Home/ 2012年 January 2012年 January 「税と社会保障の一体改革」の正体 2012.01.11 政府は1月6日に社会保障改革本部(本部長・野田佳彦首相)を開催し、「税と社会保障の一体改革」素案を決定しました。 特徴的に挙げられるのは、消費税増税の具体的な時期が明記されたことです。リーマン・ショックなどの世界的な経済危機が起きない限りは、2014年4月に8%、2015年10月には10%へと引き上げることが素案に明記されています。 自民党と公明党が解散総選挙をちらつかせているので、そう簡単に消費税増税法案が可決する可能性は低いと考えることができますが、大事なのは政局ではなく、中身を吟味することです。 もし、自公両政党が、解散を実施しても、素案自体に賛成であれば法案は可決されることになります。野党にとっては、政権交代をする最大の機会ということもあり、野田首相を揺さぶる機会としているのは明らかです。 元々、2009年の麻生政権時代には、自公政権が消費税増税を主張していることからみて、基本路線は賛成と考えるのが自然です。 さて、特筆するべきは、「税と社会保障の一体改革」の増税案は消費税だけではないということです。 例えば、所得税の最高税率を40%から45%へ引き上げ(課税所得5000万円超に適用)、年少扶養控除廃止、相続税最高税率55%への引き上げ、地球温暖化対策税の創設まで触れられています。 これでは「増税ラッシュ」であり、日本が重税国家への道を歩んでいるのは明らかです。 一方、低所得者への年金加算や医療・介護保険料の軽減、年金受給資格を25年から10年へ短縮など、国民にとっては甘い「アメ」の部分も用意されています。 国民には、「アメ」でひきつけて、実は「ムチ」としての増税を仕掛ける狡猾さを見抜く必要があります。 確かに、国民は政府からお金をもらえれば嬉しいでしょう。「子ども手当」にせよ、公立高校の授業料無償化にせよ、年金・医療・介護にせよ、国民負担が見かけ上減るならば強く反対しません。 福祉には人命を守るマストの役目もあるので、全てが間違っているわけではありません。 ただし、注意しなければ、必要以上に国民の要求がエスカレートする可能性が高いのです。例えば、子ども手当を毎月あたり1万3000円もらえれば、次は1万5000円欲しいのが人情です。 政治家も、甘い約束をすれば票になるので、バラマキ合戦に乗ります。実は、メディアで報道される「毎年1.3兆円ペース増え続ける社会保障関係費」とは、政府の無駄遣いと国民の要求がエスカレートしていることと関連があります。 さらに、特筆するべきは莫大な公費投入です。拙著『日本経済再建宣言』第3章でも触れましたが、医療保険給付費全体の約4割に公費が投入されています。 特に、後期高齢者医療制度や国民健康保険の給付費の半分は税金です。国民年金でも、2004年以降は国庫負担が3分の1から2分の1となっています。 要するに、保険料収入では足りないために、莫大な税金によって補填されているわけです。 さらに、政府は赤字国債を発行して不足財源を確保しているわけですが、さすがにこのまま維持することは困難です。そのため、「選択と集中」と呼ばれる支出の見直しが急務となるわけです。 やはり、社会保障の改革には、幸福実現党が主張する経済成長による税収増もセットで考えるべきです。 また、家族や宗教による福祉分野への貢献、生涯現役構想に基づく定年75歳社会への移行、積立方式による現役世代の負担軽減など考慮するべきでしょう。 さらには、単なる財源論に終始せず、「生涯現役社会」の建設や「ピンピンコロリ」を迎えるよう人生観や死生観などの普及も視野に入れ、あらゆる角度から検討をしていくべきだと考えます。 様々な視点から社会保障改革を論じてきましたが、最後に結論を端的に述べます。 国民のバラマキへの「タカリ」の精神と政府による私有財産の「ボッタクリ」を助長するのが「税と社会保障の一体改革」の正体です。 そこには、何も「未来ビジョン」もなければ、成長に寄与する政策もありません。単なる所得の再分配だけならば財源は無限に増え、日本は「重税国家」「国家社会主義」へと向かうだけです。 だからこそ今、政府による「増税ラッシュ」に反対をしなければいけないのです。(文責・中野雄太) 日本はロシアと連携を強化し、「対中国包囲網」を築け! 2012.01.10 2012年は、日本の周辺諸国の指導者が一斉に替わる年で、日本の隣国の一つであるロシアも例外ではありません。 ロシア大統領選挙においてプーチン首相が与党統一ロシアから立候補すると表明していますが、2011年12月のロシア下院選挙で統一ロシア側の不正が明らかになり、大規模な抗議デモが起きています。 しかし、ロシアにはプーチン氏を超えるカリスマを持つ政治家がいないため、紆余曲折を経ながらも、プーチン氏が再び大統領の地位に就く可能性は極めて高いと考えます。 プーチン氏が再び大統領の地位に就けば、軍事・安全保障における権限を握り、メドベージェフ氏を首相に据えて経済政策を中心とした内政に専念させることで「強いロシア」を目指すことが推測されます。 日本としては、中国がアジアにおける覇権を握ろうとする中、対ロシア外交戦略を早急に構築していく必要があります。 実際、日本としては、ロシアを取り込まない限り、安全保障において厳しい局面を迎えることになります。 