Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 ピンチをチャンスへ。今こそ日露関係改善を図るとき! 2014.09.29 文/HS政経塾4期生 窪田真人 ◆ 日露首脳11月会談、日露両政府基本合意 日露首脳会談が、11月北京で開催予定のAPEC首脳会議の際に行われると27日各紙が報じました。ロシアは日本にとって国防の面で対中国包囲網を形成する為に、地政学上大変重要な国です。 しかしこれまで日本政府は、ウクライナ問題を巡って米欧と共に対露制裁を発動し、今年秋に予定されていたプーチン大統領の訪日も困難になっていました。 こうした中での、日露首脳会談の開催は日本にとって大変大きな意義を持ちます。 ◆ 過去2回、日本の対露制裁における米露双方からの批判 2014年3月ロシアがウクライナ南部クリミア自治共和国の独立を承認した際には、日本は査証(ビザ)発給要件緩和に関する協議を停止する制裁措置を行いました。 7月マレーシア航空機墜落事故の際には、クリミア併合やウクライナ東部の騒乱に関与したとみられる40人、またクリミアのガス企業と石油供給会社の2社を対象とした資産凍結を行いました。 こうした日本による対露制裁は、米欧と比較して大変甘いものです。 特に2度目の制裁に関しては、欧米はプーチン大統領の側近や政府当局者に加え金融、エネルギー、軍事技術産業をターゲットにした幅広い追加制裁を推し進めたのです。 それに対し、日本は既に欧米で制裁されている2社に加え、ロシア政府要人が含まれていない40人を対象にした制裁内容であった為、「日本は対露制裁に関して熱心ではない」と米欧各国から批判が相次ぎました。 その一方でロシアからは、「いかなる留保を付けようとも、露日関係のあらゆる面に損失を与え、後退させることは必至である」という声明が出され、日露関係の悪化に繋がりました。すなわち、日本は米露双方から批判を受けるという非常に苦しい立場に立たされたのです。 ◆ 9月に入ってからの日露関係の動向 8月28日ロシア軍がウクライナ東部に数千人規模の部隊を侵入させていることが判明し、親ロシア派の司令官とウクライナ政府高官が認めたことにより、9月12日米欧が対露追加経済制裁を発動しました。 日本においても、米国から金融分野での対露追加制裁を要請され、24日から武器輸出の厳格化やロシアの一部銀行による証券発行制限など対露追加制裁を発動しています。 この対露制裁は表向き米欧に配慮したものであり、形式上は米欧並みとなっていますが、内容として実効性は乏しくロシアとの関係を重視したものとなっています。 しかしその結果、米欧からの評価を上げることはできましたが、ロシアからは批判声明が出され、日露関係をより冷え込ませる結果になってしまいました。 実際に制裁強化の検討が報じられて以降「露、外相会談を拒否」、「プーチン氏側近のイワノフ大統領府長官が北方領土の択捉島訪問」など日露関係の悪化を示唆するニュースが数多く報じられました。 さらに、「ロシアが中国に天然ガス供給へ」、「露中共同で日本海沿岸に北東アジア最大の港を建設へ」など中露における経済関係の強化を報じるニュースが数多く報じられている点も見過ごすべきではありません。 ウクライナ情勢を巡り米欧諸国との関係が悪化する中、ロシアが中国との経済関係を深めようとする構図が見受けられます。 ◆ 日露首脳11月会談を日本はどう活かすべきか 日本はアメリカとの関係強化により国防を守りつつ、一方ではロシアとの関係強化により国防上対中国包囲網を固めたい、また北方領土問題を解決したいというのが率直なところでしょう。 こうした状況において、日露首相会談は大変重要な意味をもちます。ではこの機会をどうやって日露関係の改善に繋げていくべきでしょうか。 その答えとして、(1)日本が強いリーダーシップを以て米欧とロシアの関係改善に積極的に働きかけること、(2)ロシアにとって必要なエネルギー輸出、ハイテク導入、また極東開発における経済協力を日本が進んで行うこと、この2点が挙げられます。 特に米欧とロシアの関係改善は大変難しいですが、日本にとっては非常に重要であり、進んで行うべきです。 例えばイスラム国対処においてアメリカは各国の連携を呼びかけていますが、ロシアは現在、国際連携を検討する立場をとっています。 ここで日本が積極的に働きかけ、ロシアを連携支持の立場に引き込んだのであれば、米露関係が改善され、日本のプレゼンスも上げることができるでしょう。 ピンチはチャンス。今こそ日本が主体的に日露関係の強化に踏み出す時ではないでしょうか。 拉致被害者救出には「国民の思いの結集」が必要だ 2014.09.24 文/HS政経塾第2期卒塾生 幸福実現党世田谷区代表 曽我周作 ◆拉致被害者のご家族の方々の複雑な思い 9月23日の秋分の日、テレビのニュースでは北朝鮮で開業したという高級ホテルの様子が映し出され、また中国の大連で北朝鮮が投資説明会を開き、北朝鮮への投資を呼びかけている様子が映し出されていました。 罪のない日本国民が多数拉致され、いまだに帰すこともしない、そんな北朝鮮という国に対して投資をすることを呼びかけている様に何とも言えない憤りを覚えました。 拉致被害者や特定失踪者等の調査を行う北朝鮮の特別調査委員会からの最初の報告は、当初9月第2週あたりまでに行われるものと見られていました。 9月13日(土)には日比谷公会堂にて「もう我慢できない。今年こそ結果を!国民大集会」が開催され、その会場に筆者も参加させていただきましたが、間もなく来るはずの調査報告を不安な気持ちと、しかし「今度こそは」「今年こそは」と期待も込めて待ち続ける拉致被害者のご家族の方々の複雑な思いがヒシヒシと感じられました。 しかし、9月24日現在、北朝鮮からの最初の報告は出されておりません。 ◆北朝鮮の制裁解除の問題 そもそも 北朝鮮の宋日昊(ソンイルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使は「拉致被害者の安否を含めた日本人に関する再調査について、日本側への最初の結果報告がいつでもできる状況にある」と、共同通信に対して語ったということが9月11日の時点で報道でもなされていました。 しかし、これに対して9月19日に菅官房長官が会見で「現時点では初期段階を超える説明はできない」と北朝鮮側から説明があったと発表しており、明らかな矛盾があります。 「救う会」会長の西岡力氏は「水面下で北朝鮮が調査結果の一部報告の見返りに、日本の独自制裁の追加解除を求め、安倍政権がそれを拒否しているのではないかとみられる」(産経新聞9/20)と述べています。 経済が疲弊し、外貨不足に苦しむ北朝鮮が、制裁の追加解除を期待して調査の結果を出そうとしたけれども、日本としてはとても制裁の追加解除などに応じられるものではなかったのではないかということも言われています。 そもそも、「再調査」が行われることが決まり、日本独自の北朝鮮への制裁は一部が解除されています(【1】人の往来、【2】支払いの届け出義務、【3】北朝鮮籍船の入港禁止、の3項目)。 しかし、中山恭子氏は先に挙げた9月13日の日比谷公会堂での大会におけるスピーチの中で「特に船舶の入港については、北朝鮮側が被害者を帰国されるための行動をとったというが確認されない限り許してはならなかった」と述べています。 また、同大会においては、制裁解除で再入国禁止が解けたことで訪朝した、朝鮮総連の許宗萬議長の再入国許可取り消しを検討すべきだとの声もあげられていました。このような制裁解除の反対の声や、再度の制裁強化を望む声が上がっています。 北朝鮮の対応しだいでは、当然、制裁の再強化もとられるべきでしょう。 ◆国民の総意を集めて拉致被害者の帰国実現を 家族の方々は高齢化が進み、焦る気持ちは当然あるはずです。拉致被害者5人が帰国した2002年、そしてその家族が帰国した2004年。しかしそれ以降拉致問題は進展を見ることができず、その間無念にもご帰天された拉致被害者家族がいらっしゃいます。 しかしその中にあっても、13日の大会では「北朝鮮への妥協をすべきではない」「中途半端な回答はいらない」との声が被害者家族からあげられています。 それは北朝鮮への妥協は拉致被害者の帰国につながらないからであり、北朝鮮は家族の「焦る」心を利用しようと企んでおり、それに付け込まれて中途半端な回答を許してしまえば、結局それも拉致被害者の帰国につながらない、そして日本の国のためにならないとの思いからです。 前述の西岡氏も「途中で何らかの要求に応じれば、すべての拉致被害者救出に失敗する恐れがある」としたうえで、北朝鮮に対して「日本が譲歩すると思ったら大間違いだというメッセージを伝え続けるべきだ」と指摘しています。 そのためにも、やはり必要なことは、ごく普通に日常を送る多くの私達日本国民が、「拉致被害者は絶対に取り戻さなければならない人たちなのだ」という思いを、静かにで良いと思いますが、しかしもう一段強く持つことだと思います。 そして、いまこそ日本は国民の生命・安全・財産を護ることができる国へと生まれ変わるべきであろうと思います。 また、さらに拉致された日本人やその家族等の帰国のみならず、いつの日か、自由を奪われ人権弾圧と貧困の中に苦しみ続ける北朝鮮国民の人たちにも、自由がもたらされ、圧政からの解放の日が訪れるような未来をつくらんという志を持ちつづけたいと思います。 アメリカと中国が交わす新たな「密約」とは? 2014.09.23 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆無神論国家VSイスラム教の対立が激化する新疆ウイグル自治区 シリア・イラクのみならず、中国国内でも体制側とイスラム勢力の対立が激化の一途を辿っております。 その原因は、中国共産党政権による、イスラム教徒が多数を占めるウイグル族への「信教の自由」に対する厳しい制限、言語の使用制限や習慣・風習の破壊、ウイグル人女性の強制連行など、許されざる人権侵害がまかり通っていることへの抵抗運動、分離独立運動であります。 一方で政権側から見ると、新疆ウイグルは天然ガスの生産地であると同時に、中央アジアからの天然ガス輸送ルートに当たり、エネルギー安全保障の要衝であるため、その地で分離独立を主張するウイグル族は、国益を脅かす最大級の脅威に当たると言えます。 最近では、ラマダン明けの7月28日、中国の新疆ウイグル自治区のカシュガルで起きたウイグル人による暴動では、「少なくとも2000人以上のウイグル人が中国の治安部隊に虐殺された」と言われております。 *参考「HRPニュースファイル:ウイグルで死者2000人以上――真実を明らかにし、国際社会に正義を問える日本に」 http://hrp-newsfile.jp/2014/1629/ また9月22日、中国の新疆ウイグル自治区バインゴリン・モンゴル自治州において、相次いでウイグル人による自爆行為が起き、2人が死亡し、多数が負傷したと伝えられており、共産党政権はウイグル族への締め付けを更に強化していく見込みです。 ◆対イスラム国でアメリカと中国が交わす「密約」とは? 一方、国際社会では、中国によるウイグル族への人権侵害が世界的な批判の的となりづらい展開になりつつあるのが現状です。 それは、9月7~9日に訪中したライス補佐官と習近平国家主席の間で、イスラム国対策として取り交わされたとされる「密約」が原因です。 具体的には、中国は、アメリカ主導の有志連合による「イスラム国」打倒の動きを支持する一方、アメリカは、新疆ウイグル自治区で、中国当局がウイグル族に対する締め付けを強めることに、あからさまな異論を唱えないという内容です。 アメリカとしても、有志連合の形成を急ぐ中、国連の常任理事国であるロシアとの折り合いが付けられない状況のため、もう一つの常任理事国である中国への支持が必要不可欠であったという苦しい事情があったと言えます。 ◆イスラム国の台頭は中国の国益に大きく資する 一方、中国としても、「イスラム国」から事実上の「ジハード(聖戦)宣言」がなされており、同一の敵に対峙することでアメリカとの信頼関係を深めると同時に、「密約」によってウイグル族弾圧の正当性を得ることができ、ウイグル族に対する「信教の自由」の侵害など、国際的な批判をアメリカの黙認によってかわすことが出来ると言えます。 実際に、9.11の同時多発テロ以降、中国は新疆ウイグル自治区に、イスラム過激派アルカイダの勢力が浸透していると主張し、当時のブッシュ政権はイスラム系独立派勢力の「ETIM」をテロ組織に指定するなど、反イスラム過激派を切り口にして同様の「約束」が交わされた過去もあります。 そして何より、しばらくアメリカは中東に釘づけにならざるを得なくなり、アジアへのリバランス戦略は有名無実化することは間違いありません。 中国はアメリカを取り込みつつ、国内における人権弾圧の批判をかわしながら、アメリカ不在のアジアで軍事的な拡張行動を行いやすくなるため、敵対関係にあるはずの「イスラム国」の台頭は、結果的に中国の国益に大きく資することになっていくと考えられます。 ◆日本の鉄則は「自主防衛の確立」と「中国における自由の革命」にあり 翻って、日本は今回のイスラム国への対応として、避難民援助など総額約55億円の中東支援を表明する見通しで、アメリカ主導の有志連合を支持する姿勢を強調するに留まっております。 確かに、国内にイスラム教徒を多くは抱えない日本としては、中東周辺国やヨーロッパ、中国などと比較して、イスラム国の脅威は感じにくいですが、既にオーストラリアなどでも、イスラム国関連のテロ計画が露見されるなど、世界中で見えない驚異が進行しているとみてよいでしょう。 また近い将来、中国によって来たるべきアジア有事において、自国民やアジア諸国を守ることが出来る自衛体制をいち早く確立しなくてはなりません。 更に、アメリカが目を背ける今、ウイグルで起こっていることは、イスラム過激派による単なるテロリズムではなく、無神論国家・中国に対して、信教の自由をはじめとするあらゆる自由の抑圧への抵抗運動(レジスタンス)であるということを、我々日本人こそが正しく理解する必要があります。 事実無根の「南京大虐殺」ではなく、現在進行形で起こっている「ウイグル大虐殺」の真実へと世界中の目が向けられ、ウイグルで弾圧される人々を救済する具体的な力となることこそ、日本の使命であると考えます。 *The FACT「よく分かる中東問題」に出演中です。こちらもよろしくお願い致します! 【第2回】「イスラム国はアメリカによって作られた!?」 https://www.youtube.com/watch?v=coT549z3X6U&list=PLF01AwsVyw33VAiV9OENVfi0W-wSMUBez どうなる?スコットランド独立を問う住民投票~日本は何を学ぶべきか 2014.09.18 文/HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆本日発表、スコットランド住民投票の結果 スコットランドの独立を問う住民投票が始まっています。開票結果は、本日の午後3時頃までに判明する予定です。果たしてどのような結果となるのでしょうか? 8月以降、独立賛成側が支持を伸ばし続け、今や世界中がその結果に注目しています。スコットランドの主要な三つの世論調査(16日時点)では、反対が4ポイントリードしていますが、約1割の態度未定者があり、依然として賛成と反対が拮抗しています(9/18東京、9/18毎日)。 スコットランドの独立側が勝った場合、2016年3月までに独立への具体的なプランを協議していくことになりますが、確かな見通しはあるのでしょうか。 ◆スコットランドの独立の厳しい見通し 独立を選択した場合、その道は険しいものとなりそうです。4つのポイントを挙げたいと思います。 1)使用する通貨が決まっていない 独立した場合に、どの通貨を使用するのかが決まっていません。独立推進派は、ポンドを使用できる通貨同盟を提案していますが、今のところイギリス政府は反対しています。したがって、独自通貨にするか、ユーロを使用するかの選択をすることになりますが、いずれも道のりは簡単ではありません。 ◇独自通貨導入の場合 通貨の信用を保つことは簡単なことではありません。当面は十分な外貨準備が不可欠ですが、スコットランドが独立を決めた場合、大手の金融機関は、本社をイギリスに移すことを宣言しており、大規模な資金流出が予想されます。 ちなみに、大規模な資金流出によって、通貨が下落してあっという間に国の財政破綻に陥ったことは、かつてアルゼンチンやアイルランドでも起きたことです。 ◇ユーロ導入の場合 ユーロを使用するとした場合は、自分で金融政策をおこなうことができません。 北海油田の収入に頼ろうとしていることからも、これといって経済を牽引する産業がスコットランドにはないので、厳しい財政規律を課せられて、経済が停滞する可能性は高いといえます。 2)債務の利率が上がる 財政面では、政府債務をイギリスとスコットランドで分け合うことになると言われています(9/18毎日8面)。独立したスコットランドへの信用が高まることは考えにくく、債務の利率が上がり、利払い費が上がり、想定よりも社会保障に資金が回らない可能性もあります。 3)当てにしすぎるのは危ない北海油田の収入 北海油田の収入を、財政再建に当てようと考えているようですが、「油田埋蔵量を大幅に水増しして見積もっている」という指摘もあります。 仮に油田埋蔵量が豊富にあったとしても、シェールガスの台頭や、メタンハイドレードの開発も進んでおり、将来的に油田収入がどうなるかは不透明です。 資源国からの収入への過度な依存から脱却しようとしているのがトレンドでもあるので、この点から見ても、油田への過度な期待は危険ではないでしょうか。 