Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 世界の警察の衰退とイスラム国の台頭 2015.01.11 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆イスラム過激派のテロ 今月7日、ムハンマドの名誉が汚された事への報復として、フランスの風刺週刊誌の本社が襲撃され、編集者等12名が殺害された事件は、イラクやシリアでイスラム過激派の掃討を進める欧米社会を震撼させ、さらなるテロへの警戒が強化されることは必至の状況となりました。 現在、イスラム過激派の中で、世界の耳目を最も集めているのがイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」です。 現在イスラム国掃討のため、アメリカを中心とする有志連合によりイラク北部への空爆が行われていますが、フランスは空爆参加国の一つであります。 ◆イスラム国台頭の端緒 さて、イスラム国はいかなる経緯で出現したのでしょうか。 オバマ大統領は2011年12月14日にイラク戦争の終結を宣言し、その4日後、イラクから全ての米軍部隊が撤退しました。 同月ワシントンを訪問したイラクのマリキ首相(当時)は、オバマ大統領と共に、米軍の撤退をイラクの自立とアメリカの勝利と呼びました。 しかし、マリキ首相の訪米を機に、イラクの混迷はさらに深まりました。オバマ大統領と会談中に、バグダッドからある情報がマリキ首相に寄せられました。 当時マリキ政権は、イスラム教シーア派が主導権を握っていました。その情報とは、スンニ派のハシミ副大統領(当時)が政権幹部に対するテロ計画に関与しているという内容でした。 マリキ首相は、オバマ大統領にその内容を報告すると、オバマ大統領は国にはそれぞれの法律があり、法の支配を尊重するようにと返答したと言われています。 マリキ首相は、その返答を今後のあらゆる行動を容認すると受け止めました。スンニ派に対して何をやっても構わない、アメリカは邪魔をしないと受け取ったのです。イラクの内政問題だという言質を取ったことになります。 ◆スンニ派への大弾圧 マリキ首相は、帰国後、米軍の撤退が完了したその翌日、ハスミ副大統領の逮捕を命じ、アメリカから自立した事を内外に示しました。 これがマリキ首相のスンニ派への大弾圧の始まりとなりました。大弾圧によりシーア派とスンニ派は完全に分断され、敵対関係となり内戦状態になりました。 その間、イラク駐在のアメリカ大使は何度もマリキ首相を押さえ込む必要があるとホワイトハウスに警告しました。 しかし、オバマ大統領は、イラク戦争は間違っていた、だから戦争を終わらせるだけでいいという考えで いかなる制裁を科すこともありませんでした。 アメリカの不干渉とイラクの内戦による統治の空白、そして隣国シリアの内戦による統治の空白が、当時壊滅状態にあったイラクのアルカイーダの息を吹き返させることになりました。 好戦的なアルカイーダの戦闘員、痛めつけられたスンニ派の部族、権力奪還を狙うバース党員が核となって イラク、シリアの統治空白地帯に勢力を拡大していきました。 ◆イスラム国の誕生 2013年3月には、アルカイーダの黒い旗が現れました。この頃から彼らは、自らをイラクとシリアのイスラム国(ISIS アイシス)と呼ぶようになりました。 アイシスは当初はサウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦等の湾岸諸国に住むスンニ派富裕層の資金援助を頼っていましたが、次第に油田を制圧し資金的にも自立していきました。 そして2014年6月アイシスは、指導者のバグダディーをカリフ(イスラム共同体の最高権威)とし、既存の国境を認めないイスラム国家の樹立を宣言しました。 スンニ派の厳格な一派、サラフィー主義は、ムハンマドの後継者であるカリフには忠誠を誓うことになっています。 7月には、制圧したモスルのモスクの説教壇でバグダディーが説教しました。これはビンラディンも、アルカイーダの指導者ザワヒリも行ったことがない事でした。 この説教の模様はメディアを通じて世界に発信され、新たに数千人の戦闘員が集まりました。 しかし、イスラム国の戦闘員の実態は、カリフ制の維持より、殺人を主要な仕事とする「殺人鬼」の様相を呈しています。 ◆アメリカの介入 8月、イスラム国は、有望な油田地帯のクルド人自治区へ侵攻し、中心部のアルビルに迫りました。アルビルはアメリカと結び付きの強い都市です。 アルビルに脅威が及び、ついにアメリカ政府は介入を決定し空爆を実行しました。同時にマリキ首相が辞任しなければ、次の軍事支援は行わないとし、空爆開始後一週間で、マリキ首相は辞任。アメリカは空爆を強化し、20カ国以上に軍事支援を呼びかけました。 その後、有志連合による空爆が実施され、カリフ、バグダディーが重傷を負ったという情報もあります。 イスラム国の壊滅のためには、デンプシーアメリカ統合参謀本部議長は、地上部隊の派遣の可能性を否定していません。しかし、オバマ大統領は、地上部隊の派遣はしないとの立場を崩していません。 以上、イスラム国に関する経緯を簡単に振り返りましたが、歴代の駐イラク、アメリカ大使等高官は、はっきりとオバマ大統領の不介入の政策は間違いであったと述べています。 2013年9月、シリア問題に関するテレビ演説で、オバマ大統領は「アメリカは世界の警察官ではない」と述べましたが、世界の警察の撤退と、イスラム国の台頭を見るとき、「正義」を掲げ、世界の警察官たる気概を持つ大国の存在の必要性を認識します。 本年、有志連合の支援のもと、イラク政府軍の大攻勢が計画されていると言われますが、引き続きイラク情勢を注視していかなければなりません。 日本の海上防衛を考える(4)――中国の海洋戦略 2015.01.10 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 前回まで小笠原諸島・伊豆諸島周辺海域に現れた中国漁船が九州にも現れていること、そして日本ばかりでなく韓国やパラオにまで現れていることを紹介してきました。 