Home/ 財政・税制 財政・税制 消費税増税が解散総選挙の引き金となるか? 2012.01.04 野田首相が進める消費税増税は、3月の通常国会に向けて進められています。 与野党の協議を求め、自民党と公明党への協力を求める方針ですが、自民党の谷垣総裁と公明党の山口那津男代表は解散総選挙を前提とした与野党協議を求めており、難航は必至です。 与野党協議が失敗に終わった場合を考えて、民主党の輿石東幹事長は民主党単独で消費税増税法案の提出も辞さない発言が出てきています。 野田首相も消費税増税法案が不成立の場合は衆院解散総選挙で民意を問う考えも出しており、国会はますます混迷を極め、ここにきて首相や野党のリーダーからも解散総選挙の可能性が相次いで出てきています。 昨年11月5日に東京日比谷野外音楽堂で開催された「増税が国を滅ぼす!国民集会」(幸福実現党は協賛団体として参加)では、増税に反対する学者から草の根運動の活動家まで幅広く集まり、増税反対の声をあげました。 実行委員長を務めた日本税制改革協議会(JTR)の内山優会長は「11月5日の国民集会が、確実に永田町にも届き、現在の消費税増税による政局の混迷につながっている。その意味で、大変意義があった」と筆者に語ってくれました。 本来ならば増税路線の谷垣禎一自民党総裁ですら、増税のトーンが弱くなってきており、私たちが求めてきた「増税をするなら解散をして民意を問え」と言っているほどです。 前述の内山会長以外にも、東京茶会や生涯現役構想を掲げる草の根運動を展開している方々も、続々と「増税反対」の狼煙をあげ、全国で活動を活発に展開しております。 永田町や霞が関では、反対の声を上げなければ「承認」とみなす風潮があります。 昨年11月には、団体の垣根を越えて国民集会を開催したことは、財務省をはじめとする霞が関にも影響を及ぼし始めているとみて間違いありません。 さもなければ、12月に野田首相を使ってまで新聞の全面広告を打つといった行動には出ません。 さらに、ジャーナリストの須田慎一郎氏によれば、元経産官僚の古賀茂明をはじめとする増税反対論者のテレビ出演をさせない圧力をかけているとのことです(『SAPIO』2012年1月18号参照)。 要するに、幸福実現党が立党以来主張し続けてきた「消費税反対運動」が、着実に影響力を及ぼし始めてきたということです。財務省主導の政治家とマスコミによる「増税翼賛会」を打ち破るのは、やはり国民の声です。 ただ、一点だけ注意すべき点があります。国民運動として野田政権の早期退陣と次の解散総選挙によって政権交代が実現したとしても、増税派が幅を利かすようでは、財務省の思うつぼです。 消費税増税が解散総選挙の引き金になるのは大いに結構ですが、それだけでは不十分です。やはり、自由貿易と減税、少ない規制を実現できる政党と政治家が誕生しなくてはダメなのです。 幸福実現党は、その責務を果たす役割があると同時に、他党にも眠っている自由主義者を巻き込む使命もあるのです。 そこまでいかなくては、国論としての自由主義対国家社会主義の流れに勝利したとは言えません。その意味で、本年は「自由からの繁栄」によって国家社会主義を打ち破る最大のチャンスです。 どうか、今年も幸福実現党が発信する経済政策や諸提言にご期待頂ければ幸いです。(文責・中野雄太) 《国家社会主義》へと邁進する「社会保障と税の一体改革」の危険性 2012.01.02 昨年末12月30日、政府は「社会保障と税の一体改革」の素案を確定、公表しました。(内閣府「社会保障・税一体改革素案」⇒http://p.tl/pC0B) 同素案を精緻に読み込んでいくと、国民に大増税を課し、「国のかたち」を大胆に変質させ、「重税国家」「大きな政府」「国家社会主義」へと向かう一種の「社会主義革命」であることが分かります。 「社会保障と税の一体改革」の先にあるのは国民の富を「税金」として大量に吸い上げ、「富の再配分」を行う「社会主義国家」です。 今回は「社会保障と税の一体改革」について、三つの問題点を提示致します。第一の問題点は「消費税増税」を筆頭に「増税ラッシュ」を図るものであるということです。 「社会保障と税の一体改革」とは、一言で言えば、国民に対する「アメと鞭(ムチ)」です。同素案の前半では「アメ」となる「社会保障制度の持続と充実」を打ち出していますが、政府の本当の狙いは、後半の「鞭(ムチ)」である「大増税」にあります。 消費増税以外にも、所得税や住民税、相続税等の課税強化、地球温暖化対策税(環境税)の創設や金融課税の軽減特例の廃止など、「増税ラッシュ」をかけんとする財務省の強い意志が表れています。 また、素案には「隠れた増税」が至るところに仕組まれています。増税に加え、厚生年金の保険料引き上げや住民税の年少扶養控除の廃止等により、年収500万円世帯の場合、年間20万~30万円の負担増になるとの計算が出ています。(12/31日経) 顔は野田首相ですが、増税路線の手を引くのは財務省。言わば野田政権の裏から手をまわす財務省が「二人羽織」のように手引きしている実態が浮かび上がっています。 「社会保障と税の一体改革」の第二の問題点は「共通番号制度」による国民管理制度にあります。財務省の主眼は本当は「共通番号制度」にあると言われています。 