Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 アメリカに違法な中国バイオラボ。感染媒介にマウス使用?エイズ、エボラ…バイオセキュリティに深刻リスク 2023.12.01 https://youtu.be/_bkoIQormuI 幸福実現党党首 釈量子 ◆アメリカで発見された中国「違法バイオラボ」 11月15日、アメリカ下院の「中国共産党に関する特別委員会」が、「リードリー・バイオラボへの調査について」というレポートを発表し、アメリカを中心に大きな話題になっています。 リードリーというのはアメリカ・カリフォルニア州フレズノ郡にあり、2万6000人が住む、農業が盛んな田舎の町です 今回、そんな田舎町にあった「空の倉庫」だと思われていた建物が、実は中国共産党とつながりがある、危険な「バイオラボ」で、ここから多数の病原体が発見されました。 これは米国のバイオセキュリティにおける深刻なリスクであり、下院議会の注目に値する案件であると報告されたのです。 ◆中国「違法バイオラボ」の実態 中国のバイオラボのすぐ近くには、住宅地や高校、鉄道路線や市役所などがあります。 「違法バイオラボ」の発見は、2022年12月、フレズノ郡の公衆衛生局職員ジェサリン・ハーパー(Jesalyn Harper)氏が、その建物の壁に「ドリルで開けた穴」から「ガーデン用のホース」が伸びているのを見つけたことがきっかけでした。 それは明らかに地元の建築基準法に違反しており、ハーパー氏はその建物の立ち入り調査を行いました。 中は実験器具や装置がひしめき、白衣を着用し、マスク、ラテックス手袋を着用した中国人がおり、悪臭を放つケージのなかには、1000匹の実験用マウスがいたというわけです。 今年2023年3月以降、地元当局と連邦政府などが立ち入り調査をした結果、そこから大変な実態が明らかになり、下院議会で報告がなされたのです。 違法なラボからは、たくさんのアンプルが見つかり、エイズHIV、マラリア、結核、Covidコロナウイルスなど、判明したものだけで、少なくとも20種類の感染源となる病原体が発見されました。 中には、驚くべきことに「エボラ」とラベルの貼られた冷凍庫もありました。 エボラ・ウイルスに感染することで引き起こされる「エボラ出血熱」は、致死率25~90%にものぼります。 ヒトからヒトへの感染があり、かつ治療法が確立されていないため、エボラ・ウイルスは、細菌やウイルスなどを扱う実験施設の分類である「バイオセイフティレベル4(BSL-4)」に分類されています。 このリードリーのラボはもちろんレベル4でないどころか、実験施設としてのライセンスもありません。 この違法ラボで発見された1000匹の実験用マウスは、ヒトの免疫システムを模倣するように遺伝子操作された「トランスジェニック・マウス」でした。 ラボで働いていた中国人の研究員が語ったことによると、このマウスは「新型コロナウイルスに感染させ、媒介するように設計」されていたことがわかりました。 ということは、ネズミを使ったバイオテロが可能だということでしょうか?大変なことです。 ◆ラボ運営者と中国共産党とのつながり 調査により、この違法ラボは祝加貝(Zhu Jia Bei)という中国人によって運営されていたことが明らかになりました。 祝加貝氏は、アメリカの知的財産を盗んだとして、3億3000万カナダドル(約360億円)の罰金判決を受け、カナダ当局から指名手配を受けていました。 さらに祝加貝氏は、河南省新郷県のバイオ技術関連企業(Pioneer Aide China)など、中国国営企業の幹部で、「軍民融合」の企業とつながりがあったことが判明しています。 軍民融合とは、人民解放軍のもと、民間技術をいつでも軍事転用できるようにしている企業のことです。 そして、中国の銀行から数年の間に、少なく見積もって百数十万ドル、億単位の、説明のつかない支払いを受けていました。 中国共産党と密接な関係のある人物が、アメリカの片田舎にあるバイオラボで秘密の実験をしていたわけです。 ◆アメリカで「コロナ武漢流出説」の声 ここで誰もが念頭に浮かぶのは、中国の武漢にあるウイルス研究所です。 2019年12月に武漢で原因不明の感染症が拡大する中、その震源地となったのではないかと指摘され続けてきましたが、中国は隠蔽を続けてきました。 ウイルスは自然発生ではなく、人為的な改変の痕跡があることは多数の専門家が指摘しているところです。 今年2月には、アメリカのエネルギー省も「武漢流出の可能性が高い」というレポートをまとめています。 また同月、アメリカ連邦捜査局FBIのクリストファー・レイ長官も「武漢ウイルス研究所の事故である可能性が最も高い」と発言したりしています。 3月には、アメリカ下院の「コロナウイルスのパンデミックに関する特別小委員会」が開かれ、「武漢流出説」とともに、生物兵器としての利用につながらないような監視体制の必要性が話し合われています。 残念ながら、日本では政治もメディアも「中国の責任追及」には完全に及び腰です。 ◆パンデミック条約 いま、いわゆる「パンデミック条約」と呼ばれる、国際的にパンデミックの予防と備えをしていこうという趣旨の、WHOの新たな法的文書の作成が進んでいます。 これについて「各国の主権を侵害する」「ワクチンが強制になる」などという説も飛び交っているのですが、現時点の草案には、加盟国の主権を奪うような記述はなく、ワクチンや治療薬、検査薬などを途上国にも供給することが主目的とされてはいます。 「国際機関で定められた規制」という「大義名分」を掲げれば、より「感染症対策」が強化される懸念は確かにあります。 その意味で、一定の問題を含んだ内容ではありますが、国際機関が各国にルールを強制したり制裁を加えたりすることはできません。 憲法は条約に優先するので、結局は「日本は国としてはどうするのか」という主権の問題です。 日本では「感染症対策」の名目で、マスクやワクチン接種が事実上の強制となり、メディアも国民も空気に支配されました。 政治が、自由を侵害する「全体主義」に向かうなら、「緊急事態条項」規定などの動きには、警鐘を鳴らしていくべきであると考えます。 そして、決しては忘れてはならないのは、コロナ問題を引き起こした中国の責任追及です。 バイデン政権はじめ、中国との癒着が問題視されている政治家や政党、メディアによって、中国の責任追及をうやむやにしようとする圧力は常にあり「ごまかし」「すりかえ」が見られます。 中国がウイルスの起源はアメリカに焦点を当てるべきであると主張してきたことも忘れてはなりません。 幸福実現党の大川隆法総裁は、次のように指摘しています。 『宥和政策の一つで、「自然に発生したかもしれないし」というようなことで見逃していたら、次のものを使ってくることもありえるということは知っておいたほうがいいのではないかと思います。』(『メシアの法』) 全世界7億人が感染し、700万人が亡くなっているのです。