Home/ そが 周作 そが 周作 執筆者:そが 周作 幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会長 外国人の土地取得問題について【3】 2021.07.29 http://hrp-newsfile.jp/2021/4111/ 幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会 ◆外国資本による土地取得で起こる懸念や問題 6月に可決・成立した「国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案」は、外国資本による土地買収が問題とされたことから始まっています。 外国資本の土地買収は、例えば北海道の森林が買われているということや、対馬の自衛隊基地の隣接地が買われたことなどが指摘されてきました。 例えば、産経新聞編集委員の宮本雅史氏は著書の中で「これまでに買収されたゴルフ場や農地などに共通しているのは、森林や山に囲まれているため外からは見えず、入口が1か所なので閉鎖すればだれからも干渉されないことです」「農地の場合は整備されている上、大きな川が流れているから、自己完結して住めます。 自治区とも言えるアンタッチャブルな集落ができる可能性があります」といった専門家や北海道の地元住民の声を紹介しています(※1)。 例えば中国人が集団で住む「自治区」のような集落ができた場合、日本の法律よりも中国の法律が優先される恐れがあり、日本の法秩序がそこで崩れることになります。それは日本の主権が侵害されることを意味します。日大法学部教授によると「中華人民共和国国防動員法(2010年)の制定により現実的な恐れとして存在する」といわれています(※1)。 また前述の宮本氏は長崎県の対馬市美津島町竹敷地区は「元々は軍港だった。旧海軍の施設が残る“要衝”で、戦前までは民間の土地ではなく立入禁止区域だった。その地域が韓国資本に買収され、韓国人専用の施設が並ぶ」とし、現地の方によると、「浅茅湾の民宿はすべて韓国人が経営しているという。 しかも、いずれも自衛隊の施設を監視するかのように建てられている」と警告しています。防衛上の観点からも不安が指摘されているところです。(※1) また他にも、外国資本による買収がなされたと分かっているところでも、その後行政から連絡が取れないこともあります。 外国資本による土地買収から始まる所有者不明の土地問題も発生しています。固定資産税の徴収もできないケースもあります(※2)。固定資産税は地方税の約4割を占める重要なものです。 このように、日本の国益を害する問題、さらに安全保障にとっての重大な懸念が発生しています。 ◆広域的な監視及び規制が必要 前にも述べたように、戦後の日本では、これまで外国資本による土地取得になんらの規制も設けられてきませんでした。しかし、このように防衛拠点の隣接地や、大規模な森林の買収が何らの規制も受けずになされており、これを放置することはできません。 先日、可決・成立した「重要土地規制法案」では、例えば重要施設の周辺で設定される注視区域といわれるものは、「施設の敷地の周囲おおむね1,000mの範囲内で指定」と、対象とされる範囲があまりにも限られています(※3)。 「米国の対米外国投資委員会(CFIUS)は、軍・政府施設の場合、周囲最大100マイル(160キロメートル)をとっていて、日本の新法より二桁多い」との指摘もあります(※4)。対象とするエリアはもっと広域であるべきでしょう。 また、事前届出が必要なのは、「司令部機能、警戒監視機能を有する自衛隊の駐屯地・基地 等」の特定重要施設の周辺などの特別注視区域に限られており、範囲はとても限られたものになってしまいます。 国家の安全保障に問題を及ぼす土地の所有や利用は、そもそも日本全国いずれの場所であっても規制されるべきではないでしょうか。 アメリカでも「外国人が空港や港湾また米軍施設に近接する土地等の取得などを行う場合は、条件によっては制限の対象になり得る」(※5)とされています。 日本も土地等の買収を、「事前」に制限することができる枠組みを整備すべきではないでしょうか。 少なくとも外国資本による土地等の買収は、所有者の明確化の観点から例外規定を設けず、いかなる場合においても届出を義務化する必要があるのではないかと考えます。 同様の観点で、国内の取引も含めて、登記を義務化することなども、今後一つの検討課題となってくるかもしれません。 また、土地は「所有」だけが問題ではなく、「利用」も問題になります。日本人が所有する土地を借り上げて、利用する場合も考えられます。 つまり、所有・利用の両方において、安全保障上の問題がある場合には規制をかけられるようにしなければならないでしょう。 ただし、当然のことながらそのような私権の制限を伴う規制が、政府によって恣意的に、また拡大解釈されて不当な自由の制限になってはならないのは当然のことです。 ※1 『領土消失 規制なき外国人の土地買収』 宮本雅史、平野秀樹 角川新書 ISBN978-4-04-082262-4 ※2 北海道開発協会『開発こうほう』 「外資による土地買収問題」 佐藤郁夫 https://www.hkk.or.jp/kouhou/file/no574_shiten.pdf ※3 『重要土地等調査法案の概要』内閣官房 https://www.cas.go.jp/jp/houan/210326/siryou1.pdf ※4 「やっと始まる外資の土地取引規制、阻むのは何者?」平野秀樹 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64338?page=2 ※5 「外資に関する規制」JETRO https://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/invest_02.html 外国人の土地取得問題について【2】 2021.07.16 http://hrp-newsfile.jp/2021/4109/ 幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会長 曽我周作 ◆諸外国の規制と日本の現状 我が国では、そもそも、農地以外に土地売買の制限はありません。そして、これまで外国資本による土地取得に制限をかけることができていませんでした。 外国人でも自由に日本の土地を買い、そして自由に転売できていたわけです。それがたとえ自衛隊基地の隣接地であっても、水源を含む森林であっても自由なのです。 しかし、諸外国には様々な規制があります。 そもそも、外国人(外国資本)の土地所有を原則として認めない国もあります。例えば中国などがその一例です。インドネシア、フィリピン、タイも原則として不可とされています(※1)。 また、韓国には「外国人土地法」があり許可申請が必要とされるケースがあったり、他にも「ニュージーランドの島の土地(0.4ヘクタール以上)を外国人が所有するには許可が必要だし、チリとパナマは国境から10㎞以内、ペルーは50㎞以内、メキシコは100㎞以内の土地について、外国人の所有を制限している。