Home/ 2012年 July 2012年 July 小学生のような答弁を繰り返す安住財務大臣――日本財政はギリシャ化しない! 2012.07.20 18日から参議院の社会保障と税の一体改革特別委員会で、消費税増税について厳しい追及が始まっています。 19日、消費税をめぐる参院の審議で、安住淳財務大臣が新聞の社説を根拠に増税の必要性を訴えました。(7/20 J-CAST 安住財務相「主要新聞社の社説がみんな『消費税上げろ』と言っている」⇒http://www.j-cast.com/2012/07/20140133.html) 野党議員が「現場の為替ディーラーが『今、消費税を上げる必要はない』と言っている。そのことが、なぜ軽んじられるのか」と安住氏を追及したのに対して、 安住大臣は「じゃあ逆に、日本の主要新聞社の社説を含めて論評は、なぜみんな『消費税上げろ』と言うのか。そういう世論は大きいのではないか」 「新聞社だって、商売を考えたら反対(主張)でやった方が売れるかも知れないのに、しっかりそこは消費税上げて(民主、自民、公明)3党でやるべきだという社説がある」と反論しました。 結局、安住大臣は「新聞の社説に書いてあるから」という小学生のような回答しかできませんでした。「無能大臣、ここに極まれり」です。 財務大臣自身が、財務省と癒着している大新聞の社説を信じて増税しようとしているのですから、全てが「茶番」だと言えます。 また、安住大臣は「今回の消費税率の引き上げは第一歩だ。その後、歳出の削減と税収を上げる努力をしていくが、それでも足らない分は、税の負担をどうお願いするか、設計を示さないといけない」と述べ、更なる消費税増税を目論んでいることを漏らしました。(7/20 NHK「財務相“消費税 再増税の検討も”」) 安住大臣は、もはや「財務官僚の言いなりのロボット」であることを自白したようなものです。 安住氏の持論は「(国の借金は)1000兆円を超える。このまま積み上げていけばギリシャのように生活や経済を直撃する」(1/12 記者会見)ですが、これは菅直人氏や野田首相が財務相時代に財務官僚に洗脳されたのと同じロジックです。 実際には、ギリシャ危機は付加価値税(日本の消費税に相当)増税とバラマキ政策が元凶です。(6/21 フジサンケイビジネスアイ「ギリシャ化の始まりを告げる『消費増税採決』」⇒http://utun.jp/HG8) ギリシャは、付加価値税率を引き上げては年金など社会保障支出を増やし、バラマキ政策を行ってきました。その結果、2006年の増税以降、プラスだった経済成長率がマイナスに転じ、対外債務を増やしています。 また、イタリアが昨年9月に付加価値税の税率を引き上げて以降、同税の受取額は減少。4月末までの1年間の徴収額は2006年以降で最低に落ち込みました。(6/13 ブルームバーグ「イタリアの増税が裏目に、付加価値税収減少」) 結局、「消費税増税しなければギリシャ化する」のではなく、「消費税増税がギリシャ化を招く」のです。 また、野田首相や安住財務相や財務官僚が言う「財政破綻の危機」も完全な嘘であり、増税のためのロジックに過ぎません。 債券ファンド世界最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、日本が将来的に財政破綻する「確率はゼロに近い」とみています。(6/29 ブルームバーグ「PIMCO:財政破綻リスクほぼゼロ、円債に魅力」) ピムコジャパンの正直知哉氏は「政府は徴税権を持っているので、民間部門のバランスシート(資産・負債状況)も合わせて考えるべきだ」と指摘。日本には長年の経常黒字で積み上げた世界最大の対外純資産があるため、「将来的に経常赤字基調になってもバッファーがある」と説明しています。(同上) 世界的なベストセラーとなった『国家は破綻する』(ラインハート・ロゴフ著、日経BP社、2011年)によれば、いわゆる「デフォルト」や「ソブリンリスク」は「対外債務(外国に対する(多くは)外貨建ての借金)」が原因となって起こることが示されています。 日本は「財政赤字(大半が対内債務)」はあっても「対外債務国」ではなく、むしろ日本は21年連続で世界最大の対外純資産を持つ「債権大国」です。(5/22 読売「日本の対外純資産21年連続世界一」) 一方、ギリシャの対外債務は約4000億ユーロ(約41兆円)で、同国政府や銀行、企業が返済できるのはその一部のみです。(5/16 ブルームバーグ) すなわち、「財政赤字」ではなく、「対外債務」がギリシャ問題の本質であるにもかかわらず、「財政赤字はギリシャ化を招く。早急に増税すべき」と主張している政府やマスコミのロジックは間違っています。 日本の財政は改善の必要はありますが、危機的状況からは遠く、早急にギリシャ化することはあり得ません。今は増税ではなく、デフレ脱却、景気回復を優先すべきです。 デフレを深刻化させ、景気をどん底に突き落とす消費税増税は、ギリシャやイタリアのように、より一層、財政赤字を深刻化させる「最悪の選択」です。共に、消費税増税法案を廃案に追い込んで参りましょう!(文責・黒川白雲) 日米の「財政危機」に対する意識の違い――増税ではなく景気回復を! 2012.07.19 アメリカでは連邦政府の赤字と並んで、州政府の赤字も問題となっております。ただし、財政赤字の問題の取り扱われ方が日本とアメリカでは全く異なります。 アメリカでは財政危機の問題として挙げられているのが、年金と医療です。 7月18日付のフィナンシャル・タイムズ3面では、年金で約3兆ドル(約240兆円)、退職者向けの医療費で約1兆ドル(約80兆円)の赤字が発生していると出ています。 また、景気後退によって税収が減っていることが財政赤字の原因であると指摘しています。(tax revenues fell sharply as a result of the economic slump.) 日本でも、年金の積立金不足は450兆円、年金の支給額は2009年以降50兆円を超え、医療費も30兆円を超えていますが、年金や医療が財政を悪化させているという指摘をマスコミが行うことはあまりありません。 