Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 日本は南シナ海の安定の要、日米同盟の強化で中国包囲網をつくれ! 2015.12.01 文/幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生 油井哲史(ゆい てつし) 東南アジア諸国連合(ASEAN)は11月23日、ASEAN首脳会議の議長声明を発表しました。 この中で初めて、中国の人工島造成を念頭に「軍事化」の動きに言及し、「複数の首脳が示した懸念を共有した」と明記しました。 当初、声明の草案には、「南シナ海」や「懸念」という文言は盛り込まれていませんでしたが、中国を直接名指しすることは避けつつも、人工島が軍事利用されることを警戒するフィリピンやベトナムに配慮して中国をけん制する内容となりました。 ◆日米同盟の深化が中国包囲網の形成を加速 この成果として、二つの理由が挙げられます。 まず、日米両国が、南シナ海での軍事拠点化を図る中国に対して連携して対応することを確認できたこと。そして、その成果をASEAN各国と共有し、海洋安全保障を促進させたことです。 ASEAN首脳会議に先立って、まず安倍首相とオバマ大統領が会談しました。 米軍による「航行の自由作戦」への支持を表明。中国が人工島造成を進める南シナ海問題で連携を強化するとともに、南シナ海への自衛隊の派遣について「日本の安全保障に与える影響を注視しつつ検討する」と伝達しました。 それを受けて安倍首相はインドのモディ首相と会談。南シナ海での人工島造成の軍事拠点化など中国の海洋進出に懸念を共有し、日本、インド、米国の3カ国で海洋安全保障協力を進めることで一致しました。 その具体化として、インド洋で行われる米印共同訓練に、海上自衛隊を定期的に参加させることで合意しています。 つまり、日米同盟の強化が、軍事拡張を続ける中国をけん制し、中国包囲網の形成を加速させたのです。 ◆中国包囲網の結束は、まだ弱い ASEAN諸国が連携し、南シナ海問題における中国包囲網が構築されていることは歓迎すべきことですが、その結束は必ずしも強固なわけではありません。 ASEAN諸国は経済関係において中国との結びつきが強く、様々な経済協力を受けて政治的な発言力を強めて、それに依存する関係にあります。 例えば、ASEAN首脳との会合で、中国の李克強首相がASEAN諸国のインフラ設備に対し、積極的に関わっていく方針を示し、100億ドル(約1兆2千億円)の融資を行うことを表明しました。 最近では中国の国有企業で原子力大手の中国広核集団(CGN)は、経営が悪化しているマレーシアの国営投資会社1MDBの火力発電関連会社の全株式を買収することが決定しています。 日米と中国が南シナ海における問題でけん制し合う中でASEAN諸国は板挟みとなり、首脳会議の序盤は、積極的に南シナ海の問題に言及する国は多くありませんでした。 また、日米同盟の強化を確認した米国も、本気で南シナ海を守る気概があるか疑問です。ここに至るまで南シナ海への派遣に消極的でした。 米国防相と米軍当局者たちは、数か月間、艦船を派遣する準備を整えていましたが、米中の交流を重視し、ホワイトハウスと国務省が不必要に派遣を先延ばししていました。 加えて、パリで同時多発テロが発生。イスラム国が次の標的をワシントンと警告したことで、米国国内とシリアへ意識が偏ることが予想されます。長期的に南シナ海に米軍のプレゼンスが存在し続けるかは不透明です。 ◆中国包囲網の要としての日本の役割 今回、日米関係の強化でアジアの安全保障強化を促進させ、共同してASEAN諸国への融資、技術移転などを表明。日米とアジアによる対中国包囲網を形成しました。 その過程で積極的に日本が外交し、説得する姿勢が伺えました。日本は今後、アジアの安定と発展のために中国包囲網の要としての自覚を強く持ち、環太平洋経済連携協定(TPP)に未加盟のASEAN諸国を取り組んでいくことが必要です。 これまでの日本は正邪を分け、正しさを推し進めること、説得し、牽引していくことが弱いと言われてきました。この機会に、毅然とした態度を示す国家となっていくことを望みます。 琉球新報編集長の発言を正した幸福実現党・沖縄県本部 2015.11.28 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆沖縄に忍び寄る中国の魔の手 今回は、沖縄の情勢と沖縄を守るために活動を展開する幸福実現党・沖縄県本部の成果を紹介します。 今、沖縄では、日本国民が知らないところで、大変なことが起こっています。それは「琉球独立」へ向けた動きです。 その裏には中国の工作があります。 中国の属領化戦略は、第一段階として沖縄を独立させ、米軍を追いだすことです。 第二段階として経済交流を通して大量の漢民族を沖縄に送り込み、最終的に政治的に沖縄を乗っ取ることです。 沖縄が中国の手に落ちれば、日本全体も国防上大変な危機に瀕します。何故なら、最終的に沖縄が軍事拠点になれば中国は西太平洋に出ることができます。必然的に日本は中国の影響下に置かれます。 「沖縄を守ることは日本を守ること」、沖縄の問題は、日本の問題です。ですから日本国民全体が、沖縄の情勢についてもっと関心を持つ必要があります。 ◆国連における翁長知事と琉球新報編集長の「問題発言」 中国は、巧みに沖縄県民の中から独立の声を上げさせることから、沖縄独立へ向けた工作を行っています。 その一つが去る9月22日(日本時間)、ジュネーブで開催された国連人権理事会における翁長雄志沖縄県知事の演説です。 この中で、翁長知事は、米軍や日本政府から「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と述べ、あらゆる手段を使って辺野古への米軍基地移設(翁長知事は、「辺野古新基地建設」と表現)を止める覚悟を示しました。 (参考)こんなにキケン!翁長知事の国連演説【沖縄最前線#08】 https://www.youtube.com/watch?v=RmoCP2wtNKs また、今回の国連のサイドイベントとして開催されたシンポジウムでは、琉球新報社の潮平編集局長が「沖縄はアメリカの領土でもありませんし、日本の領土でもありません」と発言しました。ここには翁長知事も同席しています。 ◆沖縄県民に知ってほしい「自己決定権」の言葉の危険性 翁長知事が国連で発言した「自己決定権」という言葉は「自分の地域のことは自分たちで決める」という、ある意味当たり前に聞こえる言葉です。 