4)安全保障上の不透明な見通し スコットランドには、イギリス海軍の核戦力が配備されており、独立側は2020年までに撤去すると主張しています。 これはイギリスだけの問題ではなく、北大西洋条約機構(NATO)の安全保障にも影響を与える議論となります。独立派は、NATOへの加盟を想定していますが、加盟そのものがスムーズに進まない可能性があります。 ◆日本にとっての影響は? 当然のことながら、イギリスは経済面でも安全保障面でも日本にとって大切な国です。 2012年4月の日英の共同声明では、日本の安保理常任理事国入りを支持することを表明していますし、今年の5月の安倍首相の訪英でも防衛装備品の共同開発の推進や、安全保障の協力推進などを確認しています。 日本がとやかく言うべきことではないかもしれませんが、スコットランドが独立することで、イギリスの国際的なプレゼンスは下がることは、日本にとっては望ましいとはいえないと思います。 ◇イギリスにも、経済活性化への大胆な構想が不可欠 スコットランドは、伝統的に労働党の支持基盤であり、北欧型の高福祉社会を志向する傾向がありましたが、不満が高まっているのも、経済が停滞している点に原因があります。 キャメロン首相は、独立をしない場合は、スコットランドに対して大幅な権限移譲をすることを提案していますが、それだけではなく、イギリス全体の経済成長を促進する構想が必要ではないでしょうか。少なくとも、金融サービス以外の産業を育てることを早急に検討するべきです。 スコットランドは、経済学の祖アダム・スミスを輩出している地でもあります。 イギリスが、ピンチをチャンスに変えて、21世紀の国富論を実現する方向へと舵を切ることを期待したいと思います。 日本としては、イギリスの苦しみを教訓として、新産業の構想や法人税を大幅減税(小出しではなく)するなどの経済成長政策を推し進めるべきではないでしょうか。 中東問題でも存在感を示せる日本へ 2014.09.17 文/徳島県本部副代表 小松由佳 ◆「イスラム国」への本格的空爆開始 米オバマ政権は、イラクとシリアで勢力を広げるイスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」の打倒を目指し、8月8日からイラク内の同組織拠点などへの空爆を行ってきました。 米政府は当初、空爆の目的を自国民や避難民の保護に限っていましたが、今月10日に「イスラム国」打倒を最終目標とする新戦略を示し、「イスラム国」と対決するイラク政府軍の支援や、「イスラム国」の本拠地であるシリアも空爆対象に含めることを表明しました。 そして、14・15日、米軍はバクダッド南西部とイラク北部で計2回の空爆を実施し、8月8日以来の空爆は計162回となりました。米調査機関ピュー・リサーチセンターが15日に発表した米国内世論調査では、回答者の53%がオバマ政権の軍事行動を支持しています。 オバマ大統領は、地上部隊の派遣は否定していますが、米制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長は16日、「脅威が米国に迫れば、そのときは大統領に進言する。進言には、地上部隊の使用も含む可能性がある」と議会で証言しました。この発言が波紋を広げていますが、自国を守るためにあらゆる可能性を考慮すること自体は、当然のことでしょう。 ◆国際社会の協力体制 各国も協力体制を築きつつあり、9月初めに同問題についての閣僚級会合が開かれ、米、英、仏、独、カナダ、オーストラリア、トルコ、イタリア、ポーランド、デンマークの10カ国を中心に、同月下旬の国連総会までに「有志国連合」を発足させる方針を確認しました。 15日には、パリでも国際会議が開かれ、シリアやイランは不参加だったものの、ロシアや中国をも含む約30カ国・機関の外相らが参加し、イラク政府を支援すべく「適切な軍事支援を含め、必要なすべての措置をとる」との共同声明を発表しました。 イラク上空で偵察飛行を行っているフランスや、UAEへの戦闘機派遣を発表した英国やオーストラリアなども、軍事介入を行う可能性が出ていますし、紛争当事国への武器供与を自粛してきたドイツすらも、長年の外交方針を転換し、イラク北部で「イスラム国」と戦うクルド自治政府への武器供与を表明しています。 ◆シリア問題先延ばしのツケ このように、イラクでの作戦に対する協力体制は整い始めていますが、米国が同様に空爆準備を進めるシリアについては足並みが乱れ、同声明でも言及されませんでした。 「イスラム国」の壊滅のみを目指すなら、イラク同様、シリアの政府軍と協力するのが効果的ですが、米欧や周辺国の大半は、独裁下で自国民を弾圧・虐殺してきたアサド政権とは対立してきましたし、当然ながら協力するわけにはいきません。 かといって、シリア内の穏健派反政府勢力は、米軍と協力して戦えるほど有力な勢力にはなっていません。オバマ政権はこれまで、内戦の火に油を注ぐとして、彼らと距離を置いてきましたが、シリア問題を放置してきたツケが回ってきたと言わざるを得ません。 そこで、米政府は、空爆の準備と並行して、これら穏健派勢力への武器供与や訓練も急いでおり、今後1年間で約5億ドルを投じる計画を立て、議会に早期承認を求めています。サウジアラビアなどの湾岸諸国も、これらの勢力への資金供与を行うと見られています。 ◆より一層の国際貢献を目指して 一方、日本は、集団的自衛権についての7月1日の閣議決定においても、「武力の行使」を認めていない現行憲法の下では、他国の「武力の行使との一体化」が起きないよう、他国が「現に戦闘行為を行っている現場」での支援活動は、実施しないことを定めています。 菅官房長官も今月16日、「イラク政府や各国政府によるテロとの戦いを支持したい」としつつも、「日本としては、軍事行動はできないから、人道支援を実施するほかない」と述べました。