Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 全国人民代表大会に見る中国の今――中国国民の不満は確実に増大中 2012.03.11 5日に開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、中国の経済成長戦略の方向転換に関して注目が集まっています。 注目は、温家宝首相は政府活動報告(所信表明演説にあたる)の中で、2012年の経済成長率の目標を、昨年までの8%前後から7.5%に引き下げると表明したことです。(3/5ロイター「中国政府活動報告および財政省報告の骨子」⇒http://goo.gl/2tY1G) 今回の政府活動報告で特に重点が置かれているのは、これまでのような成長路線ではなく、これまで光が当てられていなかった部分に対策を施していることです。 経済成長率を7.5%に抑えた理由は、経済成長を若干抑えてでも、中国の国民生活を苦しめている物価の上昇率の抑制する必要があったためです。 また、教育や農村支援に費やす費用も増えています。これは、都市部と農村部との経済格差を解消することは容易なことではないことの表れであると考えられます。 このような物価上昇や格差問題に起因し、中国国民が抱いている不満は非常に大きいものがあります。 そして、何よりも深刻なことは、中国共産党幹部の不正が横行していることです。 この問題に対処するために、中国共産党中央は2010年1月18日、腐敗行為を押さえ込むことを目的に幹部を対象とする「廉政準則」を発表しており、2011年12月までに幹部党員4万4150人が3億8600万元(約47億6517万円)分を差し出しています。 しかし、これらは比較的軽微な不正であり、「氷山の一角」に過ぎません。今後、この問題が中国の根幹を揺るがす問題となりかねません。 実際、広東省の烏坎(うかん)村では、約40年間にわたりトップに君臨し続けた共産党村支部書記が村の土地使用権を勝手に売却し、選挙で不正を繰り返すなどして住民の不満が爆発。 村民は独自の自治組織を作ったり、抗議デモが繰り返された結果、幹部を選ぶ選挙が実施されました。(3/4 毎日「中国:腐敗追及の村、今度は自主村長選 広東省政府も容認」⇒http://goo.gl/RCxcA) この烏坎(うかん)村のケースは特殊な例ですが、こうした不正の横行に対する国民の憤りが「民主化」を促す予兆を感じさせます。 こうした事態を受け、全国で治安対策として警察などに投じられる「公共安全」の予算が前年比11.5%増となる7017億元(約9兆1221億円)となり、国防予算(6702億元)を2年連続で上回っています。(3/5 読売⇒http://goo.gl/Je9NV) 公安予算の増加は中国共産党が「自らの敵は国外ではなく、国内にある」と認識していることの何よりの証拠です。 現在、中国は国内において起こっている民主化運動や少数民族の独立運動、テロ事件を圧倒的な警察力を投入して封じ込める方針をとっています。中国政府は、こうした事態が農村や都市部でも頻繁に起こると見ているのです。 中国に存在する経済格差や不正の横行などの問題が、中国の国民の意識を徐々に「覚醒」させていることは事実です。 そのことが、中国共産党政権の「終わりの始まり」になる可能性は十分にあります。(文責・佐々木勝浩) プーチン大統領返り咲き――日ロ関係強化で中国包囲網を形成せよ! 2012.03.09 3月4日に投票されたロシア大統領選挙において、ウラジーミル・プーチン首相が約64%を得票して、大統領に返り咲きを決めました。 2000年から2008年までの間、ロシア大統領の職についたプーチン氏は、一貫してロシア国内の安定と経済の成長を目指す方針をとり、原油価格の上昇にも支えられ、GDPは6倍増となり、経済は危機を脱して大きく成長。国家財政も復活させました。 今回の選挙では、反プーチンデモなども盛り上がりを見せましたが、あっさり過半数を制したことは、未だにプーチン氏は高い評価を受けているといえます。 任期が1期6年に延長されましたので、今後、プーチン政権は、2024年まで政権を維持できる可能性があります。プーチン政権といかなる関係を結ぶかが、今後の日本の安全保障にとって極めて優先度の高い課題といえます。 プーチン氏は「柔道は単なるスポーツではない。哲学だ」という柔道家です。嘉納治五郎、山下泰裕、姿三四郎を尊敬している親日家でもあり、柔道を通して日本文化を深く理解していると言われています。 ※日本の未来を大きな関係のあるプーチン氏の本心については、3/17(土)より緊急上映される大川隆法党名誉総裁 公開霊言『「ロシア・プーチン新大統領と帝国の未来」─守護霊インタビュー─』を是非ご覧ください。⇒http://goo.gl/pkqjS 日本嫌いなメドベージェフ大統領は2010年、堂々と北方領土を昨年訪問するなどの強硬姿勢で日露関係を悪化させました。同時に、中国とロシアが接近し、蜜月になったかの印象を受けました。 しかし、昨年10月、プーチン首相(当時)が北京を訪問した際、中国が最も必要とする石油、天然ガス分野の協力分野の経済協力について、合意が達成されませんでした。 一方、プーチン氏は、LNGや電力供給を含むエネルギー分野で日本と協力を進める考えを示しています。ロシアは石油やLNGの輸出を柱とした「エネルギー供給大国」を目指しており、サハリンなど極東地域の資源開発で日本企業の協力も期待しています。