Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 クリミア危機の行動から紐解くロシアに対する適切な「視点」 2014.10.13 文/HS政経塾4期生 西邑拓真 ◆ロシアの行動原理を知る必要性 クリミア危機における、ロシアの一連の動きについて、以前、アメリカのヒラリー・クリントン前国務長官は、「ロシアの今の行動が当時のナチスの行動と似ている」として、プーチン大統領を「ヒトラーのようだ」と指摘しました。 確かに、ロシアによるクリミア編入は、ウクライナ国内のロシア系住民の保護を理由としており、ナチスがゲルマン民族の保護を理由に周辺国に介入していった動きと軌を一にしていると見えなくもありません。 一方で、クリミア編入やウクライナ東部でのロシアの動きは、ウクライナにおいて、ヤヌコービッチ政権に対する反政府デモが生じる前は確認されていたわけではないことからも、単にそれらを「侵略的行動」と必ずしも断定できないと言うこともできます。 また、バランス・オブ・パワーの観点から見て、特に、昨今の中国の軍事的拡大は、日露両国にとって大きな脅威になっているのは周知の通りです。そこで、望ましい日露関係の構築を進めていくためにも、今一度ロシアの行動原理というものを明らかにしていく必要があると思われます。 ◆「リアリズム」とは何か ミアシャイマー(2014)は、「ウクライナ危機は、国際政治では依然としてリアリズムが重要であり、それを無視すれば大きなリスクに直面することを物語っている」と指摘しています。 リアリズムにおける、国の最終目標は「自国の生き残り」です。世界は「無政府状態」の中にありますが、諸国家はこの最終目標を達するために、与えられた情報を駆使して、バランス・オブ・パワーを調整し、それを自分たちに有利な方向へ変化させていきます。これがリアリズムの立場です。 ◆地政学上のウクライナの位置づけ ところで、地政学上、ロシアにとってウクライナは、どのような位置づけにあたるのでしょうか。 1812年のナポレオンのフランスによるロシア遠征、1916年のドイツ帝国などからなる中央同盟諸国軍によるロシア帝国へのブルシーロフ攻勢、1941年のナチス・ドイツによるバルバロッサ作戦など、西欧諸国によるロシアへの攻撃の際、ウクライナは「横切る必要のある国家」として捉えられています。 これらの事柄からも、ウクライナは、ロシアにとって重要な緩衝国家に相当すると述べることができるわけです。 1990年以降、NATOは東方へ拡大し、NATO加盟の布石と位置付けられるEUも拡大を続けています。また、ウクライナに欧米の価値観を浸透させ、同国をロシアから引き離すための民主化促進に対し、欧米が資金援助している実態も指摘されています。 こうした背景の中で、2013年、ヤヌコービッチ前大統領がEUとの間で連合協定の締結を行わないことを機に、ウクライナで反政府デモが生じます。そして、同氏のロシアへの亡命を経て、ロシアはクリミア編入を行うことになったわけです。 ロシアのウクライナ情勢での一連の動きに対し、それらを「侵略的」と捉える向きもある一方、別の観点として、ロシアは、同国にとって重要な緩衝国が欧米から侵害を受けたことに対する、リアクションをとったのにすぎないという見方もできることがわかります。 それに従うと、ロシアの行動は、あくまでもリアリズムに則っている一方、欧米は「民主化」を盾にした外交行動をとる中でリアリズムを軽視し、ロシアの立場を十分に解していなかったと述べることができます(ミアシャイマー,2014 参照)。 ◆北方領土問題解決の鍵は、日露間でのwin-win関係の構築 さて、リアリズム論における「パワー」に相当するのが「軍事力」であり、それを担保するのが、人口および経済力からなる「軍事的潜在力」です。 1969年の中ソ国境紛争を機に、中露関係はこじれた状況にありましたが、現在の両国間は「戦略的パートナーシップ」として「長期的で、些細なことでは争わない二国関係」にあるとされています。石郷岡(2013)はこのような状況を、「表面上は笑顔を見せ、しっかりと握手をしながら、裏では、厳しい対立と駆け引きを繰り広げている」関係にあると表現しています。 その中で、双方にとってメリットが享受されることを念頭に、2004年に中露国境協定が結ばれました。これで、1994年の画定分と合わせると、全ての国境が画定したことになり、両国間の懸念事項となっていた国境問題が解決に到りました。 しかし、一方で、軍事的にも経済的にも拡張・拡大を続ける隣国・中国のパワーは大きな脅威として、ロシアに映っているのは間違いありません。 そのため、ロシアは、「バランシング(他国と同盟関係を結んだり、自国の防衛費を向上することによりバランスを保持する戦略)」を行い、自国のバランス・オブ・パワーを維持するために、日本との緊密な関係を築いていきたいという願望を持っていると考えられます。 日露間での懸念事項として「北方領土問題」がありますが、中露国境策定に見られたwin-win関係の構築の原則が、その解決のカギになると考えられます。そして、それがバランス・オブ・パワーの観点からの、日露間の望ましい協力関係の形成につながると期待できるわけです。 日本は、長期的視座から国益を追求していくことを前提とした上で、ロシアの持つ「ニーズ」とは何かを考え、それをロシアに対する外交戦略に落とし込み、プーチン大統領に「柔道技」として仕掛けていく必要があります。その「ニーズ」を探る視点こそ、「リアリズム」から求めることができるのではないでしょうか。 参考文献 石郷岡建著『ウラジミール・プーチン-現実主義者の対中・対日戦略』(2013年, 東洋書店) 奥山真司著『地政学-アメリカの世界戦略地図,』(2004年, 五月書房) ジョン・ミアシャイマー著『大国政治の悲劇』(2008年, 五木書房) ジョン・ミアシャイマー著『悪いのはロシアではなく欧米だ』(2014年, Foreign Affairs Report 2014 NO.9所蔵) 「自主防衛の気概」が導いた、日米防衛協力のためのガイドライン改定 2014.10.09 文/HS政経塾1期卒塾生・逗子市政を考える会代表 彦川太志 ◆日米防衛協力のためのガイドライン 10月8日、日米両政府の間で改定交渉が進む、「日米防衛協力のためのガイドライン」の中間報告が発表されました。 