現在、自衛隊は北方防衛から対中国・南西シフトが進んでいますが、ロシア・北朝鮮・中国に提携されると、自衛隊は「二正面作戦」「三正面作戦」になり、現在の兵力では、どう計算しても日本を守り切ることができません。 特に、日本とロシアとの関係を複雑化しているのは「北方領土問題」です。両国の北方領土問題の行き違いは、日本とロシアの友好関係に深い溝を落としています。 ここで日本とロシアの「北方領土」の認識の違いを整理しておきます。 日本は、終戦日をポツダム宣言を受け入れて降伏した1945年「8月15日」としています。 旧ソ連は8月8日に、米国との和平仲介を持ちかけられていた日本に対して「日ソ不可侵条約」を一方的に破り、日本に宣戦布告。武装解除していた日本に侵攻、北方領土を占領しました。 ロシアは、日本がポツダム宣言受諾文書へ調印した「9月2日」を対日戦勝記念日する法案を上院で可決しています。ロシアは、この法案に基づき、9月2日までに占領した北方領土は自国領土とする主張を展開しています。 一方、日本政府は旧ソ連が「日ソ不可侵条約」を破って宣戦布告した点と、サンフランシスコ平和条約に調印していないソ連が占領した北方4島をロシアが現在も実効支配している不当性を指摘し、日本の領土であることを主張しています。 日本は、こうした歴史観、終戦の定義の相違等も踏まえた上で、戦略的外交を展開していくことが不可欠です。 アジアの覇権を狙う中国は、ロシアの北方領土の領有を後押して、日ロ関係の悪化、分断工作を狙っていることも知らなくてはなりません。 したがって、日本がロシアを中国の覇権主義を封じ込める「中国包囲網構築」に参加させるためには知恵を使う必要があります。 例えば、シベリア資源開発等の協力関係の構築を通じて経済的、通商的な関係強化を図る外交戦略を築いていくことが有効です。 既にプーチン首相は昨年10月に野田首相との電話会談で、最大与党「統一ロシア」の11月下旬に開く党大会へ特使を派遣するよう要請した経過があり、プーチン氏は、政権復帰後に極東・シベリアの資源開発に日本の積極的な協力を得ようとしています。 ただし、したたかなプーチン氏は、日本は資源開発だけやらせて、ロシアが権益を奪う可能性もあるため、日本は国益を損なわない、したたかな外交交渉を展開していくべきです。 いずれにしても、資源開発の協力や経済協力等を通じ、ロシアとの友好な関係を強化し、それによって「中国包囲網」の陣形を築き、中長期的には粘り強く「北方領土返還」を交渉していくべきです。 また、エネルギー安全保障の観点からも、ロシアとの友好関係を築く必要があります。日本は原油を1日で約440万バレル消費していますが、その9割は中東に依存しているからです。 更に「脱原発」政策による全国の原発の停止、ホルムズ海峡を巡るアメリカとイランの対立が激化等も勘案すれば、中東以外にもエネルギー供給源を模索していくことは急務です。 日本が国民の生命・安全・財産を守り、経済的な繁栄を維持していくには、エネルギーの安定供給は不可欠です。その意味でもロシアとの連携強化を図っていくことは有意義です。 アジアの平和を脅かす中国の覇権主義を打ち砕く「対中国包囲網」を構築していくためには、米国や韓国、東南アジア、インドと共に、ロシアとの緊密な関係を築いていくことが重要です。(文責・佐々木勝浩) イラン、原油禁輸ならホルムズ海峡封鎖――日本も世界平和に影響力を行使せよ! 2012.01.09 オバマ大統領は、1月5日にアメリカ国防総省にて演説を行い、「Sustaining U.S. Global Leadership: Priorities 21th Century Defense(米国のグローバルなリーダーシップを維持する:21世紀の国防の為の優先順位)」を発表しました。⇒http://p.tl/yd5D この文書は、アメリカの安全保障政策の根幹である「国家安全保障戦略」を、次の10年を見据えながら見直していくというスタンスで書かれているものです。 特筆すべき点としては、国防費削減に対処するため、「4年ごとの国防計画見直し(QDR)」に基づく「二正面戦略」を見直し、「一つの大規模紛争」に限定し、「第二の地域」では敵が戦争を起こさないよう抑止していくという「選択と集中」戦略が取られていることです。 今回発表された文書の巻頭言はオバマ大統領自身が書いていますが、特に強調されているのは「イラクの戦いを終わらせた」「ビンラディンに正義の裁きを与えた」「国防予算を削減した」という三つです。これらは、今年の11月に行われる米大統領選に向け、オバマ大統領が自らの功績をアピールしていると推測されます。 本文に目を移すと、アメリカにとって「東アジア」と「中東」が、安全保障における重要な地域であることが言及されています。 「東アジア」では、アジアにおける同盟国との関係が、アジア太平洋地域の「安全保障の重要な基盤」であるとし、また、インドとのパートナーシップ構築を行い、北朝鮮の核計画抑止に努力するとしています。 一方、中国に関しては「覇権主義」という言葉は使われていないものの、より大きく扱われており、「脅威になりつつある」と表現しています。 中東については、暴力的な過激派と不安定の脅威に対抗するだけでなく、同盟国やパートナー国に対してアメリカがなした約束を履行するとし、懸念材料としては、中東における大量破壊兵器の拡散を挙げています。 ここでは、イランは名指しされておらず、中国の問題以上にイランの問題を慎重に取り扱っているように見受けられます。 しかし、現状、イランを巡る問題は極めて深刻です。 