今は、各省庁や自治体等がバラバラに管理されている国民情報を「共通番号制度」の下、統一して管理し、更に銀行・金融機関や医療機関等と情報を連携することで、国家が国民の全資産や些細な金銭の出入りまで把握掌握することができる制度です。 たとえ消費税増税で景気が悪化して税収が減ったとしても、「共通番号制」を機能させれば、パートや副業、アルバイト等の些細な収入であっても、いつでも、あらゆる収入や資産から合法的に税金を巻き上げるシステムが出来上がります。 また、政府素案には「15年度以降の共通番号制の本格的稼動を前提に給付付き税額控除の導入」を目指すとあります。「給付付き税額控除」とは、所得税額から税額控除を行い、所得が低く、控除額が税額を上回る場合、その差額を逆に給付する制度です。 2009年に実施された定額給付金は記憶に新しいところですが、その申請、給付者は、住民基本台帳に記録されている世帯主と外国人登録原票に登録されている人でした。 共通番号制による「給付付き税額控除」が実施された場合、自治体が管理している住民基本台帳と外国人原票がベースとなることが予想され、日本人の血税が「給付付き税額控除」という名目で、職に就いていない外国人に対して不正に給付される可能性が指摘されています。 「社会保障と税の一体改革」の第三の問題点は「国家の肥大化」「大きな政府」をもたらす構造となっていることにあります。 例えば、今回の「社会保障と税の一体改革改革」で、厚生労働省は真っ先に「未来への投資(子ども・子育て支援)の強化と貧困・格差対策の強化」を打ち出しています。(12/30厚生労働省「社会保障・税一体改革で目指す将来像」⇒http://p.tl/JYmb) 「子ども・子育て支援」では、幼稚園・保育所の一体化した「総合施設」をつくることを掲げ、文科省の管轄である幼稚園行政まで入り込んでおり、厚労省のスリム化どころか、「焼け太り」を目指していることは明らかです。 「社会保障と税の一体改革」が成立すれば、省庁は膨大な予算を手に入れ、「サービスの充実」と称して新たな部署を設置、更に人員を増員し、「大きな政府」へと肥大化することは避けられません。 サッチャー元首相以前の「イギリス病」のように、「福祉国家を目指す」と称して、国家がますます仕事を増やし、それが財政を圧迫し、更なる増税が要求され、経済が徐々に疲弊していく悪循環に陥ることになります。 「富の再配分」を盾に取り、国民から税金を吸い取る財務省の正体に、今こそ国民は気付かなくてはなりません。 規制を緩和し、事業を民間に委ねれば、企業の競争原理の中で国民はより良いサービスを受けることができ、そこから雇用も生まれます。 財務省に操られ、「経済成長なき増税路線」を突き進む「社会保障と税に一体改革」は国民を苦しめるものでしかありません。 こうした「国家社会主義」路線の最大の問題点は、ハイエクが指摘しているように、「自由」を侵害し、「隷属への道」に至る危険があることです。 特定の勢力によって「自由」は常に脅かされ続けています。ヒトラーが最も憎んだのは「自由」という言葉でした。だからこそ、「自由」は闘いを通じて、守り、育てていくことが大切なのです。 「国家社会主義」へと向かう野田政権の暴走を食い止めるには、本年の早い時期に野田首相を退陣させ、解散・総選挙に追い込み、民主党を政権の座から引きずり下ろすことが不可欠です。 2012年、幸福実現党は全力で民主党政権を退陣させ、政権獲得を目指して参ります。ご指導ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。(文責・佐々木 勝浩) 共通番号制と給付付き税額控除の是非 2011.12.21 消費税の増税を進める「税と社会保障の一体改革」で必ず議論されるのが「給付付き税額控除」と「共通番号制」の是非です。 まず、これらは「税と社会保障の一体改革」で常時、議題に上がっては消えています。 欧米では、子育て支援や就労支援のために導入された経緯があります。そのためには、国民に「納税者番号」か「共通番号制」を敷いておく必要があるのです。 なぜなら、国民一人ひとりの納税額や保険料負担額が分からないと、本当に給付が必要かどうかの判断が難しく、行政コストがかさんでしまうからです。 よって、共通番号制の最大の目標は、税や社会保険料の徴収コストを効率化することにあります。 所得の把捉ができるため、税の申告漏れが少なくなることや、地下経済の取り締まりも役立ちます。さらに、旧社会保険庁の年金漏れ事件が防げる側面があります。 嘉悦大学の高橋洋一教授のような経済学者だけではなく、経営コンサルタントの大前研一氏も、共通番号制導入を支持しているのは、上記のような理由があるからです。 しかしながら、共通番号制の導入には、隠れたデメリットがあるということを知らなければなりません。 共通番号制とは、「個人情報が国家によって管理・監視されている」という側面があり、国家社会主義への道に繋がっているのです。 そもそも、国民から預かっている年金をまともに扱えない政府に、これだけの権限を与えても良いのでしょうか? 福祉国家モデルのスウェーデンでは、税金運用の徹底した情報開示を行っており、国民からの信頼を勝ち得ています。 ただし、ちょっと贅沢をしていれば、近隣住民から政府に通報されて、査察が入り、課税が強化されるケースも少なからずある社会です。 ある意味、政府からの監視と国民同志の監視を誘発するケースがあるのです。