Home/ 財政・税制 財政・税制 すべての道は増税に通ず――複雑化・肥大化する租税法体系を疑おう! 2013.03.19 消費増税に向けて、次々と手が打たれている 来春からの消費税増税に向けて、政府・与党・財務官僚が立て続けに対策を講じています。 「消費増税批判をかわし、消費増税を断行する」という、彼らの鉄の意志の表れが見て取れます。 関連する対策を列挙しますと、以下の通りです。 (1)自公両党は生活必需品の消費税率を低く抑える「軽減税率」導入に関する調査委員会の初会合を開催。(2/20) 軽減税率の導入については、早期導入をめざす公明党と慎重な自民党の間で議論中ですが、現段階では「消費税率の10%引き上げ時に軽減税率制度を導入することをめざす」としています。 (2)大企業の下請けの中小企業が、増税分を適切に価格転嫁できるようにする特別措置法案の素案をまとめ、増税分の製品価格への上乗せを取り決める「転嫁カルテル(転嫁協定)」を条件付きで容認。(2/22) (3)消費税の逆進性対策として給付付税額控除等を行うに際し、国民一人一人に番号を割り振って所得を正確に捕捉するため、共通番号「マイナンバー」制度の関連法案を閣議決定、国会に提出。(3/1) (4)中小零細企業が増税分を転嫁できないという批判をかわすため、大手スーパーなどによる「消費税還元セール」を禁止することを決定。(3/12) (5)政府は、本年秋に消費増税の最終判断することになっていますが、景気が低迷していれば、増税にストップがかかるため(「景気弾力条項」)、アベノミクスによる景気対策も「景気弾力条項」をクリアするために行っていると冷やかに見る向きもあります。 このように、政府・与党が次々と手を打っている政策は、消費税増税のためであって、決して「国民生活を豊かにする」という観点ではないと思います。 「高い税金は悪い税金」 とりわけ今回は、以前(消費税導入時、3%から5%への増税時)のように消費税増税分に見合った所得税減税等は一切なく、復興増税も絡み、全て増税です。 増税を断行するために、法律を増やし、複数税率を採用し事務作業を膨大に増やし、租税法体系を一層複雑化することは本当に正しいことなのでしょうか? もう一度、税金とは何なのか。原点に帰って考えてみる必要があるのではないでしょうか。 アダム・スミスは『諸国民の富』にこう書いています。 「国家を最下級の野蛮状態から最高位の富裕に到達させるには、平和と、軽易な租税と、正義の寛大な執行とのほかに不可欠なものはほとんど何もない。」 渡部昇一氏も一貫して「高い税金は悪い税金、安い税金がいい税金――これ以外の論理はない」と訴え続けておられます。税を「年貢」と読み替えれば一層明確にその事が認識されます。 「税と社会保障の一体改革」とか、いかに立派な名前がついていても、「高い税金は悪い税金」「安い税金が良い税金」という根底を見逃しているような議論であれば、それは間違っているということです。 税高くして、国滅ぶ パーキンソンの法則で有名なパーキンソンは「税金を高くすれば国が滅びる。それが歴史の鉄則だ」と述べています。 古来、一般に妥当だと認められた税金は、収入の十分の一あたりであると述べています。(C.N.パーキンソン著『金は入っただけでるーパーキンソンの第二法則』至誠堂,1962) 現在の日本では、「隠れた税金」と言われている社会保険料も含めれば、平均的日本人で収入の約40%近い税負担となっています。(日本税制改革協議会「納税者の日」) 民が富むことが、国を富ませる 幸福実現党は消費増税法廃止、法人税半減、相続税廃止等の増税反対・減税推進を訴えている「減税政党」であり、、政府ではなく国民の側に富を蓄積する必要性を訴えています。 なぜなら、国民の私有財産を認める国は繁栄し、国民の私有財産を没収する現在の日本のような国は没落するからです。これが歴史の鉄則です。 現代の日本人は、「私有財産」と聴けば、いかがわしいものというイメージがあるかもしれません。 しかし、国民個人に富が蓄積されると、明治期のような国士が現れるのです。 明治期には、福沢諭吉、渋沢栄一、高橋是清、中上川彦次郎、松永安左エ衛門……などの士魂商才が現れ、国を富ませました。 官僚ではなく、民間の「私」が立ち、地方が立ち、国が立つのです。(加藤寛・渡部昇一著『対論「所得税一律革命」―領収書も、税務署も、脱税もなくなる』光文社) 租税が複雑化肥大化する一方の現代において、幸福実現党はフラットタックスをはじめ、「簡単で公平な租税の実現」を目指して参ります。(文責・加納有輝彦) 政府「消費税還元セール禁止」の愚――消費増税による景気後退は避けられない! 2013.03.15 日銀新総裁に期待する 国会は15日午前、次期日銀総裁に黒田東彦アジア開発銀行総裁を起用する人事案を正式に承認しました。 黒田氏は「15年もデフレが続いており、中央銀行としての責任が果たされてこなかった」として、これまでの日銀の金融政策を批判。(3/11 読売「黒田氏、2%インフレ『必ず果たす』…参院聴取」) 日銀が導入した2%のインフレ目標について、「できるだけ早期に実現することが最大の使命であり、必ず果たす」と述べ、目標実現に強い決意を示しました。 新総裁の誕生を市場も好感を持って受け止めており、15日の東京株式市場は大幅続伸し、日経平均株価の終値は、4年半ぶりとなる1万2500円台への回復を果たしています。 昨年年初より、幸福実現党は『日銀総裁とのスピリチュアル対話―「通貨の番人」の正体―』を発刊し、日銀批判、白川総裁批判を展開して参りました。 幸福実現党の活動が発火点となり、世間でも日銀批判、白川総裁批判が活発になされるようになり、黒田新総裁誕生に結実したと言えます。新総裁の活躍を期待する次第です。 アベノミクスの家計への影響は? アベノミクスは株高・円安をもたらしましたが、これが国内の景気回復につながるか否かについては、様々な議論が沸き起こっています。 