Home/ 財政・税制 財政・税制 新財源創出を図る地方自治体――国家は景気回復で支援せよ 2012.07.28 参議院において「社会保障と税の一体改革」の審議がされ、ただひたすら「増税」だけが押し進められています。 しかし、消費増税だけが押し進められたとしても、無駄の削減をすることも無く、経済成長を目指すことも無く、社会保障の拡充もできず、財政再建の道が開かれることはありません。 一方、地方自治体においては、厳しい財政状況の中で、「歳出削減策」に加えて、「新たな財源創出」に取り組むためのの努力が重ねられています。 公益財団法人・東京市町村自治調査会は4月2日、『新財源創出策ハンドブック~新たな財源の創出に関する事例調査~』を発刊し、自治体経営の智慧の共有を支援しています。⇒http://www.tama-100.or.jp/contents_detail.php?co=ser&frmId=69 ハンドブックでは「新たな財源創出策」の内、(1)広告収入、(2)使用料の見直し、(3)寄付、(4)資産の処分・利活用、(5)知的財産の活用の5項目に着目し、調査・分析しています。 国政では「財源を増やす=増税」となっていますが、地方自治体では「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」などの限られたの経営資源を活用して、少しでも新しい価値を創造する挑戦が行われており、増税によらない新財源創出努力が始まっています。 新財源創出で先行する横浜市はホームページのバナー広告や、タイヤホイール広告、封筒類への広告掲載、職員給与明細書の裏面への広告など様々な広告事業で新財源創出努力を図り、広告料収入が年間約7.3億円、広告掲載による経費節減効果が年間約5200万円となっています(横浜市平成21年度決算)。 また、地方自治の新財源として知られているものに「命名権(ネーミングライツ)」があります。 有名なものとして、横浜市が「横浜国際総合競技場」の命名権を日産自動車と契約し、「日産スタジアム」として使用することで、2010年から2012年まで4億5千万円(単年1億5千万円)の「広告収入」を得ており、同競技場の大きな財源となっています。 横浜市は2004年に日産自動車と5年間で総額23億5,000万円の条件で同競技場の命名権を売却し、年間4億円にのぼる維持費を解消することができました。 その後、2010年の新規契約において、日産自動車は「厳しい経営環境により、現在の契約金額では、契約を更新できない」と発表。締切りまでに応募した団体・企業がなかった為、年間1億5千万円に引き下げて、日産自動車の命名権が更新される結果となりました。 このように、長引く不況の影響により、費用対効果を重視する企業から自治体の各施策は厳しい選別にさらされ、ネーミングライツへの公募急減や契約の非更新に見られるように、「新財源の創出」の実現へのハードルは高まっています。 根本的には景気回復なくしては、地方自治体レベルでの新財源創出も不安定になることが分かります。 川端達夫総務相が7月24日の閣議に報告した「平成24年度普通交付税大綱」にも、このことを裏付ける事実が記されています。⇒http://www.soumu.go.jp/main_content/000169060.pdf それによると、2012年度は地方交付税を受け取らなくても財政運営できる「不交付団体」は東京都ほか54市町村と、前年度より4団体減っています。 「不交付団体」は国に頼らなくても自前で財政を運営できる「優等生」ですが、景気の低迷によって「不交付団体」は5年連続減少しています。 「不交付団体」はピークだった1988年度の193自治体から3分の1以下に減少。都道府県と市町村を合わせた12年度の不交付団体は、78年度の48自治体に次いで過去2番目に少なく、全国自治体のわずか3%に過ぎません。(7/24 日経) こうした中、唯一、山梨県忍野村だけは、産業用ロボットメーカー(ファナック)の業績好調を受けて法人関係税収が増えたため、「不交付団体」に転じ、一企業の業績によって地方交付税を必要としない自立した自治体となっております。 幸福実現党は「新産業の育成が、結果として税収を増やす」ことを主張して来ておりますが、象徴的な事例です。 税収の確保は、「民」の力を弱らせる増税では無く、経済成長による税収増しかありません。 社会保障と並んで、自治体の赤字を埋める地方交付税(2012年度の配分総額は約16.4兆円)を圧縮することが財政再建の鍵となっていますが、景気回復は地方自治体レベルでは十分にできません。 国政レベルで、明確に「経済規模を2倍」にすることを掲げ、幸福実現党が示す未来産業振興、交通・都市インフラ投資、金融緩和、減税、規制緩和、行政の効率化等、着実な景気回復と経済成長政策に着手すれば、財政の黒字化は絶対に可能です。 日本には「不屈の力」があります。日本は「国内総生産1000兆円」を目指して、新産業を次々と興し、日本再建を進め、世界経済を牽引する使命を果たすべきです。(文責・小川俊介) 小学生のような答弁を繰り返す安住財務大臣――日本財政はギリシャ化しない! 2012.07.20 18日から参議院の社会保障と税の一体改革特別委員会で、消費税増税について厳しい追及が始まっています。 19日、消費税をめぐる参院の審議で、安住淳財務大臣が新聞の社説を根拠に増税の必要性を訴えました。(7/20 J-CAST 安住財務相「主要新聞社の社説がみんな『消費税上げろ』と言っている」⇒http://www.j-cast.com/2012/07/20140133.html) 野党議員が「現場の為替ディーラーが『今、消費税を上げる必要はない』と言っている。