(2010/10/15 朝日) 天然ガスの供給について、プーチン大統領が中国を必ずしも最優先していないのは確かです。ロシアの経済的発展に関して、日本のできる役割は大きいものがあり、またそれが日本の国益に繋がるはずです。 ロシアや中央アジアで豊富に産出される天然ガスは、原発の停止によって、化石燃料の需要が急激に高まっている日本にとっては福音となります。 特に、天然ガスは中東における不安要素が高まりつつある昨今、有力なリスク回避策となり得ます。ホルムズ海峡危機や中国の南シナ海支配により、シーレーンが寸断されたとしても、エネルギー供給を確保できる可能性があります。 また、軍事面においては、ロシアは今年行われるアメリカが主催する環太平洋合同演習(リムパック)に初めて海軍の艦船を派遣することを決定しています。(1/7 産経「ロシア艦船、米海軍軍事演習に初参加 米との協力維持模索か」⇒http://goo.gl/Lgr54) これはアメリカとの関係を模索するためであると言われています。中国の脅威に対処しなければならない日本にとって、ロシアとの軍事交流が生まれることは、国防上の利点が大きいものがあります。 幸福実現党はかねてからロシアとの協商関係の構築(「日露協商」)を提言しています。ロシアとの間で経済的な結びつきを強め、結果的に安全保障上の結びつきを強化できれば、日本は一層強まる中国の脅威に対抗していくことができます。 野田首相は5日、プーチン首相と電話で会談し、北方領土問題について「プーチン首相との間で英知ある解決に取り組みたい」と述べ、これに対し、プーチン首相は「全ての分野で日露関係を発展させるべく、お目にかかるのを楽しみにしている」と応じたといいます。 ロシアは経済分野を中心とした日本との戦略的互恵関係の構築を求めています。 日本政府は知恵を絞り、ロシアとの互恵関係をカードとして、上手に北方領土問題解決を目指すと共に、プーチン政権下のロシアと「日露協商」を締結し、中国包囲網を形成していくことが喫緊の課題であります。(文責・加納有輝彦) 「シリアの悲劇」を報道しない日本のマスコミの閉鎖性を糺す 2012.02.24 2月22日、BBCはシリア中西部のホムスにおける政府軍の砲撃により、英・サンデータイムスの女性戦場記者マリー・コルビン氏、仏・写真家男性2名を含む60名が死亡したと報じました。 欧米のマスコミは、このニュースを大々的に報じ、彼女の死を悼んでいます。 英・キャメロン首相は、国会において「これは、シリアで起こっている恐ろしい出来事を世界に知らせるために、ジャーナリストが冒している危険を我々に教える悲しすぎる出来事だった」とマリー・コルビン氏の家族、友人に弔意を表しました。 チェニジアで始まったジャスミン革命(2010/12-2011/1)、エジプトのムバラク政権の崩壊(2011/2)、リビアの軍事政権崩壊(2011/8)。これらのアラブの春の流れは、シリアにも及びましたが、シリアにおいては、アサド政権は軍事力で徹底的に民主化運動を弾圧し続けています。 シリアの反体制派でつくる地域調整委員会(LCC)によると、これまでのシリア騒乱での死者は9000人に迫ると発表しています。 コルビン記者は亡くなる前日、CNNのニュースでホムスの惨状を伝えていました。 「シリア軍は寒さと飢えに苦しむ民間人を砲撃している」と報道。胸に爆弾の破片が当たって死亡した幼児を映し出した場面では、たくさんの子どもたちが犠牲になっていると話し、「この子の姿が人々を動かし、ホムスで毎日人が殺されているのになぜ誰も止めようとしないのか、考えさせてくれるかもしれない」と訴えていました。 コルビン記者は、20年以上のキャリアを持つベテラン記者ですが、シリアの弾圧は自分がこれまでに取材した中で最悪だと話していました。シリアには、医療品も全く底をつき、けが人の治療もほとんどできない、大変悲惨な状況となっています。 コルビン記者のような勇気あるジャーナリストが命がけで取材した映像が連日、CNNなどで報道されています。 コルビン記者の実母ローズマリー・コルビン氏は、彼女はもう一つだけ取材したいと、殺害された日にはシリアを離れる予定だったと語っています。 アサド軍は「いかなるジャーナリストも、シリアの土を一歩踏んだ時、殺す」と宣言しています。彼らは、コルビン記者が滞在していた、反体制派が提供した建物を狙って砲撃したと伝えられています。 昨年来、シリアで起こっている弾圧に対して世界中から批判の声があがっています。 しかし、国連安保理は、過去2度にわたり対シリア非難決議案を、中・露の反対により否決したことで、米欧に無力感と焦燥感がひろがっています。 ようやく2月16日、国連総会決議で、反体制デモへの弾圧を続けるシリア政権への非難決議案が圧倒的な賛成多数で採択されました。しかし、この決議は法的拘束力はなく、実効性は不明です。(2/17 CNN⇒http://goo.gl/6RoNu) 決議案は賛成137、反対12、棄権17で可決され、ライス米国連大使は「国連総会はシリア国民に、世界は国民の味方だという明確なメッセージを送った」と述べました。 今月初め、拘束力のある安全保障理事会決議案に拒否権を行使した中国とロシアは、この採決でも反対に回っています。 このように命がけのジャーナリストを筆頭に、国際社会はシリア国民に思いを寄せています。 しかし、日本のTV・大新聞等、マスコミからはほとんどシリアの惨状に関する詳細報道はありません。