景気回復は、企業の業績回復→労働者の賃金上昇→消費拡大→物価上昇というサイクルを生み出すことができるかどうかにかかっています。 今年の春闘では、一部大手企業が一時金を満額回答する動きが相次ぎ、大きく報道されていますが、実際には、今年の賃金全体を押し上げる効果はわずか0.5%程度に過ぎません。(3/14 ロイター「焦点:輸入インフレに追い付かない賃金上昇、円安との兼ね合い難しく」) むしろ、賃金上昇よりも、エネルギーや食料品など、円安による輸入物価の上昇分の負担の方が大きく、実質所得が減少する可能性の方が高いのです。 実際、スーパーマーケット業界の1月の売上高は4.7%減で、スーパーの大手各社が1000品目単位で値下げを実施しても、今年に入っても値下げ競争は加速しているのが現状です。(3/9 東洋経済「株高は消費につながるのか? 」) イオンの横尾博・専務執行役グループ商品最高責任者は「一般の消費者は、向こう半年や10カ月ぐらいは電気代やガソリン代など生活インフラの価格が上昇し、可処分所得は厳しくなるだろう」と話しています。(同上) 更に可処分所得を大幅に減らす消費増税 物価上昇と賃金上昇の遅れにより、国民の実質可処分所得(実質的に自分が使えるお金)が減少する中、来年4月から消費増税が強行されれば、私たち国民の可処分所得が更に減少します。 大和総研は消費税増税後の2015年の実質可処分所得は、2011年と比較して4~9%減少するという試算を出しています。(2011/12/30 毎日「『社会保障と税の一体改革』に伴い、家計にどの程度の影響が出るのか」) また、政府が消費税率10%に引き上げた場合の家計負担を試算した結果、年収500万円の4人家族では、増税や社会保険料引き上げ等により、年間33万8千円の負担増が家計にのしかかります。(2012/9/28 朝日「消費税10%で家計負担は…内閣が初試算」) 「消費税還元セール」禁止の愚 こうした可処分所得の減少は、消費を萎縮させ、物販を中心とする小売業を直撃します。 私の知り合いの流通業経営者も「流通業界では熾烈な競争があり、1円単位の安売りのしのぎを削っている中、消費増税分を上乗せしたら売れなくなる」と懸念を表明しており、消費増税分を消費者に転嫁できない現状を語っていました。 しかし、そうした中、政府・自民党は12日、消費増税の際に大手スーパーなどによる「消費税還元セール」を禁止することを決定しました。(3/15 日経「消費増税還元セール禁止 政府・自民が価格転嫁対策」) スーパー側が増税分の値上げをせず、中小の納入業者に消費増税分が転嫁される(消費増税分の値引きが強要される)ことを防ぐ措置ですが、こうした「セール禁止令」に小売業界からは反発が出ています。 消費増税による売上減少を防ぐために、値引きセールを行うこと自体は小売業にとっての最大の自衛手段です。 にもかかわらず、値引きを規制することは「統制経済」「社会主義」に繋がります。(参考:3/13 Liberty web「『消費税還元セール禁止』 安倍政権は『統制経済』への道を開くつもり?」) 自由主義経済の「政府は価格統制を行わない」という原則を壊してまで、小売業者に消費税増税を強要したとしても、その結果、消費者は「買わない」という選択肢を選ぶだけです。そうなれば、ますます景気は悪くなります。 実際、ある大手スーパーは「消費者の重税感を減らすことにもつながる『還元』をセールでうたえないのはいかがなものか」と不満をあらわにしています。(3/13 Business Journal「消費税還元セール禁止へ 反発する小売り業界」) 政府がいかなる小細工をしようとも、消費増税による景気後退や中小企業への転嫁は避けられません。 幸福実現党は消費増税廃止をお約束します。次期参院選で「消費増税廃止」の声を私達に託して頂きたいと存じます。(文責・黒川白雲) 経済成長して財政破綻するのか? 2013.03.06 財務省の罠は健在 2012年末の政権交代以後、株式市場が依然として好調を維持しています。 こうしたさなかでアベノミクスに対する各種批判が出ていますが、注意を要すると思えるのが「経済成長をしたら財政破綻をする」という論理です。 普通に考えれば、経済成長をすれば税収は増えて財政は改善すると思われますが、「財務省経済学」は真逆の論理を貫いています。 例えば、財務省が毎年予算の作成時に国会に提出する資料の中に「後年度歳出・歳入」への影響試算」と呼ばれるものがあります。 2013年3月6日時点で確認できる財務省HP掲載資料によれば(2012年1月に発表)、名目成長率が1%上昇すると、2013年、14年の税収は0.5、1.1兆円ずつ増えるとされています。 一方、金利が1%上昇した場合は、国債費の増加は、2013年に1兆円、14年には2.4兆円とされているのです。→http://bit.ly/weX3jV つまり、財務省は意図的に税収増よりも国債費増を強調した資料を国会に提出して、「成長すれば財政破綻をする」という印象操作をしているわけです。 そして、もう一つ意外にも説得力を持っているのが、国債累積残高600兆円です。例えば、全てが1年で償還できる国債だと仮定すると、金利が1%上昇は6兆円の金利負担増となると煽ることも可能なのです(銀行・証券系のアナリストに多い主張)。 このように、とにかく成長=財政破綻の論理が「財務省経済学」に存在し、増税を正当化する論理として使われているのです。 税収増は時間が経つにつれて大きくなる しかしながら、継続して金利が上昇することを別にすれば、一旦金利上昇が織り込まれた後の利払費増加はありません。むしろ、時間が経つにつれて税収増が追いかけてきます(名目成長率が1%高まるとどれくらい税収に影響を与えるかを示す「税収弾性値」という手法が有益)。 