今回は、中国漁船は南シナ海では1970年代から現れており、その後南シナ海はどうなったのかについて明らかにします。 南シナ海ですでに起こっていることは、今後東シナ海で起こることでもあるので、それを知っていれば、中国から日本の近海の近海をどのように守っていけばいいかがわかります。 ◆密漁天国の日本近海 日本という国は、違法操業して捕まっても簡単に釈放してくれ、万が一、海上保安庁の船に捕まっても食事つきで飛行機に乗せて中国に帰してくれる――そうした前例を民主党政権時につくってしまいました。 中国漁民からすれば日本は、密漁しても最悪であっても罰金を払えば釈放してくれる国です。 サンゴで大儲けができるとなれば、日本の領海であろうが構わずに違法操業して、まったく罪の意識さえありません。まさに中国にとって日本近海は密漁天国です。 しかし中国政府自体は、さらにその先のことを考えています。中国の最終的な目的は、東シナ海、西太平洋を中国の海にすることです。 中国は海洋戦略として南シナ海と東シナ海、西太平洋を2020年までに中国の海にする戦略を持っています。 その中国の戦略が一歩先に進んでいるのが南シナ海です。ですから南シナ海で起こったことをみれば、今後東シナ海と西太平洋で起こることが予測できます。 南シナ海で起こったことが、今後日本の近海でも起こるでしょう。 ◆南シナ海は如何に中国の海になったのか すでに南シナ海では、ベトナム近海やフィリピン近海は中国の海になっています。 中国も頭が良いですから、始めから軍艦を出してその海域を支配することはしません。 1970年代、ベトナム戦争が終わって米軍が南シナ海から引き揚げると、中国はそれまでベトナムが領有を主張してきた南シナ海の西沙諸島海域に中国漁船を出すようになりました。 中国は毛沢東時代から農民や漁民を兵隊として訓練し国防を強化してきました。ですから中国の漁民もただの漁民ではなく軍事訓練を受けた「海上民兵」が含まれています。 ベトナムやフィリピンが領有していた海域に中国漁船が現れるとベトナムは中国漁船にベトナム海域から立ち去るよう警告を出しました。 もちろん中国漁船が立ち去ることはありません。そこでベトナムの船と中国漁船とぶつかり合いが起きました。 その段階で中国は中国漁民を守るという名目で軍艦を出しました。こうしてそれまでベトナムが領有していた海域を力で支配し、さらには島や岩礁を埋め立て軍事基地化していきました。 また島でない満潮時には海面から沈んでしまう岩礁までコンクリートで固め、島だとして200海里まで主張し始めたのです。もちろんこれは国際海洋法違反です。 ◆フィリピン海域まで中国の海に 同じような方法で、1980年代に入ると、フィリピンから米軍基地が撤退すると、それまで南シナ海の中沙諸島、南沙諸島に中国漁船が現れ、岩礁を占拠し、その後軍事基地化していきます。 小島や岩礁に砂を運んで島にしてコンクリートで固め軍事滑走路までつくる中国の暴挙は、昨年の2014年でも続いています。 もちろんフィリピンも海軍を派遣して抵抗していますが、力に任せて中国はまったくテーブルの交渉でも聞く耳も持ちません。 ちなみにフィリピンの米軍基地撤退運動で一定の活動を展開したのはフィリピンに住む中華系住民とも言われています。 ここまで見ていくと、沖縄から米軍が撤退した場合、尖閣諸島や沖縄がどうなるかはお分かりになるでしょう。だから日米同盟を強化し沖縄県から米軍基地撤退させてはいけないのです。 しかし沖縄のマスコミは、米軍の犯罪を大きく取り上げ反米感情を煽る報道を続けています。このうらには沖縄県民と米軍を離反させる工作が働いているのです。 沖縄県民が反米感情をもって「米軍出て行け」という声が高まればどこの国が喜ぶか、ここまで書けば分かるでしょう。 ◆南シナ海を一方的に「三沙市」にした中国 南シナ海は、中国が支配する海になり、現在中国は、ベトナムとフィリピンの主張も無視して勝手に南シナ海の西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島(南シナ海のほぼ全域)に「三沙市」と名付けて自分の海にしまいました。 同じような手法で中国は現在、東シナ海や西太平洋を中国の海にしようとする手を打っています。この点について次回詳しく見ていきたいと思います。(つづく) なぜ日本は情報機関が弱いのか 2015.01.09 文/静岡県本部副代表 江頭俊満 ◆日本の情報能力を概観してみる 「特定秘密保護法」が昨年12月10日に施行されました。これは、安全保障に関し、特に秘匿が必要な情報を「特定秘密」に指定し、漏えいした公務員らに最高で懲役10年を科すものです。 「特定秘密」は、安全に関する情報で(1)防衛(2)外交(3)スパイ行為など特定有害活動の防止(4)テロリズムの防止-に関わるもののうち、特段の秘匿の必要性があるものが該当します。 「特定秘密」を指定できるのは、防衛省や外務省など19の行政機関の長で、このうち警察庁と海上保安庁は、同26日、合わせて30件余りの情報を特定秘密に指定しました。 今回は、日本の情報能力を概観してみたいと思います。 ◆外交や軍事の戦略を策定するために必要なこと 日本が独自の外交と軍事の政策を策定し、この二つの分野で行動をするためには、その前提となる独自の情報が必要となります。 しかし、この外交と軍事の政策を米国依存で済ませるなら、日本独自の情報機関は不要となります。 外交や軍事の戦略を策定するにあたっては、「目標を明確にすること」、「目標実現の道筋を明らかにすること」、そして「相手の動きに応じて柔軟に対処できるようにいくつもの選択肢を用意すること」が求められます。 その際にまず必要とされるのが、「外部環境の把握」「自己の能力の把握」です。 この二点について、いかに客観的で正確な情報を手に入れるかがきわめて重要となります。これは「インテリジェンス」と言われる情報です。 ニュースで受動的に見聞きする情報「インフォメーション」ではなく、外交や軍事面での行動を前提として能動的に集められる情報「インテリジェンス」が求められます。 