イランは、国際社会を相手に2011年末から2012年の年頭にかけてホルムズ海峡を巡って政治的・軍事的な駆け引きをしており、アメリカもパネッタ国防長官が現地時間8日、イランがホルムズ海峡を封鎖すれば軍事行動も辞さないという考えを示しています。 既に、イランは12月24日からペルシャ湾のホルムズ海峡で最大規模の軍事演習を行っており、27日には副大統領が「イランの原油輸出に対する制裁が科されたら、原油は一滴たりともホルムズ海峡を通過することはない」と海峡封鎖も辞さない構えを見せています。 イランがこのような危ない橋を渡っているのは何故でしょうか? 国連決議を無視してウラン濃縮活動を進めているイランに対して、米欧はイランの原油禁輸を行うよう各国に働きかけを強めており、外貨収入の約8割を占める原油輸出が滞れば、国連安保理による四度の制裁決議で打撃を受けている経済がさらに疲弊するのは必至です。 これにより、イランは従来の政策を維持して対決姿勢を堅持するか、それとも核兵器を捨てて経済状態を回復させるかの選択と決断が迫られているため、焦りが生じているものと推測されます。 誰も中東における更なる戦乱と混乱を欲してはいませんが、もはやアメリカとイランとの2国間で協議することは不可能な状態にあります。 それにもかかわらず、どの国もアメリカや欧米諸国とイランとの関係を取り持とうと動かないことは問題があります。 どこかの国が調停に乗り出さないと戦争が起こる可能性が十分にあり、日本としても、最大限の紛争回避の努力をなすべきです。 もし、日本向けタンカーの9割が通過するペルシャ湾のホルムズ海峡で紛争が起これば、「脱原発」というポピュリズムによって原油依存度を高めている日本にとっては生命線を断たれることに繋がります。 日本は、アメリカと違ってイランと石油の取引をしている関係にあり、イランにとって日本は一番の輸出相手国です。同時に日本はアメリカにとっても有力な同盟国の一つでもあり、両者の仲介に立つには最適のポジションにあります。 また、日本はキリスト教とイスラム教との対立を第三者の立場で仲介していくことができる立場にあります。 日本は今こそリーダーシップを発揮してアメリカとイランとの仲を取り持って、戦争の危機を未然に防ぐべきであります。(文責・黒川白雲) 祝!!新成人――若者の政治参加が未来を拓く! 2012.01.08 1月9日は「成人の日」です。新成人の皆様、そしてご家族の皆様に心からお祝い申し上げます! 総務省が発表した2012年1月1日の人口推移によると、今年の「新成人」は122万人です。前年比2万人減で、5年連続で過去最少を更新しました。 ピーク時の1970年(246万人)の約半数です。男女別では男性62万人、女性60万人で前年より1万人ずつ減っています。 さて、20代から30代の日本と中国の若者を対象とした日経新聞のアンケートが発表されました。 中国の若者は、20年後の自国の経済について「成長している」と「どちからというと成長している」との回答が合計で82%に達した反面、日本はわずか28%でした。 日本と中国の若者の「20年後のイメージ」では「勢いの差」が明らかになりました。 また、親の生涯年収に自分が追いつけると思う割合は中国の90%に対し、日本はわずか18%でした。財政難、低成長など日本の若者が将来を思う時、楽観できるものではないのでしょう。 日本の20代が将来に向けて危機感を抱く分野は「年金」「経済対策」「雇用」などが上位に並びます。 さて、少子高齢化は進み、20年後、日本の65歳以上の割合は30%を超え、3人に1人が高齢者となります。平均年齢も45歳から、20年後には51歳に上がります。 しかし、これは日本だけではありません。中国やブラジル、インド等の新興国の平均年齢もじりじりと上昇しており、いずれ同じ課題と向き合うことになるのです。 その意味では、日本の若い世代が「少子高齢化社会という課題をいかに解決するか」を、世界中が注目しているのです。言ってみれば、日本の若い世代は「モデル」なのです。 現状の閉塞感を打ち破り、明るい未来を築くためには、若者の政治参加が鍵になります。 新成人の皆様は20歳になると選挙権が与えられます。しかし、20代の投票率は30%台で推移しており、極めて低い状態です。 その結果、政治家の視点からすれば、そもそも人数が少ない上に投票率が低い若者のニーズを重視するよりも、高齢者のニーズにミートした政策を打った方が何倍も当選しやすいことになります。 よって、若者の投票率の現状のままでは、今の高齢者向け政治体制が築かれてしまいます。 例えば、厚生年金について言えば、「生涯に受け取る年金の総額」から「生涯に支払う保険料の総額」を差し引いた金額は、1940生まれの場合は3,090万円、新成人の世代となる1990年生まれは-2,240万円で、世代間格差は5,300万円以上となっています。(鈴木亘著『財政危機と社会保障』) こうした年金問題一つにしても、抜本的な対策は放置されています。本当に日本の未来を変えるなら、若者こそ選挙に行かなくてはなりません。 目の前の政策の実施のためにどのような負担が先送りされているのか、実際にその影響を受ける世代である、若者が関心を持たなくてはなりません。 時代を変えるのは若者です。新成人の皆さま、与えられた選挙権で投票に行き、日頃から、生活の中で政治に関心を持ちましょう!若者のパワーを政治に反映させましょう! 