Home/ 財政・税制 財政・税制 21世紀のニューフロンティア政策―宇宙開発への挑戦 2013.11.25 ■ケネディ大統領の「ニューフロンティア政策」 昨今の大きな話題の1つとして、「アメリカの王室」とも言われるケネディ家のキャロライン・ケネディ氏が新駐日大使として日本に赴任することになったことが挙げられると思います。 日本とアメリカの外交的紐帯を強める大きなチャンスとして、日米双方から大きな期待の声が寄せられています。 そして、キャロライン氏が来日した今月15日から1週間後の先日22日は、キャロライン氏の父親であるJ.F. ケネディ大統領が暗殺されてから50周年という節目の日でもありました。 ケネディ大統領はアメリカの歴代大統領の中でも、アメリカ国民からの人気が特に高く、その若きカリスマの死を惜しむ声が未だに絶えません。 ケネディ大統領の功績としては、ソ連との核戦争の危機(いわゆるキューバ危機)を平和裏に解決したことや、マーティン・ルーサー・キング牧師などと協力し黒人差別撤廃のための公民権運動を強く支援したことなど様々挙げられます。 もう一つ代表的な功績として、アメリカの宇宙先進国化をその強いリーダ一シップによって牽引したことが挙げられます。 ケネディ大統領が公約として打ち出した「ニューフロンティア政策」の柱の一つが「宇宙開発」であり、ソ連との宇宙開発競争で挫折感を抱えていたアメリカを鼓舞するためにケネディが掲げた国家プロジェクトこそが、月に人類を送り込むという「アポロ計画」でした。 暗殺によってアポロ計画による人類初の月面着陸の成功を見届けることはできませんでしたが、ケネディの大きな構想力とリーダーシップがなければ、人類は未だに月へ足を踏み入れていなかったかもしれません。 今、日本に必要なのは、このケネディの「ニューフロンティア精神」、新たなフロンティアとしての宇宙の開発を国家プロジェクトとして強力に推し進めることではないでしょうか。 ■日本の宇宙開発の現状 日本の宇宙産業市場は現在、約7兆円~8兆円と言われています。宇宙産業の内訳は主に4つに分類されます。 (1)宇宙機器産業(ロケットや衛星、地上設備など) (2)宇宙機器を利用した宇宙サービス産業(NHK、NTT、スカパーなど) (3)宇宙サービスを利用するための民生機器産業(衛星放送チューナーを搭載した液晶テレビ、GPSを利用したカーナビ及び携帯電話など) (4)自らの事業に宇宙サービス・民生機器を活用しているユーザー産業(農林水産業、新聞社、映画館、資源開発など)です。(JAXA産業連携センター) このうち中核をなすのが(1)の宇宙機器産業であり、日本では市場規模約2600億円程度ですが、一方で、アメリカは約4兆円、欧州でも約9000億円と、日本は大きな差をつけられてしまっています。 これはひとえに、日本の政治家のリーダーシップの欠如と縮み思考が原因だと言えます。 実際、2008年に日本の宇宙開発の基本方針を定めた宇宙基本法が制定されてから、予算が増えるどころか、財源不足を理由に宇宙関連予算は年々減少を続けています。 限られた予算を奪い合いあっていては消耗戦になるということで、日本の宇宙産業に関わる民間企業の多くが外需の取り込みのために新興国市場に打って出ています。 実績も少しずつ出始めてはいますが、まだまだ米国・欧州が世界では大きなシェアを握っており、苦戦を強いられているのが現状です。 外需の拡大とともに、政府による研究開発予算の増加や、宇宙関連ビジネスの興隆などの内需の拡大を実現しなければ、日本の宇宙産業が国家を支える基幹産業へと成長することはありえません。 ■政治家は「21世紀のニューフロンティア政策」を打ち出せ しかし、悪いニュースばかりではありません。 最近では、日本のお家芸である固体燃料ロケットの最新機種であるイプシロン(試験機)の打ち上げ成功や、日本人宇宙飛行士の若田光一さんが日本人で初めてISS(国際宇宙ステーション)の船長に任命されるなど、日本の「宇宙力」への評価が世界でも高まってきています。 日本の喫緊の課題は、独自の「有人宇宙輸送システム(有人ロケット、有人宇宙船)」の獲得を成し遂げることです。 宇宙という目的地があっても、日本は宇宙に行く「船」を持っていません。他国の宇宙船に乗せてもらわざるを得なかったために、日本の宇宙開発の黎明期は、他国の事情に翻弄されてきたとも言えます。 しかし、日本は有人宇宙飛行を可能にする技術力をすでに持っています。日本が持つISSに物資を運ぶためのHTV(こうのとり)の技術などは、有人飛行技術の基礎となるものです。その他にも、日本には世界から認められている最高峰の技術が多々存在します。 最終的には、有人宇宙開発に挑戦するか否かは、国の判断、政治家の判断、そして強い意志にかかっています。 かつてのケネディ大統領のように、国家の安全と平和を守るために、そして国民に夢と希望を与えるために、宇宙開発の意義とビジョンを国民に真摯に語り、ニューフロンティアに挑戦する強い意志と決断力を有した政治家の出現が望まれているのです。 幸福実現党は「21世紀のニューフロンティア政策」で、「世界の宇宙開発を牽引する日本」を創ってまいります。(文責・HS政経塾2期生 鈴木純一郎) 政府活動の成果を明確にする公会計の役割 2013.11.03 ◇自由主義と無政府主義は同じではない 市場で供給できないサービスを公共財と呼びます。公共財は民間では代替できにくいと考えられているもので、司法制度や国防が代表的です。 自由主義陣営の中には、無政府主義という考え方がありますが、現代社会においては政府の完全否定は極端すぎると言えるでしょう。自由主義とは本来、無政府主義と必ずしも同じではありません。ノーベル経済学者であり、自由主義哲学の構築にも貢献したF・ハイエクでさえ、『法と立法と自由』の中で課税権の行使を認めています。ただし、公共財の提供者として政府が常に関わり続ける必要性はないというのが重要な論点です。 例えばハイエクは、中央銀行の民営化を提唱しました。貨幣の発行権を中央銀行が独占せず、民間の銀行にも発行させて競争させるメリットを説きました。幸福実現党もメガバンクからの紙幣発行を提言していますが、理論的な背景にはハイエクの思想があります。 最近では、公民連携(Public-Private Partnershipの頭文字をとってPPPとも呼ばれる)と呼ばれる行政手法が注目されています。