国内問題で、どこも大差のないゴシップ報道に明け暮れています。政治家からもシリア問題に対する発言は寡聞にして聞いたことがありません。 今、日本は情報鎖国といっても過言ではない状況です。BBC、CNNニュース等、外国メディアを通じてしか、世界の真実の姿は掴めません。 日本においては、幸福実現党大川隆法名誉総裁のみが、身の危険も厭わず、国際問題に関して積極的に提言、発言をしておられます。 幸福実現党は、世界を視野に入れ、日本が「リーダー国家」として、世界の平和と繁栄に貢献できる国家を築いて参ります。 (文責・加納有輝彦) アメリカのTPP参加は中国封じ込めが目的 2012.02.22 今回は外交と知的財産権からみたTPP(環太平洋経済連携協定)の効用について論じます。 知的財産権とは、著作権や特許、商標などを指します。主には、音楽CD、映画やDVDなどが主な対象です。背景としては、違法コピーなどの、いわゆる「海賊版」が世界市場で出回っていることが問題視されているためです。 まずは外交面から見たTPPの効用です。特にアメリカは、アジア太平洋地域での貿易自由化を推進しており、2006年の段階では、APEC(アジア太平洋経済協力)の拡大版であるFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の創設を訴えていることから見ても、関心の高さが伺えます。 しかしながら、アメリカはアジアの成長を取り込むことだけをもってTPPに参加するわけではありません。アジアでは、マレーシアやインドネシアなど10カ国で構成されるASEAN(東南アジア諸国連合)があります。 ここに日本、中国、韓国を加えたASEANプラス3、さらにインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えたASEANプラス6という連合が形成されています。 つまり、アメリカは、自分たち抜きの経済圏創設に対する不満と警戒を持っているわけです。さらに、近年アジアを中心にアフリカやオーストラリアにまで食指を伸ばしている中国がASEANを取り仕切ることに対する懸念を強めています。 すなわち、外交的側面から見た場合、アメリカのTPP参加は、中国へのけん制だと言えるのです。 近年は米中関係が親密ですが、中国は人権意識が低くて民主主義国ではなく、コンプライアンスを軽視するため、信頼するパートナー(credible partner)ではありません。 ビジネスパーソンから政府関係者までが口をそろえているのが、「中国は信用できない」ということです。なぜなら、契約を平気で破り、外国企業の資産などの没収が頻発しているからです。 その意味で、中国は、依然として世界の「問題児」であり、真の資本主義国になり得ていません。 次に知的財産権に関しての側面です。現在、知的財産権を最も強力に推進しているのはアメリカです。アメリカが知的財産権強化に動くには明確な理由があります。 『TPP知財戦争のはじまり』(草思社)の著書である渡辺惣樹氏の分析によれば、アメリカは貿易赤字国ですが、サービス貿易は黒字を記録しており、オバマ大統領の輸出倍増宣言は、当分野にあると明言しています。 金融サービスや知的財産権だけを見れば、輸入が32兆円であるのに対し、輸出は43兆円で、12兆円の黒字を記録しています。特に、知財部門だけでは、特許使用料で7兆円、金融サービスは18兆円も輸出しているのです。 製造部門は赤字で農業分野がなんとか黒字とは言え、2兆円程度です。そうなると、輸出倍増の焦点はサービス分野であることは一目瞭然です。 アジアには、中国、ブルネイ、ベトナムが知財権侵害大国として君臨していることも見逃せません。 ブルネイとベトナムはTPP参加国ですので、まずは小国である両国の知的財産権を守るように仕向け、最終的には「世界最大の知財権侵害大国」中国を包囲することにあります(前述の渡辺氏は、アメリカが中国で失った知財権侵害は4兆円程度だとしている)。 こうした知財権保護強化は、日本にもメリットがあります。財務省が公表している国際収支統計におけるサービス収支は、2011年(速報値)では1.6兆円の赤字ですが、2003年から特許使用料は黒字化しており、2011年の速報値では7878億円となり、黒字を計上してから最大となっています(対前年度13.4%増)。 世界には、日本発の特許や商標などがブランドとなっているものが少なくなく、知財権保護と知財戦略が必要である何よりの証拠です。 アメリカは、自国の法律や制度を押しつける悪しき面もありますが、TPPを通じて海賊版の取り締まりや特許・著作権侵害を強化することは、日本企業を守ることにもなります。 その意味で、日米同盟の強化によって安全保障を担保し、同時に知財部門でも日米での対話と研究を深めることが大事になるでしょう。 日本でも知的財産権に関する法案や専門機関は存在しますが、「中国などの違法を繰り返す国からいかに日本企業を守るか」という視点が弱いと言わざるを得ません。 TPPは、知財戦争の始まりです。日本は、TPP参加を表明した以上は、アメリカ任せではなく、知財部門の一層の強化と人材育成を進めるべきであり、日本が当分野で積極的なリーダーシップを発揮する立場にあるということを自覚するべきでしょう。 (文責:中野雄太) チベットの「信仰の自由」を奪う中国に対して、日本政府は毅然として抗議せよ! 