「ガイドライン」とは、特に日本の周辺で発生する有事において、日米両政府が取りうる協力体制について、まとめられたものです。 今回の改定の特色は、今夏の集団的自衛権行使容認の閣議決定を反映し、「米軍に対して自衛隊が連携できる内容と範囲が大幅に拡大した」と報道されている点にあります。 このような防衛協力の拡大について、自主防衛に関する日本国民の意識の高まりがあった事を、用語と共に解説させて頂きます。 解説する用語は、「アセット(装備品等)の防護」と、「切れ目の無い、実行的な政府全体に渡る同盟内の調整」です。 ◆「アセット(装備品等)の防護」とは 集団的自衛権の行使容認により、自衛隊は武力攻撃を受ける米軍の軍艦や軍用機、基地を守れるようになりました。 アセット(装備品等)とは、この米軍の軍艦や軍用機、基地のことを指す言葉です。 これで日米安保条約の「片務性」が解消されることとなり、日米安保協力がより強固なものとなりました。 ◆「切れ目の無い~同盟内の調整」 これは尖閣諸島などの離島防衛を念頭に置いたものです。 わが国の防衛について、米軍と自衛隊の役割はこの「ガイドライン」で明確に分担されております。 現行の「ガイドライン」では、以下の3点について取り決めを作っています。 (1) 平素から行う協力 (2) 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等 (3) 日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力 現行のガイドラインの問題は、この3点に含まれない「脅威」については何の取り決めもなされていないため、日米両政権の相性や政治的環境の変化によって、ケースバイケースの対応がありえたと言うことに尽きます。 例えば、(3)の「周辺事態」は、朝鮮半島や台湾有事を想定した「非戦闘地域」での協力を想定したものであり、尖閣諸島についての取り決めではありませんでした。 また、(2)の「武力攻撃」については、すでに戦争が起きてからの話であり、中国公船や漁民が尖閣諸島に上陸を試みるような、「戦争以前」の小競り合いは対象外でした。 何かが起きた時、日米両政府がどう対応するのか、その事前の取り決めがなかったのです。 これがいわゆる「グレーゾーン」であり、ここに目をつけたのが、中国でした。 日米関係が悪く、日本に自主防衛の意志が無い状態にあって、「ガイドライン」の取り決めがない隙間を突けば、日米安保の片務性を暴露することができます。 平たく言えば、「ガイドライン」に含まれない「グレーゾーン」を突けば日米関係を破壊できると踏んで、2010年の漁船衝突事件が起きたのです。 ◆「グレーゾーン」を埋めたのは、自主防衛の気概 漁船衝突事件では、中国船の恣意的な衝突映像を隠蔽しようとした民主党政権に対し、勇気ある海上保安官が情報をYouTubeに公開しました。 これによって、誰の目にも中国による海洋進出の脅威が明らかとなり、幸福実現党の主張する自主防衛の気運が、全国に広がり始めたのです。 このように、全国に広がった自主防衛の気運が、夏の集団的自衛権の行使容認や、今回のガイドライン改定に影響を与えたことは間違いありません。 防衛協力の「グレーゾーン」を埋めたのは、国民ひとりひとりの意識の高まりだったのです。 本ガイドラインの改定について報じる9日の五大紙は、いずれも改定の背後に中国の脅威があることを認めています。 今後は、自衛隊がひとり自国の防衛のみならず、世界の平和と安定のために、積極的な役割を果たす必要がある、と言う論調を主流とさせる努力が必要となるでしょう。 自由のために闘う香港を見殺しにしてはいけない 2014.10.07 文/兵庫県本部副代表 みなと 侑子 ◆香港のデモはまだ終わっていない 9月の終わりから始まった香港のセントラルを中心としたデモは、香港の連休であった10月1・2日を盛り上がりの頂点としながら、一週間以上経った今もまだ続いています。 昼間は学生中心、夜や週末になると社会人も集まり、座り込みと抗議を続けるのです。 デモのリーダーの1人である17歳のジョシュア・ウォン君は、2年前香港に中国共産党礼賛教育が押し付けられようとした際、一人で反対運動を始めました。 仲間の集い活動を続けた結果、最終的に10万人を動員し、共産党礼賛教育を打ち返しました。現在は中国共産党から異端分子として見られています。 今年6月彼にインタビューをした際、行動・勇気の源泉を尋ねました。彼の答えは「仲間の存在」と共に、信仰深い両親から影響を受けている信仰について語ってくれました。 「クリスチャンは聖書を読んだり、祈るだけでは十分ではありません。一人ひとりが灯となり光となって行動し、この暗闇の世の中を照らす使命があると思います。」 彼は今回のデモにおいて、公務執行妨害で40時間拘束されました。これが香港市民をさらに怒らせました。一人の若者の勇気ある行動がきっかけとなり、多くの若者の心に火を灯し、今の香港があります。 日本に留学経験があり、日本語を完璧に話す23歳の社会人女性は、「私たち日本人は香港のために何ができるだろうか?」という質問に対してこう答えました。 「世界中の方からの応援は香港人の心に届いています。でもこれは中国政府の問題です。彼らが香港の声を聞かない限りどうしようもないのです。」 ◆誰が中国共産党に、圧力をかけることができるか 世界の注目を香港に集めることで、中国共産党は天安門事件の時のように、無抵抗な市民を虐殺することはしにくくなります。しかし、香港市民が求めるのは、現行政長官の辞任と2017年行政長官の完全なる普通選挙です。 現行政長官は、辞任しないこと、公開討論の場を持つこと、選挙を見直すことを発表しましたが、辞任しないこと以外は先延ばしされています。 行政長官を操る中国共産党に圧力をかけることができるのは、アメリカをはじめとする数か国もしくは国際機関しかないでしょう。 しかし、中国は国連の常任理事国でありますし、アメリカはオバマ大統領・ケリー国務長官の声明を発表こそしましたが、不介入主義であることは周知の事実であります。 もちろん、香港民主派も努力はしています。