日本は戦後、「坂の上の雲」を目指して、汗と創意工夫、勤勉な努力で先進国になりました。 しかし、経済大国になった後、目標が見出せなくなり、欧米モデルを超えて先へ行こうとする段階で立ち止まってしまい、停滞を続けています。 いよいよ、「少子高齢化の課題を乗り越え、さらに国を成長・発展させていく」新しい日本モデルを創る時です。アジア各国は日本に大きな期待をしています。 日経新聞の大学生へのアンケートによると、日本の政治に欠けていると思う点の第一位は「決断力」でした。 確かに、今の政治家に「決断力」が見られず、政治そのものに期待が持てず、あきらめたり、失望している若者もいるかもしれません。 しかし、新成人をはじめ、若者達が政治に参加することで、政治は確実に変わっていきます。 幸福実現党には、GDPで世界一を目指し、世界のリーダー国家としての責任を果たしていく「未来ビジョン」があります。日本経済を発展させていく「決断力」があります。 若者の皆さま、その「未来ビジョン」を私たちと共有し、実現して参りましょう!(文責・竜の口法子) アメリカ「新国防戦略」を発表――イランと中国を名指しで批判 2012.01.07 オバマ米大統領は1月5日午前(日本時間6日未明)、国防総省で演説し、新国防戦略を発表しました。新国防戦略の主旨は、国防費削減に対応すると共に、アジア・太平洋地域の米軍戦力を増強することにあります。 具体的には、イラク戦争終結等を踏まえて、地上戦力を中心に、米軍全体の規模を大幅に縮小すると共に、中国の台頭を念頭にアジア太平洋地域への戦力の重点化を急ぐ「選択と集中」が示されています。 新国防戦略では、中国とイランを名指しして「精密兵器で米国の前方展開に対抗する手段を追求し続けている」と強く批判。中国を事実上の「仮想敵国」として位置づけています。(1/6 時事通信「対中国・イラン鮮明に=即応で軍事的優位性維持―地上戦力は限定・新米国防戦略」http://p.tl/-thD) オバマ大統領は「アジア太平洋地域における中国の台頭が、将来的にアメリカ経済や安全にさまざまな影響を及ぼす可能性がある」と述べ、中国の潜在的な脅威を強調。「アジア太平洋地域での展開力は強化し、国防費の削減はしない」と述べるなど、軍備増強を進める中国を強く意識したものになっています。(1/6 NHK) 新国防戦略は、オバマ大統領が今後10年間で4900億ドル(37兆円)の削減を目指す方針を示したことを受けて見直されたものであり、「引いていくアメリカ」を印象づけるものとなっています。 米軍が約20年間にわたり維持してきた二つの紛争に同時対処する「二正面作戦」を放棄することを表明し、イラク駐留米軍の完全撤収とアフガニスタンからの段階的撤収を受けて、アメリカ軍の中核部隊である陸軍(27,000人)や海兵隊(20,000人)等を大幅削減することを盛り込んでいます。 これに伴い、米国は、日本など同盟国に対して「負担増」を強く求めていくことは明らかであり、日本政府にとっても「日米同盟強化」の姿勢が本気であるかが真剣に問われることになるでしょう。 幸福実現党が主張している通り、普天間基地の県内移設、集団的自衛権の行使容認等によって日米同盟を修復、強化していくことは急務です。 こうした米国の大きな戦略転換を受けても、一川防衛相は「アジア太平洋地域を重視する米国側の姿勢は変わらないので歓迎したい」「具体的な政策は引き続き米国側と協議するが、今の段階でわれわれの方針に影響があるという認識はない」と相変わらず「平和ボケ」した発言をしています。 野田首相は内閣改造を13日に行い、一川防衛相を交代する方針ですが、一川氏が「国民の生命・安心・安全を守る」覚悟と能力が無いことが明白である以上、交代は当然で、野田首相の任命責任も厳しく問われるべきです。 今回の新戦略の背景には、中国の覇権主義の拡大による極東の安全保障環境の悪化があります。 実際、中国領有権を主張する香港や台湾などの団体でつくる「世界華人保釣連盟」が1月3日午後、香港から所有する漁船で尖閣諸島を目指すなど、年初より緊迫する報道が続いております。 野田首相は「消費税増税」に向けて「不退転」に取り組んでいますが、今は内向きの、しかも国力を弱体化させる増税政策を急ぐべき時期では断じてありません。 今後、極東情勢は極めて不安定な状況が続きます。日本政府は自衛力を行使できない現状を迅速に解決すべく、憲法9条改正、自衛隊法の改正、領海法の制定、非核三原則の見直し等、重要課題に次々と取り組んでいくべきです。 激動する国際情勢を見据え、独立国家として、国家の存続を賭けた安全保障のあるべき姿を真摯に議論し、万全な体制を構築すべきです。(文責・小川俊介) 「税高くして 民衰え 国滅ぶ」 2012.01.06 野田首相は、4日の年頭記者会見で「ネバーネバーネバーネバーギブアップ。私は大義のあることをあきらめない」とチャーチル元英首相の言葉を引用し、消費税増税への強い決意を語りました。 5日付けの全国五大紙の社説は、この年頭記者会見について論じられています。各紙とも「増税は仕方がない」「野党は野田政権に協力すべき」というトーンで見事に統一され、年初から政府、マスコミがこぞって「消費税増税やむなし」の大合唱を行なっています。(Liberty web【新聞読み比べ】「増税」の大合唱 新聞は財務省広報室か?⇒http://p.tl/9Djl) まるで野田政権とマスコミがつるんで「連立政権」を組んでいるような「異様さ」です。