Home/ 財政・税制 財政・税制 解散総選挙の争点は、「アベノミクス」か? 2014.11.21 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆消費増税で税収は増えない 21日、衆議院が解散、選挙は、「12月2日公示・14日投開票」で行われます。 安倍首相は、来年10月予定だった10パーセントへの引き上げを1年半、先送りすることを決めましたが、消費税率10パーセントは、再び先送りせず確実に実施すると断言しました。 記者会見の中で安倍首相は、「経済再生と財政再建を同時に実現していく」と述べています。 財政再建を消費増税で実現しようとしているわけですが、しかし安倍首相は会見冒頭で自ら発言しているように「税率を引き上げても税収が増えないことになっては元も子もない」と述べています。 我が党が2009年の立党当初から口を酸っぱくして言ってきた「増税で税収は増えるどころか減る」ことを安倍首相は分かっているのです。 消費増税を行えば、いくら経済成長を促そうとしても国民の財布の紐は締まっていくので、消費は冷え込み企業が儲からないため給与も上がりません。こうして景気が悪くなっていくサイクルが回り始めるのです。 これは経済成長というアクセルを踏みながら、増税というブレーキを踏むようなものです。それでは日本経済のエンジンは焼け焦げてしまいます。つまり「経済成長と財政再建」は、両立しないのです。 経済を良くし税収も上げるには、先に民間企業を活性化させ経済成長を実現することです。そうすれば結果的に増税などしなくても税収は上がっていくのです。 ◆選挙の争点は「アベノミクス」なのか? マスコミの論調は、「アベノミクス」を選挙の争点に掲げています。民主党の枝野氏も、「アベノミクス」を批判し次のように述べています。 「アベノミクスのカンフル剤と、痛み止めに頼った施策では限界があることを、より自信をもって訴えることができる。」(11/18産経) しかし民主党政権は、経済の活性化できなかったばかりか、「消費増税」という時限爆弾を日本経済に仕掛けた責任を免れることはできません。アベノミクスを批判する前に、自ら反省をしていただきたいものです。 そもそも消費増税法案は、三党合意で決断したのですから、自民党と公明党、それに民主党の三党に責任があります。 ◆アベノミクスの何が失敗なのか アベノミクスは、第一の矢である「金融緩和」で日本銀行が国債を買い、銀行のお金を増やし、銀行が企業に貸し出すことで市場にお金を流します。 第二の矢、公共投資による「財政政策」で企業への投資を喚起しながら、第三の矢「成長戦略」で民間投資を行い、「宇宙産業」など新たな未来産業を創出しなければなりませんでした。 この二年の流れは、第一の矢である「金融緩和」で、日本の企業にお金が流れ込み経済が活性化するとの期待から外国人投資家が日本の株に投資し、それによって株価が上がったのです。 ところが、第三の矢である「成長戦略」は、「女性が輝く社会」や「学童保育の受け皿確保」など、それだけでは経済成長を大胆に興すことはできません。「新たな産業を創出」する政策ではないのです。 しかも安倍首相は、銀行の国内での投資が進まないので、海外を外遊して外国にお金をばらまいてきました。 もちろん、戦略的に中国包囲網を築くために外国との関係を強化する意味では必要なことではありますが、しかし日本にお金が回らないのであれば、本末転倒です。 こうして第三矢である「成長戦略」に魅力がなかったために、外国人投資家は、「アベノミクス」に失望してしまいました。2年を経た今では「金融緩和」で市場にお金を投入しても一時的な効果しかなくなりました。 さらに悪いことは、安倍政権は、票目当ての「商品券バラマキ政策」を解散直前に行ないました。これでは民主党政権と変わりません。 4月に8パーセントへ消費増税をせず、アベノミクスで企業が活性化し中小企業の給与もアップするまで時間を待てば、今頃はもっと日本経済は良くなっていたのです。 「金融緩和」による円安の痛みも、消費増税をやらず中小企業まで活性化していれば、その痛みはもっと和らいでいたでしょう。 また民主党の「原発ゼロ」政策で、電気代の上昇による製造コストを抑えるために工場が海外に逃げてしまったことが円安でも輸出が伸びない原因であり、政府の政策を信用できない企業は簡単に日本に工場を呼び戻せないと判断しているのです。 ですからその原因を招いた民主党は、この点でもアベノミクスを批判する資格はありません。 つまりは「自公民、その他の古い政治家、既存の政党で日本の経済を立て直すことは、もう無理だ!」ということです。 今回の最大の争点は、経済を失速させた「消費増税は是か非か」であり、我が党は、「消費税を8パーセントから5パーセントに減税する」「宇宙産業等、魅力ある経済成長戦略」を国民の皆さんに提言します! これが日本の経済を浮上させる喫緊の政策です! アベノミクス――政府が経済をコントロールできるのか? 2014.11.19 文/幸福実現党世田谷区代表 HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆政府が経済をコントロールできるのか? 11月18日夜、安倍首相は衆議院の解散総選挙を行うことを決定し、発表しました。 首相は、消費増税を一年半延期したうえで、2017年4月に「確実に」消費税を10%に引き上げるとし、その事について国民に信を問うとしました。 安倍政権発足から2年、「アベノミクス」と銘打った経済政策について、消費税の8%への増税も含め、適切であったのかが問われることとなります。 しかし、私がそもそも安倍首相に問いたいと思うのは、「一国の経済を政府がコントロールできるとお考えではないでしょうか?」ということです。 安倍政権は消費税を増税するにあたって、民間企業に対して賃上げを求めましたが、日本は自由主義経済であり、全ての会社の労働者の賃金を一律に引き上げることなどできません。 また、増税分の価格転嫁がなされるように政府が様々に働きかけをしていますが、消費税増税分をそのまま価格に上乗せして、それだけのお金を支払ってでも、そのモノやサービスを手にしようとするかどうかを最終的に判断するのは「消費者」であり、政府が決められるものではありません。 こういった政府の行動の中に「政府が経済をコントロールし、経済成長に導ける」という考えがあるとすると、それは社会主義そのものです。 ◆繁栄の未来を創るのは「民間の力」 経済の成長、富の創出は、政府が作り出すものではなく、一人一人の国民や企業の創意工夫、努力からもたらされるものです。そして、そのためには「自由」がなければなりません。 もちろん、国家目標は必要だと思いますし、リーダーシップも必要であり、政治は希望を与えるビジョン、そして経済政策を提示しなければならないと思います。政府は何もするなというわけではありません。 しかし、現実に繁栄の未来を創るのは「民間の力」であり、政府ではありません。 したがって、利権にまみれていたり、しがらみでがんじがらめになっている政治では、これから先の経済発展を創り出すことはできないのではないでしょうか。 なぜなら、利権やしがらみにまみれているならば、「特定の団体」や「既得権益を持つ者」を護るために、新しいことに挑戦しようとする者に対して、それを規制等で縛り、自由を抑圧することになるからです。 そうなると、自由な発想をもとに、創意工夫を積み重ね、繁栄を創り出すはずの「民間の力」を引き出すことができません。 ◆自民党政治の限界 利権、しがらみ、そういうものを断ち切るために、まず政治家自身が私心を去らなければならないと思います。自民党政治の限界がここにあると思います。 ですから、私達国民の一人一人も、政府に頼ることはやめなければならないのだと思います。私達自身の手で、輝く未来を創ろうとするならば、政府に頼るよりも、むしろチャンスを増やすための「自由の創設」を求めるべきです。 ほんとうに政府が経済をコントロールして私達一人一人の暮らしを良くすることができるとするならば、それは逆に政府に生殺与奪の権を握られることになります。 消費増税の裏側に潜んでいたのは、結局「政府が経済をコントロールできる」と考える思想であり、「傲慢さ」であったのだと私は考えます。これこそ社会主義的思想であり、その先に待っているのは「統制」であり「自由の抑圧」です。 ◆民間の力を生かすには これからできる政府は、お上意識を捨て「民間の力」や「志」をもっと信じるべきだと思います。そして政府は「政府にしかできないこと」に集中し、無駄な規制を撤廃し、将来の経済成長のためにこそ投資を行うべきです。 国民から選ばれた政府であるからこそ、国民を信じ、そして国民に選ばれた政府であるからこそ、逆に一時的に国民から支持されないことでも、将来の祖国のために絶対に必要であると信じることを推し進める覚悟が必要なのだと思います。 ノーベル賞経済学者であるハイエクは、 「自由とは個人の努力にたいする直接的統制の放棄を意味するからこそ、自由社会はもっとも賢明な支配者の頭脳が包含するよりもはるかに多くの知識を利用することができるのである」 「有益な結果が生じると前もってわかっている場合だけに自由を許すのは自由ではない」 「大事な点は、特定のことを実行する自由の重要性がその実行を望む人びとの数には関係しないことである」 「もし多数者の行使する自由だけが重要であるという想定を推し進めるならば、不自由の性質すべてをもった停滞的社会をつくりだすことは確実である」 と、未知の少数者のため、機会としての自由が必要であることを述べています。 未だ見ぬ、時代を切り拓く者たちのために「自由」を。私達、幸福実現党は、日本を「自由の大国」にしたいと考えているのです。 今、私たちは単に消費税増税の是非を問われているのではなく、神仏の子として自らの力で未来を切り拓く道を選ぶのか、それとも政府に依存しその統制下におかれる道を選ぶのか、非常に大きな決断を迫られており、人間としての尊厳をかけた分岐点にいるのだと思います。 引用部分:参考文献『自由の条件[Ⅰ] 自由の価値』 F.A.ハイエク著 アベノミクス・消費増税・解散 2014.11.18 文/幸福実現党・政務調査会長 江夏正敏 ※本日は、幸福実現党政調会長「江夏正敏の闘魂メルマガ vol.28」(11/18配信)を紹介致します。 ◇「江夏正敏の闘魂メルマガ」登録(購読無料)はこちらから https://m.blayn.jp/bm/p/f/tf.php?id=enatsu ――以下、メルマガより―― 「安倍首相は19日にも衆院を解散する意向」という報道が多くなってきました。(メルマガ配信は18日17時) 【編集部注:18日18時、安倍首相が衆議院解散の意向を表明】 「なぜ解散をするのか」という問いに対して、「消費増税の延期の是非を問う」という発言が各方面から聞かれます。 17日に出たGDPの速報値は年率換算で前期比1.6%減とのこと。4月の消費増税によってかなり景気が落ち込み、回復できていないことがわかりました。 これによって、安倍首相は消費税率10%増税延期の判断を後押しする材料となりそうです。 ◆もともとのアベノミクスとは アベノミクスは(1)大胆な金融政策(2)機動的な財政政策(3)民間投資を喚起する成長戦略の3つを基本方針とし、「三本の矢」と言われています。 この趣旨は「日本経済を元気にするために、今まで絞ってきたお金を大胆に供給し、 民間にやる気を出させて、大きな成長を促し、デフレを脱却させていこう」という感じでしょうか。 つまり、発展・繁栄戦略だったはずです。 ◆ところが・・・ ところが、今年の4月に消費税を5%から8%に上げてしまいました。この増税は何を意味するのでしょうか。 それは「デフレ脱却、日本の発展・繁栄」を目指すアベノミクスという経済政策に、まったくの水と油である財政規律(経済の縮小均衡)の考え方を入れてきたのです。 ◆増税&景気低迷&税収減!? その結果、日本経済の6割を占める個人消費に悪影響を与え、景気を悪くしてしまったのです。 このままだと、増税はしたものの、下手をすると法人税、所得税などの税収が減り、トータルで税収減となってしまう可能性もあります。 これでは何のために増税をしたのかがわかりません。増税&景気低迷&税収減となれば、悪政を行ったことになります。 ◆そもそも4月の消費増税は誤り そして、今回、安倍首相は「増税延期の民意を問う」という形で解散を行いそうです(すでに配信時には決断しているかもしれません)。 ここで「ちょっと待った」と言いたい。 そもそも私たち幸福実現党が従来から主張していたように「日本は成長戦略を取るべきであり、そのためには増税をしてはいけない。 成長戦略と財政規律は相容れない考え方であって、同時に行うと失敗をする」という考えからすれば、「4月の消費増税そのものが誤りだった」と言えるのです。 ◆これは安倍政権の失政 本来、成長戦略であったアベノミクスに、無理矢理に消費増税を行ったのは安倍政権なのです。自己矛盾した政策を行ったとしか言いようがありません。いわば自業自得の結果。 それなのに、解散するにあたって「私たちは増税に待ったをかけました」として庶民の味方の振りをしています。 しかし、あくまでも「増税延期」と言っているだけなのです。「増税を1年半後に絶対にする」と言っているだけなのです。 つまり庶民の味方でもなんでもないのです。 ◆アベノミクスは崩壊した この構図を冷静に見ると、本来、成長戦略を掲げていたにもかかわらず、増税によって矛盾する政策を実行して景気を悪くし、国民に苦しみを与えたのです。 この時点で、失敗したのです。「アベノミクスは崩壊した」と言ってもいいでしょう。 ◆自作自演のマッチポンプ それを正義の味方のように「増税を延期する」として国民の支持を得て、選挙に勝とうとしているのでしょう!? つまり、自分たちで火をつけて火事を起こし、「てえへんだ、てえへんだ」と騒ぎ立てて、「私たち正義の味方が、その火を消してご覧に見せましょう」と自作自演をしているのです。 これをマッチポンプと言います。 ◆日本の繁栄が危うい 国民は騙されてはいけません。安倍政権は4月の消費増税によって経済政策を誤ったのです。増税を決断した時点で、アベノミクスは変容し、崩壊したのです。経済について何もわかっていなかったのです。 さらに混乱に拍車がかかってきそうです。このままでは、デフレから脱却もままならず、日本に繁栄をもたらすことができないのです。 ◆正しい選択 正しい選択は、本来の成長戦略の精神に戻すことです(もうアベノミクスと言いたくはない)。 デフレ脱却、経済成長のためには、消費税を8%から5%に引き下げるべきです。 幸福実現党の政策である「大胆な金融緩和、未来に富を生むところへの財政出動、規制緩和などを行い国民の力による成長戦略」を実行すべきだと考えます。 今回の安倍政権の判断、行動を見れば、日本は没落していきます。本当に日本を繁栄させる幸福実現党の政策をご支持くださりますことを祈念申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━ ◆幸福実現党・政務調査会長 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール http://enatsu-masatoshi.com/profile ◇オフィシャルブログ http://enatsu-masatoshi.com/ ◇公式Facebook https://www.facebook.com/Enatsu.Masatoshi.HR ◇「江夏正敏の闘魂メルマガ」登録(購読無料)はこちらから https://m.blayn.jp/bm/p/f/tf.php?id=enatsu 消費税の増税は必要ない――「国の借金」の正体に迫る 2014.11.17 文/HS政経塾 3期生 田部雄治 ◆国の借金ってなんだ? いよいよ衆院解散です。消費税10%増税を延期するのか、廃止するのか。選挙の争点になりそうです。さて、消費増税の延期と廃止、どちらが正しいのでしょうか。 「日本には国の借金が沢山あって、財政破綻の危機にある」などと言われています。これを理由に消費税を増税すべきという主張もあります。日本は本当に財政破綻の危機にあるのでしょうか。 つい11月10日にも、国債・借入金・政府短期証券を合わせた「国の借金」の残高が9月末時点で1038兆9150億円になった、と財務省が発表しました。そして国民1人当たり約817万円の借金を抱えている、と報道されています。 一体いつどこで、私たちは817万円の借金をしたのでしょうか?これって、返さないといけないのでしょうか? そこで、「国の借金」について調べてみました。 財務省のホームページを見てみると、「国の借金」とは公債残高、つまり国債であると言っています。2014年末の国債残高は780兆円ですから、たしかに国債が「国の借金」の大部分を占めています。 参考:財務省「日本の財政関係資料(平成26年10月)」 http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014_26_10.pdf つまり「国の借金」とは、国債だということです。 国債とは、政府が発効する債券です。購入して持っていると、利子がもらえます。そして5年や10年といった定められた期限が来ると、額面の価格を受け取ることができます。実際の価格は市場で決まり、額面の価格よりも安く売買されています。数年待てば、購入時以上のお金を受け取ることができます。 購入するのは、主に国民(私企業)です。政府にとってはお金を集める手段であり、国民にとっては資産運用の手段と言えます。 ◆政府が国民から借りているのが「国の借金」 整理すると、「国の借金」と言われているのは国債であり、「政府」が「国民」に借金をしている、ということになります。 日本における国債とは、国民の資産です。国民1人当たり約817万円の借金を抱えている、ということではなく、国民1人当たり約817万円を政府に貸し付けているのです。 財務省は「国の借金」などと曖昧な表現をして、あたかも国民が借金を背負っているかのように見せかけていますが、実際には政府の借金です。そして貸しているのは国民です。 政府は、お金を貸してくれている国民から増税というかたちでお金を巻き上げて、その借金の穴埋めをしようとしているのですから、盗人猛々しいとはこのことです。 ◆日本とギリシャの違いは決定的 とは言え、政府が破綻してしまっては、困ることもあるでしょう。ギリシャ危機だって起こりました。果たして日本は財政破綻しないのでしょうか。 ここで、日本とギリシャの違いを見てみましょう。 日本の国債は、日本国民に国債を買ってもらっています。 ギリシャの国債は、ギリシャ国内で買い手がつかず、外国に買ってもらいました。ギリシャ国民が、十分な個人金融資産を持っていなかったためです。 この違いが、決定的なのです。日本の国債は、政府にとっては借金ですが、国民にとっては資産です。ところがギリシャの国債は、政府にとっても国民にとっても借金でしかないのです。借りた外国に対して、返済の義務があるからです。 