どの国も国境には気を遣っている。水資源や鉱山の直接所有を規制しているケースもある」(※1)と言われています。 ロンドン大学LSEの『アジア太平洋不動産投資ガイド2011』には「アジア太平洋地域で、不動産投資に外資規制が皆無なのは日本だけ」と書かれていたようです(※1)。 ◆土地の真の所有者を確認できる「台帳」は存在しない 日本における、外国資本による土地買収の実態は簡単には把握できません。というのも、土地や建物の所有者を特定するのは簡単ではないからです。 一般的に、私達が家の相続をしたり、土地や建物を購入するなどした場合、「登記」というものを行うことがあります。 しかし、この不動産取引における登記というものは、実は任意で行うものです。日本では権利の登記は第三者への対抗要件(※2)であり、これはフランス法の考えを採用したものです。 不動産の取引をする際には、第三者への対抗要件を具備するため、当然のように登記を行うのが一般的だと思います。しかし、登記をせずとも所有権の移転の効力は発生します。 つまり、外国資本が土地を購入しても、その登記をしていない場合も考えられ、その場合、登記簿を確認しただけでは外国資本がその土地を購入したことを確認できないということです。 今後、相続の際の登記などは一部義務化されますが、売買における所有権移転の登記は義務ではありません。したがって、登記上の所有者と真の所有者とは違う場合があります。 登記上で所有者とされていても、それだけで真の所有者であることを証明するものではないということです。一方、登記が義務付けられている国もあります(※3)。 例えばドイツでは登記をしないと権利の変動そのものが発生しません。 また、所有者と使用者が違うということは当然あります。外国資本の関係する土地所有の実態も、土地利用の実態も国として簡単に把握する術が無いというのが実態です。 ◆今回成立した法案の中身について このような現状の上で、先般可決・成立した、いわゆる「土地規制法案」といわれる法案は、「重要施設(防衛関係施設等)及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止」(※4)することが目的とされています。 重要施設や、国境離島等に注視区域や特別注視区域が設定されます。 例えば、重要施設には防衛関係施設や海上保安庁の施設、また政令で指定される重要インフラがあり、施設の敷地の周囲おおむね1,000mの範囲内で、区域が指定されることとなっています。 また、司令部機能、警戒監視機能を有する自衛隊の駐屯地・基地の周辺などで、特別注視区域が指定されます。 それらの区域において、土地や建物の所有者や賃借人、所有者の氏名、住所、国籍等、また利用状況などが調査されることや、調査結果を踏まえて利用規制をすることができたり、特別注視区域においては、土地等の所有権移転等について事前届出が必要とされることなどが決められました。 届出をしなければ、場合によっては刑事罰の対象とされることもあります。 しかし、この法案で、その対象とされる区域は極めて限定的です。重要施設の敷地からわずか1,000m以内とされる指定区域における調査や規制だけで、本当に重要施設が護られるのか甚だ疑問です。 まずは実態の調査から進めるにしても、範囲が限定され過ぎてはいないでしょうか。 た、重要施設からは離れた地域において、例えば森林や山に囲まれた閉鎖的空間を買収された場合、そもそもその土地で何が行われているかを把握することさえも容易ではなくなることもあります。 所有者不明の土地問題も併せて考えた場合、外為法では日本国内に住所のない非居住者による投資目的の不動産取得は事後報告が義務付けられているとはいえ、さらにその非居住者から別の非居住者に転売された場合は、報告義務の対象ともならない(※5)など、この法案の可決・成立だけでは、日本の国土と安全を護る上では、まだまだ不十分なものであることは否めません。 個人の自由の侵害という意見もありますが、場所によっては国益や国民の安全の保障という観点から売買に適さない土地は当然あると考えるべきでしょう。 次回も、この問題をさらに掘り下げて考えてみたいと思います。 【参考】 ※1 『領土消失 規制なき外国人の土地買収』 宮本雅史、平野秀樹 角川新書 ISBN978-4-04-082262-4 ※2 民法177条 「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」 ※3 『人口減少時代の土地問題』p.131~135 吉原祥子 中公新書 ISBN978-4-12-102446-6、 『領土消失 規制なき外国人の土地買収』p.213~222 宮本雅史、平野秀樹 角川新書 ISBN978-4-04-082262-4 ※4 『重要土地等調査法案の概要』内閣官房 https://www.cas.go.jp/jp/houan/210326/siryou1.pdf ※5 外国為替の取引等の報告に関する省令(財務省)第5条2項10 「外国人の土地取得問題について」【1】 2021.07.13 http://hrp-newsfile.jp/2021/4105/ 幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会長 曽我周作 ◆外国資本による土地取得が進む日本 本年6月にいわゆる土地規制法案といわれる法律が可決・成立しました。正式名称は「国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案」というものです。 この法律が検討されたのは、外国人や外国法人、つまり外国資本による土地買収が問題とされたことから始まっています。 また、そもそも誰が所有している物件なのか、外国人によって土地が取得されたのかどうか分からない土地も多くあります。 所有者不明土地問題研究会(座長:増田寛也氏)が2017年12月に発表した資料(※1)によると、2016年時点の所有者不明の土地面積は約410万haと推計されています。 これは九州本島の面積約367万haよりも大きい規模になります。 また、外国資本による森林買収が問題になっている北海道では2019.年12月末現在における海外資本等による森林所有状況は、北海道庁が把握しているだけでも面積が2,946ha、所有者数が220に上ります。 しかも、何のためにその土地を利用しようとしているのかについて「不明」という場所がいくつもあります。(※2) また林野庁の発表によれば、2019年の一年間での国内における森林の買収は、把握されている分だけでも、62件、451haにも及び、2006年から2019年までの累計では465件、7560haにもなります。(※3) 産経新聞編集委員の宮本雅史氏の著書『爆買いされる日本の領土』などで、北海道以外でも、例えば対馬市、奄美市など、特に中国・韓国資本による土地の買収の問題事例が多く指摘されています。 中には自衛隊の基地に隣接した土地が買収されているなど、外国資本による土地の買収に一定の歯止めがかけられるようにならなければ、安全保障上でも大きな問題になりうるという実態が浮かび上がってきました。