Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 南シナ海をめぐる米中の今後 2015.11.19 文/幸福実現党・岡山県本部副代表 たなべ雄治 ◆南シナ海の人工島の落としどころ 先月末のことですが、南シナ海で中国が埋め立てた人工島の12カイリ内を、米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」が航行しました。 緊張の高まりをニュースが伝えていましたが、この事件は今後どういう方向で落ち着くのでしょうか。 カーター米国防長官は、「埋め立てと軍事化への行動の永続的中止」を要求し、「航行の自由の原則を守り、国際法が認めるあらゆる地域で飛行・航行させる」と決意を示しています。 そして今月の12日にはB-52戦略爆撃機2機に付近を飛行させました。 ◆アメリカの姿勢の変化 現在アメリカは南シナ海の航行の自由に対して強い姿勢を見せていますが、ここに至るまではいたって消極的でした。 米国防総省は半年も前から、艦艇を派遣すべきだとオバマ大統領に進言していました。しかし、米中の交流を重視するオバマ大統領は受け入れませんでした。 偵察機を侵入することすらできず、ただ中国への批判を強めるだけでした。 そんなオバマ大統領を試すかのように、大統領がアラスカ州を訪れている9月22日のタイミングを狙って、中国海軍の艦艇5隻がアラスカ沖の米国領海内に通過しています。 しかしこれに対してもアメリカは、「国際法には違反していない」と説明するのみでした。弱腰なのか関心がないのか、失望していたところ、今回アメリカは態度を変えて南シナ海に強い関与を始めました。 南シナ海の周辺諸国にとっては良いニュースです。その背景には、10月初旬のTPPの妥結が影響しているのかも知れません。 ◆中国を分析する 中国の姿勢も変化しており、近年アメリカに対して大胆になってきています。 中国の態度を解き明かす一冊としては、マイケル・ピルズベリー著『China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦争」』が秀逸です。 CIAや国防総省を歴任した中国専門家の著者は、中国を理解した結果、親中派から反中派に転向するのですが、大変示唆に富んだ内容になっています。 元親中派だった著者が自戒を込めて、中国分析の専門家が誰しも中国に上手に騙されていたことを告白しています。 ピルズベリーによると、中国は無能なふりをして、アメリカを油断させることを徹底してきました。 そして、米中は協力することが可能であり、中国は民主化と自由化の過程にあり、アメリカの助けを必要とする弱い国であると、アメリカの政府関係者に信じ込ませることに成功してきたのです。 そのうえで中国は、アメリカからの経済的・技術的・軍事的な協力を引き出してきました。米ソ冷戦の最終局面を迎えたレーガン政権以降では、継続して兵器と軍事技術の提供すら受けていたのです。 さらに悪いことに、武器輸出と技術供与は、冷戦が終わった今でも続いており、しかも現在トータルでいくら使っているかを把握できていないというのです。 著者は、中国支援の各機関には毎年の報告義務を負わせるべき、と主張しています。 中国の軍事開発は、米軍を安価で効果的に退ける分野に特化して、空母キラーや衛星破壊兵器、電子機器を破壊する兵器に力を入れています。 軍事費の対GDP比はアメリカの1/4に過ぎず、その分を国営企業に多額の資金援助として回して、国際競争力を支えています。 経済でアメリカを抜けばおのずと覇権が握れる、という戦略なのです。そして肚の中ではアメリカを敵視しながら、中国に覇権が移る日を夢見て、ひたすら耐えてきたのです。 その中国が、大胆にもアメリカに挑戦するような態度を露わにし始めました。 中国の自信の表れなのか、資源確保への危機感からなのか、注目すべき点です。 ◆人工島の決着はどうなるか 中国が人工島の開発を中止して放棄したならばアメリカの勝ち、のらりくらりと開発を続けることができたら中国の勝ち、と言ったところでしょう。 アメリカが強く出てきた以上、中国は再び態度を改めて、柔らかく出てくる可能性があります。しかし、中国の本音、世界覇権の夢は変わるものではありません。 物腰の柔らかくなった中国に油断することなく、南シナ海の航行の自由を守るべく、私たちも人工島の今後に目を光らせなくてはなりません。 安保法制は「戦争法」ではない3つの視点【後篇】 2015.11.14 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 前回、ポイント1――安保法制は「戦争法」でなく「戦争抑止法」であること。 ポイント2――安保法制は、「邦人救出法」であることを述べて参りました。 ◆ポイント3――安保法制は、「シーレーン防衛法」 南シナ海は、日本のシーレーン(海上輸送路)です。日本に石油を運ぶタンカーは南シナ海を通ってきます。 中国は、国際海洋法を無視し、フィリピンの抗議に対しても軍事的な圧力を加え、南シナ海でサンゴ礁を勝手に埋め立て軍事基地化してきた国です。 南シナ海全部が自分のものだと主張する中国は外国が南シナ海を航行することを制限しようとしているので、このまま何もせず黙っていたら南シナ海は中国の海となり自由に航行ができなくなります。 安保法制に反対する人々は、中国に対して「話し合いで解決すべき」と言いますが、中国軍が南シナ海から撤退するような、どんな効果的な抗議をしたのでしょうか? オバマ大統領は、9月末の米中首脳会談で、この「南シナ海問題」を取り上げ、習近平氏に対して話し合いで「重大な懸念」があると伝えましたが、習近平氏は「南シナ海の島々は中国固有の領土」と反論しました。 中国の南シナ海を支配するための戦略は、「中国とフィリピンの問題」だと主張し、大国アメリカの介入を防ぐことです。中国は軍事力の弱いフィリピン一国が相手であれば、軍事力でひねり潰すことは簡単なことです。 しかし軍事力で上回るアメリカがフィリピンを支援すれば、それだけで中国は手を出すことはできなくなります。 