国債を自国民に買ってもらうか、外国に買ってもらうかの違いは、例えるならば、親に借金するかサラ金に借金するか、という大きな違いに相当します。日本の国債は、親からの借金なのです。 ◆日本は財政破綻しないと市場は見ている では、今後何があっても日本は財政破綻しないのか、というと当然そんなことはありません。 事業経営と似たところがあり、お金を借りたならば利息以上の付加価値を生み出さないと、いずれは破綻してしまいます。国民が購入できないほど国債残高が増えてしまうと、ギリシャの二の舞になる可能性があります。 実際、日本の財政破綻の危険度はどの程度なのでしょうか。一番客観的に見ているのは、市場です。その市場において、日本の国債は世界で最も高い値段がついています。少なくとも信用されています。 その理由は、「国の借金」とやらを軽く凌駕する個人金融資産があり、インフラなどの莫大な国富があり、技術力や教育、ソフトやブランド力など、トータルでの日本の国力が非常に大きいこと、等が挙げられるでしょう。 そして今、長く続いた不況を終わらせられるチャンスが来ています。起こりもしない財政破綻を恐れるあまり、増税によって景気の腰を折ってはなりません。 それよりも重要なのは、国債で集めたお金をどこに投資するかということです。投資が正しければ税収は増え、国債を減らせます。 政府が投資をするのであれば、基幹産業や未来の成長産業に充てるべきです。リニアや航空・宇宙、防衛、ロボットなどの産業への投資や、様々な規制撤廃、法人税の大幅減税など、もっともっと大胆な成長戦略が必要です。 ※参考情報などは、筆者のブログをご参照ください。 http://ameblo.jp/tanabe-yuji/entry-11953589805.html 正しい政治を行う新政府の樹立を目指して 2014.11.12 文/幸福実現党徳島県本部副代表 小松由佳 ◆増税延期と衆院解散の可能性 マスコミ各社は連日、年内の衆院解散の可能性を報じています。安倍首相が、17日発表の7~9月期のGDP速報値を受け、景気回復が十分でないと判断すれば、10%への消費増税を先送りした上で、アベノミクスの是非を問うべく衆院選を行う、というシナリオです。 12日付日経新聞によれば、民間調査機関12社の予測平均値では、実質GDP成長率は1.9%(年率換算)に留まり、8月時点での平均4%との予想を大きく下回っています。再増税によるさらなる景気悪化は目に見えており、当然ながら再増税は延期すべきです。 ◆国民の自由を軽んじた政府の失敗 安倍政権の不安定化の原因は、やはり国家社会主義的な統制政治の要素を払拭できず、旧態依然とした自民党政治から脱却し切れなかったことにあると言えます。 まず、明らかに8%への消費増税は間違いでした。増税そのものは民主党政権下で決められたことですが、関連法を改正せず実行に移したことは、安倍政権の失策です。 昨年度の実質GDP成長率2.3%のうち、0.77%が駆け込み需要によるものであり、今年4月の増税後、この駆け込み需要の反動減と、実質可処分所得の低下が起きました。 そのため、14 年4~6月期の実質GDP成長率は、1~3月期比でマイナス7.1%(年率換算)という、リーマン・ショック以来の大幅な落ち込みでした。 主因は、深刻な国内需要の減少であり、それだけ見るとマイナス15%に達するとも言われています。 中でも民間消費の落ち込みが大きく、国民の消費マインドが冷え込んだことは明らかです。現在、駆け込み需要の反動減は緩やかに回復基調にありますが、ほとんどの経済指標が予想を下回り、様々な景気動向指数は低迷しています。 外交・安全保障の面では、やはり中国に対する弱腰が目につきます。10日、約3年ぶりの日中首脳会談が行われましたが、その前提として7日に両政府が発表した合意事項では、尖閣問題で両国が「異なる見解を有する」とされています。 これは「尖閣諸島について領有問題が存在する」と解釈され得るものであり、中国に対する大きな譲歩です。 さらに、安倍首相は首脳会談で、小笠原・伊豆両諸島の周辺海域での中国漁船団によるサンゴ密漁への抗議も行わず、歴史認識についても、習主席が村山談話に言及した際、「歴代内閣の歴史認識の立場を引き継いでいる」と述べ、自虐史観を国際社会に曝け出しました。 こうした弱腰の日本政府と、レームダック化したオバマ政権の下、中国包囲網であるTPP交渉も進まず、越年が確実となりました。 その裏で中国は、韓国との自由貿易協定(FTA)を妥結し、日本が最大出資国であるアジア開発銀行(ADB)に対抗するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立計画を進め、TPPに対抗するアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想を主導するなど、アジアでの存在感を増しています。 そして何より、政府が犯した致命的な過ちがあります。10月31日、あらゆる自由の根源である「信教の自由」を侵し、「霊言」をはじめとする教義内容や宗教行為そのものを理由に、幸福の科学大学の設立を「不認可」としたのです。 憲法違反である下村文部科学大臣の判断に、当然ながら大学側は異議申し立てを行いました。首相の任命責任も重く、根源的な自由権を侵害した閣僚を抱えたままでは、政権存続が難しいのは明らかでしょう。 参照: 幸福の科学公式HP⇒http://info.happy-science.jp/2014/12003/ ザ・リバティweb⇒https://the-liberty.com/article.php?item_id=8698 自己保身や党利党略、世論調査に振り回されることをもって、“自由”や“民主主義”を謳歌していると勘違いしてはなりません。真の「自由」とは、普遍的な「正しさ」、人智を超えた「神仏の声」を、虚心坦懐に求めるところから始まります。 そして、真の「民主主義」とは、神仏の子としての人間の尊厳を守るものです。このことに深く思いを致さなければ、「自由」や「民主」を党名に掲げる既存政党が、その名を実とする日は来ないでしょう。 ◆神仏の下での「自由からの繁栄」を 幸福実現党は立党以来、後にアベノミクスと称される経済政策に加え、徹底した減税による景気回復を提案してきました。また、中国による軍事的脅威や人権弾圧への明確な批判を続け、自虐史観を払拭した新談話の発表、新憲法の制定などを一貫して訴えてきました。 