しかし国連で翁長知事がつかった、「自己決定権」という言葉は、英語で、「self-determination」と訳されています。 「self-determination」とは、国際法上の権利用語であり、「植民地や従属地域からの分離、独立」を意味しています。 つまり、翁長知事は、国際社会に対して「沖縄県民は独立民族であり、沖縄は日本から独立する権利がある」と宣言したものなのです。 この流れの中で、琉球新報社の潮平編集局長は、沖縄独立を前提に「沖縄はアメリカの領土でもありませんし、日本の領土でもありません」と発言したことがわかります。 ◆琉球新報編集長の発言を修正させた幸福実現党・沖縄県本部 今回の問題について、いち早く対応したのが、幸福実現党・沖縄県本部でした。沖縄県本部は、翁長知事に対して、「自己決定権」発言の真意を問う質問状を渡しました。 同様に琉球新報社の潮平編集局長に対しては、「沖縄はアメリカの領土でもありませんし、日本の領土でもありません」と発言した真意を問う質問状を渡しました。 これが10月8日の事です。 翁長知事と琉球新報社編集局長への質問状はこちらから 金城タツロー氏のブログから http://ishin0507.ti-da.net/e8060067.html 翁知事からの返答はありませんでしたが、琉球新報社からは、10月14日に「貴本部のご指摘を受け、潮平の発言を確認したところ、言い間違えてご指摘のような発言をしていることを確認しました」との返答がありました。 これについて、質問状を提出した翌日9日、琉球新報は、ホームページ上でも「おことわり 本紙編集局長の国連内シンポ発言について」を掲載し、その詳細を説明しています。 『おことわり 本紙編集局長の国連内シンポ発言について』(琉球新報) http://ryukyushimpo.jp/pages/entry-152982.html (抜粋)「沖縄は米国の領土でなければ、米国の植民地でもありません」と記述した部分を、時間切れ間際の発言で「沖縄は米国の領土でなければ、日本の領土でもありません」と間違えたものです。言い間違いについては修正します。」 ◆再度の琉球新報社への申し入れ しかし国際社会に沖縄は日本ではないかのような誤解を発言であるため、沖縄県本部は、再度訪問して、琉球新報に対して、ホームページだけでなく、当日シンポジウムに参加された国際機関や個人の方々に「沖縄は日本である」と文書で訂正を加えるよう要望致しました。 マスコミの偏向した報道に対しては、国民を間違った方向へ導かない様、公正な報道がされなければなりません。これが報道機関としての正しいあり方です。 幸福実現党は、沖縄県民を守るため、日本国民の生命財産を守るためにも、何が本当に沖縄県民の利益に適うのかを追求し、今後もマスコミには公正で適正な報道姿勢を求めて参ります。 北京軍事パレードから見えてくるもの【後編】 2015.11.26 文/HS政経塾3期卒塾生 幸福実現党・新潟県本部副代表 横井もとゆき 9月3日北京で行われた軍事パレードから、早2ケ月が経としています。 パレード後、国際的にもまた、国内のメディアの取り上げ方にも変化が生じてきたように感じられます。 前回の投稿では、パレードの目的は、対米親露の軍事路線を強調するものであり、世界に中国共産党の正当性をアピールする外交手腕であることを述べました。 『北京軍事パレードから見えてくるもの【前編】』(2015.10.08掲載)参照 http://hrp-newsfile.jp/2015/2438/ ◆気付いた時にはもう遅い!?中国共産党の政治工作 抗日歴史戦を世界展開する理由は、日本を踏み台にすることで、国際世論から「お墨付き」をもらい、平和協調路線のもと世界中で展開する中国共産党の政治工作を有利に進める狙いがあります。 ゆくゆくは、他国を内側から崩壊させ、「いつの間にか」その国の実権を中国共産党が握る、中華思想から発する政治工作そのものです。 この点に関し、具体的でわかりやすい例を、『辺野古反対の背景にある中国反日運動の黒い影』(執筆者:服部まさみ2015.11.25掲載)にて指摘しております。 http://hrp-newsfile.jp/2015/2508/ ◆間違ったことに反論する強さが必要 当然、中国共産党がとる外交戦略とそれに賛同する国々に対しては、幸福実現党は明確に反論を行っております。 まず1点目として、大東亜戦争後とは、正当な日本の防衛戦争であり、かつて欧米列強の植民地支配にあった有色人種の国々を独立へと向かわせた功績を持つ戦争であったことを主張してきました。 つまり日本悪玉論の戦争史観は大きな間違いであり、これを払拭しなければ、「国際正義」 を見失うこととなり、人類全体の未来に禍根を残すことになると訴えています。 2点目としては、民主主義に「正しさ」の判断基準が必要であると訴えています。 多数決の原理に正当性の根拠をおくことは民主主義の原則ですが、一部の利益を求めることや、内憂外患により国を衰退させる方向に向かうことは、是とせず、最大幸福の実現と国の発展のため、正しさという物差しが必要であると訴えています。 ◆中国共産党の2枚舌 さて、去る9月3日、軍事パレードにおいて、習近平氏は、平和を守り、侵略せず、兵の30万人削減などを宣言し、パレードの最後には多くの鳩を空に放ち、軍事パレードは平和を目的としたことを強調しました。 しかし9月15日の人民網日本語版によれば、中国外交部は南シナ海での滑走路建設について、スプラトリー諸島の滑走路建設について、その海域は争う余地のない主権を有していると主張しています。 さらに、責任ある大国として、地域と国際社会に一層の公共財および公益サービスを提供するということをうたっていました。 中国としてこれらの行為は、侵略には当たらず、かえって国際貢献をしているというから驚きです。 中国とは国境問題では議論はできません。過去にさかのぼって、いとも簡単に都合のいい歴史に書き換えることを行うからです。 この話を米中会談に持ち込み、オバマ大統領に冷遇されたあたりから、中国共産党外交のほころびが出始め、中国経済衰退を含めた中国バッシングが盛んになった印象を受けます。 ◆中国の軍事的脅威からの守るための防衛政策 常識的に見ても、中国共産党は、言っていることとやっていることがあまりにも違い過ぎ、日本国民の生命と安全と財産をまもり、東アジア地域の安定のためにも、戦争を起こさないための抑止力の強化が必要だと訴えています。 