話し合いも通じない中国に対して、ついに米国は南シナ海の「航行の自由作戦」として軍艦を派遣しました。これは決して戦争をするためではありません。 アメリカは軍艦の航行を既成事実化し、中国の南シナ海の軍事基地化を抑止することによって自国の船だけでなく外国船の「自由航行」を守っているのです。 ◆日本を滅ぼす「安保法制反対」「脱原発」 安保法制に反対して国会を取り囲んでいる人々は、原発も反対しています。 脱原発派は、太陽光で電力をつくれば良いと言いますが、現在は火力発電が日本の経済を動かしています。火力発電を動かす石油は中東からインド洋、マラッカ海峡、南シナ海の海上輸送路を通ってきます。 安保法制反対派は、中東方面の海域で機雷が設置されても、その掃海のために自衛隊を派遣することにも反対しています。では誰がそれを取り除くのでしょうか。それもアメリカにやらせるのでしょうか。 また中国が南シナ海を封鎖するようなことがあれば、日本のエネルギーは完全にストップします。 原発を稼働させれば、日本国内でエネルギーをつくることもできますが、エネルギーを石油に頼っている現在、安保法制反対派は、どうやってこのシーレーンを守るのでしょうか? 「脱原発」で自国のエネルギー生産を止めながら、「安保法制反対」で石油を運ぶ海上輸送路の防衛のために自衛隊も派遣しないというわけです。 海上輸送路が危機になれば日本の経済は成り立たなくなります。電力がなければ、企業は倒産します。失業者も増えるでしょう。 「安保法制反対派」「脱原発派」は、今度は「仕事よこせ集会」を国会の前でやらざるを得なくなります。自分たちがその原因をつくったことも気がつかずに。 「一国平和主義」、つまり、自分の国、自分の生活にしか関心がなく、国際情勢がどのように動いているのかも分かっていません。 もっと視野を広く持ち日本が置かれている国際情勢に関心を持てば、いま日本が何をなすべきか気がつくはずです。 安保法制に反対する人々は、だいたい口々に言います。「人は殺してはいけない。もし攻めてくる国があれば自分は逃げる」・・・そんな人々に政治を口にする資格はありません。 自分の命を守ることが第一で、国民の命をどう守るのか、国際社会で日本がどんな責任を果たせるのか、それが政治にかかわる者の責任です。 ◆戦争の原因をつくっている「安保法制反対派」 先の大戦の最大の理由は、石油の70%を頼っていたアメリカに石油を止められたことが大きな原因でした。エネルギーをストップされたから、日本は自滅するか、戦争をするしかなくなくなったのです。 つまり「安保法制反対派」は、「戦争はさせない」と言いながら、逆に戦争の原因をつくっているとも言えます。 以上、安保法制は、「戦争法」ではなく、「戦争抑止法」「邦人救出法」「シーレーン防衛法」です。これを「安保法制反対派」の人々に伝えたら、考えが変わる人もいると思います。 彼らの行動力を凌駕する我々の活動が必要な時です。その為に、今後も幸福実現党は頑張って参ります! 安保法制は「戦争法」ではない――3つの視点【前篇】 2015.11.13 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆安保法制は「戦争法」ではない 安保法制が可決されてもなお、共産党を中心として、「戦争法廃止」を求める署名活動を展開しています。 しかし安保法制は、「戦争をするための法律」ではありません。その論拠として、今回は「3つの視点」を提示します。 ◆ポイント1――安保法制は「戦争法」でなく「戦争抑止法」 安保法制に反対する人々が言うように「日本が二度と戦争をしない国」になっても、中国や北朝鮮は「戦争を放棄しない国」です。 日本が戦争をしたくなくても中国や北朝鮮は戦争を想定していることを忘れてはなりません。 中国は、1970年代に尖閣諸島海域に海底資源があると分かると尖閣諸島を自分達の領土と言い始め、最近は、沖縄も中国のものと言い始めています。 習近平は、2013年に甘粛省蘭州軍区を視察の際に、「部隊は、招集されれば直ちに駆け付け、駆け付ければ戦争できる状態にし、戦えば必ず勝利するよう確保しろ」と指示しています。 (2013年2月7日『解放軍報』) また北朝鮮は、「東京、大阪、横浜、名古屋、京都の地名をあげて「朝鮮敵視は破滅をもたらす。1940年代の核の惨禍とは較べられない災難を被る」(労働新聞2013年4月10日)と日本の都市を名指しでミサイル攻撃すると言いました。 日本は戦争をしたくなくても、戦争を仕掛けてくる国が隣国にあるならば、「戦争にならないために何が必要か」を考えなくてはならないのです。 中国側から見てみましょう。攻めたい相手が一国で、中国より軍事的に弱ければ戦争に勝てます。 しかし、日本を攻めたらその後から軍事大国の米軍も参戦してくるということになれば、中国は簡単に日本を攻撃できなくなります。これが集団的自衛権の持つ「抑止力」の意味です。 ですから安保法制は「戦争をするための法律」ではなく、「戦争を抑止する法律」なのです。 ◆ポイント2――安保法制は、「邦人救出法」 今年8月、南北の軍事境界線の韓国側で地雷が爆発し、韓国軍下士官が負傷した事件を機に、北朝鮮と韓国は戦争寸前まで緊張が高まりました。 今回は南北対話で戦争の危機は回避されましたが、現在は休戦状態であり、完全に戦争の危機が回避されたわけではありません。 もし朝鮮半島で有事となれば、韓国には、約3万人の邦人がいます。 もし戦争になれば、韓国の約3万人の邦人を救出しなければなりません。自衛隊の船だけでは救出は無理で、民間の船も出さざるを得ないでしょう。安保法制は、こうした対応にも有効です。 つまり、日本の民間船を出して米国や邦人を救出し、自衛隊と米艦隊が護衛することで3万人を安全に救出することができます。 この点について私は、先日某大学で行われた安保法制に関するシンポジウムの質疑応答で安保法制反対派である日本共産党の衆議院議員に、朝鮮半島で有事になった際、どうやって邦人を救出するのか質問をしました。 答えは驚くべきことに「民間が救出に向かい解決すると法律で決まっています」と平然と答えたのです。これには私も呆れてしましました。 安保法制反対派は、邦人の救出のため民間人を紛争地に丸腰で行かせるのだそうです。