近年この問題は広く認識されるようになりました。 ◆外国資本による土地取得に規制のない日本 戦後の日本では、これまで外国資本による土地取得になんらの規制も設けられてきませんでした。 実は「外国人土地法」という法律が現在でも存在しますが、この法律は敗戦後から現在まで運用されていません。 この「外国人土地法」は大正14年に制定された法律です。外国資本による土地取得等に規制を設けることができる旨を規定した法律になります。 実は「外国人や外国法人が日本において土地に関する権利を取得することを原則として認めるとともに、その例外を定めた法律」(※4)といわれるように、明治期の日本では外国資本による日本の土地の買収は認められていませんでした。 この外国人土地法では「相互主義の観点から、外国人や外国法人が属するその外国の法律が、日本人による土地に関する権利の享有を制限しているときは、政令によって、そういった外国人や外国法人の日本における土地に関する権利の享有についても同様の制限的な措置をとることができる」(※4)こと、「国防上必要な地区については、政令によって、外国人や外国法人の土地に関する権利の取得につき禁止をし、または条件もしくは制限を付することができる」(※4)ということが定められています。 しかし、これらに規定による政令は現在定められていません。 外国人でも日本の土地はどこでも自由に買うことができ、そして自由に転売することができます。 しかも「工夫次第で外国人なら保有税を支払わなくても済む」(※5)ともいわれています。しかも、日本では所有権は一定の物を直接排他的に支配する強力な権利である物権です。 所有権は自由にその目的物を使用し、収益し、処分することができる権利として強く保護されています。 ◆なぜ外国人土地法は使えないとされたのか ではなぜ、この法律は運用できないのでしょうか。 それについては、第185回国会の法務委員会(2013年10月30日)の政府側の答弁の中で、「権利制限や違反があった場合の措置等について、法律では具体的に規定がないので、政令に包括的、白紙的に委任がされていると考えられるため、それが現在の日本国憲法の四十一条や七十三条の六号(※6)に違反するおそれがある」という主旨のことが指摘されています。 また、1994年につくられたGATS(サービスの貿易に関する一般協定)によって「原則、国籍を理由とした差別的制限を課すことは認められていない」との見解が示されています。 一点目については法律を改正することで対応可能とも考えられます。 二点目のGATSについては例外規定として、公衆道徳の保護、公の秩序の維持、生命・健康の保護のための措置も認められていますし、また安全全保障のための措置も認められています。(※7) 諸外国も何らかの規制をかけていますし、そもそも外国人の土地所有を認めていない国もあります。 ともあれ、「外国人土地法」は外国資本による土地取得に制限をかける上で、使えない法律だという見解が政府側から示されました。 しかし、何も規制ができないようでは安全保障上重大な危機を招く恐れがあるため、新しい法律の制定に向けた検討が進み、この度の法律制定につながりました。 これは前進ではありますが、まだまだ問題の根本的な解決には不十分です。次回は、法律の中身についてお伝えしたいと思います。 ※1 所有者不明土地問題研究会 最終報告概要 2017年12月13日 https://www.kok.or.jp/project/pdf/fumei_land171213_02.pdf ※2 北海道庁 海外資本等による森林取得状況 2020年5月公表 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/srk/gaishi.html ※3 林野庁 外国資本による森林買収に関する調査の結果について 2020年5月8日 https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keikaku/200508.html ※4 第185回国会 法務委員会 第2号 会議録 2013年10月30日 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigirokua.nsf/html/kaigirokua/000418520131030002.htm ※5 『領土消失 規制なき外国人の土地買収』 宮本雅史、平野秀樹 角川新書 ISBN978-4-04-082262-4 ※6 日本国憲法 第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。 第七十三条の六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。 ※7 サービス貿易に関する一般協定(GATS)(基本構造と主要な権利・義務) 第2回国際化検討会 外務省サービス貿易室 2002年2月 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/kokusaika/dai2/2siryou3_2.html 「あいちトリエンナーレ」における問題から考える 2019.08.13 「あいちトリエンナーレ」における問題から考える 幸福実現党 都市計画・インフラ部会長 曽我周作 ◆「表現の不自由展・その後」の中止 8月1日から愛知県にて、3年に一度開催の美術祭「あいちトリエンナーレ」が始まりました。この美術祭の開催にあたり、注目を集めていたのが「表現の不自由展・その後」でした。 同展示においては開催前から、いわゆる慰安婦問題を象徴する少女像の存在や、昭和天皇の御真影が燃やされる動画の展示などに、抗議の声があがっていました。 結局、「表現の不自由展・その後」は8月3日をもって展示が中止となりました。筆者はその前日の8月2日に現地に行き、中止される前の展示をみてきました。 この展示の中止は、同展示に対して「大至急撤去しろ。さもなくばガソリン携行缶を持っておじゃまする」などと書かれたFAXが会場である県美術館に送られるなどしたことが直接の原因とされています。(その後、威力業務妨害の疑いで50代の男が逮捕されました) 当然のことながら、このような脅迫行為は許されるものではありません。 その上で、展示を見てきた筆者自身の見解を述べたいと思います。 ◆表現の自由は、公共の福祉に資するために行使されるべき 「表現の自由」を含む権利は、公共の福祉に資するため行使される必要があります。 あいちトリエンナーレは愛知県や名古屋市などから公金が投じられて開催される美術祭であり、公共の福祉に資するものなのか、国民からの厳しいチェックを受けるのは当然のことです。 今回の件について、例えば朝日新聞の8月6日付の社説では「『表現の自由』が大きく傷つけられた」として批判していますが、そもそも昭和天皇の御真影を燃やす動画などが美術作品と言えるのか甚だ疑問に感じます。 ましてや公金が投じられる美術祭において、このような日本国民の心を傷つける展示が許されるべきであったのか。