Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 日本の海上防衛を考える(6)――「中国の海」になりつつある東シナ海 2015.02.14 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆中国の海洋支配プロセス8段階 前回、南シナ海がいかに「中国の海」になっていったかについて述べました。 日本の海上防衛を考える(5)――中国に支配された南シナ海 日本の海上防衛を考える(5)――中国に支配された南シナ海 これまでを整理し中国が南シナ海をどのように支配していったか、そのプロセスを分析してみましょう。 第1段階 漁船(軍事訓練を受けた「海上民兵」)を相手の海域で操業させる。 第2段階 相手国が抗議船を出せば漁船をぶつけて紛争を起こす。 第3段階 漁民を守るという名目で警備の公船を出す。 第4段階 1~3段階で、一方的に相手国海域の領有を国内法で宣言(「海洋法」や「三沙市」)。 第5段階 近海の島を占領し(岩礁の場合は埋め立てて人工島化)、排他的経済水域を主張することで戦争をせずに自国の領海を拡大する。 第6段階 公船だけでなく軍艦を出す。 第7段階 漁船・公船・軍艦を頻繁に出没させ領海侵犯をして実効支配を行う。 第8段階 島に上陸し住民が住み始め、インフラを整備し軍事基地化する。 中国は決して最初から軍艦を出すような愚かなことはしません。いきなり軍艦を出せば国際的非難を浴びるからです。少しずつ段階的に一手一手を打って南シナ海を「中国の海」に変えていったのです。 ◆中国の尖閣海域の支配 前回述べたように、中国の海軍戦略の第一段階は、第一列島線(日本列島から沖縄フィリピンを結んだ線)の内側、つまり「南シナ海」と「東シナ海」の支配です。 中国の海洋支配は、東シナ海より南シナ海が先行しているので、上記の「中国の海洋支配プロセス8段階」から今後を東シナ海で起きることが予測できます。 この「中国の海洋支配プロセス8段階」を東シナ海に当てはめてみましょう。 第1段階 胡錦濤国家主席と福田康夫総理が会談中に中国公船が尖閣海域を徘徊(2008年5月)。 第2段階 尖閣諸島海域で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突(2010年9月)。 第3段階 中国海警局公船が尖閣諸島の領海を侵犯(2010年9月~現在)。 第4段階 中国が「領海法」を制定し尖閣諸島を自国の領土と主張(1992年2月)。 第5段階 ガス田「白樺」採掘(2004年)。2005年ガス田「樫」掘削 (東シナ海には島がない海域はガス田の採掘基地を建設して中国の海域であることを主張)。 そして昨年末、中国軍が東シナ海の沖縄県・尖閣諸島から約300キロ北西にある浙江省の「南麂(なんき)列島」で軍事拠点の整備に着手、すでにレーダーが設置されヘリポート、軍用機の滑走路の建設計画も浮上しています(2014/12/22東京新聞)。 「南麂(なんき)列島」は中国に帰属しますが、同島は自衛隊や米軍基地がある沖縄本島より尖閣諸島に約100キロ近くに位置し日本にとっては尖閣諸島の防衛に大きな影響を与えることは必至です。 第6段階 2014年12月中旬、中国軍艦2隻が尖閣諸島の接続水域約70キロに接近、昨年8月から島から北に200キロ海域に常駐(12/30朝日)。 現在、中国漁船による領海内での違法操業が急増、2014年1月~9月は208件、2013年1年間の2・4倍、2011年の26倍になっています(2014/10/10日経)。 第7段階 2014年12月30日、中国公船3隻が領海侵入、2014年の中国公船による領海侵入は32回目(12/31産経) このように東シナ海では、現在第7段階の「漁船・公船・軍艦が頻繁に出没し領海侵犯などの実効支配を行う」ところまできています。おそらく今年以降、軍艦がさらに尖閣諸島に近づいてくるでしょう。 そして日本が何にもしないと分かればさらに軍艦が尖閣諸島に近づけるでしょう。 この第7段階目の実効支配が進んで軍艦がなんの気兼ねもなく尖閣海域を航行できるようになれば、最終的に中国は尖閣諸島に上陸するでしょう。 そして最後の総仕上げとして、第8段階の「尖閣諸島の魚釣島を軍事基地化」する、これが中国のシナリオです。 ◆尖閣の防衛は急務 中国は尖閣支配の一環として、安倍政権下ではじめて実現する見通しとなった尖閣諸島の合意文書で、内外に日本が「間接的に尖閣諸島をめぐる争いがあることを認めた」と強調しました(2014/11/8朝日)。 こうした心理戦、情報戦を仕掛けて日本を追い込んでいます。現在、日本の海洋防衛は急務の段階にまできているのです。 次回、中国の海軍戦略の第2段階である第二列島線(日本列島とグアムを結んだ線)、つまり西太平洋の支配について紹介し、日本の海洋防衛のあり方を考えて参りたいと思います。 緊急報告――今沖縄で何が起きているのか?!(拡散希望) 2015.02.13 文/幸福実現党・総務会長兼出版局長 矢内 筆勝 ◆翁長知事誕生で活発化する、沖縄の左翼活動家 「今、沖縄の辺野古で大変な事が起きています!!ぜひ見に来て下さい!」--。 沖縄県のある防衛関係者からそんな連絡を受け、私・矢内筆勝は今月7日と8日、幸福実現党の釈量子党首と共に、沖縄県名護市の辺野古にある米軍キャンプ・シュワブ沿岸の新基地建設現場を視察してきました。 キャンプ・シュワブは、宜野湾市にある米軍海兵隊・普天間基地の代替施設として、日米両政府が合意して建設を進めています。 しかしながら、昨年12月の県知事選で、辺野古新基地建設の中止を公約に掲げた翁長雄志・元那覇市長が当選。それに伴って、左翼活動家ら基地反対派の活動が過激化しているのです。 特に沖縄防衛局が、基地建設のための海上作業を先月15日から再開すると、地元や全国から集結した左翼活動家ら数十人が激しく抵抗、工事車両の通行を妨害し、罵声を浴びせ、警官ともみ合うなどの騒ぎを基地前で頻発させています。 