これでは「自由な社会」とは程遠いと言えます。ましてや、国民は共通番号制について全く知りません。 政府内では相当の議論と研究が行われているにせよ、基礎情報として国民に届いていない以上、一層の情報開示と説明が必要であり、ある意味、国家統制色が強い危険な側面があることを見逃してはなりません。 次に、「給付付き税額控除」について考えてみます。 例えば、Aさんの年間所得が200万円だとします。現行の制度で適用される所得税は5%の10万円です。同時に、Aさんの所得税の基礎控除は38万円なので、38万円×5%の1.9万だけ所得税は少なります。 分かりやすくするために、Aさんは2万円減税されたとしましょう。その結果、8万円の所得税を納めればよくなります。 では、「給付付き税額控除」の場合はどうなるでしょうか。 Aさんへの「税額控除額」は38万円と設定しましょう。税額控除を適用する前のAさんの所得税は10万円です。 「給付付き税額控除」では、10万円の税金を免除するだけではなく、28万円を現金給付されることになります(数値例は、岩田規久男著『「不安」を「希望」に変える経済学』PHPを参考にした)。 「給付付き税額控除」では、高所得者の場合は税額控除を低くすることが別途想定されています。言い換えれば、高所得者は低い税額控除を、低所得者は高い税額控除を設定するということです。 その結果、低所得者の可処分所得が増えますし、基礎控除による減税よりも経済的な効果は大きくなるわけです。 このように、「給付付き税額控除」は、低所得者救済策として脚光を浴び始めました(基本的な概念は、ノーベル経済学者であり、自由主義経済を推し進めたミルトン・フリードマンの「負の所得税」なので、考え方としては決して新しいものではない)。 しかし、一見すべてが良さそうに見える制度ですが、問題もあります。 アメリカでは、「給付付き税額控除」の不正支給が30%と高いことが報告されています(「共通番号制」があったとしても不正支給はある!)。 さらに、生活保護と同じように、全く働かない場合は、Aさんは38万円を支給されるわけです。これでは、働くと支給が減ることを嫌い、無職を選ぶ生活保護と同じになります。 就労支援の制度設計まで含め、研究が必要なことは言うまでもありませんが、欧米で導入されているからと言って、安易に導入に踏み切ることは賢明ではありません。 なお、仮に「給付付き税額控除」を導入するにしても、越えなければいけないハードルがあります。 導入の前提として、前出の高橋洋一教授は「共通番号制」や「給付付き税額控除」を進める「歳入庁」の創設を提言しています。 なぜなら、管轄が財務省、国税庁、厚生労働省に関わっているため、「縦割り行政」の弊害が予想されるからです。導入するまでには、行財政改革も同時並行で進めなくては意味がありません。改革なくして省庁が一つ増えるとしたら本末転倒です。 さらに、導入するにしても、「消費税の導入」が既定路線となっていることに問題があります。行財政改革は進まず、マクロ経済政策や埋蔵金等の活用という政府の努力が足りていない中での増税は、確実に日本経済をむしばみます。 やはり、所得再分配政策だけではなく、社会保障改革には景気対策や経済成長による税収増が必要です。 デフレ脱却から景気回復、そして高度成長へと導く経済政策を同時並行に推し進めれば、低所得者の生活水準を押し上げ、社会全体にも活力をもたらします。 政府には、マクロ経済政策と行財政改革を前提としたうえで、慎重に導入の是非を検討頂きたいと思います。(文責・中野雄太) 国家公務員のボーナス4.1%増の欺瞞――公務員の給与を景気連動型にせよ! 2011.12.16 12月9日、国家公務員の冬のボーナス(期末・勤勉手当)が支給されました。管理職を除く一般行政職の平均支給額は61.7万円で、前年より2.4万円(4.1%)増額となりました。 政府は東日本大震災の復興財源を生み出すため、ボーナスの一律1割カットを目指していましたが、与野党対立で関連法案の成立が間に合わなかったため、結果的に「ボーナス4.1%増額」という、国民にとって全く理解できない結果に至っています。 そもそも、人事院は9月30日、国家公務員一般職給与を平均で年間0.23%、1.5万円引き下げるよう内閣と国会に勧告していました。 しかし、政府は人事院勧告を無視して、震災の復興財源確保のため、ボーナスの10%カットを含む、給与を平均7.8%引き下げる特例法案成立を優先させる判断をしました。 特例法案成立が成立しなかったのは、野党からの法案修正案に対して、民主党の最大の支持勢力である連合の意向を受けた労組系議員のドンである輿石東幹事長らが反対して「ゼロ回答」をしたため、与野党合意に至らなかったことが原因です。(12/3産経) 結局、官公労に支配された野田政権は、0.23%引き下げの人事院勧告を無視した上、給与を平均7.8%引き下げる特例法案も成立を断念。「ドジョウ戦略」で巧みに公務員ボーナス4.1%増額を成就しました。 世界的な不況と東日本大震災により、民間企業の今冬のボーナス額は前年比0.3%減の37.8万円(みずほ証券調べ)と、3年連続の減少となっています(11/2産経)。 民間のボーナス減少の理由について、みずほ証券は「東日本大震災直後に企業活動が制限された影響や政府の23年度補正予算の成立が遅れ、復興需要も遅れているため」としています。 