全く歯が立たず、対自衛隊でも、通常戦力だけでは勝てません。量は多くとも、兵器と訓練の質が劣るからです。この「能力」差は、中国軍はかなり「認知」しています。 中国は、米軍と自衛隊の介入を想定することで、侵略意欲が大きく削がれることになります。 「集団的自衛権」の行使容認は、『抑止力』を格段に増大させ、中国の侵略を未然に防ぐ大きな力になるということです。 ◆日本が「集団的自衛権」を行使できない場合の『抑止力』 世界の警察官から引きつつあるアメリカに対して、「日本は協力しないが、アメリカは他国への国際責任を果たしてほしい」では、説得力がありません。 日本の「集団的自衛権」行使不可は、アメリカの正義の介入「意思」を弱める方向に働きます。 中国は、日本の「能力」と「意思」は無視していいことになり、アメリカの介入「意思」が弱まる方向に、三戦(世論戦、心理戦、法律戦)を駆使し、機を見て侵略することを狙います。 「優位戦」とは、こちらが主導権を握って“戦場”を選び、攻めることも守ることも自在、戦いの手段、ルールから、勝利や敗北の定義まで決められる立場から仕掛ける戦いで、「劣後戦」はそれらのイニシアティブがない立場からの戦いを言います。 中国が「優位戦」をしやすく、日本と米国が「劣位戦」に陥りやすいため、『抑止力』が弱まる選択が、「集団的自衛権」行使不可です。 逆に、日本と米国が「優位戦」を展開しやすいため、中国が「劣後戦」に甘んじやすく、『抑止力』が強く働く選択が、「集団的自衛権」行使容認なのです。 次回は、『抑止が破れた場合の対処とその影響』の観点から述べてみたいと思います。 対ロシア外交に必要な、対外発信と日本国内の理解 2014.06.04 文責/HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆安倍首相の対中国発言 シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で安倍首相が「アジアと世界の平和を確かなものとするため、これまでにも増した積極的な役割を果たす」と発言、またアメリカのヘーゲル国防長官も中国を念頭に「米国は見て見ぬふりをしない」と明言するなど、中国に対して包囲網の形成が進みつつあります。 オバマ政権に対しては、アジアへのリバランスの本気度を懸念する声がありますが、この会議の成果はおおむね評価されているようです。 ◆日本とロシアの連携 日本としては、対中包囲網形成の際にロシアとの関係をいかに有効に保つかということは非常に重要であると考えられます。 しかし、特に現在はウクライナ問題もあり、日ロ友好推進をアメリカは快くは思わない状況にあります。また、日本国内においてもロシアとの連携強化が訴えられるのは極めて稀です しかし、情報筋によると「ここ数週、ロシアと中国との間の大規模な武器売却の話題が、にわかに注目を集めている」とのことで、ロシアの軍事技術が中国に流れることは非常に由々しき事態であるといえます。 中国にとって、ロシアの軍事技術はとても獲得したいものでしょう。 結局、孤立を深めた両国が接近しているわけですが、日本としては、この両国があまりに深く結びつくことは、日本のみならず国際社会にとって非常に憂慮すべき事態であることを訴え続ける必要があるでしょう。 ◆日本の対ロシア戦略 幾分トーンダウンしたとはいえ、アメリカの言論はロシアに対して厳しい意見であることは変わりありません。 できれば日本がアメリカとロシアの仲介にたち、両者の対話が実現するよう、G8の枠組みを利用するなど(G8の維持も含め)努力すべきではないでしょうか。 相互不信の中で状況がエスカレートすることが懸念されます。ただ、ロシアと中国は決して蜜月関係にあるわけではありません。 プーチン大統領の本音は日本との関係強化を望んでいるはずです。 「我々は話し合う準備が整っている。日本の用意ができているかどうかはまだ分からない」とプーチン大統領が5月24日発言したかと思えば、またプーチン大統領の側近であるロシアの下院議長が来日し、「北方領土問題を巡って日本側と協議する可能性を示唆」したと報じられています。 (テレビ朝日http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000028093.html) ロシアは今経済が非常に厳しく、ロシアの産業強化には日本の力が必要なのです。 