多少技術的ですが、学習院大学の岩田教授の著作を借りて議論を進めてみましょう。 岩田教授の著書『ユーロ危機と超円高恐慌』第6章によれば、1995年から2010年までの税収弾性値は2.3%から3.4%だとします。まず高い方の数値3.4を使い、名目成長率を4%で計算した税収増は初年度に5.6兆円、次年度に6.5兆円増加するとしています。単純計算すれば、初年度だけでも1%の成長で1.4兆円増えます。この数値は、財務省の出した数値よりも高く、且つ国債費増加よりも高くなるので、財政破綻するにはあまりにも都合の悪い数字になることは一目瞭然でありましょう。 金利上昇は事実だが過大評価するのは問題あり 経済が成長することで金利が上昇することはあり得ます。言い換えれば、累積された600兆円を超える国債費の利払費増大も実際に起こります。ただ、その反面株価の上昇や不動産価格の上昇も起こる可能性があるのです。 日本の金融機関は国債の8割以上を所有していると言われ、金利上昇=国債価格の下落によって損失が生じるのは事実ですが、金融機関は不動産や株式も所有しています。こうした資産の上昇が国債価格下落を上回るならば、銀行のバランスシートの毀損が拡大することはありません。同時に、国債から株式へのポートフォリオ構成を変えることによってバランスシートが改善する可能性もあります。同時に、各企業も株式や不動産を所有しているので、株価上昇や不動産価格上昇によって投資や借り入れがしやすい環境が出来上がります。 従って、一面的な損失だけを過大評価し、株式や不動産上昇による効果を過小評価することは公正を欠いた議論だと言わざるを得ません。経済は生き物なので実際の効果や成果は誰にも分かりませんが、一面的な事実だけを捉えて財政破綻を煽ることには同意できません。 経済成長は、税収の増加だけではなく、雇用の創出や投資の増加をもたらします。その結果、財政赤字を減らすことができ、予算編成の段階で国債発行額を圧縮できます。こうした当たり前の議論がなりを潜め、財政破綻論が闊歩することに、現在の経済政策の限界があると感じます。技術的な手法と増税を正当化する論理が先鋭化され、「いかにしたら日本経済がよくなるのか」というマインドや発信が弱すぎます。 経済成長は、財政収支の改善から始まり少子高齢化対策に至るまで、多くの問題解決に不可欠です。成長や繁栄を肯定するマインドこそ、今、政策立案者に強く求めらているのではないでしょうか。(文責:中野雄太) 「マイナンバー制度」は国家社会主義への道――品性無き大増税ラッシュ 2013.03.05 今国会で共通番号「マイナンバー」制度導入へ 政府は1日、国民一人一人に番号を割り振って所得や納税実績、社会保障に関する個人情報を1つの番号で管理する共通番号「マイナンバー」制度の関連法案を閣議決定、国会に提出しました。 法案には野党の民主党も賛成の方向で調整しており、今国会で成立する公算が大きく、政府は平成28年1月の利用開始を見込んでいます。 マイナンバー制度法案の正式名称は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」案です。 法案は、地方自治体が国民全員に住民票コードを基に作成した番号を通知した上で、申請者には顔写真を載せた番号ICカード(以下マイナンバー・カード)を交付し、税の申告や年金の受給申請のほか、公的な身分証明書としても使用できるとされています。(3/1 産經「マイナンバー法案提出、今国会で成立の公算大」) 第一段階として社会保障及び税の分野において利用し(フェーズ1)、将来的に幅広い行政分野や(フェーズ2)、国民が自らの意思で同意した場合に限定して民間のサービス等に活用(フェーズ3)することを検討するとしています。(政府・与党社会保障改革検討本部「社会保障・税番号大綱」) 「マイナンバー制度」は「国家社会主義」への道 「マイナンバー制度」は、年金、労働、福祉、医療、住宅、税、災害など広範囲に及び、国による一元管理システムであり、「一つの番号で全ての生活がまかなえる」と喧伝されていますが、「個人情報の全てを国家が一元管理するための共通番号」です。 現在、各省庁や自治体等がバラバラに管理されている国民情報を「共通番号制度」の下、統一して管理し、更に銀行・金融機関や医療機関等と情報を連携することで、国家が国民の全資産や些細な金銭の出入りまで把握掌握することができるようになります。 国家が国民の全情報を管理できるようになることは「国家社会主義」への道であり、ハイエクの言う「隷属への道」です。 これまで根強い反対があり、長らく実現できなかった共通番号制度(マイナンバー制度)が、カード社会の進展と共に年々抵抗感が薄らいできた結果、法案の成立が現実のものとなりました。 しかし、国民の「マイナンバー制度」に対する理解は極めて低く、このまま、なし崩し的に制度が実施されることは非常に危険です。 「マイナンバー制度」は、第一段階としては「納税者番号制」、やがて「国民総背番号制」へと移行するよう組まれています。 日本社会においては、高利貸しをローンと称し、本質を煙に巻く傾向がありますが、このマイナンバー制も本質は「国民総背番号制」の言い換えに過ぎません。 「マイナンバー制度」につきまとうプライバシー侵害・漏えい問題 また、マイナンバー制度は、個人の収入・支出から病歴に至るまで、膨大な個人情報が一元的に管理されるため、個人情報の漏えい、流出、悪用への懸念が指摘されています。 日本の行政機関では、公務員の倫理観の低さによって、年金をはじめ、これまで、ずさんな情報管理や職員による漏えい事件が後を絶ちませんでした。 また、近年、国内外から日本の行政機関のネットワークへの不正アクセスが活発化しており、セキュリティの低さが問題になっています。 内閣府が「マイナンバー」に関する懸念を尋ねたところ、85.7%が「個人情報の漏洩」等を挙げ、政府の情報管理体制への不安が大きいことが浮き彫りになっています。