また、「そもそも何故、税収そのものが下がっているのか」ということを問題にする報道機関も皆無です。ほとんどのマスコミが「財政危機だから増税すべき」という単純な論調です。 しかし、日本でも、経済成長によって増税しなくても税収が増えていた時期があったことを忘れてはいけません。実際、過去の税収の推移をみれば、景気の動向と連動していることは一目瞭然です。 まず、景気回復が税収増につながった2003年から2007年の四年間を見てみましょう。2003年から2007年までの四年間、政府の税収は43.3兆円から51兆円にまで緩やかに回復しています。この四年間の経済成長率を見ると1.3%~2%のプラス成長が続いていました。 しかし、2008年のリーマンショックの影響で、GDP成長率はマイナス1%成長を記録。2008年度の税収は前の年から5兆円近く減少しました。 さらに翌年の2009年はGDP成長率がマイナス5%となり、税収はさらに5.4兆円減少し、38兆円にまで落ち込みました。(税収の推移⇒http://utun.jp/HG3、実質経済成長率の推移⇒http://utun.jp/HGm) 2007年に51兆円あった税収が、たった2年間で38兆円にまで減少してしまったのです。このような経過を見れば、税収を増やすためには景気の回復が一番であることが分かります。 しかし、政府は景気回復にはまったく取り組まず、増税ばかりを議論しています。それに対して、幸福実現党の政策は、まず初めに景気回復を取り上げています。 それでは、どのような政策で景気回復を実現すれば良いのでしょうか?経済学では当たり前のことですが、「金融緩和」と「公共投資」です。 金融緩和により、長年続いたデフレから脱却し、政府の投資によってGDPを増やしていくことが重要です。 デフレから脱却すれば、物の値段も上がりますが、給与も増えます。今年よりも来年、来年よりも再来年給与が増えていくことが分かれば、安心してお金を使うことができます。 さらに、デフレから脱却をするためには日本銀行が国債の買い入れを増やす必要があります。政府は日銀から調達した資金で老朽化したインフラを整備し、地震や津波などの災害対策に投資をしていくことができます。 政府がインフラ整備にお金を使えば、道路や橋の補修をした人たちの給与が増え、さらにお金が使われます。政府が投資をすることによって、投資した額以上に国民所得が増えることを「乗数効果」と言います。 最近の実証研究では、戦後の公共投資の乗数は1から1.4程度と言われていますが、筑波大学名誉教授の宍戸俊太郎氏のように、10年間で250兆円規模の公共投資を行った場合、GDPは874兆円に増加するという推計を出している学者もいます。(藤井聡『救国のレジリエンス』p.165) 経済の語源は「経世済民」「国を治め、民を救う」です。 現在、政府が行っている経済政策は「経済」政策の名に値しません。本来の「経済」政策に立ち戻るためにも、増税ではなく景気回復に真正面から取り組むべきです。(文責・HS政経塾一期生 伊藤希望) デフレ脱却だけでは不十分?増税とエネルギー問題が日本経済に及ぼす影響 2012.07.18 今回は、増税とエネルギー問題を題材にしながら、デフレ脱却を再考します。 学習院大学の岩田規久男教授の著書『インフレとデフレ』に従えば、日本経済の1980年から1990年までの10年間の平均インフレ率は2.6%、91年から01年は0.7%、02年から07年は-0.2%、08年から11年は-0.3%となっています。 アメリカやイギリスなどの主要先進国でも1980年代以降はインフレ率の低下=ディスインフレ傾向ですが、日本の水準は際立っていることが分かります。 特に、岩田教授が主張している論点は、08年のリーマンショック以降、先進国でデフレなのは日本だけだということ。 ショックの震源地であるアメリカは、08年から11年までの平均インフレ率は2%です。つまり、日本のデフレは政策に問題があるということです。 物価水準の操作は、基本的に日本銀行(以後日銀)が担当します。2月に事実上のインフレ目標導入を決定した日銀が発表した「中長期的な物価安定の目途について」にも、「物価の安定を図ることを通じて、国民経済の健全な発展に資すること」を基本理念とすることが書かれています。⇒http://goo.gl/gZ3ld 日銀は、消費者物価指数の上昇率を当面は1%を目途としており、長期国債購入基金の積み増しを行いました。 過去の日銀の姿勢からは半歩前進とはいえ、まだまだ本格的なデフレ脱却からは遠い点を、私の論考の中でも数回紹介しています。⇒日銀の金融政策「据え置き」では不十分 そこで、最近話題になっている増税とエネルギー問題を絡め、これまで考慮されていない「デフレの脱却」の論点をあげておきましょう。 基本路線は、日銀の金融政策と財政出動によるポリシーミックス(政策の組み合わせ)です。経済が順調に拡大し、物価も少しずつ上がっていく限り問題はありません。雇用が創出され、成長率が高まれば、デフレ脱却と成長の実現により、国民の生活は楽になります。 しかしながら、一般物価指数は政策以外の要因によっても変動します。 例えば、資源価格高騰がインフレにつながるケースです。 わが国では、1970年代に二度のオイルショックがありました。中東の産油国で形成されるOPEC(石油輸出国機構)が石油の輸出を全面的に停止したことが原因で起こったインフレは、庶民の生活に大きな影響を与えました。 その後、産油国の意図的な原油価格つり上げは起こりにくくなりましたが、中東では紛争や戦争が起こる可能性が高いのは否定できません。 仮にホルムズ海峡で問題が起きた場合、わが国は石油の輸入に四苦八苦することになるでしょう。その結果、原油価格高騰による電気代負担の上昇だけではなく一般物価水準も上昇する可能性があります。 資源を輸入に頼っているわが国は、資源価格の変動に脆弱であるということを再認識するべきです。 さらに問題なのは、インフレが不況時に起こるケースです。最悪の場合、インフレと不況が同時に襲うスタグフレーションが再来する可能性があること。 