動画:キャンプ・シュワブのゲート前で抗議する左翼活動家ら https://www.youtube.com/watch?v=-YDrneSiWS8 また左翼活動家らは20隻ものカヌー部隊を編成し、海からの基地侵入を企て、パトロールする海上保安庁と衝突を繰り返しています。 写真:カヌー隊、大型クレーン船に近づき抗議、琉球新報2月7日付より http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-238542-storytopic-271.html ◆無法地帯と化した辺野古のキャンプ・シュワブ周辺 私たちが実際に辺野古のキャンプ・シュワブに行くと、そこは完全な“無法地帯”と化していました。 基地のゲート前の道路には、工事車両の通行や工事物資を抗議活動によって阻止するために、米軍基地のフェンス沿いに左翼活動家らが寝泊りする「テント村」が建てられ、常時数十人が鍋などを持ち込んで自炊し、寝泊りしています。 しかも、そのテントの骨組みとして使われている塩ビのパイプが、1~1.5メートルも基地のフェンスに突き刺さり、基地側に大きく飛び出した状態になっているのです。 基地ゲート前の「テント村」=矢内撮影 http://yanai-hissho.hr-party.jp/files/2015/02/10402810_764374376986659_1429195724486500242_n.jpg 基地のフェンスに付きこまれたパイプ=矢内撮影 http://yanai-hissho.hr-party.jp/files/2015/02/68928_762664113824352_5052373915604385336_n.jpg こうした行為が、国内法のみならず、米軍の基地管理に関する法律に違反しているのは間違いありません。ましてや、日米同盟を結ぶ同盟国の基地に対して断じて許してはならない「異常な行為」です。 国内でも、他人の土地や敷地に勝手にパイプを突き刺し、その所有権を侵害すれば、当然強制的に排除されてしかるべきです。もし皆さんの家の塀の外側に誰かがテントを張って暮らし始め、そこから1.5メートルもパイプを自宅の庭に突き刺されたら、どうするでしょうか? しかも、相手は日本と同盟を結び駐留する外国の軍事施設で、断じて許してはならない行為です。しかし現実は、パイプは基地のフェンスに突き刺さったまま放置され、勢いに乗って左翼活動家が全国から集まり、「テント村」は拡大し続けているのです。 ◆左翼の不法行為を放置する沖縄県と、左翼に慎重すぎる日本政府 地元沖縄の保守活動家によれば、米軍はこの左翼の行為に激怒し、いつでも強制排除する意志があるものの、日本政府が「左翼を刺激したくない」との理由で、米軍の強制排除を抑えていると言います。 事実とすれば、日本政府の「慎重姿勢」が、左翼の不法行為を是認し、放置しているわけです。 私はこの状態を見て、「破れ窓理論」(Broken Windows Theory)を思い出しました。建物の窓ガラスが割れたまま放置されていると、管理人がいないと思われ、凶悪な犯罪が増えるという理論です。 かつて犯罪都市と言われたニューヨーク市で元検事のジュリアーノ市長が、この理論に基づき、ニューヨーク市では地下鉄の無賃乗車や落書きを「割れ窓」に見立て、徹底的に取り締まった結果、劇的に犯罪が減った話は有名です。 ◆不法行為に対して、政府は毅然とした対応をとるべき まさに、沖縄の左翼活動家らの不法行為は、この「破れ窓理論」によって、拡大し続けていると言えるのではないでしょうか。 つまり、沖縄県の県警や行政のみならず、それを監督する日本政府や行政機関が、沖縄における左翼活動家とその背後に存在する左翼マスコミに遠慮し、一種の「事なかれ主義」に陥って小さな不法行為を放置した結果、今や日米同盟の絆すら毀損されかねない重大な事態を招いていると思えるのです。 今回のキャンプ・シュワブにおける「テント村」にしても、最初の不法なテントが一つでも作られ、不法なパイプが一本でも基地のフェンスに突き刺された段階で、沖縄県警や沖縄防衛局は法に基づいて、毅然と、そして強制的に排除すべきであったのです。 民主主義の根幹は法治です。民主政治によってつくられた法律を守り、毅然とした法の執行があってこそ、民主主義と国民の自由と権利、そして安全が守られるのです。 そんな法治国家として当然であるべき法の執行(違反者の摘発や取り締まり)を怠り、左翼活動家による違法な反米・反基地運動や選挙運動(沖縄の左翼陣営は選挙の度に確信犯的に選挙違反を行い、議席を伸ばしてきました)を是認し、放置してきた結果が、今の沖縄の姿であるのです。 ですから、今でも決して遅くありません。日本政府は、一刻も早く、辺野古のキャンプ・シュワブの左翼の違法な「テント村」を即刻、強制排除すべきです! 動画:辺野古のキャンプ・シュワブレポート、矢内筆勝 http://youtu.be/cYXCogh0pyk 「イスラム国」の問題を通じて中東に、世界に、そして宗教に目を向けよう 2015.02.11 文/幸福実現党世田谷区代表・HS政経塾第二期卒塾生 曽我周作 ◆複雑な中東の歴史 先日のISIS(通称「イスラム国」)によって日本人人質が殺害されたとみられる事件について日本中に衝撃が走りましたが、私たち日本人にとっては中東問題の本質についてはなかなか理解が難しいのが現実ではないでしょうか。 2月3日付の当ニュースファイルでは、幸福実現党山形県本部副代表の城取氏が「今まで大半の日本人からすると、中東は『遠くて縁の薄い地域』」だと指摘しいています。また外交評論家の加瀬英明氏も指摘するように、中東の歴史は複雑を極めるといわれます。 私たち日本人は永く単一民族で海に囲まれた国家として和を尊び生きてきたため理解が難しいものの、まずその多民族と宗教の入り乱れる中東の歴史を学ばなければ、現在起きている中東での問題も結局のところ本質が見えず、理解ができないまま翻弄されることになるのではないでしょうか。 ◆キリスト教国によって引かれた中東の国境線 それ以前、オスマン・トルコ帝国が支配していた広大な地域に対して、サイクス・ピコ協定といわれるものをもとにして引かれた、定規で引いたような不自然で直線的な国境線は、そこで暮らしている住民の宗教や民族の実態を無視しています。 それを進めたのはキリスト教国であるのイギリスとフランスというヨーロッパの強国であり、植民地支配を進めていた第一次世界大戦後に行なったものです。 自分たちの住む場所に、実態を無視した国境線を引かれたらどう思うでしょうか。 それも、他の国の植民地支配を受け、植民地支配をする国同士で勝手に決めて押し付けられた国境線です。不満が募るのは当然の結果だと言えます。 この国境線の存在と、そこでの分断された民族の問題という一つをとっても、私たち日本人にとってはなかなか理解するに難しい問題です。 ◆宗教を教えない戦後教育 イスラム教という宗教についても日本では十分な宗教教育が行われていないため、いったいどのような宗教であるのかについて、それぞれの個々人が自発的に学ぼうとしない限り、ほとんど理解も進まないのが現実です。 そしてそれはキリスト教やユダヤ教についても同様です。敗戦後「宗教」そのものをタブーにして教育の場から追放してしまった結果、日本人は宗教の問題についてとても疎くなっているのではないでしょうか。 宗教を信じない人が戦後増加し、宗教について学ばないゆえに、世界での宗教対立の歴史や現在ただいまの問題についても適切な理解が進まないのではないでしょうか。 ◆宗教教育の大切さ 私も知人と話す中で「宗教というものがあるから対立が起こる。宗教がなければいいのだ」というようなことを言われたこともあります。 しかし、それは人間の内心の自由を侵すものであり、単なる「無神論のススメ」であり、何の解決をもたらすものではありません。内心の自由を否定されたならば人間はその自由と尊厳を完全に失うことになります。 また、神や仏の存在を否定した無神論国家の中国や北朝鮮の行っている激しい人権弾圧やその蛮行をみても、神や仏や信仰を否定するとことが人間の目指すべき道ではないと思います。 今私たち日本人は、なぜキリスト教・ユダヤ教文明国とイスラム教文明国との間で対立が起こるのか、戦争はなぜ起きているのか、テロはなぜ起きているのか、イスラム教国内でも内戦が起きているのはなぜなのかについてもっと関心を持たなければなりません。 そして、「イスラム国」などと名乗る過激な集団はなぜ生まれたのか、彼らの掲げる大義は何なのか、ということについて考える中で、中東の問題、宗教に対して理解を深めるべき時が来たのかもしれません。それは必ず世界への理解を深めるものにもつながるはずです。 ◆「和をもって尊し」としてきた日本の使命 今回、ISISによる痛ましい人質殺害によって失われたお二人の尊い命の犠牲を無駄にしないためにも、国民の安全を守るための法整備を進めることは当然です。 さらに日本が世界の中で国や宗教や文明間の紛争や対立の調停役を果たせるような国家へと一歩でも歩みを進めるべきです。 平和を愛する国家として、「和をもって尊し」としてきた国家として、その使命を果たすためにも、私たち日本人は今回の事件を契機とし、中東から世界に目を向け、そして宗教というものに目を向ける必要があるのではないでしょうか。 参考:『加瀬英明のイスラム・ノート はじめての中東入門』 『日本は中東から決して退いてはいけない!』HRPニュースファイル2月3日 http://hrp-newsfile.jp/2015/2009/ 日本の海上防衛を考える(5)――中国に支配された南シナ海 2015.02.07 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆中国の海洋戦略 前回、中国が海洋戦略として南シナ海と東シナ海、西太平洋を2020年までに中国の海にする戦略を持っていると指摘しました。今回は、その戦略をもう少し詳細に分析してみましょう。 【前回】日本の海上防衛を考える(4)――中国の海洋戦略 http://hrp-newsfile.jp/2015/1959/ 海洋国家である日本が防衛を考える際に、中国の海洋戦略がどのようなものかを知ることは大変重要なことです。何故ならそれが分かっていれば日本の海洋防衛の対策も立てることができるからです。 中国の海洋戦略は、1997年に発表された「海軍発展戦略」に表れています。過去のニュースファイルでも紹介しましたが、これが分かれば、中国が今後どのような手を打ってくるかがすべて分かります。 【第一段階】2000~10年――「第一列島線」(鹿児島~沖縄~尖閣諸島~台湾~フィリピン~ボルネオを結ぶ線)の内部の制海権確保。つまり「南シナ海、東シナ海」を支配する。 【第二段階】2010~20年――「第二列島線」(伊豆諸島~小笠原諸島~グアム・サイパン~パプアニューギニアを結ぶ線)の内部の制海権確保。つまり「西太平洋」を支配する。 【第三段階】2020~40年――太平洋、インド洋で米軍と制海権を競う。つまり、南シナ海、東シナ海、そして西太平洋を段階的に「中国の海」にする。 【第一段階】は、計画から少し遅れている感はありますが、【第二段階】は、2006年から西太平洋の沖ノ鳥島近海で海洋軍訓練が行われ前倒しで進行しています。 そして西太平洋での海洋軍事訓練は、毎年回数を増やし、規模も大きくなっています。昨年の小笠原諸島での中国漁船のサンゴ密漁も中国当局の指示によるものです。 ◆南シナ海の支配は最終段階へ 話は戻りますが【第一段階】は少し遅れているようですが、南シナ海の支配は最終段階へ入りました。 昨年5月フィリピンは、自国が領有を主張していたスプラトリー諸島(南沙諸島)で7つの岩礁のうち6つの岩礁を中国が埋め立て軍事拠点化していると発表しました。 さらに中国は永暑島に人工島をつくり飛行場や軍艦の受け入れが可能な港も建設中であると米国防当局が分析しています。(11/23世界日報) 今年に入って2月4日には、フィリピン外務省が同国の排他的経済水域スカボロー礁(黄岩島)で、中国当局の船がフィリピンの漁船に意図的に衝突したとして中国に抗議しました。