日本にとっても、中ロ接近を防ぎたいということもありますし、ロシアからパイプラインを敷設するなどし、安い値段で天然ガスを輸入することができればとても大きなことであります。 ◆ロシアとの平和条約締結と対中抑止力 さて、ではロシアとの平和条約締結に必要な北方領土問題について、返還は4島同時になるのかというと、それは分かりません。 ロシアのプーチン大統領がいかなる提案をしてくるか予断を許しませんし、今政府はどのラインで妥協できるのかを探っているのかもしれません。 しかし、私は日本国内のロシアに対する理解度が不足しているのではないかと感じます。政府は、日本国民のロシアへの理解を高めるための発信を増やすことが必要です。 またロシアとの友好関係の重要性を政府がしっかりと国民に訴えておかなければ、北方領土問題の解決にあたる交渉において、両国が同意に至ることができないことを懸念します。 対外的に対ロシア関係の重要性を訴えるのと同時に、日本国内においても同様の努力を重ねておくことが、ロシアとの平和条約締結と対中抑止力の向上にとって非常に重要なことであると思います。 天安門事件から25年――記憶を風化させてはならない 2014.06.03 文/HS政経塾1期生 兵庫県本部副代表 湊 侑子 ◆6月4日を迎えるにあたって 香港での動き 1989年6月4日に北京市の天安門広場にて、数千人から1万人の学生や市民が無差別に殺されました。世界に衝撃を与えてから、今年で25年目を迎えます。 香港では、6月1日に3000人が中国当局に事件の責任追及と民主化、またノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏らの解放を訴えてデモを行いました。 この中には、地元高校生の民主派グループで、中国共産党の押付ける共産党礼賛教育に反対する活動を行う「学民思潮(Scholarism)」から約100名参加し、地元メディアの注目を集めています。 ◆世界初、常設の天安門記念館の果たす役割 天安門事件が25年経ち、人々の記憶から風化して忘れ去られることを恐れ、香港の繁華街の一角のビルのワンフロアに「六四紀念館」がオープンしています。 有志が寄付を集め、今年4月に開館。常設ということでは、世界初となります。 記念館のスタッフに聞いたところ、毎日数百人が記念館に訪れているそうです。香港人だけでなく中国人や日本人観光客に来てもらい、天安門事件のことを知ってもらうことも開設した目的の一つです。 実際にこの博物館を訪れた中国人の中には広東省からきた大学生で事件を大学内の小グループでひそかに研究しているような人も存在しています。(2014.6.1 産経「香港に常設記念館 中国本土から大学生」) 記念館でも天安門事件の映像や資料をDVDやUSBにまとめて頒布しています。これらを通じて中国内に真実を広めることができるでしょう。 私たちが訪問したときには中国人はいませんでしたが、高校生と引率の先生たちが授業の一環として博物館を訪れていました。 先生に来館の目的を尋ねると、「生徒たちに真実を知ってもらいたいため、ここに彼らを連れてきた」と語りました。 生徒たちは「あなたたちと同じ年齢の多くの学生たちは当時、民主のために死にました。しかし、その理想はいまだに実現していません。私たちはそのために、何かができるかを考えましょう」と語るスタッフの説明を熱心に聞き、展示物を見て回っていました。 広島や長崎、沖縄に修学旅行で生徒たちを連れて行き、「日本は悪いことをしたんだ」と自虐史観を植え込むくらいであれば、日本の修学旅行生も香港の天安門博物館に行って、世界の真実に目を向けてもらいたいと思います。 そこには、自由と民主主義を求める学生たちの、心からの叫びが今もまだ存在しているのです。 参考:THE FACT(ザ・ファクト)第10回 「天安門事件25年~中国最大のタブー”大虐殺”の真相~」 http://www.youtube.com/user/theFACTtvChannel ◆中国の香港化をおしすすめよう 香港には今、自由があり繁栄がありますが、これらは香港返還時に制定された香港基本法の第5条に、「香港特別行政区は社会主義の制度と政策を実施せず、従来の資本主義制度と生活様式を保持」すること、この状況を「50年間変えない」ことが制定されており、これらが守られるかどうかを、世界が注目しています。 