政府は、6月までに行った計780万ドルの緊急無償資金協力に加え、新たに1千万ドルを大幅に上回る資金の拠出方針を固めましたが、使途は人道支援に限るとしています。 こうした中、日本時間の17日には国連総会が開幕し、安倍首相も出席を予定していますが、24日には、首脳級の安全保障理事会が5年ぶりに開かれ、オバマ大統領が議長を務める予定で、最大のテーマは「イスラム国」対策になると見られています。 資金援助であれば、米政府も12日、シリア近隣諸国への約5億ドルの人道支援を表明しています。「テロとの戦い」という国際社会の課題において、日本は十分な役割を果たしていると言えるでしょうか。「イスラム国」には、日本人も拘束されており、日本は当事者でもあります。やはり、先の閣議決定に満足することなく、「世界の警察官」たる有志国連合に加わるべく、憲法9条改正に向けたさらなる世論喚起が必要です。 ましてや日本は、来年で創設70周年となる国連改革に向け、安保理常任理事国入りを目指しています。そうであるならば、集団軍事行動を決定する権限を持つ安保理のメンバーとしてふさわしいだけの資格を備えていると、国際社会に示さなくてはならないのです。 スコットランド独立問題から考える国家の在り方 2014.09.16 文/兵庫県本部副代表 湊 侑子 ◆9月18日 スコットランド住民投票 英北部のスコットランド独立の是非を問う住民投票が9月18日に実施されます。 キャメロン首相はスコットランド引き止めを強く訴えることに加え、自治権の拡大や税制の優遇を約束。政治に関して中立を保つエリザベス女王も「人々は将来のことを慎重に考えてほしい」と発言し、話題を集めています。 住民投票では、「スコットランドは独立国家になるべきか」の1問のみが問われ、「賛成」「反対」をスコットランド530万人のうちの16歳以上の有権者が実施します。 最低投票率は設定されていないため、賛成が過半数を超えれば2016年に独立となります。現状の世論調査では、独立賛成派と反対派の勢力は拮抗しています。 ◆スコットランド独立の問題点 スコットランド独立を願う要因は様々にあるでしょうが、大きな原因の一つは税金です。 キャメロン首相が提案した自治権の拡大の中には徴税権の譲渡も含まれているように、イギリスによる重税に苦しんできた歴史は長く、現在は北海油田を擁しながらも年間8000億円以上の税収を支払っていることが住民の大きな不満です。 独立賛成派は、北海油田の完全なる所有権を主張し、これらの税金で福祉や社会保障が充実した社会主義国家(北欧型国家)をつくる事を目指しているようですが、独立するならばポンドを使わせないとイギリスから通告されるなど先行きは不透明で、思い通りになりそうにはありません。 一方、イギリスにとってもスコットランドの独立は大きな痛手です。自国内をまとめることもできないということでEU内での影響力が低下、ウェールズ地方も独立を言い出すなど混乱が広がることが予想され、通貨価値も下落するでしょう。 なによりも国防面に関して大きな問題を抱えています。イギリスの核兵器は、すべてスコットランドのクライド海軍基地に配備されています。 スコットランドは核兵器を安全に廃棄し、永久に領内に持ち込みを禁ずるとの公約を発表しているため、これらの核兵器の移動と今後の運用をどうするかの問題が発生します。 スコットランド独立運動は、11月に住民投票を控えるスペインのカタルーニャ自治州をはじめ、スペインのバスク自治州やイタリアのヴェネチアなど欧州各地での分離独立運動を刺激することになります。 EU各国の中央集権の力が弱まる一方で、自治区が独立し、国が増加。これらがEUに加盟すれば、今以上にリーダー不在の小国の集まりとなります。 イスラム国への対応など難しい問題を解決しなければいけないにも関わらず、さらなる機能不全に陥ることが懸念されます。 ◆自治区問題と国家との関係性 自治区独立運動を警戒する中国は、ウクライナや欧州の独立運動を警戒しつつも、日本の沖縄の独立運動を応援するなど、自国に都合のよい矛盾した行動をとっています。 香港では、中国共産党の後押しによる“親中派”デモが先月初めて行われ、10万人が参加しました。デモに参加させるため、中国大陸から大量の中国人を運んできたバスにより、道路は大渋滞したようです。 中国支配の強化に反対する香港市民が今月14日、1千メートルの黒い布を持って香港中心部でデモを起こし、来月1日にも金融街において大きなデモを行う予定です。 世界各地における自治区の独立運動は、国家とは何か、ということを私たちが考え直さなければならない時期に来ていることを教えています。 イギリスのサッチャー元首相は、イギリス国民が元来の美徳である節制や勤勉、責任感や義務感を失い、自嘲的で怠惰なイギリス病にかかり国が凋落していこうとしているのを、15年以上かけて克服しました。 その信念は、“偉大なるイギリスは復活する”という確信と、“国は国民の将来に義務を負っている”という責任感でした。 今もとめられているのは、国の理想像を明確に示し、その目標に向かって国民を率いながら、国民一人一人の可能性を最大限に発揮できるような国であり、その指導者ではないでしょうか。 重すぎる税金を課し、私有財産や自由の侵害をしたり、生命を奪うような国家は間違った国家であることが明らかです。 国家目標を明示して国民をまとめつつ、奪うことではなく、自らができることは何なのかを考える国民を増やす教育を行うことも重要です。 日本は新しい国家像を世界に提案できる国を目指さなければならないと考えます。 アジア最後のフロンティア、ミャンマーへの日本支援 2014.09.15 文/HS政経塾 4期生 数森圭吾 ◆ミャンマーの開国 ミャンマー連邦共和国の民主化が進み始めたのは最近のことです。 同国では1988年から23年間にわたって軍事政権が続き、最近まで鎖国状態でした。軍事政権下では、民主化運動の象徴でもあったアウン・サン・スー・チーさんが合計15年間も自宅軟禁状態にあったように、民主主義への圧迫は非常に強い状況でした。 