政府の責任で不況が深刻化しているのに、公務員だけがボーナス増となり、国と地方の公務員のボーナス平均は76.5万円(みずほ証券調べ)で、民間平均37.8万円の2倍以上となり、「官民格差」は広がるばかりです。 日本は既に「官」のみが肥え、「民」がやせ衰えていく「国家社会主義」の兆候を示しています。 野田政権は、臨時国会の会期を延長せず、国家公務員の給与引き下げ法案の成立を断念すると共に、国会議員の定数削減などの懸案も全て先送りし、身を削ることなく、復興増税を成し遂げ、消費増税に突き進もうとしています。 国民は「まず国が身を削る」といった虚言を吐いて復興増税を成立させた政府の責任を追及すると共に、消費税増税を断固拒否すべきです。 また、幸福実現党は、景気の変動に連動して公務員の給与も上下する「公務員の景気連動型給与体系」を政策として掲げています。 これは民間の業績連動型給与と同様、給与や賞与の一定割合をGDP成長率、あるいは日経平均株価などと連動させる給与体系です。 これが実現すれば、行政コストの削減を実現すると共に、官僚達が「デフレ下の増税」といった愚劣な思考をやめ、景気向上、経済成長をもたらす政策を最優先で選択するインセンティブともなるでしょう。 不況や震災で国民が苦しんでいる時に「増税」して負荷をかけると共に、自分達だけは私腹を肥やしている「悪徳役人」は日本には要りません。(文責・黒川白雲) 生活保護受給者が戦後過去最多を更新~国家再建の原点に立て~ 2011.12.10 厚生労働省は12月6日、全国で生活保護を受給している人が、本年8月時点(速報値)で205万9871人、世帯数では149万3230世帯となり、いずれも過去最多を更新したことを発表しました。 206万人という数値は終戦直後の1951年の月平均204万人を超えており、終戦直後の状況にまで陥っているとも言え、政府は日本経済再建に向け、国家の総力を結集すべきであります。 生活保護受給者の増加に伴い、近年、予算も膨張しており、生活保護の給付額は11年度で3兆4235億円(当初予算)で、08年度の2兆7006億円からわずか3年間で7000億円以上も増えています。 生活保護受給者は景気と直結しており、1995年度に過去最少の88万2229人となってから増加に転じ、16年間で受給者が2.3倍以上増えています。 これは「長期不況」が、生活保護増大の要因であることが指摘されています。(12/6日経) 現在の増加ペースが続けば、更に生活保護受給者が増加し、予算が膨張していくことは避けられません。 今後、東日本大震災で被災され、失業された方々の失業保険や雇用調整助成金が切れれば、生活保護世帯が急激に増えていくことは避けられません。 政府は来秋までに生活困窮者対策を総合的に進める「生活支援戦略」を策定する方針ということですが、あまりにも対応が悠長すぎます。 増加傾向にある生活保護への対策として、最優先されるべきは、消費増税の議論や社会保障の拡充論議ではなく、雇用を拡大するための景気対策・経済対策に他なりません。 これまで2~3%台を推移していた日本の失業率が、1997年の消費税増税後、4~5%台に跳ね上がったことを考えれば、消費税増税が更に失業者、生活保護受給者を急増させる結果をもたらすことは明らかです。 併せて注目すべき数値としては、働ける年代なのに失業などで受給する人を含む「その他の世帯」の急増で、25万1176世帯となり、2008年のリーマン・ショック前の2倍に増えています。(11/24東京新聞) この理由について、学習院大学経済学部教授(社会保障論、福祉経済学)の鈴木亘氏は、労働政策研究・研修機構の周燕飛氏との共著論文「生活保護率の上昇要因-長期時系列データに基づく考察-」において、下記のように指摘しています。(⇒http://p.tl/aqUC) 「リーマン・ショックによる派遣労働者の失業を救うために、2008 年末に『年越し派遣村』が設営され、連日テレビ等で放映される政治パフォーマンスが展開された。 その中に設置された生活保護申請窓口において、政治的なプレッシャーの下で、失業者やホームレスの人々に対して、実質的に緩和された基準で、素早い生活保護受給が認められたのである。 そして、そのことが前例となったこともあり、2009年3月以降に次々と出された厚生労働省の各通達によって、以前は生活保護申請が難しかった稼働能力層が多く含まれる『その他世帯』の生活保護受給の基準が、大幅に緩和されることとなったのである。」 すなわち、民主党政権誕生の原動力となった「年越し派遣村」などの「格差批判」キャンペーンや「政治的圧力」によって、特に働ける年代への生活保護受給の基準が大幅に緩和されたことが原因であると指摘しています。 その意味で、政府は景気を回復させ、雇用を増やすと共に、働ける世代が自立できるよう、早急な自立支援政策や支給緩和措置の再検討が必要です。 民主党の前原政調会長は10日、「生活保護費にも切り込むべきだ」との考えを示しましたが、セーフティネットを踏まえつつ、国民が自立していく方向に向かうことは不可欠です。 言うまでも無いことですが、「収入があると年金が貰えなくなる」「生活保護が貰えなくなるから仕事をしたくない」「仕事をするより生活保護を貰った方が得」等、生活保護の受給が実人生を矮小化するような考え方は本末転倒です。 