そのことが、なぜ軽んじられるのか」と安住氏を追及したのに対して、 安住大臣は「じゃあ逆に、日本の主要新聞社の社説を含めて論評は、なぜみんな『消費税上げろ』と言うのか。そういう世論は大きいのではないか」 「新聞社だって、商売を考えたら反対(主張)でやった方が売れるかも知れないのに、しっかりそこは消費税上げて(民主、自民、公明)3党でやるべきだという社説がある」と反論しました。 結局、安住大臣は「新聞の社説に書いてあるから」という小学生のような回答しかできませんでした。「無能大臣、ここに極まれり」です。 財務大臣自身が、財務省と癒着している大新聞の社説を信じて増税しようとしているのですから、全てが「茶番」だと言えます。 また、安住大臣は「今回の消費税率の引き上げは第一歩だ。その後、歳出の削減と税収を上げる努力をしていくが、それでも足らない分は、税の負担をどうお願いするか、設計を示さないといけない」と述べ、更なる消費税増税を目論んでいることを漏らしました。(7/20 NHK「財務相“消費税 再増税の検討も”」) 安住大臣は、もはや「財務官僚の言いなりのロボット」であることを自白したようなものです。 安住氏の持論は「(国の借金は)1000兆円を超える。このまま積み上げていけばギリシャのように生活や経済を直撃する」(1/12 記者会見)ですが、これは菅直人氏や野田首相が財務相時代に財務官僚に洗脳されたのと同じロジックです。 実際には、ギリシャ危機は付加価値税(日本の消費税に相当)増税とバラマキ政策が元凶です。(6/21 フジサンケイビジネスアイ「ギリシャ化の始まりを告げる『消費増税採決』」⇒http://utun.jp/HG8) ギリシャは、付加価値税率を引き上げては年金など社会保障支出を増やし、バラマキ政策を行ってきました。その結果、2006年の増税以降、プラスだった経済成長率がマイナスに転じ、対外債務を増やしています。 また、イタリアが昨年9月に付加価値税の税率を引き上げて以降、同税の受取額は減少。4月末までの1年間の徴収額は2006年以降で最低に落ち込みました。(6/13 ブルームバーグ「イタリアの増税が裏目に、付加価値税収減少」) 結局、「消費税増税しなければギリシャ化する」のではなく、「消費税増税がギリシャ化を招く」のです。 また、野田首相や安住財務相や財務官僚が言う「財政破綻の危機」も完全な嘘であり、増税のためのロジックに過ぎません。 債券ファンド世界最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、日本が将来的に財政破綻する「確率はゼロに近い」とみています。(6/29 ブルームバーグ「PIMCO:財政破綻リスクほぼゼロ、円債に魅力」) ピムコジャパンの正直知哉氏は「政府は徴税権を持っているので、民間部門のバランスシート(資産・負債状況)も合わせて考えるべきだ」と指摘。日本には長年の経常黒字で積み上げた世界最大の対外純資産があるため、「将来的に経常赤字基調になってもバッファーがある」と説明しています。(同上) 世界的なベストセラーとなった『国家は破綻する』(ラインハート・ロゴフ著、日経BP社、2011年)によれば、いわゆる「デフォルト」や「ソブリンリスク」は「対外債務(外国に対する(多くは)外貨建ての借金)」が原因となって起こることが示されています。 日本は「財政赤字(大半が対内債務)」はあっても「対外債務国」ではなく、むしろ日本は21年連続で世界最大の対外純資産を持つ「債権大国」です。(5/22 読売「日本の対外純資産21年連続世界一」) 一方、ギリシャの対外債務は約4000億ユーロ(約41兆円)で、同国政府や銀行、企業が返済できるのはその一部のみです。(5/16 ブルームバーグ) すなわち、「財政赤字」ではなく、「対外債務」がギリシャ問題の本質であるにもかかわらず、「財政赤字はギリシャ化を招く。早急に増税すべき」と主張している政府やマスコミのロジックは間違っています。 日本の財政は改善の必要はありますが、危機的状況からは遠く、早急にギリシャ化することはあり得ません。今は増税ではなく、デフレ脱却、景気回復を優先すべきです。 デフレを深刻化させ、景気をどん底に突き落とす消費税増税は、ギリシャやイタリアのように、より一層、財政赤字を深刻化させる「最悪の選択」です。共に、消費税増税法案を廃案に追い込んで参りましょう!(文責・黒川白雲) 日米の「財政危機」に対する意識の違い――増税ではなく景気回復を! 2012.07.19 アメリカでは連邦政府の赤字と並んで、州政府の赤字も問題となっております。ただし、財政赤字の問題の取り扱われ方が日本とアメリカでは全く異なります。 アメリカでは財政危機の問題として挙げられているのが、年金と医療です。 7月18日付のフィナンシャル・タイムズ3面では、年金で約3兆ドル(約240兆円)、退職者向けの医療費で約1兆ドル(約80兆円)の赤字が発生していると出ています。 また、景気後退によって税収が減っていることが財政赤字の原因であると指摘しています。(tax revenues fell sharply as a result of the economic slump.) 日本でも、年金の積立金不足は450兆円、年金の支給額は2009年以降50兆円を超え、医療費も30兆円を超えていますが、年金や医療が財政を悪化させているという指摘をマスコミが行うことはあまりありません。 また、「そもそも何故、税収そのものが下がっているのか」ということを問題にする報道機関も皆無です。ほとんどのマスコミが「財政危機だから増税すべき」という単純な論調です。 しかし、日本でも、経済成長によって増税しなくても税収が増えていた時期があったことを忘れてはいけません。実際、過去の税収の推移をみれば、景気の動向と連動していることは一目瞭然です。 