このため人権状態を問題視したアメリカが経済制裁を実施。これによってミャンマー経済は非常に厳しい状況に立たされました。しかし2011年にテイン・セイン氏が大統領に就任、民主化を推進したためアメリカの経済制裁が緩和され、いま海外からの投資が活発化し始めているのです。 ◆ミャンマーに進出する日本企業 民主化にともないミャンマーへの外資参入が活発化しています。例えば有名なコカ・コーラですが、世界でコカ・コーラが販売されていないかった国は北朝鮮、キューバ、ミャンマーだけでした。 現在ではミャンマーでも販売され人気が出ています。そのような中で、特に日本企業の進出が目立っています。 この3年間で日本企業の進出数は3倍に増え、156社が進出(14年5月時点)しています。JT、三菱商事、大和証券(証券取引所設立支援)、など大手企業だけでなく、総務省も郵便事業支援を行うなど官民あげてのミャンマー進出が始まっているのです。 ◆ミャンマー市場への日本の期待 鎖国状態にあったミャンマー市場は、欧米企業の進出が少ないため、この「手つかずの消費市場」への早期参入は日本企業が欧米に先駆けて市場開拓をするチャンスでもあるのです。 また、ミャンマーの人口は6200万人ですが、若い労働人口も豊富であり、識字率も92%を超えている(ASEAN第3位)ミャンマーは「労働市場」としても大きな期待を寄せられているのです。 日本企業進出の影響もあり、ミャンマーでは日本語学校が人気となっています。現在では旧首都のヤンゴン市内だけでも日本語学校が40か所も存在するという盛況ぶりです。 さらに戦後、日本が食糧難だった際には、ミャンマーから米の援助を受けたという歴史もあり、日本にとってミャンマーは決して「遠い国」ではないのです。 ◆ミャンマーの光と影 市場への期待という光と同時に影も存在しています。 第一はインフラの未整備です。道路網が非常に脆弱であり、また電力供給にも問題が多く毎日停電が起こるような状況にあります。 第二には政治情勢への懸念です。民主化されたとはいえ、ミャンマーの連邦議会の約80%が国軍政党出身であり、テイン・セイン大統領自身も国軍政党出身です。2015年に予定されている総選挙でミャンマーが本当に民主化の道を進むことができるかが試されることになりそうです。 ◆ミャンマーの交通インフラ整備が日本企業を救う ミャンマーの隣国であるタイには日本企業が約7,000社以上進出しています。タイからミャンマーに物資を運ぶ際は、「空輸」もしくは3週間かけてマラッカ海峡を通る「海洋ルート」しかありませんでした。 しかし、ミャンマーの外国人立ち入り禁止区域の解放に伴って陸路を利用することが可能となったのです。 ミャンマーの陸路が整備されればインド洋に直接アクセスすることができるようになります。インド洋の先には、インド、中東、ヨーロッパという巨大市場が存在するため、ミャンマーの交通インフラ整備は日本企業にとっても非常に重要な意味をもっています。 ◆ミャンマーで進む日本の巨大プロジェクト 日本企業がインフラ整備の一環として進めているのが、ティラワ経済特区における工業団地です。 現在400ヘクタール(東京ドーム80個分)の広大な土地に日本の商社と現地企業が連携して開発が進められており、日本政府もインフラ整備の為にODAで200億円資金援助をおこなっています。 最終的には山手線の内側の約4割の面積にあたる巨大な経済特区を築く計画もあるそうです。 ◆脱中国、中国包囲網の要となるミャンマー 経済制裁が実施されていた際、唯一ミャンマーに手を差し伸べたのが中国でした。 しかし次第に中国がミャンマーへの影響力を拡大し、支配的な政策を取り始めたことに対し、ミャンマー国内からも批判が高まり、いま脱中国が進められようとしています。 日本でも脱中国が叫ばれているが、ミャンマーと日本の連携強化は経済、安全保障の両面から考えて非常に重要であると考えられます。 したがってミャンマーにおいて真の民主化を実現するためにも、日本が官民一体となって支援し、共栄できる関係を築く必要があるのです。 「吉田調書」報道――日本を貶めた朝日新聞の誤報 2014.09.12 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆はじめて謝罪した朝日新聞 かつて伊勢の名物「赤福」や北海道の名物「白い恋人」は、製造年月日を偽ったことについて、社会から追及を受け謝罪したことがあります。またデパートにも出店していた名門の「船場吉兆」にいたっては、料理の使い回しが発覚し社会からの制裁を免れず倒産に追い込まれました。 企業がお客様を欺いて商品を提供すれば、それなりの社会的制裁が待っています。場合によっては倒産することもあるのです。厳しくともそれが社会の当然の定めです。 ところがマスコミ業界にいたっては、お客様に提供している商品である「情報」において、明らかな「誤報」を流しておきながら謝罪もしてきませんでした。その最たる代表が朝日新聞です。 その朝日新聞が9月11日、記者会見を開き、東日本大震災で福島第一原発の事故対応に当たった吉田昌郎所長の、いわゆる「吉田調書」に関する、5月20日のスクープ記事を取り消し、読者と東京電力の関係者に謝罪しました。 ※「吉田調書」とは、「政府事故調査・検証委員会」が作成した「聴取結果書」 ◆問われる朝日新聞の報道姿勢 朝日新聞は、同スクープ記事で「吉田所長の命令に違反し、福島第一原発所員の9割が第二原発に撤退」と報じました。ところが吉田調書を入手した産経新聞が「命令違反の撤退なし」と報じたところからマスコミ各社が朝日新聞の報道を追求し始めました。 調書で吉田所長は、直接事故対応を行っている所員以外の事務系などの所員は「(放射)線量の低いようなところに一回退避して指示を待てと言ったつもりなんです」と証言しています。 