(2012/1/28 産經「共通番号制度 個人情報漏洩に不安85% 内閣府世論調査」) 個人情報保護法は、「個人データの第三者への提供には原則として事前に本人の同意が必要」としていますが、9割近い国民が不安を感じ、「国民が同意していない」状態のまま、マイナンバー制度を強制的に導入することは、プライバシー権の侵害に当たる恐れが強くあります。 こうした多くの問題を抱えたまま、なし崩し的に「マイナンバー制度」を導入することは極めて危険です。 マイナンバー制度を導入するなら、消費税を減税せよ! 税制改革の議論は、国民に高い納税者(主権者)としての意識が存在していることが前提です。 しかし、全就業者に占める割合が85%(厚生労働白書2005)の日本のサラリーマンは、源泉徴収と年末調整の特殊な制度によって、納税者としての権利が奪われ、意識も奪われています。 サラリーマンは納税義務者ではありますが、納税者ではないのです。これはほとんど世界に例を見ない制度です。 納税者意識が奪われた盲目の民の、全ての収入、病歴、職歴等一元管理され100%の捕捉率でもって課税・管理される。これは非常に恐ろしいことです。 そもそも納税者番号制の議論の発端は、サラリーマンに比べて自営業者の所得の捕捉率が悪い、俗にクロヨン(給与所得者の所得捕捉率9割、自営業者6割、農林水産業従事者4割)の問題です。こうした自営業者等の所得税(法人税)を漏れなく吸い上げるために番号制を導入するという観点です。 かつて政府税調会長として活躍された故加藤寛(元千葉商科大学長)は税調会長時代このように発言されています。 「福沢諭吉先生もいっておられたことですが、そもそも人様のフトコロに手をつっこんで税金を取ろうとする考えがよろしくない。所得税とはそういう性格のもので、(中略)納税者番号制など導入すれば、税務署の手は、人々のフトコロのさらに奥深くまで突っ込まれることになります。(中略) それでも納税者番号制だというのなら、直間比率(直接税と間接税の比率)の是正はやめて、どこまでも所得税中心でいくべきだ。二者択一であるはずなのに、彼らは両方を狙っている。(1997年9月)」(斎藤貴男著『プライバシー・クライシス』) 加藤会長(当時)は、直間比率の観点から、納税者番号制などを導入して所得税を増税するなら消費税を減税するべきであり、消費税を増税するなら所得税を減税すべきだと仰っているのです。これが「二者択一」の意味です。実際、小渕政権下での所得税減税はそうした趣旨で行われたものです。 しかし、現政権は、消費税も増税、所得税も実質増税、全部増税です。これは、もはや人間としての品性の問題です。 幸福実現党は、宗教政党として「品性ある徳ある政治家は、人様のフトコロのさらに奥まで手をつっこむような下品な真似はすべきではない。国民をこれ以上苦しめてはならない、減税せよ!」と訴えているのです。(文責・幸福実現党 岐阜県参議院選挙区代表 加納有輝彦) 租税法律主義を逸脱した消費税法――責任逃れの「転嫁カルテル容認」 2013.02.26 消費増税で「転嫁カルテル」を容認? 消費税の増税は、中小企業に大きなダメージをもたらします。なぜなら、中小企業は増税分を商品価格に転嫁(上乗せ)できないことが多いからです。 こうした批判を受け、自民党は22日、来年4月からの消費税率の引き上げを前に、大企業の下請けの中小企業が、増税分を適切に価格転嫁できるようにする特別措置法案の素案をまとめました。(2/22 産經「転嫁カルテルを条件付き容認 消費税増税時」) 大企業の「下請けいじめ」を防ぐ狙いで、複数の企業(3分の2以上が中小企業であること)で増税分の製品価格への上乗せを取り決める「転嫁カルテル(協定)」を条件付きで容認するとしています。(29年3月末までの時限立法として今国会に提出する予定) 法案では大企業が中小企業との取引の際に転嫁を拒否することや、他の取引で値引きを迫ったりするなどの行為も禁じます。 悪質な違反があった場合には公取委や所管する官庁が大企業に立ち入り検査を行い、勧告や社名の公表。虚偽報告などがあった場合には、50万円以下の罰金を科すとしています。 「転嫁カルテル容認」は責任逃れに過ぎない しかし、この特別措置はまさに泥縄であり、将来起こるであろう消費増税による大倒産時代到来時の政府の「言い訳」作りにしか過ぎません。 「転嫁カルテル」の容認は、あたかも中小企業救済のように見えますが、消費税施行後20年以上、この転嫁問題を放置し続けた政府が、今更よくも言えたものだとあきれるばかりです。 「消費税の転嫁」問題は、消費税導入直後より訴訟提訴が相次いだ問題です。 そもそも転嫁については、消費税法上、法規定が一切ないのです。消費税法本法の中に転嫁という言葉の意義・規定等の記載が全くありません。 唯一、転嫁について規定されている税制改革法において「消費税を円滑かつ適正に転嫁するものとする」(11条1項)と規定されていますが、適正な施策は何ら講じられてきませんでした。 消費税というものは、事業者が原価に消費税を転嫁し、消費者から消費税を預かり、事業者が納税するものと一般的には理解されています。 一つの例をあげますと、あるビジネスホテルの経営者が、ホテル開業以来、消費税を転嫁せず、徴収していないのであるから、本税を課税されるのは承服できないと主張した裁判(H12鳥取地裁破棄確定)を検証しますと、消費税法は事業者に消費者への消費税の転嫁を義務付けてはいないとの判断でした。 消費税を転嫁してもいいし、しなくてもいい。しかし事業者の納税義務は免除されないということです。 その結果、事業者は自腹を切って負担することになります。