まず、景気回復が税収増につながった2003年から2007年の四年間を見てみましょう。2003年から2007年までの四年間、政府の税収は43.3兆円から51兆円にまで緩やかに回復しています。この四年間の経済成長率を見ると1.3%~2%のプラス成長が続いていました。 しかし、2008年のリーマンショックの影響で、GDP成長率はマイナス1%成長を記録。2008年度の税収は前の年から5兆円近く減少しました。 さらに翌年の2009年はGDP成長率がマイナス5%となり、税収はさらに5.4兆円減少し、38兆円にまで落ち込みました。(税収の推移⇒http://utun.jp/HG3、実質経済成長率の推移⇒http://utun.jp/HGm) 2007年に51兆円あった税収が、たった2年間で38兆円にまで減少してしまったのです。このような経過を見れば、税収を増やすためには景気の回復が一番であることが分かります。 しかし、政府は景気回復にはまったく取り組まず、増税ばかりを議論しています。それに対して、幸福実現党の政策は、まず初めに景気回復を取り上げています。 それでは、どのような政策で景気回復を実現すれば良いのでしょうか?経済学では当たり前のことですが、「金融緩和」と「公共投資」です。 金融緩和により、長年続いたデフレから脱却し、政府の投資によってGDPを増やしていくことが重要です。 デフレから脱却すれば、物の値段も上がりますが、給与も増えます。今年よりも来年、来年よりも再来年給与が増えていくことが分かれば、安心してお金を使うことができます。 さらに、デフレから脱却をするためには日本銀行が国債の買い入れを増やす必要があります。政府は日銀から調達した資金で老朽化したインフラを整備し、地震や津波などの災害対策に投資をしていくことができます。 政府がインフラ整備にお金を使えば、道路や橋の補修をした人たちの給与が増え、さらにお金が使われます。政府が投資をすることによって、投資した額以上に国民所得が増えることを「乗数効果」と言います。 最近の実証研究では、戦後の公共投資の乗数は1から1.4程度と言われていますが、筑波大学名誉教授の宍戸俊太郎氏のように、10年間で250兆円規模の公共投資を行った場合、GDPは874兆円に増加するという推計を出している学者もいます。(藤井聡『救国のレジリエンス』p.165) 経済の語源は「経世済民」「国を治め、民を救う」です。 現在、政府が行っている経済政策は「経済」政策の名に値しません。本来の「経済」政策に立ち戻るためにも、増税ではなく景気回復に真正面から取り組むべきです。(文責・HS政経塾一期生 伊藤希望) デフレ脱却だけでは不十分?増税とエネルギー問題が日本経済に及ぼす影響 2012.07.18 今回は、増税とエネルギー問題を題材にしながら、デフレ脱却を再考します。 学習院大学の岩田規久男教授の著書『インフレとデフレ』に従えば、日本経済の1980年から1990年までの10年間の平均インフレ率は2.6%、91年から01年は0.7%、02年から07年は-0.2%、08年から11年は-0.3%となっています。 アメリカやイギリスなどの主要先進国でも1980年代以降はインフレ率の低下=ディスインフレ傾向ですが、日本の水準は際立っていることが分かります。 特に、岩田教授が主張している論点は、08年のリーマンショック以降、先進国でデフレなのは日本だけだということ。 ショックの震源地であるアメリカは、08年から11年までの平均インフレ率は2%です。つまり、日本のデフレは政策に問題があるということです。 物価水準の操作は、基本的に日本銀行(以後日銀)が担当します。2月に事実上のインフレ目標導入を決定した日銀が発表した「中長期的な物価安定の目途について」にも、「物価の安定を図ることを通じて、国民経済の健全な発展に資すること」を基本理念とすることが書かれています。⇒http://goo.gl/gZ3ld 日銀は、消費者物価指数の上昇率を当面は1%を目途としており、長期国債購入基金の積み増しを行いました。 過去の日銀の姿勢からは半歩前進とはいえ、まだまだ本格的なデフレ脱却からは遠い点を、私の論考の中でも数回紹介しています。⇒日銀の金融政策「据え置き」では不十分 そこで、最近話題になっている増税とエネルギー問題を絡め、これまで考慮されていない「デフレの脱却」の論点をあげておきましょう。 基本路線は、日銀の金融政策と財政出動によるポリシーミックス(政策の組み合わせ)です。経済が順調に拡大し、物価も少しずつ上がっていく限り問題はありません。雇用が創出され、成長率が高まれば、デフレ脱却と成長の実現により、国民の生活は楽になります。 しかしながら、一般物価指数は政策以外の要因によっても変動します。 例えば、資源価格高騰がインフレにつながるケースです。 わが国では、1970年代に二度のオイルショックがありました。中東の産油国で形成されるOPEC(石油輸出国機構)が石油の輸出を全面的に停止したことが原因で起こったインフレは、庶民の生活に大きな影響を与えました。 その後、産油国の意図的な原油価格つり上げは起こりにくくなりましたが、中東では紛争や戦争が起こる可能性が高いのは否定できません。 仮にホルムズ海峡で問題が起きた場合、わが国は石油の輸入に四苦八苦することになるでしょう。その結果、原油価格高騰による電気代負担の上昇だけではなく一般物価水準も上昇する可能性があります。 資源を輸入に頼っているわが国は、資源価格の変動に脆弱であるということを再認識するべきです。 さらに問題なのは、インフレが不況時に起こるケースです。最悪の場合、インフレと不況が同時に襲うスタグフレーションが再来する可能性があること。 