(2/5産経) ◆中国の軍事支配の手口 まず漁船を出して相手を挑発して、今度は軍艦を出して力で抑え込んで島を支配する、岩礁の場合は埋め立てで人工島を造って軍事基地化する、これが中国のいつもの手です。 一方でベトナムが領有を主張する南シナ海のパラセル諸島(西沙諸島)では、昨年5月~7月に中国が一方的に石油掘削を行いました。 8月には中国の『環球時報』が、パラセル諸島のウッディ―島(永興島)に航空滑走路の拡大工事を完成させたと報じました。「この滑走路は爆撃が飛び立てる」ことができ力による実効支配が進んでいます。(10/9産経) 9月23日には『中国中央テレビ』が、中国の海・空軍、第二砲兵(戦略ミサイル部隊)が合同で、南シナ海で大規模な合同軍事訓練の模様を報じました。 その際に中国軍関係者は「フィリピンやベトナムを威嚇するのが狙い。南シナ海の軍事基地建設に向け、拠点確保は早い者勝ちだ」と述べています。 パラセル諸島やスプラトリー諸島は、「三沙市」として中国当局が移住を推進し、「島民」には、1日40元(800円)の『駐島手当』が支給され、スーパー建設など生活支援なども着々と進めています。(1/7日読売) フィリピンは、中国への対抗策として仲裁裁判所に提訴し国際社会にアピール、昨年4月には中国に対抗するため米国と新軍事協定を結びました。 フィリピンにとって、軍事力にものを言わせて話し合いが成立しない中国に対する一番の対策は米国との軍事協定だったのです。 こうして中国の【第一段階】南シナ海の支配は最終段階に入っていますが、東シナ海についても、すでにその支配は進んでいます。今後、東シナ海では南シナ海で起こったことと同じことが起こるでしょう。 次回、東シナ海と西太平洋で何が起こっているのか、また今後何が起こるのかを見ていきたいと思います。 (つづく) 日本は中東から決して退いてはいけない! 2015.02.03 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆日本政府は二人の日本人の死を無駄にしてはならない 冒頭に、今回「イスラム国」の人質となって殺害された湯川遥菜氏、後藤健二氏へのご冥福を心からお祈り申し上げます。 さて、今回の人質事件を通じて、誘拐やテロに備え、重点地域への防衛駐在官の集中配置、在外公館の情報収集力強化の必要性など、在留邦人を守るための議論が活発化してきました。 また、安倍首相においても、3日の参議院予算委員会で日本人を自衛隊が救出できるよう憲法9条を求めた野党議員に対して「自民党は既に9条の改正案を示している。なぜ改正するかと言えば、国民の生命と財産を守る任務を全うするためだ」と述べ、前日の消極的な姿勢とはうってかわって、憲法改正への意欲を表明しました。 是非とも、今回のお二人のご無念が無駄にならないよう、あるべき安保法制のかたちを今国会において道筋付けて頂きたいと思います。 ◆「イスラモフォビア(恐怖症)」増殖の危険性 今回の人質事件を通じて、もう一つ考えるべきは、国内における「イスラモフォビア(恐怖症)」の増殖を防ぐことです。 実際に、歴史的にイスラムと関係が深いヨーロッパでは、イスラム・テロの頻発やイスラム教徒の移民増加に伴い、10年以上前からイスラモフォビアの広がりが叫ばれ、1月初旬フランス・パリで起こったイスラム過激派による「シャルリー・エブド襲撃事件」に対する「反イスラム・テロ」デモでは、フランス史上最大規模といわれる約370万人が参加しております。 また、フランスでの事件を受けて、ドイツでも移民排斥等を訴えるデモが勃発し、「反イスラム」を訴えていたのは記憶に新しいところです。 今のところは「イスラム国」と一般のイスラム社会は分けて考えるべきという論調が主流のようですが、欧米的価値観の影響が根強い日本メディアにおいて、今後の展開次第で徐々にイスラム自体への排他的な論調が出てくることも考えられます。 また「イスラム国」に関しても、日本人の立場からすれば、今回の行為については断固許し難いのが当然の感情でありますが、中東・イスラム圏について学ぶ者として冷静に観察すると、歴史的・思想的に「イスラム国」が掲げる大義が「全くのデタラメ」かといえば、必ずしもそうとも言えない点があることもまた客観的な事実であります。 今まで大半の日本人からすると、中東は「遠くて縁の薄い地域」で、「砂漠」や「石油」「アラブの大富豪」「テロ」といった非常に表面的なイメージしか持っていなかったのが実情かもしれません。 しかし、今回の事件を通じて教訓を得るとするならば、日本人独自の目線から「中東・イスラム圏」に対して、国民広く目を開き、本質的な理解を深めていくことにあるのではないでしょうか。 ◆日本の積極的な中東外交は日本・中東諸国双方の国益と明るい未来に通ずる 一部の識者の中には、「日本は(外交的に)中東にそんなに深く関与しない方が良い、またはする必要がない」という意見を持つ方もいます。 ただ、今回の一件で腰が引けてしまうことなく、積極的な中東外交を仕掛けていくことこそ、日本・中東イスラム諸国お互いの国益に繋がり、世界の安定に直結すると言っても過言ではありません。 例えば、中東地域で産出される原油・天然ガスが日本のエネルギー安全保障を支えているという事実があります。 エネルギー資源の90%近くを中東に依存している現状を鑑みれば、この地域の安定化に日本の国益が掛かっている状況にあり、そもそも無関心ではいられません。 また、人口が激増する中東・イスラム市場は日本企業にとっては宝の山であると同時に、「人材」をしっかり育てる日本企業の更なる進出や政府の経済支援によって、中東に新しい発展の種を植え付けることになり、双方の経済的発展に繋がっていきます。 過激志向の強いジハーディストが増えているのも、根本的にはイスラム教の教えに根差す問題ではありますが、副次的には貧困の増大や高い失業率、無償での極端なイスラム教育などといった、経済的、教育的要素が多分に影響していることからも目を背けてはなりません。 このように日本の産業力、技術力、教育力は、イスラム圏の根本的な改革にも繋がっていくのです。 ◆「サムライ精神」の発揮によって、中東における中国の野望を打破せよ 更に、ほとんどの識者やメディアは言及しておりませんが、中国の中東外交は彼らの覇権戦略に深く繋がっている事実があります。 激化する欧米とイスラム圏の対立の間隙をぬい、漁夫の利を得つつ、イスラム圏を手なずけようとしている中国の野望が浮き彫りになっています。 (このテーマについては、HRPニュースファイルで何度か配信させて頂いておりますので、そちらをご参考頂ければと思います。参考:「イスラム圏で止まらない『中国の進撃』」http://hrp-newsfile.jp/2014/1774/ 「アメリカVSイスラム圏を取り込んだ中国」の構図――日本の中東外交がカギを握る」http://hrp-newsfile.jp/2013/668/) しかし、日本には、中東イスラム圏において中国が絶対に勝てないカードを持っています。 それは「絶大なる信頼と尊敬」というカードです。 その信頼と尊敬心は何処から来るのか―― それはこれまで中東の地で彼らの信頼を勝ち取ってきた企業マン、政府関係者の皆さんの汗と努力の賜物でありましょう。 また、遡れば明治から戦前までの日本を守り抜いた先人たちの「サムライ精神」のおかげでありましょう。 日本外交にそうした「サムライ精神」を取り戻し、欧米とイスラム圏の対立に「正義」と「公正」の柱を立て、融和を図ることが出来たならば、中国の覇権主義は自然と中東において打破されることでしょう。 「イスラム国」人質事件――自衛隊派遣の法整備を! 2015.01.29 文/HS政経塾部長 兼 幸福実現党事務局部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆予断を許さない「イスラム国」との交渉 日本政府は、ヨルダン政府と連携して、イスラム系過激派組織「イスラム国」と交渉を続けており、緊迫した状況が続いています。こうした中、日本としてどのような外交スタンスをとり、安全保障法制を考えていくべきでしょうか。 ◆「みんなにいい顔はこれ以上続けられない」問われる日本のスタンス フィナンシャルタイムズでは、「岐路に立つ日本外交(A Tipping point for Japan’s foreign policy)」という見出しの論説で、今の日本の動きを報じています。大まかに2点、概要を紹介します。 1)日本は、積極的平和主義を標榜し、同盟国への武器輸出や、尖閣諸島での防衛強化を目指している。防衛をアメリカにアウトソーシングする一方で、全方位外交で特定のスタンスをとることを避けてきたが、日本独自の立場を示しつつある。しかし、今回の人質事件の行方に応じて、これからの安倍政権の外交方針も影響を受けるだろう。 2)中国は日本に対して(尖閣諸島の)領有権の主張をし、アメリカはもしもの時に本当に頼りなるかは分からない。石油の依存をしている中東はイデオロギーの対立で渦巻いている。(こうした国際情勢の中、)日本はいつまでも(中立と称してどちらの側にもつかずに)フェンスに座っていることはできない。 (Financial Times, “A Tipping point for Japan’s foreign policy”, Jan 29th) この論説では、日本は、「みんなにいい顔をしようとしている」と見ているようです。しかし、変動する国際情勢の中、「あいまいで中立な態度」は許されなくなっていることを指摘しています。 ◆平和的な関与であったとしても、判断責任は発生する 「たとえ武器を持たない間接的な人道支援でも、有志国連合に関わり、中東に来ているリスクを理解することが大切だ」というヨルダン人の識者のインタビューが報道されています(1/29毎日夕刊8面)。 平和的な関与であるとしても、判断責任が発生することを、日本人として認識するべきことだと思います。 日本として考える正しさの基準は何か?どのような価値判断に基づいて行動しているのかということを国際社会において問われているのです。 ◆議論が深まらない自衛隊の邦人救出のあり方 日本政府のイスラム国への対応について、時事通信の世論調査では、約6割の方が、良く対応していると回答しています。 しかし、今回の人質事件でも判明している通り、日本としてできることは、情報収集と、現地の政府と協力することに限られています。この状況に手を打たずしては、根本的な問題への対応とは言えないのではないでしょうか。 昨年7月の集団的自衛権の行使容認の閣議決定の折に、「武器使用を伴う在外邦人の救出についても対応する必要がある」という方針は打ち出されていますが、その場合の自衛隊の活動範囲は領域国政府の「権力が維持されている範囲」と限定されており、今回のように国家ではない「イスラム国」の支配地域から人質救出については想定されていません。 26日からはじまった通常国会で、4月の統一地方選挙の後に、集団的自衛権の行使に基づく安全保障関連法案が審議される予定となっていますが、自衛隊の邦人救出を可能にする法案については、踏み込んだ議論には至っていないようです。 ◆自衛隊の後方支援のあり方についての議論 今、安全保障関連法案について、ようやく自民党と公明党の中で議論されているのが、自衛隊の多国籍軍への後方支援のあり方についてです(1/29朝日朝刊4面)。 今までは、自衛隊を海外に派遣するためには、特別措置法を個別に成立させてきました。しかし、これでは多国籍軍からの要請に対しての迅速な対応ができないため、恒久法の成立を検討するべきではないかという議論されています。 自民党側は、自衛隊派遣の根拠になる恒久法を成立させるべきという立場です。一方、公明党側は、これまで通り個別に特別措置法で作ることが、自衛隊派遣の「歯止め」になるという立場です。 ◆在外邦人救出へ踏み込んだ自衛隊派遣の法整備を! 「歯止め」ということが、いかにも耳心地のいい言葉となっていますが、これまで述べてきたように、「歯止めをかけて日本としては、出来るだけ価値判断をしないでおこう」という態度は、もはや許されなくなっています。 