また、生活保護に関して、収入や資産を偽って申請する等の「不正受給」や、高齢者・貧困者等の社会的弱者を利用して生活保護をピンハネするような「貧困ビジネス」など、税金を食い物にして、国家に寄生するような卑劣な行為に対する厳格な行政施策が必要です。 戦後の混乱期と同水準の生活保護受給者数となったことで、政府は「国家再建」の原点に立って、経済成長戦略を力強く打ち出し、国民が自立して生活できる豊かな社会を築いていくことが急務です。(文責・小川俊介) 復興増税成立――政府の無駄を削減すれば増税の必要はない! 2011.12.01 東日本大震災の復興財源を賄う臨時増税などを盛り込んだ復興財源確保法案が11月30日、可決されました。 13年1月から所得税は納税額に2.1%上乗せする定率増税を25年間実施。個人住民税は14年6月から10年間、年1000円上乗せされます。また法人税は実効税率を5%引き下げたうえで、その範囲内で3年間増税されます。 野田首相は「将来世代に負担を先送りしない」と言いながら、民意を問うことなく、25年間に渡る実質「恒久増税」をなし崩し的に成立させました。 民主主義の根本には「(民意を無視した)政府の勝手な増税を許さない」ことがありますが、野田首相はこの一線を超え、まさしく「独裁」の域に入りました。 また、政府は「財源が足りないから増税する」と説明する一方で、財務省は11月30日、政府・日銀が10月28日以降、約1か月間に行った外国為替市場での市場介入額が9兆916億円だったと発表しました。 10月31日の介入額は7兆5000億~8兆円前後と見られており、10月31日以降も、介入の事実を公表しない「覆面介入」を続けていたことが明らかになりました。 政府・日銀の介入は、8月分と合わせて約12兆円と見られていましたが、実際には約13.5兆円という、復興増税額(10.5兆円)をはるかに超える額を為替介入に投下していたことが明らかになりました。 単独介入の効果の薄さ、単独介入に対する国際的批判を鑑みるに、13.5兆円という介入資金枠を復興財源に回すべきでした。そうすれば、復興増税を回避することができたはずです。 ※為替介入の資金は、政府が政府短期証券を発行して借金で調達していますが、既に政府短期証券は171兆円まで残高が膨らんでおり(10/29読売)、更に円高によって、外国為替資金特別会計は年間の税収額(40兆円程度)に相当する「含み損」を生んでいます(11/2ブルームバーグ)。 また、復興増税が成立した直後の12月1日、野田首相は安住財務大臣に対して、2兆円を超える規模の第4次補正予算案の編成に入るよう指示しました。 会談後、安住財務大臣は「財源については、赤字国債などは発行せず、国債の(利払いの)不用額などが出てくるので、その中で対応する。規模は2兆円を下回ることはないと思う」と述べ、2兆円を超える規模の埋蔵金の存在を示唆しました。 幸福実現党は「国債整理基金特別会計の剰余金(10兆円程度)で財源を捻出すれば復興増税は必要ない」と主張しておりましたが、復興増税成立前にはそうした埋蔵金の存在を一切、秘匿し(あると分かれば復興増税不要論が盛り上がるため)、復興増税成立直後に埋蔵金の存在を明かすのは非常に卑怯な手口です。 今後、政府は復興増税をスプリングボードとして、消費税率を10年代半ばまでに10%まで引き上げる法案を次期通常国会に提出する予定ですが、1997年の消費税増税でも日本経済は痛い経験をしましたように、消費増税は景気に対して極めて深刻な打撃を与えます。 政府は増税に次ぐ増税を企図すべきではなく、特殊法人等への補助金や財政支出を含む、膨大にして多岐に渡る無駄を削減すると共に、増税ではなく、経済成長によって税収を増やしていく「成長戦略」をこそ選択すべきです。(文責・黒川白雲) TPP:ISDS条項(ISD条項)は本当に「毒素条項」なのか? 2011.11.30 TPPは多国間協定です。いくらアメリカの経済力と外交力が強大とはいえ、参加国内の利害を無視できません。 WTO(世界貿易機構)での交渉でさえ(アメリカ主導の面があるとはいえ)関連諸国との協議が難航していますし、二国間の貿易交渉でも簡単にルール設定ができません。 例えば、日米繊維交渉、日米自動車摩擦などを見ても、解決までには数年の歳月がかかりました。 また、多国間であれば、利害の対立・調整が一層難しくなります。逆に言えば、多国間で認められないものは採用が困難ということです。 また、多国間交渉は、各国に研究と準備期間を与えます。 TPPでは、チリの乳製品では12年間の歳月を、米豪間のFTA(自由貿易協定)では、牛肉とチョコレートに関して18年間の交渉期間が許容されていますが、要は交渉によって関税撤廃の期間延長が可能だということです(『TPP参加という決断』渡邊頼純 ウェッジ)。 では、様々な憶測が飛び交うISDS(投資家対国家の紛争解決)条項(ISD条項)とはどのようなものでしょうか? 実は、ISDS条項は投資環境の共通のルール設定を通じて市場の整備を促しました。 先進諸国が途上国への投資で一方的な損失(政府による資産の強制没収など)を避けるためには、投資家を保護することが必要になります。 特に、途上国と共産主義国には協定違反が多いということもあり、ISDS条項は投資家の「守り刀」の役割を果たしているのです。 