幸福実現党は、このような中国共産党の力による状態変更や国際秩序への挑戦に対して、以下の国防政策を掲げております。 (1) 日米同盟を強化しつつ、「自分の国は自分で守る」体制の構築 (2) 国民の生命・安全・財産を守るために憲法9条を改正し、防衛軍を組織する (3) インド、オーストラリア、東南アジア諸国、台湾、島嶼国などとの連携強化 (4) 対中包囲網形成に向け、ロシアとの関係を強化し、平和条約の締結を目指す この前提として、ロシア極東地域への投資を活発化させ、北方領土の返還を実現させます。 ◆メンツにこだわる中国人 先月26日には、スプラトリー諸島で中国が埋め立てた人工島の12カイリ内を、米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」が航行しました。中国人に聞いたところ、中国人が一番嫌うのはメンツをつぶされることです。 このオペレーションで航行の自由は確認できましたが、中国人の感情はくすぶっているものと思われます。 この不満が軍部で火をあげるか中国国内の暴動となって現れるか、習近平氏が最も恐れる、共産党に対する国内の暴動につながる可能性は十分に考えられます。 もし中国全土で暴動起こり始めた時、中国共産党が行うのは、情報統制、すなわち携帯電話やインターネット網の制限です。 この点を中国共産党の崩壊の予兆として、注視してゆく必要があります。それまでに、日本人が日本国内外で行える努力をしてゆかねばなりません。 幸福実現党は真の平和をめざし正論を発信し、活動を続けます。 辺野古反対の背景にある中国反日運動の黒い影 2015.11.25 文/HS政経塾2期卒塾生 服部まさみ ◆地方議会で相次いで可決される辺野古反対意見書 フィリピンで行われたオバマ大統領との会談で、米軍普天間飛行場移設問題について安倍首相は「辺野古が唯一の解決策。確固たる決意で進める」と日米合意を堅持し、対抗措置を取って工事を再開していることを説明。 オバマ大統領が謝意を示すなど順調に見える日米関係ですが、その背後に何やら怪しい影が潜んでいます。 産経新聞によると、全国の地方議会が移設反対や建設工事中止を求める意見書を相次いで可決しているというのです。 そのうち25件が衆院に提出され、その他にも首相宛ての意見書が39件、防衛相、外相にも多数の意見書が提出されています。 沖縄県の市町村議をはじめ、菅直人氏の地元でもある東京都武蔵野市や国立、小平市議会、長野県の4町村議会、愛知県岩倉市議会など左派の政党や無所属会派が多い自治体で「地方自治体の尊重を求める意見書」が可決されています。 意見書は「基地強化は、沖縄県民を再び戦争の惨禍に巻き込む危険性を高める。沖縄の民意を踏みにじって基地建設を強行することは地方自治の侵害と言わざるを得ない」とし、地方自治を尊重するよう求めています。 また、大阪府吹田市と兵庫県尼崎市議会では名護市の建設反対意見の尊重を決議しています。 このような意見書にあまり拘束力はありませんが、政府や国会に圧力をかけて政策変更の流れをつくろうとする手段として使われています。 ◆慰安婦問題の既成事実化と同じ構造 さらに、この動きが慰安婦の既成事実化につながったことと極めて似ているのです。 2007年米国議会において、マイク・ホンダが中心になって、従軍慰安婦問題で日本を非難する決議案が採択されましたが、このマイク・ホンダを下積み時代から支援していたのは「世界抗日連合会」という反日団体です。 「世界抗日連合会」は主要30カ国以上の中国系、韓国系、日系団体が結集し、世界中に網の目のようなネットワークを持つ巨大な組織です。『ザ・レイプ・オブ・南京』の著者アイリス・チャンもメンバーでした。 もちろん中国共産党とは深い関係にあります。 この反日団体が2007年に米国議会で日本を非難する決議案を採択した次に行ったことは、日本の地方議会で、慰安婦問題で政府に国家賠償や公的謝罪を求める意見書を数多く提出するということだったのです。 2008年から2013年にかけて全国の地方議会で意見書が提出され、そのうち民主党や共産党などの左派が多い42市議会で可決されています。 反日団体が地方議会に意見書を提出させる目的は、「日本の地方議会も政府に対応を求めている」などと国際舞台で利用できる法的論拠をつくるためです。 米国における従軍慰安婦像設置でもこの論拠を利用し、既成事実化されてしまったのです。 従軍慰安婦問題の場合、河野談話の存在もありますが、もし、新しい談話が発表されても地方議会で認めておけば、「国民の声をきかない政府」というレッテル貼りができ、プロパガンダとして十分に使えるからです。 そのため、辺野古反対の意見書も地方議会だけの動きだとあなどってはいけません。 ◆背後で操る中国共産党 しかもこの「世界抗日連合会」は、世界の反日組織の一部でしかありません。 中国の呼び掛けで2003年、韓国、北朝鮮、アメリカ、日本、フィリピン、オランダの反日グループのリーダーが上海に集まり、国際反日ネットワーク「日本の過去の清算を求める国際連帯協議会」が結成されました。 巨大なこれら世界の反日組織のまとめ役になっているのが中国政府のシンクタンクとして4200名の研究者を擁し大きな影響力をもつ「中国社会科学院」なのです。 「世界抗日連合会」は国際反日ネットワーク「国際連帯協議会」のアメリカ支部という位置付けでしかありません。 そして、従軍慰安婦問題と同じように米国でも辺野古移設に反対する地方議会が出てきました。 カリフォルニア州バークレー市議会は今年の9月15日、米国議会で初めて辺野古移設計画の中止を米政府に求める「沖縄の人々を支援する決議」を可決しています。ちなみに「世界抗日連合会」の本部はカリフォルニア州にあります。 また、今月19日には、辺野古移設計画に反対する沖縄県の地元財界人や有識者の団体が訪米し、ワシントンの米議会で説明会を開催し「民意を反映していない」として計画を見直すように求めています。 中国共産党は戦前から、「用敵」という「敵の手を使って、敵を打て」という考え方で日本を攻略しようとしているといわれていますが簡単に言えば「工作」です。 日本の中枢に入り込み、メディアを使った世論誘導や経済的利益、外交、観光などを通じて国民がコントロールされているのです。 今後の研究課題ではありますが、東京裁判やGHQの占領政策だけではなく、日本では戦前から中国共産党の対日工作が始まっていたという意見もあります。 知らない間に何となく世論を動かされ、指導者層の意思決定能力を奪われ、何となく現状を変えられ、最後に非正規軍によって制圧されてしまう。