日本のマスコミは「権力の監視機関」としての役割を完全に放棄しています。 消費税増税を含む「社会保障と税の一体改革」について、事実上、「大政翼賛会体制」が構築されていることは明らかです。 増税の必要性については、ギリシャの事例がよく引き合いに出されます。輿石幹事長も、正月のインタビューで、わが国においても財政再建が急務であり、さもなくばギリシャのように国債が大暴落し、国家破綻となると語っています。 これに関しては、わが国の国債はほとんどが円建ての内債であり、ギリシャのように外債中心ではないこと。ギリシャはユーロに関して通貨発行権を有していないこと、円への信用が非常に高いこと等の理由により、日本とギリシャを同列に語ることは全く意味がありません。 しかしながら、ギリシャが財政破綻した大きな要因の一つに「公務員天国」であることがありますが、これに関しては日本も「公務員天国」であり、大胆な「改革」が必要です。 ギリシャの人口の10%、約100万人が公務員であり、労働人口の25%が公務員です。50代から現役時代の90%の年金を受け取り、年金と公務員給与で政府支出の40%を占めています。 ギリシャでは、公務員が学生就職先の「人気一位の職業」となっています。日本の就職先人気においても、公務員が2年連続トップとなっています。(レジェンダ・コーポレーション調べ) 日本の公務員は民間従業員の2.1倍もの報酬を得ており、OECD加盟23か国中、第2位の高給となっています。(大和総研「公務員人件費の国際比較2005年」) 内閣府SNA調査に基づく一人当たりの雇用者報酬では、産業別の一人当たり平均報酬は、農林水産業が206万円、製造業522万円、金融保険657万円、公務員1,001万円となっています。(若林亜紀著『ドロボー公務員』) 国税庁の民間給与実態調査によれば、民間給与は2009年に前年比で平均5.5%も下落していますが、これを受けて人事院は2010年8月に1.5%の引き下げを勧告。当時の菅首相は、民間に下落幅に配慮して、それ以上の削減を公約しました。 しかし、民主党の最大支持勢力の連合が抵抗し、菅首相は言われるままに公約を引き下げ、小幅な引き下げに終わりました。 更に、昨冬のボーナスは国家公務員は4.1%増額となり、国と地方の公務員のボーナス平均は76.5万円(みずほ証券調べ)で、民間平均37.8万円の2倍以上となり、「官民格差」は広がるばかりです。 民主党政権は、議席数を減らしたとされている一昨年の参院選挙においても、労働組合代表の候補は議席を伸ばしています。自治労、日教組等、公務、公益関係の労組が半数を占めています。 どこの会社でも、会社が赤字になれば、値上げをするのではなく、経費削減、合理化から手をつけるのは当然です。 大阪市長になった橋下徹氏の人気を見ても、国民が自治労、日教組等の「公務員の既得権益の打破」を求めていることは明らかです。 しかし、民主党政権は、支持団体である労働組合のしがらみで、最も優先すべき「公務員改革」は「タブー」になっています。 幸福実現党も「公務員改革」として、公務員の給与や賞与の一定割合をGDP成長率、あるいは日経平均株価などと連動させることを提言しています(⇒【ついき秀学のMirai Vision】公務員問題 必要なのは「経済感覚」http://p.tl/TXk2)。 シンガポールでは、公務員の賞与はGDP成長率に連動しており、例えば世界同時不況の影響を受けた2009年には夏のボーナスは支給されていません。 日本でも、景気の変動に連動して公務員給与も上下するという形にすれば、官僚たちも「デフレ下の増税」といった更に景気を悪化させるような愚かな政策は即刻やめて、経済成長をもたらす政策を真剣に考えるようになるはずです。 チャーチルは国を「滅亡」から救うために「Never give up!」と3回繰り返しました。これに対して「デフレ下での増税」によって国を「滅亡」に追い込むために「Never give up!」と4回繰り返す野田首相の悲しいまでの愚かさ。 「税高くして 民衰え 国滅ぶ」(渡部昇一)――これ以上、野田首相の暴挙を看過することはできません!(文責・加納有輝彦) 共和党候補が在日米軍撤退を公約!? 2012.01.05 「共和党候補が在日米軍撤退を公約」――そんなショッキングなニュースが年明けの3日、一部のメディアを通して全国を駆け巡りました。 一瞬目を疑った方も多かったのではないでしょうか。 報道は事実で、3日に行われたアメリカ大統領選挙の共和党候補者を選ぶアイオワ州党員大会の前日、トップ争いを繰り広げていたテキサス州下院議員のロン・ポール候補(76)が「私は中東だけでなく、日本や韓国からも部隊を引き揚げる。(軍は)自国の人々のことを考えろ」と発言したことが、報じられたものです。 ポール氏は、保守政党である共和党の中でも右寄りで知られ、徹底した「小さな政府」が持論です。 外交政策に関しては「不介入主義者」であり、アメリカの財政赤字削減のために、在日米軍を含めたすべての在外駐留米軍を撤退させ、「小さな政府」実現のために、中央情報局(CIA)や国土安全保障省(DHS)など多くの政府機関の廃止を求める等、過激な主張で知られている候補者です。 アイオワ州の党員集会の投票の結果は、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事(64)の得票数は3万0015票、リック・サントラム元上院議員(53)は3万0007票で、得票率はともに25%。