このような巨悪を二度と起こさせないためにも、決して、ごまかしたりウヤムヤにしたり、論点をすり替えたりすることなく、中国の責任追及をやっていかなくてはなりません。 北朝鮮「核戦力の高度化」バイデン従属外交は亡国への道。日本は核保有の議論を。 2023.10.10 https://youtu.be/vHAw-srds0g 幸福実現党党首 釈量子 ◆金正恩氏「日米韓の軍事協力が最大の脅威」 北朝鮮は9月26日から27日、最高人民会議を開き、「核戦力を高度化する」という内容を含む憲法改正を行いました。 「責任ある核保有国として、戦争を抑止して地域と世界の平和と安定を守るため、核戦力を高度化する」ことで、核保有国としての地位を強化する狙いがあるわけです。 会議では、金正恩総書記が演説し、日米韓の軍事協力を「アジア版NATO」として非難し、これが「実質的な最大の脅威」と指摘しました。 今回の憲法改正は、ますますアメリカ・バイデン政権を中心とする西側への対抗を旗幟鮮明にしており、韓国ソウルの北朝鮮研究大学のヤン・ムジン教授は、次のような危機感を述べています。 もはや「交渉の余地なく、恒久的な核戦力を保有する」という北朝鮮の意思表明であり、「北東アジア地域における新たな冷戦と朝鮮半島における軍事的緊張は激化するだろう。」 ◆バイデン従属外交は亡国への道 トランプ政権時代は一時、北朝鮮がミサイルを全く飛ばさなかったこともあったぐらいで、非核化に向けて進んでいるかに見えました。 ところが2021年以降、バイデン氏が「民主主義」対「専制主義」を掲げ、北朝鮮との対立構図を鮮明にしはじめました。 今回の憲法改正に関する金正恩氏の演説でも「米国と西側の覇権戦略に反旗を翻した国々との連帯を一層強化する」と西側への対抗意識が強まっています。 さらに北朝鮮はロシアとの関係を強化しており、日本にとってアメリカに追随する外交は、みすみす対立の危機を招きかねません。 幸福実現党は、ロシアを敵視する外交は、中露北の結束、ひいては反米国家の結束を招くことを、かねてから訴えてきました。 逆に、日本がロシアと繋がることができれば、北朝鮮をコントロールし、中北を分断できるかもしれないという可能性を訴えてきました。 ◆自立した外交のうえで、日米韓の連携強化を 8月18日、日米韓3カ国の首脳は「キャンプデービッド」で会談を行い、協力して北朝鮮の核などの脅威に対し対抗していくことを表明しました。 しかし、現実を直視すると、北朝鮮はアメリカ全土を射程に収めた核ミサイルを使えるような段階に入り、報復を承知の上で、バイデン政権が日本を守ってくれる保証はありません。 それは、ウクライナに武器と資金だけ供給しているやり方をみれば、十分にありえることです。ですから、独立自尊の姿勢を持ったうえで、日米韓の協力を進めるということが原則です。 ◆韓国が10年ぶりの大規模軍事パレード 岸田首相は9月19日、国連で演説し、「核兵器のない世界」への取り組み強化を表明し、海外の研究機関・シンクタンクなどに30億円を拠出すると述べました。 「核兵器のない世界」とは、本来は隣の中国や北朝鮮に言うべきことです。 日本と同じ脅威を共有している韓国の尹錫悦大統領は、10年ぶりの大規模な軍事パレードを実施し、「もし北朝鮮が核を使ったら、韓米の圧倒的な対応によって、北朝鮮の体制は崩壊するだろう」と演説しました。 また、韓国の統一省傘下の統一研究院が、6月5日に韓国の世論調査を公表しています。 「北朝鮮が核を放棄しないなら、韓国も核兵器を保有すべきだ」との主張に、60.2%が賛成。2021年の調査では、71.3%で、減少していますが、それでも高い数字です。 一方、北朝鮮の脅威に対応するため、日本と軍事同盟を結ぶことに対しては、52.4%が賛成と回答し、反対の47.7%を上回る結果になりました。 ◆日本は核保有の議論を 原爆が落とされた記憶を持っているのは、日本だけですが、新たな国による原水爆投下がありえる時代に入りました。 北朝鮮や中国のような無神論の全体主義国家では、人を人とも思わない粛清や虐殺が日常的に行われています。 こうした国が放置されながら、「日本のみが何も戦力を持たないことが、世界の平和につながる」のでしょうか。 大川隆法総裁は、『正義と繁栄』の中で、次のように述べられています。 「核兵器を廃絶すべきなのは、今それを持っているところなのです。今、一つの国を滅ぼすことができる力を持っている国に対して、『核兵器廃絶』を言うのは結構です。ただ、核兵器廃絶ができないならば、いちおう、それに対抗できる手段を考えないと、『国民の安全』は護れません。」 『正義と繁栄』著: 大川隆法/幸福の科学出版 https://booklive.jp/product/index/title_id/380775/vol_no/001 日本が核で恫喝されたら、死滅するか、奴隷になるかどちらかしかありません。日本も核装備について、議論を始めることが大事だと考えます。 国民を守るために、事実を知り、現状を認識することから始めるべきではないでしょうか。 【国連総会】NATO諸国欠席でゼレンスキー大統領が悲壮な演説。 2023.10.04 https://youtu.be/mYUGtSMKeA8 幸福実現党党首 釈量子 ◆国連総会 9月19日(日本時間20日の午前3時)、ニューヨークで開催された国連総会に、ゼレンスキー大統領がウクライナ戦争後、初めて国連総会で演説しました。 カーキ色のシャツで登場したゼレンスキー氏は、悲壮な表情で「ロシアは世界を破滅に追い込んでいる。食料やエネルギーの兵器化を止めなければならない。全世界が団結しなければならない」と支援を呼びかけました。 これに対して、アメリカ・バイデン大統領は、ウクライナ戦争をロシアの「違法侵略戦争」だとして、次のように呼びかけています。 「この戦争に対する責任はロシアだけにある。平和を阻むのはロシアだけだ。」「我々は露骨な侵略に対抗し、さらなる未来の侵略者を抑止しなければいけない。」 今回の国連総会に、安保理常任理事国の首脳で出席したのはアメリカのバイデン大統領だけでした。 中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領も、イギリスのスナク首相、フランスのマクロン仏大統領も欠席したのです。 ◆激変する国際情勢 今年7月に北朝鮮が発射した火星18型は、アメリカ全土を射程に収めました。 北朝鮮が保有していないとされるものは「大気圏に再突入する技術」、そして、迎撃が難しい「多弾頭型」のミサイルの技術。さらには2度失敗した「偵察衛星」の技術です。 露朝会談で、ロシアはこうした北の欲しい技術をすべて提供できる可能性もあり、今後、北朝鮮がアジアで攻撃性を増してくるのは確実です。 そういう中、10月にプーチン大統領は、北京を訪問し習近平氏と会うわけです。 ◆日本の「ロシア憎し」の空気 いま日本は、ロシア憎し、ゼレンスキー氏が英雄かのような報道が大勢を占めていますが、まず、これは見直すべきです。 バイデン大統領からすれば「ロシアがウクライナを侵攻し、クリミアを奪い、他国の主権を侵害した」ということで、岸田首相や保守勢力も同じ見方をしています。 