日本として考える正しさに基づいて行動していくことが必要です。その一環として、在外邦人の生命・安全・財産を守れるよう、もう一段踏み込んで、「イスラム国」のケースにも対応できる自衛隊派遣の法整備を推し進めるべきです。 今こそ、善悪の価値判断ができる日本へ 2015.01.28 文/幸福実現党・千葉県本部副代表 古川 裕三 ◆イスラム国の新たな要求 27日、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が拘束している後藤健二さんとみられる男性の新たな動画がネット上に公表され、24時間以内にヨルダン政府が収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放するよう要求しました。 28日午前、官邸で開いた関係閣僚会議で安倍首相は「きわめて卑劣な行為に強い憤りを感じる」とイスラム国を非難したうえで、「後藤さんの早期解放に向けヨルダン政府に協力を要請する方針に変わりはない」と述べました。 なお現時点では真偽のほどはわかりませんが、28日の夕方の報道によれば、イスラエルの通信社は、リシャウィ死刑囚と後藤健二さんの解放について、合意したと報じ、地元・ヨルダンのメディアでも、このリシャウィ死刑囚をまもなく移送すると報じています。 ◆善悪の価値判断ができない日本 今回の人質事件において改めて浮き彫りとなったことは、有事において日本政府は主体的な善悪の価値判断ができず、行動もとれないということです。 こうした人質事件が発生すれば、欧米諸国であれば当然のこととして、特殊部隊を派遣して人質奪還に向けたオペレーションをとるのに対し、日本では、憲法九条によって、国内的には〝軍隊を保持していない“ため、議論すら及びません。 挙句には28日、自民党副総裁の高村氏が記者団に対し、「昨年の(集団的自衛権の行使容認の)閣議決定に基づいて安全保障法制の整備ができた場合、日本は有志連合に参加して過激派組織「イスラム国」と戦闘できるかといえば、幸か不幸かそれはできない。こんなことは当たり前のことで、改めて言うまでもないと思う」と発言しています。 改憲派でタカ派と言われる安倍首相であっても、「何らの行動もとれない」という意味において、結局は護憲派の左翼陣営と基本的には変わらないということです。 加えて、安倍首相は28日午前、参院本会議の各党代表質問で戦後70年に際しての新談話について、「安倍政権としては村山談話をはじめ、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく」と述べました。 ここに、自民党の限界を感じます。「この道しかない」と先の衆院選で大勝した与党ですが、年明け早々の有事に際し、皮肉にも「この道は行き止まりである」という事実が明るみになりました。 ◆「空気」の支配から、「正義」の支配へ かつてイザヤ・ベンダサンのペンネームで活躍された評論家、山本七平氏は「『空気』の研究」などを著して「日本教」という独特の表現で、いかに日本人が「空気」によって支配され、動いているかを指摘しました。 その「日本教」について、「現代日本を支配する『空気』の正体 山本七平の新・日本人論」(大川隆法著)では、「『自分の命がいちばん惜しい』というのが日本教の本質」と述べられています。つまり、「人命第一主義」で、これは「日本教徒」が誰も反対しない「教義」というわけです。 「現代日本を支配する『空気』の正体 山本七平の新・日本人論」大川隆法著/幸福の科学出版 http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=980 ただ、大事なことは、「憤りを感じる」とだけ言うのではなく、イスラム国の行為は正しいのか間違っているのか、その判定を下し、発言することです。 日本という大国の宰相であるならば、「あなた方の行為はイスラム教の教えに照らしても間違っている。人質を処刑にしたら我が国に対する宣戦布告と見なし、諸外国と連携して行動する」くらいのメッセージは発信していただきたいものです。 幸福実現党の大川総裁は、24日、「正しさからの発展」と題する法話で、このイスラム国という過激派組織が広がり、彼らの行為が極端までいった場合、人類を幸福にするかということを想像し、仮定してみれば善悪の判断はできるという趣旨で、価値判断の基準を提示しました。 「正しさからの発展 及び 質疑応答」 http://info.happy-science.jp/lecture/2015/12658/ ◆今必要なのは正しい宗教政党 「日本教」の正体についてさらに言えば、戦後の日本はまさしく「神なき民主主義、「空気」という名の多数派が支配する衆愚制」に堕していると言えるのではないでしょうか。 イスラム国の行為は間違っています。しかしだからと言って、欧米のキリスト教国が言うように、イスラム教自体が悪魔の教えであるわけではありません。 これらの宗教の開祖にあたるイエスやムハンマドの考え方、思想の根本を明らかにでき、それらの相違を超克できる普遍的な「智慧」をベースとしてできた「正しき国家の探究」をし続ける宗教政党の存在が今、時代的な要請なのです。 イスラム国の悪を止めるためには――幸福実現党の広報外交活動 2015.01.25 文/幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆世界各地での大混乱はオバマに遠因 「イスラム国」による日本人人質事件は、欧米のメディアでは異例の注目度で、大々的に報道されています。私がこのニュースを聞いたのは、幸福実現党の広報外交活動のためアメリカの首都ワシントンに向かう直前でした。 ワシントンでの広報外交の目的は、今の世界の混乱は、アメリカが国際問題から手を引いたことが原因だとアメリカの世論に訴えることでした。 米軍がアフガニスタンから撤退したあと、学校でテロリストが生徒たちを大量殺害。米軍がイラクから撤退し、シリア内戦を見過ごしたあと、「イスラム国」という怪物が現れました。 