すでにこのような「戦争」が仕掛けられているのです。 「平和憲法を護れ!」、「沖縄の海を守れ!」と声高に叫ぶ人たちは中国人にとっての「平和」とは、「和を持って平らげる」(仲の良いふりをして、支配する。相手を滅ぼす)という意味だということを知るべきでしょう。 ◆本当の敵を知り行動する 米国における従軍慰安婦問題は、一部の活動家と有権者が日本を非難することを強く望み、他の多数派が黙っていたことが、結果的にいかにも全体の「総意」として望んでいるように映ってしまった点があります。 日本を守り、本当に勝つためには政府は場当たり的な対策ではなく、的確な情報を集め、分析し、重要人物や要所、要所を攻略していく必要があります。 辺野古移設で従軍慰安婦問題と同じ失敗を繰り返さないように、私たちはマスコミの世論誘導や「空気」に支配されることなく、本当の敵を知り、行動していかなければなりません。 南シナ海をめぐる米中の今後 2015.11.19 文/幸福実現党・岡山県本部副代表 たなべ雄治 ◆南シナ海の人工島の落としどころ 先月末のことですが、南シナ海で中国が埋め立てた人工島の12カイリ内を、米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」が航行しました。 緊張の高まりをニュースが伝えていましたが、この事件は今後どういう方向で落ち着くのでしょうか。 カーター米国防長官は、「埋め立てと軍事化への行動の永続的中止」を要求し、「航行の自由の原則を守り、国際法が認めるあらゆる地域で飛行・航行させる」と決意を示しています。 そして今月の12日にはB-52戦略爆撃機2機に付近を飛行させました。 ◆アメリカの姿勢の変化 現在アメリカは南シナ海の航行の自由に対して強い姿勢を見せていますが、ここに至るまではいたって消極的でした。 米国防総省は半年も前から、艦艇を派遣すべきだとオバマ大統領に進言していました。しかし、米中の交流を重視するオバマ大統領は受け入れませんでした。 偵察機を侵入することすらできず、ただ中国への批判を強めるだけでした。 そんなオバマ大統領を試すかのように、大統領がアラスカ州を訪れている9月22日のタイミングを狙って、中国海軍の艦艇5隻がアラスカ沖の米国領海内に通過しています。 しかしこれに対してもアメリカは、「国際法には違反していない」と説明するのみでした。弱腰なのか関心がないのか、失望していたところ、今回アメリカは態度を変えて南シナ海に強い関与を始めました。 南シナ海の周辺諸国にとっては良いニュースです。その背景には、10月初旬のTPPの妥結が影響しているのかも知れません。 ◆中国を分析する 中国の姿勢も変化しており、近年アメリカに対して大胆になってきています。 中国の態度を解き明かす一冊としては、マイケル・ピルズベリー著『China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦争」』が秀逸です。 CIAや国防総省を歴任した中国専門家の著者は、中国を理解した結果、親中派から反中派に転向するのですが、大変示唆に富んだ内容になっています。 元親中派だった著者が自戒を込めて、中国分析の専門家が誰しも中国に上手に騙されていたことを告白しています。 ピルズベリーによると、中国は無能なふりをして、アメリカを油断させることを徹底してきました。 そして、米中は協力することが可能であり、中国は民主化と自由化の過程にあり、アメリカの助けを必要とする弱い国であると、アメリカの政府関係者に信じ込ませることに成功してきたのです。 そのうえで中国は、アメリカからの経済的・技術的・軍事的な協力を引き出してきました。米ソ冷戦の最終局面を迎えたレーガン政権以降では、継続して兵器と軍事技術の提供すら受けていたのです。 さらに悪いことに、武器輸出と技術供与は、冷戦が終わった今でも続いており、しかも現在トータルでいくら使っているかを把握できていないというのです。 著者は、中国支援の各機関には毎年の報告義務を負わせるべき、と主張しています。 中国の軍事開発は、米軍を安価で効果的に退ける分野に特化して、空母キラーや衛星破壊兵器、電子機器を破壊する兵器に力を入れています。 軍事費の対GDP比はアメリカの1/4に過ぎず、その分を国営企業に多額の資金援助として回して、国際競争力を支えています。 経済でアメリカを抜けばおのずと覇権が握れる、という戦略なのです。そして肚の中ではアメリカを敵視しながら、中国に覇権が移る日を夢見て、ひたすら耐えてきたのです。 その中国が、大胆にもアメリカに挑戦するような態度を露わにし始めました。 中国の自信の表れなのか、資源確保への危機感からなのか、注目すべき点です。 ◆人工島の決着はどうなるか 中国が人工島の開発を中止して放棄したならばアメリカの勝ち、のらりくらりと開発を続けることができたら中国の勝ち、と言ったところでしょう。 アメリカが強く出てきた以上、中国は再び態度を改めて、柔らかく出てくる可能性があります。しかし、中国の本音、世界覇権の夢は変わるものではありません。 物腰の柔らかくなった中国に油断することなく、南シナ海の航行の自由を守るべく、私たちも人工島の今後に目を光らせなくてはなりません。 安保法制は「戦争法」ではない3つの視点【後篇】 2015.11.14 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 前回、ポイント1――安保法制は「戦争法」でなく「戦争抑止法」であること。 ポイント2――安保法制は、「邦人救出法」であることを述べて参りました。 ◆ポイント3――安保法制は、「シーレーン防衛法」 南シナ海は、日本のシーレーン(海上輸送路)です。日本に石油を運ぶタンカーは南シナ海を通ってきます。 中国は、国際海洋法を無視し、フィリピンの抗議に対しても軍事的な圧力を加え、南シナ海でサンゴ礁を勝手に埋め立て軍事基地化してきた国です。 南シナ海全部が自分のものだと主張する中国は外国が南シナ海を航行することを制限しようとしているので、このまま何もせず黙っていたら南シナ海は中国の海となり自由に航行ができなくなります。 安保法制に反対する人々は、中国に対して「話し合いで解決すべき」と言いますが、中国軍が南シナ海から撤退するような、どんな効果的な抗議をしたのでしょうか? オバマ大統領は、9月末の米中首脳会談で、この「南シナ海問題」を取り上げ、習近平氏に対して話し合いで「重大な懸念」があると伝えましたが、習近平氏は「南シナ海の島々は中国固有の領土」と反論しました。 