中国共産党は、なんとか香港の自由や民主主義を奪いたいと考えています。ある意味では、彼らは自由や民主主義が持つ価値を、一番よく知っているのでしょう。 香港の民主化の先頭に立って戦って来られた元政党党首のマーティン・リー氏は、中国共産党と香港民主化との争いに関して、「どんな独裁者も続かないというのは歴史の教訓です。人々の力が必ず勝つと信じます。」とおっしゃっていました。 天安門事件から25年の2014年、今年は今までで行われたデモの中で、もっとも盛り上がるのではないかと言われています。人間の善なる力が悪に屈し続けることはありえません。 日本からも、香港の民主化を守るため、そして中国の民主化を進めるための声を上げ続けていきたいと思います。 ロシアよ、ともに中国包囲網を築こう 2014.06.02 文/HS政経塾 第3期生 兼 幸福実現党新潟県本部副代表 横井基至 ◆今が日本の外交の山場 ロシアがクリミア半島を編入したことに対し、日本と欧米諸国からロシアへの圧力が続いています。 ロシア国内ではプーチン大統領の支持率は依然高く、4月の調査時点では、82%を記録しており、現在も高い支持率を維持しているようです。 しかし欧米諸国また日本の報道の多くはロシア・プーチン大統領に対する警戒心を緩めるべきではないとして、対露圧力路線を強調しています。 4日と5日に行われる先進7カ国(G7)首脳会議においても対露圧力への「結束力」が焦点になるとみられています。 北方領土返還という日露間の問題や、尖閣諸島周辺で挑発行為を繰り返す中国に対する国防上の問題がある中で、世界から孤立したロシアと、ロシアに同調する中国との距離が近くなることは何としても避けなければなりません。 日本としては自身の首を絞めないよう、非常に難しい外交を行わなければいけません。 ◆足並みをそろえることだけが外交ではない また、このG7の場では、エネルギーの「脱ロシア依存」を再確認し共同声明に盛り込むものと見られています。 欧州各国がエネルギーをロシアに依存している実情を踏まえ、圧力に対する足並みの乱れを矯正するねらいがあると見られますが、欧州諸国のロシアに対する天然ガスの依存度は大変高いうえに、欧州では経済が減速している国が多いことから、「脱ロシア依存」の圧力がかえって各国自らの首を絞める可能性があります。 この中で、G7各国が先進国としてどれだけ具体的な方針を打ち出し、世界経済への貢献を打ち出せるかが見せ場となります。 先にも述べたように、日本はロシアとの関係改善が急務なことと、サハリンでの天然ガスの共同開発や、日本へのパイプラインプロジェクトがすでに事業化されており、ロシアからエネルギー輸入を拡大しようとする日本の国家戦略との間で齟齬が生じます。 よって、安倍首相はトーンダウンせざるをえません。 ◆日本は自信をもってロシア制裁を解除せよ 日本が正々堂々の外交をするためには、今一度、ロシアのクリミア編入に対する日本の立場を明確にする必要があります。 ウクライナ問題は、親露派のヤヌコビッチ大統領がEUとの調印を取りやめたことで、親欧米派の住民が暴徒化したことが発端です。 無政府状態となった国内ではロシア系住民への暴力が横行していたため、プーチン大統領はロシア系住民の保護のため軍隊を派遣しクリミヤ半島を制圧し、その後住民投票で97%の賛成票が投じられ、ロシアに編入しました。 この背景には、米国の国防費の削減による欧州からの撤退が大きくかかわっているとの見方もあります。 もしウクライナがEU入りをしたら、次に起こることはNATO(北大西洋条約機構)への加盟です。 NATOはアメリカを中心とした、ロシアに対する軍事的包囲網であり、ウクライナがNATOに加盟するということは、ロシアにとって軍事的脅威が迫ることであり、クリミヤ半島にあるロシア黒海艦隊の基地を守る必要も生じるのです。 ウクライナはいわば、アメリカ・NATOとロシアとの軍事的な緩衝地帯だったのです。この均衡を破ったのは、アメリカの財政難による米軍の撤退を目前にしたNATOの勢力拡大であり、アメリカが直接米軍基地を置くことができなくなったので、米軍の代わりにNATOの力を使いロシアを牽制しようとしたと考えられます。 