民主派において精神的主柱であるマーティン・リー氏は、アメリカのバイデン副大統領に何度も面会し、香港の現状を伝え支持を訴え続けています。 また、イギリスのキャメロン首相にも面会を求めました。しかしイギリス政府は面会を断っただけでなく、イギリスは香港と中国のどちらにも肩入れしない中立であることを中国政府に伝えたといいます。 1997年まではイギリス領であった香港にとって、イギリスから受けた影響は大きいと推測します。その国に拒絶されたことを、香港市民はどのように感じているのでしょう。 ◆使命成就のため、闘う香港 前述の女性は「中国の一体何が優れて世界の王になっているのか。訳が分からない。」と言います。 その言葉の奥に、どうして誰も中国共産党に対して何も言えないのか、何を恐れているのか、という声が聞こえてきます。 意外ですが、香港の民主派たちは中国からの独立を求めているのではありません。彼らが求めているのは、香港における自由と民主主義の確立です。 その理由を、民主派のマーティン・リー氏は、「香港の自由と民主主義を、中国大陸にも弘めていくためだ」と語りました。まさに、“香港の自由化から生まれる、中国の香港化”こそ、香港民主派の願いであり、大きな目から見た香港の使命なのです。 その使命成就のため、後ろ盾を何一つ持たず必死に闘っている学生たちの未来はあやふやです。いつ強制排除にあうかも分からない中、学生たちは自分たちの未来を賭けて、自分たちと未来の中国大陸の人々の自由を守るために抵抗しているのです。 香港の自由が侵され、中国共産党のいいなりとなってしまうことは、中国13億人の人々の不幸でもあります。そして、アジアの自由の弾圧の本当の始まりであることを知らなければなりません。 日本政府は、香港民主派の支持を表明し、自由と民主主義を守る宣言を行うべきですが、そのような勇気ある行動は今はまだ見られません。 しかし、それに落胆するのではなく、ジョシュア・ウォン君が言うとおり、私たち一人ひとりが小さな灯となって行動する時に必ず、この暗闇を照らす光となって、世の中を変える力となることができると信じます。 日露パイプラインで、エネルギー安全保障を盤石にせよ 2014.10.06 文/HS政経塾3期生 幸福実現党新潟県本部副代表 横井 基至 ◆インド洋が中国の海に 中国のエネルギー戦略として、中東やアフリカ方面から原油や天然ガスを供給するために、インド洋のシーレーンを確保しようとする動きが活発化しています。 先月9月22日にアデン湾の海賊活動に参加している中国海軍ミサイル駆逐艦「長春」とミサイルフリゲート「常州」が、イランのバンダル・アッバース軍港に初めて寄港し、両国が友好関係ならびに両海軍の協力関係の進展を強調していることから、利益を共有している両国による対米戦略での「布石」と報じられています。(ロイター電子版 2014.9.24) さかのぼること2011年12月、インド洋上の島国セーシェルによる、中国海軍基地の誘致は現在も継続中で、中国も前向きな姿勢を示しており、実現されれば中国にとっては初の公式な海外軍事基地としてインド洋での足場が誕生することになります。 また、日本人にも海外旅行先として人気が高いモルジブについては、インド海軍が潜水艦基地をモルジブに建設しようと政府間で交渉中でしたが、先月中旬に中国が割り込むかたちで、習近平国家主席がモルジブを訪問し、モルジブ大統領と首脳会談を行い、空港や港湾等の整備や観光産業の振興などを中心とする大々的な支援を約束しました。 以上の計画が実現すれば、インド洋周辺の中国海軍拠点はなんと8個も存在することとなり、それに対しての米海軍の拠点は3か所と、中国海軍の存在感は高まる一方です。 出典:JBPRESS 中国海軍艦艇がイランに初寄港、インド洋沿岸に着々と戦略拠点を確保 米海軍もはや対処できず(北村淳) ◆エネルギー輸入のリスク分散を 中国はシーレーンを手中に収めるのみならず、イラン、パキスタン、ミャンマーから地上パイプラインによってエネルギー安全保障を強化しています。 しかし、日本には、海上輸送だけが唯一の「生命線」となっているため、インド洋、南シナ海のシーレーンを中国に抑えられてしまったら、日本は中国に対し白旗を上げざるをえないのが現状です。 アメリカ海軍に依存したシーレーン防衛から、自国のエネルギーは自ら守る精神のもと、関係各国と協力してシーレーン防衛を行うと同時に、エネルギー安全保障の転換として石油・ガスパイプラインによる分散供給が不可欠です。 ◆ 日露パイプライン建設を急げ サハリンガス田から天然ガスパイプラインを敷く計画があり、それはサハリン南端から北海道の北端まで、わずか43キロメートルの海底の工事で済み、あとは関東圏まで地上にパイプライン施設するという計画です。このパイプラインで、年間輸送量は200万立方メートル、国内天然ガス需要の17%をまかなえます。 また、ウラジオストクから新潟を経由して仙台と関東圏に天然ガスを供給する計画もあります。すでに国内の両方のパイプラインは稼働していることから、ウラジオストクから新潟にパイプラインを施設することで、船舶輸送によるLNGの輸入額高騰に悩まされることなく安く輸入することができます。 日本海側の各県には同様の計画があり、まさにパイプライン誘致合戦が繰り広げられています。 プーチン大統領は「パイプラインなどの輸送インフラを高度に発達させることにより、広大な地域に広がるロシアの特殊性を逆に競争力へ転換させ得る」とし、現在稼働している東シベリアパイプラインについても「ロシア極東のインフラが持つ可能性を飛躍的に高める」としてアジア市場の獲得という明確な戦略を掲げ、同時に極東地域に対する日本からの投資を積極的に呼び込んでいます。 ◆国としてエネルギー安全保障戦略を明確にせよ パイプラインの施設の問題点に漁業補償の問題があります。技術的な解決を追求すると同時に、国家のエネルギー事情に関わる問題ですので、国富流出阻止のためにも政府の主導が必要です。 同時に、民間企業から資金と技術を呼び込むことで、日本経済の成長戦略の一つとして目玉事業になることは間違いありません。 日本政府は早急にロシアとの関係を回復させ、信頼関係を築き、「エネルギーを政治利用しない」意思を再確認し、早急に日露パイプラインの建設を開始するべきであると考えます。 