しかし、ロシアの歴史的経緯を理解する必要があります。 それは、「クリミアやドンバスは、キエフがロシア系住民を圧迫し、内戦状態であったので、住民投票によってロシアに帰属することを決めた」というロシアの言い分です。 実際、ウクライナ戦争の前、ゼレンスキー大統領は国内のロシア系住民のいた地域をドローン攻撃し、悲惨な状況が生じていたことは国連の調査団も認めています。 いま、ウクライナ戦争によって、「ロシア、北朝鮮、中国」さらにパキスタンやイラン、シリアなどアメリカ嫌いの国々の連結を招いています。 そして、バイデン大統領の「民主主義」対「専制主義」の考えが、世界大戦への構図をつくっています。 ウクライナが中立を保っていれば、またアメリカがウクライナを煽らなければ、起きなかったことです。 ◆グローバルサウス諸国の台頭 これまでアメリカ、日本を含むG7が世界を主導していた時代が続きました。 ところが9月9、10日にインドで開かれたG20サミットでもはっきりしましたが、西欧から「グローバルサウス」(インドや南アフリカなど、南半球に多い新興国・途上国の総称)のほうに人口や経済力などの力が移ってきています。 アフリカ連合(55ヵ国14億人)など、奴隷にされた歴史もあり、アメリカには懲り懲りだと思っている国は多く、グローバルサウス諸国は、国連で、ロシア糾弾決議をしても、実際にロシア制裁に参加した国はありません。 そして、「核保有」についてですが、日本にとっては、中国、ロシア、北朝鮮の3か国の持っている核兵器の数はアメリカを上回ります。 アメリカが本当に日本のために戦ってくれるかは保障の限りではありません。 アメリカでも8月、CNNの調査によると、国民の55%が、「連邦議会はこれ以上、(ウクライナに)さらなる資金援助を提供すべきではない」と回答しています。 今こそ、停戦のチャンスでもあります。今、日本が行うべきは、戦争をやめるよう働きかけることです。 ウクライナに多少の軍事支援をしても戦争を長引かせるだけで、悲劇は終わりません。それどころか、日本のためにもなりません。 ◆岸田首相「人間の尊厳」 日本の岸田首相も国連演説に立ちました。 演説で岸田首相は「人間の尊厳」という言葉を繰り返し述べ、「人間の命、尊厳が最も重要であるという原則に立ち返るべき」という言い方をされています。 これはいわゆる「日本教」で、政治家も国民もマスコミも「人の命は地球より重い」という言葉に象徴されるように、「人間の尊厳」というのは、「人間のこの世の命の安全」という意味と思われます。 「憲法改正に反対です」「戦場で死ぬのは困る」ということで、「一国平和主義」を貫いてきたのはこの「空気」に拘束され続けてきたからです。 さらには「商売優先」の日本の経済界からは、チベットやウイグルで行われている人権蹂躙に反対する声は上がってきませんでした。 また、自分の国を自分で守ることもできず、もし中国や北朝鮮に核で脅されたら奴隷になっても仕方がない、というなら日本は存続できません。 ◆真の「人間の尊厳」とは 大川隆法総裁は、「人間の尊厳とは何であるか。それが尊いのは、神から分かれてきた光であるからなのです。それが人間の尊厳の出発点であるのです。この出発点を否定して、人間の尊厳などない」と断言しています。 機械の寿命、自動車の寿命と同じではないし、アメーバから進化して、死んだら終わりなら尊さなどありません。 しかし、神の子、仏の子としての尊厳のために戦うという気概を、政治家が持った時に、人類は分断を超えて一つになれることを示しています。 ◆「人間の尊厳」を語る大統領 リンカン大統領の「ゲティスバーグ演説」(1863年)での「人民の人民による人民のための政治」は有名ですが、実際には次のような「人間の尊厳」を語っています。 「神のもとで、この国に自由の新たな誕生をもたらそう――そして、人民の人民による人民のための政治は、地上から決して滅びない。」 また、トランプ元大統領は2017年の演説で、次にように語っています。 「私たちは皆、創造主を信じる信仰において一つに結ばれており、主の前に平等だという堅固な思いで結ばれています。私たちは魂を持つ人間であって、単なる血肉ではありません。」 「自由は政府による贈り物ではなく、神の贈り物であるという基盤の上に、この国は形成された。」 プーチン大統領も、2013年9月12日にNYタイムスに寄稿した「A Plea for Caution From Russia(ロシアより警告の申し立て)」で次のように述べています。 「大きな国も小さな国も、豊かな国も貧しい国も、長い民主主義の伝統を持つ国もあれば、今も民主主義への道を模索している国もあります。彼らの政策も異なります。私たちは皆異なりますが、主の祝福を求めるとき、神が私たちを平等に創造されたことを忘れてはなりません。」 現在の日本では、「自由」「民主」を名乗る政党や、「自由・民主・人権」あるいは、「自由・民主・法の支配」という言い方もします。 しかし、神につながる「信仰」がなければ、決して「尊厳」という尊さは生まれません。幸福実現党がかねてより訴えてきた「自由、民主」に加えて「信仰」において団結すべき、ということです。 「信仰」により、世界の脅威である、唯物論独裁専制主義を包囲することができます。 世界大戦の構図を崩壊させ、地球平和を実現するためにも、日本人はこれまでの「空気の支配」から自由になる時ではないでしょうか。 中国が発表した最新地図にアジア諸国が一斉に反発――中国の赤い舌がアジアを飲み込む 2023.09.23 https://youtu.be/4UZwqK0qIKY 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国が公表した「2023年版 標準地図」 8月28日、中国が「2023年版標準地図」を公表しました。 これに対して、国境を接するアジア諸国が一斉に非難の声を上げました。領有権を争っている海域や領土を、勝手に中国が自国の権益が及ぶところだという主張しているためです。 【参考】 中国発表の最新「標準地図」南シナ海ほぼ全域の管轄権など主張 2023年9月5日 NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230905/k10014184581000.html ◆十段線とは? この新地図で注目されているのが、10本の線「十段線」です。 日本のニュースでは、「2023年版標準地図」から「九段線」に10本目の点線が台湾を中国が囲うように東側に追加されたという報道もあります。 しかし、すでに中国は2014年6月発行の認可した 「公式地図」から、台湾東岸に破線が1本加わっており10本になっています。 私が実際に2013年に中国に行った時に購入した地図で、「2014年6月河北第五次印刷」とあります。 中国は、これまで「自国の主権が及ぶ」と主張する範囲を、南シナ海に赤い線で描き、これまで「九段線」と呼んできました。 