つまり、役所の仕事を民間が代替することで自治体の行政コスト削減ができることを意味します。ハイエクの考えが、具体的な手法となった姿だと言えるでしょう(参考文献:O・ポーター著『自治体を民間が運営する都市』米国サンディー・スプリングスの衝撃)。 筆者が2月に参加したアジア・リバティーフォーラムの中でも、自由主義者の共通の理念は、私有財産の保証、市場メカニズム、そして限定的な政府活動Limited Government Activitiesだと教わりました。「経済学の父」と呼ばれたアダム・スミスの提唱した経済哲学も、ほぼ同じ内容です(スミスは分業と呼んでいたが、市場メカニズムにおける交換の利益と生産性向上を指す。『諸国民の富』参照)。 ◇政府の仕事に経営の発想を取り入れる よく「お役所仕事」と呼ばれる言葉は、行政の非効率性を表します。役所では予算をいかに使い切るかが課題で、余った場合は翌年の予算は切られます。決算期になると予算の費消が行われるのは、予算カットを恐れる役所の自己保身にあるわけです。 一方、民間では予算が余れば翌年に繰り越すなどして効率的な資金運用が前提とされます。企業は利益を出すことが最優先なので、予算を費消するインセンティブはありません(節税対策として意図的に赤字を作る企業は別)。 ◇行政の成果を表す公会計 経営とは、最小のコストとリスクで最大の利益をあげることです。税金を使用して公共サービスを提供する国家経営や地方自治体にも経営が必要なのは言うまでもありません。著名な経営コンサルタントとしてアメリカで活躍したP・ドラッカーも同じことを主張しています。そして、成果の貨幣的評価が会計なのです。会計とは、単なる数字の羅列や財務諸表の作成ではなく、資源を預かる者の成果を測る指標なのです。その意味では、企業会計の損益計算書にあたるものが公会計の成果報告書です。 行政コスト計算書も大事です。しかしながら、行政コストだけでは、行政の成果まで測ることはできません。行政の貨幣的成果とは、発生費用から受益者の負担などを差し引くことで求められます。両者が均衡していればサービスと費用は釣り合っています。受益者の負担以上に費用が高い場合は、経営に問題がある証拠です。費用の財源は税金なので、この値が大きければ「将来の税金」として増税される可能性が高くなります。 ◇会計の情報開示と国民の関心 公会計は、納税者に政府活動の会計情報を提供します。会計情報に基づいて首長や内閣総理大臣が納税者の負担を減らすことができたかどうかの成果を測る上では有益です。費用が増大した場合は、国民や市民に説明をしなければいけません。最初から増税を主張する経営者は、赤字を価格引き上げによって賄おうとするようなものです。民間では、そのような会社は倒産することになるでしょう。 17世紀の思想家であるモンテスキューは、「彼らは常に政府の窮乏について語り、われわれの窮乏についてはけっして語らない」と著書『法の精神』に記しました。しかしながら、現代では、有権者が正しい情報を目にすることなく、選挙のない時に増税が進行します。その根拠が「国の借金が1000兆円」とか「一人あたり800万円の借金」といって財政の窮乏を語って増税を正当化していますが、国民負担が増えることについては触れません。モンテスキューの指摘は現在でも当てはまっています。別の見方をすれば、国民が政府活動の成果に関心がないので、財政の窮乏は生活の悪化と思い込んでしまいます。つまり、財務省や増税派の政治家は、国民の無関心を利用しているわけです。 もし会計情報の浸透と国民の関心の高まりがあれば、政治家や役人が税金の無駄使いをすることが難しくなります。ましてや、増税などは主張できなくなるのです。 現在の公会計は、地方レベルで初歩的な導入が始まっています。市議や県議、知事を目指す方は、公会計とPPPの導入を公約としてもよいでしょう。いずれ政府にも適用しますが、まずは地方から実績をつくることも必要です。明治維新が地方から始まったように、改革は地方レベルから始まるかもしれません。幸福実現党としても、公会計とPPPは今後も研究を重ねて政策提言をしていく所存です。(文責:中野雄太) 真実の「公器」とは 2013.10.29 ◆連合の賃上げ交渉 労働組合の中央組織、連合は24日、2014年の春季労使交渉で全組合員の基本給を「定期昇給」の2%を確保したうえで、一律で1%以上引き上げるベースアップ(ベア)の実施を求めると決めました。(10/25 日経) 長引くデフレ経済のもと連合のベア統一要求は2009年以来5年ぶりとなります。25日付の日経はこのニュースを一面で取り上げました。 連合の決定を受け、自動車総連、電機連合もベアを要求する方向で検討しており、賃金交渉に影響力がある二大産業の労組がベア要求で足並みをそろえることとなりました。 古賀伸明連合会長は同日の会見で、「国民所得が向上しなくては、デフレから脱却できない。物価だけが上昇すれば、家計も社会も混乱する」とその理由を語りました。 ◆物価上昇率は2%という錯覚 日経の報道は、あたかも連合の5年ぶりのベア要求が、景気が全体として回復傾向にあることの証左であり、消費増税の決定は妥当なものだったと遠まわしに言っているかの印象も受けます。 しかし、政府の試算(内閣府年央試算H25.8.2)によりますと2014年度の消費者物価上昇率の見通しは前年比+3.3%です。(消費増税の影響含む) ゆえに例え春闘で3%の満額回答が得られたとしても、政府物価上昇見通し3.3%より少なく、雇用者の実質賃金は減少することになります。 連合が「2%の定期昇給+1%のベア=3%の賃金上昇」を掲げるのは、政府と日銀が「物価上昇率2%」というフレーズを繰り返してきたからです。 これによって国民の間に植え付けられた「物価上昇率は2%」という錯覚を利用する意図があるのかもしれません。(近藤駿介氏BLOGOS論考⇒http://blogos.com/article/72366/) 2%の「物価安定目標」は、消費増税の影響を除いたものです。実際は消費増税の影響を加味した「物価上昇率」となり、もっと高くなるはずです。 通常、増税分100%の価格転嫁は困難と言われていますが、「消費税転嫁対策特別措置法」により転嫁カルテル(価格協定)を結ぶ等の対策により消費増税の影響分だけで3%近くになる可能性もあります。 連合の要求内容は雇用者の報酬を引上げるものではなく、満額回答でも実質的に報酬減の可能性が高いのです。 ◆新聞社の不都合な事実隠蔽 安倍首相が、消費増税が許される条件として賃金アップを掲げていますが、連合のような強者ですら実質報酬減、ましてや十分な組合組織もない中小企業においてはさらなる報酬減となります。 大手新聞が、実質報酬減という事実を伏せ、ベースアップ要求のところだけ報道するとは、そこに恣意が働いているということではないでしょうか。 消費増税に賛成の立場の新聞社が、不都合な事実を隠蔽しているといわれてもいたしかたありません。 そもそも連合も消費増税には賛成の立場でした。ゆえに、実質的に報酬増が期待できないベースアップ要求をしたことは、国民生活を苦しめる増税に賛成した罪滅ぼし、アリバイ作りと勘ぐられてもこれまたいたしかたないと思います。 日本新聞協会は、「新聞の公共性」に鑑み、新聞は軽減税率を適用すべきであると主張していますが、公器にしてはあまりに恣意的報道が目立つと思われます。 消費税増税の問題点を一番報道すべき時、すなわち選挙前には「政局」一辺倒の報道に終始し、消費税の問題点には触れず、増税容認の立場の報道が目立ちました。 実質報酬が減になるレベルの連合のベースアップの要求を一面に掲載し、かつ報酬減の可能性については一切言及していません。 ◆真実の「公器」としての政党 それどころか5年ぶりのベースアップ要求をできたことが景気回復の証であるかのような報道姿勢に、新聞社としての公器たる資格はあるのでしょうか。 幸福実現党は、真実のマスコミの機能も果たしていかなければならないと考えております。真実の「公器」としての政党となるべく精進してまいります。 皆さまのご指導・ご支援をよろしく申し上げます。(文責・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦) 日本にもアメリカにも必要な「パラダイムシフト」 2013.10.28 ◆米国の政府閉鎖 今回はこの場をおかりして、私がHS政経塾の塾生として参加させていただきました10月6~13日のワシントン・ニューヨークへ視察研修に行って感じたことを報告させていただきたいと思います。 まず、このような素晴らしい研修の機会をお与えくださり、普段よりご支援くださる方々、また研修において大変お世話になった方々に心より感謝申し上げます。 ご存知のとおり、その期間はちょうどアメリカでは政府のシャットダウン(政府閉鎖)が起きていたわけですが、これはアメリカ議会で予算案が通らず招いたものです。 私達は幸いにもアメリカ議会の議事堂に見学に入ることができました。私の不十分な英語力ではありますが、共和党と民主党の両党議員のスピーチを聞いていると、当然のごとく「責任は共和党側にある」、「いや、民主党が悪い」など責任の押し付け合いをしていました。 しかし、その様子を聞いていると、議論というよりも、むしろパフォーマンスをしているような印象を受けました。議論を前進させ、シャットダウンを少しでも早く終わらせようとする雰囲気はそこには感じられませんでした。 恐らく、公開された議事堂の中ではなく、「私達には見えない場所」で事態打開に向けた動きがなされていたのだろうと思います。 アメリカの大統領は民主党のオバマ大統領で、アメリカ議会の上院は民主党が、下院は共和党がそれぞれ多数を占めており、今回のシャットダウンは共和党が多数を握る下院において予算案の合意が遅れたことによるものです。 ◆米国民の政治に対する不信 シャットダウンが終了した後に行われたアメリカCNNの世論調査によりますと、「共和党が下院の多数派を占める状態は米国にとって良くないことだと答えた人は54%」で、「昨年12月の調査に比べて11ポイント増加」しています。 「共和党のベイナー下院議長が辞任すべきだ」との回答は全体の63%、共和党員の中でも約半数に上っています。留任を望む声は全体の30%に過ぎませんでした。(10/22 CNN「米政府閉鎖解除後の世論調査、共和党に逆風」http://www.cnn.co.jp/usa/35038836.html ) このように共和党の議会運営に対して厳しい見方がなされているのと同時に、オバマ大統領の支持率も40%台は維持しているものの高くなく、連邦議会の支持率は12%と史上最低までもう一歩、不支持率は86%と史上最高に迫っており、連邦議会に対する支持そのものも非常に低く米国民の信頼を失っている状況です。 この政治に対する不信は、米国民の方々が、自分達の未来に対する希望を感じられないということを意味しているのではないでしょうか。 ◆米国に必要な「経済成長の構想」 ここで私はワシントンで私達政経塾生にご講義を賜りました、『月刊ザ・リバティ』でもおなじみの伊藤貫先生がおっしゃったことを思い出さずにはいられません。 伊藤貫先生は『自滅するアメリカ帝国 -日本よ独立せよ-』で次のように指摘されています。 「過去三十年間のアメリカの所得と資産の配分に異常な歪みが生じ、人口のトップ一%層に所得と資産が集中してきた。その一方、アメリカ国民のボトム四割の実質所得は低下し、中間層二割の国民の実質所得は停滞してきた。(中略)オバマ政権も金持ち優遇政策を続けており、二〇〇九~二〇一一年、米人口のトップ一%層に所得と資産が集中する現象は、ブッシュ(息子)政権時よりも激化している。」 つまり、オバマケア等の社会主義色のある政策を行い「大きな政府」的な政策を進める民主党政権も、ティーパーティ運動等に見られる「小さな政府」を推し進めようとする共和党も、結果として一部の層に所得と資産が集中してしまった点では共通しています。 意外にもオバマ政権の「金持ちに厳しく、弱者にやさしい」という左翼的に見えがちなところは、実はこれまでのところ、心ならずもかもしれませんが、見せかけ部分が存在したということだと思います。 そしてアメリカの共和党と民主党がそれぞれ共通して示すことができないでいるのは、「国民全体が豊かになる経済政策と、経済成長の構想」ではないかと思いますし、アメリカの政治も今苦しみの中にあることを感じました。 ◆最大多数の最大幸福 対して私たち幸福実現党は「最大多数の最大幸福」の追求という考え方を持っていますので、一部の特権階級のようなものができることを良いこととはしませんし、かといって、「魂の向上」という宗教的観点から「自助努力の精神」を大切にしています。 「結果の平等ではなく、機会の平等」を追求し、自由に競争するための「自由の領域」を大切にして、それぞれの個人の努力の結果に差がつくことを悪いこととはしません。