ただでさえ財政的に厳しいEUが、赤字国のウクライナをEUに加盟させようとしたのは、NATO東欧拡大のシナリオの一つで、これに対抗したロシアはクリミアを編入し、防衛ラインを築き、昔の同朋であるロシア系住民の安全を守ったのです。 よって今回のロシアの行動は、領土拡張欲で行った軍事侵攻ではなく、「防衛」のための武力の行使だったのです。 これは、アジア諸国を欧米列強の植民地体制から解放し、防衛のため大東亜戦争に突入した日本と同じ状況といえます。 今のロシアの状況を一番理解してあげられるのは日本のはずです。日本は直ちにロシアへの制裁を解除すべきです。 ◆世界が求めるもう一段上の価値観外交を日本が示せ 現在の報道では真実が見えにくいのが現状ではあります。大勢だから正しく、大勢に協調することをもって正義とは言いません。 しかし今回の件で、欧米諸国を非難することも得策ではありません。 現に、2万1千人の在日米軍は、日本と東アジアの平和を守ってくださっています。 今世界の外交力を駆使して対処しなければいけないのは、中国の軍事拡大と北朝鮮の暴走、そしてそれらの国内で行われている人権の蹂躙です。 よって中国が示すロシアへの同調と、日本が示す理解とは全く意味の違う話であり、中国が行っているのは領土拡張欲による侵略行為です。 戦後レジームからの脱却は日本一国のみではなく、全世界同時に行わなければ意味がありません。 だからこそ「真実」の価値を知る日本が主導し、全世界をもう一段上の価値観へと導いてゆかねばなりません。 これが日本の使命であると強く信じるものです。 里山資本主義から日本の使命を考える 2014.06.01 文/幸福実現党岐阜県本部 政調会長 加納有輝彦 ◆待ったなしの人口問題 先月8日、民間研究機関が2040年までに全国の1742の市町村のうち約半数にあたる896の自治体で、20~39歳の女性が半減し、このままでは人口減少が止まらず行政機能の維持が困難になると発表しました。 若年女性が半減した自治体は、介護保険や医療保険などの社会保障の維持が困難で、雇用も確保しづらい「消滅可能性都市」になると指摘。896のうち人口が1万人を切る523は消滅の可能性が高いとセンセーショナルな報道がなされました。(朝日5/8) 幸福実現党釈量子党首も月刊ザ・リバティー7月号誌上にて「新しい『日本人創り』で『自由の大国』を目指せ」と、人口問題を取り上げました。(「釈量子の獅子奮迅(p94~95)」現在全国書店にて発売中) またブログでも釈党首は、真正面から人口問題に取り組む決意を自ら吐露しています。 「人口問題に踏み込まない政治は、無責任の誹りをまぬがれません。しかし、この日本の危機は、生みの苦しみであり、日本に新しい出発を促していると思えてなりません。」 (釈量子オフィシャルウェブサイトhttp://shaku-ryoko.net/youth/3667/) 今回は、地方の「限界集落」等の問題に関して、現在注目されている考え方「里山資本主義」を考察し、幸福実現党の「政治思想」との接点、あるいは相違点等を踏まえながら問題解決の道筋を探りたいと思います。 ◆里山資本主義とは 「里山資本主義」は、NHKドキュメンタリーシリーズとして2012年から2013年にかけて中国地方5県限定で放映され、2013年には同名で書籍化された新書が、新書大賞2014第一位を獲得するなど世間の耳目を集めています (里山の力http://www.nhk.or.jp/eco-channel/jp/satoyama/interview/motani01.html) 里山資本主義は、マネー資本主義のアンチテーゼとして生まれた思想です。 マネー資本主義とは、2009年NHKスペシャルで5回シリーズで放映。ウォール街で金融工学を駆使してモンスターの如く暴走しバブルとバブル崩壊を引き起こした一連の経済活動原理を指します。 里山資本主義の実例として、岡山県真庭市のある製材所が番組で紹介されました。製材の過程で発生する木くずを利用して「バイオマス発電」を行い、工場で利用する電気のほぼ100%を賄い、電力会社からは一切電力を買わず、年間一億円の電気代を浮かせているといいます。 瀕死にまでおいこまれていた真庭市が、バイオマスの町として生まれ変わったといいます。真庭で広がった木のエネルギーの活用は、いま各地に広がりつつあります。 高知県は知事自ら積極的に動き、不振にあえぐ林業の立て直しのため、真庭モデルの導入を決めました。 このように里山では、水も燃料も食糧も必ずしもお金を必要としない。