実は、私たちは「イスラム国」が出てきた原因は「世界の警察」をやめたアメリカにある、というように、オバマ大統領を批判した本、『国際政治を見る眼ー世界秩序の新基準とは何か』(大川隆法著、幸福の科学出版)を昨年発刊し、その英語版を今年アメリカで出したところでした。 『国際政治を見る眼ー世界秩序の新基準とは何か』(大川隆法著、幸福の科学出版) http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1307 今回は、この本のPRのために、ワシントンの要人に会い、ラジオ番組に出演する予定でした。そこに、日本人人質事件が起こり、この本が警告している内容が残念ながら最悪の形で実現してしまいました。 ◆意味不明だった安倍首相のイスラエルでの記者会見 この事件発生直後に安倍首相はイスラエルで記者会見を行いましたが、その中で述べられたのは二点です。「人命尊重を第一優先にする」こと。さらに、日本政府は「テロには屈しない」ということです。 実は、この二つは相矛盾しています。人命尊重とは、身代金を払うことを暗に意味しますが、同時にテロに屈しないというのは意味不明です。 欧米メディアは、この記者会見を報道しましたが、一体どちらの姿勢なのかわからない感じでした。私が出演したラジオ番組でも、毎回司会者から日本政府の意図はどっちなのかと聞かれました。 ◆悪は悪だと世界にはっきり言うべき 今回の事件が起きる直前、安倍首相は、中東諸国を訪問し、「イスラム国」と戦っている地域に2億ドルの軍資金支援をすると発表しました。 この発表は国際社会で高く評価されました。なぜなら、日本の首相が中東に自ら出向いて、「イスラム国」と一緒に戦う姿勢に「今までの日本と違う」と感じたからです。 ところが、日本人が人質になった途端、日本政府は「あの2億ドルはあくまで人道支援だ」と強調しました。これも意味不明でした。 日本政府はそう説明することで、「イスラム国」に対して「日本はあなた方の敵ではない」と言いたかった意図はわかりますが、それでテロリストが納得するはずはありません。 安倍首相と日本政府のわかりにくい発信とは違って、私が出演した、あるラジオ番組の司会者は、明確な意見を私に述べてきました。 「イスラム国は、これまで欧米キリスト教国を狙ってきたのに、日本人まで人質にして大金を要求してきた。彼らは、とんでもなく邪悪だ」と激しく非難しました。 このアメリカ人司会者は「神」という言葉は使いませんでしたが、「神」の目から見た善悪という意味で、はっきり「悪」だと断じていました。これこそ日本が言うべきことだったはずです。 ◆ 「イスラム国」の悪を阻止するためには では、「イスラム国」の問題を解決する方法はあるのでしょうか? 今は目の前の日本人人質事件の解決には、残念ながら日本に手はほとんどありません。しかし、今後このようなことが繰り返されないために、この問題の根本的原因を知ることは重要です。 もし、書籍『国際政治を見る眼』の警告通り、「イスラム国」問題の根本原因が、アメリカが「世界の警察」から降りたことであるならば、アメリカが再度自己の「使命」を考え直すしかありません。 私がアメリカのラジオでそのことを話すと、ある番組の司会者から「いや、アメリカはもう世界の警察官の役には疲れたんだよ」という正直な反論が返ってきました。 確かに、イラク戦争をはじめ、自国のためではなく世界のためにアメリカ人の命を犠牲にして戦ったにも関わらず、アメリカは世界から非難され続け、この役に疲れ果て、国内の経済問題に集中したいのが本音でしょう。 しかし、アメリカのような大国がどこも、世界の問題に目を背け、自国の経済だけを考えるようになると、世界全体が景気後退し、経済規模は縮んでいきます。その中で、世界の人口だけが増えていくと、世界は極めて危険な状況になり、回り回って大国も危機に追い込まれます。 私がアメリカにこのように考え方を改めることをストレートに主張すると、番組の司会者のほとんどはこの視点には同意せざるを得ませんでした。 「イスラム国」のような悪を押しとどめるためには、アメリカが世界のリーダーに復帰し、同時に、日本がもっと明確な考えを持って、アメリカの最強のパートナーになることです。。そのような新しい世界秩序をつくるのは、アメリカや日本の国民世論です。 幸福実現党は、微力ならが、アメリカを説得するためにこのような広報外交を続けていきます。 世界を平和に導く「正しさ」を求めて 2015.01.22 文/HS政経塾1期卒塾生 伊藤のぞみ ◆「インターネット規制」、揺れるヨーロッパと唱道する中国 フランスで起きたテロを受け、ヨーロッパ諸国でインターネットの監視や検閲を強化しようという意見が出てきています。 2001年に9.11同時多発テロが起きた際も、テロを未然に防ぐため、政府がインターネットを始め様々な通信手段を監視できるようにする動きがありました。 それを踏みこえて、「ヘイト・スピーチ」と目されるサイトを廃止することをインターネット会社に要請できるようにすべきとの意見もあります。 インターネットの監視・規制については、SNSで発信された情報がきっかけとなって起きた「アラブの春」以降、中国が強く推進しています。 ヨーロッパで起きている情報規制の流れが、イスラム圏への不信感と一体となって、中国政府が行っている情報管理の流れと合流するのではないか。かすかな危惧を感じます。 ◆ポピュリズムは「多数派の専制」につながる 何が「ヘイト・スピーチ」であるのか、何がテロに結びつく情報であるのか、こういったことを客観的に判断するのは非常に難しいことです。 民主主義国家における情報管理は、「多数派による少数意見の封殺」につながる可能性があり、民主主義が本来目指している「多様性、複数性に基づく自由」ではなく、「多数派による専制」に結びつきます。 民主主義国家において、「何が白で何が黒か」を判断するのは、異なる意見を持った人間を理解し、考える力を持った国民であり、その判断をポピュリストによって構成される政府に委ねたときに民主主義が終わるのだと自覚しなければなりません。 ◆多くの人を幸福にする『智慧』を求めて 今、人類にとって必要とされているのは、異なる意見を持つ人を受け入れる寛容の心を持つと同時に、人間として共通している点を再認識することです。 キリスト教、イスラム教、仏教、すべての宗教に共通する「黄金律(ゴールデン・ルール)があります。 「他の人からしてもらいたくないことはするな。してもらいたいことを行え」 自分が最も大切にしているものを穢されるということは、人間にとって一番辛いことではないでしょうか。 529年、東ローマ帝国皇帝ユスティニアヌスによってギリシャ哲学が禁止されると、多くの哲学者をイスラム世界は受け入れました。そのギリシャ哲学が12世紀に逆輸入され、トマス・アクィナスが構築したキリスト教の教義に大きな影響を与えました。 時代を超えて、地域を超えて、多くの人々の心を潤し、幸福にしていく『智慧』というものは必ずあります。そしてそれこそが人間にとって最も重要なもの、共通する立脚点なのではないでしょうか。 私たち幸福実現党はこの共通する立脚点に立ち、智慧の力によって多くの人々を幸福にしてゆきたいと考えています。 参考文献 『智慧の法』大川隆法著/幸福の科学出版 http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1377 テロに屈する歴史を繰り返してはならない 2015.01.20 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆イスラム国による日本人殺害予告 20日、民間軍事会社の経営者、湯川遥菜氏、フリージャーナリストの後藤健二氏と見られる日本人二人に対して、イスラム国による殺害予告とみられる映像がyoutubeに投稿されました。 イスラム国は、エジプト・カイロで行われた安倍首相の演説の「イスラム国と闘う周辺国に2億ドルの支援を行う」という内容に反発し、「72時間以内に、支援額と同規模の身代金2億ドル(240億円)を払わなければ人質を殺害する」と日本政府に要求しています。 それに対し、安倍首相は外遊先のイスラエルにおいて記者会見を行い、「人命を盾に取って脅迫することは許し難いテロ行為だ。二人の日本人に危害を加えないよう、そして直ちに解放するよう、強く要求する。」と述べました。 そして、エジプト・カイロでの演説でも繰り返し述べていた「中庸こそ最善である」という中東地域に広がる格言をもとに「寛容」の大切さを改めて訴えました。 しかし、「身代金を払う考えがあるのか」という外国人記者たちの質問に対しては、「人命第一に全力を尽くす」「断固としてテロに屈しない」と繰り返し、明言は避け、グレーゾーンの回答に留まっています。 ◆今回の事態は事前に想定できなかったのか? まず、今回の発端となったエジプト・カイロでの安倍首相による演説内容を踏まえ、もし今回のような事態が起こることを全く想定出来ていなかったのであれば、日本政府側の見積もりの甘さを指摘せざるを得ません。 なぜなら、今回人質となった二人は長らく安否不明でしたが、イスラム国に拘束され、生存している可能性はあったことがまず挙げられます。 もう一つの理由としては、イスラム国をはじめとする武装勢力にとって、人質の転売や、人質交渉を隠れ蓑に周辺国のスポンサーからの資金援助を受けるなど、彼らにとっては人質が極めて貴重な商品であるという事実です。 と同時に、断固として交渉に応じない英米に対しては、公開処刑することで国際世論の非難を向けさせるなど、人質を最大限に活用する傾向があるといえます。 少し厳しい見方をするならば、安倍首相の演説内容は、付け込む機会を待っていた「イスラム国」にとっては格好の材料になってしまったのかもしれません。 ◆テロに屈する歴史を二度と繰り返してはならない では、日本政府はどのような対応を取るべきなのでしょうか。 1977年9月、ダッカで起こった日本赤軍によるハイジャック事件による弱腰の対応が、その後どのような事態を引き起こしたかを、今一度振り返る必要があります。 当時の福田赳夫首相は「人命は地球よりも重い」という言葉と共に、テロリストに屈し、日本赤軍の活動家6人を「超法規的措置」により解放し、600万ドル(当時で16億円)を支払いました。 テロリストの要求に応じてしまった日本で、その後何が起こったでしょうか。 ダッカ事件の1カ月半後には、横田めぐみさんが北朝鮮に拉致され、その後は大勢の日本人が北朝鮮に連れていかれて、40年近く経つ今でも、多くの拉致被害者は戻らず、解決の糸口はつかめていない状況にあるのです。 もちろん、今回人質となり、拘束されているお二人が感じている苦痛、そしてご家族・知人の皆様の大きな苦しみと悲しみは筆舌に尽くし難いはずでしょう。 しかし、北朝鮮と同様、テロリスト(疑似)国家であるイスラム国に対しては、「テロには絶対に屈しない」という姿勢で望まない限り、結局、更に多くの人々を苦しめる結果となってしまうのです。 ◆今回の人質事件から「中庸」とは何かを考えるべき 冒頭でも述べた通り、中東と日本が共有する「中庸が最善である」という伝統的な智慧を、今回の中東歴訪で安倍首相は強調しておりますが、まさに今、この智慧の発揮を日本政府は突き付けられていると言えましょう。 「正義を貫くこと」と「人命を救うこと」。 この二つを両立させる解があるとしたら、「防衛法制の抜本的改正」によって、自衛隊の特殊部隊による邦人救出が実行できる体制、法整備を速やかに行うことでありましょう。 是非とも安倍首相におかれましては、今回の人質交渉への対応ではもちろん、今月末に開会する通常国会においても、あるべき安全保障法制について、批判を恐れずに正しさを追求して頂きたいと切に願います。 【参考文献】 「イスラム国 テロリストが国家をつくる時」 ロレッタ・ナポリオーニ著 すべてを表示する « Previous 1 … 52 53 54 55 56 … 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