当初これらの展示を容認した愛知県の対応には強い疑問を感じるところです。 HS政経塾卒塾生で美術関係に詳しい坂本麻貴氏によると「だんだん文化が豊かになるにつれ、工芸として装飾や肖像画、風景画などの需要が大きくなっていった。そして写真や印刷技術の向上によって、特に平面絵画の存在価値が問われるようになる流れの中で、マルセル・デュシャンが『泉』という作品を発表し、現代美術では『表現の新しさ』『表現の多様性』を求める作品が主流になった。多様な作品が作られ、多様な議論があり、美術とは何なのかが模索される過程は大事だが、『奇抜さ』『人がやらないこと』『タブーを敢えて実行する』事が現代美術の価値かのようになっている事が現代美術の大きな問題」と言います。 ◆公金を投じて展示するようなものではない その他にも、少女像など問題を感じる展示がありました。 少女像の説明書きには「『慰安婦』被害者」と日本語で書かれてあるのみならず、その下の英語訳での説明書きには「the victims of the Japanese military sexual slavery」と書かれており、これは直訳すれば「日本軍の性奴隷制の被害者」となります。 しかし、いわゆる「従軍慰安婦」などという日本軍による性奴隷制度など存在しなかったのは明らかなはずです。政府の公式見解でも、日本軍による性奴隷制度の存在など認めていません。 このような巧妙な政治的なプロパガンダがなされている、非常に反日的展示であったと感じられました。 しかし、何よりも問題なのはそれらが公金を投じた美術祭における展示であったことではないでしょうか。これでは公権力によるお墨付きを与えたと捉えられかねません。 ◆むしろ、わが国の「信教の自由」は大丈夫なのか? 筆者自身は、特に、昭和天皇の御真影が燃やされる様子が展示されていたことに非常に驚きました。 日本国の象徴であり日本国民統合の象徴の御真影を「燃やす」ことは、天皇陛下のみならず日本国および日本国民へのヘイト行為ではないでしょうか。 さらに考えさせられたのは、天皇陛下とは宗教的ご存在でもあるということです。 確かに、戦後は昭和天皇によるいわゆる人間宣言もあり、天皇陛下御自身は信仰対象ではないかもしれません。 しかし日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であると同時に、父方をたどれば天照大神様につながる日本神道の最高神官としてのお姿を通じて、日本国民の信仰観を感じることができるご存在が天皇陛下であられるのではないでしょうか。 私自身、幸福の科学の信仰を持つ者として、そして日頃より天皇陛下は宗教的ご存在だと考える者として、その御真影が燃やされる様子を「美術作品だ」「表現の自由だ」と公金を投じた美術祭に展示されていることに対して、逆にわが国における「信教の自由」の脆弱性が現れている気がしてなりませんでした。 例えば、もし、世界宗教の開祖や、宗教指導者、他国の国家元首等の写真や肖像画を燃やす映像を作品として持ち込まれていた場合、それを展示することを許容したのでしょうか。 大村知事には、表現の自由を言う前に、自らの善悪の価値判断の甘さを考えていただきたいと思います。 ※あいちトリエンナーレは10月14日まで開催中です。 地上から空の自動運転車へ。「交通革命」の未来が見えてきた! 2018.08.31 地上から空の自動運転車へ。「交通革命」の未来が見えてきた! 幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会 曽我周作 ◆ついに実用化が見え始めた自動運転 8月27日に自動運転車タクシーの営業走行が世界で初めて行われました。 報道によると「千代田区大手町と港区六本木の間の決められたルート、片道約5.3キロメートルを9月8日まで1日4往復する」そうです。(https://jp.reuters.com/article/self-driving-taxi-idJPKCN1LC09E) カルロス・ゴーン氏が『カルロス・ゴーンの経営論』の中で「5年後の自動車は、ゼロ・エミッション、しかも自動運転で走るようになるでしょう」と書かれていて、それが出版されたのは2017年2月のことです。 それからわずか1年半、自動運転タクシーの営業走行が、限定的であるとはいえスタートしたわけです。 今回、これを行った会社は「2020年の完全自動運転による無人タクシーの実用化に生かす考え」といいます。 ゴーン氏が「5年後」と言った未来まで、あと3年程になります。その間に、どこまで自動運転の車の普及が進むのか、非常に楽しみであります。 ◆自動運転を支える3D地図情報 この自動運転を支えると言われるのが3D地図データだと言われています。 自動運転には5つの段階がありますが、いわゆる自動運転といわれるのはレベル3~5の3段階になります。そのレベル3以上の自動運転では3次元位置情報が必須であるといわれています。 その3次元位置情報と、3D地図とを組み合わせて使う必要があるわけです。 この3D地図を完成させていくには膨大な調査が必要とされます。また、日々これは変化しつづけるものなので、更新を続けていかなければなりません。 この膨大な情報に支えられ、完全な自動運転車が私たちの生活に密接した関係にまで入り込んでくることになります。 また、地図大手のゼンリンはドローンの自立飛行実験を、3D地図を利用して行っています。6月2日に行われた実験では、3Dの地図情報を、携帯電話回線を通じて受信しながらの飛行実験も行われ、成功しているようです。 (参考:https://www.nikkei.com/article/DGXLZO17249060S7A600C1LX0000/) 今後の自動運転は、車体面での技術開発に加え、このような3D地図のデータと組み合わされ、さらにそれが通信技術によって支えられていくイメージが浮かんできます。 ◆地上の次は空 8月29日には第一回目の「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催され、空飛ぶ車の実現に向けて官民が協力して取組を進める形が出来てきました。 この空飛ぶ車は、地上を走る車で培われる自動運転技術、さらには上記に上げた3D地図の情報や、その通信を支える通信技術や、さらにはその通信を守るサイバーセキュリティ対策が非常に重要なものになると思います。 もしかすると、空を飛ぶ乗り物を支える航空管制の面では、新しい「何か」が発明されるかもしれません。 自由に空を飛ぶ乗り物が出来た場合、非常に便利なものではありますが、同時に安全面の課題は非常に大きなものになるでしょう。 治安対策、テロ対策まで含めて、ルールや技術整備は多くの人の知恵を結集して作られていくと思います。 恐らく、空を飛ぶ車は、その運航の大半が自動運転によるものになるのではないでしょうか。先に紹介したゼンリンの実験も、それを見据えての開発のように感じられます。 多くの人が安心して、これから開発される自動運転車や、空を飛ぶ車を使えるようになるために、政府は思い切った取り組みを進めていくべきでしょう。 