そしてポール下院議員が21%で3位という結果となっています。 選挙戦はまさに始まったばかりであり、結果について明言はできませんが、そのあまりに極端な発言から、ポール氏がアメリカ大統領になる可能性は、一般的に極めて少ないと見られています。 ですから、米軍が日本から撤退するというポール氏の政策がそのまま実行されることは、まずないと言えるでしょう。 しかし、重要なことは、そのような政策をはっきりと明言し、「公約」として掲げる大統領候補が、アメリカに登場したという事実です。 そして、その候補者が、民主党よりも日米同盟を重視し、「海外に米軍を展開し、強力な軍事力を維持するとすることがアメリカの国益に叶う」と考えがちな共和党員の中で20%もの支持を獲得したという事実です。 米軍の日本からの撤退、すなわち「日米同盟破棄」は、実質的に日米同盟に国防を委ねている日本にとっては重大な事態です。 もし今、「日米同盟」が破棄されたなら、日本は単独で自国を防衛せざるを得ず、憲法9条の制約と軍事力の不備から、日本はウサギが飢えたオオカミの群れに放り出されるように、中国などの周辺諸国の侵食を受け、遠からず植民地にされることは間違いありません。 「日米同盟」による「核の傘」や米軍の強大な軍事力の存在が、現状の日本にとって死活的に重要な安全保障の要となっているのは事実です。 しかし、日本にとっては「死活的に重要」な日米同盟も、莫大な財政赤字と長期不況にあえぐアメリカでは、大統領候補の一人が「国益にとってマイナスである」と主張し、アイオワ州の党員選挙で20%の共和党員がそれを支持した――これが、今アメリカで起きている紛れも無い事実です。 いよいよ世界の激動の年といわれる2012年が始まりました。中でも、日本が位置する東アジアは今、世界の中でも最も不安定で、危険な地域の一つになっています。 金正日総書記の後継者として、核を保有し、いつ暴発するともわからない金正恩氏体制。 そして、新しい指導体制の下、いよいよその強大な軍事力で、日本を含めたアジアの実効支配に向けた動きを活発化させるであろう中国。 これまで当たり前であった「日米同盟」すら、当たり前でなくなる可能すら浮上してきている日米関係の脆弱化。 幸福実現党は、立党当初から「日米同盟強化」を訴え、米軍普天間基地の県内移設やインド洋での海上自衛隊による給油活動の継続、そして集団的自衛権の行使を禁じた政府解釈の見直し等、日本側の具体的で積極的な努力が必要であることを訴えて来ました。 同時に、米国の国力衰退に伴い、中長期的には米軍の後退傾向は避けられないため、憲法9条改正、空母や原子力潜水艦、核抑止力等の保有、非核三原則の見直し等の「自主防衛」政策も早急に検討していく必要があります。 2012年という危機の時代の到来は、そうした幸福実現党の先見性と実効性のある国防政策に、多くの国民が注目し、期待を寄せる時代の幕開けとも言えるでしょう。 日本の未来の希望は、まさにここにあるのです。(文責・矢内筆勝) 消費税増税が解散総選挙の引き金となるか? 2012.01.04 野田首相が進める消費税増税は、3月の通常国会に向けて進められています。 与野党の協議を求め、自民党と公明党への協力を求める方針ですが、自民党の谷垣総裁と公明党の山口那津男代表は解散総選挙を前提とした与野党協議を求めており、難航は必至です。 与野党協議が失敗に終わった場合を考えて、民主党の輿石東幹事長は民主党単独で消費税増税法案の提出も辞さない発言が出てきています。 野田首相も消費税増税法案が不成立の場合は衆院解散総選挙で民意を問う考えも出しており、国会はますます混迷を極め、ここにきて首相や野党のリーダーからも解散総選挙の可能性が相次いで出てきています。 昨年11月5日に東京日比谷野外音楽堂で開催された「増税が国を滅ぼす!国民集会」(幸福実現党は協賛団体として参加)では、増税に反対する学者から草の根運動の活動家まで幅広く集まり、増税反対の声をあげました。 実行委員長を務めた日本税制改革協議会(JTR)の内山優会長は「11月5日の国民集会が、確実に永田町にも届き、現在の消費税増税による政局の混迷につながっている。その意味で、大変意義があった」と筆者に語ってくれました。 本来ならば増税路線の谷垣禎一自民党総裁ですら、増税のトーンが弱くなってきており、私たちが求めてきた「増税をするなら解散をして民意を問え」と言っているほどです。 前述の内山会長以外にも、東京茶会や生涯現役構想を掲げる草の根運動を展開している方々も、続々と「増税反対」の狼煙をあげ、全国で活動を活発に展開しております。 永田町や霞が関では、反対の声を上げなければ「承認」とみなす風潮があります。 昨年11月には、団体の垣根を越えて国民集会を開催したことは、財務省をはじめとする霞が関にも影響を及ぼし始めているとみて間違いありません。 さもなければ、12月に野田首相を使ってまで新聞の全面広告を打つといった行動には出ません。 さらに、ジャーナリストの須田慎一郎氏によれば、元経産官僚の古賀茂明をはじめとする増税反対論者のテレビ出演をさせない圧力をかけているとのことです(『SAPIO』2012年1月18号参照)。 要するに、幸福実現党が立党以来主張し続けてきた「消費税反対運動」が、着実に影響力を及ぼし始めてきたということです。財務省主導の政治家とマスコミによる「増税翼賛会」を打ち破るのは、やはり国民の声です。 