中国の南シナ海を支配するための戦略は、「中国とフィリピンの問題」だと主張し、大国アメリカの介入を防ぐことです。中国は軍事力の弱いフィリピン一国が相手であれば、軍事力でひねり潰すことは簡単なことです。 しかし軍事力で上回るアメリカがフィリピンを支援すれば、それだけで中国は手を出すことはできなくなります。 話し合いも通じない中国に対して、ついに米国は南シナ海の「航行の自由作戦」として軍艦を派遣しました。これは決して戦争をするためではありません。 アメリカは軍艦の航行を既成事実化し、中国の南シナ海の軍事基地化を抑止することによって自国の船だけでなく外国船の「自由航行」を守っているのです。 ◆日本を滅ぼす「安保法制反対」「脱原発」 安保法制に反対して国会を取り囲んでいる人々は、原発も反対しています。 脱原発派は、太陽光で電力をつくれば良いと言いますが、現在は火力発電が日本の経済を動かしています。火力発電を動かす石油は中東からインド洋、マラッカ海峡、南シナ海の海上輸送路を通ってきます。 安保法制反対派は、中東方面の海域で機雷が設置されても、その掃海のために自衛隊を派遣することにも反対しています。では誰がそれを取り除くのでしょうか。それもアメリカにやらせるのでしょうか。 また中国が南シナ海を封鎖するようなことがあれば、日本のエネルギーは完全にストップします。 原発を稼働させれば、日本国内でエネルギーをつくることもできますが、エネルギーを石油に頼っている現在、安保法制反対派は、どうやってこのシーレーンを守るのでしょうか? 「脱原発」で自国のエネルギー生産を止めながら、「安保法制反対」で石油を運ぶ海上輸送路の防衛のために自衛隊も派遣しないというわけです。 海上輸送路が危機になれば日本の経済は成り立たなくなります。電力がなければ、企業は倒産します。失業者も増えるでしょう。 「安保法制反対派」「脱原発派」は、今度は「仕事よこせ集会」を国会の前でやらざるを得なくなります。自分たちがその原因をつくったことも気がつかずに。 「一国平和主義」、つまり、自分の国、自分の生活にしか関心がなく、国際情勢がどのように動いているのかも分かっていません。 もっと視野を広く持ち日本が置かれている国際情勢に関心を持てば、いま日本が何をなすべきか気がつくはずです。 安保法制に反対する人々は、だいたい口々に言います。「人は殺してはいけない。もし攻めてくる国があれば自分は逃げる」・・・そんな人々に政治を口にする資格はありません。 自分の命を守ることが第一で、国民の命をどう守るのか、国際社会で日本がどんな責任を果たせるのか、それが政治にかかわる者の責任です。 ◆戦争の原因をつくっている「安保法制反対派」 先の大戦の最大の理由は、石油の70%を頼っていたアメリカに石油を止められたことが大きな原因でした。エネルギーをストップされたから、日本は自滅するか、戦争をするしかなくなくなったのです。 つまり「安保法制反対派」は、「戦争はさせない」と言いながら、逆に戦争の原因をつくっているとも言えます。 以上、安保法制は、「戦争法」ではなく、「戦争抑止法」「邦人救出法」「シーレーン防衛法」です。これを「安保法制反対派」の人々に伝えたら、考えが変わる人もいると思います。 彼らの行動力を凌駕する我々の活動が必要な時です。その為に、今後も幸福実現党は頑張って参ります! 安保法制は「戦争法」ではない――3つの視点【前篇】 2015.11.13 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆安保法制は「戦争法」ではない 安保法制が可決されてもなお、共産党を中心として、「戦争法廃止」を求める署名活動を展開しています。 しかし安保法制は、「戦争をするための法律」ではありません。その論拠として、今回は「3つの視点」を提示します。 ◆ポイント1――安保法制は「戦争法」でなく「戦争抑止法」 安保法制に反対する人々が言うように「日本が二度と戦争をしない国」になっても、中国や北朝鮮は「戦争を放棄しない国」です。 日本が戦争をしたくなくても中国や北朝鮮は戦争を想定していることを忘れてはなりません。 中国は、1970年代に尖閣諸島海域に海底資源があると分かると尖閣諸島を自分達の領土と言い始め、最近は、沖縄も中国のものと言い始めています。 習近平は、2013年に甘粛省蘭州軍区を視察の際に、「部隊は、招集されれば直ちに駆け付け、駆け付ければ戦争できる状態にし、戦えば必ず勝利するよう確保しろ」と指示しています。 (2013年2月7日『解放軍報』) また北朝鮮は、「東京、大阪、横浜、名古屋、京都の地名をあげて「朝鮮敵視は破滅をもたらす。1940年代の核の惨禍とは較べられない災難を被る」(労働新聞2013年4月10日)と日本の都市を名指しでミサイル攻撃すると言いました。 日本は戦争をしたくなくても、戦争を仕掛けてくる国が隣国にあるならば、「戦争にならないために何が必要か」を考えなくてはならないのです。 中国側から見てみましょう。攻めたい相手が一国で、中国より軍事的に弱ければ戦争に勝てます。 しかし、日本を攻めたらその後から軍事大国の米軍も参戦してくるということになれば、中国は簡単に日本を攻撃できなくなります。これが集団的自衛権の持つ「抑止力」の意味です。 ですから安保法制は「戦争をするための法律」ではなく、「戦争を抑止する法律」なのです。 ◆ポイント2――安保法制は、「邦人救出法」 今年8月、南北の軍事境界線の韓国側で地雷が爆発し、韓国軍下士官が負傷した事件を機に、北朝鮮と韓国は戦争寸前まで緊張が高まりました。 今回は南北対話で戦争の危機は回避されましたが、現在は休戦状態であり、完全に戦争の危機が回避されたわけではありません。 もし朝鮮半島で有事となれば、韓国には、約3万人の邦人がいます。 もし戦争になれば、韓国の約3万人の邦人を救出しなければなりません。自衛隊の船だけでは救出は無理で、民間の船も出さざるを得ないでしょう。安保法制は、こうした対応にも有効です。 つまり、日本の民間船を出して米国や邦人を救出し、自衛隊と米艦隊が護衛することで3万人を安全に救出することができます。 この点について私は、先日某大学で行われた安保法制に関するシンポジウムの質疑応答で安保法制反対派である日本共産党の衆議院議員に、朝鮮半島で有事になった際、どうやって邦人を救出するのか質問をしました。 答えは驚くべきことに「民間が救出に向かい解決すると法律で決まっています」と平然と答えたのです。