2012.01.29 チベットで1月23日、ダライ・ラマ14世のチベット帰還を求める住民のデモ隊に中国武装警察が発砲し、3人が死亡しました。続く24日にも、同デモ隊への発砲が行われ2人が死亡、けが人も多数出ている模様であることをチベット亡命政府が発表しています。 これに対して、中国当局は24日、暴動のきっかけは「『チベット人僧侶3人が焼身自殺する。遺体を政府に渡すな』とのデマと扇動だった」と発表しています。 今回のデモの発端は、昨年5月22日にチベット自治区ラサ市などで行われた「チベット平和解放60周年」の記念行事に遡ります。 この記念行事は60年前の1951年5月23日、中国中央政府と中国共産党の意向を受けたチベット地方政府が「チベットの平和解放の方法についての協議書」を交わしたことを祝ったものです。 しかし、実際には「平和解放」とは名ばかりの「中国によるチベット侵略」が行われました。 「チベット平和解放60周年」の記念行事の機に及んで、チベット独立とダライ・ラマ14世の帰還を訴える若い僧侶たちを中心とした中国政府への抗議を表明した焼身自殺が相次ぎました。中には中国政府の手によって遺体すら帰ってこない現状があります。 中国は、世界からの人権侵害に対する抗議をかわすために、仏教寺院を再建し、その中で礼拝することを許可しています。 しかし実際には、共産党の許可を受けた少数の人達だけが僧侶となれるだけで真の仏教信仰者の修行や布教活動は禁止されています。 中国政府への抗議は「国家反逆罪」も適用され、チベットでは5人以上の集会も認められていません。 したがって、「信教の自由」を奪われた若い僧侶たちの唯一の抗議は集会ではできず、単独行動で行う焼身自殺しか残されていないのです。 中国に自治区化されたチベットでは「ダライ・ラマ法王14世による五項目和平プラン」(1987年9月21日の米国議会における演説)によれば、過去数十年間に渡り、総人口の6分の1に当たる100万人以上のチベット人が中国人によって殺され、少なくとも同数のチベット人が信仰を持ち自由を求めたために投獄されてきました。 また、ウイグルもそうであったように中国の侵略は、大量の中国移民を送り込むことによって「民族浄化」(民族の殲滅)が行われることも共通しています。 一方で中国のチベット住民への発砲やチベット僧侶の焼身自殺が続いている報道について、米国チベット問題担当調整官を務めるオテロ国務次官は1月24日、「深刻な懸念」を表明を発表し、中国政府がチベット族の宗教や文化、言語の存続を脅かす「非生産的な政策」を実行していると批判しました。 また、国務省のヌーランド報道官も定例記者会見で、2月14日にホワイトハウスで実施されるオバマ大統領と習近平中国国家副主席の会談で、人権問題が取り上げられるとの見通しを示しています。 ヨーロッパ各国も中国の人権問題に対する関心は高く折りにふれて抗議をしてきたことは広く知られています。 特に天安門事件以降、各国は中国への人権侵害に対する抗議の機運が高まりましたが、これに口を塞いできた国は、先進国ではロシアと日本だけです。 チベットの問題は遠い国の問題ではありません。軍事的な力を背景にアジアで覇権を拡大する中国の侵略の触手は、尖閣諸島や沖縄へと伸びてきています。 中国のチベットの侵略は「チベット自治区」への中国地方政府から始まりました。 既に「沖縄琉球自治区設立」という言葉が中国で踊り始めているように、今日のチベットは「明日の沖縄」「明日の日本」になる可能性も否定できません。 チベットが中国の侵略を許してしまった背景には、争いを好まない仏教の教えの前に中国の「平和解放」の甘い言葉に潜む侵略の意図を見抜けなかったことがあります。 日本は戦後、「平和憲法」を信仰し、周辺国の「公正と信義に信頼して」、自国の平和を守ることが出来ると信じてきました。そして、「日本さえ外国に侵略しなければ、永遠に日本の平和は続く」と教え込まれて来ました。 しかし実際には、北朝鮮のような「核」で脅して食料を援助させる国や、中国のようにチベットやウイグルを侵略してきた「公正」や「信義」もない国が近隣に存在しているのです。 日本の平和は「日米同盟」という核の傘のなかにあって、米国との圧倒的な軍事的力の差の前に北朝鮮や中国が触手を伸ばせなかったに過ぎません。 「平和」とは、外交交渉の努力や国を守る気概と軍事的な背景の上に築かれているのです。日本の平和を守るためには、まず次々と侵略の歴史を重ねてきた中国の本質を知る必要があります。 しかし、中国のチベット弾圧に対して、民主党政権からは抗議する声すら聞こえてきません。 日本は「アジアのリーダー国家」としての自覚を持って、中国の人権問題に対して毅然たる態度で抗議し、中国の民主化をバックアップすべきです。(文責・佐々木勝浩) 日本はロシアと連携を強化し、「対中国包囲網」を築け! 2012.01.10 2012年は、日本の周辺諸国の指導者が一斉に替わる年で、日本の隣国の一つであるロシアも例外ではありません。 ロシア大統領選挙においてプーチン首相が与党統一ロシアから立候補すると表明していますが、2011年12月のロシア下院選挙で統一ロシア側の不正が明らかになり、大規模な抗議デモが起きています。 しかし、ロシアにはプーチン氏を超えるカリスマを持つ政治家がいないため、紆余曲折を経ながらも、プーチン氏が再び大統領の地位に就く可能性は極めて高いと考えます。 