その結果としてデフレが脱却できたとしても、失業率の増大や成長率の低下という高い代償を払わなければなりません。 もう一つが、野田首相が政治生命をかけて取り組んでいる消費税増税問題です。 増税をすることで、短期的には物価が上昇します。例えば、2014年に8%へ、2015年には10%へと上がることによって、一般物価も1%以上上昇したならば、日銀は労せず中長期的な目途を達成したことになります(あくまでも仮定の話)。 ただし、この議論に足りないのは、増税による消費や投資の落ち込みによる成長率の低下によって、再びデフレとなることを想定していないことです。 1997年4月に消費税が3%から5%に上がった後に何が起きたかを考えれば、増税がもたらす効果は明らかでしょう。 「デフレの脱却」だけでは、論点はいくらでもとれるので、やはり、高い成長と雇用の創出を最優先し、その結果としてデフレ脱却ができるとした方がよいでしょう。 さもなければ、予期せぬ短期的なインフレが生じた場合、「インフレを抑制するために増税をして財政再建をするべき」という論点が出てくる可能さえあるからです。 日銀は、インフレ懸念があるだけでも金融引き締めに入ります。そうすれば、日本経済は一層冷え込むことになります。 幸福実現党は、日本経済がさらなる長期不況に突入しないためにも、増税ストップと原発の再稼働などを通じてエネルギーの安定供給を継続して主張していきたいと考えます。(文責・中野雄太) 情緒的「脱原発運動」と「科学の死」 2012.07.17 脱原発を訴える「さようなら原発10万人集会」が16日、代々木公園で開催されました。猛暑の中、主催者発表で約17万人、警察当局の集計で約7万5000人が参加。福島第1原発事故後に広がった脱原発運動の中で最大規模の集会となりました。 動員の主力となったのは、連合の加盟労組から、自治労、日教組、私鉄総連などの労働組合です。自治労、日教組は、北海道や九州、沖縄まで全国規模で加盟組合の旗が見られました(7/17 赤旗)。 本集会は「原発反対」の国民集会というよりも、単なる、労組が大結集した「7月版メーデー」に過ぎません。 7人の呼びかけ人からのあいさつでは、音楽家の坂本龍一さんは「たかが電気のために、なぜ命を危険にさらさなければならないのか。お金よりも命が大事だ」と訴えました。 脱原発の訴えは、非常に情緒的であることが特徴です。俳優の山本太郎氏も「子供に『20ミリシーベルト』は殺人的です」と動画メッセージ等で訴えていました。 福島第一原発事故による直接の死亡者等被害者が出ていないにもかかわらず、情緒的な「脱原発運動」が盛り上がっている理由の一つが、放射能汚染により故郷を失った人々の存在です。 多くの福島県人が未だ避難生活を余儀なくされており、生活の基盤を失った人々の姿が、取り残され、死に絶えた家畜などの映像と相まって、棄てられた民(「棄民」)の如く認識され、放射能汚染の恐ろしさが否が応でも強調される事態となり、自然と「脱原発」の方向に世論は流れます。 しかし、各放射線災害を調査してきた専門科学者である札幌医大高田純教授は、現地調査を踏まえて、福島第一原発事故の翌月には「原発敷地外では、誰も健康被害を受けない」という結論を出しておられました。(参考:高田純著『放射能・原発、これだけ知れば怖くない!』幸福の科学出版⇒http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=762) 実際、広島、長崎における1回の外部被ばくのデータを基に、100ミリシーベルト以下では発癌性のリスクは証明されていません。 にもかかわらず、放射線の恐怖をいたずらに煽る週刊誌報道や左翼言論によって、科学的言論空間は歪められ、冷静かつ客観的な議論はできなくなり、二次的な混乱や風評被害、福島県民への差別、不必要なストレス等を生んでいます。 科学や医学が「政治の僕」として、「どうにでも歪曲してよい」とのスターリン型共産社会の大鉄則が、2011年以降の日本では、電力問題において、公然と国家規範となった観があり、「科学が科学であり得ない」日本とは、もはや自由社会の国家ではないと、渡部昇一氏は絶句したと述べています。(参照:『撃論』第5号) 実際、これまで世界をリードする原子力技術によって、国家や社会への貢献を志して取り組んで来られた真摯な原子力科学者・技術者の方々が、原発事故後、左翼勢力から「御用学者」「原子力ムラの人」「原子力利権に群がる人々」と根拠無き人格攻撃を受けている現状には許しがたいものがあります。 政府の将来のエネルギー政策に関する国民の意見聴取会で、電力会社社員を名乗る男性が、原発を擁護する意見を表明しただけで、会場から「やらせだ」「回し者」といった批判が飛び、原子力擁護の言論は完全に封殺される「空気」が支配しています。 京都大学原子炉実験所教授の山名元氏は「正直にリスクを語ろうとする専門家が、原発推進学者というレッテルを貼られ、正論を語ることすら難しくなった。中国で起きた文化大革命のときに、立派な学者や識者が、市民や共産党員から理不尽な弾圧を受けたことを彷彿とさせる」と述べています。(山名元著『放射能の真実』) 今回の「原子力パージ(粛清)」によって、電力事業や原子力関連産業から優秀な技術者が流出し始めており、全国の大学の原子力関係学部への入学者は2年連続で減少しています。(6/15 産経 正論 山名元「『不信と否定の空気』変えよ」) 一度失われた技術は回復するのは極めて困難です。一旦、技術者が流出すれば、再び世界の最先端に追いつくためは数十年、あるいはそれ以上かかります。 幸福実現党は、このまま日本が、国家社会主義の方向に流れ、国民が貧しくなり国家が衰退していくことを看過できません。 今、政府は冒頭に示した「エネルギー・環境に関する選択肢」について、広く国民的議論を呼びかけるため、7月2日から8月12日までの間、意見(パブリックコメント)を募集しています。⇒http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120702/20120702.pdf パブリックコメントの投稿においても、左翼勢力によって「原発ゼロ」に向けた事実上の「国民投票」が行われています。