これには私も呆れてしましました。 安保法制反対派は、邦人の救出のため民間人を紛争地に丸腰で行かせるのだそうです。「自衛隊を死なせてはならない」が民間人は死んでもいいと言っているようなものです。 ここからも日本共産党の「戦争反対」のスローガンが、日本人の生命は守れない、いかに空しい言葉であるかがわかるでしょう。 過去の教訓として邦人救出に民間を戦争地域に向かわせることはできいことがわかっています。 「イラン・イラクの戦争」の際、1985年、イラクのフセイン大統領は、イラン領空を「戦争空域」と宣言し48時間の猶予期を設け、それ以降はイラン上空を飛ぶ航空機を無差別に攻撃すると声明を発表しました。 イランの在留外国人は一斉に出国しましたが、在留邦人を乗せてくれる飛行機はなかったのです。 日本政府は日本航空にチャーター便の派遣を依頼したのですが、日本航空の労働組合は、組合員の安全が保障されないことを理由に要請を拒絶しました。 日本共産党には支持母体である労働組合を説得して民間人を戦争の地へ派遣していただきたいものです。 結局、イランの在留邦人は、近隣国のトルコが飛行機を飛ばしてくれ、タイムリミットのギリギリのタイミングで在留邦人を救出してくれました。トルコ人は陸路避難を余儀なくされましたが、だれも日本人に文句をいうものはいなかったのです。 ここで詳しいことは述べませんが、トルコがなぜ日本人を救出してくれたかは下記をご覧ください。 参考:映画「海難1890」――12月5日公開! 「日本人が知らない奇跡の実話、なぜあのときトルコは日本を助けてくれたのか」 http://www.kainan1890.jp/ 朝鮮半島有事の際に、3万の邦人をどうやって救出するのかを考えれば、安保法制が「戦争をするための法律」ではないことが分かるはずです。 次回、ポイント3――安保法制は、「シーレーン防衛法」であること、「安保法制反対派」は「脱原発派」でもあり、日本を滅ぼす理由でもあることを明らかにします。 (つづく) 揺れる南シナ海問題――東南アジアの自由と繁栄を守れ 2015.11.10 文/HS政経塾4期生 西邑拓真(にしむら たくま) ◆ASEAN拡大国防省会議(ADMMプラス)とは 今月の11月4日に、マレーシアのクアラルンプールで、第3回拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)が開催されました。 参加国は、ASEAN域内の10ヶ国と、それに域外国8ヶ国(日本、米国、中国、豪州、インド、ニュージーランド、韓国、ロシア)を加えた全18ヶ国で、日本からは中谷防衛大臣が参加しました。 2006年よりASEAN域内での防衛当局間の閣僚会合として、ADMMが創設されましたが、2010年からは「ADMMプラス」として、同会議にASEAN域外国も参加するようになります。 この創設について、「地域の安全保障・防衛協力の発展・進化の促進という観点から、極めて意義の大きいこと」と評価されています。 ◆宣言を採択できなかった今回のADMMプラス 今回のADMMプラスで最大の争点となったのが、中国の人工島造成を背景に緊張が高まっている南シナ海問題です。 アメリカやその同盟国が、貿易の要衝である南シナ海で中国が存在感を高めていることに対する警戒感から、同海域における「航行の自由」を求める旨を共同宣言に盛り込むべきことを主張していました。 しかし、そのことに対し中国が強く反発したことから、結局、会議が創設されて以来初めて、共同宣言の採択が見送られることになりました。 最終的には、拘束力のない議長声明を出すことに留まり、その表現も「航行の自由」についての言及はなく、「南シナ海における行動規範の早期締結の重要性」について言及することに留まっています。 ◆背景にあるASEANを巡る「米中綱引き」 共同宣言を採択することができなかった背景として、アメリカ・中国間でASEANを巡る激しい「綱引き」があり、それによってASEANが一枚岩になりきることができていないという現状を指摘することができます。 ASEAN各国の立場は、(1)中国との領有権問題を抱え、米国との連携強化を進める立場、(2)米中両国に配慮する中立の立場、(3)中国を支持する立場、の大きく3つに集約することができます。 つまり、(1)の立場に立つフィリピンやベトナムが、「航行の自由」を掲げるべきだとする日米豪を支持する一方で、(2)の一部や、ラオスやカンボジアをはじめとする(3)に分類される国々が中国を支持していることにより、ASEANの結束力が十分でない状況となっているわけです。 ◆カギとなる、米国の軍事的影響力とTPP そのような中で、(2)の立場を取り、これまで中立を保ってきたマレーシアやインドネシアが、南シナ海における中国の行動に対して反発する立場を取り始めていました。 その背景として、アメリカが、人工島12カイリ内へ軍艦船を派遣したことに表れているように、アメリカが中国に対する態度を変え、「圧力」を高めたことに求めることができます。 それについて、「米国が関与拡大を明確にしたことで、中立国も対中批判を公言しやすくなった」とする声も挙がっています。 また、TPP交渉が大筋合意に達したことが、中立国が経済成長を実現するために、アメリカとの関係強化を図ろうとする動きにつながりうるとの指摘もあります(10/31日本経済新聞電子版「東南ア、中国けん制へ傾く 米の関与拡大に呼応」参照)。 このように、ASEAN諸国が団結を強め、南シナ海における中国の侵略的な行動に歯止めをかけるためのカギとなるのが、米国の軍事的存在感の拡大と、TPPによる自由主義経済圏の拡大を通じた「経済成長」への期待と言えるでしょう。 ◆東南アジアの自由と繁栄の実現のために 一方で、ADMMプラスの終了後、中国の周近平国家主席は、ベトナム、シンガポールを訪問、首脳会談を行うなどして、中国側も、経済関係の強化を通じた東南アジア各国の中国への取り込みを図り、その影響力の拡大を狙う動きを活発化させています。 こうした中、今月17日から19日にかけて、フィリピンのマニラでアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれ、ここで南シナ海問題に関する協議やTPP首脳会談が行われるとされています。 こうした場でアメリカなどは、大きな経済的メリットと、中国包囲網としてのTPPの機能を訴え、ASEAN諸国を取り込む必要があります。 