現在、日本政府は、既に25を超える投資協定を締結しています。 近年は、企業の海外進出や対外直接投資が増えているので、ISDS条項がなければ、企業や投資家のリスクはカバーできません。 ISDS条項は、TPPによって初めて導入されるわけではなく、既に存在しているものであることも強調しておきましょう。 同時に、先進諸国内でさえも、制度や商慣行の違いによってトラブルが多発する可能性があるために、ISDS条項が適用されています。 ISDSは途上国だけでなく、先進国にとっても必要なのはこうした理由によります。 次に指摘しておきたい点は、日本政府は投資協定違反などで訴訟はされていないということです。 今後、わが国を相手取った訴訟が全くないとは言えません。ただ、既に市場開放を進めてきた先進国である日本が一体何を訴訟されるというのでしょうか? 関税以外の貿易と投資の阻害要因を非関税障壁と呼びますが、極論に行けば日本語さえ非関税障壁となります。 投資家が日本語を話せないのでISDS違反として訴訟を起こすといったばかげたことはあり得ません。 投資家が国を相手に訴訟を起こすということは、よほど国内において不透明で一方的な差別によって投資家が不利益を被ったケースです。 その際の対抗手段としてISDS条項があるのです。 もし、締約国間で協約違反が生じた場合は、ICSID(投資紛争解決国際センター)などで仲裁や調停が行われます。 審議には当事者からそれぞれ推薦1名と双方が合意した1名の計3名が仲裁人となります。また、仲裁機関によって、協定違反かどうかの審議をします。 仲裁機関を通じて双方の主張が審議されるわけですから、例えばアメリカだけの一方的な見解が通るはずがありません。 なお、判決に対して上訴ができないことを指摘されている方もいますが、新しい事実などが出てくれば、再審や取り消しも認められています。 最後に、「内国民待遇」という考え方について触れておきます。「内国民待遇」とは、相手国の企業や投資家を同じように扱うということです。 既にWTOでも認められており、自由貿易や投資の基本です。非関税障壁が「内国民待遇」に反しているとする説もありますが、非関税障壁=ISDS違反ではありません。 訴訟となるには、相応の契約違反や一方的差別のケースが多く、非関税障壁によってISDS訴訟が乱発されるわけではないのです。 非関税障壁の撤廃は交渉によって調整していくしかありません。 ただ、日本がISDS協定違反で訴訟されていない事実を見る限り、内国民待遇違反ということで訴訟となる可能性は極めて低いと言えるでしょう。 結論を言えば、ISDS条項は、決して「毒素条項」ではありません。 もちろん、万が一毒素条項が出てくることも想定しなければいけません。唯一の懸念は、こうした毒素条項をつぶすだけの交渉力があるかどうかです。 今後、日本政府には諸外国の動きをよく見ながら交渉の準備を進める戦略眼としたたかさ、そしてタフな交渉力が要求されます。(文責・中野雄太) 改めて問う!成長なくして財政再建はできない 2011.11.16 政府与党は、相変わらず増税路線を崩していません。 野田佳彦首相は、消費税増税は来年の通常国会で審議して通過させる意図を表明しています。 G20では、ギリシャ発の財政危機をいかに回避するかが主要テーマであるにも関わらず、あえて増税を公約した意図はどこにあるのでしょうか。 おそらく、野田首相は財政規律を重視したと考えられます。言い換えれば、「日本が増税をすることによって財政再建に本格的に取り組む」という意思表示をしたということです。 野田首相の国際公約を振付けていたのは財務省であることは間違いありません。財務省は「増税や緊縮財政によって財政再建は世界的トレンドである」ということを主張し、財政再建が国際的信用につながると考ればつじつまが合います。 世界を見渡せば、ギリシャに続いてイタリアまでも財政危機が表面化。今後は、ポルトガルやスペインも財政危機の噂があります。 ユーロを維持するための収斂条件として、財政赤字対GDP比3%以内、長期債務残高対GDP比60%以内が課せられているユーロ圏では、景気悪化をとめるための財政出動が、収斂条件によって制約されています。 金融政策は、欧州中央銀行(ECB)の判断にかかっており、各国で金融緩和を実施することはできません。その意味では、欧州には制度的な制約があるため、今後も財政危機が一層表面化する可能性は高いと言えましょう。 アメリカでは、デフォルト危機直前までいき、ティーパーティーをはじめとした共和党が政府の歳出削減を主張しています。増税は主張されていませんが、オバマ政権が進める公的医療制度によって政府が肥大化し、財政赤字が悪化することをけん制しているわけです。 さらに、FRBのバーナンキ議長が金融緩和第三弾(QE3)を実施できないのは、共和党からの反対が強いことも原因です。また、連邦銀行理事の中にもさらなる金融緩和を疑問視する意見も出ていることも輪をかけています。 もし、アメリカで歳出削減圧力が高まり、金融緩和が不十分だった場合、景気停滞から不況となる可能性があります。 このように見ると、確かに債務が大きい主要国が増税や緊縮財政をしているのはトレンドのように見えなくもありません。 しかしながら、日本は欧米諸国のように制度や法律によって債務が規制されているわけではありません。 