「インテリジェンス」は言い換えれば、「対外的に最善の行動をとるための情報」と言えます。 ◆日本の情報分野は世界から遅れたものとなっている 2005年10月、日米は「日米同盟:未来のための変革と再編」に合意し、日米が「共通の戦略」で行動することを決めています。 この中で、情報については「共通の情勢認識が鍵である」「部隊戦術レベルから国家戦略レベルまで情報の共有を向上させる」「秘密情報を保護する追加的措置をとる」とされています。 ここでは、米国が与えたものが共通の情報となり、「情報の保護」が強調されています。このことから、日米の情報が一本化される動きが進展していると見てよいでしょう。 しかし、米国は、「インフォメーション」の提供は約束しているが、「インテリジェンス」の提供は約束していないことを知らなくてはなりません。 「わが国独自の国益があるか」―この認識が、国家の情報部門を必要とするか否かの判断要件となります。情報機能を有効に働かせるためには、日本独自の外交を考え、その基となる「日本の国益とは何か」を認識しておく必要があります。 戦後、わが国は「他国に脅威を与えなければ、それでよい」といった考え方で、米国に国家の安全保障を依存してきました。こういう対外政策のままで、日本の情報分野は世界から遅れたものとなっているのが現状でしょう。 ◆安全保障において「日本は一本立ちできない」 敗戦後のGHQ占領下、米国が最も重視した政策は、「日本が二度と軍国化しないこと」でした。この影響により、現在でも日本の大学において、一般には軍事や安全保障に特化した講座はありません。 ここで、考えなくてはならないことは、「(自衛隊に対して、シビリアン・コントロールがなされていますが、)大学で系統立てて安全保障や軍事に関する教育を受けておらず、国際水準に達する安全保障の知識のないシビリアンがどうして国家戦略を立てることができるか」ということです。 このことは、「いかに自衛隊が、中国やその他の国の軍隊より優れていたとしても、米国から離れて日本だけで作戦を立てるには根本的な欠陥があり、実際の行動はできない」ということなのです。 幸い、現段階では、日米同盟が有効に機能しているので問題はありませんが、「日本は一本立ちできない」ようになっているのが現状です。 ◆日本の「情報機関」を強化すべき時期が来ている 1997年の「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直し」では「自衛隊および米軍は、弾道ミサイル攻撃に対応するために緊密に協力し調整する」としています。 しかし、米国は、日本が独自のミサイル配備状況を知る必要性を認めておらず、米軍と自衛隊が一体となって動くことを望んでいます。 日本において、戦後解体されて復興しないものに「情報機関」があります。国際化が進む中で、明確な国家戦略を持つ国は、必ず「強固な情報機関」を保持しています。 国際社会での「米国の優位性の後退」は避けがたい潮流となっています。これに反して、中国の力は上昇しつつあります。 こうした状況においては、当然「日本独自の情報能力」が問われてきます。今、まさに日本の「情報機関」を強化すべき時期が来ていると言えましょう。 ロシアにとってのウクライナ、米国にとってのキューバ、日本にとっての台湾 2014.12.31 文/HS政経塾3期生 森國 英和 新年明けましておめでとうございます。昨年末は、衆議院選挙がありましたが多くの皆様にご支援を頂きましたことに心より感謝申し上げます。 残念ながら当選者を出すまでには至りませんでしたが、国民の幸福を実現し、素晴らしい日本の国づくりを実現するため、今まで以上に努力精進を重ねて参ります。今後とも皆様のご支援よろしくお願い申し上げます。 さて、2015年の始めにあたり、昨年のロシア、アメリカの国際情勢を振り返りながら、日本のあり方についても考えてみたいと思います。 ◆ウクライナ問題でのプーチン大統領の行動の誤解 2014年、最も世界に衝撃を与えた国際的な出来事は、ウクライナ問題です。 2月22日にウクライナ国内で、親露派のヤヌコビッチ大統領(当時)に対するクーデターが発生しました(ヤヌコビッチ氏はウクライナから脱出)。 それに対してロシアは3月下旬、ウクライナからの独立を宣言したクリミア(クリミア共和国)を編入し、ウクライナにおけるロシアのプレゼンス維持を図りました。 これに対して米英を中心とする欧米諸国は、ロシアの行動に対する不満を募らせ、経済制裁を加えました。 そしてその怒りは、7月17日に、ウクライナ東部の上空を飛行中のマレーシア航空の旅客機をロシア派武装集団がミサイルで撃墜したことで爆発し、「新たな冷戦」の様相を呈していると論じられるまでロシアとの関係を悪化させました。 年初以降のウクライナ問題、及びプーチン露大統領の行動への評価は、年末になっても定まっていませんが、「欧米が、ロシアの危機感を理解することなく、その“裏庭”にまで手を出した」ことが、ウクライナ問題がエスカレートした最大の理由です。 表題の通り、ロシアにとってのウクライナが、米国にとってのキューバ、日本にとっての台湾に相当すると考えれば、その地域での仮想敵国の動きに、国防上の危機として反応せざるを得ません。 また、冷戦終結の際に、ウクライナを含む東欧について、米国とソ連の間で意見が交わされ、ソ連が東西ドイツの統合と旧東独からのソ連軍の引き揚げを認める代わりに、欧米はNATOを東方に拡大させないとの“約束”がなされていたとの分析もあります(ジョシュア・R・I・シフリンソン『フォーリン・アフェアーズ・リポート』14年12月号)。 にもかかわらず、冷戦終結から20余年の歳月が経ち、欧米側が冷戦終結当時の前提を反故にしているのであれば、「一方的」との誹りを免れることはできません。 米英を中心に、「プーチンと将来のロシアの指導者がリベラルな理念を受け入れれば、世界はより良い状態になる」という前提で話が進められ、プーチン批判が“かさ増し”されていますが、ロシアの国家感情をむげにしていては無用な衝突が生じるのみです。 ◆中国のカリブ海荒らしに対応する米国のリアリズム 一方の米国も、ロシアのウクライナに対する行動と同じような動きを見せています。オバマ米大統領は12月17日、50年以上国交を断絶していたキューバとの国交正常化交渉を直ちに開始させると発表しました。 今回のキューバとの交渉開始の背景には、残り2年の大統領任期で歴史に名を遺そうとするオバマ氏の思惑、ローマ法王・フランシスコの仲介があったと指摘されています。しかし、最も重要な要因は、カリブ海地域に近年、中国の手が伸びていたことでしょう。 中国の習近平・国家主席は14年7月15日から23日にかけて、中南米4か国を訪問し、キューバにも訪れています。習氏は米国の“裏庭”である中南米のうち、左翼的・反米的な政治指導者と個人的な信頼関係を築こうとしていると指摘されていました。 さらに最近、中米のニカラグアでの新運河建設事業を、中国系企業が受注したと発表されました。「(パナマ運河の)代替となる別の運河を確保できれば、米国をけん制できる」との指摘もあります(日経電子版14年12月25日)。 このような中国の“裏庭”荒らしに、米国がキューバとの国交正常化交渉開始という形で応戦したのです。これはケネディ大統領が62年に海上封鎖した動きと、同じような国家の衝動であり、同じような文脈でウクライナに対するロシアの対応を考慮すべきです。 ◆日本にとっての“裏庭”は台湾 ロシアや米国が上記のように振る舞っていますが、日本にとっての“裏庭”は、台湾や東シナ海・南シナ海です。 14年6月、故・岡崎久彦氏からお話を伺う機会がありました(月刊「ザ・リバティ」14年8月号)が、岡崎氏は、「集団的自衛権が一段落したら、台湾問題に取り組まなければならない」と述べていました。 海洋国家・日本の防衛、シーレーンの確保を考えれば、日本にとっての“裏庭”は、台湾とそれを挟む東シナ海・南シナ海。それが中国に脅かされているのは由々しき事態です。 このような危急存亡の時、1890年の第1回帝国議会が思い出されます。当時の内閣総理大臣・山県有朋は、その施政方針演説において「主権線」(国境)のみならず「利益線」(緩衝地帯)の確保が必要であると述べました。 当時の「利益線」は朝鮮半島のことですが、今に置き換えれば、台湾や東シナ海・南シナ海の安危を監視し、いざというときに対応できる体制を整えるべきということです。 それを想起すると、15年1月の安倍首相の施政方針演説がどのような内容か、注目されます。激動の2015年を乗り切るために、自衛隊法等の改正や戦後70年の歴史問題への対応、防衛費の増額、9条改正について言及すべきです。 そしてできるなら、日本の国防にとっても重要な台湾についても踏み込む一年にしたいものです。 日本の海上防衛を考える(3)――韓国とパラオに現れた中国漁船 2014.12.29 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 前回のニュースファイルでは、中国船は小笠原諸島や伊豆諸島だけではなく、鹿児島や、長崎県五島列島にも現れていることを述べました。 日本の海上防衛を考える(2)――中国漁船は九州でも http://hrp-newsfile.jp/2014/1920/ 今回は韓国やパラオにも現れた中国船の例を紹介し、特に軍隊も持たないパラオが中国という大国に対して取った毅然たる態度を紹介致します。 ◆韓国近海に現れた海賊レベルの中国漁船 お隣の韓国では、2011年11月に同国の排他的経済水域で違法に操業していた中国漁船を約30隻近く拿捕し、その際に韓国側に負傷者も出ています。 中国漁船は韓国国旗などで国籍を偽装し、韓国海洋警察が取り調べをしようとすると、鉄パイプや斧などで抵抗、韓国紙「ソウル新聞」は、「わが海域で違法操業をする中国漁船は海賊と同じレベル」と批判しました。 同年の12月には中国漁船員が韓国海洋官を殺害する事件も起きています。追って説明しますが、中国の漁民には、軍事訓練を受けている「海上民兵」がいます。つまりただの漁民ではないのです。 他にも12月に韓国が中国漁船3隻を拿捕し罰金を徴収して、いずれも釈放しています。 今年2014年、10月にも韓国海洋警察が違法操業をしていた中国漁船の船員らと乱闘になり、その際には中国漁船の船長が死亡しました。 ◆中国漁船の違法操業に決然と対応したパラオ 日本や韓国と違い、横暴な中国に対して毅然とした態度を取ったのは人口がたった2万人で、しかも軍隊も持っていないパラオという国です。 ちなみにパラオは、国旗を日本の日の丸をモデルにつくるほど親日国家です。親日である理由は、先の大戦で日本が命を懸けて米軍と戦ってくれたことに感謝しているからです。 さて2012年3月、パラオが排他的経済水域に設けているサメ保護区で違法操業をしていた中国漁船と取り締まりのパラオ警察の間で「激烈な争い」が発生しました。(2012/4/4サーチナ) その際、発砲により流れ弾に当たった中国漁船の乗組員1人が死亡、残りの5人を逮捕しました。最終的には死亡した1人を除き、25人が「御用」となったのです。その際にパラオ側にも行方不明者が出ています。 中国人漁民25人は同年4月に起訴され、パラオ警察は「中国人漁民は複数の罪に問われている」「裁判の結果、処分が決まる」と言明、中国漁民に対して毅然として司法行為を進める決意しました。(2012/5/28産経) パラオは台湾を国家として遇しており、中国を正統国家として認めていません。従って、中国は大使館を置くミクロネシアから外交官が特別の手続きを踏んだ上で入国し、パラオ側と交渉せざるを得ませんでした。 「中国外交官は非常に傲慢だった」と、パラオ・トリビオン大統領は当時の様子を地元メディアに語っています。中国の外交官は、漁船乗組員を即時釈放することと、中国人漁船員一人一人と立会いなしで面会を求めてきたといいます。 パラオは、中国に対して遺族への丁重な弔意を示したものの、即時釈放を断り乗組員全員有罪とし、罰金を1千ドルずつ払わせました。中国人船員の拘留は17日間に及び、パラオはあくまでも国際法、国内法に則って立場を貫いたのです。 