「自衛隊を死なせてはならない」が民間人は死んでもいいと言っているようなものです。 ここからも日本共産党の「戦争反対」のスローガンが、日本人の生命は守れない、いかに空しい言葉であるかがわかるでしょう。 過去の教訓として邦人救出に民間を戦争地域に向かわせることはできいことがわかっています。 「イラン・イラクの戦争」の際、1985年、イラクのフセイン大統領は、イラン領空を「戦争空域」と宣言し48時間の猶予期を設け、それ以降はイラン上空を飛ぶ航空機を無差別に攻撃すると声明を発表しました。 イランの在留外国人は一斉に出国しましたが、在留邦人を乗せてくれる飛行機はなかったのです。 日本政府は日本航空にチャーター便の派遣を依頼したのですが、日本航空の労働組合は、組合員の安全が保障されないことを理由に要請を拒絶しました。 日本共産党には支持母体である労働組合を説得して民間人を戦争の地へ派遣していただきたいものです。 結局、イランの在留邦人は、近隣国のトルコが飛行機を飛ばしてくれ、タイムリミットのギリギリのタイミングで在留邦人を救出してくれました。トルコ人は陸路避難を余儀なくされましたが、だれも日本人に文句をいうものはいなかったのです。 ここで詳しいことは述べませんが、トルコがなぜ日本人を救出してくれたかは下記をご覧ください。 参考:映画「海難1890」――12月5日公開! 「日本人が知らない奇跡の実話、なぜあのときトルコは日本を助けてくれたのか」 http://www.kainan1890.jp/ 朝鮮半島有事の際に、3万の邦人をどうやって救出するのかを考えれば、安保法制が「戦争をするための法律」ではないことが分かるはずです。 次回、ポイント3――安保法制は、「シーレーン防衛法」であること、「安保法制反対派」は「脱原発派」でもあり、日本を滅ぼす理由でもあることを明らかにします。 (つづく) 揺れる南シナ海問題――東南アジアの自由と繁栄を守れ 2015.11.10 文/HS政経塾4期生 西邑拓真(にしむら たくま) ◆ASEAN拡大国防省会議(ADMMプラス)とは 今月の11月4日に、マレーシアのクアラルンプールで、第3回拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)が開催されました。 参加国は、ASEAN域内の10ヶ国と、それに域外国8ヶ国(日本、米国、中国、豪州、インド、ニュージーランド、韓国、ロシア)を加えた全18ヶ国で、日本からは中谷防衛大臣が参加しました。 2006年よりASEAN域内での防衛当局間の閣僚会合として、ADMMが創設されましたが、2010年からは「ADMMプラス」として、同会議にASEAN域外国も参加するようになります。 この創設について、「地域の安全保障・防衛協力の発展・進化の促進という観点から、極めて意義の大きいこと」と評価されています。 ◆宣言を採択できなかった今回のADMMプラス 今回のADMMプラスで最大の争点となったのが、中国の人工島造成を背景に緊張が高まっている南シナ海問題です。 アメリカやその同盟国が、貿易の要衝である南シナ海で中国が存在感を高めていることに対する警戒感から、同海域における「航行の自由」を求める旨を共同宣言に盛り込むべきことを主張していました。 しかし、そのことに対し中国が強く反発したことから、結局、会議が創設されて以来初めて、共同宣言の採択が見送られることになりました。 最終的には、拘束力のない議長声明を出すことに留まり、その表現も「航行の自由」についての言及はなく、「南シナ海における行動規範の早期締結の重要性」について言及することに留まっています。 ◆背景にあるASEANを巡る「米中綱引き」 共同宣言を採択することができなかった背景として、アメリカ・中国間でASEANを巡る激しい「綱引き」があり、それによってASEANが一枚岩になりきることができていないという現状を指摘することができます。 ASEAN各国の立場は、(1)中国との領有権問題を抱え、米国との連携強化を進める立場、(2)米中両国に配慮する中立の立場、(3)中国を支持する立場、の大きく3つに集約することができます。 つまり、(1)の立場に立つフィリピンやベトナムが、「航行の自由」を掲げるべきだとする日米豪を支持する一方で、(2)の一部や、ラオスやカンボジアをはじめとする(3)に分類される国々が中国を支持していることにより、ASEANの結束力が十分でない状況となっているわけです。 ◆カギとなる、米国の軍事的影響力とTPP そのような中で、(2)の立場を取り、これまで中立を保ってきたマレーシアやインドネシアが、南シナ海における中国の行動に対して反発する立場を取り始めていました。 その背景として、アメリカが、人工島12カイリ内へ軍艦船を派遣したことに表れているように、アメリカが中国に対する態度を変え、「圧力」を高めたことに求めることができます。 それについて、「米国が関与拡大を明確にしたことで、中立国も対中批判を公言しやすくなった」とする声も挙がっています。 また、TPP交渉が大筋合意に達したことが、中立国が経済成長を実現するために、アメリカとの関係強化を図ろうとする動きにつながりうるとの指摘もあります(10/31日本経済新聞電子版「東南ア、中国けん制へ傾く 米の関与拡大に呼応」参照)。 このように、ASEAN諸国が団結を強め、南シナ海における中国の侵略的な行動に歯止めをかけるためのカギとなるのが、米国の軍事的存在感の拡大と、TPPによる自由主義経済圏の拡大を通じた「経済成長」への期待と言えるでしょう。 ◆東南アジアの自由と繁栄の実現のために 一方で、ADMMプラスの終了後、中国の周近平国家主席は、ベトナム、シンガポールを訪問、首脳会談を行うなどして、中国側も、経済関係の強化を通じた東南アジア各国の中国への取り込みを図り、その影響力の拡大を狙う動きを活発化させています。 こうした中、今月17日から19日にかけて、フィリピンのマニラでアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれ、ここで南シナ海問題に関する協議やTPP首脳会談が行われるとされています。 