ただ、一点だけ注意すべき点があります。国民運動として野田政権の早期退陣と次の解散総選挙によって政権交代が実現したとしても、増税派が幅を利かすようでは、財務省の思うつぼです。 消費税増税が解散総選挙の引き金になるのは大いに結構ですが、それだけでは不十分です。やはり、自由貿易と減税、少ない規制を実現できる政党と政治家が誕生しなくてはダメなのです。 幸福実現党は、その責務を果たす役割があると同時に、他党にも眠っている自由主義者を巻き込む使命もあるのです。 そこまでいかなくては、国論としての自由主義対国家社会主義の流れに勝利したとは言えません。その意味で、本年は「自由からの繁栄」によって国家社会主義を打ち破る最大のチャンスです。 どうか、今年も幸福実現党が発信する経済政策や諸提言にご期待頂ければ幸いです。(文責・中野雄太) 迫り来る「2012年問題」―自主防衛を急げ! 2012.01.03 2012年は日本を取り巻く主要国トップが一斉に交代する激動の一年になりそうです。日本としては、以下のような各国のトップ交代に関するリスクを認識し、外交・防衛の備えを強化すべきです。 【北朝鮮】金正日総書記の死去に伴い、金正恩氏への権力継承が進み、昨年12月30日、北朝鮮労働党は金正恩氏を人民軍最高司令官に任命。「金正日同志が示した先軍政治(注:軍事優先の国家方針)の道に沿って力強く歩む」と宣言しました。 国際人権擁護団体アムネスティは、金正恩体制強化のために数百人が粛清されていることを報告していますが、金正恩氏の傲慢で権力欲が強く、好戦的な性格は『北朝鮮―終わりの始まり―』の霊言や様々な証言等によって露見しています。 特に、日本が警戒すべきことは、北朝鮮は既に二度、核実験を強行し、「核保有」を自ら認めるに至っていることです。核の小型化に成功していれば、間違いなく、日本全土に届くノドンミサイルに核が搭載されます。 320発ものノドンミサイルが日本に同時に襲来した場合、日本のミサイル防衛(MD)では対応できません。一刻も早く北朝鮮の「先軍政治」を終わらせるべく、日本は日米同盟を基軸とした外交努力を展開すべきです。 【台湾】1月14日投開票の台湾総統選では、再選を目指す中国寄りの国民党・馬英九(ばえいきゅう)総統と民進党初の女性党首・蔡英文(さいえいぶん)主席とが互角の戦いを展開しています。 馬総統は、10年以内に中国との「平和協定」について交渉、締結する可能性を示唆しています。台湾では6割が「対中平和協定を支持」していると報道されていますが、これは民進党が批判しているように危険な協定です。 1951年、チベット政府が中国との間で「チベット平和解放協定」に署名し、中国軍のチベット入りを許可した結果、中国軍が易々とチベットに入り、武力鎮圧を行いました。 馬総統が勝利すれば、チベットと同じく、中国が戦わずして「台湾併合」を成し遂げる可能性が出て来ます。そうなれば台湾海峡は中国の「内海」となり、日本のシーレーンは分断され、日本の生命線が断たれる危険が高くなります。 【ロシア】3月4日にはロシアの大統領選が予定されており、プーチン首相の返り咲きが確実視されています。 プーチン氏は2001年に中国との間で「中露善隣友好協力基本条約」を締結するなど、「反米」を基軸として中国と連携するスタンスを有しています。 中露連携が強化されることは、日本としては、北と南西からの挟撃を受ける可能性が強まり、安全保障上の脅威がより一層強まります。 【アメリカ】アメリカ大統領選挙の焦点は、オバマ氏が再選されるか否かです。オバマ大統領の再選はかなり厳しい状況にあると言われていますが、対する共和党も候補者選びで混迷が続いています。 財政再建に伴う軍事費削減が迫られる中、米軍普天間飛行場の移設問題が契機となって、「在日米軍撤退」を公約に掲げる共和党候補者も出てきており、大統領選を通じて日米同盟のあり方がクローズアップされる可能性も高まっています。 【中国】秋には、第18回中国共産党大会において、胡錦濤国家主席の後継者として、対日強硬派の習近平国家副主席が党総書記に選出される見通しとなっています。 習近平氏は、反日・強硬路線を取った江沢民氏の「子飼い」であり、2009年7月のウイグル大弾圧・虐殺で陣頭指揮を取った猛悪な人物です。ノーベル平和賞をめぐる西側の中国批判に対しても強硬姿勢を示しており、日米との対立が強まる危険が高くなっています。 【韓国】12月19日、韓国大統領選挙が行われます。親米保守の与党ハンナラ党の次期大統領候補は女性の朴槿恵(パク・クネ)元代表でほぼ決まりと言われていますが、同党は李明博(イ・ミョンバク)政権の不人気により支持率が急降下しています。 その結果、親北・左派勢力が影響を持つ野党が政権奪還に成功すれば、北朝鮮が韓国に対して一定の影響力を持つことになり、朝鮮半島情勢が一層、不透明になることは避けられません。 周辺国の政情が不安定さを増す2012年、今こそ、幸福実現党が政権を担い、日本とアジアの平和を守ることが求められています。 幸福実現党は、国民の生命・財産・安全を守るために「日米同盟」を強化し、諸外国との連携により「中国包囲網」を形成しつつ、「自主防衛」体制を迅速に構築して参ります。(文責・黒川白雲) 《国家社会主義》へと邁進する「社会保障と税の一体改革」の危険性 2012.01.02 昨年末12月30日、政府は「社会保障と税の一体改革」の素案を確定、公表しました。