これらは全て、国民の自由と尊厳を守り、国を発展・繁栄させ、世界中の幸福を実現したいという志によるものです。 与野党共に、衆院選の準備に追われているでしょうが、自らはあくまで「公僕」であり、国民の「自由からの繁栄」を支えるべきこと、そして何より神仏の「僕」であることを忘れず、正しい「まつりごと」を行わなくてはならないのです。 世界経済の新潮流――日本は減税で世界を照らせ! 2014.11.11 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆FRBの量的緩和終了 米連邦準備理事会(FRB)は10月30日の連邦公開市場委員会(FOMC)で2008年の金融危機直後から続けて来た量的緩和政策を終了しました。 量的緩和の終了は国際経済の潮目が大きく変化したことを意味します。 第1に米国の量的緩和の終了は「百年に一度の大津波」と言われた金融危機に資本主義経済が打ち克ったことを象徴します。一時10%を上回った米国の失業率も今や5.8%まで改善し、米経済はゆるやかな景気拡大、正常化に向かっております。 第2に「強いドル」の復活です。米国は「強いドル」によって世界の余剰資金を集め、金融立国を強固にし、軍事技術はもちろん、ITやロボティクス、医療機器等、次世代の産業技術の創造を加速させるでしょう。 「強いドル」の復活は日本にとっても悪いことではありません。米国の量的緩和終了が伝わると、10月第3週には1ドル=105円台まで下がっていたドル円レートは109円台まで反発。その結果、日経平均株価も3週間ぶりの高値を付けました。 しかし第3に、量的緩和の終了は、目下、新興国にとっては冬の時代到来を意味します。それまで新興国に向かっていた巨大な緩和マネーは再び米国に反転し、資本流出や通貨安によるインフレと新興国は格闘しなければなりません。 げんに米国の量的緩和終了に伴いブラジルやロシアは急激な利上げに踏み切りました。金利を高く設定し、国内にマネーを引き留めようとするためです。しかし高い金利は企業家の投資需要を減退させ、国内経済を傷めつけます。 偶然にも31日、こうした変化に日銀は追加緩和で応じることとなり、結果的に新興国の外貨不足懸念を緩和したことは、対外的な観点からも評価されるべきです。 その他、日本としてはTPPやEPA等の自由貿易・経済連帯協定を積極的に締結し、市場を開放していくこと、外貨不足による新興国の債務不履行を防ぐべく通貨スワップ協定の枠組みを拡大していく等、新興国発の危機を未然に防ぐ努力を行っていくべきです。 ◆原油価格の下落と中東情勢 また現在、注目すべき世界経済のトピックとしては原油価格の大幅下落があげられます。今年7月に1バレル=115ドルだった北海ブレンド原油は今月4日には82ドルにまで下落しました。 要因は需要面からは欧州や新興国経済の不振による世界経済の減速懸念、そして供給面からは米国のシェール開発で原油輸出の市場競争が激化したことです。 実際、米国はシェール開発により日量100万バレルだったナイジェリアからの原油輸入を3年間で1/10に減らし、今年8月にはゼロにしています。 こうした米国の動きをけん制し、自国産原油の市場シェアを守るべく、サウジアラビアを始め中東諸国は、こぞって油価を下落させたのです。1バレル80円台では米国シェールは採算割れで開発できないからです。 さて、こうした「円安」かつ「原油安」また「米経済の回復」は、日本にとってはプラス要因であり、日本経済の対外環境は現在、稀な幸運に恵まれていると言えるでしょう。 しかし、極端な原油価格の下落やその持続は、別の問題を発生させます。 ロシアやイラン、イラク、オマーン等、1バレル=80円台ではとても財政均衡を持続できない産油国が多数存在し、そうした産油国の経済悪化は容易に政情不安に転化し、「アジア回帰」を掲げる米国の外交戦略にも影響を与えかねません。 日本は東アジア諸国とだけでなく、ロシアや中東諸国にも目を向けて、通貨スワップ協定や貿易・投資面での経済連帯協力等の締結により、幸運による日本経済の回復を中東諸国に波及させるべきです。 ◆日本は減税で世界を照らせ! さて31日に発表された日銀の追加緩和は国内においてだけでなく、海外市場からも好感を持って受け入れられました。日本の政策決定は世界経済に多大な影響を与えるのです。 追加緩和に関しては株高バブルを誘発させる等、一部副作用を指摘する声もありますが、元より幸福実現党は2009年の立党以来、「3%」のインフレ目標を政策に掲げ、2013年に日銀が異次元緩和を開始してからも、さらなる「緩和拡大」を求めてきました。 しかし消費増税の悪影響を打ち消すための最大の景気対策は、税率をもとの5%に引き下げることです。これで消費は回復し、日本の株価は暴騰するに違いありません。 再度、安倍政権はデフレ脱却の意志を鮮明にし、「アベノミクス第2フェーズ」を始めるべきです。 追加緩和が第1の矢であったならば、消費増税の撤回を第2の矢、そして法人税の大幅減税を第3の矢として、世界経済の需要を日本が牽引していく意志を表明すべきです。 幸福実現党は地球視野での経済繁栄に取り組み、世界をあまねく照らす新しい日本の国づくりに全力で尽くします。 日本発・新しい経済モデルを世界は待っている――「消費増税」に蝕まれたアベノミクス 2014.11.04 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆日銀のサプライズ緩和に沸き立つ国内外の金融市場 10月31日に日銀が打ち出した10~20兆円規模の追加緩和が国内で好意的に受け取られ、4日の東京株式市場では日経平均株価が約7年ぶりに1万7000円台にまで上昇しております 4日、安倍首相は参院予算委員会の中で、「手段は黒田総裁にお任せしているが、今回の決断もおおむね好感をもって迎えられているのではないか」と述べ、株価上昇についても「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など年金の運用もプラスになる。株価が上がることで大きな資産効果を呼び、消費に結びつき、経済成長にプラスになっていく」と自信をのぞかせています。 この日銀の追加緩和の影響は世界中に飛び火しており、31日のニューヨーク証券取引所では、ダウ工業株30種平均が史上最高値を更新し、アメリカをはじめとした世界の金融市場を熱狂させています。 