その結果としてデフレが脱却できたとしても、失業率の増大や成長率の低下という高い代償を払わなければなりません。 もう一つが、野田首相が政治生命をかけて取り組んでいる消費税増税問題です。 増税をすることで、短期的には物価が上昇します。例えば、2014年に8%へ、2015年には10%へと上がることによって、一般物価も1%以上上昇したならば、日銀は労せず中長期的な目途を達成したことになります(あくまでも仮定の話)。 ただし、この議論に足りないのは、増税による消費や投資の落ち込みによる成長率の低下によって、再びデフレとなることを想定していないことです。 1997年4月に消費税が3%から5%に上がった後に何が起きたかを考えれば、増税がもたらす効果は明らかでしょう。 「デフレの脱却」だけでは、論点はいくらでもとれるので、やはり、高い成長と雇用の創出を最優先し、その結果としてデフレ脱却ができるとした方がよいでしょう。 さもなければ、予期せぬ短期的なインフレが生じた場合、「インフレを抑制するために増税をして財政再建をするべき」という論点が出てくる可能さえあるからです。 日銀は、インフレ懸念があるだけでも金融引き締めに入ります。そうすれば、日本経済は一層冷え込むことになります。 幸福実現党は、日本経済がさらなる長期不況に突入しないためにも、増税ストップと原発の再稼働などを通じてエネルギーの安定供給を継続して主張していきたいと考えます。(文責・中野雄太) 「国難」の元凶――財務官僚、マスコミによる国家支配を許すな! 2012.07.10 消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革法案の審議が、11日から参議院で始まります。また、消費税増税に反対し民主党を離れた小沢新党は、同じく11日設立総会を開催し、重点政策を公表する予定です。 NHK世論調査では、小沢氏が11日に結成予定の「新党に期待できるか」との問いに、大いに期待6%、ある程度期待18%、余り期待せず25%、全く期待せず45%との結果が出ています。 小沢新党に対する国民の期待が少ない、さらに嫌悪する原因として、マスコミ報道も原因の一つと考えられますが、集散離合を繰り返す「壊し屋」小沢氏の究極の目的が何であるのか、理解できないことも一因です。 かつて同志であった小池百合子衆議院議員は「小沢氏の政治行動の基準は、わずか2枚のカードに集約される」と分析しています。(「小沢一郎研究」新潮45,2010/04) それは「理念カード(政策原理主義)」と「政局カード(政局原理主義)」の二つのカードです。「政局カード」は、政策論をかなぐり捨ててでも、目先の選挙にとにかく勝つためのものであります。 今回は「消費税増税は、民主党のマニフェスト違反」「国民の生活第一」の理念に戻るという「理念カード」を切っているようです。 「理念カード」が手詰まりになれば、「政局カード」を切り、それも難しくなると、改めて「理念カード」に戻る。このカードマジックを何度も繰り返すといいます。 この「ご都合主義」とも取れる小沢氏の政治手法に、国民は一定の不信感を抱いていると言えます。 究極の目的が何であるのか理解できないと言われる小沢氏ですが、2010年9月菅氏と争った民主党代表選での決意表明で、小沢氏は「官僚政治を打破し、政策決定を政治家の手に取り戻さねばならない」と珍しく鮮明な主張を行なっています。 小沢氏は「官僚支配の打破」「政党中心の政治」にあり、小沢氏は「野田官僚傀儡政権」の背後に存在する日本の「官僚支配」と戦う信念は残っているのでしょう。 民主党は「脱官僚」「政治主導」を掲げていますが、実際には、野田首相が財務省の勝事務次官の「操り人形」になっていることから明らかなように、単なる「官僚依存政権」に陥っています。 消費税増税反対を貫く小沢氏に対し、消費税増税法案の衆議院採決直前に『週刊文春』がろくに裏付け取材もせず、小沢氏の妻の手紙を報道し、小沢氏にダメージを与えました。 今回の『週刊文春』の報道があまりにも絶妙なタイミングであったことから、財務官僚の関与を見る向きも強くあります。(小沢氏の事務所は「全くのでたらめ」と内容を全面否定。) 日下公人氏は「(既成権力者の)中心は紛れもなく財務官僚、マスコミ、そして御用学者であり、この三つの「既成権力者」がこの日本の国難を作りだしている張本人である」と述べています。(『日本既成権力者の崩壊』ビジネス社、2/7発刊⇒http://goo.gl/kGp1q) 消費税増税でも一体となって「反増税勢力潰し」に暗躍している「財務官僚―マスコミ―御用学者」という「暗黒のトライアングル」による日本破壊工作が進んでいるのが現状です。 日本国憲法前文には「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」とあります。 財務官僚とマスコミとが一体となって国政を牛耳っている現状は、明らかに「国民主権」を踏みにじる「違憲状態」であります。 「消費税増税」によって、更なる権限と利権拡大を狙う財務官僚の横暴を断じて許してはなりません! 参議院は、党派党略を超えて、良識の府としての本来の使命を果たして頂きたい。 幸福実現党も一貫して主張しておりますが、今は、増税でなく、経済成長による税収増を図るべし。消費税増税は行ってはならないことを国民に説明し、消費税増税関連法案を廃案にし、主権を財務官僚から国民に取り戻すことこそ参議院の使命です。(文責・加納有輝彦) 国民の信なく増税するのは合法的略奪。今こそ減税路線への転換を 2012.06.27 6月26日、消費税増税法案が衆議院で賛成363、反対96で可決されました。民主党の造反議員は57名出たことがメディアを賑わせていますが、大事な論点は他にあります。 問題とするべきは、衆院で363の賛成を得たということです。