空を飛ぶ自動車の方は、現時点ではまず安全に飛行できる車体(機体)の開発が進められていると思いますが、その過程と同時に、安全な運航を支えるインフラが開発され、さらに同時に「あるべきルール」が研究されていきます。 これは完全な「交通革命」であり、しかも官民協議会の資料からみても、わずか30年程先の実現を目指す革命です。しかも日本の大切な基幹産業である自動車産業にも大きなインパクトを与える革命ではないでしょうか。 私達の生活への大きな影響とともに、日本経済の行方を大きく左右する「交通革命」が今まさに進められようとしています。 ◆便利さが幸福を創り出す方向に向かうように 自動運転技術や、空を飛ぶ車が実用化されることは、例えばお年寄りが自動運転の車に乗って買い物に行くことが楽になったり、移動時間が短縮されたり、自動運転車の移動中にはこれまで以上に様々な時間の使い方ができるなど、大いなる可能性があるでしょう。 ただ、このような技術開発が、最終的に多くの人にとって新しい可能性を広げて、幸福を増進させる方向にしていかなければなりません。 この自動運転などの技術も、膨大な情報が扱われ、それは同時に個人に関わる情報にも紐づけられていくことが予想されます。 しかし、「便利さの追求」の裏で、膨大な個人情報が国家やIT関連の企業にデータ保存され、一人ひとりのプライバシーが、知らず知らずのうちに覗き見られるような社会にならないようにしたいものです。 あくまでも人間がAI(人工知能)や「情報の操作」によって支配されることなく、人が人として尊厳をもって生きられるよう、情報社会に潜む危険性も認識したうえで、未来社会のあるべき姿を構想していくべきであると思います。 あなたは今日、どんな一日を過ごしますか?そのクルマに乗って家族と何処に行きますか? あなたの人生の大切な1ページに今日は何を描くのか、それは神様からいただいた「心」を持つ私達自身が決めるものであるべきです。 都市開発の新しいフロンティア「空中権」【その1】 2017.07.06 都市開発の新しいフロンティア「空中権」【その1】 幸福実現党政務調査会 都市計画・インフラ部会長 曽我周作 ◆「容積移転」「空中権」とは アメリカでは「空中権」という制度があり、「土地の上部空間を水平的に区画して建築的に利用する権利」とされ、土地の所有権の構成要素の一つとされています。 都心においては、土地の高度利用の観点からできるだけ収益性をたかめる商業施設や事務所ビルを建設しようという力が働きます。 しかし、容積率の制限が存在し、もっと容積率の高い建物を建てたいという需要があります。 一方、ある土地に対して容積率を制限限度まで利用して建築物を建てている場所ばかりではありません。 また、将来にわたっても容積率を余らせることが予見される場所があります。例えば歴史的建造物や寺院、また公園などもそうです。 開発競争の中で神社仏閣や歴史的建造物、オープンスペースを確保する公園、また美術館など文化施設が失われるのは町にとっても損失ですし、守り、残さなければならないものがあります。 未利用の容積率を開発権とみなして移転できるようにするということが発生するのは、「おなじ都心地域のなかにあっても未利用の容積率を残したまま新たな建築更新の必要のない地権者がいる一方で新たに建替えの希望のある地権者が基準容積以上の容積を得たいと考える場合」があるということ、「民間事業の側からは都心の土地利用の有効・高度利用の需要があり、行政からは都心の町の魅力を高める必要性」があるからであるといわれます。(『建築空間の容積移転とその活用』p9より) 容積率を譲り渡したい側と、容積率を譲り受けたい側が、それを取引できるようにするということが行われるのが容積移転であり、「空中権」の取引などと表現されます。 ◆日本とアメリカの容積移転制度 ・アメリカのTDR制度 アメリカのTDR(Transferable Development Rights)制度は1961年にG.ロイドによって提唱されたといわれ、その理念は以下のように指摘されています。 「彼は、都市の開発においては開発密度の調整が必要であり、一定以上のオープンスペースを確保しながら開発は進められるべきであるとし、オープンスペースの土地所有者は、高密度開発が認められている地区の土地所有者に開発権を譲渡し、高密度開発地区の土地所有者はこの開発権を購入しなければならないと提案した。この考え方の中には、都市開発を推進していくうえで、オープンスペースの確保が必要であり、このオープンスペースを強制的に確保させるためには、財産権の補償としての開発権の移転を土地所有者に与えようとする姿勢が見られる。」 つまり、この制度の性質として、開発が規制された土地の所有者に対しての財産保障と、それによってオープンスペースを確保しようという狙いが、まず一つあきらかです。 現在、このTDRは2008年時点で186の自治体で採用されており、オープンスペースの確保の他に、歴史的建築物の保全、農地保護、森林保護、環境保護、低所得者用住宅確保などの目的も果たしています。 また、場所によってはCO2削減などの目標も含まれているように、公益性の目的のために用いられている面があります。 この制度においては、空中権の出し側と、受け側の需要が同時にあることが必要であったため、TDR bankというものが設けられるようになりました。 例えばニューヨークのサウスストリート・シーポート特別地区は歴史的建築物の保全と再開発の推進を目的として地区として位置づけられ、ここでは歴史的建築物の所有者が未利用容積を開発権として、受け地に直接売却するか、仲介者を介することもできます。 この仲介者にあたるのがTDRbankであり、ニューヨーク商業銀行の連合体で組成されました。 また、アメリカでは空中権が土地所有権の構成要素とみなされています。条例で容積率移転の事実を公示することが義務付けられています。(『都市再生を目指して』p17より) 一方、日本では先ほど指摘したように、未利用分の容積が所有権の対象となっていません。 そのため、空中権の取引を制度的に確立するにあたっては第一に権利関係の法的確立が課題になります。 (「法的性格としては、直接土地に及ばない不安定な権利であること、当事者間でのみ有効な債権的権利であること、物権としての公示方法がない」『都市再生を目指して』p17より) (つづく) 危機にある朝鮮半島——立ちはだかる壁 2017.05.11 危機にある朝鮮半島——立ちはだかる壁 幸福実現党・政務調査会 都市計画・インフラ部会 曽我周作 ◆非現実的な条件設定 朝鮮半島情勢が緊迫している中、韓国では新しい大統領が選出されました。文在寅大統領は親北派といわれ、今後の日米韓の連携など気になるところです。 そんな中、もしも有事が起きた場合、自衛隊による邦人保護は可能なのでしょうか。 例えば外務省のホームページにある資料には実施要件として、以下の条件があり、その全てを満たす必要があると書かれています。 (1)保護措置を行う場所において、当該外国の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており、かつ、戦闘行為が行われることがないと認められること。 (2)自衛隊が当該保護措置を行うことについて、当該外国等の同意があること。 (3)予想される危険に対応して当該保護措置をできる限り円滑かつ安全に行うための部隊等と当該外国の権限ある当局との間の連携及び協力が確保されると見込まれること。 (参考)http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/nsp/page1w_000098.html まず、(1)にかかれていますが、邦人保護が必要になる有事の際に「戦闘行為が行われることがないと認められること」が条件になっています。 有事の際にそんな条件がついていたのでは結局邦人を救出できないのではないかと感じるのが普通の感覚ではないでしょうか。 また、(2)には「当該外国等の同意があること」とありますが、朝鮮半島有事の際に、例えば韓国がもしも同意したとしても、北朝鮮が同意するとはとても考えられません。 戦争状態のときにこんな要件がついていて、在留邦人や拉致被害者の救出は、一体どうなってしまうのだろうかと思います。 さらに、(3)には「部隊等と当該外国の権限ある当局との間の連携及び協力が確保されると見込まれること」とあります。 韓国当局などはともかく、例えば北朝鮮の朝鮮人民軍などと連携や協力が可能だと考えられるでしょうか。 これらの条件が全て満たされることが、自衛隊が在外邦人の救出のために出動できる条件だとは、まったくもって非現実的な条件と言わざるを得ません。 もはや、超法規的措置として、自衛隊を送り込む他に、手だてがないと考えざるを得ない状況です。 ◆韓国の新大統領、文在寅氏を警戒せよ さらに、韓国の新しい大統領の文在寅氏ですが、親北派であり、日本に対してはいわゆる「慰安婦合意」などを見直す姿勢を示すなど、反日的な姿勢をしめしています。 この人物は我が国の領土である竹島にも足を踏み入れています。 そのため、北朝鮮の問題が緊迫している時に、この大統領で北朝鮮に甘い姿勢を示す一方で、日米との連携に水を差し、事態が悪化することが懸念されている状況です。 文氏については「人権派弁護士」などと言われているものの、本当の意味で、自由や人権を守る人物かというと極めて疑問があります。 例えば「2008年、ゴムボートで脱北した子供を含む22人が北朝鮮に送り返された。中朝国境で活動する韓国籍を持つ脱北者らが摘発され、北朝鮮に強制送還されるケースが相次いだが、盧政権は放置した」と言われています。 (参考:http://www.sankei.com/world/news/170510/wor1705100009-n3.html) 文氏は、盧武鉉元大統領の側近でした。文氏は北朝鮮の人権抑圧や不法行為についていったいどう考えているのでしょうか。 韓国で昨年施行された「北朝鮮人権法」にも文氏は反対したようです。この法律は北朝鮮の人権侵害の状況を調べ、記録し、その責任追及を目指すものです。 人権派弁護士とは名ばかりである可能性があります。 自国民に対しても、このような対応をする人物でありますから、ましてや有事の際に在留邦人の保護に積極的に動く保証は全くありません。 日本政府はそれを理解したうえで、主権国家として在留邦人の保護にかけては絶対に妥協すべきではないと考えます。 ◆朝鮮半島統一は非核の民主的、法治国家が最低条件 盧武鉉政権時代に北朝鮮は初めての核実験を行いました。 その時からさらに状況は大きく変わっています。北朝鮮は核開発、そしてミサイル開発を続け、我が国にとっても脅威は増すばかりです。 その上、もし文在寅大統領が、北朝鮮の独裁者と無警戒に融和すると、脅威はさらに高まります。 日本としては、朝鮮半島の非核化は絶対に譲れないところです。 ここでは絶対に妥協できません。それは韓国にも厳しく護るように、アメリカと協力して迫るべきです。 また、朝鮮民族にとっても分断された国家が統一することは悲願であるでしょうが、統一される国家が、核武装をした統一朝鮮だとすると、我が国は絶対に容認できません。 朝鮮半島が再び統一されるにしても、非核化された国家であること。そして、朝鮮半島の人々が自分たちの国の未来を自分たちで創ることができる民主的な国家であり、国際社会のルールを守る法治国家となるべきです。 しかし日本としては、統一朝鮮が核と弾道ミサイルを備えた軍事国家として誕生する事態になる可能性もゼロではないことを頭に入れながら、たとえそのような最悪の状況になろうとも、我が国を防衛するだけの抑止力を働かせるための憲法改正などに取り組むべきであります。 矛盾する主張を止め、豊洲移転を進めるべき 2017.03.16 幸福実現党 政務調査会 都市計画インフラ部会 HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆混乱招く小池都知事の無責任 昨年の東京都知事選以降、築地市場の豊洲への移転が延期され、移転の目途がたたない状況が続いています。 小池都知事は移転を延期させる理由として以下の三点を挙げています。 1.安全性への懸念 2.巨額かつ不透明な費用の増加 3.情報公開の不足 確かに都民としても、一点目の「安全性」の問題については関心が高いと思います。 では、築地と豊洲の一体どちらが「安全」なのでしょうか?このことが議論されなければなりません。 例えば豊洲の新市場の土壌汚染問題について小池都知事は「消費者が地上と地下を分けて合理的に考えてくれるのか。ガス工場だったことに変わりない」と言います。 これは専門家会議(正式名称:豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議)における議論がベースになった発言だと考えられます。 今年1月14日に開催された専門家会議においても、「地上部分と地下の部分は別に分けて考えたほうがいいんじゃないか」(平田座長発言)と述べられた上で、地上部分については「安全」であるが、地下の問題については「安心」が担保されていないと繰り返し指摘されています。 つまり、豊洲の新市場は「安全」である。しかし、「安心」は与えられていない、というわけです。 ならば、本来は知事が「豊洲は安全です。だから安心してください」と言わなければなりません。そして、市場関係者や都民等に安心を与えるように発信しなければならないのではないでしょうか。 最終的に、移転の判断を行うのは都知事の政治判断によります。責任は専門家会議ではなく都知事にあるはずです。この点、小池都知事が逃げているようにみえてなりません。 産経新聞の報道では、小池都知事が主宰する政治塾で移転問題について「私が結論を出すわけではない。こういったことは都民の皆様によく知っていただいて、時には判断に参加していただく」と発言し、この問題の住民投票実施を「感じさせる」発言をしたと言われています。 これは都知事としての責務放棄ではないでしょうか。何のために都民から選ばれた都知事なのでしょうか。 そもそも、地下の環境基準を上回るベンゼンなどが検出されているものの、それが飲用水として使われるわけでもなく、市場内で利用されるものでもなく、地上にいる私たちが影響を受ける心配もないということを、なぜ都知事が率先して発信しないのでしょうか。