(多くの場合、転嫁できるか、できないかは関係者の力関係で決まります) 消費税転嫁問題は、官僚の不作為が原因 このように消費税が転嫁を予定している税でありながら、消費税を転嫁できなかった場合の納税義務規定に関し、法解釈が困難な部分がある原因について、以下のような真実をついた指摘がなされています。(上記裁判原告) 「消費税法の法文作成は、国税庁の職員ではなく、大蔵省(当時)の担当者が行ったものであるが、国税庁は、長年、税務通達による課税、徴収を各税務署長に行わせてきたのであり、この習慣のために、消費税法の適用、課税を容易に考えて、租税法律主義を逸脱した法文作成に至ったものと思料され、このような大蔵省及び国税庁担当者の通達に依存した容易な考え方が、玉虫色の解釈が可能な消費税法の作成を招来したものであって、納税者である原告としては納得できない。」 このように長年にわたって消費税法の不備が指摘されてきたにも関らず、放置し、多くの中小企業者を苦しめ、消費税倒産を招来、自殺者も増やしました。 転嫁問題の解決は、消費税増税ストップしかない 来年からの消費税増税に際して、付け焼刃的に時限立法で「適正に転嫁できる」環境を整えるといって、過去の不作為の罪が許されるものではありません。 知り合いのスーパー社長は「小売業界では安売り競争が熾烈で、消費税を上乗せした所から潰れていく。絶対に増税分を値上げできない。スーパーか、卸か、生産元か、どこかが増税分をかぶらないといけない」と、消費税増税反対を訴えておられました。 中小企業群が転嫁カルテルを組んだとしても、どこかの店が消費税を上乗せしなければ、その店だけが大繁盛し、他の店は閉店するか、消費税転嫁を諦めて安売り競争に参入するかの二者択一を迫られます。 現状では、「転嫁カルテル」はすぐに崩壊してしまうことは明らかです。 消費税の欠陥はカルテルなどで補えるものではなく、増税を即刻ストップすべきです。 小売業界のリーダーである鈴木敏文・セブン&アイ・ホールディングス会長も「(消費税増税の)導入時期を先延ばしすることも選択肢に入れるべきでしょう」と訴えています。(2/26 日経ビジネス「『消費増税は先延ばしにせよ』鈴木敏文・セブン&アイ・ホールディングス会長に聞く」) 今夏の参院選挙は消費税増税中止のラストチャンスです。幸福実現党は、中小企業を守るために消費税増税中止を訴え戦います。(文責・加納有輝彦) 中小企業を苦しめる消費増税――参院選は「消費増税中止」を問うファイナル・ジャッジメント! 2013.02.17 今回は「消費税」という税制そのものに潜む「構造的欠陥」について考察してみたいと思います。 消費税の問題点として、主に以下の3点、(1)逆進性、(2)益税、(3)消費不況を論じたいと思います。 (1)消費税の「逆進性」問題 「逆進性」とは、所得の低い人ほど消費税の負担が大きいことをいいます。 「逆進性」については、食品など特定の品目について税率を下げる軽減税率や、所得の低い人に多くの現金を給付する給付付税額控除等の対策が議論されています。 自民党と公明党は1月23日に与党税制協議会を開き、軽減税率は「消費税率10%への引き上げ時に導入を目指す」ことで合意しました。 しかし、軽減税率は適用の範囲の選定が難しく、食料品と言っても「キャビアやフォアグラまで軽減税率を適用するのか」「パンには軽減税率を適用して、嗜好品である菓子パンには適用すべきではない」と言った「線引き論争」が起こっています。 これに対して、読売新聞は1月19日の社説「軽減税率『消費税8%』で導入すべきだ」で、「(軽減税率の)適用対象の線引きが難しいとの慎重論もあるが、コメ、みそ、しょうゆ、新聞など、対象品目を絞り込めばよい」と主張しています。 なぜ、軽減税率が「コメ、みそ、しょうゆ、新聞」だけなのか?なぜ、食品に加え、新聞に軽減税率を適用すべきなのか?新聞業界の自分勝手な論理だと言わざるを得ません。 たとえ、いかなる線引きをしようとも、軽減税率の対象選定には恣意性が入るため、日本経済に大きな歪みをもたらします(特定の生産者にだけ補助金を与えるのに等しいため)。 したがって、「逆進性」問題の解決のためには、軽減税率ではなく、消費税増税そのものを中止することが最善策なのです。 (2)消費税の「益税」問題 「益税」とは、消費者が払った消費税が、納税されないで販売事業者の懐に入ることを言います。 その理由は、年間の売上が1000万円以下だと消費税を納めなくても良いためです。 「益税」については、2004年度から消費税が免税される「免税点売上高」が3000万円から1000万円と引き下げられました。免税点売上高が3000万円の時代は、消費者が支払った消費税(益税)で懐を肥やす悪質業者云々と盛んに喧伝されました。 消費者が納めた消費税を免税事業者がピンハネしている。これが「益税」問題ですが、恣意的な徴税を禁じた憲法84条等に違反すると20人の市民が訴えを起こしたことがありました。 「消費税は憲法違反である」と訴えた、この国家損害賠償請求事件について、判決が出ています。(1990.3.26東京地裁民事第十五部判決) 裁判長はこの訴えを破棄し、消費税は憲法に違反していないとの合憲判断でした。この判決内容が、驚くべき内容です。 「消費税法は、事業者に徴収義務を、消費者に納税義務を課したものとはいえない。」――つまり、消費税は誰が負担すべきなのか、特定できないということです。 日本は特殊な分野を除いて公定価格はありません。あるのは「物価」であります。その「物価」に消費税を転嫁できるかどうかは卸業者との、また消費者との力関係で決まります。 弱い事業者は、消費税を物価に転嫁できません。強い事業者は転嫁できます。これは、消費税の担税者(税を負担する者)は、時に消費者であり、時に事業者自身ということになります。 消費税とは、ある時は間接税となり、ある時は直接税というわけです。ほとんどの書物には消費税は間接税であると書かれていますが、課税の制度設計が現実には実現していないという重大な欠陥が露呈しています。 ※「間接税」とは、担税者と納税者が別。「直接」税とは、担税者と納税者が同じ。 もう一つ、消費税で特筆すべきは、その滞納額が著しく多いということです。 平成23年度の新規発生の国税滞納額は、全体で6,073億円です。この内、消費税が3,220億円となっています。実に50%を超えています。 これは一番大きい滞納額となっています。消費税を納める事ができない事業者が非常に多いのです。 デフレ経済の中で、立場の弱い中小企業は、消費税を物価に転嫁することができず、そのほとんど、あるいは一部を自腹をきって負担しています。 すなわち、消費税は事実上、直接税たる「中小企業税」だと言えます。 日本の75%の事業者が、赤字経営です。赤字企業にも容赦なく課税されるのが消費税です。借金経営の事業者が消費税を自ら負担しているのです。これが10%に増税されたら、一体いかなる事態となるのでしょうか。 赤字経営の中小零細事業者に対してその担税能力の差を顧みることなく、一律に課税される消費税は、もはや原始租税形態の一つ、人頭税と同じ残酷税といっても過言ではありません。 (3)「消費不況」の問題 政府の試算では、消費税率10%で、年収500万円の4人家族の場合、消費税分で年11万5千円、社会保険料などを含めて、年間33万8千円の負担増になるとされています。およそ年間で1カ月分の収入が減る計算です。⇒【幸福実現News第42号】http://www.hr-party.jp/new/2013/34538.html 消費増税で、年間で1ヶ月分も使えるお金が減れば、消費者は消費を減らすため、大きな消費不況が起こり、倒産や失業者が激増し、その結果、自殺者も急増する危険性があります。 参議院選挙の争点は「消費税増税」です。7月の参院選は、消費税増税を止めることができる最後の国政選挙です。 幸福実現党は、中小企業、そしてそこで働かれている方々を守るために、断固、自公民の野合による横暴な消費税増税を中止して参ります。(文責・幸福実現党 岐阜県参議院選挙区代表 加納有輝彦) アベノミクスは本物か?増税をするための経済政策か? 2013.02.09 アベノミクスの本質 自民党・安部政権下において、「金融緩和」「財政政策」「成長戦略」を柱とする経済政策「アベノミクス」が進められています。 「失われた20年」重症で寝た切りの日本経済を復活させるために、まず、貧血状態に「輸血」にあたる「金融緩和」をし、デフレ脱却を図って健康を安定させています。 実際に、日銀に対して金融緩和を強く促すことによって「円安ドル高」に向かい、株価が上昇しており、経済が体温を取り戻しつつあります。 次に、国会において補正予算案が審議されていますが、「リハビリ」をして体力を身につけることにあたる「財政政策」を行おうとしています。 国家が大規模な税金を投入することで、経済を刺激する音頭を取り、景気復活へのエンジンに点火しようとしています。 このように健康と体力を回復させた上で、さらに積極的に新たな活動を展開するための「成長戦略」で、次世代の新産業を育成して、日本の景気を持続的に拡大していく取り組みを目指そうとしています。 合わせて、新産業を生み出すためには「規制緩和」も重要です。 このような経済政策は、幸福実現党が立党当時より提言して来た政策を採択したものであり、国民生活を豊かにするために、与野党を超えて力を合わせていくことを求めたいと思います。 アベノミクスの懸念材料 しかし、懸念材料があります。「アベノミクス」の課題として指摘されている点は、金融緩和で金利・物価を高めるインフレ路線になることに成功したとしても、給与や利益が上がらなかった場合、個人の負担が増大し、失速が起きる恐れがあることです。 このような指摘に対して、安倍政権・産業競争力会議の民間議員でもあるローソン社長新浪剛史氏は、65%の若者社員に対して年収ベースで約3%(平均15万円)増やすと発表。率先してアベノミクスに賛同する姿勢を示しました。(2/7 朝日) 日本経済を復活させるために企業家として、気概あふれる英断であり、閣僚からは歓迎の声が上がっていますが、春闘に向けて経団連は「雇用確保が最優先でベースアップの余地はない」と主張しており、他の企業が一斉に追随するような状況に無いようです。 消費増税のためのアベノミクス? ここで問われることは、消費増税のためのアベノミクスであるのか、景気回復のためのアベノミクスであるのか、ということです。 「消費税増税」を判断する「景気条項」として「名目3%」「実質2%」の経済成長率を明記されていますが、本年1月22日に、政府・日銀が共同声明を取りまとめ、「物価上昇率2%」を目標としています。 消費税が増税される2014年4月(5%→8%)、2015年10月(8%→10%)前に、物価上昇2%が実質税負担となるということです。 GDPの60%が個人消費であることを踏まえれば、消費増税で可処分所得(自由に使えるお金)が減れば、消費が萎縮し、景気が腰折れになります。 「減税」こそ、「金融緩和」「財政政策」「成長戦略」と合わせて、景気回復・経済成長に必要不可欠な「4本目の矢」なのです。 「増税」は典型的なデフレ政策で、アベノミクスを根本から崩壊させます。 政府日銀そして財務省は、消費増税のために、景気条項をクリアするためのテクニカルなロジックに陥ることなく、増税をストップし、本物の景気回復を目指すべきです。 政治にマネジメントを! 松下幸之助氏が、政治に「経営的視点」が必要であり、日本国を「株式会社」と考えれば、税金は「出資」であり、税金を食い潰すのでは無く、利益を増やし、出資した国民に「配当」を還元することが理想の政治であり、「無税国家」を目指すべきであると提言しました。 単に増税と言うのは、利益を生み出さない会社が延々と融資を受け続けることと同じです。政治にマネジメントが求められています。 