ただ、アメリカの軍事的影響力については、長期的視座に立てば、ベビーブーム世代が大量に引退し、年金等の国家負担が増大することで兵力の削減は不可避となり、世界の二地域で同時に大規模な戦争を遂行する能力はもはやなくなるのではないかという指摘もあります。 こうした実情によりオバマ大統領が南シナ海で影響力を行使できないだろうと踏んでいるからこそ、中国は同海域での挑発的行動を活発化していると言えますが、アメリカの影響力低下を抑制するためには、今後、日本の国防上の影響力拡大が望まれるところでしょう。 このように、中国による侵略的行為から東南アジアを護り、同地域における自由と繁栄を実現するためには、TPPを機に自由主義経済圏を拡大させることと同時に、日米同盟を基軸にしながら、日本が国防上のリーダーシップを発揮していくことが今後必要になってくるのではないでしょうか。 参考文献 伊藤貫(2012)『自滅するアメリカ大国-日本よ、独立せよ』 文藝春秋 日本経済新聞(電子版)「南シナ海で問われるASEANの結束」2015年11月6日 日本経済新聞(電子版)「 米中、東南ア取り込み過熱 南シナ海問題」2015年11月5日 沖縄独立と台湾独立、正当性があるのはどちら? 2015.11.05 文/HS政経塾スタッフ 遠藤 明成 ◆今後の安保政策の争点――普天間基地移設問題 米軍普天間飛行場の移設に関して、翁長雄志・沖縄県知事は10月13日に辺野古沿岸への埋め立て承認を取り消しました。 政府は、以下の二つの措置で対抗しています。 (1) 取消処分の効力停止 翁長知事の承認取り消しに対して、移設を担う防衛省が県知事の取消処分の効力停止を国土交通相に申し立てました。 この主張が認められ、防衛省は作業を再開しています。 (2) 代執行 また、政府は、国交相に知事の代わりに事務手続きを行わせようとしています。 これは知事に代わって取消処分を撤回する手続きです。 (大臣の是正勧告に知事が従わない場合、高等裁判所で訴訟をし、これに国が勝てば代執行となる) 防衛省の作業再開と「代執行」が同時に進められる背景には、移設に際して、裁判所のお墨付きを得たいという意図があります。 これに対して、沖縄県は取消処分の効力停止を不服とし、第三者機関の「国地方係争処理委員会」に審査を申し出ています。 ここで否認された場合は、沖縄県は訴訟に持ち込むことでしょう。 ◆「沖縄の自己決定権」? この「辺野古の闘争」に際しては、「沖縄の自己決定権」という標語が用いられています。 例えば、連載記事をまとめて『沖縄の自己決定権』と題した書籍を刊行した琉球新報社は、「日本政府は、主体的生き方を法律でつぶそうとする。その象徴が辺野古の闘いだ」(大城立裕氏・作家)という発言を紹介し、この書籍をPRしています(※1)。 しかし、そもそも、「自己決定権」とは何なのでしょうか。 これは、「自分自身に関する重要な事柄を自分自身で決める権利」(※2)のことです。 「個人の人格的実存にかかわる重要な私的事項を公権力の介入・干渉なしに各自が自律的に決定できる自由」(※3)とも言われます。 治療拒否や尊厳死、出産や堕胎、学生の髪型や服装の自由などの問題で、この権利が争われることがあります。 しかし、基地の移設は日本の外交・安保政策や国全体の安全保障に直結するので、個人的な事柄とは到底言えません(※4)。 そのため、「沖縄の自己決定権」を掲げて基地反対闘争を正当化するのは、論理的には無理があると言えます。 ◆沖縄と台湾の政治運動を比較する 「沖縄の自己決定権」だけでなく、もう一つ、注意すべきなのは「沖縄独立論」です。 これは、翁長知事が県議会での答弁で、沖縄独立論について「そういう方は多くない」と答えているほど、少数派の主張だと言えます(※5)。 12年1月1日の意識調査で沖縄の取るべき立場を問うたところ、結果は「現行通り日本の一地域(県)」が61.8%、「特別区(自治州など)」が15.3%、「独立」が4.7%でした(※6)。 しかし、「台湾の独立」という政治課題を比較してみると、15年の世論調査で台湾が最終的に独立することに賛成した人は51.3%、反対した人は32.7%です(※7)。 中国は「沖縄独立」を持ちあげ、「台湾独立」を封じ込めようとしていますが、この二つの「独立」の内情は、これほどまでに違うのです。 地域の分離独立は、主権者は誰で、領土はどこかを決める議論を伴いますが、沖縄独立論には、そこに至るまでの民意の支持がありません。 ◆台湾が民進党政権になった時、日本からの支援が必要になる 一方、16年1月16日の台湾総統選では、民進党の蔡英文氏の勝利が予測されています。 以前の民進党政権は、「台湾の未来は、台湾2300万国民のみが決定する権利を有する。これは台湾の国家主権地位の最も固い基礎である」(08年)と声明を出したこともあります(※8)。 中国の影響力も拡大しているので、民進党が以前ほど強い姿勢を取れるかどうかは未知数ですが、日本は、台湾が自由民主主義の側に立ち続けられるように、支援を続けなければなりません。 「東アジアで自由の領域が拡大するか縮小するかの問題は、最終的に日本の未来に対しても大きな影響を及ぼす可能性があるから」(※4)です。 ★このたび、HS政経塾より『宗教こそが民主主義を発展させる』(立木秀学編著、幸福の科学出版 発売)が発行されました。以下のURLからアクセスできますので、興味を持たれた方に、ご覧いただければ幸いに存じます。 『宗教こそが民主主義を発展させる』 立木秀学編著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1561 (注) ※1:『沖縄の自己決定権』琉球併合の不正から道標探る 琉球新報(15/6/21付) ※2:岡田信弘著『事例から学ぶ日本国憲法』 ※3:芦部信喜著『憲法 第六版』 ※4:立木秀学編著『宗教こそが民主主義を発展させる』 ※5:翁長知事、沖縄独立論に否定的「そういう方は多くない」沖縄タイムス15/10/4付 ※6:「方言話せる」5割切る 琉球新報 県民意識調査(12/1/1付) ※7:TISR台灣指標民調「2015年2月上期、台灣民心動態調、與本期議題調結果摘要」 ※8:陳水扁総統が「台湾主権地位」に関する4点の呼びかけを発表(台湾総統府08/4/17付) 世界に誇るべき日本の文化を守りぬくために 2015.11.04 文/幸福実現党・山形県本部副代表 城取良太 ◆世界で大絶賛の日本文化を体感 我らが誇る日本文化にとって、先日非常に嬉しい知らせが届きました。 