プーチン氏が再び大統領の地位に就けば、軍事・安全保障における権限を握り、メドベージェフ氏を首相に据えて経済政策を中心とした内政に専念させることで「強いロシア」を目指すことが推測されます。 日本としては、中国がアジアにおける覇権を握ろうとする中、対ロシア外交戦略を早急に構築していく必要があります。 実際、日本としては、ロシアを取り込まない限り、安全保障において厳しい局面を迎えることになります。 現在、自衛隊は北方防衛から対中国・南西シフトが進んでいますが、ロシア・北朝鮮・中国に提携されると、自衛隊は「二正面作戦」「三正面作戦」になり、現在の兵力では、どう計算しても日本を守り切ることができません。 特に、日本とロシアとの関係を複雑化しているのは「北方領土問題」です。両国の北方領土問題の行き違いは、日本とロシアの友好関係に深い溝を落としています。 ここで日本とロシアの「北方領土」の認識の違いを整理しておきます。 日本は、終戦日をポツダム宣言を受け入れて降伏した1945年「8月15日」としています。 旧ソ連は8月8日に、米国との和平仲介を持ちかけられていた日本に対して「日ソ不可侵条約」を一方的に破り、日本に宣戦布告。武装解除していた日本に侵攻、北方領土を占領しました。 ロシアは、日本がポツダム宣言受諾文書へ調印した「9月2日」を対日戦勝記念日する法案を上院で可決しています。ロシアは、この法案に基づき、9月2日までに占領した北方領土は自国領土とする主張を展開しています。 一方、日本政府は旧ソ連が「日ソ不可侵条約」を破って宣戦布告した点と、サンフランシスコ平和条約に調印していないソ連が占領した北方4島をロシアが現在も実効支配している不当性を指摘し、日本の領土であることを主張しています。 日本は、こうした歴史観、終戦の定義の相違等も踏まえた上で、戦略的外交を展開していくことが不可欠です。 アジアの覇権を狙う中国は、ロシアの北方領土の領有を後押して、日ロ関係の悪化、分断工作を狙っていることも知らなくてはなりません。 したがって、日本がロシアを中国の覇権主義を封じ込める「中国包囲網構築」に参加させるためには知恵を使う必要があります。 例えば、シベリア資源開発等の協力関係の構築を通じて経済的、通商的な関係強化を図る外交戦略を築いていくことが有効です。 既にプーチン首相は昨年10月に野田首相との電話会談で、最大与党「統一ロシア」の11月下旬に開く党大会へ特使を派遣するよう要請した経過があり、プーチン氏は、政権復帰後に極東・シベリアの資源開発に日本の積極的な協力を得ようとしています。 ただし、したたかなプーチン氏は、日本は資源開発だけやらせて、ロシアが権益を奪う可能性もあるため、日本は国益を損なわない、したたかな外交交渉を展開していくべきです。 いずれにしても、資源開発の協力や経済協力等を通じ、ロシアとの友好な関係を強化し、それによって「中国包囲網」の陣形を築き、中長期的には粘り強く「北方領土返還」を交渉していくべきです。 また、エネルギー安全保障の観点からも、ロシアとの友好関係を築く必要があります。日本は原油を1日で約440万バレル消費していますが、その9割は中東に依存しているからです。 更に「脱原発」政策による全国の原発の停止、ホルムズ海峡を巡るアメリカとイランの対立が激化等も勘案すれば、中東以外にもエネルギー供給源を模索していくことは急務です。 日本が国民の生命・安全・財産を守り、経済的な繁栄を維持していくには、エネルギーの安定供給は不可欠です。その意味でもロシアとの連携強化を図っていくことは有意義です。 アジアの平和を脅かす中国の覇権主義を打ち砕く「対中国包囲網」を構築していくためには、米国や韓国、東南アジア、インドと共に、ロシアとの緊密な関係を築いていくことが重要です。(文責・佐々木勝浩) 残虐を極めた金正日・独裁体制の実態――政府は一刻も早く拉致被害者を救出せよ! 2011.12.29 平壌で金正日総書記の葬儀が行われた12月28日、東京・文京区で「金正日の犠牲者に思いを寄せる12/28東京集会」が開かれました。 「この日は金正日を追悼する日であってはならず、金正日による犠牲者に思いを寄せる日であるべきだ」として、「救う会」や北朝鮮による拉致被害者家族連絡会、特定失踪者問題調査会等が企画したもので(実行委員長=「救う会」の西岡力氏)、横田滋・早紀江さんご夫婦らもパネリストとして参加され、会場には約200人の支援者らが詰めかけました。 集いでは、普段から日本のマスコミが一切報じない、北朝鮮国内での強制収容所や虐殺や虐待など、金正日・独裁体制の人権侵害の実態が、下記のように次々と報告されました。 ・強制収容所にはこれまで100万もの人が収容され、その多くが死んで行った。現在も20万人が収容されている。300万人が餓死し、合計700万人の自国民が殺された。 ・北朝鮮では、独裁政権打倒に立ち上がった若者たちもいたが、そうした若者は家族全員が連座制で収容所に入れられた。その結果、そうした動きは完全に封じられてしまった。 ・日本のマスコミは、金正日死去に関して多くを報道しているが、大部分はどうでもいい報道ばかりで、強制収容所の実態などについては一切報道しない。その結果、日本国民、国会議員も、金正日の犯した悪行に関する認識が極めて低い。 ・識者やマスコミは、「北朝鮮の安定化が必要」と訴えているが、それは北朝鮮の国民や拉致被害者にとっては、「地獄の安定」。 ・独裁政権の悪行を許すことは、悪に加担すること。北朝鮮の安定化を望むということは、悪魔の手先と同じ――。 