しかし朝日新聞は、吉田所長が「退避」して指示を待てと言ったにも関わらず、東電社員の9割が、事故現場から「撤退」して逃げたように報じたわけです。 11日の記者会見で木村社長と杉浦取締役は、「所長の発言の評価を見誤った」「記者の思い込みやチェック不足」と説明し特別な意図はなかったとしています。 しかし、これまでも朝日新聞は「反原発を推進する立場」から、汚染水の処理対応など東電を責める報道を繰り返してきました。 そもそも朝日新聞は所員への裏付け取材も行っていません。取材することなく「思い込み」によって報道することは三流の記者がやることです。 同社は、こうした不十分な記事を、6月にイタリアで開かれた「新聞協会賞候補」として世界新聞大会に申請し紹介しました。 さらに朝日新聞の報道を引用したニューヨーク・タイムズは「パニックになった数百人の所員が命令に背いて福島第一原発から逃げた」と報じたことで海外にも誤解が波及していったのです。 こうして「東電社員の名誉を傷つける誤報」が世界に発信されたのですが、吉田所長と東電社員の名誉を守るためにも「吉田調書」の公開の声が巻き起こり政府も公開せざるを得なくなったのです。 朝日新聞が非公開の「吉田調書」であるから、少しくらいウソを書いてもバレないと思ったのかどうかはわかりませんが、しかし政府が「吉田調書」を公開したその日の11日、真実が国民の前に明らかになる前に朝日新聞は謝罪の会見を開かざるを得なくなりました。 ◆朝日新聞の使命は日本人を貶める誤報を世界に拡散すること? 先の8月にも朝日新聞は、いわゆる「従軍慰安婦問題」の発端となった済州島で「婦女子を強制連行し慰安婦にしたとの吉田清治の証言」と「工場で働く要員として動員された女子挺身隊を慰安婦」と報道したことに間違いがあったとして記事を取り消しました。 この報道においても謝罪をしていないとの声が記者会見であがり、木村社長らは「訂正の遅れ」についても謝罪しました。 「吉田調書報道」「慰安婦報道」に共通する点は、「裏付け取材をすることなく思い込み」で報道し、「日本人を貶める誤報」が世界に拡散されていることです。 こうして「慰安婦」のウソの報道に対して日本は韓国に謝罪したばかりか、日本政府は韓国にお金までせがまれて支払いました。朝日新聞の誤報で日本の国益まで損なったのです。国民はそうした意味でもマスコミに対して真実の報道を求めなくてはなりません。 ◆次に来るのは「南京大虐殺」 朝日新聞は、1980年代の本多勝一が流した、いわゆる「南京大虐殺」報道の一つの発信源でもあります。それに乗じる形で、今年3月中国は、「南京大虐殺」に関する資料をユネスコの記憶遺産に登録申請しました。 私たちは、歴史認識をめぐる日本の名誉を回復するために、中国による記憶遺産への申請に強く抗議し日本政府に対して、登録阻止に向けて全力を尽くして参ります。 ※ご協力よろしくお願いいたします。 中国による「南京大虐殺」「従軍慰安婦」のユネスコ記憶遺産への申請に抗議し、 日本政府に万全の措置を求める署名 http://info.hr-party.jp/2014/3159/ 日本人が知るべき唯物論国家の恐ろしさ 2014.09.10 文/千葉県本部副代表 古川裕三 ◆度重なる中国による領海侵犯 9月4日、尖閣諸島周辺の領海側の接続水域に中国海警局の船3隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が発見しました。中国船が尖閣周辺で確認されたのはこれで27日連続になります。(9/5産経27面) 12年8月に香港(中国)の民間団体メンバーらが尖閣諸島に不法上陸して以降、周辺海域での中国公船による領海侵入はすでに300隻を超えています。 一方の日本の対応として、尖閣諸島を巡る日中間の対立が長期化していることを受け、警察庁は、沖縄県警の警備体制を拡充する方針を固めました。(9/8読売オンライン) 前回のHRPニュースファイルにて、チベットが中国に侵略されたのは、今の日本同様、一国平和主義に陥り、国防に対する備えが甘かったという事実を指摘しましたが、今回はより詳細に侵略後のチベットについて言及します。 ◆中国に侵略されるとどうなるか チベット亡命政府によると、チベットが中国に侵略される過程で、1959年から79年の20年間で殺されたチベット人は120万人以上と発表しています。 侵略後は、チベットに共産主義思想を浸透させるために、まず宗教が破壊されました。 実際にチベットでは、僧侶の処刑と寺院の破壊が徹底的になされ、「奇跡を起こせるなら皆の前で飛んでみせろ」と僧侶たちを高所から蹴り落とし、その時中国人は「自分の命さえ救えない者に、人命を救えるはずがないではないか」と言い放ったといいます。 中国は僧侶の威厳を地に落としてチベット人が僧侶に抱く尊敬と信仰心を根こそぎ奪い取ろうと試み、チベットの三大寺院を筆頭に、チベット全土で約7000以上あった僧院の9割を完全に破壊しました。 結果、100万人以上いた僧侶の9割が、死亡、還俗、国外脱出を余儀なくされたのです。寺院の破壊に際しては、著名な仏像や教典は奪取され、それ以外はみな破壊するという悪業ぶりです。 そのあと、奪い取った仏像などは、観光資源として“利用”されました。 ◆中国の最終目標は天皇制の廃止 40年以上も前、1972年に発掘された中国共産党の作成による「日本解放第二期工作要綱」の冒頭には、「日本が現在保有している国力の全てを、我が党(=中国共産党)の支配下に置き、我が党の世界解放戦に奉仕せしめることにある」という基本戦略が掲げられています。 工作員の具体的な任務として、第一期目標が日中国交正常化(1972年に現実化)、第二期が、日本に民主連合政府を成立させること(09年、民主党政権によって現実化)、第三期が天皇制の廃止(天皇は戦犯として処刑)と日本人民共和国の樹立があげられています。 これらの任務達成の手段においては、工作員が直接に手を下すというやり方ではなく、あくまでも日本人の選択として、自発的に行動するように仕向けるとしています。 ◆2050年極東マップ 数年前に中国外務省から流出したとされる「2050年極東マップ」なるものには、日本列島は分断され「東海省」と「日本自治区」が日本地図上に記されています。 中国によると、出生率低下で日本の人口は減少するので、日本列島の西半分に中国人を移住させて「東海省」とし、少数民族となった日本人を東半分に強制移住させて「日本自治区」とするとしています。 このように、中国は明確な国家戦略として、日本侵略を企てているのです。 ◆迫られる日本人としての選択 こうした事実を、荒唐無稽な話ととらえるか、現実に待ち受ける危機として捉え、備えを固めるか、日本人としての選択が迫られています。 来年の戦後70周年に向けて米中韓が歴史戦を仕掛けてきている今、我が党は正論を武器として戦い、中国がユネスコに記憶遺産登録を申請している歴史の捏造である、いわゆる「南京大虐殺や従軍慰安婦問題に終止符を打つため、署名活動を展開しています。 【中国による「南京大虐殺」「従軍慰安婦」のユネスコ記憶遺産への申請に抗議し、 日本政府に万全の措置を求める署名】 http://info.hr-party.jp/2014/3159/ そして日本の自虐史観の元凶である東京裁判史観の誤りを正し、日本人としての正当な誇りを取り戻すことで、世界の平和と繁栄に貢献するリーダー国家を建設してまいります。 参考文献:『最終目標は天皇の処刑』ペマ・ギャルポ著 日本外交のツボ、インドとロシア 2014.09.08 文/HS政経塾3期生 たなべ雄治 ◆安倍首相の地球儀外交 第二次政権の安倍首相の歴訪国数は49カ国となり、過去最多を記録しました。 その外交は、アジアのみならずアフリカや中南米にも及び、ODAやトップセールスなどで成果が出ています。 ◆モディ首相来日 さらに、外国首脳の招待でも成功しています。モディ首相は、主要国への単独訪問のトップバッターとして日本を選びました。その来日では、インフラ投資や企業進出など、良好な日印関係が強調されました。 反面、日印首脳会談の共同声明の内容からは、今後の課題が見えてきます。 課題の一つは、原子力協力です。日印原子力協力協定への進展が見られませんでした。 インドは慢性的な電力不足に悩んでおり、世界でも屈指の技術力を誇る日本の原発に大きな期待を寄せています。ところが日本は、インドがNPTに加盟していないことなどを理由に、原子力関連の協力を渋っています。 安倍政権は、反原発の日本の世論を懸念しているのでしょう。自衛隊法が決着していない中で日印の原子力協力まで踏み込むことは、国内世論の現状においては望めないでしょう。 しかしインドがNPTに加盟しないのは、中国に対する核抑止力の確保という不可欠の事情があるからです。日本の、とりわけマスコミは、この事情を理解しなければなりません。 インドは、米印原子力協力協定をはじめとして、日本以外の国との原子力協力協定は着実に進めています。日本一国のみが協定を結ばないことに意味はありませんし、インドとの協力関係への阻害要因にしかなりません。感情論に陥らない原子力政策の議論が必要です。 もう一つの課題は、安全保障協力です。今回の首脳会談で、日印の閣僚級2プラス2が決定されるのではないかと期待されましたが、結局見送られました。 これにはインドの国内事情が関連していると思われます。インドの今の最大の課題は、経済問題です。貿易額一位の中国を下手に刺激したくないのがインドの本音であり、今回の先送りは中国への遠慮でしょう。 しかし、モディ首相は心情的に大変な親日家であることが分かります。今回の訪日でモディ首相は、日本と大きな縁があるパール判事とチャンドラ・ボースの名前を幾度も口にしています。 講演の中でも、チャンドラ・ボースを再評価する映像を作りたいと表明されていました。日本としては、このメッセージを受け止めるべきでしょう。 インドは、歴史的にも地政学的にも重要な国です。特別な関係を築いて行く必要があります。 ◆ウクライナ問題への日本の役割 ウクライナ東部の紛争についても、この週末に動きがありました。 ウクライナ政府と親ロシア武装勢力との和平の覚書の詳細が公表されました。東部2州に強い自治権が認められるなど、ウクライナ政府の妥協が見て取れます。 これは妥当な落としどころでしょう。ロシア系住民も比較的多い地域です。ウクライナに代わって東部の自治地域が緩衝国としての役割を果たすのであれば、ロシアとしても納得できるのではないでしょうか。 ロシアの孤立化に伴い、仲が悪かった中露の関係が親密化してきました。中国への牽制要因が一つ減るわけですから、日本にとって悪い状況です。欧米とは逆に、ロシアの孤立化を防ぎたいところです。 ウクライナ停戦に関しては、自治のレベルが未解決で和平交渉の難航も予想されます。ここでも一つ、日本の外交が役割を果たすべきです。 北朝鮮の拉致問題でも見られたように、独自外交も安倍外交の特徴の一つです。日本が、ロシアと欧米とを仲裁することができれば、大きな成果です。安部外交に期待したいと思います。 ◆日本が果たすべき新たな役割 中国が香港での普通選挙を認めない方針を打ち出し、香港では抗議デモが続いています。 先進諸国に対しては巨大市場を、途上国に対しては巨額の経済支援、といったアメ玉を駆使して中国は影響力を強めています。 ところが、あからさまな人権弾圧、ハイペースの軍事費膨張を見れば、全体主義の拡張の危険はまさにアジアに迫っているといえるでしょう。 インドとロシアは歴史的にも友好的です。日印露の友好関係は、アジアの安定に大きな力を発揮するでしょう。 自由や人権、法の支配といった、中国がちらつかせる経済的メリットを超える価値を打ち出して、世界をリードすることができるか。日本外交が新たな役割を果たすべき時がきています。 すべてを表示する « Previous 1 … 59 60 61 62 63 … 98 Next »