香港の普通選挙要求デモから考える日本の使命 2014.10.03 文/HS政経塾1期卒塾生・逗子市政を考える会代表 彦川太志 ◆自由な普通選挙の実施を要求する、香港の人々 中国の特別行政区・香港において、2017年から普通選挙が始まる行政長官選挙での「立候補の自由」を求める抗議活動が続いています。 これまで香港行政長官の立候補者は、業界団体の代表者や議員によって構成される「指名委員会」によって選出されていたという経緯があり、事実上、中国共産党の意向に沿わない候補者を門前払いにすることが可能でした。 今回の抗議活動の趣旨は、2017年に実施予定の普通選挙において、「一定数の市民の支持」があれば、誰でも立候補ができる新しい制度の実現を求めたものです。 香港の人々がこのような制度の実現を求める理由は、普通選挙の実施を求める政治活動に対し、強権的取締りを行う中国政府に不信感が高まっていることにあります。 ◆抗議活動の特徴:メディア、国際社会の反応も視野に入れた周到な戦略 今回の抗議活動の特徴は、その活動が極めて「平和的」に行われていることです。報道によれば、民主派のデモ隊は、催涙弾を撃ち込まれるなどの被害を受けながらも暴徒化することなく、平和的な抗議活動を行っています。 今回の活動について、ロイター通信は以下の理由を挙げています。 (1)一人のリーダーが突出し、中国政府による集中攻撃を受けてしまうことを回避している ウォールストリートジャーナルの報道でも、「誰が中心なのか、必ずしも明確でない」という事を取り上げています。たとえば若干17歳の学生運動リーダーとして知られる黄之鋒(ジョシュア・ウォン)は、中国政府から「米国のスパイ」というネガティブキャンペーンを張られていますが、大小のリーダーが複数存在することにより、そのような流言が運動全体の決定的打撃になることはないと言えます。 (2)暴力的な抗議活動を避けることで、中国政府による武力鎮圧を回避している。 直近では、本年5月には、香港のTV取材を受けた中国政府の元高官が、「香港が混乱に陥った場合、中国は香港に戒厳令を布告する権限がある」という警告を発したことが報道されています。 このような元政府高官の発言は、「社会秩序の維持、災害救助」に際して、駐留している人民解放軍への支援申請を中国政府へ要請できるとする、1997年に施行された香港の法律に根拠を置いています。デモが過度に暴力的になった場合、戒厳令布告の格好の口実となります。 (3)平和的・組織的デモの方が、民主主義国の支持を受けやすい。 暴徒化しやすい抗議活動を、平和的かつ組織立って統制できている背景には、香港に1400あるプロテスタント教会の約半数が、抗議活動を支援しているからだという説があります。 実際、聖職者が発起人として名を連ねるグループもあり、ある聖職者は、香港における政治的抗議活動について、「文化を守るための戦い」であり、社会主義・唯物論がそれを破壊する性質をもつがために行われている、と公言しています。 10月1日に行われた米中政府首脳の会談において、ケリー国務長官は「香港当局が自制し、デモ隊の表現の自由を尊重することを強く期待する」と表明したほか、オバマ大統領も「米政府は香港民主派デモの状況を注視しており、平和的な対応を期待する」と発言し、民主運動家の活動を擁護していますが、宗教的信条に裏打ちされた民主活動がおこなわれているからこそ、米国も堂々と賛意を表明できるのでしょう。 以上の点を見る限り、香港の活動家の描いた運動戦略は、今のところ功を奏していると言えそうです。 ◆決定的な問題点:出口戦略が不明確 しかし、決定的な問題点として、中国政府と「政治的取引の着地点」を設定できるかどうかが不明確、という点が残っています。 香港の民主活動家たちは行政長官選挙における「自由」の獲得を求めて行政庁長官である梁振英氏に対して辞任を要求しましたが、梁振英氏は辞任を拒否し、学生達と「対話の用意がある」旨を発信しました。 抗議活動は国慶節の休日を利用して行われているため、行政府・中国側は「平日を待つ」という持久戦略を考えていると報道されています。デモ参加者の多くが仕事や学業に戻らなければならない事態が予想されるため、抗議活動の縮小が予想されています。 ◆日本よ、「アジアの自由」の灯を守れ 以上のように、周到な戦略で粘りを見せる香港の民主派抗議活動ですが、意義ある形で収束させるには、国際社会によるもう一段の圧力が必要だと考えます。わが国としては、「アジアにおける自由主義・民主主義の護り手としての立場」を明確にすべく、香港の民主派活動に対する賛意を首相の声明として発表するべきでしょう。 宗教的信条を背景に唯物論・社会主義と戦い、「自由の灯火」を護ろうとする香港の民主派運動を支援することは、安倍首相自身が教育改革においてすすめる「宗教の尊重」と姿勢を一にするはずです。 終戦70周年を控えた今、日本は「アジアの自由」の守り手として、力強く立ち上がるときを迎えているのではないでしょうか。 <参考> 産経ニュース2014.7.27 「正念場迎える香港 「普通選挙」の民意、来月中国側が拒絶の公算 揺らぐ一国二制度」 ロイター通信コラム2014.10.2 香港デモが突く中国政府の「泣き所」 WSJ:2014.10.3 香港の民主化デモ、中国軍が鎮圧の可能性も」 ロイター通信2014.10.3 「香港行政長官が辞任を拒否、「政府庁舎占拠なら深刻な事態」 WSJ:2014 .10 .3 「香港の民主化運動の底流にあるキリスト教価値観」 戦後70周年に向けて力強い外交を行うための体制を整備せよ 2014.10.01 文/HS政経塾2期卒塾生 服部まさみ ◆朝日が誤報を認めても残る歴史問題 朝日新聞が従軍慰安婦報道の一部誤りを認めましたが、誤報を長年撤回しなかったことによって損なわれたものは計り知れません。 実際に、慰安婦を「性奴隷」と規定した1996年の国連人権委員会「クマラスワミ報告」や2007年の米下院対日決議へと進みました。 朝日が誤報を認めても、国際社会での問題は残ったままです。米中韓の思惑が複雑に絡みあっている歴史問題をひっくり返すのは容易なことではありません。 来年は、戦後70周年を迎えます。米国では、日本と戦った民主党政権が続き、第2の「レイプ・オブ・南京」とも言える反日映画「アンブロークン」(アンジェリーナ・ジョリー監督)がアカデミー賞を狙っています。 