そして釈放されると中国はチャーター機を自ら用意して全員を連れ帰りました。 中国の圧力に屈しなかったことについて大統領は、「はっきりしているのは、ここはパラオの領海だ」との趣旨を、地元メディアに語っています。 (参考【月刊WiLL2011年10月号】 総力大特集 図に乗るな中国!) ◆中国船衝突に対する民主党政権の対応 軍隊も持たないパラオの毅然とした姿勢と比べて、1億人の人口を誇り自衛隊も持っている日本はどうでしょうか? 民主党政権は、2010年9月、尖閣諸島で領海侵犯し海上保安庁の巡視船に体当たりした中国漁船船長を、あくまで沖縄の地方検事の判断だとして釈放を許し、国家としての国防の責任を放棄しました。 しかも、船長を迎えに来日した中国政府高官のために夜中に石垣空港を開港させ、日本の立会いなしで漁船船長との面会を許し、最後は日本側がわざわざチャーター機を用意し食事付きで漁船の乗組員を中国まで送り届けたのです。 当時の菅首相は、口をつぐんだまま、中国に何も発言しませんでした。 こうして中国の無法漁船を事実上、無罪放免したことが今日の中国のサンゴ密漁を許すことになり、日本の漁民のみなさんを危険に晒していることにつながっているのです。 パラオが独立国として自国の主権を守るために大国中国に取った毅然とした態度を日本は学ぶべきです。 (補足)パラオは、1994年独立した時に米国と「自由連合盟約」を締結。期限付きで全軍事権と、外交権の内、軍事権に関係する部分を米国に委ねています。盟約に基づき、国民の一部は米国軍人として入営しています。 中国もパラオとの交渉が決裂すれば、米軍が出てくることになるので、下手なことはできません。ここからも日米同盟の重要さが分ります。 次回、中国漁船を戦略的に動かし、南シナ海を「中国の海に」してきた戦略を明らかにします。それと同じ方法で今度は東シナ海、西太平洋まで「中国の海」にしようとしているのです。 (つづく) サイバー防衛に日本はどう立ち向かうのか 2014.12.24 文/HS政経塾2期卒塾生 服部まさみ ◆看過できない北朝鮮のサイバー攻撃 サイバー攻撃とテロ予告によりソニーの米子会社の新作上映が中止に追い込まれました。 (※その後、上映は行うと報道されました。) 金正恩第一書記の暗殺計画を描いた映画で、6月には、北朝鮮外務省が「無慈悲な対応を取る」との声明を出していました。 サイバー攻撃が発覚したのは11月で、個人や社内情報が盗まれ、ネット上に小出しに流出させることで脅威を増大させていきました。 その後、上映予定の映画館にテロ予告が行なわれた為、17日に上映中止が決定し、19日にFBIが北朝鮮による攻撃と認定しました。 オバマ大統領は、北朝鮮に対し対抗措置をとる方針を示し、テロ支援国家に再認定することを検討していると発表しました。 北朝鮮によるサイバー攻撃は昨年3月に韓国でも起きています。 また、09年7月4日に、北朝鮮は7発のミサイルを発射するのと同時に、ミサイルが迎撃されないように米韓の中枢部に対して、数日間に渡り、16カ国をも経由してサイバー攻撃を行っているのです。 このようなサイバー攻撃は、歴然たるテロ行為であり、決して許されるべきではなく、その責任は拉致問題などの人権侵害と同時に厳しく追及されるべきです。 ◆北朝鮮のサイバー攻撃部隊は世界トップクラス 北朝鮮は、20年以上前からサイバーテロ能力を高めており、中露やイランといった協力国と手を組んで、攻撃力を強めてきました。 特に金正恩体制は、サイバー戦について重視し、12年にサイバー攻撃の専門部隊を「偵察総局」の中に新設し、1700人規模のハッカー部隊が所属しています。 その他にソフトウェア開発機関に所属するエンジニアが4200人おり、有事の際は約6000人がサイバー攻撃に動員される態勢になっています。 優秀な子どもは年間500時間の「英才教育」を受け、専門の大学で養成のための特別講義を受けた、選び抜かれた優秀な人材が訓練に参加しています。 北朝鮮のハッカー部隊は、中露や東南アジアの国々に拠点を置いて、現地のハッカーとも連携しています。海外の支援組織が北朝鮮の部隊の代わりに動くこともあるといいます。 北朝鮮のインターネット回線は中国の通信大手、中国連合通信(チャイナ・ユニコム)を経由しているため、今回のサイバー攻撃に関して、米国が中国に協力を要請したとみられています。 国境を越えたサイバー攻撃に一国だけで対応するのは無理で、国際的な協力関係を築いていく必要があります。 ◆日本のサイバー防衛の現状 日本も決して他人事ではありません。日本の政府機関へのサイバー攻撃は、昨年度で580万件と前年度の5倍に増えており、約6秒に1回の割合で攻撃を受けているといいます。その9割が海外からのものです。 政府は、積極的にサイバー防衛に取り組んでおり、米国やオーストラリア、英国、NATO、シンガポールなどの国際社会と協力体制を築いています。 先月には「サイバーセキュリティ基本法」が制定され、内閣にサイバーセキュリティ戦略本部が設立されました。現行の国家安全保障会議(NSC)及び、IT総合戦略本部と緊密に連携しながら、各省庁をまとめる司令塔の役割を持った態勢が出来上がりました。 ◆日本に必要な強化策 このように日本も少しずつ、防衛体制が作られていますが、深刻さを増すサイバー攻撃に、更なる強化策が求められています。 今後、日本に必要な強化策として、次の3点が考えられます。 (1)予算の見直し 米国のサイバー関連予算は13年の39億ドル(約4680億円)から14年には47億ドルに増加しています。 また、英国も10億ドル(1000億円)という予算を優先的にサイバー防衛に当てています。それに比べて日本のサイバー防衛予算は585億円(14年度)と少ないのが現状です。 (2)専門家の育成 サイバー防衛強化には、特に、専門部隊の育成がカギを握ります。いくらシステムや制度が充実していても運営する人材がいなければ意味がありません。 日本においてサイバー防衛の人材は人数として約8万人不足しているという試算があります。 米国は現行のサイバー司令部に、6200人規模の防衛・攻撃能力を持つ専門部隊を整備する計画を立てています。