10月31日に閉幕したミラノ万博において、日本の食文化等をテーマにした日本館では「行列嫌いのイタリア人を並ばせた」と言わしめるほど、最後まで大行列が途絶えることなく、日本として史上初の金賞を受賞したというニュースです。 筆者自身も先月下旬、中東数カ国に赴きましたが、知り合いのラーメン屋から分けてもらった自家製麺セットが香港人のラーメン通を唸らせたことには驚きを隠せませんでした。 また、イランで出会った初老の男女とは毎度お決まりの「おしん」ネタで盛り上がり、ドバイのショッピングモールでは以前に増して、日本のアニメ・フィギュアコーナーが大拡張されており、多くのファンの心を掴んでいることを目の当たりにし、日本のソフトパワーの絶大さが改めて体感できました。 ◆文化の根底にある「自由と平和」 奇しくも、先日(11月3日)は文化の日でありましたが、戦前、11月3日は明治天皇のお誕生日にあたり、「明治節」と呼ばれていました。 戦後になって1946年11月3日に日本国憲法が公布されましたが、現行憲法で「平和と文化」が重視され、国民の祝日に関する法律第2条に「自由と平和を愛し、文化をすすめる」と明文化されていることが文化の日の根拠となっています。 一方で、国民の自由が徐々に制限されうる法案や政策が散見され、また侵略意図を持った国々から断固日本の平和を守り抜く姿勢があるのかなど、この理念に一定の疑義を挟まざるを得ない現状があります。 ここでは、文化の根底にあるとされる「自由」と「平和」の視点から、国内外の情勢を見渡してみます。 ◆共通番号制度は世界でも問題だらけ 第一に、何といっても「マイナンバー制度」に対する懸念が挙げられます。(既に具体的提言を行っておりますので、詳しくはそちらをご覧下さい。「マイナンバーの『のぞき』政策化に歯止めを」http://hrp-newsfile.jp/2015/2459/) もともと、民主党政権下に提出された法案で、その後誕生した自公政権によって一部修正された法案が13年5月に可決、更に2018年から任意で預金口座等にも活用範囲を拡大する改正案が本年成立されています。 「海外(先進国)では番号制度は常識」が推進派の建前でありましょうが、日本のような「共通番号制度」は実はまだ事例が極めて少ないというのが真実です。 具体的に、イギリスでは「共通番号制度」の構想自体はありましたが制度廃止に追い込まれています。(イギリスでは、2006年に「国民IDカード法」が成立。しかし、2010年に誕生した保守党と自由民主党による連立政権が、プライバシーに問題があるとして廃止を決定。) また、フランスでは社会保障番号はあれども共通番号としては用いないのがルールとなっており、更にドイツでは共通番号制度は「憲法違反」となっています。 共通番号が導入されている米国では番号漏えいによる「成りすまし犯罪」が横行し、韓国では2011年に中国のハッカーによって国民の約7割の3500万人もの個人情報が盗まれるという事件が起こり、制度自体の是非を問う議論が高まっているそうです。 海外の先例から考えても、マイナンバー制度は国民の自由を促進するどころか、経済的自由権や個人情報保護の観点から、国民の自由を大きく侵害する可能性の非常に高い悪法と言えるでしょう。 ◆自衛隊は本当に戦えるのかという米側の疑念 「平和」という観点から考察すると、何といっても中国によるアジア全域における覇権主義の進展、または朝鮮有事の危険性でしょう。 確かに、集団的自衛権の行使容認、米海軍の南シナ海への積極的関与、先日行われた日中韓の首脳会談など、日本を取り巻くアジア情勢が平和に向けて急速に進展しつつあるように見えます。 しかし、米国側の視点から日本の安全保障体制を洞察する日高義樹氏は、日本の国防体制の進展に一定の評価を下しながらも、 「安倍首相はこれからアジアに何が起ころうとしているのか正確に理解しないまま集団的自衛権構想を進めているように見える」 「朝鮮半島有事の際、日本の自衛隊が出動した場合には、(補給兵站だけに限って参加するということは不可能で)米国や韓国と同じレベルの戦闘に加わらざるを得ないと考えている」 など、有事において今の自衛隊がリアルな戦闘を戦い抜くことが出来るのかという米専門家たちの疑念を取り上げています。(「誰も知らない新しい日米関係」) この点、3日にはグレーゾーン事態などにおいて自衛隊と米軍の緊密な連絡・調整を行う協議機関の常設化が合意されましたが、そうした疑念を払拭することが出来るかは今後次第と言えるでしょう。 ◆南シナ海情勢でアメリカは頼りになるのか? 南シナ海情勢に関しては、外交的な押し技と引き技を上手く使い分けながら、虎視眈々と自国の権益を拡大するという中国の常套手段からすると、楽観視は出来ません。 実際、南シナ海での米海軍の技術的優位は歴然としていますが、「地の利」がある中国の数的優位は圧倒的で、「いくつかの状況には量よりも質が重要となり得る」と言えます。 また、イスラム国対策でオバマ大統領はここにきて地上戦力の派遣を決定しましたが、今後の展開次第では中東と南シナ海の二正面対峙が本格化することも考えられます。 オバマ大統領の今までの政権運営から考えると「行動基準によって、米国は事態をエスカレートさせることに消極的となり、(南シナ海から)撤退を余儀なくさせられる可能性がある」という専門家筋の見解には妙に信憑性を感じさせます。(2015/11/2ロイター通信) ◆奇跡の国・日本に相応しい憲法を! 結局、国内においては「世界の間違った常識」を模倣し、国民の自由を徐々に侵害していく一方で、「自分の国は自分で守る」という「世界の常識」を、憲法9条に象徴される平和憲法の足かせによって未だ実現できず、平和が脅かされる未来が待っているというのは何とも皮肉なことです。 我々が世界に誇るべき日本の文化を生み出したのは、戦後の日本人の力でも、ましてや日本国憲法でもなく、日本人が歴史的に紡いできた先人たちの智慧であります。 そして、その智慧を守り、未来に継承していくことこそ、今の日本に生きる我々の役割であり、本来の憲法の使命でありましょう。 その点、現行憲法は戦後の断絶によって、外国人の手によって生み出されたものであることから、皇統が2600年以上も脈々と続いてきた奇跡の国・日本に相応しいものではありません。 幸福実現党は真正保守の政党として、日本の誇り愛すべき文化や慣習、先人たちの智慧を保ち、日本の未来を守るべく、「改憲」という既成概念を超えて、日本に相応しい国体の「創憲」に携わっていく所存です。 すべてを表示する « Previous 1 … 44 45 46 47 48 … 101 Next »