また、7月に習近平国家主席が訪韓した際に、中韓は歴史問題で共闘することを宣言するなど、日本にとって厳しい布石が打たれました。 今、国家と国家がせめぎ合う外交の世界は、情報戦の時代にあります。こうした中で、日本が世界の信頼を勝ち取り、誇りを取り戻すために何を為すべきなのでしょうか。 歴史問題解決に向けて、政府は新しい談話や声明の発表を目指すべきですが、そのための事前準備と他国を説得する理論とメッセージ性を兼ね備えた外交力が問われます。 ◆国際世論を味方にする「メッセージ」の発信 国際世論を味方につけ、情報戦を制するためには、国際世論に大きな影響を与えている「メガメディア」と呼ばれる米国3大メディア(ABC、CBS、NBC)やCNN、英BBCなどをいかに活用するかにかかっています。 そのために、メガメディアが好みそうなメッセージを発信できるかが重要になってきます。 発信するメッセージには、宣伝色の強いプロパガンダではなく、信憑性や公平、中立、国際社会に通用する倫理や道義性が求められています。 つまり、ポイントは発信するメッセージが国際社会の価値観の潮流に合っているものであるかどうかということです。 といっても、決して、迎合するのではなく、新しい価値観を世界の先頭に立って発信していくぐらいでなければ、情報戦の時代を勝ち抜いていくことはできません。 実際に、中国はCCTVなどの国際放送に約8135億円(09年)の予算を使っていることに対して、日本のNHK国際放送は、約158億円(12年)とその規模は比べものになりません。 しかし、中国の対外発信は、量は多いが、都合が悪い情報は流さないなど言論の自由がなく、政府の宣伝機関というイメージが強いのも事実です。 やはり、日本は国際世論に合った「質」で勝負しなければなりません。 ◆外交を根底で支える新しい大学の必要性 国際世論を味方にする「質」の高いメッセージを発信するといっても難しいものがあります。 なぜなら、国際世論に影響を与えている「メガメディア」の価値観の基準が第二次世界大戦で勝った連合国の戦勝史観に基づいているからなのです。この価値観を変えない限り、日本は情報戦でも外交でも不利な立場に置かれたままです。 こうした歴史観について議論することは、国益がぶつかり合う政府間では限界があります。そのため、政府から距離を置いた研究機関である大学やシンクタンクの存在が必要不可欠になってきます。 自由な立場から研究し、アイデアを提案することで政治家やメディアの発信の論理的な裏打ちを行ったり、外交政策に活かすことができます。 例えば、従軍慰安婦問題で強制連行があったかどうかという狭義の理論は国際社会では理解されず、人権問題として捉えられています。 これに対して、どのような理論で国際世論を説得することができるかを研究し、政府に提言する大学があれば、日本の外交はもう一段強くなるのではないでしょうか。 しかし、日本の大学や学会の現状は、学問の自由があるにも関わらず、研究内容やその成果を自由に発表する場になっているとは言えません。 例えば、左翼史観が強く残る歴史学会においては学問の研究が止まったままです。近年、戦時中の米国極秘文書が公開されるようになり、これまで憶測でしかなかったルーズベルトの側近が共産党のスパイだったという噂が事実として判明するようになりました。 英国でも同じような文書が出始め、日本が戦争に向かっていく時期の外交史の見直しが必要になっています。 日本にとって、重要な歴史の転換点であるにも関わらず、このような研究が学会で積極的に行われているわけではありません。そのような今までなかった新しい研究に挑んでいくことが日本の外交の幅を広げることにもなります。 また、研究者自らが世界に向けて、英語で研究内容を発信したり、学生などが欧米やアジアの親日国の大学との交流や共同研究を通じて人脈やネットワークをつくることは、将来の日本外交の厚みになっていきます。 さらに、世界の国々が抱える貧困や環境問題などの課題を解決するための未来産業の研究を大学で行うことも日本と世界の未来を明るくしていくのです。 ◆政府レベルで世界に貢献できる体制づくりを 民間と協力しながらも政府は政府として、外交の基礎を整えなければなりません。 日本が今ひとつ世界から信頼されていない大きな理由は、大国でありながら軍事行動が伴わないことにあります。 いくら首相が国連で安保理改革や常任理事国入りを訴えても、お金を出すだけの小切手外交に他国からは「結局、日本は何もできないんでしょ」と冷めた目で見られているのが現実です。 日本が世界から信頼を得るためにも、集団的自衛権の行使容認、そして、憲法9条改正など大国として当たり前に自国を守り、世界に貢献できる法整備が必要なのです。 外交の基礎は軍事力であり、抑止力をもつことでしっかりとした言論戦や対話ができるのです。戦争の前に外交があり、外交の前に情報戦があります。 情報戦に勝つためには、世界の国々にとって「日本は重要な国であり、信頼できる国である」と思わせなければなりません。そのために、有言実行と真実の発信が不可欠です。 日本と世界の平和と繁栄を築くために、憲法9条の改正と新しい大学の創設が必要だと信じるものです。それが、戦後70周年を迎えるにあたり、日本の誇りを取り戻すために必要な戦略なのです。 参考文献: 『外交』vol.27 東京財団 『安倍外交への15の視点』 ピンチをチャンスへ。今こそ日露関係改善を図るとき! 2014.09.29 文/HS政経塾4期生 窪田真人 ◆ 日露首脳11月会談、日露両政府基本合意 日露首脳会談が、11月北京で開催予定のAPEC首脳会議の際に行われると27日各紙が報じました。ロシアは日本にとって国防の面で対中国包囲網を形成する為に、地政学上大変重要な国です。 しかしこれまで日本政府は、ウクライナ問題を巡って米欧と共に対露制裁を発動し、今年秋に予定されていたプーチン大統領の訪日も困難になっていました。 こうした中での、日露首脳会談の開催は日本にとって大変大きな意義を持ちます。 ◆ 過去2回、日本の対露制裁における米露双方からの批判 2014年3月ロシアがウクライナ南部クリミア自治共和国の独立を承認した際には、日本は査証(ビザ)発給要件緩和に関する協議を停止する制裁措置を行いました。 