マネーに依存しないサブシステム、これが里山資本主義の極意であるといいます。 これらの自立したサブシステムは雇用も生んでいます。里山の新しいライフスタイルに魅力を感じ、リタイアした年金生活者、そして若者のIターン、Uターンが増えている事例もあるといいます。 地元に存在する資源を活用し限界集落を再生するという里山資本主義の考え方を紹介いたしました。 ◆里山資本主義の注意点 この考えを主導する藻谷浩介氏(日本総研調査部主任研究員)は、人口減少問題、エネルギー、食糧が自給できない等の問題も、スマートシティーのような最先端技術と里山資本主義の両輪が解決していくのではないかと語ります。 世界と戦う戦士、日本を背負う精鋭は「優秀な勇者」でなければならないが、その一方で地域のつながりに汗を流す人、山を守る人もいなければならない、多様であることこそ豊かさなのだと非常にバランスのとれた考えを述べておられます。 往々にしてバイオマス発電等の限定的な成功事例を取り上げ、だから原発は必要ない(脱原発)というような小さい事例で、大きなシステムそのものを否定してしまうという荒っぽい論理が見られがちですが、藻谷氏の言説には、バランス感覚を感じます。 ただ、里山資本主義を実践して成功している小国オーストリアが、憲法に「脱原発」を明記しているように、この思想の性質上、成長の否定、原発の否定へ流れる可能性は高いと感じます。これは注意しておく必要があると感じます。 ◆人口問題へ新たな光を 幸福実現党は、日本人一人一人の個性、多様性、自由を最大限保障する自由の大国の建設を目指しています。そして一人一人がその人固有の社会的使命を持って生まれてきている事を信じます。 ゆえに、人間存在を単に生活者とだけは見ておりません。日本国を単に生活者の集合体とだけは見ておりません。 幸福実現党大川隆法総裁は、日本をこう定義付けておられます。 「日本は今後、いかなる国であれ、不当な侵略主義により、他国を侵略・植民地化させないための平和と正義の守護神となることをここに誓う。」 (「大川談話」http://special.hr-party.jp/policy2013/okawa-danwa/) 平和と正義の守護神の一構成員としての日本人の自覚を持つ時、他国の悲劇を見ず、里山で生活をエンジョイすること(これ自体は素晴らしいことです)のみを持って、己の使命が果たせるのか否か、これは各人の良心に照らすべきことでありますが、もっと大きな使命を我々日本人は持っていると信じます。 その観点から、人口問題に新しい光をあてようとする釈量子党首の月刊ザ・リバティー7月号「新しい『日本人創り』で『自由の大国』を目指せ」をご一読頂ければ幸いです。 マナーばかりの集団的自衛権の議論~決断できる日本へ 2014.05.29 文/HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ 集団的自衛権について本格的な議論が27日から29日の3日間行われました。 これまでの経緯を整理して、今後の方向性を考えたいと思います。 ◆27日:安全保障法制整備に関する与党協議会 自民党と公明党の間で「安全保障法制整備に関する与党協議会」が開催され、政府は15事例と1参考事例を示しました。 示された事例は、大きく3つのカテゴリーに分かれます。 ・武力攻撃に至らない侵害への対処(3事例)←グレーゾーン事態に関わる事例 ・国連PKOを含む国際協力等(4事例) ・「武力の行使」に当たり得る活動(8事例)←集団的自衛権に関わる事例 与党会議の目的は、公明党側の理解を得て、6月22日の通常国会終了までに、集団的自衛権行使に関わる憲法解釈の見直しを含めた方向性を閣議決定することです。 そして、秋の臨時国会と来年の通常国会で、グレーゾーンに関わる事例と集団的自衛権の行使につながる法改正の準備を整えていきたいという希望が、政府にはあります。 今回の与党協議会では、公明党側の質問攻めで、15事例あるうちの1事例に時間が集中し(「離島等」の定義について)、議論が大きく進んだとはいえません。 次回の協議は、6月3日に行われ、集団的自衛権に関わる8事例の説明をすることになっていますが、与党協議は、今のところ週1回でおこなわれており、通常国会までの開催はあと3回で、公明党の慎重さにやきもきする状況が続きそうです。 ◆28日:衆院予算委員会での国会答弁 衆院予算委員会で、集団的自衛権の集中審議がおこなわれました。 邦人を輸送している米艦を防護は、現行の憲法解釈では行えず、集団的自衛権の行使が必要であるという立場を示しました。 邦人が乗船していない場合にも米艦が集団的自衛権の対象になるとして、「日本人の乗船の有無を前提に、(米軍と共同の)非難計画を立てるのは現実的ではない」(5/29毎日1面)と理由を挙げています。 ◆29日:参院防衛外交委員会での集中審議 安倍首相は、審議の中で、米国を攻撃した国に、武器を提供した船舶への臨検や、日本のシーレーンを守るためにも機雷除去を、集団的自衛権に基づいて対処する必要があること、年末の日米防衛協力のガイドライン改定に間に合うように、集団的自衛権の行使容認の議論が与党内で合意を目指す意向を示しました。 ◆本当に日本の防衛のことを考えての議論なのか? 「集団的自衛権の適用が拡大している」、「日本は戦争に巻き込まれる」といった理屈で、集団的自衛権の行使をするべきではないという批判があります。 しかし、ここ最近、東シナ海と南シナ海で起こっているトラブルと、集団的自衛権の議論が必ずしもリンクしておらず、本当に日本の防衛のことを考えての議論なのか疑問に感じます。 ・4月28日:フィリピンは、なぜわざわざ、アメリカと軍事協定に署名し、一度追い出した米軍に再び戻ってきてもらうことにしたのでしょうか? ・5月24日:日本の防空識別圏と中国が一方的に設定した防空識別圏の間で、中国軍機による自衛隊機への異常接近がありました。 ・5月26日:ベトナム漁船1隻が中国海南省東方市所属の漁船と衝突して沈没した事故がありました。ベトナムの抗議を聞かず、中国側は西沙諸島で石油の採掘を進めています。 この1ヶ月を振り返ってみても、日本は、もはや自国の安全のみならず、アジアにおけるリーダーシップを取るのか、取らないのかという判断を迫られています。 ◆アメリカを戦略的に出し抜く中国 こうした一連の中国の動きを、フィナンシャル・タイムズ紙では「China is stealing a strategic march on Washington(アメリカを戦略的に出し抜く中国)」と題した記事が出ており(2014/05/29 Financial Times Page.9)、シリア問題でもアメリカの毅然としない判断を読み込んで、東アジアで、紛争をいくつか演出することで、アメリカをアジアから手を引かせる戦略をとっているのではないかという主旨の分析をしています。 日本国内の集団的自衛権の議論は、国家防衛のマターの議論ではなく、マナーの議論に終始していますが、海外情勢を十分に勘案して、「日本人の生命・安全・財産」と「アジアの平和」のために、日本が何をなすべきかを決断するべき時がきています。 ―――――――― ◇お知らせ:You Tubeチャンネル「HS政経塾オピニオン」について HS政経塾生の研究をいかして、踏み込んだ視点でニュースの裏の裏を解説します。 HS政経塾オピニオンはこちら →https://www.youtube.com/user/HSSeikeijukuOpinion 中国に「国連安保理常任理事国」の資格はあるのか 2014.05.25 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆世界中から批判を浴びる中国の覇権主義 幸福実現党は、立党以来一貫して、中国の軍事的な拡張に対して警鐘を鳴らし続けて参りました。 立党直後の総選挙では逆に、親中を掲げる民主党が圧倒的な支持を得ていましたが、2014年の現在、習近平体制に入り、中国の本心が明らかになるにつれ、私たちの訴えにご理解をいただくようになりました。 そして、日本だけでなく、中国はその周辺各国とも問題を引き起こし、非難を浴びています。最近報道されているところだけでも以下のとおりです。 (1)南沙諸島のフィリピン海域であるジョンソン南礁において、中国が突如周辺の埋め立てを始めた。 (2)ベトナム海域において、中国海洋石油が、大規模な掘削作業を開始。多くのベトナム市民が激昂し、ベトナム国内の中国系企業を襲撃。 (3)台湾では中国との「両岸サービス貿易協定」が実質的に中国の台湾支配へつながると主張した学生たちが国会を占拠し、その白紙撤回を求める。 (4)スペイン裁判所は、チベット虐殺の容疑で江沢民前国家主席らに対して逮捕状を出した。 これ以外にも、中国の覇権主義に対して、明確な批判が続々と行なわれています。 ◆集団的自衛権の容認は当然の事 安倍総理は、去る5月15日に記者会見を行い、集団的自衛権の容認を進めることを国民に対して発表しました。 これは戦後一貫して、東アジアの平和を維持してきた日米同盟をより一層深化させるものです。そして、アジア太平洋地域における中国の軍事的脅威が高まっている中、平和を守るために必要な判断であります。 最近のオバマ大統領の判断を見る限りアメリカは、「世界の警察官」としての役割を放棄し、東アジアからも徐々に撤退の方向が見える中、日本としてはどうしても日米同盟の絆を強める必要があります。 現在、日中間での問題となっている尖閣諸島についても、米国側からは「日米同盟の適用範囲」との明言がある以上、日本としても、相互の信頼感を深めていくことが必要です。 今回の安倍総理の判断は東アジアの平和のためには、当然のことであります。 ◆国連憲章に掲げる「正義」とは? さて現在、世界から大いに警戒され始めている中国は、国連の「安全保障理事会常任理事国」の地位を占めています。国連は、第2次大戦終結前後に設立された機関であり、その精神は「国連憲章」によって明らかにされています。その目的については、以下のように掲げられています。 第1章第1条 「国際の平和及び安全を維持すること。(中略)平和を破壊するに至るおそれのある国際的の紛争を平和的手段によってかつ、正義及び国際法の原則に従って実現すること」 第1章第3条 「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない」 「国際連合」(United Nations)とは元々は第2次大戦の戦勝国による組織であり、依然として日本やドイツを敵国として定義しているものの、少なくとも現時点において、国際的な平和を維持することがその目的であることは間違いありません。 しかし、冒頭に掲げたように、数々の「平和を破壊するに至るおそれのある国際的な紛争」を引き起こしている中国という国家は、国連憲章の精神に全く反した行為を行なっています。これをこのまま容認してよいのでしょうか。 国連憲章に掲げている「正義」とは、一体どのようなものなのでしょうか。現時点において、中国に対してほとんど批判が聞かれないのは、なぜなのでしょうか。疑問が残ります。 ◆日本は多額な国連分担金を支払う必要はあるのか 残念ながら、我が日本も中国と「紛争」の可能性が出ております。しかも、その原因は中国側の覇権主義によって一方的に作られたものです。 中国は、国連加盟国の中でも「安保理常任理事国」として、最も中枢の立場に位置しています。国連とは、国際的な平和を希求し、その実現のために活動する機関である以上、尖閣諸島付近や、フィリピン、ベトナムの海域で中国が行っている「平和を破壊する活動」は、許されるものではありません。 本来ならば、これらの暴挙に対して、明確に国連内部で自浄作用を働かせなければなりません。 日本としても、国連の理想を是としているが故に、アメリカに次ぐ第2位の「国連分担金」約300億円を毎年支払い続けているのです。このまま、国連が中国の覇権主義を止められないのであれば、日本はその理由をはっきりと伝えつつ、分担金の支払いを中止してもよいのではないでしょうか。 ◆中国は、国連常任理事国の資格なし 国連憲章の掲げる理想と180度異なる中国の覇権主義は、国際社会が連携して食い止めなければなりません。そのためには、まず中国に対して、明確に自分たちが行っていることは間違っている、とメッセージを発さなければなりません。その一番分かりやすい手段が「国連安保理常任理事国の資格剥奪」です。 なぜ、中国が常任理事国となっているのでしょうか。それは第2次大戦において、アメリカの同盟国であったために当時の中華民国が「戦勝国」とされ、現在の中華人民共和国が、1971年にその資格を引き継いだ形になっているからです。 しかし、すでに戦後70年近い歳月が経とうとしており、ソ連が崩壊し、国際的な環境も大きな変化を遂げました。そして、中国自身が国際的な紛争の原因となる時代がやってきました。 そして、中国という国家は、基本的な人権が完全に保障されているわけではなく、共産主義社会を標榜する言論、思想信条の自由のない社会でもあります。