衆議院議員の三分の二以上を超える76%(公職選挙法に規定では、衆院の定数は小選挙区300、比例180の合計480議席)の可決を得たということは、このままでは、参院で否決されても衆院で再議決となる可能が高いことを意味します。 つまり、消費税法案を廃案に追い込むには、総選挙によって廃案に追い込む以外に選択肢がなくなってきたことを意味します。 今後の政局が流動的なため、消費税増税法案を廃案にする可能性はゼロではありませんが、状況は厳しいことには変わりありません。 現職の衆議院議員の四分の三が増税だということより、今後の日本は、一層の政府の肥大化と重税国家へと道を歩むことになります。そこで、以下の論点が参考にしながら、今後の方向性を考えてみたいと思います。 【論点1】賛成票を投じた議員は合法的略奪に加担している 日本国憲法30条では、納税は国民の義務となっています。しかし、財政学では「承諾説」と呼ばれる考え方があります。つまり、国民が選挙を通じて増税に賛成をすれば増税は可能です。 逆に言えば国民が承諾していない増税には正当性がないことを意味します。モンテスキューの『法の精神』の民主制は、この立場です。 承諾なしの増税は、国民から略奪することを意味するのです。ましてや、各種世論調査では、消費税増税反対は6割から7割もある中での増税ですから、現在の国会議員の多くは「合法的略奪者」です。 【論点2】能力のないものに税を渡してはならない 1989年の消費税導入、1997年の消費税増税を見て、一般会計の税収は下がり続けました。増税をしても、税収が上がらなかった証拠です。特に、1997年の消費税増税以降は失業率や自殺率の上昇がみられています。 また、毎年1.3兆円規模で肥大化する社会保障には、現在でも7割もの税金が投入されています(拙著『日本経済再建宣言』第三章参照)。まず実行するべきは、社会保障の「選択と集中」と呼ばれる改革であったはずです。 改革を無視して増税だけが先行し、具体的な制度改革は先送り。負担だけが課されることが決定したわけです。 増税は、景気を冷え込ませるだけではなく、政府の肥大化をもたらします。政府が有能であれば、国民は喜んで税金を差し出すでしょうが、古今東西の歴史でそのような例を見つけることはできません。 むしろ、税金は略奪の象徴です。為政者が国民だけに負担を押し付けるということは、過酷な税と労働を強いた独裁制や専制政治と本質的になんら変わりありません。 要するに、「能力のない者に税金を預けてはいけない」のです。 役人や政治家、関連団体に湯水のように使われるだけです。その意味では、増税により社会保障が充実する保証はどこにもありません。そこで財源が不足してきたら所得税や相続税、場合によっては資産課税も視野に入れた増税が待っています。 つまり、消費税増税は序の口で、今後もさらなる増税が待っているのです。日本は既に重税国家です(国と地方を合わせた税金の種類は68もある。『増税亡国論』参照)。 【論点3】今、減税を必要とする理由 減税とは、税率を下げることだけを指すのではありません。税制をシンプルにすることと不要な税金を排除することも含まれます。 税率の低下、不要な税金の撤廃、税制のスリム化は、国民の自由領域を拡大させます。可処分所得を増やし、消費や投資を活性化させます。同時に、外国からの投資を招き寄せることもでき、日本経済がさらに発展することも視野に入ります。 ロシア経済の復活は、天然ガスの資源が取れるようになったと同時に、フラット税の導入が成功したことは特筆すべきでしょう(『増税が国を滅ぼす』B・アーサー他著参照)。 翻って、現在の日本では、政治家と官僚、マスコミによる「増税翼賛会」が「大きな政府」「複雑で高い税金」を志向していることがはっきりしました。 デフレ不況で苦しんでいる日本経済で、さらなる税負担の増加は自殺行為であり、歴史の汚点として残ることでしょう。 だからこそ今、減税路線=小さな政府への移行こそが日本経済を再建するキーワードとなるのです。民主党と自民党の二大政党が大きな政府志向である以上、トレンドの変換は必要不可欠です。 幸福実現党の経済政策で、既存政党と差別化できるのが「小さな政府」を本気で求めている点です。今後も、方向性は変わることなく、むしろ強まることになるでしょう。幸福実現党は減税路線を追求する政党なのです。(文責・中野雄太) 国民不在の「悪徳代官談合政治」を断固許すまじ!~消費税増税関連法案可決の不当性を告発する~ 2012.06.26 26日、衆院本会議に緊急上程された消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案は、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決され、同法案は参院に送付されました。(6/26 産経「小沢、鳩山氏ら民主57人が反対票 消費税法案が可決」⇒http://goo.gl/SV0d4) 採決における大量の造反者に加え、自民党の揺さぶりもあり、このまま混乱が続き、参院で採決が先送りされ、継続の手続きもせず会期末を迎えれば、法案は廃案になる可能性もあります。(6/26 朝日「消費増税法案の成立に不透明感」⇒http://goo.gl/ARrcb) 幸福実現党は立党以来、「長引くデフレ経済下にあって、増税は愚策の極みでしかない。消費増税が、消費の停滞やさらなる景気悪化を招き、失業者や企業倒産の増加、そして税収減をもたらすことは明らかである」と消費税増税に断固反対して参りました。 そして、消費税増税法案成立阻止に向け、全国各地で増税反対デモ、街宣活動、署名活動、チラシ配布等を熱心に行なって参りました。 