7月マレーシア航空機墜落事故の際には、クリミア併合やウクライナ東部の騒乱に関与したとみられる40人、またクリミアのガス企業と石油供給会社の2社を対象とした資産凍結を行いました。 こうした日本による対露制裁は、米欧と比較して大変甘いものです。 特に2度目の制裁に関しては、欧米はプーチン大統領の側近や政府当局者に加え金融、エネルギー、軍事技術産業をターゲットにした幅広い追加制裁を推し進めたのです。 それに対し、日本は既に欧米で制裁されている2社に加え、ロシア政府要人が含まれていない40人を対象にした制裁内容であった為、「日本は対露制裁に関して熱心ではない」と米欧各国から批判が相次ぎました。 その一方でロシアからは、「いかなる留保を付けようとも、露日関係のあらゆる面に損失を与え、後退させることは必至である」という声明が出され、日露関係の悪化に繋がりました。すなわち、日本は米露双方から批判を受けるという非常に苦しい立場に立たされたのです。 ◆ 9月に入ってからの日露関係の動向 8月28日ロシア軍がウクライナ東部に数千人規模の部隊を侵入させていることが判明し、親ロシア派の司令官とウクライナ政府高官が認めたことにより、9月12日米欧が対露追加経済制裁を発動しました。 日本においても、米国から金融分野での対露追加制裁を要請され、24日から武器輸出の厳格化やロシアの一部銀行による証券発行制限など対露追加制裁を発動しています。 この対露制裁は表向き米欧に配慮したものであり、形式上は米欧並みとなっていますが、内容として実効性は乏しくロシアとの関係を重視したものとなっています。 しかしその結果、米欧からの評価を上げることはできましたが、ロシアからは批判声明が出され、日露関係をより冷え込ませる結果になってしまいました。 実際に制裁強化の検討が報じられて以降「露、外相会談を拒否」、「プーチン氏側近のイワノフ大統領府長官が北方領土の択捉島訪問」など日露関係の悪化を示唆するニュースが数多く報じられました。 さらに、「ロシアが中国に天然ガス供給へ」、「露中共同で日本海沿岸に北東アジア最大の港を建設へ」など中露における経済関係の強化を報じるニュースが数多く報じられている点も見過ごすべきではありません。 ウクライナ情勢を巡り米欧諸国との関係が悪化する中、ロシアが中国との経済関係を深めようとする構図が見受けられます。 ◆ 日露首脳11月会談を日本はどう活かすべきか 日本はアメリカとの関係強化により国防を守りつつ、一方ではロシアとの関係強化により国防上対中国包囲網を固めたい、また北方領土問題を解決したいというのが率直なところでしょう。 こうした状況において、日露首相会談は大変重要な意味をもちます。ではこの機会をどうやって日露関係の改善に繋げていくべきでしょうか。 その答えとして、(1)日本が強いリーダーシップを以て米欧とロシアの関係改善に積極的に働きかけること、(2)ロシアにとって必要なエネルギー輸出、ハイテク導入、また極東開発における経済協力を日本が進んで行うこと、この2点が挙げられます。 特に米欧とロシアの関係改善は大変難しいですが、日本にとっては非常に重要であり、進んで行うべきです。 例えばイスラム国対処においてアメリカは各国の連携を呼びかけていますが、ロシアは現在、国際連携を検討する立場をとっています。 ここで日本が積極的に働きかけ、ロシアを連携支持の立場に引き込んだのであれば、米露関係が改善され、日本のプレゼンスも上げることができるでしょう。 ピンチはチャンス。今こそ日本が主体的に日露関係の強化に踏み出す時ではないでしょうか。 拉致被害者救出には「国民の思いの結集」が必要だ 2014.09.24 文/HS政経塾第2期卒塾生 幸福実現党世田谷区代表 曽我周作 ◆拉致被害者のご家族の方々の複雑な思い 9月23日の秋分の日、テレビのニュースでは北朝鮮で開業したという高級ホテルの様子が映し出され、また中国の大連で北朝鮮が投資説明会を開き、北朝鮮への投資を呼びかけている様子が映し出されていました。 罪のない日本国民が多数拉致され、いまだに帰すこともしない、そんな北朝鮮という国に対して投資をすることを呼びかけている様に何とも言えない憤りを覚えました。 拉致被害者や特定失踪者等の調査を行う北朝鮮の特別調査委員会からの最初の報告は、当初9月第2週あたりまでに行われるものと見られていました。 9月13日(土)には日比谷公会堂にて「もう我慢できない。今年こそ結果を!国民大集会」が開催され、その会場に筆者も参加させていただきましたが、間もなく来るはずの調査報告を不安な気持ちと、しかし「今度こそは」「今年こそは」と期待も込めて待ち続ける拉致被害者のご家族の方々の複雑な思いがヒシヒシと感じられました。 しかし、9月24日現在、北朝鮮からの最初の報告は出されておりません。 ◆北朝鮮の制裁解除の問題 そもそも 北朝鮮の宋日昊(ソンイルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使は「拉致被害者の安否を含めた日本人に関する再調査について、日本側への最初の結果報告がいつでもできる状況にある」と、共同通信に対して語ったということが9月11日の時点で報道でもなされていました。 しかし、これに対して9月19日に菅官房長官が会見で「現時点では初期段階を超える説明はできない」と北朝鮮側から説明があったと発表しており、明らかな矛盾があります。 「救う会」会長の西岡力氏は「水面下で北朝鮮が調査結果の一部報告の見返りに、日本の独自制裁の追加解除を求め、安倍政権がそれを拒否しているのではないかとみられる」(産経新聞9/20)と述べています。 経済が疲弊し、外貨不足に苦しむ北朝鮮が、制裁の追加解除を期待して調査の結果を出そうとしたけれども、日本としてはとても制裁の追加解除などに応じられるものではなかったのではないかということも言われています。 そもそも、「再調査」が行われることが決まり、日本独自の北朝鮮への制裁は一部が解除されています(【1】人の往来、【2】支払いの届け出義務、【3】北朝鮮籍船の入港禁止、の3項目)。 しかし、中山恭子氏は先に挙げた9月13日の日比谷公会堂での大会におけるスピーチの中で「特に船舶の入港については、北朝鮮側が被害者を帰国されるための行動をとったというが確認されない限り許してはならなかった」と述べています。 