そして、その勢力を今、日本にまで拡大しようとしているのです。 日本としても、自国の国防のさらなる強化を図るとともに、中国に対しては明確に「その行為は間違っている」とメッセージを発しつづける必要があります。幸福実現党は、そのためにも今後ともさらなる活動を展開してまいります。 集団的自衛権とは何か【後編】 2014.05.24 文/岐阜県本部副代表 河田成治 昨日に続き、集団的自衛権について、検討を加えてみたいと思います。 【国際的な集団的自衛権の経緯】 昨日は、日本だけが集団的自衛権をことさら難しくしていると述べました。 では、国際的な集団的自衛権の経緯はどうなっているのかを見てみましょう。 ◆国連憲章の中の集団的自衛権 集団的自衛権は、国連憲章において、国際法としては世界で初めて確立したものです。 しかし、この条文の原型(1944年ダンバートン・オークス提案)には、集団的自衛権は明記されていませんでした。 その理由は、「国際平和と安全は、国連による集団安全保障を主たる手段として維持していく」という方針をとっていたからです。 ところがこの方針は、常任理事国に拒否権が与えられたことにより、無意味になりました。つまり拒否権によって、国連の安全保障が機能しないことが予期されたのです。 そのため、国連に頼らず、多国間での集団的自衛権を固有の権利として認めることになりました。 ◆頼れない国連とアメリカ つまり、理想的には国連の平和維持活動が期待され、実際には、湾岸戦争のように、国連の承認を受けた米国主体の多国籍軍か、もしくは米軍主体の平和維持活動が行われてきました。 今そこにある危機としては、台湾有事やベトナム、フィリピンの権益が中国に侵された場合、国連軍を組織できるのか、またはアメリカがそれを代行できるのかという問題です。 しかし、前記のごとく、拒否権を持つ常任理事国により、国連による集団安全保障は機能せず、また頼みのアメリカも、2014年5月20日現在、南シナ海での中国とベトナム・フィリピンとの紛争に具体的行動の気配すらありません。 【集団的自衛権は、責任ある国家の姿】 ◆無作為の罪にあたる平和主義 もしもアジアの紛争解決のために、国連軍や米軍が派遣できたとして、その兵士の流れる血は、国際的正義のために戦った英雄という尊敬の二文字に変わるでしょう。 加えて我が国周辺でアジアの平和のために戦うことは、地域全体の安定や、日本のシーレーン確保という日本の利益に直結します。 国連の兵士の血が流れるのはかまわないが、集団的自衛権によって我が国の自衛隊員の血が流れることは認めないという論理は、エゴ以外のなにものでもなく、我が国のみが傍観を決め、無責任でいていいはずがありません。 憲法9条を盾にとり、「無作為を平和主義と言っていいのかどうか」。それがこの度の集団的自衛権問題の本質です。 日本は憲法9条で武力の行使を永久に放棄するという、特殊な道を歩んできましたが、それを言い訳に、「国際的道義」を“永久に放棄”していいとは思えません。 「日本は武士道の国ではなかったのか」「日本は、すでに一国の事だけを考えればいい時代は終わったのだ」と訴えたいと思います。 集団的自衛権反対派の不毛な議論をなくすために、憲法9条は一刻も早く改正すべきでしたが、事は急を要します。硝煙の匂いが立ちこめてきた今、憲法改正を待って、事態が起きるわけではありません。 「人間の幸福のために法があり、法のために人間があるのではない」ことを知り、日本は、世界に責任を感じ、神仏の正義を実現する、世界のリーダー国への第一歩を踏み出すべき時だと考えます。 《参考》 「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」 「TREATY OF MUTUAL COOPERATION AND SECURITY BETWEEN JAPAN AND THE UNITED STATES OF AMERICA」 昭和三十五年六月二十三日、条約第六号 1960(昭35)1.19 ワシントンで署名 1960.6.23 批准書交換、発効 日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よって、次のとおり協定する。 すべてを表示する « Previous 1 … 60 61 62 63 64 … 101 Next »