また、納税者たる国民に信を問う手続きを欠いたまま、消費増税に突き進むことは、「課税権の乱用」そのものであり、議会制民主主義の本旨を完全に逸脱するものであることを指摘して参りました。(6/17 「消費増税に関する3党合意を受けて」⇒http://goo.gl/3UvK4) しかし、三党修正合意そして採決に至る過程において、マスコミ報道はもっぱら小沢グループの離反、新党結成等の政局に終始し、消費税そのものの問題点に関しては、国会においてそれなりの議論はされていたにも関らず無視されてきました。 まるで国民は目隠しされ、情報を与えられず消費税増税を問答無用で押し付けられたと言っても過言ではありません。政府与野党・官僚・マスコミ等増税翼賛体制による「談合政治」と言われる所以です。 今回の採決を受け、河村名古屋市長は、悪代官さながらの「残酷な政治」と評しましたが、大川隆法幸福実現党名誉総裁は、既に本年1月の段階で、民主党の増税一辺倒の政策を評し「民主政治ならぬ『悪徳代官談合政治』である」と断罪しています。(『もしケインズなら日本経済をどうするか』「まえがき」) まさしく三党修正合意から採決に至る過程は、国民不在の「悪徳代官談合政治」がその本質です。 報道管制が敷かれたかの如く、国民に隠ぺいされてきた消費税増税の持つ問題点を、幸福実現党は告発し続けてまいりましたが、今一度指摘し、参議院での否決、廃案を目指し、世論を喚起したいと考えます。 消費税を増税しても、全体の税収は上がるとは限りません。実際、消費税を5%に引き上げた1997年には53.9兆円あった税収が、今では42兆円と10兆円以上減少しています。(財務省「一般会計税収の推移」⇒http://goo.gl/48dsq) この歴史的事実は、国会質問でも何度も取り上げられましたが、政府は「リーマンショック、欧州ソブリン危機等の要因もあり、消費税との因果関係は必ずしも明確でない」「消費増税したから税収が減少したとは言えない」との強弁を繰り返すのみです。 野田首相は参院予算委員会集中審議で、消費増税が経済に与える影響に関し、「将来への不安をなくしていくことで消費や経済を活性化させる要素もある」と「増税による経済成長」の可能性を示唆しましたが、恒常的な増税(=恒常的な所得の減少)が消費を減らすことは経済学の常識です。 また、消費税増税は国民の命をも奪う凶器でもあります。実際、自殺者の数は1997年、23,000人台でありましたが、消費税増税後の翌98年には一気に31,000人台に跳ね上がりました。特に自営業者やサラリーマン、無職者の自殺が増えました。(「自殺者数の年度推移」⇒http://goo.gl/UR8h) まさしく、消費税は「国税」ならぬ「酷税」であり、増税は国民の経済的自由を束縛し、ひいては国民を政府の奴隷にするための「隷属への道」であります。 幸福実現党は、引き続き、国民が承諾を与えていない「消費税増税法案」成立を断固阻止すべく、正論をまっしぐらに主張し、真なる国民の幸福増進のために戦って参ります。(文責・加納有輝彦) 増税ではなく税収増につながる経済成長戦略を――未来産業、ロボット産業に積極投資せよ! 2012.06.25 台湾の中央気象局からの受注で、スーパーコンピューター「京」の商用機が初めて輸出されることになりました。(6/24 日経「スパコン『京』、富士通が初輸出 台湾に商用機」⇒http://goo.gl/s4kzu) 計算速度の性能ランキングでは世界一の座から転落したスパコン「京」ですが、ITを用いた日本の防災ノウハウも含め、日本の技術への期待は相変わらず高いようです。 開発メーカーの富士通によれば、スパコン事業の売上高は年200億円程度で、2015年には約1000億円になることを見込んでいるそうです。 高度なシミュレーション精度や解析計算速度を持つスパコン「京」は、製薬会社や大学による抗がん剤開発や、精密な気象や地震・津波影響予測など、幅広い分野での活用が進んでいます。 「京」は約1000億円の国費を投じ、国が主導して開発しました。事業仕分けで話題になりましたが、優れたスパコンが開発されれば、様々な産業の活性化や防災に役立つため、その経済効果や国民の生活・安全性への貢献は計り知れません。 新産業の創出や新技術開発には、莫大な初期投資が必要となります。これを一企業だけで賄うのは難しいため、どの分野に投資すべきか、国家の長期戦略とビジョンが求められます。 例えば、ロボット産業は、2025年には約8億円程度の市場規模が見込まれている有力な分野の一つです。日本は、産業用ロボットでは既に生産・稼動台数ともに世界一のロボット大国で、特に生産台数においては世界の7割程度を占めています。 しかしながら、産業用ロボット以外の分野では、必ずしも技術力、競争力が高いとは言えません。 日本ロボット工業会は「我が国のロボット分野の国際競争力を商品化レベルから見た場合、製造業分野で競争力が高いことから総じて『ロボット技術力』も高く、競争力があると思われがちであるが、原子力、宇宙、海洋、災害対応、医療・福祉などの非製造業分野は、欧米と比較して必ずしも高くはない」という報告書をまとめています。⇒http://goo.gl/Dq2LM 実際、東日本大震災で被災し、放射能汚染を起こした福島原発では、放射線を浴びたがれきを運び出したり、内部の様子を調査したりするなど、災害ロボットの活躍が報じられました。しかし、日本製は1台のみでほとんどが欧米製でした。 アメリカではロボットは軍需産業の一つとみなされ、ロボット開発費には多額の軍事予算が付き、特殊なロボットを開発するための環境が整っています。 米国防高等研究計画局(DARPA)は、軍隊使用のための新技術開発および研究を行うアメリカ国防総省の機関ですが、アメリカ国防総省の科学技術開発費の25%を予算の上限とし、自由な研究を行うことができます。 