私たちも、真摯なる意見を投稿し、「自由の大国」を守り抜いて参りましょう!(文責・加納有輝彦) 学校の治外法権を許すな――今こそ、教育再生を! 2012.07.16 先週9日のHRPニュースファイルで、大津市のいじめ隠ぺい事件をとりあげました 事件はその後も、各メディアでも大きく取り上げられ、「男子2人が(自殺した生徒に)死んだ蜂やごみなどを無理やり食べさせた」「文化祭や体育大会のとき手をロープで縛られる」といった地獄的ないじめの内容も明らかになって来ました。⇒http://goo.gl/g7m75 「実際にはカエルまで食べさせられていたみたいです。あるとき、親戚の家に遊びに行ったとき、もうすごい下痢をしたみたいで…。きっと変なものを食べさせられたから、お腹を壊したんでしょうね…」といった証言も出ています。⇒http://goo.gl/EcECS この事件は、アメリカ三大ネットワークの一つ「ABC」のヘッドラインに掲載されるなど、国際的なニュースにもなっています。⇒http://goo.gl/JQNn8 さて、11日、滋賀県警が「強制捜査でないと全て(資料が)出ないと判断した」として、学校と教育委員会に対する家宅捜索を行いました。 教職員の汚職などで学校や教育委員会を捜索した例はあっても、いじめ自殺をめぐって警察が家宅捜査に踏み切ったことは極めて異例です。 警察には事件の真相をしっかりと解明、処罰することを期待しますが、警察の介入は余りにも遅すぎました。もはや取り返しがつきません。 男子生徒の父親は自殺後、大津署に「処罰できる方法はありませんか」と三度も被害届を出しましたが、署は加害者の生徒が14歳未満であることなどから「犯罪事実の認定は困難」と受理していなかったことが明るみになっています。 また、滋賀県警の家宅捜索について、大津市教育委員会の澤村憲次教育長が現場で抗議していたことも明るみになりました。(7/13 FNN「滋賀・いじめ自殺 澤村教育長、警察の強制捜査に現場で抗議」⇒http://goo.gl/S1GyX) 澤村教育長は依然として「自殺との因果関係については、私どもは分からない、判断できない」「いじめがすべてではない。別の要因もあったはずだ」と、自殺の原因をいじめと認めようとしません。(7/12 J-CAST「大津市教育長 まるで他人事!『自殺はいじめ以外にも要因。資料スーと見た程度』」⇒http://goo.gl/dSJKT) 澤村憲次教育長の言動からは、いじめ自殺事件や市教育委員会の隠ぺいに対する反省は全く見られず、ただただ学校と教育委員会、自身の保身しか考えていないことが伝わってきます。 さて、今回注目したいのは14日、問題発覚後、初めて記者会見した校長の発言です。今になっての会見は遅すぎることはもちろん、誠に歯切れの悪い会見でした。 自殺前の昨年9月30日と10月5日の二回、男子生徒へのいじめに関する情報が女子生徒から担任に入り、自殺6日前の10月5日、担任、学年主任、生徒指導担当ら5、6人の教師が協議をしていたことが分かりました。 その結果、「生徒同士のけんかで、いじめはない」と結論付けたといいます。 記者の「いじめがあったと疑わなかったのか」との質問に、校長は「疑っていなかったというより気づいていなかった。認識がなかった」と釈明。あくまでも「けんか」と判断したということで通しました。(7/15 読売「中2自殺、校長『いじめ認識せず』市教委とズレ」⇒http://goo.gl/N8YPU) この会見で分かることは、学校側の初動のミス、初動判断の誤りです。いじめを指摘する複数の生徒達の報告を見過ごしたこと。そして、再度いじめ情報が寄せられ、教師たちで話しあう場を持ったにもかかわらず、双方の聞き取りだけで終わってしまったこと。 教師ならいじめを強く疑うのは当然のこと、情報が上がった段階で、いじめを指摘し、通報してきた女子生徒にも事情を聞くべきでした。そして加害者を早期に調査していれば迅速な対応ができたはずです。悲劇は防げたかもしれません。 この事件は教育現場における、戦後民主主義の非常に弱い部分の象徴です。正義を引っ込め、「なあなあ」で仲良くさせ、話し合い路線で片付けようとする学校の戦後民主主義がいじめを増幅させていると言えます。 また、もし一教師が責任から逃れたい保身が働いても、教頭や校長が正義感の塊で「絶対に悪は許さない」という気持ちがあれば、学校現場でいじめが黙認されることはありませんでした。 幸福実現党は「いじめ防止法」の制定を公約として掲げていますが、加害児童生徒に対しては、いじめの悪質さに応じて、退学、転校、停学、短期出席停止、厳重指導、注意処分等を行ない、いじめ行為に加担、黙認、参加した教員は厳罰に処す法案を目指しています。 大津いじめ事件の悲劇を繰り返さないためにも、「いじめ防止法」を制定し、「学校の自治」の名のもとに教室を聖域化、密室状態にしておかないこと。そして、前回のニュースファイルでも書きましたが、「道徳教育」「宗教教育」の復活が不可欠です。 善悪の基準とは、つきつめれば仏神の教えに行きつきます。その意味でも、いじめ対策の根本は、仏神の善悪の価値基準、「愛」や同悲同苦の心、「天国・地獄」といった因果応報について教えることは大事です。 戦後、GHQの政策や日教組により、公教育の現場から宗教教育を排除した結果、学校から聖なる部分、尊い部分、威厳のある部分が失われました。 学校が荒れてきたのは戦後、学校から道徳や宗教を追い出した当然の結果と言えるでしょう。 いじめは決して許してはなりません。「正義の支配」を子供の世界で教えなければ、やがて子供たちが大きくなった時、それは犯罪につながっていきます。 失われた「学校の尊厳」を取り戻す時は今をおいて他にありません。(文責・竜の口法子) 国家戦略室「日本再生戦略(案)」を検証する 2012.07.14 消費増税関連法が7月11日より参議院での審議が開始され、同日、消費増税導入の最終判断を決する「景気条項」への対処として「日本再生戦略(案)」が政府で審議され、月内にも閣議決定され、予算編成に反映される見通しです。