金融政策は、日本銀行の意思によっていくらでも実施できます。政府の債務が大きいといっても、政府資産は650兆円もあります。対外純資産は250兆円を超えており、世界一の金貸し国です。 あと足りないのは、適切なマクロ経済政策です。 幸福実現党は、震災前後でも財政出動と金融緩和をはじめとしたマクロ経済政策を実施して、デフレの脱却と景気回復、震災復興を主張し続けてきました。「千年に一度の大震災」とも呼ばれる非常事態なので、国債の日銀引受という切り札まで提言しています。 成長率を高めていくことにより、政府債務残高対GDP比を圧縮することができます。 国債の利払い費などを除いた基礎的財政収支を見ても、名目GDPが上昇すれば改善しています。嘉悦大学の高橋洋一教授や学習院大学の岩田規久男教授の研究でも、名目GDPが上昇で基礎的財政収支の改善は大部分説明ができるとされています。 こうした一連の条件を一つにまとめたのが「ドーマー条件」です。詳細は、拙著『日本経済再建宣言』第三章の190pから192pに譲りますが、要点は、長期金利を上回る名目成長率であること。そして、名目成長率が高まれば、基礎的財政収支と債務残高の対GDPが小さくなります。 その結果、債務は発散しないということです。ドーマー条件は、国家の債務管理の目安としては極めて有用です。 幸福実現党が示している通り、名目成長率を高める方法論を様々にありますが、政治家が真剣に政策を実践する勇気と気概がなければ絵に描いた餅にしかすぎません。 内閣総理大臣をはじめ、経済政策を担当する大臣には、いかにして日本が震災復興を成し遂げ、再び成長を実現できるかを追求するのが最低限必要です。増税しか提言できない政治家は、悪徳役人の域を出ません。 やはり、デフレ不況時の財政再建は、成長なくしてはあり得ません。(文責:中野雄太) 過去の増税と今回の増税の違い 2011.11.09 与党の民主党と野党の自民党・公明党の3党の幹事長が会談し、第三次補正予算に関連する復興債の償還期限を10年から25年に延長したことを正式合意しました。 これにあわせて、たばこ税導入を見送る案も出ていますが、財源確保法案の早期成立に向けた動きが加速することは間違いありません。 補正予算に絡めた増税法案である以上、国民の声が届かず、このままいけば、今月中には復興増税が正式に決定してしまいます。 さて、今回の増税と過去20年間に実施された増税と比較検討してみたいと思います。例として、1989年の消費税導入と97年の消費税増税を取り上げます。 まずは、竹下登内閣時の1989年の消費税導入は難航を極め、ようやく誕生しました。 そして、翌年の1990年には、日銀による金融引き締めや大蔵省(現財務省)による不動産などの総量規制を設けて、いわゆる「バブルつぶし」が行われました。 当時は、東京23区の不動産価格でアメリカ全土が購入できるとも言われ、株式市場では、1989年12月29日に最高値の38,915円を記録したほどです。 ただ、「バブルつぶし」によって、わずか9カ月後には2万円割れとなるまで経済は落ち込み、税収も1990年の60兆円をピークに下がり続けました。 急激な経済の引き締めが行われたことで、以後は日本経済が回復の足並みは遅く、「失われた20年」という低空飛行が続くことになります。 アメリカのFRBのバーナンキ議長や中国人民銀行は日本の「バブルつぶし」から「加熱した経済を急激に引き締めてはならない」という教訓を得たとも言われています。 次は1997年のケースです。当時は、1995年の阪神・淡路大震災から日本経済は復興をなし、名目経済成長率は2%台まで回復していた時期です。 橋本龍太郎首相(当時)は、六大改革(「行政改革」「財政構造改革」「経済構造改革」「金融システム改革」「社会保障構造改革」「教育改革」を指す)という壮大なプランを掲げ、97年には財政再建の一環として財政構造改革法を成立させました。 具体的には、消費税の増税と特別減税の廃止、医療費の値上げなどです。その結果、国民負担は9兆円にのぼりました。 しかしながら、政策当局の予想に反して、アジア通貨危機や山一証券などの金融危機なども加わり、翌98年には日本経済はマイナス1.9%へ転落。失業率も高くなり、自殺者は同年から3万人台に突入したことは周知の事実です。 上記2つの増税は、経済がまだまだ上向きの時に実施されています。 2つとも不況を招いたという点では同罪ですが、デフレ不況時に実施しようとする今回の復興増税と消費税増税とは意味合いが大きく異なるという点は見逃すことはできません。 現在の日本経済は、デフレと円高、震災被害の深刻化、原発事故による放射能汚染問題や電力不足問題と、経済にマイナス要素がいくつもあります。すでに、内閣府をはじめ、IMFなどの国際機関も日本のマイナス成長を予測しています。 明らかに経済が落ち込んでいる時に、増税を強行することは自殺行為です。もし、復興増税と消費税の増税がダブルパンチで実施されたならば、日本経済は97年以上の被害が出ることは必至です。 私が懸念するのは、増税によってさらなる景気の悪化を招き、失業や倒産が増加するだけではなく、自殺者も増える可能性すらあることです。これは決して大げさでもなく、実際に97年以降に起きていることなのです。 過去20年間の歴史を見ると、わが国は人為的に不況を作り出したことが明らかです。 