こうした場でアメリカなどは、大きな経済的メリットと、中国包囲網としてのTPPの機能を訴え、ASEAN諸国を取り込む必要があります。 ただ、アメリカの軍事的影響力については、長期的視座に立てば、ベビーブーム世代が大量に引退し、年金等の国家負担が増大することで兵力の削減は不可避となり、世界の二地域で同時に大規模な戦争を遂行する能力はもはやなくなるのではないかという指摘もあります。 こうした実情によりオバマ大統領が南シナ海で影響力を行使できないだろうと踏んでいるからこそ、中国は同海域での挑発的行動を活発化していると言えますが、アメリカの影響力低下を抑制するためには、今後、日本の国防上の影響力拡大が望まれるところでしょう。 このように、中国による侵略的行為から東南アジアを護り、同地域における自由と繁栄を実現するためには、TPPを機に自由主義経済圏を拡大させることと同時に、日米同盟を基軸にしながら、日本が国防上のリーダーシップを発揮していくことが今後必要になってくるのではないでしょうか。 参考文献 伊藤貫(2012)『自滅するアメリカ大国-日本よ、独立せよ』 文藝春秋 日本経済新聞(電子版)「南シナ海で問われるASEANの結束」2015年11月6日 日本経済新聞(電子版)「 米中、東南ア取り込み過熱 南シナ海問題」2015年11月5日 ユネスコ記憶遺産登録から考える日本外交 2015.11.06 文/幸福実現党・群馬県本部副代表 安永あきら ◆正しいことが通じる外交 世界に対して正しいことが通じる日本の外交姿勢が今ほど求められている時はありません。 今年は戦後70年目の節目にあたり、「安倍談話」の発表によって日本が過去の自虐的な歴史観から脱却し、それによって正しい歴史観を世界に発信するチャンスでもありました。 これまで日本の外交は「弱腰外交」と揶揄されてきましたが、戦後70年を機に外交姿勢が変わる期待感がありました。 しかし、その期待は裏切られたと思っている方々も多いことでしょう。 安倍談話については、一部の保守の識者の方々は、歴史観を前進させたという意味で評価していました。 一方で、それとは真逆の立場から左派のマスコミは、中韓よりに歩み寄ったと評価もしています。 保守と左派の両方から評価を受けるような「たまむしいろ」の談話が、今回の安倍談話であったと思います。 本当は、安倍談話で日本の歴史の正当性をしっかりと発信し、国民が日本の歴史に誇りを持てるような歴史観を世界に発信すべきでした。 ◆本来の敵は日本国内の自虐史観 そうした中で、10月初旬に中国がデッチ上げた「南京30万人大虐殺」の歴史がユネスコ記憶遺産に登録されました。今後中国は、「日本は悪い国だった」という「反日宣伝」を世界に対して行っていくことは間違いありません。 ユネスコも、本来の記憶遺産登録の趣旨を逸脱し、特定の国の主張による「政治宣伝」を許してしまいました。その責任はユネスコの姿勢にあることは言うまでもありません。 しかし、日本国の外交戦略、文部科学省の取り組みは、はなはだ「弱腰」で、中国の間違った申請を取り下げさせるための動きは見えませんでした。 ◆当初から記憶遺産問題に取り組んだ幸福実現党 その中で当初よりこの問題に取り組んだのが幸福実現党です。釈量子党首が率先してパリのユネスコ本部にも出かけユネスコに対して、中国が申請した資料に対して、批判文書を提出し、中国の記憶遺産登録は認められるものではないと訴えてきました。 こうした幸福実現党の活動については、保守の識者の3人の方も現在発売さている月刊「正論」12月号で紹介してくださっています。 ■月刊「正論」12月号 (平成27年10月31日発売) 【特集】「南京」と堕ちたユネスコ・国連」 http://seiron-sankei.com/recent 国内でも幸福実現党の署名活動で政府への早急な対応を求め、また街頭宣伝活動も展開し、「幸福実現ニュース」など全国に配布し啓蒙活動を行って来ました。 ◆戦略無くして外交無し ところが政府与党には、このような「危機感」はまったくなく、外務省と同様に適切な手は打っていなかったのです。それどころか登録が決まってからあわててユネスコに抗議しているような始末です。 このような政府の外交姿勢の根幹には、安倍談話に大きく影響されていると言っても良いでしょう。 国会議員の多くが平和安全保障法案の成立に力を注いでいたかもしれませんが、中国の野望が着々と進められていた時に、日本の外交は単眼的な戦略しか持ち合わせていなかったのです。 「戦略無くして外交無し」、戦略を描ききれない日本外交の見直しは急がなくてはなりません。 今からでも遅くありません。ユネスコ拠出金の見直しを政府は検討していますが、他にもユネスコの規則では、「登録の削除や再評価」をすることができます。 ※『ユネスコ記憶遺産・記録遺産保護のための一般指針』「4.8 リストからの削除」(27頁) http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2015/07/07/1355545_02_1.pdf (引用)「記録遺産は、劣化したりその完全性が損なわれたりしてその登録の根拠となった選考基準に適合しなくなった場合、リストから削除されることがある。新たな情報によって登録の再評価が行われ、非適格性が証明された場合も削除の根拠となり得る。」 今後、ユネスコに対して「どの様に対処」させるのか政府・外務省の姿勢が問われてきます。 他にも外交問題は山積しています。強い姿勢を示すことで「拉致人権:北方領土:竹島:尖閣諸島:東シナ海ガス田プラットホーム:強制連行慰安婦問題等など」問題解決の糸口が見えてきます。 幸福実現党としても、今後も自虐史観一掃の取り組みと合わせて強い日本国、自信と誇りを取り戻す国民大運動にして参ります。 沖縄独立と台湾独立、正当性があるのはどちら? 2015.11.05 文/HS政経塾スタッフ 遠藤 明成 ◆今後の安保政策の争点――普天間基地移設問題 米軍普天間飛行場の移設に関して、翁長雄志・沖縄県知事は10月13日に辺野古沿岸への埋め立て承認を取り消しました。 政府は、以下の二つの措置で対抗しています。 (1) 取消処分の効力停止 翁長知事の承認取り消しに対して、移設を担う防衛省が県知事の取消処分の効力停止を国土交通相に申し立てました。 この主張が認められ、防衛省は作業を再開しています。 (2) 代執行 また、政府は、国交相に知事の代わりに事務手続きを行わせようとしています。 これは知事に代わって取消処分を撤回する手続きです。 (大臣の是正勧告に知事が従わない場合、高等裁判所で訴訟をし、これに国が勝てば代執行となる) 防衛省の作業再開と「代執行」が同時に進められる背景には、移設に際して、裁判所のお墨付きを得たいという意図があります。 これに対して、沖縄県は取消処分の効力停止を不服とし、第三者機関の「国地方係争処理委員会」に審査を申し出ています。 ここで否認された場合は、沖縄県は訴訟に持ち込むことでしょう。 ◆「沖縄の自己決定権」? この「辺野古の闘争」に際しては、「沖縄の自己決定権」という標語が用いられています。 例えば、連載記事をまとめて『沖縄の自己決定権』と題した書籍を刊行した琉球新報社は、「日本政府は、主体的生き方を法律でつぶそうとする。その象徴が辺野古の闘いだ」(大城立裕氏・作家)という発言を紹介し、この書籍をPRしています(※1)。 しかし、そもそも、「自己決定権」とは何なのでしょうか。 これは、「自分自身に関する重要な事柄を自分自身で決める権利」(※2)のことです。 「個人の人格的実存にかかわる重要な私的事項を公権力の介入・干渉なしに各自が自律的に決定できる自由」(※3)とも言われます。 治療拒否や尊厳死、出産や堕胎、学生の髪型や服装の自由などの問題で、この権利が争われることがあります。 しかし、基地の移設は日本の外交・安保政策や国全体の安全保障に直結するので、個人的な事柄とは到底言えません(※4)。 そのため、「沖縄の自己決定権」を掲げて基地反対闘争を正当化するのは、論理的には無理があると言えます。 ◆沖縄と台湾の政治運動を比較する 「沖縄の自己決定権」だけでなく、もう一つ、注意すべきなのは「沖縄独立論」です。 これは、翁長知事が県議会での答弁で、沖縄独立論について「そういう方は多くない」と答えているほど、少数派の主張だと言えます(※5)。 12年1月1日の意識調査で沖縄の取るべき立場を問うたところ、結果は「現行通り日本の一地域(県)」が61.8%、「特別区(自治州など)」が15.3%、「独立」が4.7%でした(※6)。 しかし、「台湾の独立」という政治課題を比較してみると、15年の世論調査で台湾が最終的に独立することに賛成した人は51.3%、反対した人は32.7%です(※7)。 中国は「沖縄独立」を持ちあげ、「台湾独立」を封じ込めようとしていますが、この二つの「独立」の内情は、これほどまでに違うのです。 地域の分離独立は、主権者は誰で、領土はどこかを決める議論を伴いますが、沖縄独立論には、そこに至るまでの民意の支持がありません。 ◆台湾が民進党政権になった時、日本からの支援が必要になる 一方、16年1月16日の台湾総統選では、民進党の蔡英文氏の勝利が予測されています。 以前の民進党政権は、「台湾の未来は、台湾2300万国民のみが決定する権利を有する。これは台湾の国家主権地位の最も固い基礎である」(08年)と声明を出したこともあります(※8)。 中国の影響力も拡大しているので、民進党が以前ほど強い姿勢を取れるかどうかは未知数ですが、日本は、台湾が自由民主主義の側に立ち続けられるように、支援を続けなければなりません。 「東アジアで自由の領域が拡大するか縮小するかの問題は、最終的に日本の未来に対しても大きな影響を及ぼす可能性があるから」(※4)です。 ★このたび、HS政経塾より『宗教こそが民主主義を発展させる』(立木秀学編著、幸福の科学出版 発売)が発行されました。以下のURLからアクセスできますので、興味を持たれた方に、ご覧いただければ幸いに存じます。 『宗教こそが民主主義を発展させる』 立木秀学編著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1561 (注) ※1:『沖縄の自己決定権』琉球併合の不正から道標探る 琉球新報(15/6/21付) ※2:岡田信弘著『事例から学ぶ日本国憲法』 ※3:芦部信喜著『憲法 第六版』 ※4:立木秀学編著『宗教こそが民主主義を発展させる』 ※5:翁長知事、沖縄独立論に否定的「そういう方は多くない」沖縄タイムス15/10/4付 ※6:「方言話せる」5割切る 琉球新報 県民意識調査(12/1/1付) ※7:TISR台灣指標民調「2015年2月上期、台灣民心動態調、與本期議題調結果摘要」 ※8:陳水扁総統が「台湾主権地位」に関する4点の呼びかけを発表(台湾総統府08/4/17付) 世界に誇るべき日本の文化を守りぬくために 2015.11.04 文/幸福実現党・山形県本部副代表 城取良太 ◆世界で大絶賛の日本文化を体感 我らが誇る日本文化にとって、先日非常に嬉しい知らせが届きました。 10月31日に閉幕したミラノ万博において、日本の食文化等をテーマにした日本館では「行列嫌いのイタリア人を並ばせた」と言わしめるほど、最後まで大行列が途絶えることなく、日本として史上初の金賞を受賞したというニュースです。 筆者自身も先月下旬、中東数カ国に赴きましたが、知り合いのラーメン屋から分けてもらった自家製麺セットが香港人のラーメン通を唸らせたことには驚きを隠せませんでした。 また、イランで出会った初老の男女とは毎度お決まりの「おしん」ネタで盛り上がり、ドバイのショッピングモールでは以前に増して、日本のアニメ・フィギュアコーナーが大拡張されており、多くのファンの心を掴んでいることを目の当たりにし、日本のソフトパワーの絶大さが改めて体感できました。 ◆文化の根底にある「自由と平和」 奇しくも、先日(11月3日)は文化の日でありましたが、戦前、11月3日は明治天皇のお誕生日にあたり、「明治節」と呼ばれていました。 戦後になって1946年11月3日に日本国憲法が公布されましたが、現行憲法で「平和と文化」が重視され、国民の祝日に関する法律第2条に「自由と平和を愛し、文化をすすめる」と明文化されていることが文化の日の根拠となっています。 