⇒http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20120711/shiryo4.pdf 「日本再生戦略(案)」では、100兆円の新規市場と480万人の雇用創出を目指し、2020年度までの経済成長率を名目3%、実質2%に高めることを謳っています。 これが実現すれば、日本経済は上向きますが、「日本再生戦略(案)」は果たして本物と言えるでしょうか? 産経新聞は「再生戦略は、22年6月に菅直人内閣が策定した『新成長戦略』を焼き直した項目も多い。新成長戦略自体、376項目のうち、成果の出ていない政策が約9割に上っている」と酷評しています。(7/10 産経) それでは「日本再生戦略(案)」について、主要な3論点について見てみたいと思います。 (1) グリーン成長戦略 同戦略では「グリーン成長戦略」として、2020年までの目標として、50兆円超の環境関連新規市場、140万人の環境分野の新規雇用を掲げています。 その中でも、「政策資源を総動員して国民の省エネルギー、再生可能エネルギーの導入を力強く支援していく」と、再生可能エネルギー分野の振興を目指しています。 しかし、再生可能エネルギー分野においては、我が国の産業は競争優位を有していません。 例えば、再生可能エネルギーの中核となる太陽電池パネルは「日本のお家芸」のように思われていますが、実際には、2010年の太陽電池セル生産では、シャープは世界シェアの7%、京セラは6%に過ぎません。 一方、2010年の太陽電池セル生産では中国勢4社は合計51%、台湾を含めると65%ものシェアを占めており、技術競争の時代が終わり、熾烈なコスト競争の時代に入っています。日本が競争優位を得ることは難しい分野です。 むしろ、安全保障の観点も含めて、イラクに匹敵する石油埋蔵量を持つ尖閣諸島の油田開発を実現することで、国内における年間石油消費量10兆円規模となる石油を採掘し、国の収益とするような大胆なエネルギー政策を打ち出すべきです。 (2) ライフ成長戦略 次に、同戦略では「ライフ成長戦略」として、2020年までの目標として、医療・介護・健康関連サービスの需要に見合った産業育成と雇用の創出として、新市場約50兆円、新規雇用284万人を掲げています。 しかし、学習院大学・鈴木亘教授は「医療・介護産業は、多額の公費投入による価格ディスカウントでかろうじて支えられている産業であり、自律的な成長が期待できる分野ではない。 医療・介護費を増やせば自動的に多額の財政支出増となることを考えれば、これは成長戦略というより、一時的な財政政策に近いものと見るべき。」(『社会保障の不都合な真実』P.207~)と指摘しています。 社会保障に関連して、日本再生戦略を実現していく財源として、年金積立金管理運用独立行政法人等の公的マネー(H23年度末時点で、運用資産額:約113兆円、収益額:約2兆6千億円)が出て来ています。しかし、国民資産を運用して財源とするならば、復興増税や消費増税もすべきではありまえん。 鈴木亘教授が指摘するように「多額の公費投入が必要」で、「自律的な成長」が期待できない分野への資金投入は非効率を生み出すのみです。 但し、高齢化は今後とも進展していくため、幸福実現党が提言しているように、医療・介護・健康関連における参入規制の緩和・撤廃、市場原理の導入と競争の促進、価格の自由化、民営化の促進等の構造改革を進めるならば、成長産業になる可能性はあります。 (3) アジア太平洋経済戦略 「アジア太平洋経済戦略」として、2020年までの目標として、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築、ヒト・モノ・カネの流れ倍増、EPAカバー率80%程度、パッケージ型インフラ海外展開による市場規模19.7兆円を掲げています。 しかし、経済連携協定の拡大を見ても、締結国との貿易割合を80%まで引き上げるのは、TPPを実行しないと達成できない数値です。しかし、TPPは交渉参加表明で他国に出遅れ、民主党内の反対意見も根強くあります。 ベトナムのカーン首席交渉官は「8月末までに意思決定できれば、メキシコ、カナダに遅れることなく交渉参加が可能」と日本に判断を迫っています(7/11 時事)が、未だに政府の決断は不透明です。 また、「食農再生戦略」には、TPPへの戦略が無く、農家戸別保証や青年就農給付金などのバラマキ等のみで、イノベーションの意識は薄く、農業の輸出産業化に向けた熱意は見られません。 TPPについては即刻参加を表明し、TPP交渉でリーダーシップを発揮すると共に、農業分野においては、幸福実現党が提言しているように、参入の自由化、農業の大規模化・効率化、農地の自由売買等の構造改革を進めるべきです。 また、「パッケージ型インフラ輸出」は有望な分野ですが、韓国やフランスの大統領による原発のトップセールスのように、政府首脳が経済界のリーダーを多数引率して相手国にセールスする政治力が必要ですが、日本政府は苦手としており、日本企業もバラバラに行動しています。 以上、主要な3論点についての危惧を述べましたが、更に共通して欠落している点を一つ挙げるならば、「安全保障」の観点が欠けていることです。 中国の覇権主義を抑止できる自主防衛力の確立が無く、対等な外交交渉はじめ、領土や海洋資源を保持し、安心した経済活動を行うことは出来ません。また、経済成長の要となる新技術の開発は「防衛産業」にあります。 結局のところ、「日本再生戦略(案)」は、日本が置かれている厳しい国難を打破するための「戦略的発想」に欠けており、「消費増税導入のための数字作り」に過ぎないと言えます。 これでは、次期衆院選の選挙対策としての「バラマキマニフェスト」や「官僚の利権拡大戦略」と言わざるを得ません。 政府は、国家のサバイバルをかけて、日本を真に再生させる戦略を立て、断行していくことが求められます。(文責・小川俊介) 「原発大国」を目指す中国――日本は国家意思を明確にせよ! 