安くてシンプルな税制「フラットタックス」を導入したロシア(13%)やブルガリ(10%)などの報告を見ると、節税や脱税への無用な努力が無くなり、自由に使える「可処分所得」が増えることで経済が活況すると共に、企業の誘致や各国からの投資が増えています。 シンプルで低い税制によって、税収が増えています。 幸福実現党は、本物の景気回復に向け、消費増税を中止し、政治にマネジメント・パワーを導入し、無駄な税金を無くし、国富を増大させること目指して参ります。(文責・幸福実現参議院選挙区代表 小川俊介) 「パイを奪い合う」のではなく、協力して「大きなパイを作る」日本に! 2013.01.31 1月29日、安倍晋三政権の経済政策の具現化である平成25年度予算案が閣議決定されました。 公共事業による投資を増やし景気を刺激すると共に、生活保護の支給にメスを入れるなど、民主党政権の「分配型予算」から「成長に投資をする予算」に転換したことが大きな特徴です。 朝日、毎日系の新聞は「弱者切り捨て」と批判をしていますが、生活保護を受ける人が増加したため、生活保護費は2兆8224億円と過去最大になっています。 さらに生活保護費削減の内容も、一人ぐらしの高齢者に対する給付は必要最低限に抑えられ、ケースによっては支給額が増える場合もあります。例えば町村部に住んでいる一人暮らしの60歳代の方の場合は1000円の増額となっています。 今回、削減の対象となっているのは夫婦と子供2人といったような、人数の多い世帯です。 生活扶助は世帯の人数が増えればそれだけ多く支給されますが、働いて収入を得ている人は、子どもの人数によって収入が増える訳ではありません。 景気の後退が続くなか、子育て世帯の収入は1年間で39万2000円も減少しています。(2012/7/5 日経「世帯所得、昭和に逆戻り…10年平均538万円」) 汗を流して働いている子育て世帯の収入が減少したことを踏まえ、支給額が修正されたことは当然のことだと言えます。 ただし、給付水準の見直しだけでは、増え続ける生活保護費を減らすことは不可能です。 生活保護費が増える原因は長期の景気後退による失業者の増大です。2008年のリーマンショック以降の景気の悪化で、働くことができる「その他の世帯」の受給者が増えています。 増え続ける生活保護の費用を減らしてゆくためには、景気回復により雇用を創出していくことが大切です。 安倍総理は今回、「(民主党政権では)分配ばかりを重視し、経済全体のパイをどう大きくしていくかの発想が十分でなかった」と発言し、公共投資による景気回復を行おうとしています。 第二次世界大戦後、西ドイツを高度経済成長に導いたルートヴィヒ・エアハルトも「小さな菓子を奪い合うよりも、協力して大きな菓子をつくっていくほうが、福祉の向上につながる」と言っています。(ルートヴィヒ・エアハルト『ドイツの経済政策』p.7) 多くの収入を得ている人からどれだけ税金をとることができるかということを考えるのではなく、生活保護をやむを得ず受けている人も、再度チャレンジして豊かになれる機会を提供することが大切です。 安倍首相が掲げている金融緩和と、公共投資は日本の景気回復に大きな役割を果たすと考えられます。 しかし、金融緩和は時としてバブルを生成すると言われています。 金融緩和によってもたらされた資金が、事業の投資などに回らず、株式や不動産に対する投資にばかり回り、株や不動産の価格が実体経済とかけ離れたものになれば、バブルが発生します。 金融緩和によってもたらされた資金が実体経済の回復につながるためには、金融緩和によって消費の活性化がなされなければいけません。 消費が活発になることで、企業の投資が活発になり、さらにその企業の取引先も投資を行っていくという、経済の好循環をつくらなくてはいけませんが、2014年、2015年の消費税増税は、消費の活性化に水をさします。 実体経済の景気回復をともなわない金融緩和はバブルを生成するだけです。 安倍首相には、今回の金融緩和と公共投資を無駄にしないためにも、2014年、2015年の消費税増税を中止するよう、強く求めます。 所得格差を強調し国民の間に亀裂をいれるのではなく、幸福実現党は「オールジャパン」で日本経済の復活を実現し、生活保護を受けなければいけない世帯を減らす「社会保障」を行ってまいります。(文責・HS政経塾1期生 伊藤のぞみ) 相続税・贈与税廃止は当然――私有財産を肯定し、親孝行を大切にしよう! 2013.01.27 「格差是正」中心の与党税制改正大綱 1月24日、自民、公明両党は、2013年度の与党税制改正大綱を正式に決定しました。 成長支援として、企業が給与を増やした場合に法人税を軽減する策や、消費増税対応として、住宅ローン減税や自動車取得税の15年10月の廃止、エコカー減税拡充などが謳われています。 一見すると減税策が多く、経済効果が期待できる面があることは事実ですが、思わず「共産主義万歳!」と叫びたくなるほど、税制における根本思想に誤りがあります。 今回の税制改正においても、例のごとく「格差是正」の美名のもと、所得税と相続税の増税が決まりました。 具体的には、15年から所得税は現行の最高税率40%が45%に引き上げられ、相続税は現行の最高税率50%が55%に引き上げられることになりました。 財務省の試算によると、この所得税の増税によって45%の最高税率が適用されるのは日本全体でみて約5万人で、所得税の納税者数5052万人のうち、0.1%となり、相続税の課税対象についても、亡くなった方のうち約4%から約6%に増える見通しとなりました。 一方、贈与税については孫や子供の教育資金として贈与をする場合は1500万円までは非課税になりましたが、いずれにせよ全体の割合からすれば富裕層はごく少数です。 