また、同大会においては、制裁解除で再入国禁止が解けたことで訪朝した、朝鮮総連の許宗萬議長の再入国許可取り消しを検討すべきだとの声もあげられていました。このような制裁解除の反対の声や、再度の制裁強化を望む声が上がっています。 北朝鮮の対応しだいでは、当然、制裁の再強化もとられるべきでしょう。 ◆国民の総意を集めて拉致被害者の帰国実現を 家族の方々は高齢化が進み、焦る気持ちは当然あるはずです。拉致被害者5人が帰国した2002年、そしてその家族が帰国した2004年。しかしそれ以降拉致問題は進展を見ることができず、その間無念にもご帰天された拉致被害者家族がいらっしゃいます。 しかしその中にあっても、13日の大会では「北朝鮮への妥協をすべきではない」「中途半端な回答はいらない」との声が被害者家族からあげられています。 それは北朝鮮への妥協は拉致被害者の帰国につながらないからであり、北朝鮮は家族の「焦る」心を利用しようと企んでおり、それに付け込まれて中途半端な回答を許してしまえば、結局それも拉致被害者の帰国につながらない、そして日本の国のためにならないとの思いからです。 前述の西岡氏も「途中で何らかの要求に応じれば、すべての拉致被害者救出に失敗する恐れがある」としたうえで、北朝鮮に対して「日本が譲歩すると思ったら大間違いだというメッセージを伝え続けるべきだ」と指摘しています。 そのためにも、やはり必要なことは、ごく普通に日常を送る多くの私達日本国民が、「拉致被害者は絶対に取り戻さなければならない人たちなのだ」という思いを、静かにで良いと思いますが、しかしもう一段強く持つことだと思います。 そして、いまこそ日本は国民の生命・安全・財産を護ることができる国へと生まれ変わるべきであろうと思います。 また、さらに拉致された日本人やその家族等の帰国のみならず、いつの日か、自由を奪われ人権弾圧と貧困の中に苦しみ続ける北朝鮮国民の人たちにも、自由がもたらされ、圧政からの解放の日が訪れるような未来をつくらんという志を持ちつづけたいと思います。 アメリカと中国が交わす新たな「密約」とは? 2014.09.23 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆無神論国家VSイスラム教の対立が激化する新疆ウイグル自治区 シリア・イラクのみならず、中国国内でも体制側とイスラム勢力の対立が激化の一途を辿っております。 その原因は、中国共産党政権による、イスラム教徒が多数を占めるウイグル族への「信教の自由」に対する厳しい制限、言語の使用制限や習慣・風習の破壊、ウイグル人女性の強制連行など、許されざる人権侵害がまかり通っていることへの抵抗運動、分離独立運動であります。 一方で政権側から見ると、新疆ウイグルは天然ガスの生産地であると同時に、中央アジアからの天然ガス輸送ルートに当たり、エネルギー安全保障の要衝であるため、その地で分離独立を主張するウイグル族は、国益を脅かす最大級の脅威に当たると言えます。 最近では、ラマダン明けの7月28日、中国の新疆ウイグル自治区のカシュガルで起きたウイグル人による暴動では、「少なくとも2000人以上のウイグル人が中国の治安部隊に虐殺された」と言われております。 *参考「HRPニュースファイル:ウイグルで死者2000人以上――真実を明らかにし、国際社会に正義を問える日本に」 http://hrp-newsfile.jp/2014/1629/ また9月22日、中国の新疆ウイグル自治区バインゴリン・モンゴル自治州において、相次いでウイグル人による自爆行為が起き、2人が死亡し、多数が負傷したと伝えられており、共産党政権はウイグル族への締め付けを更に強化していく見込みです。 ◆対イスラム国でアメリカと中国が交わす「密約」とは? 一方、国際社会では、中国によるウイグル族への人権侵害が世界的な批判の的となりづらい展開になりつつあるのが現状です。 それは、9月7~9日に訪中したライス補佐官と習近平国家主席の間で、イスラム国対策として取り交わされたとされる「密約」が原因です。 具体的には、中国は、アメリカ主導の有志連合による「イスラム国」打倒の動きを支持する一方、アメリカは、新疆ウイグル自治区で、中国当局がウイグル族に対する締め付けを強めることに、あからさまな異論を唱えないという内容です。 アメリカとしても、有志連合の形成を急ぐ中、国連の常任理事国であるロシアとの折り合いが付けられない状況のため、もう一つの常任理事国である中国への支持が必要不可欠であったという苦しい事情があったと言えます。 ◆イスラム国の台頭は中国の国益に大きく資する 一方、中国としても、「イスラム国」から事実上の「ジハード(聖戦)宣言」がなされており、同一の敵に対峙することでアメリカとの信頼関係を深めると同時に、「密約」によってウイグル族弾圧の正当性を得ることができ、ウイグル族に対する「信教の自由」の侵害など、国際的な批判をアメリカの黙認によってかわすことが出来ると言えます。 実際に、9.11の同時多発テロ以降、中国は新疆ウイグル自治区に、イスラム過激派アルカイダの勢力が浸透していると主張し、当時のブッシュ政権はイスラム系独立派勢力の「ETIM」をテロ組織に指定するなど、反イスラム過激派を切り口にして同様の「約束」が交わされた過去もあります。 そして何より、しばらくアメリカは中東に釘づけにならざるを得なくなり、アジアへのリバランス戦略は有名無実化することは間違いありません。 中国はアメリカを取り込みつつ、国内における人権弾圧の批判をかわしながら、アメリカ不在のアジアで軍事的な拡張行動を行いやすくなるため、敵対関係にあるはずの「イスラム国」の台頭は、結果的に中国の国益に大きく資することになっていくと考えられます。 ◆日本の鉄則は「自主防衛の確立」と「中国における自由の革命」にあり 翻って、日本は今回のイスラム国への対応として、避難民援助など総額約55億円の中東支援を表明する見通しで、アメリカ主導の有志連合を支持する姿勢を強調するに留まっております。 確かに、国内にイスラム教徒を多くは抱えない日本としては、中東周辺国やヨーロッパ、中国などと比較して、イスラム国の脅威は感じにくいですが、既にオーストラリアなどでも、イスラム国関連のテロ計画が露見されるなど、世界中で見えない驚異が進行しているとみてよいでしょう。 