2012.07.13 現在、民主党政権の下、脱原発に向けたステップが着実に進められています。 既報の通り、政府の「エネルギー・環境会議」が6月29日、今後のエネルギー政策について、「エネルギー・環境に関する選択肢」(2030年の原発依存度を基準に、(1)原発ゼロシナリオ、(2)原発15%シナリオ、(3)原発20~25%シナリオ)を取りまとめました。 これは、2030年に向けて、原発比率を0~25%の範囲で削減していく方針を明確に打ち出したものであり、2030年までの日本のエネルギー政策がこれで決定されます。 当初、存在していた「35%シナリオ(※)」は左翼委員によって途中で消されたため、現状の選択肢は全て「原発削減シナリオ」となっています。 ※2010年の原発比率は26%であり、「20~25%シナリオ」は一見、現状維持に見えますが、【数字のトリック】が使われています。他の選択肢の前提条件と同様、原発稼働率67%(基準年2010年)⇒80%(2030年)、電力消費量1.1兆KWh(基準年2010年)⇒1.0兆KWh(2030年)と置くと、原発を維持した場合、2030年の原発比率は約「35%」になります。(26%× 80/67 × 1.1/1=34.15%) また、私達がエネルギー政策について考える際、国内のみに目が向きがちになりますが、国外、特に、日本に覇権主義の矛先を向けている中国の原発政策にも注目する必要があります。 中国の原子力開発計画について、World Nuclear Association(世界原子力協会「Nuclear Power in China」⇒http://www.world-nuclear.org/info/inf63.html)によると、下記計画が明らかになっています。 現在、中国では、6か所の原発で13基の原子炉が稼働中です。現在運転中の原子力発電所の設備容量は1188万kW、原子炉は15基です。 発電量は、中国の総発電量の2%程度、日本の原発の設備容量(4896万kW(震災前))の4分の1に過ぎません。現状では、中国は「原子力大国」とは言えません。 しかし、同サイトによれば、中国で建設中、若しくは計画中の原子力発電所は8575万kW、77基あります。 実際、中国政府は今年初め、原子力発電所の設備容量は2020年までに8600万キロワットに達すると発表しています。(1/18 新華通信社) さらに、構想中の原子力発電所は1億5400万kW以上、約150基とされています。これは概ね2030年までに達成される計画と考えられます。 建設中・計画中・構想中のものを合計すると、約2億4000万kW、震災前の日本の設備容量の約4倍が建設されることになります。これは中国の原子力が米国、フランスをも上回る世界一の規模になるということです。 さらに、上記ページには、2050年までに4億kW(原発約400~500基)が建設されるとされています。この急激なペースでの原子力開発は、中国の核兵器の増産とも無関係ではありません。 中国が「原発500基」を目指しているのとは対照的に、日本は原発廃止・削減に向かっています。これでは、経済的にも、安全保障的にも、日本は自ら窮地に向かっているようなものです。 今、エネルギー政策を通じて、日本が問われているのは「国家の戦略意思」です。 地球環境産業技術研究機構(RITE)が推計した2020年に原発をゼロにした場合の2030年時点における実質GDPへの影響は、自然体ケースに比べて46兆円(7.6%)減少するという結果が出ています。(2011年7月 国家戦略室「エネルギー・環境に関する選択肢」概要p.16⇒http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20120705/shiryo1.pdf) 「脱原発」は電力供給の制約、電気料金の高騰等により、日本経済に致命的なダメージを与え、消費税増税とのダブルパンチにより、日本経済は奈落の底に沈みます。 また、原発を保有しているということは、日本が核兵器を開発できる潜在的能力を保有していることを意味し、安全保障上、大きな「抑止力」効果を持ちます。 「脱原発」は、安全保障上、日本が「丸裸」になることを意味しているのです。 エネルギー政策を通じて、日本は「経済成長していく意思はあるのか」「国を守る意思はあるのか」が本質的に問われています。 政府は冒頭に示した「エネルギー・環境に関する選択肢」について、広く国民的議論を呼びかけるため、7月2日から8月12日までの間、意見(パブリックコメント)を募集しています。⇒http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120702/20120702.pdf この選択が、2030年までの日本のエネルギー政策を決定します。日本を守り、繁栄の未来を築くためにも、パブリックコメントに参加し、日本の平和と繁栄、国家の存続を守り抜きましょう!(文責・黒川白雲) 日本から世界に、信用ある金融のあり方を提示すべき~LIBOR(ライボー)不正操作疑惑からの教訓 2012.07.12 LIBOR(ライボー)不正操作疑惑――世界の金融市場に動揺が広がっています。 事の発端は、イギリスの名門銀行のバークレイズが6月27日に、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を不正に操作したとしてアメリカ・イギリスの金融監督当局から総額2億9千万ポンド(約360億円)の罰金を科せられたことに始まります。 そもそも、「LIBOR(ライボー)」とは何かというと、「London Interbank Offered Rate」の略で、「ロンドン銀行間取引金利」を意味し、ロンドンで金融機関がお互いにお金をやりとりする際の金利のことです。 これがなぜ重要なのかというと、「LIBORを基準に一定の金利上乗せ」して、多くの契約が行われ、融資や住宅ローンの利率や、金融派生商品(先物取引やオプション取引)の価格形成に影響を与えているからです。 