日本も今後、大学や企業と協力しながら専門家を集め、育成していくことが必要不可欠です。 (3)憲法9条改正 サイバー攻撃への対応は、国家安全保障上の重要な課題です。国家安全保障のためには、国際的な協力が必要であり、現行の日本国憲法では、自国を守ることも、国際社会との十分な協力体制を築いていくこともできません。 自国民の安全と国際社会の平和のためにも一日でも早く憲法改正を目指すべきです。 サイバー防衛協力も明記された日米防衛指針の改定を、国民の安全より公明党に配慮して、選挙に勝つことを理由に延期することなどあってはならないことではないでしょうか。 サイバー防衛には、国を守るために情報を管理する義務と同時に、個人の自由を担保しなければならない難しい問題があります。自由を守りながらどこまで政府が介入するべきなのかというジレンマを常に抱えています。 独裁国家がそのジレンマを嘲笑うかのように揺さぶりをかけています。しかし、この脅威に屈することなく、自由の大国を目指し、平和と繁栄を築いていくことが私たちの使命です。 日本の海上防衛を考える(2)――中国漁船は九州でも 2014.12.23 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆日本に多大な損害を与えた中国漁船 前回、小笠原諸島・伊豆諸島周辺海域に現れた中国のサンゴ密漁船は、中国当局の指示で動いていると推定されることを明らかにしました。 日本の海上防衛を考える(1)――中国サンゴ密漁船の実態 http://hrp-newsfile.jp/2014/1887/ もう一方で日本側が考えなくてはならないことは、今回の中国船のサンゴ密漁が多大な損害を日本の漁業に与えたことです。小笠原島漁協・代表理事組合長の菊池勝貴氏はこう語ります。 「(中国漁船は)密漁してサンゴを傷つけるだけでなく、網で海底を荒らしていく。サンゴが育つ場所は魚たちのすみかです。貴重な資源が破壊されると、元に戻るまで数十年はかかると言われています。私たち漁師は、一か月以上も漁ができない日が続き死活問題です。」(12/10朝日) ちなみにAPECが迫る中で、外務省は中国に配慮して中国船のサンゴ密漁を公表するまで3日間も黙っていました(11/7産経)。自国の漁民の安全や生活より中国への配慮を優先したのです。 今でも遅くはありません。外交ルートを通じて漁民のみなさんへの損害賠償請求を中国側に起こすべきではないでしょうか。サンゴ礁が元に戻るまで数十年に亘る損害を中国漁船は与えたのですから当然のことです。 ◆鹿児島にも出没した中国漁船 また、あまり報道されていませんが中国漁船の今回のサンゴ密漁は、小笠原諸島・伊豆諸島周辺海域だけでなく、鹿児島県南さつま市沖の領海でも行われており、先月11月17日、海上保安庁は、サンゴを密漁した中国漁船の船長2人を逮捕しています。(12/6朝日デジタル) さらに今月12月16日には、沖縄近海で中国船が少なくとも11隻が東に向かって航行しているのが海保の航空機から確認されており、小笠原諸島へ向かうのではないかと警戒を強めています。(12/18産経) これまで日本の排他的経済水域で違法操業して罰金は400万円以下、担保金と呼ばれる罰金を関係者が支払うことを保証する書面を提出すれば、早期に釈放されています。 その書面は中国当局が出しているのかどうかわかりませんが、これでは一獲千金を狙う中国漁民が大量に押し寄せるのは当然です。中国漁民にとってなんのリスクもありません。 さすがに日本政府も外国漁船の違法操業の罰金を400万円から3000万円に引き上げるなどの改正法が11月19日の参院本会議で可決され27日に公布、12月7日に施行されることになりました。 なお同様の違法操業は、中国だけでなく北朝鮮のイカ釣り漁船も能登半島沖、日本海の排他的経済水域境界海域で操業しており、今年、北朝鮮漁船の数は昨年の3倍に急増していることも記しておきます。 確認された北朝鮮漁船は延べ約400隻、うち9割が日本の排他的経済水域内に進入しており(11/27朝日新聞デジタル)、こうした事実もあまりマスコミは報道していません。 ◆中国漁民の不法上陸も 過去にさかのぼると2012年7月、当時の民主党政権が尖閣諸島の国有化の意思を示した直後に、長崎県の五島列島の入り江に台風で避難したという名目で106隻もの漁船が進入しました。 中国はこうした政治的メッセージを、中国漁船を使って送ってくる国であることを知っておく必要があります。 この漁船団は2000人が乗船しており、五島列島では過去に中国漁民が不法上陸したことがあります。 今回のサンゴ密漁でも台風が接近し同様のことが小笠原諸島・伊豆諸島でも起こり得るため島民のみなさんの間にも不安が広がっていました。 台風の接近の際には国際的なルールとして緊急避難を受け入れざるを得ません。中国船が日本の港に入港し不法上陸の可能性もあるため、今回政府は小笠原に機動隊を派遣し巡回させる対応を取りました。 こうした中国漁船の横暴さは日本近海だけではありません。次回、韓国とパラオの例を紹介し、特に軍隊も持たないパラオが中国という大国に対して取った毅然たる態度を紹介します。 道州制や地域主権を改め、防災に堪える体制づくりを 2014.12.17 文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成 2014年の衆院選が自公政権の勝利に終わり、今後の経済政策の行方に人々の注目が集まっています。しかし、一点、今回の選挙で十分に議論されなかったテーマがありました。 それは、「道州制や地域主権で大規模な天変地異に対応できるのか」という問題です。 ちょうど、衆議院が解散された翌日には長野市と長野県小谷村、小川村などで震度6弱を記録した長野北部地震が起きました。(負傷者は41人、全半壊54棟)。 25日には阿蘇山の中岳で噴火も起きており、「また大きな災害が来るかもしれない」という漠然とした不安を少なからぬ国民が感じているのではないでしょうか。 ◆東日本大震災後も「道州制」「地域主権」路線は変わっていない 与党の自民党、公明党だけでなく、野党である民主党、維新の会など、既存の政党は、「道州制」や「地域主権」などを掲げ、基本的には中央集権に否定的なスタンスを取っています。(そのほか、共産党、社民党は「国家解体」を目指している) そして、「国家」を重視する次世代の党でも「中央集権型国家から地方分権型国家へ」という公約を掲げています。 2010年の参院選では「自民党、公明党、みんなの党などが、道州制実現を公約に掲げ」、2012年6月末には財界が「地域主権と道州制を推進する国民会議」を開催しましたが、今の日本は、「道州制の実現という方向で、主な政党や財界の足並みが揃いつつある」のです。(全国町村会「道州制の何が問題か」2012年11月) ◆災害時の対策を考えれば「中央集権=悪」という考え方は危険 自公両党は2013年に「道州制への移行のための改革基本法案」を出しましたが、自民党内でも地方との調整がうまくいかず、成立しませんでした。 しかし、東日本大震災への対処は大打撃を受けた地方自治体だけではどうにもならず、中央政府の力がなければ震災復興もままなりません。 また、阪神大震災でも、知事が自衛隊の出動に否定的だったことが被害の拡大を招いた面がありました。 非常時には、中央政府のリーダーシップが人命を救えるか否かを大きく左右するので、「中央集権=悪」という単純な論理は危険です。 ◆道州制に反対する地方政界の声 そして、「道州制」については、内実を知る地方政界から反対の声も上がっています。 全国町村会は、「国(外交・防衛・司法)と地方の役割(内政全般)を切り分け、国の役割を極力限定すべき」とする「道州制」構想に対して、「国の役割と地方の役割は、明確に切り分けられず、相互作用の上に成り立っている」とし、「現実からかけ離れた空論」と批判しました。(全国町村会「道州制の何が問題か」2012年11月) 福井県知事・西川一誠氏は、道州制によって、「国の交渉力低下を招くため、経済交渉で不利になる」「道州制にしても自治体のサービスは住民に身近にならない」などと批判しています。(『中央公論2008年7月号』) 市町村から遠方にある道州政府が各地の行政をわがこととして理解するのは難しく、住民にとっては国と同じぐらい遠い政体になるからです。 「道州制にすれば地方の自由度が増し、中央政府の統制から解放され、各地域が発展する」というバラ色の未来図を描く方もいますが、これは十分に立証されていないので、現実に地方政治に携わる人々から、「机上の空論だ」という批判が出ているわけです。 ◆防災政策を機能させるために 幸福実現党は、立党以来、一貫して、道州制に反対し、地方行政のための権限移譲は認めつつも、中央集権の必要性はなくならないことを訴えてきました。 非常事態に対応できる「国と地方の関係」がなければ、どのような防災政策を並べても空理空論で終わってしまいます。 幸福実現党は、「強固な防災インフラの整備」(堤防や津波避難タワーなど)、「建物の一層の耐震強化」「道路の拡幅などで震災に強い交通網を築く」「ヘリコプターなど空を使う交通網の整備」「震災時も停電しにくい電力網、中断されにくい通信網の構築」「災害備蓄の強化」などを掲げています。 政策的には他党と共通する要素もありますが、幸福実現党は、危機管理、安全保障という中央政府の役割を堅持しているので、他の政党以上に、筋の通った防災政策を打ち出しているのです。 日本の海上防衛を考える(1)――中国サンゴ密漁船の実態 2014.12.11 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆中国漁船に命令を出す中国当局 2012年12月16日のフジテレビの番組「特命報道記者X」――「中国の尖閣奪取計画」の中で福建省の漁民に対する取材で注目すべき事実が明らかになっています。 中国漁民には中国当局から無料で「GPS機材」が配られており、すべての中国漁船は一隻にいたるまで中国当局の指揮下に管理されていることです。漁船は必要があれば中国当局と直接連絡も取り合うことが出来るようになっています。 番組では、2010年9月に中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突させた事件の時期にも、中国当局からの尖閣諸島で操業する通達が出ていたことが明らかにされました。 さらに尖閣諸島まで行けば燃料代まで中国当局から支給されるということも中国漁民は証言しています。 つまり、今年の9月ごろから11月に小笠原諸島・伊豆諸島周辺海域に現れたサンゴの密漁の中国漁船も、勝手に来たのではなく中国当局から指示が出ていたと考えて間違いありません。 ◆サンゴ密漁船を出す中国の意図 今回の密漁船も福建省から出航しており、小笠原諸島・伊豆諸島まで片道2000キロメートルあり、燃料費だけで300万円ほどかかります。 大船団で一獲千金を狙うにしても過当競争で採算が取れず、しかも日本に数隻が拿捕されて、罰金も課せられる状況下で、それでもやめないというのは、何らかの意図があるからです。 にわかに中国漁船が大船団を組んでやってくることは極めて不自然であり、まとめて燃料費を提供するスポンサー(中国当局のバックアップ)がなければ、どう考えても不可能です。 中国は、11月に自国がホスト国を務めたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)のタイミングに合わせて、多い時は200隻ものサンゴ密漁船を小笠原諸島・伊豆諸島周辺海域に送りこんだとしか考えられません。 また海上保安庁は尖閣諸島に12隻の巡視船を配備する予定になっており、2隻の新造警備船が石垣島に到着したタイミングで小笠原諸島に密漁船は現れました。(11/6産経「正論・サンゴ密漁の真の狙いは尖閣だ」東海大学教授・山田吉彦氏) 小笠原諸島・伊豆諸島周辺海域で取り締まっている日本の船は、海上保安庁3隻と水産庁2隻の計5隻だけです。 中国は日本が尖閣諸島と西太平洋の二つの海域(二正面)に中国船を出した場合、海上警備面で日本はどのように対応するか、試したのではないかと考えられるわけです。 