そして、今回が三回目となるかどうかの瀬戸際です。過去二回と異なって、デフレ不況+震災被害+原発事故+行き過ぎた円高が加わっています。普通の神経の持ち主ならば、増税を行うことはあり得ません。 「痛みを分かち合う」という美しい言葉で国民を欺き、日本財政の真実を伝えようとしないマスコミにも大きな罪があります。 増税が税収増ではないことは明らかなのですから、いい加減に増税礼賛一本の論調は慎むべきでしょう。 政府は、財源確保法案の成立を急ぐ必要性はありません。政府保有株の売却や国債整理基金の定率繰り入れから12兆円など、11.2兆円規模の財源はすぐにでも用意できます。また、復興債の日銀直接引受という手段も残されています。 増税によらない震災復興は可能なのです。(文責・中野雄太) デフレ不況下の増税こそ禁じ手だ 2011.10.26 円高が過去最高の75円台を記録しました。野田佳彦首相は、状況を見守るばかりであり、安住淳財務相は、為替介入の可能性について言及していますが、為替介入は対処療法であり、効果は限定的です。 根本は、日本が諸外国に比べてデフレであること。デフレの原因は通貨供給量を絞っているからです。政府から出てくる対策が、為替介入ではなく、金融緩和によるデフレ脱却に踏み込めば、為替水準はすぐに変動します。ところが、一向にデフレ脱却のために金融政策に言及していないところを見ると、政府は円高の根本原因を見抜けていないと断言できます。 さて、日本経済は、物価が継続的に下落するデフレと、モノが売れず、失業が多い不況という状態にあります。デフレと不況が同時に進行している中で、3月11日の東日本大震災が起こりました。また、原発事故が追い打ちをかけ、日本経済に対するダメージは計り知れません。このように、日本は非常事態であるにも関わらず、政府内で議論されているのは増税論一色です。金融緩和も規模が小さく、日銀が危機に対処しているようには見えません。このままの状態が続けば、日本経済への下ぶれ圧力となり、デフレ、円高が進行することになります。 本来ならば、日銀の国債引受や政府資産の売却、特別会計からの剰余金の取り崩しを通じて復興財源を確保することが先決です。「千年に一度の大震災」であるならば、財政法5条の但し書きに明記されている「特別の事由」に相当するので、政府内で復興債の日銀引受は検討に値する政策です。なぜなら、デフレ、円高、復興財源の三つを一気に解決できるからです。 ところが、日銀を筆頭に、日銀引受は過度なインフレを招き、財政規律と通貨の信任を失うから「禁じ手」だという反論が根強く存在します。確かに、日銀引受を継続していれば、通貨量が増えるので、物価が上がることはあります。ただ、数百%にのぼるハイパーインフレとなる可能性は、国民一人に1億円を配らない限り起こらないというのが現実で、必要以上にインフレを恐れるのは間違っています(嘉悦大学の高橋洋一教授の説)。 財政規律や通貨の信任といっても、明確な定義はありません。前者は、安易な国債発行に依存すれば、財政赤字が増え続けることへの懸念でしょう。後者は、引受を通じたインフレが起きることで、円に対する信頼を失い、円売りが加速することを指すと思われます。いずれにしても、どのような状態になったら財政規律と通貨の信任が失われるのかという、明確な定義は存在しません。半ばステレオタイプな発想による反論だと見てよいでしょう。 私が不思議に思うのは、日銀の直接引受よりもデフレ不況下で増税を進める方がよほど経済に対するマイナス効果が高いということです。 理由は四つあります。 一つ目は、増税によってデフレ圧力が一層深まること。二つ目は、デフレが進行すれば、円高が継続すること。三つ目は、増税しても、税収は増えないこと。四つ目は、消費と投資の落ち込みによる経済成長率が低下することです。 前半の2つは、既に触れました。特に、行き過ぎた円高は、輸出企業を抱える我が国では無視できません。中長期的なトレンドならば、円高でもメリットはあるのですが、これだけ短い間に通貨が高くなると、企業の収益を圧迫するのは必至だからです。 三点目は、幸福実現党が立党当初から主張している論点です。四つ目は、既に、直感的にも理解できるのではないでしょうか。傷口に塩を塗るようなものであり、火に油を注ぐように、事態を悪化しかねません。 復興増税にせよ、社会保障の財源確保による消費税の引き上げにせよ、デフレ不況下での増税にはメリットはありません。経済を一層悪化させることが明確な以上、日銀の引受以上に、デフレ不況下の増税の方が禁じ手と呼ぶにふさわしいでしょう。 そもそも、震災復興を増税によって進めることは、世界でも例がない異常事態です。慶応大学の岸博幸教授は、現在の増税路線に対して、「国を挙げた『増税万歳』状態の異常」(ダイヤモンドオンライン 9月23日)という言葉で、現政権を批判していますが、国民も増税を容認する方向で世論が形成されていることにも危惧を覚えます 禁じ手を巧妙に正当化、国民を苦しめようとしている以上、我々は黙ってみているわけにはいきません。そのために、幸福実現党は11月5日に開催される「増税が国を滅ぼす!国民集会」に協賛団体として参加し、行動を起こすのです。多くの皆様にご参加頂ければ幸いです。 (文責:中野雄太) すべてを表示する « Previous 1 … 29 30 31 32 33 Next »