一方で、国民の自由が徐々に制限されうる法案や政策が散見され、また侵略意図を持った国々から断固日本の平和を守り抜く姿勢があるのかなど、この理念に一定の疑義を挟まざるを得ない現状があります。 ここでは、文化の根底にあるとされる「自由」と「平和」の視点から、国内外の情勢を見渡してみます。 ◆共通番号制度は世界でも問題だらけ 第一に、何といっても「マイナンバー制度」に対する懸念が挙げられます。(既に具体的提言を行っておりますので、詳しくはそちらをご覧下さい。「マイナンバーの『のぞき』政策化に歯止めを」http://hrp-newsfile.jp/2015/2459/) もともと、民主党政権下に提出された法案で、その後誕生した自公政権によって一部修正された法案が13年5月に可決、更に2018年から任意で預金口座等にも活用範囲を拡大する改正案が本年成立されています。 「海外(先進国)では番号制度は常識」が推進派の建前でありましょうが、日本のような「共通番号制度」は実はまだ事例が極めて少ないというのが真実です。 具体的に、イギリスでは「共通番号制度」の構想自体はありましたが制度廃止に追い込まれています。(イギリスでは、2006年に「国民IDカード法」が成立。しかし、2010年に誕生した保守党と自由民主党による連立政権が、プライバシーに問題があるとして廃止を決定。) また、フランスでは社会保障番号はあれども共通番号としては用いないのがルールとなっており、更にドイツでは共通番号制度は「憲法違反」となっています。 共通番号が導入されている米国では番号漏えいによる「成りすまし犯罪」が横行し、韓国では2011年に中国のハッカーによって国民の約7割の3500万人もの個人情報が盗まれるという事件が起こり、制度自体の是非を問う議論が高まっているそうです。 海外の先例から考えても、マイナンバー制度は国民の自由を促進するどころか、経済的自由権や個人情報保護の観点から、国民の自由を大きく侵害する可能性の非常に高い悪法と言えるでしょう。 ◆自衛隊は本当に戦えるのかという米側の疑念 「平和」という観点から考察すると、何といっても中国によるアジア全域における覇権主義の進展、または朝鮮有事の危険性でしょう。 確かに、集団的自衛権の行使容認、米海軍の南シナ海への積極的関与、先日行われた日中韓の首脳会談など、日本を取り巻くアジア情勢が平和に向けて急速に進展しつつあるように見えます。 しかし、米国側の視点から日本の安全保障体制を洞察する日高義樹氏は、日本の国防体制の進展に一定の評価を下しながらも、 「安倍首相はこれからアジアに何が起ころうとしているのか正確に理解しないまま集団的自衛権構想を進めているように見える」 「朝鮮半島有事の際、日本の自衛隊が出動した場合には、(補給兵站だけに限って参加するということは不可能で)米国や韓国と同じレベルの戦闘に加わらざるを得ないと考えている」 など、有事において今の自衛隊がリアルな戦闘を戦い抜くことが出来るのかという米専門家たちの疑念を取り上げています。(「誰も知らない新しい日米関係」) この点、3日にはグレーゾーン事態などにおいて自衛隊と米軍の緊密な連絡・調整を行う協議機関の常設化が合意されましたが、そうした疑念を払拭することが出来るかは今後次第と言えるでしょう。 ◆南シナ海情勢でアメリカは頼りになるのか? 南シナ海情勢に関しては、外交的な押し技と引き技を上手く使い分けながら、虎視眈々と自国の権益を拡大するという中国の常套手段からすると、楽観視は出来ません。 実際、南シナ海での米海軍の技術的優位は歴然としていますが、「地の利」がある中国の数的優位は圧倒的で、「いくつかの状況には量よりも質が重要となり得る」と言えます。 また、イスラム国対策でオバマ大統領はここにきて地上戦力の派遣を決定しましたが、今後の展開次第では中東と南シナ海の二正面対峙が本格化することも考えられます。 オバマ大統領の今までの政権運営から考えると「行動基準によって、米国は事態をエスカレートさせることに消極的となり、(南シナ海から)撤退を余儀なくさせられる可能性がある」という専門家筋の見解には妙に信憑性を感じさせます。(2015/11/2ロイター通信) ◆奇跡の国・日本に相応しい憲法を! 結局、国内においては「世界の間違った常識」を模倣し、国民の自由を徐々に侵害していく一方で、「自分の国は自分で守る」という「世界の常識」を、憲法9条に象徴される平和憲法の足かせによって未だ実現できず、平和が脅かされる未来が待っているというのは何とも皮肉なことです。 我々が世界に誇るべき日本の文化を生み出したのは、戦後の日本人の力でも、ましてや日本国憲法でもなく、日本人が歴史的に紡いできた先人たちの智慧であります。 そして、その智慧を守り、未来に継承していくことこそ、今の日本に生きる我々の役割であり、本来の憲法の使命でありましょう。 その点、現行憲法は戦後の断絶によって、外国人の手によって生み出されたものであることから、皇統が2600年以上も脈々と続いてきた奇跡の国・日本に相応しいものではありません。 幸福実現党は真正保守の政党として、日本の誇り愛すべき文化や慣習、先人たちの智慧を保ち、日本の未来を守るべく、「改憲」という既成概念を超えて、日本に相応しい国体の「創憲」に携わっていく所存です。 日本は、日韓関係にどう立ち向かう? 2015.11.03 文/HS政経塾4期生 窪田 真人 ◆日韓首脳 3年半ぶり会談 2日午前、韓国訪問中の安倍首相はソウルの青瓦台にて、パク・クネ大統領と初めて個別に会談しました。 二国間の首脳会談は約3年ぶりであり、旧日本軍による従軍慰安婦問題について年内を含め早期妥結を目指す方針、また経済、安全保障の面で協力を強化する方針で一致しました。 なお会談時間のほとんどは、慰安婦問題についての話し合いに使われましたが、見解は平行線のまま、具体的な解決策が提示されることなく、終了しました。 ◆現在の韓国の状況 これまで従軍慰安婦問題を前面に出し、反日外交を進めてきたパク・クネ大統領が、なぜこのタイミングで安倍首相との個別会談を受け入れたのでしょうか。 