改めて語られる金正日・独裁体制下の想像を超えた人権侵害の実態に、多くの参加者は驚きを隠せませんでした。 そして檀上には、特定失踪者(政府が認定した北朝鮮による拉致被害者とは別に、北朝鮮による拉致の疑いが否定できない特定失踪者。その数は250人以上に及びます)の家族や親戚10人が立ちました。 そして、「私の娘は自宅近くから20歳で失踪し、来年40歳になります。今も一切情報はありません」「40年前に子供が失踪し、私も70歳になった。私が生きている間にいい話を聞きたい。なんとかお力を頂きたい」と、切々と訴えました。 また、家族会(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会)の事務局長・増元照明さんは、「なぜ、日本の政府も有識者も『被害者を保護せよ』という発信をしないのか。今ある危機を、拉致被害者への危機に対して、もっと言わなければならない。 野田総理は北朝鮮に対し、もっと発信してほしい。国会議員も、政局をやっている場合ではない。北朝鮮の危機に真剣に向き合って欲しい。あまりに危機意識が足りない」と訴えました。 この集いで、いみじくも多くの発言者が共通して訴えていたことがあります。 それは、野田首相を始めとした日本の政治家とマスコミに、北朝鮮・金正日総書記が行ってきた虐殺と虐待、拉致など、国内外で犯してきたすさまじい犯罪行為への認識が欠如していること。 そして、そうした悪を糾弾し、その上で正義を実現しようとする意思と言葉が欠落していることへの指摘でした。 確かに、連日の日本のマスコミ報道は、総じて今回の金正日総書記の死去を、あたかも普通の国の元首の死去と同じように報じています。 それゆえに、内容がどうしても、後継者の動向や、権力継承の分析に終始しがちです。 しかし、死去した当の金正日総書記は、数多くの日本人の拉致実行命令を発し、今も拉致被害者やその家族を塗炭の苦しみに陥れている張本人であります。 そして、数百万の自国民を強制収容所や飢餓で殺害した、ヒトラーと並ぶ残虐な、文字通り極悪非道の独裁者であり、犯罪者です。 そうした隣国の「悪行」に対して、「善悪を分ける」視点を持たず、「正邪」の価値判断を意図的(もしくは無意識)に避け続ける日本の政治家やマスコミの在り方に、現在の日本の宿痾(しゅくあ)が見えてきます。 すなわち、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持する」と決意させられた憲法前文と憲法9条によって、国家の主権を守る決意と意思を奪われて久しい日本の姿です――。 拉致問題の本質は、犯罪国家・北朝鮮の加害と同時に、それを許し、さらにその後、被害者の救出すらままならない日本という国家の「主権意識と正義の欠陥」にあると言えるでしょう。 日本の国家再生への道は、そうした国家の主権意識と、主権を侵す「悪」に対しては交戦権も辞さないという、当たり前の国家としての「気概の回復」にこそあります。 幸福実現党が主張する、「憲法9条の改正」であり、「憲法解釈の変更」(前文に謳われた『平和を愛する諸国民』とは言いがたい中国、北朝鮮に対しては、憲法解釈を変更し、9条の適用対象外とする)という政策の意味と目的は、まさにここにあるのです。(文責・矢内筆勝) 自由主義対国家社会主義の戦い 2011.12.28 今回は、本年を通じて議論が百出した増税とTPP問題に触れながら、経済政策に関する本質的な流れを総括します。 野田政権は発足するや否や、東日本大震災の復興財源としての復興増税、「税と社会保障の一体改革」としての消費税増税を明確に打ち出し、着実に政治工程が進んでいます。 政府による増税路線に対し、主要マスコミのほとんどが「増税やむなし」の路線を扇動しており、日本は重税国家への道を確実に歩みつつあります。 増税に反対する声は報道されることなく、まるで「増税翼賛会」が形成されているのではないかと疑ってみたくもなります。 例えば、去る11月5日に東京で開催された「増税が国を滅ぼす!国民集会」(実行委員長:内山優JTR会長、幸福実現党も協賛団体として参加)に関しては、主要マスコミは産経のみの報道しかなく、増税に反対する声が国民には届きにくい現実を露呈しました。 加えて、共通番号制と給付付き税額控除の推進も同時並行と進行しており、わが国は増税という私有財産の収奪と、今後は政府による国民の監視へと入っていくことになります。 さらに言えば、郵政民営化の逆行現象と東京電力の国有化も進められており、いわゆる「大きな政府」へと進んでいることは間違いありません。 換言すれば、国民の自由が縮小し、政府や官僚の権限が拡大していく国家社会主義が到来しようとしているのです。 本来であれば、民主党政権の危険性や国家社会主義を追及する立場にある保守系団体や政治家までもが、増税や既得権益を守る「守旧派」となり、左翼顔負けの論陣を張っています。 その最たる例がTPP(環太平洋経済連携協定)問題でした。野田首相は、11月11日に、APEC(アジア太平洋経済協力)という国際舞台で日本がTPPに参加することを表明しましたが、国内では反対論が加熱しました。 『TPP亡国論』という本が爆発的に売れている現状を見ると、日本国民はまだまだ貿易や投資の効果に関しては否定的な感情が根強いようです。 加えて、保守系のTPP反対論は過激なものが多く、アメリカによる陰謀説や農業や公的医療崩壊説、さらに言えば、日本の伝統や文化までも崩壊させる「亡国装置」などといった、とても論理的ではない言葉で批判を展開しているものもありました。 