来年度予算は28億ドル(約2240億円)に及び、その内、二足歩行ロボットを兵士の代理(アバター)として行動させる「アバタープロジェクト」に700万ドル(約5.6億円)が割り当てられるとのことです。(2/20 産経「人間代用ロボ 米軍が開発へ」⇒http://goo.gl/G0Gc1) 一方、日本では多額の予算がロボット開発に付くことはまれです。 99年に東海村JCO臨界事故が起きた際、事故対策用ロボット開発のため約30億円の予算が投じられましたが、半年の突貫工事で開発されたロボットは「現時点では現場投入できない」「原子炉で事故は起きない」等の理由で不採用となり、1年の短期間で国家予算の投入が打ち切られてしまいました。 そのため、開発が不十分で今回の原発事故でも採用されず、結局ムダな投資となってしまいました。中途半端で戦略のない投資は、あまり意味がありません。 産業用ロボットは、ロボット産業界が自動車工業や電子工業からのニーズに応え、そのニーズに特化した製品を生み出し、好景気の時期とも相まって普及が進みました。 一方、日本のロボット産業の競争力が弱い、災害対応、医療・福祉などの非製造業分野は、短期的に見れば採算が合わない分野であることは確かです。しかし、そうした分野こそ、今後、大きなニーズが見込まれます。 既に、リハビリ支援のロボットや、病院内で物品を搬送するロボット、手術支援ロボット等の開発がなされています。特に介護、医療分野は、安全性の向上、使いやすさなどにおいて、より一層の技術開発が望まれます。 また、産業として成立させるためには、コスト削減のための研究も必要です。国家として「ロボット産業に投資し、次世代ロボットの分野でも世界一になろう」といった方針を出し、大規模かつ長期的な投資をすることで、産業化が進むことが期待されます。 他にも、航空・宇宙産業、交通インフラ、新エネルギー開発、食料増産、軍事など、投資価値の高い、有力な分野はたくさんあります。 少なめに見積もっても、日本のデフレギャップは約20兆円あると言われています。デフレ期で民間が投資を渋る今こそ、国家が未来産業や新技術開発に積極的に投資すべきです。 先般、メキシコで開催されたG20首脳会合のメインテーマが「強固でバランスの取れた成長」であったにも拘わらず、野田首相の意見表明は増税一本槍で成長戦略に乏しく、各国との落差が目立ちました。(6/20 東京「成長戦略の弱さ露呈 首相のG20意見表明」⇒http://goo.gl/BGr5t) 野田首相は「増税」という、政府にとって何の努力も工夫も要らない政策に政治生命をかけるのではなく、「力強い経済成長は可能である」と断言し、明るい未来ビジョン、夢のある政策を打ち出すべきです。(HS政経塾 部長代理 小川佳世子) 世界中に蔓延する緊縮財政トレンドに、日本は乗るべきではない!今必要なのは繁栄のビジョン 2012.06.20 6月17日のギリシャ議会再選挙が終わり、ギリシャ国民はユーロ残留と緊縮財政を受け入れる結果となりました。 しかしながら、緊縮財政派の新民主主義党(ND)が第一党になったとはいえ、NDの得票率が29.65%に対して、緊縮財政反対派の急進左派連合(SYRIZA)は26.88%と、僅差であったことは特筆に値します。 年金削減と増税は厳しい選択ですが、それ以上にギリシャ国民がユーロ離脱によるデメリットを恐れたということでしょう。 欧州ではギリシャに限らずイタリヤやスペイン、ポルトガルが財政危機に直面しており、緊縮財政が主流を占めています。対外債務がデフォルトすることを回避し、ユーロの安定を狙っているのがユーロ圏首脳陣の考えです。 これに対して、コロンビア大学のスティグリッツやプリンストン大学のクルーグマン両教授のようなノーベル経済学者は、積極財政や金融緩和を主張しています。 さらに、リーマンショックを的確に予測して有名となったニューヨーク大学のルービニ教授はユーロ離脱を公然と主張しており、欧米の経済誌などでも同じ論調が出始めています。 ユーロ離脱は別にして、緊縮財政が世界的に幅を利かせている現実は無視できません。なぜなら、世界の政府首脳やIMFのエコノミストたちには緊縮財政を主張することが多いからです。 最近こそ、IMFのラガルド専務理事とチーフエコノミストのブランシャール氏は性急な緊縮財政を戒めているとはいえ、経済危機に陥った国に対する支援の見返りに緊縮財政を押し付ける姿勢は変わっていません。 例えば、ギリシャ支援でもIMF、欧州中央銀行(ECB)、EUは「トロイカ体制」と呼ばれていますが、ギリシャ支援の条件は厳しい歳出削減と増税の要求です。 これは今に始まったことではなく、97年の通貨危機に陥ったタイやインドネシア、韓国、ロシアに対しても同様の条件が要求されました。 緊縮財政論者は、がん細胞を除去することで病状が改善することをイメージしているのかもしれません。 そして、エコノミストだけではなく、政治家が緊縮財政を主張するときは、道徳的な観点から「赤字はよくない」「借金は返済するべきだ」という視点が強く、正義感に基づいて主張されているのでしょう。 日本でも、自民党議員や保守系の論客からは「消費税増税を国民に訴えることが、政治家としての責務」ということを主張している方がいます。 国民が嫌がることでも、「正しい」と思ったことは断固やり抜くことを言いたいのでしょうが、増税だけを行った場合の経済に対する負の効果が全く視点が抜け落ちており、責任ある主張だと言いかねます。 現在の不況と累積債務問題は、マクロ経済学の常識に従って行動するのが筋です。現代のマクロ経済学の基本に従えば、不況克服には減税や政府による財政出動、日銀による金融緩和の組み合わせが妥当です。 最近出版されたクルーグマンの最新刊『End This Depression Now!』