形が牛の舌に似ていることから、「(中国の)赤い舌」とも呼ばれます。南シナ海全域を舐めるような形になっているからです。 ◆国境とは違う「辺疆(へんきょう)」の概念 何故このような勝手なことができるのかというと、中国は「国境」という線を引いて守るというような概念ではなく、「辺疆」といって、国力が強くなれば風船のように周辺の国を飲み込み拡大することを国家戦略して考えているからです。 例えばウイグル人の住む東トルキスタンを「新疆ウイグル自治区」としています。 戦後、海洋調査が盛んになって海底資源が次々に発見されるようになると、中国は南シナ海が自分の国の領海だと主張し、浅瀬を埋め立てて「人工島」を造り、軍事基地に変えてしまいました。 これに対して、フィリピンは「国連海洋法条約」に基づいて2016年オランダ・ハーグにある「常設仲裁裁判所」に申し立てを行いました。 裁判所も「中国の一方的な領海の設定は国際法上において根拠がない」と裁定したのですが、中国は無視を決め込んできました。 ◆アジア諸国が一斉に反発 今回の中国の新地図に対してもフィリピンをはじめ、多くのアジア諸国が反発しています。 【フィリピン】フィリピン外務省は、「地図を拒否する」として、2016年の仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の裁定の順守を求めました。 【ベトナム】ベトナム外務省は「我が国の領有権を侵害し、国連海洋法条約に違反するもので無効だ」と中国に対する反発は強まっています。 【マレーシア】ボルネオ島(カリマンタン島)沖の自国の排他的経済水域(EEZ)と重なる水域が、中国領にされ、マレーシア外務省は、「中国の一方的な主張で、南シナ海における中国の主張を認めない」と反発。 アンワル首相は、「対話と協議を通じた平和的かつ合理的方法で管理されなければならない」と述べています。 【台湾】台湾外交部報道官の劉永健氏は、次のように反発しています。 「(台湾は)絶対に中華人民共和国の一部ではない。」「中国政府がいかに台湾の主権をめぐる立場を捻じ曲げようと、我々の国が存在するという客観的事実を変えることはできない。」 さらに、「台湾、中華民国は主権を有する独立国家であり、中華人民共和国に従属していない。」 「中華人民共和国が台湾を支配したことはない。これは一般的に認知されている事実であり、国際社会における現状である。」 【インド】内陸のヒマラヤ山脈にあるインド北東部のアルナチャルプラデシュ州も今回の新地図で中国領として記載されました。 ダライ・ラマ14世がチベットから亡命した際、辿り着いた街もありますが、中国はここを「南チベット」として領有権を主張しています。 インド外務省報道官のアリンダム・バグチ(Arindam Bagchi)氏は、「こうした主張には根拠がないため拒否する。中国側のこうした行為は、国境問題の解決を複雑にするだけだ」と強く抗議しています。 【日本】尖閣諸島の表記 松野官房長官は、尖閣諸島が「中国側の独自の主張に基づく表記がされている」として中国に抗議し、即時撤回を求めたことを明らかにしました。 しかし、中国は話し合って分かるような国ではないことは明白です。それなら日本は尖閣諸島の実効支配を強化すべきでしょう。 ◆2027台湾危機? いま、目と鼻の先まで迫って来ているのが「台湾」の危機です。 台湾の国防部は8月31日、2023年版の年次報告書で「習近平主席の三期目の任期中に、台湾問題を解決する過程を進める可能性がある」としました。 2022年10月22日に異例の3期目突入しましたが、5年の任期を終えるのが2027年です。 今年3月の全人代で「祖国統一のプロセスを揺るぎなく推進する」と発言して、改めて台湾統一に強い意欲を示しています。 アメリカのシンクタンクCSIS戦略国際問題研究所が、中国が台湾に侵攻した時、詳細なシミュレーションを行い160ページものレポートを発表しました。 その結果、「日本が米軍に協力しなければ中国が勝利する」と発表しています。 台湾が中国に飲み込まれるようなことになれば当然、同じ海域にある沖縄はもちろんのこと海上交通路を絶たれた日本は間違いなく独立を保つことができません。 さらに、イスラム諸国が中国側に回れば中国の全体主義的な価値観が世界を支配してしまうことになるでしょう。 今後、アメリカ、日本、イギリスなどの自由・民主、そして信仰心を持っている国と、中国の全体主義的な価値観との大きなせめぎ合いが、これから来ると考えております。 独裁者となった習近平主席も、ゼロコロナ政策の失敗や、党内の権力闘争が激化や経済の低迷で、国内でも激しい反発が広がっています。 私たち幸福実現党は、必ずこの中国的な価値観はひっくり返るものだと確信しながら、中国に対して自由・民主・信仰という価値観を打ち込んでいこうと考えております。 大川隆法総裁は、今年1月8日の『地獄の法(※)』講義において、次のように述べています。 「自由・民主・信仰の価値観」が、中国のほうでも奔流のように出てきて、なかが割れてくると思います。南部と北部、それからウイグル自治区、チベット自治区、内モンゴル自治区等に割れてくると思います。しばらく混沌が来るかもしれません。国自体は滅びませんけれども、今の一枚岩みたいな感じの国ではなくなるのが、これから来るものだと考えています。」 『史記』に、中国を統一した始皇帝が各地を巡遊中、洞庭湖の付近で揚子江を渡ろうとした時、洞庭湖の女神が吹かせる大風にあって、渡河できなかったことが記されています。 始皇帝、毛沢東、習近平の中国の専制主義、粛清、洗脳、そして人間を奴隷化するような苛烈な政治を行う為政者の船は、必ずひっくり返されるものだと信じます。 これからも中国に対して、幸福実現党は、「自由・民主・信仰」の風を吹かせていきたいと考えております。 (※)地獄の法 あなたの死後を決める「心の善悪」大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2888 世界有数の政治学者が徹底分析。終わらないウクライナ戦争――消耗戦を決める三要因【後編】 2023.06.22 幸福実現党党首 釈量子 前編からの続きで、シカゴ大学のミアシャイマー教授の見解の続きを紹介します。 【2】和平合意の可能性 ミアシャイマー教授は、和平合意の可能性について分析し「両国が合意することは難しい」と結論づけています。根拠として三つあげています。 まず、「領土の問題」です。 「ゼレンスキー大統領はウクライナの領土を取り戻すことなしに、停戦合意はあり得ないと言っている。一方で、ロシアは併合した四州とクリミアを絶対に手放さない。」 「次に、「中立化の問題」がある。ゼレンスキー大統領はNATOに加盟したいが、加盟させてもらえない。しかし何らかの安全保障の枠組みを米国やNATOに求めている。」 「一方で、ロシアは開戦当初よりウクライナの中立化を求めている。ロシアはウクライナに中立化の意思がないならば、ウクライナという国家を機能不全に陥れることを考えている」というわけです。 