ただ同時に、許容される貧富の格差には限度があることも事実です。 そして私は、幸福実現党がその宗教的価値観というベースから導き出された経済政策において「これまでに無かった新しい考え方」が示されているのだと思いますし、それこそが次世代をリードするものだと思っています。 ◆幸福実現党の政策と米国視察で感じたこと 例えば「消費税増税中止」「大胆な減税」「安い税金」など「小さな政府」を目指し「自由の領域の拡大」を追求ながらも、同時に「200兆円未来国家建設プラン」など、積極的な財政政策や「インフレ目標の設定」などの金融政策をかかげています。 これは、実は「矛盾するものではなく、それを統合した全く新しい考え方」であり、これこそがグローバル化した貨幣経済の中において日本が取るべき「次の考え方」なのではないかと感じています。 私達幸福実現党は「自助努力の精神」や「自由」を大切に考え「小さな政府」「安い税金」を目指すことや「強いアメリカ」であることを支持しており、日本においても「強い国防体制構築」を目指すなど、アメリカ共和党の政策に近い考えを持っています。 ただ米国視察で感じたのは、「完全に共和党的であるか」といえば、そういうわけでもなく、また逆に民主党の考えとは全く一致しないというわけでもないということでした。 幸福実現党は、共和党に近い考えを持ちながらも、新しい考え方を打ち出していると言えると思います。つまり、私たちの政策は、既存の何かに単純にカテゴライズできるものではなく、全く新しいパラダイムを提示しているのだと思います。 そしてこの「パラダイムシフト」こそ、今世界で待たれているものなのではないでしょうか。もちろん同じ価値観のベースから出される政策でも、国や地域によって違いは出ますので、幸福実現党が日本で掲げた政策を、そっくりそのまま他の国に持っていくことはできません。 しかし「新しい価値観や考え方」を提示しているからこそ、それを実現するための政党「幸福実現党」が必要なのです。この「価値観や考え方」を転換する運動であるがゆえの「産みの苦しみ」を突破したときに、日本の未来が拓けるのと同時に世界にその影響がおよび、アメリカの未来をも拓く力になるのではないかと思います。 ただ、アメリカでは、それこそ街を歩くだけでも感じることのできる「愛国心」や「国に対する誇り」をはじめとして、学ぶことも多くありますので、良い面には学び、日本からも新しい価値発信を行えれば、と感じた次第です。(文責:HS政経塾第2期生 曽我周作) 世界一の「おもてなし」精神で、日本に富を集めよう! 2013.10.26 ◆世界に誇る「おもてなし」精神で引き寄せた2020年の東京オリンピック 2020年の東京オリンピック招致のために、滝川クリステルさんが行ったフランス語スピーチの中で使われた「おもてなし」。2013年の流行語大賞の可能性も出ている言葉です。 スピーチでは「おもてなし」を、日本に深く根付いている見返りを求めないホスピタリティの精神であるとし、その例として、昨年3000万ドル(約30億円)が落し物として警察に届けられていたことを提示。東京で、もし外国の方がお金を落としたとしても、それらはほぼ確実に返ってくるでしょうと紹介しました。 私たち日本人でさえびっくりするような事実ですが、あらためて日本人のモラルの高さ、正直さ、清廉さを世界に知らせることができたすばらしい機会でした。 オリンピックが行われた国では、その後繁栄を引き寄せるか、衰退に進むか、明暗が分かれると言われます (The Liberty Web 「東京五輪決定で国運を占う – The Liberty Opinion 1」)。 日本は、この「おもてなし」精神を発揮して富を集めて東京を世界一の街とすることで、1964年の第一回東京五輪後の高度経済成長を超える、超高度経済成長を成し遂げなければなりません。 ◆「和食」や「富士山」などの素晴らしい材料に、「おもてなし」の心を添えて 10月22日には、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産の事前審査で、日本が提案していた「和食 日本人の伝統的な食文化」が記載にふさわしいと勧告を得ました。 また本年は、富士山も「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として、世界遺産に登録されています。 これらを含め、日本に多数ある素晴らしい自然や観光名所、歴史遺跡などの材料を基に「おもてなし」のこころで味付けをすることで、世界一の思い出を海外の方々にも持って帰ってもらうビジネスを発展させることが可能です。 例えば今、中国客の減少をASEANからの旅行客が埋めるようになってきています。その中で、新たなビザの緩和で期待されるのがマレーシアやインドネシア観光客です。 両国からの旅行客誘致の鍵はイスラム教徒への対応です。マレーシアの6割、インドネシアの9割がイスラム教徒であるため、宗教上、食事や礼拝の配慮が必要であるのです。 そのため、関西国際空港では豚肉やアルコールを使っていない食品表示を行ったり、祈祷室や礼拝前に体を清める小浄施設を設置しました。(週刊東洋経済 「おもてなしで稼ぐ」) 相手の宗教を重んじる「おもてなし」の心を実際に設備として現すことで、更に多くの利用客が関西国際空港を利用し、日本中を旅するようになるでしょう。 ◆喜んでお金を使ってもらえる環境整備を 「おもてなし」とは、真心から生まれる相手への想いやりが、相手に満足を超える感動を与えた時に生まれるものです。自分のために行うみせかけの行為からは決して生まれるものではありません。 2020年に日本に来た外国人から税金をたくさんとるために、2020年前に消費税を更に上げるべきだ、ということを提言している経済財政諮問会議の元民間議員の提言を読んだことがありますが、なんと貧乏くさく、けち臭い考え方でしょうか。私たちが大切にしている「おもてなし」精神の欠片も感じとれません。 例えば、JR九州が今月15日から運行をしている豪華寝台列車「ななつ星in九州」では日本初の陸のクルーズを楽しむことができます。湯布院や阿蘇で温泉や大自然を満喫することが可能です。 内装は、バーカウンターやピアノはもちろん、列車の一両を2室にした「DXスイート」、ヒノキ張りのシャワー室や人間国宝の手による洗面ボウルを備えるなど和を意識した内容で、外国人が憧れる美を体現しています。 