(未邦訳。「この不況を止めよ!」という意味)では、不況期に緊縮財政を進める愚かさと積極的なマクロ経済政策を発動することを主張しています。 日本では原発の安全性確保から始まり、将来的な防衛産業や交通インフラ、海底資源の有効利用など、将来的に富を生み出す投資はまだまだ少ないと言わざるを得ません。 さらに言えば、投資を有効的にするためにも、従来の公共事業にも民間資金を利用して施設整備や公共サービスを行うPFI(民間資金等活用事業)や従来の公的サービスを民間業者が行って公民の連携を進めるPPPを導入し、行政コスト削減と民間の活性化を同時に進める行政手法を取り入れていくことも可能なのです。 その意味で、従来の土建型公共事業ではなく、民間資本を活用する公共事業へとシフトすることで、財政政策の効果もあがることでしょう。 日本では、消費税増税に向けて民主党と自民党、そして公明党が協議を終え、いよいよ法案可決に向けて動き出します。ここにきて反対を表明する議員が出てきたことは良いとしても、経済成長に向けての具体策は何もないことは心もとない限りです。 幸福実現党は、「下山の思想」のような悲観論を打破し、「日本経済再建」宣言をしています。そして、ヒト・モノ・カネ・情報が日本に集まる世界一の経済大国を目指す中長期ビジョンを持っています。 今必要なのは、せこい緊縮財政路線ではなく、繁栄へのビジョンとそれを実現する行動力と勇気なのです。(文責・中野雄太) 消費税大増税に向けた「平成の大政翼賛会」――無責任「談合政治」を終わらせよ! 2012.06.16 6月15日、民自公による「社会保障と税の一体改革関連法案」の修正協議が合意されました。今後、民主党内の合意調整や、反対する小沢グループなどの造反も予想されていますが、6月21日には衆院で採決される見込みです。(6/16 時事⇒http://goo.gl/ZdW3p) 野田首相が「政治生命を賭ける」と気勢を上げ、なりふり構わず民主党のマニフェストを撤回し、自民党法案を丸呑みし、消費増税(2014年4月8%、2015年10月10%)だけが決定しました。 社会保障の中身については「国民会議」に先送りされ、何ら決まっていない状態となり、政権与党としての責任は全く果たしていません。要は、増税を先行しただけのことです。 朝日新聞社が4、5日に実施した全国緊急世論調査によると、消費増税法案を「今国会で成立させるべきだ」という人は17%にとどまり、「成立にこだわるべきではない」という人は72%に達しています。(6/5 朝日「消費増税法案『今国会成立を』17%」⇒http://goo.gl/4f4ds) 膨大な時間と歳費が無駄に浪費された「空騒ぎ国会」「密室談合政治」に、国民も呆れ果てています。 「決められない国会」と批判されていますが、「政治の空白」という以上に、「政治の不存在」とも言うべき状況に危機感を感じます。 幸福実現党は、立党以来、再三に亘り、「増税しても、必ずしも税収は増えない」ことを繰り返し訴えて来ました。年金も、社会保障も、税金が増えなければ破綻します。 それを実現する力は「経済成長」しかありません。経済学では、増税がデフレを招き、経済成長の足枷となります。 衆議院「社会保障と税の一体改革に関する特別委員会」中央公聴会においても、各界代表より意見陳述として、「景気対策の実施」「経済成長こそ重要」であることが指摘されています。(6/13 NHK⇒http://goo.gl/svmPc) そもそも、「消費税10%」では社会保障制度を維持することが出来ないことを自民党も民主党も想定しています。今後、さらなる増税に向けた大連立も検討されています。(6/15 時事「衆院選後に大連立も」⇒http://goo.gl/O9I8R) まさに、消費税大増税に向けた「平成の大政翼賛会」が形成されているのです。 最も重要なことは「景気対策」「経済成長」であるにもかかわらず、何ら国会において議案として議論されていません。(衆議院第180国会 議案一覧⇒http://goo.gl/BQnD) 唯一、景気対策として自民党が衆議院に提出した「国土強靱化基本法案」も必要ではありますが、震災復興の大義を借りた利益誘導型公共事業の感が強く、談合や汚職を背景に財政赤字を肥大化させてきた古い政治を想起させるのは、私だけでしょうか。 今後必要なことは「GDP世界2位を中国から奪還する」日本の未来に向けたグランドデザイン・国家戦略を持ち、本気の経済成長を実現することです。 具体的には、国際競争力の中で日本の経済成長を実現するための新基幹産業への投資(⇒http://goo.gl/ybqF2)、1200兆円規模の市場となる世界のインフラ事業の開拓(⇒http://goo.gl/3UhZP)や、世界市場での勝敗を決する国際標準獲得に向けた取り組み(⇒http://goo.gl/wia2D)等、未来への挑戦を目指すべきです。 現在の日本は「決められない政治」の果てに、幕末の幕府そのものとなりつつあります。 明治維新においては、欧米列強による植民地支配の危機(国防)、近代化を押し進める殖産興業(経済成長)、国際政治における厳しい外交交渉を決断する政治(国家主権)こそが求められました。 このような国難の時代認識に立つならば、既成政党による談合政治を一掃して、未来を切り拓く「真なる政治」を実現しなければなりません。惰性や過去の延長線上に、日本の未来を築くことは出来ません。 今こそ、無責任な政治家の総退陣を求める「ファイナル・ジャッジメント」を既成政党に突きつけ、新しい政治を実現していく必要があります!日本国民の皆様、共に立ち上がろうではありませんか!(文責・小川俊介) すべてを表示する « Previous 1 … 24 25 26 27 28 … 33 Next »