ちなみに6月2日、ゼレンスキー大統領はエストニアのカリス大統領との共同記者会見で、「戦争が続いている間はNATO加盟国になれない。加盟を望んでも不可能だからだ」と発言しています。 さらに、ミアシャイマー教授は「信用の問題」を指摘しました。 「2015年に締結したミンスク合意について、西側のリーダーはプーチンにウソをついた。ミンスク合意には、ドンバスの紛争を終了させるという内容が含まれていた。」 「当時のドイツのメルケル大統領、フランスのオランド大統領、ウクライナのポロシェンコ大統領、ロシアのプーチン大統領の間で約束していた。」 「しかし当時の西側リーダーたちはミンスク合意を機能させることに関心がなかった。彼らはロシアと戦うためにウクライナを強化するための時間かせぎを考えていた。なので、プーチンは西側を信用していない。」 以上のことから結論として、ミアシャイマー教授は、ウクライナ戦争が停戦合意に至ることは難しいので、いわゆる「凍結された戦争」になるだろうと主張します。 これは、朝鮮戦争の際に38度線で結ばれた休戦協定のイメージです。韓国と北朝鮮はあくまで休戦状態であり、戦争が終結しているわけではありません。 講演の終盤でミアシャイマー教授は、「米国には『NATOの東方拡大が大きな災いをもたらす』と主張している人が数多くいて、これは驚くべきことだ」と話しました。 さらに興味深いのは、「プーチン大統領はミンスク合意を大事にしていたので、ドンバスに侵攻するつもりはなかった。2021年12月に解決策を提示したが、バイデンは聞く耳を持たなかった。」 ミアシャイマー教授は、一貫して「NATOの東方拡大に問題があり、プーチンにウクライナ侵略の意図はなかった」と主張しています。 最後に、「ロシアが勝利すると思っているが、ロシアが万一負けそうになれば、核兵器を使用する可能性がある」と警告しました。 ◆日本が果たすべき役割 ウクライナ戦争における日本の立ち位置は完全にNATO側です。 最近も、6月2日、米軍が砲弾を増産するために日本企業に「火薬」の生産を依頼しているという報道がありました。 サプライチェーンに組み入れられると日本はいよいよ弾薬の支援をすることになります。しかし日本のこれ以上の肩入れは、日本を危機に晒すことにもなるので無用だと思います。 NATOの連絡事務所を日本に設置するという話も出ていますが、これにも反対です。日本はEUの一員でも、NATOの一員でもないからです。 ちなみに、世界がウクライナを見ている間に、中国軍は揚陸訓練を実施し、戦闘機が台湾海峡を脅かすなど、活発になっています。 日本の報道では、未だにゼレンスキー大統領を英雄視する見方が大半です。 しかし、ゼレンスキー大統領は、究極の事態を予想せず、撤退戦を知りません。このままでは国を滅ぼす最悪の大統領になる可能性があります。 幸福実現党は、ウクライナの国民を守るためにも、ウクライナの中立化によって国民の命を守るとともに、世界大戦に拡大することを避けるべきだと主張してきました。 ウクライナの側も国民を守るため、EUとロシアと中立の関係で存続への道を模索する方が、必要なのではないでしょうか。 ブラジルやインドネシアなどは停戦を呼びかけていますが、日本こそ、停戦の仲介に力を尽くすべきではないかと考えています。 世界有数の政治学者が徹底分析。終わらないウクライナ戦争――消耗戦を決める三要因【前編】 2023.06.21 https://youtu.be/d8-hZEiHRWk 幸福実現党党首 釈量子 ◆ウクライナの反転攻勢 ウクライナの反転攻勢が始まりました。 6月4日時点のウクライナ戦争の状況を地図に表した「戦争研究所の地図」をみると5月21日頃、ウクライナ戦争の激戦地バフムトが陥落し、ロシアの支配下になりました。 戦争研究所の戦況地図 https://storymaps.arcgis.com/stories/36a7f6a6f5a9448496de641cf64bd375 5月22日、ウクライナの兵士が国境を越えて、ロシア国内のベルゴルド州を襲撃しましたが、その後ロシア軍に鎮圧されています。 さらに6月4日頃、ウクライナ軍がバフムトやザポリージャ州の南部で反転攻勢を開始しましたが、6月6日には、ウクライナ東部のカホフカ水力発電所のダムが爆破されました。 ウクライナはロシアがやったと言っていますが、ロシア側にも塹壕が流され甚大な被害が出ましたので、欧米側も事故ではないかという報道も出ています。 ウクライナ軍の反転攻勢は、ロシアとクリミア半島を分断することを狙っており、ザポリージャ州南部のロシアの防衛線を突破して、マリウポリやベルジャンスクまで進軍することを目指しています。 ◆ロシアの野戦要塞を突破できないウクライナ軍 ウクライナ軍は7つの集落を奪還していますが、国境線に沿ってロシアが広範囲に渡って防衛線を展開しているため、ウクライナ軍は前線を突破できていません。 しかも、ロシア軍の攻撃によって西側が提供した戦車や兵器に大きな被害が出ています。 6月12日のCNNによると、米国はこれまで109台のブラッドレーをウクライナに提供してきましたが、そのうち15%が、ロシア軍によって破壊されたと報じています。 また、ゼレンスキー大統領は、「ゲームチェンジャー」になると話していた、フィンランドが供与した地雷を除去しながら、部隊を前線に安全に運ぶことができる戦車レオパルト2は、ロシア軍によって6台のうち3台が爆破されました。 6月13日、プーチン大統領は「欧米が提供した兵器の25~30%を失わせた」「ウクライナは戦車160両、装甲車360両以上を失ったが、ロシアが失った戦車は54両」「ロシアの損害はウクライナの10分の1」と指摘しました。 ゼレンスキー大統領にとっては、武器さえあれば反転攻勢が成功するということを示したいところですが、予定通りには進んでいません。 ◆ミアシャイマー氏の見解 戦況は今後も変化していくと思いますが、今後の戦況について、シカゴ大学のミアシャイマー教授の見解を紹介したいと思います。 日本では、昨年5月に「文藝春秋」に特集記事が掲載されたので、ご存知の方もいらっしゃると思います。 【1】 ロシアが戦争に勝利する ミアシャイマー教授は5月22日、「ウクライナ戦争は今後どうなるのか」という演題で講演し次のように言っています。 「ウクライナ戦争は、第一次世界大戦に似た「消耗戦」であり、消耗戦では、(1)決意、(2)人口、(3)弾薬量、の三つのバランスを見る必要がある。」 これらの点を総合すると、ミアシャイマー教授はロシアが戦争に勝利するだろうと見ています 「決意のバランスについては、ウクライナ軍は領土を奪還するために戦っている一方で、ロシア軍は特別軍事作戦の目的を果たすために戦っている。どちらも確固たる決意が備わっており、甲乙つけがたい。」 続いて、ミアシャイマー教授は次のように分析しています。 「人口のバランスについては、人口バランスで見ると、ウクライナ人1人に対してロシア人3.5人だったが、現時点でウクライナ人1人に対してロシア人5人になった。」 