また近い将来、中国によって来たるべきアジア有事において、自国民やアジア諸国を守ることが出来る自衛体制をいち早く確立しなくてはなりません。 更に、アメリカが目を背ける今、ウイグルで起こっていることは、イスラム過激派による単なるテロリズムではなく、無神論国家・中国に対して、信教の自由をはじめとするあらゆる自由の抑圧への抵抗運動(レジスタンス)であるということを、我々日本人こそが正しく理解する必要があります。 事実無根の「南京大虐殺」ではなく、現在進行形で起こっている「ウイグル大虐殺」の真実へと世界中の目が向けられ、ウイグルで弾圧される人々を救済する具体的な力となることこそ、日本の使命であると考えます。 *The FACT「よく分かる中東問題」に出演中です。こちらもよろしくお願い致します! 【第2回】「イスラム国はアメリカによって作られた!?」 https://www.youtube.com/watch?v=coT549z3X6U&list=PLF01AwsVyw33VAiV9OENVfi0W-wSMUBez どうなる?スコットランド独立を問う住民投票~日本は何を学ぶべきか 2014.09.18 文/HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆本日発表、スコットランド住民投票の結果 スコットランドの独立を問う住民投票が始まっています。開票結果は、本日の午後3時頃までに判明する予定です。果たしてどのような結果となるのでしょうか? 8月以降、独立賛成側が支持を伸ばし続け、今や世界中がその結果に注目しています。スコットランドの主要な三つの世論調査(16日時点)では、反対が4ポイントリードしていますが、約1割の態度未定者があり、依然として賛成と反対が拮抗しています(9/18東京、9/18毎日)。 スコットランドの独立側が勝った場合、2016年3月までに独立への具体的なプランを協議していくことになりますが、確かな見通しはあるのでしょうか。 ◆スコットランドの独立の厳しい見通し 独立を選択した場合、その道は険しいものとなりそうです。4つのポイントを挙げたいと思います。 1)使用する通貨が決まっていない 独立した場合に、どの通貨を使用するのかが決まっていません。独立推進派は、ポンドを使用できる通貨同盟を提案していますが、今のところイギリス政府は反対しています。したがって、独自通貨にするか、ユーロを使用するかの選択をすることになりますが、いずれも道のりは簡単ではありません。 ◇独自通貨導入の場合 通貨の信用を保つことは簡単なことではありません。当面は十分な外貨準備が不可欠ですが、スコットランドが独立を決めた場合、大手の金融機関は、本社をイギリスに移すことを宣言しており、大規模な資金流出が予想されます。 ちなみに、大規模な資金流出によって、通貨が下落してあっという間に国の財政破綻に陥ったことは、かつてアルゼンチンやアイルランドでも起きたことです。 ◇ユーロ導入の場合 ユーロを使用するとした場合は、自分で金融政策をおこなうことができません。 北海油田の収入に頼ろうとしていることからも、これといって経済を牽引する産業がスコットランドにはないので、厳しい財政規律を課せられて、経済が停滞する可能性は高いといえます。 2)債務の利率が上がる 財政面では、政府債務をイギリスとスコットランドで分け合うことになると言われています(9/18毎日8面)。独立したスコットランドへの信用が高まることは考えにくく、債務の利率が上がり、利払い費が上がり、想定よりも社会保障に資金が回らない可能性もあります。 3)当てにしすぎるのは危ない北海油田の収入 北海油田の収入を、財政再建に当てようと考えているようですが、「油田埋蔵量を大幅に水増しして見積もっている」という指摘もあります。 仮に油田埋蔵量が豊富にあったとしても、シェールガスの台頭や、メタンハイドレードの開発も進んでおり、将来的に油田収入がどうなるかは不透明です。 資源国からの収入への過度な依存から脱却しようとしているのがトレンドでもあるので、この点から見ても、油田への過度な期待は危険ではないでしょうか。 4)安全保障上の不透明な見通し スコットランドには、イギリス海軍の核戦力が配備されており、独立側は2020年までに撤去すると主張しています。 これはイギリスだけの問題ではなく、北大西洋条約機構(NATO)の安全保障にも影響を与える議論となります。独立派は、NATOへの加盟を想定していますが、加盟そのものがスムーズに進まない可能性があります。 ◆日本にとっての影響は? 当然のことながら、イギリスは経済面でも安全保障面でも日本にとって大切な国です。 2012年4月の日英の共同声明では、日本の安保理常任理事国入りを支持することを表明していますし、今年の5月の安倍首相の訪英でも防衛装備品の共同開発の推進や、安全保障の協力推進などを確認しています。 日本がとやかく言うべきことではないかもしれませんが、スコットランドが独立することで、イギリスの国際的なプレゼンスは下がることは、日本にとっては望ましいとはいえないと思います。 ◇イギリスにも、経済活性化への大胆な構想が不可欠 スコットランドは、伝統的に労働党の支持基盤であり、北欧型の高福祉社会を志向する傾向がありましたが、不満が高まっているのも、経済が停滞している点に原因があります。 キャメロン首相は、独立をしない場合は、スコットランドに対して大幅な権限移譲をすることを提案していますが、それだけではなく、イギリス全体の経済成長を促進する構想が必要ではないでしょうか。少なくとも、金融サービス以外の産業を育てることを早急に検討するべきです。 スコットランドは、経済学の祖アダム・スミスを輩出している地でもあります。 イギリスが、ピンチをチャンスに変えて、21世紀の国富論を実現する方向へと舵を切ることを期待したいと思います。 日本としては、イギリスの苦しみを教訓として、新産業の構想や法人税を大幅減税(小出しではなく)するなどの経済成長政策を推し進めるべきではないでしょうか。 すべてを表示する « Previous 1 … 58 59 60 61 62 … 98 Next »