大いに問題があると考えます。 ◆築地の安全問題からは目を背ける、正直さのない対応 一方、築地市場には様々な問題があります。 開場から80年ほどが経過し、老朽化も進んでいます。耐震性の問題を抱えた建物もあります。開放型の施設で、ネズミがいることも確認されています。 そしてさらに、築地の地下もいわゆる土壌汚染があり、ヒ素が環境基準の2.4倍を検出しました。 それに対して小池都知事は「コンクリートなどで覆われ、法令上問題なく健康に影響を与えることはない」と言います。 それならば、豊洲新市場も同様の理由で安全であることは明らかです。土壌汚染対策では法令上の基準もクリアしています。もちろん耐震性の基準も満たしています。 しかし、築地市場に対しては「さまざまな課題を抱えているが安全と考えている。長年にわたって勝ち得た築地ブランドという安心もある」と言いながら、豊洲新市場に対しての安全宣言は口にしません。 判断基準にまったく一貫性が感じられません。 「さまざまな課題」を抱えた築地市場に対して、都知事の発言一つで「安心」が与えられるのならば、一体なぜ豊洲については安全だと言わないのか、と言わざるを得ません。 1月の専門家会議の場で豊洲の子どもが嫌がらせを受けていることが指摘されました。福島の問題に極めて似た事が起きています。 結局、マスコミや都知事等が風評被害を作り上げているとしか言いようがありません。その責任は重いのではないでしょうか。 ◆小池都知事は東京都の責任者として適格なのか? さらに今百条委員会を設置し、豊洲への移転に至る経緯の部分を問題にしています。 しかし、これは「既に完成している豊洲新市場」への移転を行うかどうかとは別の問題のはずです。 土地売買の経緯などに、たとえ何か政治的な問題があっても、6000億程の費用をかけて完成した施設を「使わない」理由にはなるとは思えません。問題を混同するべきではありません。問題は、豊洲の新市場が安全で使える施設なのかどうかです。 毎日、豊洲の新市場は施設維持に500万円ほどの費用がかかっています。移転をするからと、必要な設備を入れた業者の方もいます。多くの人が豊洲への移転を前提に、準備などを進めていたわけです。 都知事個人としては自分の懐が痛むわけではないのでしょうが、いたずらに移転を先延ばしにした結果垂れ流される経費などのツケは一体誰が払うことになるのでしょうか。小池劇場のツケは高くつくことになります。 築地と豊洲における問題については、判断に一貫性持ち、豊洲への移転を早期に進めるべきだと思います。 その上で、オリンピック開催に向けて、重要な施設整備などを推進して、レガシーを残すべきです。 道路整備も必要です。これについては、目先の経費削減のパフォーマンスに終始せずに、本当に使える施設、使い続けられるものを残していただきたいと思います。 税金を決して無駄なものとせずに、大切に将来に残るものに使っていただきたいと思います。 アメリカで北朝鮮への軍事攻撃が議論に 2017.01.19 幸福実現党・政務調査会 都市計画・インフラ部会長 HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆今、アメリカで北朝鮮への軍事攻撃が検討されている 今年に入り、外交関連の情報筋のレポートを見ていると、北朝鮮関連のレポートが増えたように感じています。 特に年頭に「ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験が最終段階に達した」と金正恩氏が述べ、トランプ氏がツイッターでそれを批判する投稿を行う中、ワシントンポスト紙でペリー元米国防長官が北朝鮮への爆撃について反対するなど、米軍による北朝鮮への軍事攻撃に関する論説が注目されます。 ◆機能しない韓国政府 現在、韓国では朴大統領の弾劾審判が行われ、完全にレームダック状況にあり、政府がまともに機能していない状況にあります。財界も含めたスキャンダル疑惑の中、韓国は混乱の最中にあります。 また、釜山にある日本の総領事館前に、ウィーン条約に反して、違法に慰安婦像が設置され、日韓関係が悪化。日本は駐韓大使を「一時帰国」させるなど、報復措置をとる事態に発展しています。 さらには、1月17日の産経新聞で報じられているように韓国の京畿道の議員団が、こともあろうに我が国の領土である竹島に、慰安婦像を年内に設置することを目指して16日から募金活動を始めたようです。 この挑発的な韓国政界の態度に強い怒りを感じるものですし、日本側が外交的な報復措置をとったのは支持できるものであります。 ◆安倍政権の行った日韓合意そのものが日本の先人に対する冒涜 しかし、そもそも日本国民としては、いわゆる「慰安婦問題」でいわれるような、「20万人もの朝鮮半島の少女を強制連行して、『従軍』の慰安婦として『性奴隷』とされた」などというでっち上げのストーリーに対して、それを否定し、国際社会にむけた発信を行うことこそ、祖国への誇りを取り戻す上で熱望してやまないことです。 日本の政府はこれまで全く十分な努力をしてきませんでした。その間に慰安婦像は世界中にばら撒かれ、世界中の人々が「虚偽の歴史」を信じてしまっています。 さらに、もしもユネスコに登録などされてしまうと、半永久的に「ありもしないこと」で祖国が辱められ続けることになります。 その意味で、一昨年末の日韓合意を行ったことそのものが間違いであり、さらには岸田外相が「軍の関与」を認めたことなどは、我が国の先人への冒涜以外何ものでもありません。 ◆日本は毅然とした態度を維持すべき 日本側が、ある意味で「誠実に」履行している以上、日本側から日韓合意を破棄することはないでしょう。 しかし、次の韓国大統領候補筆頭とも目される「共に民主党」の文在寅氏などは日韓合意を認めない方針の発言を行うなど、韓国側からの一方的な「合意破棄」は考えられなくはありません。 しかし、本来、日本側がそれを過度に恐れる必要は無く、国際社会に対して真実の歴史を明らかにし、積極的にアピールすべきです。 ◆裏に潜む、北朝鮮の工作 冒頭述べたように、今アメリカでは北朝鮮に対する軍事攻撃の検討が行われるなど、いつ有事になってもおかしくありません。 ちょうど今トランプ政権が誕生する直前になりますが、トランプ政権で国防長官に指名されているマティス氏は、12日の議会承認公聴会において北朝鮮のICBM開発はアメリカにとって深刻な脅威であり、軍事的対応も選択の一つだとしています。 アメリカ大統領選の前は、北朝鮮はトランプ氏を歓迎するかのような発信をしていましたが、トランプ大統領を甘く見ていたことに今気づき始めているのではないでしょうか。 しかし今、韓国政府がまともに機能しない中、慰安婦像設置に動いている市民団体の裏には北朝鮮の工作があることが報道でも明らかになっています。 (参考:「慰安婦像をソウルと釜山の日本公館前に設置した団体は北朝鮮と連携し、日韓関係を悪化させることを目的としている」1月17日産経新聞『政論 慰安婦像の撤去が先だ』) ◆韓国国民に課された責任 これに対して韓国の政治家が同調し、韓国政府も像の撤去を行わず、それを韓国国民が支持している状況です。 