「弾薬量のバランスについては、おそらく、ロシア5:ウクライナ1、もしくは、ロシア10:ウクライナ1だろう。」 「ウクライナはすでに総力戦になっており、75歳の兵士も数多く参戦している。訓練も十分になされていない、が、ロシアは正規軍に加えて、新たに30万人を動員している。」 「バフムトの戦いでは、ウクライナの最高の部隊が追い出されたが、ロシア軍の本流にある正規軍はまだ本格的に投入されていない。(5月22日の講演当時)」 (後編につづく) 中国「スパイ摘発」強化。相次ぐ日本人拘束。中国の人質外交に警戒を!【後編】 2023.06.18 https://youtu.be/HKp9hlzAjVQ 幸福実現党党首 釈量子 ◆邦人拘束に対する対応 前編で、中国による邦人拘束を取り上げましたが、どうすべきでしょうか。 現実的な対応としては、日本企業も、中国の生産拠点を日本に戻す「国内回帰」を加速させるのが最良です。 これは以前から幸福実現党も訴えてきたことで、コスト面で難しい場合は、アジアにシフトすることも検討すべきと思います。 例えば、アップルは、中国依存を減らすために、数年前からiPhoneの生産拠点をインドに移しています。 今年4月には、アップルのiPhoneを受託生産している台湾のフォックスコンが、インド南部カルナタカ州で7億ドル(約950億円)を投資する新工場建設を発表しました。 アップルはインドの生産量を世界全体の25%まで増やす予定です。 ◆政治哲学に基づく正論を! 「反スパイ法」を機に企業も個人も中国リスクを考え、国としても、甘い考えを捨て、中国と根本的な違いを知って対処しなければなりません。 米国コンサルティング会社に中国警察の立ち入り検査があった際、中国の報道官は、次のように滔々と語りました。 「私たちは市場原理、法の支配、世界標準のビジネス環境を促進することに取り組んでいる。全ての企業は中国の法に従うべきである。」 しかし、中国の言う「法の支配」は、欧米とはまったく違います。欧米でいう「法の支配」は、「人の支配」に対置される考え方です。 17世紀前半、イギリスで国王と議会が対立していた時に、「王権であっても法によって制限される」という考え方が出てきました。 映画「ブレイブハート」でも、暴君として描かれるジェームズ一世が「王権神授説」を掲げて議会と対立しました。 王は演説で「王は地上において神にも類する権力を行使しているのだから、神と呼ばれてもよい」という現人神のような強硬な姿勢を取りました。 それに対し、エドワード・コークが「国王といえども神と法の下にある」という(ブラクトンの)法諺を引用して諫めたというのが残っています。 まずイギリスで、「国王と雖も一般的な慣習法として続いている法を尊重し、それに従うべきであるという「コモン・ローの理念」が出てきました。 その後、アメリカ独立戦争を経て、「憲法」によって国家権力を縛り、国民の財産や人権を守るようになりました。 このように「法の支配」は、英米法の中で発展してきたもので、個人の私的領域への国家権力の介入を排除し、個人の自由を保障する「自由権」を確立するのに、清教徒ピューリタンたちの努力があったことを忘れてはいけません。 彼らが神の子として信教の自由を確立するために立ち上がった結果、米国の独立宣言には「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」と明記されるに至りました。 合衆国憲法には「いかなる国家権力であっても創造主から与えられた自由を侵すことはできない」という考え方が根底に流れています。 こうした観点を理解しないと、「法の支配」といっても形だけになってしまいます。 ◆中国がいう「法の支配」とは 中国がいう「法の支配」というのは、こうした基本的人権とは全く違う意味で使っています。 本質的には、始皇帝の時代の「法家思想」から変わらず、皇帝が性悪説に基づいて人民を統治するための道具だという考えは変わっていません。 中華人民共和国憲法の序章には「国家は中国共産党の指導(領導)を仰ぐ」と書かれ、習近平国家主席の意向が如何様にでも反映される独裁体制です。 都合の良い法律を制定し、人々を支配するための道具として「法」を利用しています。 習政権発足以降、ウイグルやチベット、香港における人権弾圧を正当化するために、幾つも法律を作り、法律によって、人権の中の人権と言われる信教の自由が侵害されてしまっています。 中国では、法律の運用も、非常に恣意的です。 これに関しては、自由の哲学で有名なハイエクが著書「隷属への道」の中で、こう言っています。 「法の支配とは、政府が行うすべての活動は、明確に決定され前もって公表されているルールに規制される、ということを意味する。」 つまり、本来の「法の支配」というのは、政府が個人の活動を場当たり的な行動によって圧殺することは防止するためのものであり、誰もが知っているルールの範囲内なら自由が守られ、政治権力が意図的にその活動を妨げるようなことはないことを意味するわけです。 今回の中国の「改正反スパイ法」などは「国家の安全と利益」の定義が曖昧で、当局はいつでもだれでも恣意的に拘束できるとなると、経済活動どころか、自由は根こそぎ奪われます。 当局の都合の良い理由で拘束されるなどという不条理は、耐え難いものです。 中国の言う「法の支配」とは名ばかりであることを、中国に進出している企業やビジネスパーソンは理解して、今後の行動を考えるべきです。 「法の支配」の成立過程を見てもわかるとおり、そのバックボーンにはキリスト教的精神がありますが、日本も、善悪や正義の根源にある宗教的精神をないがしろにしています。 幸福実現党は「正しさとは何か」を、神の心宗教や哲学の面から考えます。大川隆法党総裁は次にように指摘しています。 「『法の支配』といっても、『やはりそのもとには、法哲学がなければいけない。憲法の上に法哲学があって、法哲学や政治哲学の上に、やはり神の正義がある』と思っていて、その観点で、『正しさとは何か』ということをずっと考え続けていたので、『間違っているものは間違っている』」(小説「内面への道」余話) 自己中心的な政治指導者の国の、侵略主義に対処するには、政治哲学や政治思想が必要です。 日本の政治家も、確固たる政治哲学や信仰心を持って、中国に対して正論を言うべきではないでしょうか。 幸福実現党は「自由・民主・信仰」の普遍的価値観を掲げ、国防や外交を進めるべきだと考えていますし、中国の民主化を促すべく、人権擁護の働きかけも続けていきます。 中国「スパイ摘発」強化。相次ぐ日本人拘束。中国の人質外交に警戒を!【前編】 2023.06.17 https://youtu.be/HKp9hlzAjVQ 幸福実現党党首 釈量子 ◆反スパイ法改正、7月1日から施行 4月26日、中国は2014年に制定した「反スパイ法」を改正し、摘発対象を拡大し、今年7月1日から施行されます。 中国でビジネスをしている方は戦々恐々で、今後さらに神経をすり減らすことになりそうです。 2014年11月1日施行の従来の「反スパイ法」では、取り締まりの対象となるスパイ行為とは「国家機密」を提供することと定義していました。 