更に、特定車両には専用の客室乗務員を配置してサービス向上を図るため、利用料金を現在の56万円から70万円台に引き上げることを決めていますが、これは利用確保を見込んでのことです。 このように、サービスの中に「おもてなし」の心さえ感じることができれば、人は喜んでお金を払うのです。 喜んでお金を払うからこそ、win-winの関係になり、リピーターになってくれ良い噂が広まりますが、高い税金を嫌々払わされた場合には、嫌な思いをさせるだけで二度と利用してくれなくなります。 財政においても、この「おもてなし」の心を伝えることが絶対に必要なのです。 消費税増税はもってのほかですが、所得税や法人税を下げる、特区を作るなどの努力により、東京オリンピックをきっかけにして外国人が日本に永住したくなるような環境を作ることが国の仕事であると考えます。 類は友を呼ぶように、富は富を呼び、豊かさは豊かさを更に呼びます。2020年に向けて、日本が繁栄を世界から呼び込むかどうかは、真なる「おもてなし」精神を体現できるかどうかにかかっていることは間違いありません。(文責:HS政経塾1期生 湊 侑子) 社会保障における「公平な負担」とは何か 2013.10.24 ◆75歳以上、医療保険引き上げ 社会保障費用を1兆円圧縮しようと、厚生労働省が模索しています。 その一環として、75歳以上の主婦を対象に保険料を9割減らす特例の廃止を検討しています。 (10/16 日経) 対象者は毎月の保険料が平均で360円から1810円に増加します。一年間で1万7400円の負担増です。 しかし、それと同時に所得の低い人に対しては、保険の軽減適応を500万人増やすとしています。 ◆国民年金を払わずに、老後は生活保護? 厚生労働省は「負担の公平」をかかげ、「所得の少ない人は保険料を安くし」、「比較的経済力がある人への特例は段階的に縮小する考え」だそうです。 しかし、所得の高い人には重い負担を課し、所得の低い人には保険料を安くする、というのは本当に「負担の公平」でしょうか。 医療費ではありませんが、年々増える年金の負担に嫌気がさし、「国民年金は払わない。老後、生活ができなくなったら生活保護を受ければいい」と考える若者もいるそうです。 努力して多くの所得を得ている人に重い負担を課し、安易に国に頼ろうとする人に手厚い支援を行えば、国が立ち行きません。 ◆「公平な負担」とは何か 確かに、自治体によっては医療保険が「人頭税」になっているような地域もあります。「人頭税」というのは、所得に関わらず、すべての人が一律同じ税金を支払うことです。 医療は子供から高齢者まで、すべての人が利用します。利用者全員に均等にかかる均等割の割合が多い地方自治体では、世帯主の所得に関わらず、扶養家族が多ければ医療費の負担は増加します。 こういった地域では、「所得に応じた負担」を求めることは理に適っていると思われます。 しかし、経済的に余裕のある人に対しては負担を重くする、というのは行き過ぎです。 これは税金でいうと、「累進課税」です。「累進課税」では、所得が上がれば上がるほど税率が上がります。 現在の日本の所得税では、195万円以下の場合、税率は5%、195万円~330万円以下の場合10%、その後20%、23%、33%、40%とあがっていきます。 今年の始め、フランスで高額所得者への税率が41%から75%にあがったために、俳優のジェラール・ドパルデュー氏がロシアへ移住したという報道がありました。 高額所得者に重く、低所得者には軽い負担は、高額所得者の海外流出をまねき、労働意欲を減退させ、国民全体を貧しくしてゆきます。 では、「公平な負担」とは何か。 私はフラット・タックスこそ、公平な負担であると考えています。 フラット・タックスとは、所得総額に関係なく、全ての人が同じ税率を負担することです。年収300万円の人も、年収1000万円の人も10%なら10%、15%なら15%の税金を納めます。 実は、フランスのドパルデュー氏が移住したロシアは12%のフラット・タックスを採用しています。 所得に応じて、すべての人が一定の割合を負担する。「公平な負担」というのであれば、フラット・タックスの導入だけで十分ではないでしょうか。 ◆医療費負担に対する提言(私案) 医療費負担の問題は、とても複雑な問題です。健康に気を使って運動・睡眠・食事をコントロールされている人もいれば、喫煙をしている方もいます。 こういった人が同じ保険料でいいのかという問題もあります。窓口負担3割、5割、7割を選択でき、それに応じて窓口の負担を変えてはどうかと思います。 窓口負担3割の人は月々の保険料が高い代わりに、直接の負担は3割で済み、窓口負担7割の人は月々の負担は安いけれど、窓口では7割を負担するという形です。 さらに健康に自信のある人であれば、月々の保険料を払わず、全額自己負担ということもあってもいいかもしれません。 社会保障は「選択」と「責任」を問うものであってもいいのではないでしょうか。(文責・伊藤希望) アメリカ政府の債務不履行問題から日本がつかむべき教訓 2013.10.17 ◆何とか回避された、アメリカ政府の債務不履行 10月16日(日本時間17日)、アメリカ連邦議会は、10月の新会計年度に入っても予算を通過できないこう着状態(Gridlock)にありましたが、政府機関の再開と当面の米国債の債務不履行の回避に向けて上院・下院共に合意に達し、局面は打開されました。 前日比で、ニューヨークダウは205.82ドル (+1.36%)、日経平均株価は119.37円(+0.83%)上昇しました。金融市場は、まずは一息というところです。 ◆今回は一時的な暫定措置、本質的な問題解決はこれから 今回の合意の内容には大きく2つのポイントがあります。 1.連邦債務の法定上限を来年2月7日までの借り入れ分について引き上げてデフォルトを回避する。 2.1月15日を期限とする2014会計年度暫定予算を成立させて政府機関閉鎖を解除する。 (参考:10/17日経新聞「米債務不履行回避 暫定案、上下両院が可決」) アメリカの会計年度は、10月1日から翌年の9月30日までとなっており、今回の合意案は、あくまでも来年の1月~2月までの暫定的な措置であり、今後、オバマケアなどの社会保障政策や中長期的な財政再建計画についての議論を超党派で進めていくこととなります。 つまり、本質的な問題はまだ解決しておらず、来年の1月~2月に同じような状況に陥る可能性は依然として残っています。 ◆今後もアメリカの手足を縛る「債務上限」とは 今後も争点となっていくと思われるのは「債務上限(Debt Ceiling)」です。これはアメリカ連邦政府がお金を借りる限度額として定められているもので、現在は16.7兆ドル(1,670兆円)と決められています。この決められた債務上限額以上に、国債を発行してお金を借りることができないのです。 実は、アメリカ政府の債務上限額は、今年の5月に到達していましたが、地方政府支援の停止などの非常措置によって何とかしのいできました。 しかし、10月17日には手元資金が300億ドルとなり、資金のやりくりができなくなる旨の書簡を、9月下旬にルー財務長官が議会に送付したことで、10月17日前後が区切りとして世界の注目を集めてきた経緯があります。 ◆共和党と民主党による「議会のねじれ」 共和党側は、医療保険改革法(通称オバマケア)に反対しており、オバマケアを修正するように要求を続けてきました。民主党側は、オバマケアをひとつの目玉の政策としており、これを推し進めたいという主張の違いがあります。 議会がここまでもつれた背景には、上院では民主党が過半数を占め、下院では共和党が過半数を占めているという「議会のねじれ」があります。今後も、社会保障のあり方については、アメリカで激しく議論がなされていくと考えられます。 ◆国の経済規模との関係で債務上限を考えるべき 債務上限を定めたのは、健全な国家財政を維持していくという主旨は分かりますが、そろそろ考え方を変える必要があると思います。なぜなら、お金を借りられる額は、その国の経済規模、相応に考えていくべきだからです。 企業であっても、企業規模に応じた負債額というものがあるわけですから、アメリカ政府も、その国の経済規模を示すGDP(国民総生産)との関係で、債務上限についても考えるべきではないでしょうか。 HS政経塾の海外政策研修(10月6日~13日)で、政策担当者・金融アナリストから、債務上限の定め方について意見を聞いたところ、絶対額で債務上限を決めるのは非合理で、GDPとの関係で債務上限を見直すのは、合理的な考え方の一つだと思うと述べていました。 経済が成長していけば(GDPが大きくなれば)、負債の比率は小さくなります。アメリカは、経済成長を続けているのですから、それに応じて債務上限を見直すことは妥当なことです。 ◆自分の手足を縛る財政再建主義 経済成長していくためには、投資も必要なのですから、毎回、上限額だけを決めていては、いつも政治的な駆け引きで、債務上限をどうするかの議論で、金融にとって大切な信用が損なわれてしまいます。今後アメリカは、財政再建を理由に、思い切った投資がおそらくできなくなってしまうでしょう。 ヨーロッパでも、財政への監視を強めています。EUの17諸国の政府は、EUに予算案を提出しました。EUでは、財政規律が適切に守られているかどうかを基準に検証を進めていくようです(Financial Times, “Brussels starts eurozone budget monitoring,” Octomber 16, 2013)。 世界的にも、財政均衡を気にするあまり、思い切って国を豊かにする可能性のある産業に、政府が関われない状況に陥っています。当然、民間の自由を促進する規制緩和が前提ですが、政府が果たすべき財政政策は、国を豊かにするためには必要です。 ◆経済成長あっての財政再建 日本政府は残念ながら、社会保障財源を名目に、来年2014年4月からの消費増税を8%に引き上げることを10月1日に決定しましたが、この消費増税は、社会保障財源と共に、財政を健全化するという意味合いもあります。 幸福実現党が再三指摘するように、増税をしても財政再建はできないのです。経済が成長しなければ、結局は経済全体のパイはしぼみ、税収は減り、結果、財政はむしろ悪化するのです。 今回の債務上限問題で揺れたアメリカに象徴されるように、世界的に財政再建をするために政府支出は控えて、大規模な投資を政府が行うべきではないという風潮がありますが、これに流されてはなりません。 ◆種をまかねば、木は育たず、果実は実らない 種をまかなければ、木は育たず、果実は実らないのです。新産業を育成するには、民間が背負えないリスクに対して、政府が積極的に果たすべき役割があるのです。 2020年に東京オリンピックもあり、国民に大きな夢を抱いてもらうビジョンを日本政府は提示できる大きなチャンスにいます。この千載一遇の機会を逃す手はありません。 安倍政権は、今後3年間を「集中投資促進期間」にあてるとしていますが、もう一歩大胆な減税路線と新産業育成ビジョンを示していただきたいものです。 (HS政経塾部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ) 法人税の大幅減税で企業を元気に。家計を豊かに。 2013.10.05 ◆消費増税を受け入れる経済界のトップたち 消費増税が決定され、GDPの約6割を占める個人消費の冷え込みが予想されていますが、注目されるのは経済界の対応であります。 経済界のトップたちは意外にも、安倍首相の消費増税への決断を冷静に、好意的に受け止めていると報道されています。 経団連の米倉弘昌会長は「大変な英断だ」と強調し、安倍首相の判断を持ち上げています。 また経済同友会の長谷川閑史(やすちか)代表幹事も、「予定通りに(増税を)やることが大事だ」と述べ、消費増税への賛意を表しております。 ◆消費増税で実際は苦しい経営の現場 しかしながら、実際の企業経営の現場においては、消費増税による消費冷え込みへの対応策に追われているのが実情です。 トヨタ自動車では、消費増税前の駆け込み需要はあるものの、それ以降の一層の消費冷え込みの影響を予測し、2014年度の国内生産台数を前年度比約1割減の300万台とする見通しを主要取引先に伝えています。 こうした消費増税による大企業の対応で、更に苦しくなるのは下請企業や中小企業であります。 既に自動車部品メーカーなどでは、来年の国内の消費不況を見越して、輸出比率を増やし、海外に活路を見出そうとしている傾向にあります。 また、ある中小企業の経営者は「中小企業は3%の利益を出すのも闘い。油断すれば利益は吹っ飛ぶ。」と指摘しています。 倒産予備軍は6万社とも、30万社とも言われておりますが、昨今の脱原発と円安基調による電気代の高騰に加え、消費増税によってかかってくる更に重い税負担を強いられることで、日本の企業経営を取り巻く環境はシビアになってきているのです。 ◆世界的に見ても高すぎる法人税 そんな中、産業界から早期の実現を求められる声として大きいものが、政府が「今後速やかに検討を開始する」として事実上先送りした法人実効税率の引き下げであります。 「日本の法人実効税率は30%半ばで主要国と比べてまだ高い。早急に改善してほしい」(富士フイルムホールディングスの古森重隆会長)とあるように、日本の法人税は主要国でも最も高いレベルにあります。 実際に、世界の法人税率の平均は25%となっており、日本と比較すると10%以上も低い設定となっております。 EUでは、ここ10年間、企業誘致や自国企業の引き留めを目的に激烈な競争が行われ、この間に平均法人税率は全体で10%も引き下がっています。 またアジア諸国を見ても、シンガポール17%、韓国24.2%、中国25%など、安い法人税率によって国内産業の育成と外資誘致を図っています。 日本と同様に高いと言われてきたアメリカにおいても、今年に入ってオバマ大統領が現行の35%から28%程度への引き下げを提案しています。 このように日本の高すぎる法人税が、国内企業の海外流出、海外企業の日本敬遠の流れを起こし、国内経済の空洞化を誘発しかねないのです。 ◆高くて複雑な企業税制が経営者の「時間」と「ヤル気」を削いでいる もう一つの弊害は、法人税を中心とした複雑な企業税務が経営幹部の「時間泥棒」となっていることです。 つまり、直接的な納税コストだけでなく、税務全般に関わる時間的なコスト、また金銭的なコスト(納税経費、人件費など)などが実質的な企業の負担になるということです。 具体的に、税務担当者に「負担に感じている項目」をアンケートした結果をみると、「会計基準と法人税法との差異に関する申告調整」や「法人税申告書の添付書類」など、法人税にまつわる項目に対して重い負担感を感じていることが分かります。 また「2011年度の納税(法人)のしやすさランキング(プライスウォーターハウス調べ)」では、日本は先進諸国でも最下位に近い112位であり、申告納税等に要する時間は355時間/年を要し、実に1カ月以上も申告納税業務に追われるという計算となっています。 特に、日本の99%を占める中小企業において、納税業務の中心となるのは、まぎれもない経営者であります。 結局経営者が複雑な企業税制の間隙をぬい、高すぎる法人税から逃れるために如何に節税対策を行うかということに1カ月以上もの時間が割かれることになるのです。 その結果、高すぎる法人税が不正直な申告を企業に強い、更に中小企業の営業の要となるべき経営者が長期間税務に忙殺されることで経済全体に大きな潜在的売り上げ損失を生み出し、法人税収を悪化させていると考えられます。 ◆賃金アップを図りたければ、法人税を大幅に減税せよ! 実際に、安倍首相も消費増税と同時に、法人税の引き下げを図りたかったようですが、政権内外からの反発によって断念した経緯があります。 財務省は巧妙な交渉術で、復興特別法人税の廃止だけで済ませ、安倍首相に法人税実効税率の引き下げをあきらめさせています。 また政権与党である公明党山口代表も「消費税で負担を求め、法人の負担だけ軽くして、国民の理解を得るのは難しい」(20日)と記者団に述べるなど、法人税の減税に後ろ向きでした。 しかしながら、消費増税を行いながら、企業への賃金アップを求めるのはまさに大きな矛盾であります。企業への賃金アップを促すならば、企業経営を劇的に楽にさせる法人税の大幅減税に踏み込むべきなのです。 幸福実現党は、消費増税にもめげることなく、「安い税金」の実現に邁進して参ります。安倍首相には、勇気をもって法人税減税を訴えて頂きたいと切に願います。(文責:HS政経塾1期生 城取良太) 増税と経済成長は両立しない 2013.10.02 ◆安倍首相が消費増税を決断 安倍晋三総理は、2014年4月に消費税を8%へと引き上げることを正式に決定しました。10月2日各紙朝刊はこの話題でもちきりです。 2015年の10%への引き上げは未定となっていますが、財界の代表である経団連の米倉弘昌会長は、「大変な英断だ。高く評価する」と歓迎の意を示しました。 10月2日付のフジサンケイビジネスアイには、10人のエコノミストの評価と成長予測が掲載されています。 14年度の成長率は、最大で2%弱、最小で0%という結果が出ており、増税を緩和する経済対策を打ち出している点を評価している意見が多く見られました。 確かに、低所得者への給付金や復興特別法人税を2013年度末に前倒しで廃止、5兆円規模の補正予算を組んだことで景気減速効果を和らげることは事実です。 問題は、2014年4月以降の駆け込み需要の反動をどうするのかになります。 ◆一層重要となる金融政策と財政政策 増税は、消費マインドを悪化させます。日本のエコノミストや経済学者は、増税による景気への効果を低く見積もっていますが、実体経済はそれほど甘くありません。 景気を底上するのは困難ですが、下げるのは極めて簡単です。加えて、景気悪化のスピードは極めて早いことにも注意が必要です。 さすれば、どうしても日銀の「異次元緩和」、そして財政出動を考えざるを得ません。 2012年末以降、日銀の金融緩和によって円安傾向にある日本経済。輸出による景気回復効果は出始めています。 ただ、アメリカ政府機関の一部閉鎖に見られるように、海外の需要低下リスクは常につきまといます。たとえ円安基調でも、肝心の外需が弱くなれば景気回復は止まります。 また、国内では駆け込み需要の反動が出る2014年以降に急激に景気が冷え込む可能性が高いのです。日銀にはまだまだ頑張って頂かなくてはなりません。 本来、日銀の金融緩和の影響が実体経済に出てくるには、金融機関から中小零細企業への貸出が増えてこなければなりません。 国債の運用で収益を上げるので精一杯の金融機関が、リスクをとって貸出を増やすことは考えられない以上、景気の回復がどうしても必要になります(だからこそ、幸福実現党は消費税の増税を中止し、景気回復に全力投球することを提唱し続けてきた)。 今回は、景気回復までいくのは難しいかもしれませんが、市場に資金が流れるための最低限の流動性を確保し、景気腰折れを未然に防ぐ意味で金融緩和は役に立つでしょう。その意味で、「出口戦略」としての性急な利上げを控えるべきです。 なお、景気の下支えとして補正予算が5兆円程度組まれる予定です。5兆円という数字は、3%ポイント分の税収を補う程度のものです。 