その理由は、米連邦準備制度理事会(FRB)が29日に量的緩和政策の終了を決めたことで、新興国からの資金流出によって、世界経済を下押しする恐れが出ていたことが要因と言えるでしょう。 このタイミングでの日銀の追加緩和は、FRBに代わって資金を供給するものと受け取られ、世界規模での不安要因を払拭する救世主的な動きに見えたのかもしれません。 ◆進歩が止まった欧米型経済は世界の範とはならない 奇しくも日銀が追加緩和に踏み切った31日、アメリカのノーベル賞経済学者であるポール・クルーグマン教授はニューヨーク・タイムズ紙に「日本への謝罪」と題するコラムを寄稿しています。 その内容は、バブル崩壊後の90年代後半から、経済回復を実現できない日本政府と日銀を批判した一方、欧米諸国は財政政策、金融政策両面において日本の教訓を活かせずに、日本以上に厳しい不景気に陥ってしまったことに対して、謝罪を述べた形となっています。 特に、クルーグマン教授が指摘した中で興味深いのは、「不況に効果的に対応するためには、従来的な体裁を放棄すること」が大事であり、「財政の均衡を志向し、インフレに対して毅然たる態度を取るような慎重(prudent)かつ高潔な(virtuous)な政策は、より深い(経済的)スランプのレシピとなる」と述べ、その罠にことごとく嵌ってしまった欧米のエコノミストや政策決定者を皮肉っている点です。 もともとクルーグマン教授は、著書「そして日本経済が世界の希望になる」の中で、安倍政権が行ってきた異次元の金融緩和政策や大規模な財政出動に対して支持を表明し、かつてはアベノミクスの行く末に熱い期待を寄せておりました。 ◆消費税増税によって既に蝕まれたアベノミクス しかしながら、一方でクルーグマン教授は消費税の10%への増税を控えた安倍政権に対し、こうも言っております。 「金融と財政の両面から経済を刺激するというアベノミクスの戦略は、これまでどこの先進国も実行したことがない『経済実験』でしたが…すでに消費増税という『自己破壊的な政策』を実行に移したことで、日本経済は勢いを失い始めています。このままいけば、最悪の場合、日本がデフレ時代に逆戻りするかもしれない。そんな悪夢のシナリオが現実となる可能性が出てきました。」(週刊現代2014.9.13) 同じく、安倍晋三首相の経済政策ブレーンで内閣官房参与の浜田宏一米エール大名誉教授も3日、「思った以上に打撃が大きく、日本経済はふらついている」と指摘し、「(海外では)増税したらアベノミクスが全部崩れてしまうという意見も多い。(消費税率を)上げたらアベノミクスが全部見放される可能性もある」(日経11/4)とし、消費増税への自重論を展開しています。 それに対して、財務省は、「日本の消費税率は、主要先進国の中で最低の水準にあり、それらの国々では消費税は主要な位置を占めており、EUでは標準税率15%以上が義務付けられている」という論理で国民に増税を迫っております。 (財務省HP http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei/04.htm) 経済学の世界で既に不動の地位を築き、世界から尊敬を集める日米の碩学の意見が正しいのか、経済成長よりも省益を増やすために消費税増税をしたくてたまらない財務省が正しいのか、一目瞭然だと言えます。 ◆日本には世界に範たる経済モデルを示す使命がある 今、日本の経済を考える上で最も重要なことは、市中に大量に流入する資金の使い道を作ってあげること、すなわち実体経済をいかに活性化させるかだと考えます。 まさに、実体経済の活性化と消費税増税は水と油の関係であり、景気を冷え込ませ、人や企業といった「国富」を流出させてしまうはずです。 経済の基礎知識として「日本の国民総資産は1700兆円に近付きつつあり、ヨーロッパの小国のような財政赤字による国家倒産はありえず、消費税増税は全く不要」という厳然たる事実を国民一人一人がしっかりと納得するべきなのです。 また、安倍政権の経済政策の中には、企業への賃上げに干渉するような「国家社会主義」的な面が見え隠れしていることを見逃してはなりません。 もはや、アベノミクスも沈みつつある船であります。一方で欧米の先進国諸国の中に、日本経済の範たるモデルを見出すことはもはや出来ません。 日本には、世界のトップランナーに相応しい日本独自の経済モデルを確立し、新興国に新しい繁栄のかたちを示すことが出来る担い手が今こそ求められているのです。 失業対策から雇用創出へ――シュレーダー改革から学ぶ 2014.10.30 文/HS政経塾1期卒塾生 伊藤のぞみ ◆ドイツ経済、マイナス0.2%成長の衝撃 ヨーロッパ経済を牽引していたドイツ経済の経済成長率(GDP成長率)が-0.2%であったということは、前回も触れました。 ドイツはロシアから天然ガスの37%を輸入しており、貿易の取引額は全体の12.5%を占めています。ドイツ景気停滞の第一の原因はロシアへの経済制裁です。 ただ、ドイツ国内では、もう一つ原因があるのではないかといわれています。それが、メルケル首相の経済政策です。 実は、メルケル首相の前にドイツ首相をしていた社会民主党(SPD)のゲアハルト・シュレーダーはSPDの党首でありながら失業手当の削減、労働規制の緩和、社会保障改革、法人税減税を行ない、東西ドイツ統一以降「欧州の病人」といわれたドイツ経済を復活に導きました。 しかし、失業手当の削減と社会保障の縮小を断行したため、従来のSPD支持者を失い、05年の連邦議会選挙でメルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)に僅差で破れ、政権を去りました。 ◆左派色の強い大連立政権 現在、問題とされていのは昨年12月に発足した大連立政権が立案した経済政策です。 メルケル首相が率いるCDUは三ヶ月の交渉を経てキリスト教社会同盟とSPDの三党で大連立政権を成立しました。 連立政権参加したSPDは8.5ユーロ(約1200円)の法廷最低賃金の導入や、条件を満たした高齢者に対し、年金の支給開始を二年間前倒しすることを認め、シュレーダー改革とは全く別の方向に舵を切りました。 その影響が出てドイツ経済が停滞しているのではないか、という見方が広がっているため、メルケル首相もシュレーダー改革の方向に針路を戻そうとしているとも伝えられています。 ◆シュレーダー改革-アジェンダ2010-の概要 それでは、再評価されつつあるシュレーダー改革「アジェンダ2010」について概要を見ていきます。 