TPP反対派の本質を一言で言えば「既得権益の保護」です。農業や公的医療が維持できるのは、必要以上に公金=税金が投入されているからです。 世界のどこの国でも、農業は保護産業となる傾向は存在しますが、さすがに米の778%という関税は高すぎます。 公的医療に関しては、社会保険式による収入は3割しかなく、7割は税金の投入によって成り立っています。 いくら安心・安全を提供する社会保障とはいえ、これでは慢性的な財源不足に直面します。 公的医療制度は、TPPによって崩壊するというよりも、むしろ税金の過剰投入によるコスト増によって崩壊する可能性の方が高いのです。 それを回避するための「社会保障の選択と集中」の議論が必要なのですが、増税論だけが進行しているのが現状です。 TPPに関して言えば、日本は対中包囲網を形成するFTAAP(アジア太平洋自由貿易地域)の強化、貿易と投資促進による国内消費者のメリット増大、ISD条項による国内投資家の保護など、メリットはたくさんあるわけです。 また、懸念される交渉は数十年の時間をかけて議論をすることができることや、参加国の同意なしでは何も決められません。そのため、反対派が懸念されるようなアメリカによる独占的な意思決定は不可能なのです。 加えて、参加国には、多くの途上国が含まれている以上、日本は攻めの交渉を通じて貿易と投資の自由化を促進し、成長に貢献することも可能となります。 ベトナムなどの共産主義・社会主義国がある以上はISD条項によって投資家が保護され、共産主義国・社会主義国を自由主義陣営へと変換していく役目も無視することはできません。 総じて言えば、日本の経済政策は外国との競争を嫌い、TPPに反対する様子は「鎖国論」に近く、ヒト・モノ・カネ・情報が国境を超える国際化社会に逆行しています。 自由で、競争力を高めることは、国内の産業を強化するだけではなく、消費者にもメリットをもたらします。 逆に、保護や規制を強めると、国際競争に勝てない産業が温存され、最終的には高価なコストを消費者に払わせることになります。 現在の日本では、TPP参加に代表される自由貿易と保護貿易、郵政や東電にみる民営化と国営化、復興や社会保障財源としての減税と増税いった対立図式ができつつあります。 残念ながら、現政権はほぼ全て後者を選択しており、国家社会主義へと進んでいます。 一方、幸福実現党は前者の立場をとり、「自由の大国」を目指しています。 このように、現在は「自由主義対国家社会主義」の思想戦も同時並行で行われていると考えることもできるのです。 特に、増税とTPP問題を通じて、経済思想の対立図式が明確になったと言えましょう。(文責・中野雄太) 野田首相訪中――中国頼みでは北朝鮮問題は進展しない 2011.12.26 野田首相は25日、就任後初めて中国を訪問し、温家宝首相と会談しました。会談後、野田首相は「6カ国協議の議長国である中国と緊密に連携することを確認したことは大変意義があった」と、成果を報告しました。 しかし、北朝鮮問題では、中国と日本とでは「温度差」が浮き彫りになりました。 野田首相は、朝鮮半島の平和と安定のために、北朝鮮への働きかけを強めるよう要請しましたが、温家宝首相は、「関係国が冷静さを維持することで6カ国協議を再開し、対話と協力を通じて非核化を実現したい」と、日本を含む関係国に「冷静になるよう」対応を促しました。 また、拉致問題では、温家宝首相は「日朝間の問題」と従来の中国の立場を崩しませんでした。北朝鮮は「拉致問題は解決済み」と主張しているため、「北朝鮮を刺激したくない」というのが中国の本音でしょう。 野田首相は、26日午前には胡錦涛国家主席と会談しましたが、温家宝首相と同様、踏み込んだ発言は無く、拉致問題についても、日本側の協力要請に対して中国側は「対話と協力による問題解決」を訴えるなど、日本との温度差が一層、浮き彫りになりました。 中国は秋の共産党大会で政権交代を控えており、隣国の混乱は何としても避けたいのです。これまでも北朝鮮への圧力には慎重でしたが、今後は、北朝鮮が嫌がる「核」や「拉致問題」で、国際社会が厳しい条件を付けることに一段と難色を示すと予想されます。 2010年3月の韓国の哨戒艦が魚雷攻撃で沈没した事件でも、11月の韓国の延坪島砲撃事件でも、北朝鮮の暴挙に対し、中国は北朝鮮を擁護し続けました。日本やアメリカが「中国が北朝鮮をけん制してほしい」と言っても、中国は「優しい」態度を取り続けました。 中国が北朝鮮をかばい続ける理由は一つです。中国にとって北朝鮮は便利な国であり、北朝鮮を「緩衝地帯」としてクッション役にすることで、中国は韓国やアメリカ等の民主主義国と直接接しなくても済みます。 そのため、中国は、北朝鮮に石油や食糧をせっせと支援し、生かしておくのです。中国と北朝鮮は地下で通じています。 よって日本の外交姿勢が「中国頼み」では、北朝鮮問題は何も進展しません。日本がなすべきことは、日米韓の結び付きを強くし、自国の防衛体制を整えることです。 日米同盟が弱まったと感じられた時、北朝鮮は強気に出て、それを中国が裏で支援するでしょう。しかし、日米同盟がしっかりと保たれ、アジア全体に、日米の確固とした安定感と存在感を打ち出せれば、中国も北朝鮮も勝手な真似はできないはずです。 