言い換えれば、5兆円分の税収を公共投資に使うということであり、各新聞社が大きな見出しをつけている財政再建にはならないことを見抜く必要があります。 つまり、右から左に流れる以上、財政再建にはならないのです。経済学では、均衡財政乗数という考え方があります。 つまり、5兆円の増税をして5兆円公共投資に使えば、5兆円GDPが増えるというわけです(つまり、乗数は1ということ)。 なぜこの論点を持ってきたかというと、「均衡財政乗数の原則に従えば、増税分を公共投資に使えば問題ない」と言いたいわけです。 ただし、この政策はアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものであり、実体経済に及ぼす影響は極めて不明確です。 ましてや、近年では財政乗数そのものが低下傾向にあるため、理論通りにいく保証はどこにもありません(同様の主張は、高橋洋一嘉悦大学教授もしている)。 要するに、均衡財政乗数政策が疑わしいものであるならば、景気の下支えとしては失敗するリスクが高いと言わざるを得ません。 そうなると、増税後も、金融政策が重要となるのは間違いないでしょう(実際、付加価値税増税をしたイギリスが増税緩和策として採ったのが金融緩和だった)。 TPPの交渉も始まりました。東京五輪招致も決定しているので、日本経済にプラスの要素はまだあります。 現時点では、必要なマクロ経済政策とTPPなどの成長政策を通じて増税の悪影響を最小限にいくしかありません。 ◆ストップ!増税天国 最後に一点、触れておくべき追加論点を述べます。 現在、試案段階ではありますが、死亡消費税や教育目的税が検討されています。 既に、国と地方を合わせて70近くの税金があり、消費税増税が決定されています。 政府がこれ以上新しい税金を作らないように、納税者である国民の厳しいチェックが必要となります。 これを怠ると、日本は「増税天国」となり、国民の自由が奪われていきます。 逆に言えば、財務省の絶対権力が強くなるということです。⇒参考論点:「財務省の絶対権力化を許してはならない」⇒http://hrp-newsfile.jp/2012/457/ 増税が話題になっている今だからこそ、主権者である国民は、「納税者としての目」を開くべきです。 増税から減税を実現する戦いは、まだまだ続きます。落胆している暇はありません。(文責・幸福実現党静岡県本部幹事長 中野雄太) 安倍首相、財務省に屈服「消費税増税」を決断! 2013.10.01 ◆安倍首相「消費増税」を決断! 昨日10月1日、安倍首相は会見において消費税を予定通り来年4月から5%から8%に増税すると発表しました。その姿は残念ながら財務省の意向に屈服した姿そのものに見えました。 安倍首相は、アベノミクスの第一の矢、大胆な金融緩和政策の策定において日銀官僚とは戦ったと思います。 引続き、本丸財務官僚と戦い、消費増税の中止を英断する、これが本来の志であったと考えます。 なぜなら、安倍首相の消費増税を決断するに至る発言の経緯を検証するならば、首相こそ、消費増税が安倍政権の悲願「デフレ脱却」にとって最大の障害物と認識していた事が伺えるからです。 「景気の腰折れを防ぐ」ためにあの手この手で対策を講ずるということは、消費増税により景気が腰折れると認識しているからに他なりません。 昨日の首相会見の冒頭でも「増税により消費は落ち込み、日本経済はデフレと景気低迷の深い谷へと逆戻りしてしまうのではないか、結局、財政規律も社会保障の安定も悪い方向へといきはしまいが、最後の最後まで考え抜きました。」と正直な思いを吐露しました。 その通り悪い方向に行く可能性が高いのです。 ◆経済再生と財政健全化は両立できるのか 首相の悲願である「デフレ脱却」をゴールとして政策を立てるとしたら、インフレ目標の達成に向けて、大胆な金融緩和、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を推し進める、すなわちアベノミクスの3本の矢を推し進めればよかったのです。 インフレ目標が達成される過程でGDPの名目成長率が上がれば税収は間違いなく増えます。仮に名目成長率が3%増えれば、税収は6~9%程度増えると言われています。(税収弾性値2~3と仮定:この値を政府が不当に低く見積もっていることをHRPニュースファイルで中野雄太氏が指摘しています。→9/25「増税するか否かを決定するには、日銀短観は不十分な経済指標」) デフレ脱却というゴールに対して、障害となる消費増税はあまりに異質です。何もしなければ日本経済はよい方向に向かっていくのです。 デフレを脱却し、経済成長していく中に、賃金も上がり、税収も増え、社会保障の安定化、財政健全化も実現していく道があります。 財務省に屈服せざるを得なかった首相は、自らを説得するかのように「経済再生と財政健全化は両立できる。」と言い放ちました。これは「景気回復と増税は両立できる」という意味です。 ここ二十年の日本の財政を振り返っただけでも、その両立は困難です。そもそも矛盾しています。 結局、財務省の意向である増税ありきだったのです。 財務省は、東日本大震災直後の復興増税に引き続き、社会保障、財政健全化という二枚カードを利用しながら消費増税を実現したのです。二連勝といったところでしょう。 ◆今後も度重なる増税圧力を阻止 かつて、幸福実現党大川隆法総裁は「3.11の大震災で無力感に打ちひしがれ、思考力を麻痺させられている従順な国民の良心にだまし打ちをかけ、長期増税(復興増税)をおしつけるなど、地獄の悪魔も尻尾を巻いて逃げ出す所業」と財務省を断罪しました。(大川隆法著「もしケインズなら日本経済をどうするか」まえがき) 今回の増税に関しても、大川総裁は、9月22日の『戦後教育の大転換』という講演会で「財務省の判断が正しかったかどうか、これからウォッチさせていただこうと考えております」と述べております。 私たち幸福実現党にとって、今回の消費増税で日本経済に大きな負荷がかけられたことは痛恨の極みです。しかしながら、私たちは、それでも日本の発展のために「次善の策」を前向きに訴えてまいります。 今後も予想される度重なる増税圧力を阻止し、「小さな政府、安い税金」を目指し、国民の幸福を実現して参ります。(文責:岐阜県本部政調会長 加納有輝彦) すべてを表示する « Previous 1 … 18 19 20 21 22 … 33 Next »