例えば、小笠原諸島・伊豆諸島周辺海域に大船団を出して、従来は尖閣諸島を警備する海保の巡視船を小笠原諸島・伊豆諸島周辺海域にシフトすれば、今度は尖閣海域の警備が手薄になります。 日本の巡視船の数は充分ではなく尖閣諸島と小笠原諸島・伊豆諸島周辺海域の二つの海域で同時に100隻の漁船を出されたら対応はできなくなります。ですから早急に巡視船を増やす必要があります。 次回、中国船のサンゴ密漁は鹿児島でも起こっていること、近年は長崎県の五島列島にも中国船は出没しており、その際に中国漁民の不法上陸の不安が広がっていることを紹介します。 (つづく) バブル崩壊に向かう中国と日本の対応(3) 2014.12.02 ■バブル崩壊に向かう中国と日本の対応(3) 文/幸福実現党・京都府本部副代表 植松満雄 今回はさらに中国政府が打ち出す経済政策を明らかにし、また日本が取るべき対応についてどうすべきなのかを述べて参ります。 ◆そのときに、習近平政権はどうするのか? (1)「バブル崩壊」はさせない。 共産党政府の威信に懸けてデフォルト(債務不履行)を起こさせないでしょう。 中国当局が札を刷ってでも潤沢に資金(公的資金)を入れるので、下手に国民が「取り付け騒ぎ」など起こそうものなら、逆に「暴動」として武装警察、最悪の場合は軍隊を導入することも考えられます。 (2)「中国は安全だ」と嘘をつく。 また中国のマスコミは国家に完全コントロールされているので、平気で「中国の財務指標は健全だ」と報道官が嘘をつくでしょう。 かつて、2000年初頭、地方の銀行で取り付け騒ぎがあったときに、人民解放軍がトラックいっぱいの人民元をどんどん銀行に運び入れる様子をTVで流し、暴動を収めたことがあります。こうして嘘の映像は簡単につくられるのです。 (3)地方政府に圧力を掛け、無駄な投資を無くさせ、「緊縮財政」へと移行させる。 これまでの無駄な投資を止め、野放しになっていた開発を止めることになるでしょう。人の粛正もする可能性もあります。これは周永康、薄熙来の胡錦濤一派な等、次々と消していっているのを見れば分かります。 中国は乱脈開発をしているので、都市部には公害は広がり、山林は荒れ果ててきているので、洪水や災害が多発しています。 (4)「人民元による中華帝国の創造」 東南アジアやアフリカなど新興国は、中国との貿易をしようとすれば、人民元での決済を余儀なくされます。 かく言う日本企業だって同じです。そのように人民元による通貨支配を繰り広げ、ドルに変わって基軸通貨としようとしています。事実、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)において、ドル支配のIMFから離れた投資銀行をつくりました。 このまま、日本が自国の経済を成長されることもなく、ゼロ成長を続けてゆくならば、「中華帝国」に飲み込まれ、「中華帝国」の一員(日本自治区)となって生きてゆくことになる可能性もあるわけです。 「それもいい?」と思う人もいるかもしれませんが、そんなに甘くはありません。例えば、新疆ウイグル自治区やチベット自治区を見る限り、漢民族以外の民族は自由と人権は無いに等しいのです。 新疆ウイグル自治区で1000万人、チベットで750万人の人々が粛正されている事実を知れば、中華帝国思想の枠組みから遠く離れることが、日本の安全のためには重要だと言えます。 (5)外に敵を作り、人民解放軍を掌握し、軍事力を金に換えようとする。 チャイナ・ナチズムの台頭が見え始めています。チャイナ・ナチズムとは、いわゆるドイツ・ナチズムの中国版の復活です。 外に対しては極端な「民族主義」や「領土拡大戦略」を掲げ、周辺国を侵略し、内に対しては少数派民族との融和を掲げながら、理由を付けて迫害しています。 今、考えられる一番危険な地域は、南シナ海であり、次に東シナ海です。香港デモが片付いたら、今度は台湾を緩やかに経済面から吸収していくでしょう。 その次は、いよいよ日本の領土である尖閣諸島、沖縄へと触手を伸ばしてくるのは必至です。 ◆今後の「日本の対策」はどうあるべきか 上記のような、習近平政権による中華膨張主義が存在する限り、日本の国土および国民の生命、財産、安全は常に危険に晒されています。 こうした事態に対して日本国政府がやるべき対策として何があるでしょうか。 それは、「教育と情報の自由化」と「経済成長」、そして「日米同盟の強化」と「自前による国防強化」です。 かつて、ソ連がゴルバチョフ時代に行った改革の中で、ソ連の崩壊を一番早めたものは「情報の自由化(グラスノスチ)」でした。 現在の日本でいえば、マスコミと官僚の癒着を切ることが大事で、そのためには、各行政機関にある護送船団方式の記者クラブを廃止させることも考えるべきです。 その上で、国民の「知る権利」を担保させるために、報道機関としてルールを法律で定め、登録制度によって業者を確定させ、マスコミ各社に報道の自由と言論の自由を与えることです。 そうすることによってマスコミの質の向上と官僚の隠蔽体質が露見し、行政改革が進み、役人国家が滅びに到るでしょう。 その次に、日本はもっと経済界で、中国に対抗できる国力を付けることです。 何故なら、経済力こそが国防力であり、技術力こそが国の安全を担保する源泉だからです。但し、日米軍事同盟と経済関係を強化しつつ、その上で出来る限り自前の防衛技術を開発することも大切です。 その防衛技術は取りも直さず、航空産業や未来のエネルギー産業へと進化させます。 更に付加すれば、エネルギー安保としてロシアを味方に巻き込むことも重要です。その時に、アメリカを刺激しないようにしないといけません。 そして、アジアの周辺諸国のために、日本がリーダーとしての役割を担い、アジアの平和を守る気概を外交力で勝ち取ることです。 こうした根回し手をしながら、「中国の国連安保理常任理事国廃止要求」を提案するくらいの国際的な発言力を高めることが大事なことです。 すべてを表示する « Previous 1 … 53 54 55 56 57 … 101 Next »