その規模は、世界で360兆ドル(約2京8000兆円)という推計もあり(7/11 毎日)、LIBORは、世界の金融市場に大きな影響を持っています。 原因究明に急ぐイギリス 現在、バークレイズ銀行には2つの疑惑があります。 第一に、実際の取引より高い金利をイギリス銀行協会に報告(2005年頃から2008年)を行い、LIBORを不正に高く誘導して、市場取引で不当な利益を得たという疑惑です。 第二に、財務状況を実際よりも良く見せるために、実際の取引よりも低い金利を、イギリス銀行協会に報告(2008年秋のリーマン・ショック時)していた疑惑です。 ロンドンは、ニューヨークと並ぶ国際金融センターであり、このままではロンドンの信用を失墜させることにもなりかねません。イギリスのキャメロン首相は、議会に委員会を設けて徹底調査に乗り出しています。 世界に広がる大手銀行への捜査 しかし、この問題はイギリスを飛び越えて、他国にまで広がっています。その理由は、LIBORの決定方法にあります。LIBORは実際の取引結果ではなく、主要行による自己申告をベースに決められます。 各銀行が報告する金利を基に英国銀行協会が集計していますが、異常値を反映しないように、ドル建てのLIBORだと18行のうち、最も高い金利と最も低い金利の4行ずつを除き、残る金利を平均して算出されています。 すなわち、バークレイ銀行単独では、LIBORの不正操作を行うことができないため、他行と結託して、LIBORの不正操作を行っている「談合」疑惑が取り沙汰されています。 スイスのUBS銀行や、アメリカのシティグループにも調査が広がり、アメリカでは、議会にFRBバーナンキ議長やガイトナー財務長官を月内に招致することになっています(7/12東京) 日本の金融マーケットでは、LIBORが適用されるのは外貨建て定期預金などに限られ、国内への大きな影響はないと見られています。 しかし、今回の出来事を教訓に、日本が更に信用ある金融を実現するべく、2つの方向性について提案致します。 (1)透明性のあるLIBOR決定の制度改革 日本ではLIBORの代わりに、TIBOR(タイボー)が使われています。金利決定プロセスはLIBORと同じなので、金利決定の方向性を考えるべきです。 LIBORは「各行がまとまった資金のやりとりができると考える想定金利」を報告しています。実際に貸し借りをする際の金利ではなく、あくまで見込みの金利です。 一部のプロが利用していたうちは問題になりませんでしたが、1990年代以降、金融技術の発展で、LIBORが様々な局面で使用されて重要性が増す一方、銀行が厳しい経営環境から抜け出すために、金利操作の誘惑が常にあったことも原因として考えられます。 「透明性のあるLIBORの決定方法」へとイノベーションをするべき機会と捉えるべきです。 (2)金融界の倫理の見直し 金融における信用の源をもう一度見直す必要があります。金融派生商品自体は、資金調達の多様化を可能としており、今後も推し進めるべきです。 しかし、その土台となる「金融における倫理観」を今一度確かなものにしておくべきではないでしょうか。 金融の機能は、お金の流れを円滑にする公の機関であり、金融に携わる人は高い倫理をもって、自らを律すことが求められます。 そして、自助努力と勤勉さを持つ個人や法人に、お金が円滑に流れ、豊かな社会の実現に貢献することこそ、本来の金融の役割であるはずです。 今こそ、日本がリーダーシップを取って、「世界の金融センター」となる構想を持ち、法人税の減税など「お金を誘致できる政策」を打つべきではないでしょうか。 今回のLIBOR不正操作疑惑を払拭するくらいの「信用ある金融のあり方」を、日本から世界に発信すべきです!(文責・吉井利光) エネルギー政策に冷静で公平な議論を 2012.07.11 日本のエネルギー政策にとって大事な月となる7月。 全国では脱原発や再稼働に対するデモが行われています。また、昨年話題をさらった静岡県の浜岡原発ですが、現在は市民運動家が中心となって再稼働を県民投票によって決める動きが鮮明になっています(投票を呼びかけるサイト⇒http://bit.ly/OZutt0)。 県内の首長レベルでも脱原発を正式に表明する方も増えており、浜岡原発が位置する御前崎市の隣の牧之原市議会では、浜岡原発の永久停止が主張されており、県民の間でも支持する勢力が増えています。 日本国憲法では「思想・信条の自由」と「表現の自由」が保障されています。私は上記の動きがあること自体は否定しません。 ただ、一連の動きには注意も必要です。主要論点は下記の三点です。 第一の問題点は、浜岡原発の再稼働は静岡県だけの問題ではないことです。中部電力のサービスエリアでは、静岡県東部の富士川以西全域と愛知県、長野県、岐阜県、三重県の5県にまたがっています。 浜岡原発は東海地方の電力供給に関わる問題であるため、静岡県民だけの意見を反映するには無理があります。全国では、沖縄電力と北海道電力以外は複数都府県にまたがっていますので、他の地域でも同じ問題が生じるでしょう。 第二に、原発の停止は「電気事業法」や「原子炉等規制法」に基づいて行われるべきです。法令に違反していない原発を強制的に止めることの方が法令違反と言えます。 現政権は法的根拠がないことを承知で、原発を停止するのではなく、「お願い」という形をとり、電力会社が自主的に再稼働を行わない状態が続いています。 したがって、県民投票によって反対が多数を占めたとしても、本来は再稼働を禁止する法的根拠はありませんが、このままでは中部電力が「自主的に」再稼働を停止する状態が続くと思われます。 一人あたりの県民所得でみたら、愛知県は2位、静岡県は3位の経済圏です。同時に、東海地方には、トヨタをはじめ世界的に有名なメーカーと関連企業が点在しており、日本経済の「中心地」としての重要な役割があります。 東海地方の住民の生活と国益の観点を考慮すれば、県民投票という手段をとるのではなく、政府は責任を持って浜岡原発を再稼働する英断をしなければなりません。 繰り返しますが、浜岡原発再稼働は静岡県だけの問題ではありません。東海地方、並びに国家のエネルギー政策の視点から検討されるのが筋です。 