その背景には経済・外交の両面における韓国の苦しい事情があります。 現在の韓国は、同盟国である米国と安全保障面でより強い関係を構築したい一方で、日本に対して歴史認識をめぐり共闘し経済の結びつきも強い中国と関係を維持せざるを得ない状況に置かれています。 すなわち米国、中国の間で大きく揺れ動いている、それが現在の韓国の状況です。 先月27日、米国政府が南シナ海での中国による人工島から12カイリ以内の海域に、アメリカ海軍のイージス艦を派遣し、航行させた件について、日本は米国の行動を支持する旨を表明していますが、韓国は、中国との経済的な繋がりを重視する姿勢から、自身の立場を表明していません。 しかしその中国は経済が悪化しており、先月10月の韓国の輸出額は前年比15.8%減少しました。輸出依存度が高いことで知られる韓国にとっては大きな打撃です。 こうした状況を踏まえ、韓国は日本との関係改善による経済活性化、また中国への経済依存の軽減を目指す目的で、今回の日韓首脳会談は行われました。 ◆元慰安婦への財政支援拡大!? 日韓首脳会談を受け、日本政府は対応策の検討に入っています。 特に慰安婦問題については、2007年に解散したアジア女性基金のフォローアップ事業の拡充を通し、元慰安婦への財政支援拡大を進めようとしています。 皆様ご存知の通り、1965年日韓国交正常化にあたって結ばれた日韓請求権・経済協力協定にて、日本は韓国に5億ドル(当時の韓国国家予算のほぼ2年分)の経済協力等を行い、日韓の賠償問題については完全かつ最終的に解決されています。 日本政府もその見解を持ちながらも、今回の会談を踏まえ、「基本的人権を踏みにじられた女性への人道的支援の充実」と称して、元慰安婦への財政支援拡大を行おうとしているのです。 こうした姿勢は「日本が従軍慰安婦問題を認めた」と諸外国に発信することに繋がりかねない為、絶対に実行されるべきではありません。 日本は、「従軍慰安婦問題はデタラメである」という正しい歴史観を世界に発信し続けるべきです。 そもそも現在の韓国の一番の問題点は歴史認識ではなく、経済における中国依存度があまりに大きいために、外交上中国に強く出ることができない状況、すなわち経済面にこそ大きな問題があります。 そのような状況下において、元慰安婦への財政支援拡大など日本にとって何もプラスに働きません。 ◆日本が目指すべき日韓関係の在り方 ただし、中韓の関係が更に強化される事態は避けなければなりません。 目指すべきは、日韓の経済的な繋がりが強化されることで韓国の対中国依存度を軽減し、日米韓における東アジアにおける安全保障体制を強化することです。 では日本はこの状況を踏まえ、何ができるのか。 その1つとして、韓国のTPP参加の後押し、協力を積極的に行うことが挙げられます。 特に韓国がTPPに正式に参加する場合、既に参加した12か国から厳しい市場開放などを求められることになりますが、韓国にその点を大きな負担と思わせることなく参加に導けるかが、日本に求められる役割となるでしょう。 日本が積極的に韓国のTPP参加に働きかけ、多くの輸出先が韓国に開かれれば韓国の対中国依存度を減らすことができます。 そして韓国は経済と外交の間で揺れ動く、現在の状況を一歩改善することができるでしょう。 日本は、こうしたアジアのリーダーとしての役割を果たしていくべきであると考えます。 豊かで神の恵みを受けた日本としての義務を考える 2015.10.28 幸福実現党・兵庫県本部副代表 みなと 侑子 ◆米軍重い腰を上げ、南シナ海にて行動 南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島に中国が建設する人工島の12海里(22キロ)内で、アメリカのイージス艦が「航行の自由の確認行動」をとったニュースが新聞の一面をにぎわしました。 島の周りの12海里はその島を所有する国の領海と認められていますが、「海洋法に関する国際連合条約」(UNCLOS)の第60条では、人工島はこれにあたらないとされています。 今回のイージス艦の自由航行は、「人工島を建設しても、その周囲は中国の領海と認められない」ことを示すためのものであったと言えます。 先日のアメリカ訪問でボーイング機などの爆買いを行い、中国の経済力と友好性をアピールした習近平主席でしたが、顔に泥を塗られた形となってしまいました。 ◆南シナ海における中国の蛮行 これまで中国は、南シナ海に於いて傍若無人な行動をとり続けていました。 中国人民兵を岩礁に住ませながら、埋め立てによって人工島を建設し、自分たちの領土としてきました。 南沙諸島や西沙諸島を含む地域を三沙市と勝手に制定し、自らの理論に基づき南シナ海に「中国の赤い舌」と呼ばれる九段線を引き、豊富な漁場・石油や天然ガスなどの資源をむさぼってきたのです。 このような行動をとり続けることができた理由は、中国を止める国がなかったことにあります。 フィリピン・ベトナム・マレーシア・インドネシア・ブルネイなどは中国と領有権問題を抱えていますが、軍事力の差が圧倒的であり、一国で対応することは不可能です。 海上戦力を比較しますと、中国が892艦船持っているのに対し、ベトナムは94、フィリピンは80です。トン数は、中国が142万トンであるのに対し、ベトナムは3.7万トン、フィリピンは4.7万トンで足元にも及びません。 航空戦力においてはさらにこの差は広がります。 今回のアメリカの行動は大変遅いものでありましたが、中国とは圧倒的な戦力差でありながら領土を護るために奮闘してきた国々にとっては心強いニュースであります。 ◆私たちには南シナ海の航海の自由を護る義務がある しかし、南シナ海が中国に浸食されて本当に困るのはアメリカではなく、先述した国々であり私たち日本です。日本は輸出入のほぼすべてを南シナ海経由で行っています。 南シナ海のほぼすべてが中国のものとなってしまえば、航行の自由が奪われ、食料や燃料などの命に直結するものが入ってこなくなる危険性が十分に考えられるのです。 リスク分散として、他の経路の配分を増やしつつも、やはり南シナ海の航行の自由を守るための努力は欠かせません。 