(内閣府「社会保障・税一体改革素案」⇒http://p.tl/pC0B) 同素案を精緻に読み込んでいくと、国民に大増税を課し、「国のかたち」を大胆に変質させ、「重税国家」「大きな政府」「国家社会主義」へと向かう一種の「社会主義革命」であることが分かります。 「社会保障と税の一体改革」の先にあるのは国民の富を「税金」として大量に吸い上げ、「富の再配分」を行う「社会主義国家」です。 今回は「社会保障と税の一体改革」について、三つの問題点を提示致します。第一の問題点は「消費税増税」を筆頭に「増税ラッシュ」を図るものであるということです。 「社会保障と税の一体改革」とは、一言で言えば、国民に対する「アメと鞭(ムチ)」です。同素案の前半では「アメ」となる「社会保障制度の持続と充実」を打ち出していますが、政府の本当の狙いは、後半の「鞭(ムチ)」である「大増税」にあります。 消費増税以外にも、所得税や住民税、相続税等の課税強化、地球温暖化対策税(環境税)の創設や金融課税の軽減特例の廃止など、「増税ラッシュ」をかけんとする財務省の強い意志が表れています。 また、素案には「隠れた増税」が至るところに仕組まれています。増税に加え、厚生年金の保険料引き上げや住民税の年少扶養控除の廃止等により、年収500万円世帯の場合、年間20万~30万円の負担増になるとの計算が出ています。(12/31日経) 顔は野田首相ですが、増税路線の手を引くのは財務省。言わば野田政権の裏から手をまわす財務省が「二人羽織」のように手引きしている実態が浮かび上がっています。 「社会保障と税の一体改革」の第二の問題点は「共通番号制度」による国民管理制度にあります。財務省の主眼は本当は「共通番号制度」にあると言われています。 今は、各省庁や自治体等がバラバラに管理されている国民情報を「共通番号制度」の下、統一して管理し、更に銀行・金融機関や医療機関等と情報を連携することで、国家が国民の全資産や些細な金銭の出入りまで把握掌握することができる制度です。 たとえ消費税増税で景気が悪化して税収が減ったとしても、「共通番号制」を機能させれば、パートや副業、アルバイト等の些細な収入であっても、いつでも、あらゆる収入や資産から合法的に税金を巻き上げるシステムが出来上がります。 また、政府素案には「15年度以降の共通番号制の本格的稼動を前提に給付付き税額控除の導入」を目指すとあります。「給付付き税額控除」とは、所得税額から税額控除を行い、所得が低く、控除額が税額を上回る場合、その差額を逆に給付する制度です。 2009年に実施された定額給付金は記憶に新しいところですが、その申請、給付者は、住民基本台帳に記録されている世帯主と外国人登録原票に登録されている人でした。 共通番号制による「給付付き税額控除」が実施された場合、自治体が管理している住民基本台帳と外国人原票がベースとなることが予想され、日本人の血税が「給付付き税額控除」という名目で、職に就いていない外国人に対して不正に給付される可能性が指摘されています。 「社会保障と税の一体改革」の第三の問題点は「国家の肥大化」「大きな政府」をもたらす構造となっていることにあります。 例えば、今回の「社会保障と税の一体改革改革」で、厚生労働省は真っ先に「未来への投資(子ども・子育て支援)の強化と貧困・格差対策の強化」を打ち出しています。(12/30厚生労働省「社会保障・税一体改革で目指す将来像」⇒http://p.tl/JYmb) 「子ども・子育て支援」では、幼稚園・保育所の一体化した「総合施設」をつくることを掲げ、文科省の管轄である幼稚園行政まで入り込んでおり、厚労省のスリム化どころか、「焼け太り」を目指していることは明らかです。 「社会保障と税の一体改革」が成立すれば、省庁は膨大な予算を手に入れ、「サービスの充実」と称して新たな部署を設置、更に人員を増員し、「大きな政府」へと肥大化することは避けられません。 サッチャー元首相以前の「イギリス病」のように、「福祉国家を目指す」と称して、国家がますます仕事を増やし、それが財政を圧迫し、更なる増税が要求され、経済が徐々に疲弊していく悪循環に陥ることになります。 「富の再配分」を盾に取り、国民から税金を吸い取る財務省の正体に、今こそ国民は気付かなくてはなりません。 規制を緩和し、事業を民間に委ねれば、企業の競争原理の中で国民はより良いサービスを受けることができ、そこから雇用も生まれます。 財務省に操られ、「経済成長なき増税路線」を突き進む「社会保障と税に一体改革」は国民を苦しめるものでしかありません。 こうした「国家社会主義」路線の最大の問題点は、ハイエクが指摘しているように、「自由」を侵害し、「隷属への道」に至る危険があることです。 特定の勢力によって「自由」は常に脅かされ続けています。ヒトラーが最も憎んだのは「自由」という言葉でした。だからこそ、「自由」は闘いを通じて、守り、育てていくことが大切なのです。 「国家社会主義」へと向かう野田政権の暴走を食い止めるには、本年の早い時期に野田首相を退陣させ、解散・総選挙に追い込み、民主党を政権の座から引きずり下ろすことが不可欠です。 2012年、幸福実現党は全力で民主党政権を退陣させ、政権獲得を目指して参ります。ご指導ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。(文責・佐々木 勝浩) すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 Next »