この改革の成果が現れるのが2010年頃になるという予測のもとつけられました。この「アジェンダ2010」はフォルクスワーゲンで労務担当役員をしていたペーター・ハルツを委員長とした委員会の報告をもとにつくられ、2003年から実施されました。 「アジェンダ2010」は改革の成果が出るのが2010年頃になる、ということでつけられたものです。シュレーダー元首相が最も重視したことは、「失業者の削減」です。 ▼2003年に施行された政策 ・失業者を派遣労働者として登録し、仕事を紹介する人材サービス機関を設置する ・起業を通じた自立プログラム ・所得税、社会保険料が部分的に免除される低賃金制度の導入 ▼2004年に施行された政策 ・ハローワーク機能の強化 ・失業手当の受給期間を短縮 ▼2005年に施行された政策 ・半永久的に給付していた失業扶助と社会扶助を統合し、新しい失業給付に統合 最後にあげた失業扶助の廃止によって、ドイツの失業率が2.8%低下したと、ドイツ連邦銀行のミヒャエル・クラウゼと米シカゴ大学のハラルド・ウーリッヒ教授は論文で述べています。 さらに、面白い政策が「労働時間貯蓄制度」の導入です。これは時間外労働に関して割増賃金を払うのではなく、貯蓄のようにためておいて、仕事が暇になったときに消化する制度です。 これによって景気の動向に雇用が左右されることなく、繁忙期には労働時間を貯めておき、閑散期には貯めた労働時間を使うので、仕事がなくなったからといって解雇される心配はありません。 ※会社は解雇する場合、貯蓄した労働時間に見合った割増賃金を払う必要がある。 参考『独の労働市場改革に学べ』鶴 光太郎 http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/tsuru/21.html ◆左翼思想は国を衰退させる 幸福の科学グループの大川隆法総裁の近著『国際政治を見る眼』には、「『左翼思想が流行ってくると、国が凋落する』ということを、もっと徹底的に知ったほうがよいでしょう。」(p.129)とあります。 『国際政治を見る眼――世界秩序[ワールド・オーダー]の新基準とは何か』大川隆法著 http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1307 一つの国という大きなくくりから見ると、失業者が多いということは養わなければならない人が多い、ということです。家族であっても、扶養者が2人、3人、4人であれば養うことができても、10人、20人、30人であれば苦しくなってくるでしょう。 ですから、政府としては働く意欲のある人に仕事を紹介する、新しい仕事を創ることで働いてもらい、養わなくてはいけない人を必要最低限にすることが最優先課題です。 幸いなことに、日本には勤勉の美徳が文化として根付いています。この美徳の上に空前の繁栄を実現し、世界に拡げてゆきたいと思います。 EUでの財政バトルから日本が考えるべきお金の使い方 2014.10.23 文/HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ 日本のメディアではあまり紹介されていませんが、今、EUにおいて「財政ルールを遵守するべきか否か」が大きなトピックになっています。対立構図の中心は、「ドイツvsフランス・イタリア」です。 ◆ドイツの主張:財政ルールは守るべき ドイツのメルケル首相は、財政ルールをしっかりと守ることが、ユーロ圏の信用を保つために非常に重要であるとしています。ドイツ国内でも景気を回復させるために、構造改革をはじめ支出カットをおこない、財政赤字を減らすことを明言しています。 ◆フランス・イタリアの主張:景気回復のために今は政府支出が必要 フランスは、欧州委員会から財政改善のための緊縮の要請を拒否して、2015年予算を計上しています。この予算を組むためには、GDP比4.3%分の財政赤字が発生し、EUの財政ルールである3%を大きく超えています。 また、イタリアのレンツィ首相は、2015年予算では大幅減税と投資促進に向けた景気刺激策を提案しており、EU財政ルールぎりぎりのGDP比2.9%の財政赤字を見込んでいます(当初はGDP比2.2%の財政赤字を見込んでいたが、さらに増えている)。 要するに、フランスとイタリアは、景気の見通しが暗い状況で緊縮政策をすると、さらに景気が悪くなるので、「政府歳出の削減を今はやらない」と主張しているわけです。 ◆EU参加国に義務付けられる財政ルール ちなみに、EU参加国に対しては、以下の財政ルールが適用されています。 ・年間の一般政府財政赤字をGDP比3%以内 ・一般政府債務残高(政府の累計債務)をGDP比60%以内 このルールは、1993年に発効したマーストリヒト条約の中で、EU参加の条件として定めらましたが、2008年9月のリーマンショック以来、EU参加国のほとんどの国において、このルールを遵守できていません。 ◆日本は財政規律に固執して増税していいのか? 残念ながら、こうしたEU圏内の財政ルールを取り巻く議論については、あまり日本のメディアでは紹介されていません。しかし「ドイツvsフランス・イタリア」で繰り広げられる財政ルールについての議論は、日本としても重要な教訓があるといえます。 ドイツがこのまま財政均衡への政策スタンスを取り続ける限り、EU圏内の景気回復は難しいと考えられます。欧州委員会としても財政ルールに固執するのではなく、どうすれば景気を回復して、経済成長するのかを考えていくべきでしょう。 日本も同様です。消費税を8%から10%へと引き上げる判断を、首相が12月に行うとされていますが、景気が悪化しつつある中、増税した結果、税収が増えることもなく長期不況を招いた1997年の消費増税と同じ過ちを繰り返すことになりかねません。 ◆借り入れコストが安いからできることをやろう! ドイツが財政ルールを重視する姿勢を批判しているフィナンシャルタイムズの論説では、以下のポイントが主張されています。 ・利率に注目せずに、財政赤字と債務残高だけを考えるのは意味がない。 ・借り入れコストが安い今、財政赤字のコストに関する考え方を変えなければならない。 ・低利率の今だからこそ、追加の公共投資をするためにお金を借りるべきだ。 ・マーケットは叫んでいる。「借りろと」。 (Financial Times 2014/10/22 Page.9 “Reform Alone is no Solution for the eurozone”) 同じことを日本に置き換えるとどうでしょうか。日本の10年国債の利率は世界一低い0.49%です(10/22時点)。つまり、借り入れるコストが極めて安いのです。だとすれば、今にしかできないお金の使い方を考えるべき時なのではないでしょうか。 例えば、リニア・モーターカーの建設が開始しましたが、東京-名古屋-大阪の同時開通を支援するために、日本政府が超低金利で融資することも検討できるはずです。 ◆マスコミが果たすべき国民への責任 国家財政は税金と密接に関係があり、国民の財産に関わる重要なことです。朝日新聞の従軍慰安婦報道の訂正や吉田調書での誤報をきっかけに、マスコミの役割が見直されています。国民が税について幅広く考えるためにも、EUでの財政ルールについての議論も積極的に報道していただきたいと思います。これもマスコミが果たすべき国民への大切な責任だと思います。 ◆試される日本の構想力 日本は、EUで起きている財政ルールをめぐる攻防を教訓とし、現状の財政再建目標(2020年までのプライマリーバランス黒字化)を見直し、消費増税は見送る。 そして、経済成長への「投資としての減税」という発想で、過度な代替財源探しは控えて、法人税の減税を断行することも一案ではないでしょうか。 お金が行き場を探している「今」にしかできないことを構想し、実行するべきです。 どうなる日本経済!?アベノミクスの行方を問う 2014.10.21 文/HS政経塾2期卒塾生 川辺賢一 ◆揺れる世界経済――円安ドル高・株高トレンドは終わったか 10月初頭に1ドル=110円台を付けたドル円相場でしたが、第3週には一時105円台前半まで急落。また先月には1万6千円台を超えた日経平均株価も1万4千円台の前半まで続落しました。 その要因としては、世界経済の減速懸念や9月末に発表された米国の景気指標(米国の消費者信頼感指数等)が悪化し、米国の利上げ観測時期が遠のいたこと、世界的なリスク回避の動きから安全資産として円が買われたことが挙げられます。 しかし一方、足元の米経済指標が底堅い回復を示していることも無視できません。 今月16日に発表された米国の失業保険申請件数は大幅に減少、鉱工業生産指数は予想を上回る上昇、米住宅着工件数や大手金融機関の決算も大幅に改善しており、不安定な金融市場とは裏腹に米経済の回復基調には底堅いものがあります。 一部マスコミは世界同時株安を囃し立て、人々の不安を掻き立てますが、あまり踊らされるべきではありません。 米国の利上げ観測時期が遠のいたとはいえ、遅かれ早かれ利上げ局面に入ることに変りはなく、一方の日本では日銀による追加緩和が期待されています。 世界に放出されたドルが回収されるなか、円の放出はしばらく続く以上、中長期トレンドとしての円安ドル高、そして株高に変化はないと言えるでしょう。 ◆インフレの主犯は円安や金融緩和ではない さて日銀の「異次元緩和」が始まって日本のデフレ脱却が見えて参りましたが、一方で緩和政策による円安が原材料費等の輸入物価を押し上げ、国民の生活を苦しめているとし、金融緩和の副作用を批判する声もあります。 通貨安によるエネルギー価格の上昇や賃金の上昇によるインフレを、コスト・プッシュインフレといい、悪いインフレとされますが、果たして日本は日銀の緩和政策の結果、悪いインフレに向かっているのでしょうか。 現在のインフレ率(生鮮食料品除くコアCPI)は前年比3.1%(8月)で、このうちエネルギーの貢献は0.8%にすぎず、需要増加分はたったの0.2%であり、誤差の範囲です。 ではインフレ率3.1%のうちの残りの2.1%は何によるものなのでしょうか。 それが消費税の増税です。現在、徐々に始まり、国民生活を苦しめるとされているインフレは円安によるものでもなければ、エネルギー価格の上昇によるものもなく、金融緩和の副作用でさえありません。消費増税の効果です。 さらに消費増税は日銀がインフレ目標政策でターゲットにしているインフレ率、すなわち需要増に伴うインフレ率の上昇を抑えてしまうので、悪いことしかないのです。 ◆円安は是正すべきなのか また中小企業を中心に円安への懸念が表明されておりますが、円安は是正されるべきなのでしょうか。 まず、ほとんどの場合、デフレ脱却の過程で通貨安そのものは避けられません。ゆえに日本経済がデフレ脱却に向かっていくことを良しとするならば、円安を受け入れる方向で対策を考えていくべきです。 では円安は中小企業や海外から原材料を輸入する企業にとっては悪いことばかりなのでしょうか。 私自身、現在、ある中小ベンチャー企業のなかで、海外から部品を輸入して加工した最終製品を、主に国内向けに販売しておりますが、円安による原材料費上昇のマイナスよりも、円安に伴う大企業の株高や開発費増加によるプラス効果の方を強く感じます。 また円安になると、競合する海外メーカーの製品価格が上昇するため、国内で製品を販売する製造業であっても恩恵は受けるのです。国内市場においても海外製品と競合しているからです。 さらに言えば、中小企業であってもドル資産を持てば円安のリスクをヘッジできます。仮にドルが下落して、保有するドル資産の価値が目減りしても、ドル安によって原材料費が下がれば、その分の損失は相殺されます。 いずれにせよ、日本は自由な変動相場制を採用しているのですから、基本は自由な市場に任せるべきです。金融緩和によって起こる通貨安に備え、対策を打つことはできても、「是正する」ことはできませんし、すべきでもありません。 ◆世界を明るくできるのは日本だ! 現在、エボラ出血熱やイスラム国の台頭等、雲行きの怪しい世界情勢が人々の心理を不安にし、世界経済の回復を遅らせております。またそれが日本の回復を遅らせる要因にもなっております。 しかし現在、デフレ脱却過程にある大国・日本の経済の力をもってすれば、世界経済の見通しを明るく変えてゆくことができます。 まず日銀が市場の期待に応えて追加緩和を打ち出すべきです。続いて政府が消費増税を撤回し、韓国やシンガポール並みの大幅な法人税減税に向けた工程表を示すべきです。 日本が世界の需要を牽引する意志を示すことで、世界経済の見通しを明るくし、それをもって日本経済回復の起爆剤としてまいります。 すべてを表示する « Previous 1 … 11 12 13 14 15 … 33 Next »