第三に、経済と安全保障面での配慮です。(当論点は全国共通の課題) わが国は「資源希少国」です。エネルギー自給率は、原子力発電を除くとわずか4%です。原子力発電を含めた場合も20%以下です。このまま、全国で脱原発となれば火力依存が高まり、電気代の高騰に加え、電力会社の天然ガスや石油輸入が増えます。 それまで国内に電力を供給して利益を上げていたものが、輸入の急増という形で利益が減るわけです。年間数兆円の国富流出は、GDPの減少や企業の海外移転、失業の問題に結びつくのです。 あるいは、ホルムズ海峡や台湾海峡などのシーレーン上での紛争が起きれば、原油輸入の80%以上を中東に依存しているわが国では、安全保障面上の危機にも直面します。 最悪のケースでは、脱原発と再生可能エネルギーの大量導入による電気料金の上昇、原油やガス価格の高騰、慢性的な増税に日本経済が襲われた場合、一般物価が上昇するインフレと不況が同時に襲うスタグフレーションとなることです。 中東情勢にもよりますが、こうした最悪のリスクも考慮する必要があるでしょう。 これまで見てきたように、エネルギー問題は、発電技術を含めた経済的効果や国防的観点、放射線防護、法律論など複数の専門的視点から考える必要があります。 しかしながら、メディアでは放射線防護ないし放射能の恐怖だけが喧伝されています。これでは公平な議論ができません。 一方、7月2日から31日までの期間で政府が募集しているパブリックコメントを募集しています。こちらは、国民の声を幅広く集めていく上では重要な活動となります。(募集要項⇒http://goo.gl/4DkBh、パブリックコメント投稿フォーム⇒http://goo.gl/KkbPU) 読者の皆様は、どうか巷間の情報だけではなく、今回の論点などを参考にしながら、是非、パブリックコメントに参加してみてください。 そして、今後増えると予想される住民投票や県民投票が行われる際には、総合的な視点から議論がされているか否かをチェックすべきです。(文責・中野雄太) 「国難」の元凶――財務官僚、マスコミによる国家支配を許すな! 2012.07.10 消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革法案の審議が、11日から参議院で始まります。また、消費税増税に反対し民主党を離れた小沢新党は、同じく11日設立総会を開催し、重点政策を公表する予定です。 NHK世論調査では、小沢氏が11日に結成予定の「新党に期待できるか」との問いに、大いに期待6%、ある程度期待18%、余り期待せず25%、全く期待せず45%との結果が出ています。 小沢新党に対する国民の期待が少ない、さらに嫌悪する原因として、マスコミ報道も原因の一つと考えられますが、集散離合を繰り返す「壊し屋」小沢氏の究極の目的が何であるのか、理解できないことも一因です。 かつて同志であった小池百合子衆議院議員は「小沢氏の政治行動の基準は、わずか2枚のカードに集約される」と分析しています。(「小沢一郎研究」新潮45,2010/04) それは「理念カード(政策原理主義)」と「政局カード(政局原理主義)」の二つのカードです。「政局カード」は、政策論をかなぐり捨ててでも、目先の選挙にとにかく勝つためのものであります。 今回は「消費税増税は、民主党のマニフェスト違反」「国民の生活第一」の理念に戻るという「理念カード」を切っているようです。 「理念カード」が手詰まりになれば、「政局カード」を切り、それも難しくなると、改めて「理念カード」に戻る。このカードマジックを何度も繰り返すといいます。 この「ご都合主義」とも取れる小沢氏の政治手法に、国民は一定の不信感を抱いていると言えます。 究極の目的が何であるのか理解できないと言われる小沢氏ですが、2010年9月菅氏と争った民主党代表選での決意表明で、小沢氏は「官僚政治を打破し、政策決定を政治家の手に取り戻さねばならない」と珍しく鮮明な主張を行なっています。 小沢氏は「官僚支配の打破」「政党中心の政治」にあり、小沢氏は「野田官僚傀儡政権」の背後に存在する日本の「官僚支配」と戦う信念は残っているのでしょう。 民主党は「脱官僚」「政治主導」を掲げていますが、実際には、野田首相が財務省の勝事務次官の「操り人形」になっていることから明らかなように、単なる「官僚依存政権」に陥っています。 消費税増税反対を貫く小沢氏に対し、消費税増税法案の衆議院採決直前に『週刊文春』がろくに裏付け取材もせず、小沢氏の妻の手紙を報道し、小沢氏にダメージを与えました。 今回の『週刊文春』の報道があまりにも絶妙なタイミングであったことから、財務官僚の関与を見る向きも強くあります。(小沢氏の事務所は「全くのでたらめ」と内容を全面否定。) 日下公人氏は「(既成権力者の)中心は紛れもなく財務官僚、マスコミ、そして御用学者であり、この三つの「既成権力者」がこの日本の国難を作りだしている張本人である」と述べています。(『日本既成権力者の崩壊』ビジネス社、2/7発刊⇒http://goo.gl/kGp1q) 消費税増税でも一体となって「反増税勢力潰し」に暗躍している「財務官僚―マスコミ―御用学者」という「暗黒のトライアングル」による日本破壊工作が進んでいるのが現状です。 日本国憲法前文には「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」とあります。 財務官僚とマスコミとが一体となって国政を牛耳っている現状は、明らかに「国民主権」を踏みにじる「違憲状態」であります。 「消費税増税」によって、更なる権限と利権拡大を狙う財務官僚の横暴を断じて許してはなりません! 参議院は、党派党略を超えて、良識の府としての本来の使命を果たして頂きたい。 幸福実現党も一貫して主張しておりますが、今は、増税でなく、経済成長による税収増を図るべし。消費税増税は行ってはならないことを国民に説明し、消費税増税関連法案を廃案にし、主権を財務官僚から国民に取り戻すことこそ参議院の使命です。(文責・加納有輝彦) すべてを表示する « Previous 1 2 3 Next »