仮にも民主主義国家に住む韓国国民は、自らが選んだ政府や政治家に対して責任を取らなければなりません。 日本としても朝鮮半島有事の際に、日韓政府間連携がまともにできないと、在韓邦人の救出などに不安を残します。 しかし、我が国にも譲れない一線があってしかるべきです。結局、日本に見放されて一番困るのは、韓国のはずです。 すくなくとも日本政府としては、「慰安婦像の撤去をしない限り、駐韓大使の帰任はさせない」という意志を示すべきではないでしょうか。 ◆日本は目も前の危機から目をそらさず、自国を護る防衛力向上を 韓国は政府もまともに機能しておらず、今後政府間の信頼関係が築けるのはいつの日になるかわかりません。しかし、朝鮮半島有事はいつ起きるかわからない状況です。 日本国民自身、政府やメディアを通じて、北朝鮮の核開発がどれほど危険で、自分たちがどれほどの脅威にさらされているのか知る必要があります。 余談ですが、金正恩氏が年頭の辞で「いつも気持ちだけで、能力が追いつかないもどかしさと自責の念にかられながら・・・」などと述べたのも何とも不気味な状況です。 日本は、次期トランプ政権と一刻も早く信頼関係を醸成すると同時に、我が党がかねてより主張しているように、北方領土問題を一旦棚上げしてでも日ロ関係を前進させ、アメリカ・ロシア両国と連携して北朝鮮と中国に睨みを利かせることが重要です。 そして何よりも日本国内において、真剣に我が国の安全を護る議論を進め、防衛力強化と有事にむけた法整備を、全力で、そして全速で取り組む必要があると思います。 次世代に向けたインフラの進化を 2016.11.24 HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆老朽化するインフラ 近年、笹子トンネルの崩落事故などを契機に、インフラの老朽化の問題が注目されるようになってきました。私達は普段、車や電車で橋を通過する時も、安全で当然のものだという認識をもっているものです。しかし、インフラの老朽化を放置していては、その「安全神話」が崩れることになります。 アメリカでも、老朽化したインフラの問題が深刻化してきており、ミネアポリスの高速道路の崩落や、シアトルの高速道路の陸橋の崩落、メリーランド州の高速道路の陸橋からのコンクリート片落下などが近年起こり、「アメリカにある橋の4分の1が構造的欠陥を抱えるか、老朽化し、2013年の時点で、平均で建設されてから42年が経過し、しかも建設時の想定を大幅に上回る負荷の交通量に耐えている」(※『フォーリン・アフェアーズ・リポート 2016年11月号』「アメリカのインフラを再建するには」アーロン・クライン より)と言われています。 日本で橋の建設がピークに達したのは1970年頃であり、国土交通省の資料によれば、建設後50年を経過した橋梁の割合は2015年時点で18%であり、さらに、10年後の2025年時点では42%になることが見込まれています。アメリカで起きている問題は、日本でも非常に似た状態で発生している感じを受けます。 少なくとも、老朽化したインフラによる事故で、けが人が出たり、人命が失われる事態は避けなければなりません。 そのためには、老朽化したインフラの更新を進めていくことは大切になります。 ◆インフラは経済成長の基盤 しかし、老朽化したインフラを、ただ単に「延命」するだけで良いかといえば、そうではないでしょう。 インフラは人々の生活を支え、経済活動を支えるものです。そして、もちろん災害から人々を守るものであり、国の安全を守るためのものでもあります。 アメリカでは「インフラ整備に向けた連邦政府の投資がピークに達したのは、戦後のアイゼンハワー大統領の時代だった」(※同上)といわれているのですが、そのアイゼンハワー大統領は、インフラ整備が、経済の活性化とともに、国家安全保障にとっても重要だと考え、選挙演説でも「近代的な道路網は国防にとっても、我が国の経済と個人の安全にとっても必要だ」と訴えたといわれています。(※同上) アイゼンハワー大統領にとって、ドイツのアウトバーンを見た経験が、そのような考えをつくる契機になったようです。 日本でも、災害時に物流や人の移動をスピーディかつスムーズに行うことのできるインフラをもっていることが、人々の命を守ることにつながっています。そして同時に安全保障の視点から見てみると、万が一の有事に、インフラがどの程度機能するかということも非常に大切なことになることが分かります。 ともあれ、インフラは、より大きな経済に成長させていくためにも整備すべきものです。田中角栄氏が、日本列島改造論において「移動速度」を上げるための大胆なインフラ整備のビジョンを掲げた視点は、決して古いものではありません。 ◆発展しないインフラが都市の発展を止め、地方を衰退させる 老朽化したインフラの「補修」だけでは、決して成し遂げられないことがあります。 例えば、瀬戸大橋など、それまで「陸路」で繋がっていなかった場所に、そのような橋を建設することで、移動に必要な時間はとてつもなく短縮されることになります。それまで山道のクネクネとした道でしかつながっていなかった場所にトンネルが通ることで、大幅な時間短縮を実現できることもあるでしょう。 インフラを次世代の経済成長を支えられるものにするために「進化」させなければなりません。この視点が抜けてしまうと、インフラへの支出は、単なるストックの維持だけに費やされかねません。インフラの老朽化による更新の必要性を、ある種の奇価とすべきかもしれません。 日本における公共事業関係費は平成10年をピークに大きく減少しております。 ともすれば「公共事業は悪」とみられ、それを縮小すべきだとみられてきました。これは「社会保障は何でも善いもの」とみられがちなのとは対照的です。 しかし、都市部においてもインフラが発展しなければ、その都市の発展を止めてしまうでしょう。そして、地方の特に田舎では少子高齢化と人口減少に苦しみ、衰退の中におかれている場所も多くあるはずです。 ◆新しい視点を持って、移動時間を短縮する、交通革命実現を これからのインフラ投資におけるキーワードは「時間」ではないでしょうか。 北陸に新幹線が開通したのも、これからリニアが建設されるのも、そこで生み出される大きな付加価値は「時間の短縮」です。それが次の経済成長の大きなエンジンになるでしょう。 もちろん大きな投資になります。しかし、これは「消費」や「浪費」ではありません。 幸福実現党は交通革命を起こすための100兆円のインフラ投資を政策に掲げていますが、この投資によって産業が起きたり、経済が成長するのなら、それは単なる借金ではなく「信用を創造するための投資」になります。これは、民間企業だけで十分にできるものではなく、国だからこそ、その実現を早めることができます。国の後押しがあれば、例えばリニアの建設が早まるのは明らかです。 国として、信用の創造に一役買うことができます。国家の経済を成長させる投資になるかどうかが問題です。だからこそ、政府は経済成長のために何が必要かを見極めることが大切です。どうか、有権者の皆様には、明確で夢のある未来ビジョンを持つ幸福実現党の政策に注目頂きたい次第です。 すべてを表示する 1 2 3 … 5 Next »