今回の改正法では「国家の安全と利益に関わる文書、データ、資料、物品」を提供や窃取(盗み取ること)、買い集めにも広げました。 困るのは、「国家の安全と利益」とは何か、定義を明らかにしていないため、中国当局による恣意的な運用がなされる可能性があります。 米中が対立している半導体、先端技術は当然のこと、当局が「国家の利益」に関わると見なせば何でもありです。 また、「スパイ行為」の定義も拡大され、例えば、レアアースなど資源に関わる場所を「撮影」、政府や国有企業関係者の「接待」、台湾や香港、中国共産党等に関する「雑談」レベル、ウイグルやチベットに旅行し現地の人との「会話」もスパイ行為と見なされる可能性があります。 国家組織や重要な情報インフラに対するサイバー攻撃も含まれるようになりました。 また、国家安全を担う部署の権限も強まり、スパイ行為の疑いのある人の手荷物や電子機器を、強制的に調査ができるようにしました。 さらには、スパイ行為を発見した個人や組織に「通報義務」を課しました。 「いかなる公民・組織も、スパイ行為を発見した場合、速やかに国家安全機関に通報しなければならない」として、黙っていると罪になります。 逆に、反スパイ法に貢献した個人らは表彰されるということです。 ◆「密告」を奨励 思い起こすのは、中国で1966年から76年まで行われた「文化大革命」です。 政治闘争のなか、中国では友達や同僚、家族の間でお互いの監視と密告が数多く行われて、「自分の母親を密告したら2か月後に銃殺刑に処せられた」というようなこともありました。 習近平政権が「密告」を奨励して、学生が教授の講義内容を監視し、告発するケースもすでに起きています。 「反スパイ法」に伴い、当局は密告のための電話番号やメールを公開し、整備しています。企業内の会話や、知人との食事中の会話も監視され、通報される可能性はさらに高くなりました。 ◆外国企業の摘発 7月の改正法施行前に増えているのが、欧米の外国企業の摘発です。特にコンサルティング会社や調査会社の摘発が目立ちます。 「デューデリジェンス」(Due Diligence)と言われますが、投資を行うにあたっては、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調べないといけません。 特に、中国に進出している外国企業は、相手先企業のバックグラウンドとして、財務面を確認するのは当然ですが、 例えば、ウイグルの強制労働によって作られた製品は米国の制裁対象になるため、取引先がウイグルの強制労働に関わっていないことを確認する必要があります。 企業にとってこれらの確認作業は大きな負担となっていましたが、今後さらに「反スパイ法」への対応が加わります。 そもそも中国政府は、ウイグルの人権問題を国家の利益に関わる情報だと見なしているため、外国企業のこのような調査・確認作業自体が「スパイ行為」と見なされる可能性もあります。 すでに外国企業は一段とこうしたリスクに直面しています。 3月、米国の信用調査会社ミンツ・グループの北京事務所で働く中国人が拘束。 4月、米国のコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーの上海事務所で従業員が取り調べを受け、さらに 5月初め、米国のコンサルティング会社キャップビジョンの拠点を、スパイ行為で一斉調査しました。 報道によると同社は、外国企業を含む1000社以上の顧客を持つコンサルティング会社で、従業員が人民解放軍関係企業の人物と頻繁に接触し、専門家という名目で高額の報酬を渡して「重要なデータ」を取得していたとのことです。 中国当局は、米国が、コンサル会社を利用して機密情報を得ている、と見なして摘発を強化しています。 中国の言う「重要なデータ」とは、欧米諸国では、ごくありふれた民間データだったりします。 例えば、ある地域のコロナの死者数を調査するだけで、国家の安全に関わる情報を不正に入手しようとしたと見なされるかもしれません。 ◆相次ぐ邦人拘束 日本企業や日本人の拘束リスクも非常に高まっています。 中国に進出している日系企業の数は、3万2887拠点で第一位。二位のアメリカ8959拠点を大きく上回ります。 今年3月、アステラス製薬に務める50代の男性社員が、反スパイ法の疑いで拘束されました。 通常業務の一環として、政府関係者や業界関係者との交流を行っていたことが拘束の理由だと報じられています。 ただし、これは表面的な理由であって、日本が米国に足並みを揃えて、「半導体製造装置の輸出規制」を強化したことを受け、中国が「外交カード」として、日本人を拘束した可能性があると指摘されています。 昨年、釈放された鈴木英司さんは、スパイ容疑で6年3か月拘束されました。鈴木さんがスパイ容疑をかけられたのは、友人である中国政府の外交官と会食した際の何気ない会話です。 当時、日本ですでに報道されていた北朝鮮の張成沢氏の側近の処刑と本人の動向疑いについて「どうなのですか?」と聞いたら、相手は「知りません」と答えたということです。 これが罪だとされ、24時間監視付きの時計もない、テレビもない、太陽も見ることができない部屋に監禁されて取り調べを受け、有罪判決を受け、昨年22年10月、やっと帰国しています。 これまで、中国に拘束された邦人17名の中には、札幌市の男性のように日本の土を踏むことなく亡くなった方もいますし、今もなお、服役している方もいます。 残念ながら、各種の証言をみると、日本の外務省が釈放に向けて力を貸してくれることはあまり期待できないし、親中派の与党・公明党に近いと言っても、効果がないようです。 今後、「台湾有事」が起きれば、日本は日米同盟のもと中国と敵対関係になるので、中国駐在の日本人ビジネスマンは人質に取られたのも同然です。 (後編につづく) 世界大戦の新たな火種に。インドvs中国、ミャンマー離島にスパイ基地。【後編】 2023.06.15 https://youtu.be/2ewvekji7K4 幸福実現党党首 釈量子 ◆大ココ島が新たな火種に 前編で見てきたように、インドと中国の両国とも国境問題について譲歩するつもりはないため、いつ戦争が始まってもおかしくない状況です。 これに加えて、今問題になっているのは、中国の海洋進出がインド洋に迫り、中印紛争の新たな火種になりつつあるという話です。 インド洋のベンガル湾にミャンマーが領有している大ココ島があります。 今年3月末、英国のシンクタンクが「中国がこの島にスパイ基地を建設している」というレポートを発表しました。 衛星写真を見ると、滑走路がハッキリと写っています。以前は1300メートルしかなかったそうですが、現在2300メートルまで伸びています。レーダー基地もあります。 滑走路に隣接される形で、二つの航空機の格納庫が写っています。 英国のシンクタンクの分析によれば、ミャンマーは中国と連携しており、中国は大ココ島を海洋監視の拠点として利用し、将来的に空軍基地にする可能性があるため、インドの大きな脅威になるだろう、ということです。 