17日と19日に日本海に向けてミサイルを発射した金正恩氏の判断や行動を見ると、好戦的で慎重さに欠け、野心に満ちた指導者であり、今後、軍事的な突発行動も予測し、手を打っていかねばなりません。 「安全保障は素人だ」と自認する一川防衛大臣や安全保障会議に遅刻してくる山岡国家公安委員長など、「防衛オンチ」を安全保障の中核に据える野田政権の危機管理能力のお粗末さでは、来年以降、日本に迫りくる国難に対応できません。 日中首脳会談での成果を自慢げに語る首相ですが、「もし、中国が何か起こしたら、アメリカと連携して、行動に出るぞ!」くらいの強気で温家宝首相に対峙できたら成果はあったかもしれませんが、今回の内容では代わり映えしません。 野田首相は、北京で25日夕に行われた日中首脳会談で、中国国債の購入を表明しました。規模は最大100億ドル(約7,800億円)相当とみられます。疲弊する日本国民から増税して、世界第2位のGDP国を支援するなど、朝貢外交にも程があります。 中国国債100億ドル購入という「手土産」を持参しながら、野田首相訪中の成果は、仙台の動物園へのパンダ貸与で合意したことぐらいしかありませんでした。 日本を取り巻く安全保障情勢が不透明感を増す中、もはや野田・民主党政権に「国民の生命、財産、安全」を守ることを期待することはできません。 国を守る気概のない野田首相には即刻、退陣していただく以外にありません。(文責・竜の口法子) 野田首相の訪中延期と今後の日中関係について 2011.12.11 12月12、13両日に予定されていた野田首相の中国訪問が延期され、日中両政府は訪中日程について、25、26の両日とすることで最終調整に入っていると報道されています(12/9時事通信)。 しかし、年末は予算編成等の内政や外交日程が立て込んでおり、年内の実現は厳しく、訪中は来年になるとの見方も出ています。 いずれにしても、日中政府は「国交正常化40周年」に当たる2012年を前に首相訪中を実現し、「戦略的互恵関係」の進展を確認したい考えです。 これまでHRPニュースファイルでも、12月12、13日に訪中すれば、「南京事件」について謝罪を迫られ、日本は更なる支援を要求される懸念を表明して来ました。 12月13日は旧日本軍が南京に入城した日です。中国では、旧日本軍による南京占領74周年に向けた記念行事が5日から13日まで江蘇省南京市の南京大虐殺記念館で行われています。 この記念行事が行われるのは例年通りですが、「74年目」という、節目でもない年に、例年以上の規模の行事を開催。まさに野田首相を謝罪させるにふさわしい演出がなされる予定でした。 旧日本軍の南京占領向けた記念行事は、その時々の日中関係に応じて政治的なメッセージが込められています。 かつてない規模での記念行事の背景には、中国当局の日本謝罪を謝罪させる目的があったのではないかと推測されます。 しかし、中国側が6日、北京の日本大使館に「内政上の都合」で延期を要請してきました。今回の野田訪中の延期要請は、中国側からの要請であったことは間違いあいません。 ところが中国側は「訪問延期は、日本の首相官邸から申し出があった。国会の日程と関連しているようだ」と発表しています。(12/9レコードチャイナ) 延期要請の理由について日本政府内では「13日が旧日本軍の南京占領から74年にあたるので、インターネット上などで高まっている反日感情に中国側が配慮したため」との見方が出ています。(12/6毎日) また、そうではなく、中国共産党と政府の最高指導部が出席して経済運営方針を話し合う年に1度の「中央経済工作会議」が同時期に開催される方向となっていることが影響したとの見方もあります。 評論家の石平氏は「今回の野田首相の訪中延期は日中関係上の問題のからではなく、むしろ中国の『内政上の事情』によるものであるとはほぼ確実である」と断定しています。(12/7「石平のチャイナウォッチ」) その理由として、中国の経済の減速がかなり危険な方向へと進んでいる中で、現在の「金融引き締め政策」を堅持していくべきかどうかについての大論争があり、それが党内闘争の様相まで呈していると指摘しています。 つまり、中国の指導部にとって、今は外国の首脳を迎えて外交問題を語るところでなくなっているということです。 いずれにしても、元々、中国側の強い要請によって進められて来た日本首脳の訪中が、中国側の「内政問題」という一方的都合で延期されたこと自体、中国が日本をいかに軽視しているかが分かります。米国相手でしたら、こうした失礼な対応はなかったでしょう。 いずれにしても、これまでの中国外交を見て来ると「戦略的互恵関係」を強調する中国に対して、日本は中国侵略の謝罪の代償として一方的に奉仕させられる可能性が高いことは間違いありません。 中国の「嘘も百回唱えれば本当になる」歴史の歪曲に対して、正しい歴史事実に基づいて反論できる政治家が今必要とされています。 自民党時代より、中国の言うがままに謝罪を繰りかえし、ODAなどの支援を要求され、その都度、日本国民の「血税」が中国に吸い上げられ、結果的に、日本国民は中国の経済発展や軍事強化に奉仕させられて来ました。 こうした中国の外交戦略をしっかり見抜いた上で、日本の国益を守りながら、アジア全体の平和を見据えた日本の外交戦略を持たねばならない時期に来ています。 こうした「危機意識」無き、外交オンチな民主党政権に、いつまでも日本の舵取りを任すことはできません。(文責・佐々木勝浩) すべてを表示する « Previous 1 … 94 95 96 97 98 Next »