具体的には、海上自衛隊の艦船が米艦と「共同演習」として南シナ海を遊弋したり、P3C哨戒機などが空から監視活動したりする平時のパトロールが求められます。 今回の安保法案の改正により、自衛隊が米軍と共に行動し米軍が攻撃を受けた際には、米軍を守るための行動をとることができるようになりました。 また、南シナ海で米中の武力衝突が発生した際には、いくつかの条件付きではありますが米軍への後方支援が可能となります。 日本は東シナ海を護るので手一杯だという説もあるようですが、どうすれば南シナ海も護れるようになるのかを考え、手を打つべき時期が既にもう来ているのです。 9月29日付のWSJ(ウォールストリートジャーナル)では、「世界秩序を守る日本の責任」と題して、“豊かで神の恵みを受けた国としての義務は何か”を日本は問うべきである、との論説が載っていました。 今回の件で、一時的に左翼勢力が盛り上がりを見せたようになりましたが、一国平和主義思想は世界の潮流から完全に外れています。 世界秩序を護るという意思を明確に発信しながら、実績を確実に積み重ねていくことが求められています。 1985年、トルコ政府がイラン駐在の日本人を救った理由 2015.10.24 文/幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆イラク・フセイン大統領が突然、「48時間後に撃墜宣言」! 前回は1890年、紀伊半島沖で発生したトルコ船の海難事故、そしてその救助に当たった日本人の対応に、多くのトルコ国民が感動をしたエピソードをお伝えしました。 今回は、映画「海難1890」に関して、事故からおよそ100年後、1985年(昭和60年)に中東テヘランで実際に起きた出来事についてお伝えいたします。 1985年当時、中東ではイラン・イラク間の戦争が長期化していました。当時、石油ビジネス関連の商社マンを中心に約二百数十名人がイランの首都テヘランに居住していたと言われています。 さて、イラクのフセイン大統領は、戦争の膠着状態を打破する事を意図したのか、1985年(昭和60年)3月17日、突然、以下のような宣言を公表しました。「今から48時間を過ぎれば、イラン上空を通過する全ての航空機を無差別に攻撃する。」 日本人を含め、テヘラン駐在の外国人にとって、この「宣言」は寝耳に水でした。諸国の駐在員は、制限の期日までに帰国の途に就こうとします。 しかし、当時、日本・イラン間の航空便が就航していない日本人には、帰国の手段がありません。駐イラン大使は日本政府に対して緊急に、飛行機の手配を依頼しました。 ◆日本政府が日本人を救出できなかった理由 依頼を受けた日本政府(当時は中曽根首相・安倍外務大臣)は、まず自衛隊機の派遣を検討しましたが、自衛隊法の制約で海外に飛ぶことが不可能ということが分かりました。 [その後、自衛隊法は改正され、現在では同様の事態が発生した時には、自衛隊機による救助は可能] そこで、直ちに日本航空に臨時便を要望しました。 イラン行きを志願するパイロットも出て、順調に出発する準備が進められたのですが、なんと、当時の労働組合が「乗務員の安全が確保されない状態では出発できない」という理由で、出発を拒否したのです。 戦争の中、しかも48時間後には撃墜される可能性がある危険な空域を飛ぶことには、大きなリスクがあります。 組合としての判断は「安全第一」というものでしたが、これも戦後一貫して「平和憲法」を奉じてきたために、リスクを冒すという発想がなかったのかもしれません。同じ日本人として、実に残念な判断でした。 ◆頼みの綱、トルコの判断は? イランに駐在する日本人達が脱出する手段は、他の国の力を借りるしか手段が残されませんでした。 それも極めて望みの薄いもので、時間がどんどん経過していく中、日本人たちの絶望がいかに大きなものであったのかが推測されます。 まず、欧米諸国の航空機会社に依頼して、一人でも多くのチケットの確保を目指しますが、相手は欧州人優先の判断で、ごくわずかに入手できたにすぎませんでした。 そこで、当時の野村豊駐イラン大使は、最後の頼みとして、トルコのビルレル大使を訪れ、トルコ政府に緊急便の依頼をしました。当時イランには、600人あまりのトルコ人がおり、とても日本の支援ができる状態ではなかったので、もともと諦めていたのです。 一方、トルコ政府に対しても、「商社」のルートを通じて、当時のオザル首相にも同様の依頼を行いました。日本人にとっては、ほとんど可能性のない希望でした。 しかし、トルコ側は、日本人が直面した事態の深刻さを理解し、直ちに臨時便の手配を承諾したのです。 その時にトルコのビルセル大使が日本を助ける理由として語った事が、「これは、エルトゥールル号の恩返しなのです」というものでした。 トルコでは「エルトゥールル号の海難事故」については、教科書にも掲載されるなど、100年前に日本人が心を尽くしてトルコ人を救助した逸話を忘れていなかったのです。 そして、先人たちが日本から受けた恩を返す機会だと、快く救助の手を差し伸べてくれたのです。 このように、トルコ政府の決断によって、「緊急の」旅客機1機が出発しましたが、1機だけでは、すべての日本人を救助することができないことが分かりました。 そこで、トルコ側は、もう一機の「定期便」も、日本人のために使ってもらう事を提案しました。 当時、イランに駐在していたトルコ人は、自らが乗り込む予定だった飛行機を諦め、自動車に分乗して、母国トルコに向かったのです。 かれらもこの決定について、「100年前の恩を返そう!」と一致し、ほとんど異論は出なかったと言われています。 このトルコによる救助によって、制限時間以内に、帰国を希望する全ての日本人が無事に日本に帰ることができました。 国際政治の判断には、国益と国益とのぶつかり合いの中で、冷徹な判断が求められるものですが、今回のエピソードのように魂と魂がふれ合う温かみがあることも分かりました。 そうした意味で、日本人として、先人たちの偉業を再認識し、日本人としての誇りを取り戻す一方、日本人を誇りに思っている国もあることを忘れない事も大切だと感じました。 すべてを表示する « Previous 1 … 46 47 48 49 50 … 98 Next »