大ココ島からわずか55キロメートルの場所には、インドの海洋戦略上、重要な基地があるアンダマン・ニコバル諸島があります。 もしインドと中国が対立した場合、インドはアンダマン・ニコバル諸島を利用して、中国の商船を規制し、中東から原油を輸入するルートを封鎖することができます。 中国はこうした事態を想定し、「中国・ミャンマー経済回廊」を建設し、陸路で原油を輸入できるように対策しています。 この構想は、雲南省の昆明とミャンマー最大都市ヤンゴンやベンガル湾に面するチャオピュー約1700 kmの区間を高速道路と鉄道で結ぶものです。 ウクライナ戦争の陰で中国は着々と、東シナ海、南シナ海、そして、インド洋まで覇権を広げようとしています。 中国は、原油の確保を確実なものにするために、ミャンマーに経済回廊をつくり、大ココ島に軍事基地を構えようとしており、大ココ島が中印戦争の新たな火種になりつつあるのです。 中印対立は世界大戦の火種と言われており、中東から原油を大量に輸入している日本にとっても他人事では済みません。 ◆インドとの友好関係の促進を このように、インドは経済発展のポテンシャルを持ちながらも、常に中国の脅威に曝されています。 だからこそ、インドは中国を牽制するためにロシアとの関係を維持しています。 インドが置かれた安全保障上の環境は日本も似ています。 しかし、インドがすでに核保有国であることを考えると、日本は憲法9条を改正することもできず、自衛のための核保有の議論すら始めることが出来ないのは情けないと言わざるを得ません。 さらに、外交面では、まるでNATOの一員だと錯覚しているかのように、ウクライナ戦争に積極的に協力し、ロシアと敵対関係になりました。 その結果、中国と北朝鮮、ロシアの核保有三カ国と対峙するという、戦後最大の国防上の危機を迎えています。 インドは英国の植民地だったこともあり、欧米諸国の傲慢さを肌身で感じています。 だからこそ、インドの外交方針は欧米諸国に巻き込まれないための中立だったのです。 一方で、グローバルサウスと呼ばれる国々の声を代表していると言う自負もあります。 日本はそうしたインドの立場を理解しうる立場にあるとともに、仏教的精神を共有する国です。 日本は精神的にも、経済的にも、軍事的にも、インドとの関係を深め、アジアの国々をリードすべきだと思います。 日印関係の更なる強化を目指すことが、中国の覇権を抑止し、アジアの平和、そして、世界の平和につながると考えます。 世界大戦の新たな火種に。インドvs中国、ミャンマー離島にスパイ基地。【前編】 2023.06.14 https://youtu.be/2ewvekji7K4 幸福実現党党首 釈量子 ◆存在感を増すインド ここにきて、インドが存在感を増しています。日本の将来を考えれば、インドとの関係強化は避けられないと思います。 今回は、インドの存在感が高まった背景を見ながら、第三次世界大戦の火種の一つ、中印対立に注目したいと思います。 (1)インドの人口が世界一に 先月、インドの人口は14億2860万人を超え、中国を抜いて世界一になりました。中国は1750年以降、ずっと世界一の人口でしたが、インドに抜かれました。 インドの人口は今後も増え続け、2050年までに16億6800万人に達すると言われています。 ちなみに、中国の人口はすでに縮小段階に入っており、2050年までに約13億1700万人に減る見込みです。 しかも、インドは人口の半分が30歳未満という若い国です。30年前の中国に似ていると思いますが、若い労働力がどんどん供給されるため、経済成長は間違いと思います。 インドのGDPはすでに英国を抜いて世界5位ですが、いずれ上に上がるでしょう。 【参考】2022年GDPランキング上位5カ国 1位(米国)2位(中国)3位(日本)4位(ドイツ)5位(インド) (2)世界の工場はインドへ インドにとってさらに追い風であることは、米中対立のもとで企業の「脱中国」が進んでいることです。 アップルはすでに生産拠点をインドにシフトしており、2025年までにiPhone生産の25%をインドで行う予定です。 インドでのiPhoneの販売も増えており、今後、生産拠点だけではなく、市場としての魅力も増していくのではないかと思います。 中国共産党の一党独裁が続く以上、世界の工場が中国からインドにシフトしていく流れは止められないのではないでしょうか。 日本企業の本格的なインド進出が始まることを期待したいと思います。 また、報道によると、インドが輸入する原油に占めるロシア産原油の割合は、2021年には2%だったが、2022年にはほぼ20%に達し、10倍に増えました。 その結果、インドは昨年の会計年度で約50億ドル(約6700億円)を節約することができました。 安いエネルギーを輸入できることは、インドが工業国家へと押し上げることにつながると思います。 (3)ウクライナ戦争のキャスティングボード 経済面だけではなく、外交面でもインドの存在感が増しています。 ウクライナ戦争では米国とロシア、中国の対立が激化するなか、インドは中立の立場を保っています。 このことが、インドの存在感を高めています。インドがどちらの側につくかで世界の方向性が決まるという、キャスティングボードを握っています。 G7広島サミットでは、グローバルサウスの代表国としてインドも招待され、6月にはバイデン大統領がモディ首相を国賓として招待します。 こうした事実がインドの存在感が高まっていることを物語っています。 ◆カシミール地方を巡る中印の衝突 しかし、インドにとって悩みの種は、中国の存在です。 最近、インドは中国やパキスタンとの係争地になっているカシミール地方でG20の会合を開催しました。 これに対して、中国はG20の会合をボイコットして反対しました。 カシミール地方を巡っては、中印両軍はこれまでも衝突を繰り返しています。2020年には中印両軍が衝突し、少なくとも24名が死亡しました。 今年3月、インド陸軍のマノジ・パンデ参謀長は、次のように述べています。 「中国政府は年を追うごとにかなりの部隊増強をしており、実効支配線(LAC)沿いで飛行場や兵舎など軍事インフラを整備している。中国という全体主義国家は、多方面からの戦略を用いてアメリカを追い落とし、世界に君臨する超大国になろうとしている。」 インドは北部国境沿いにおいて、軍事インフラの整備も強化し、カシミール地方の東部にあたるラダックに通じるトンネルを建設しています。 この地域はヒマラヤ山脈で、冬場は氷点下40度になるそうです。トンネルの長さは8.8キロで、アジア最大規模と言われています。 現在、トンネルが一部開通し、ラダッカに物資を送れる状況にあり、今後、全面開通すれば、インド軍の兵士を大量に移送できるようになります。 インドはウクライナ戦争を教訓に「戦争が起きれば数年単位の戦争になる」と見て準備を進めています。 (後編につづく) すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 … 98 Next »