累進課税と相続税の源流はマルクス主義 共産主義革命の父、マルクスの『共産党宣言』によれば、「強度の累進税」と「相続権の廃止」が「もっとも進歩した」共産主義国家の特徴の一つとして書かれていますが、まさしく日本の税制は「教科書通り」です。 日本はいつから共産主義国になったのでしょうか? 日本国憲法の第29条に「財産権は、これを侵してはならない」と規定されていますから、「累進課税制度」は明らかに財産権を侵害しています。 少数の金持ちから多く税金を分捕り、それを多くの貧しき人にばらまけば票が買えるというわけですが、これこそ民主主義の最大の欠点であり、構造的に財政赤字が膨らむ理由です。 しかし、国家が相続税を徴収できるとする論理的根拠は依然として稀薄です。 所得税を納めているのに、最後に残った私有財産も国が没収するので、相続税は「(税制の基本原則で禁止されている)二重課税」という説が根強くあります。 その意味では、相続税、贈与税というもの自体が「財産権の侵害」にあたる憲法違反ともいえ、この税制は「金持ちに対する罰金制度」以外の何物でもありません。 富裕層の数は少ないので、大多数の一般庶民には関係ないと思ってしまいがちですが、必ずしもそうとは言えません。 事実、日本もバブル絶頂期においては、一般サラリーマンであっても自宅の資産価値が上がっていたために相続税の課税対象者になる人も多かったと言われます。 つまり、日本が再び好景気になれば他人事ではなくなりますし、もっと言えば、今から「大金持ちになりたい」という「Think big!」な志を立てている人にとっては、なおさらのことです。 「相続税廃止」は世界の潮流 また、相続税が高いために世界の富豪が日本に移住してこないとも言われています。 実際、世界には相続税が無い国は、スイス、カナダ、イタリア、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデン、マレーシア、タイ、シンガポール(2008年に廃止)等、多数あり、そうした国々に富裕層が集まっています。 アメリカでも大統領選候補者だったロムニー氏が「相続税廃止」を公約に掲げたように、共和党を中心として、本格的な「相続税廃止論」が盛り上がっています。 安倍首相が強力に推し進めている「相続税強化」は世界の潮流に逆行しているのです。 また、日本の高い相続税が中小企業の事業の継承を妨げています。実際に「相続税が払えずに土地や事業を手放した」という事例は枚挙に暇がありません。 「資本主義の精神」を尊重する幸福実現党 資本主義の精神は、「私有財産の肯定」から始まります。 日本は今こそ、嫉妬社会から脱して、豊かな人や成功者を肯定する「祝福社会」に転換し、「資本主義の精神」をこそ徹底させなければなりません。 幸福実現党が「小さな政府、安い税金」と唱えているのは、「国家は、個人が汗水たらして働いて得た私有財産を尊重し、保障します」ということを明言しているということです。 つまり幸福実現党は、「富を創造する」政党として、新しく「大金持ちになる人」や「世界的大企業」を多数輩出し、さらに世界の大富豪を「引き寄せる」政策を積極的に推進します。 そのために相続税、贈与税を無くすのは避けて通れない「一番地一丁目」なのです。 渡部昇一氏も指摘されている通り、相続税、贈与税を廃止しても、そもそも納税者の数が少ないので、税収に対する影響を心配する必要はありません。 また、民法で規定されているところの「遺留分制度」(相続権のある人全員に相続財産を均等配分する制度)があるために、子供が親の面倒を見なくなってきたことも否定できません。 幸福実現党では、この民法における遺留分も見直し、親の面倒を見る子供に財産を残せるようにすべきであると訴えています。 その意味で、相続税、贈与税の廃止は、システム的に親孝行な子供を輩出するための「福祉政策」の一環とも呼べるかもしれません。 昔のように「国家」ではなく「子供」が親の世話をするという健全かつ自然な姿に戻れば、年金、医療、介護などの社会保障費の膨張は抑えられるようになってくるはずです。 そもそも日本人には、儒教的な「孝」の思想が流れていますから、いま、改めてその「親孝行の大切さ」を復活させるときでもありましょう。 「アベノミクス」と言われる、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の流れ自体は正しいとしても、これもはっきり言えば、消費税が増税される来年4月までの「期間限定」になることは必至です。 幸福実現党の成長戦略は、金融緩和は言うまでもなく、個人・民間の活力を最大限に引き出す各種減税政策をはじめとして、大胆な交通革命、航空・宇宙、海洋開発、防衛産業、ロボット産業への投資などを中軸に「長期的かつ骨太の高度経済成長」を実現させます。 自公政権とは、「発想力」と「思考の先行性」が根本的に違うのです。 「明るい未来を創造する政党」は、幸福実現党以外にありえません!(HS政経塾二期生 古川裕三) アベノミクスに忍び込む財務省の思惑 2013.01.23 日本には増税政党しか存在しないのか 自民党・公明党・民主党の三党は、富裕層増税に合意しました。 2012年の消費税増税法案に時も、上記の三党による合意から法案可決に至りましたので、わが国では政権交代が起きても増税政党しか選択肢がないということが如実に現れています。 このまま路線に変更がなければ、2015年1月からは、所得税の最高税率は40%から45%へ、相続税の最高税率は50%から55%へと引き上げられます。背景には、「税と社会保障の一体改革」があり、新政権となっても踏襲されていることは言うまでもありません。 もちろん、小規模な宅地への相続税の優遇税制と贈与税に対する軽減策も導入されてはいます。特に相続税は、子孫に贈与する場合、1000万円超から1500万円以下なら40%と、低めの税率区分を設ける配慮がされました。富裕層を完全に敵にまわさないための政治的配慮が見え隠れしますが、ここはシンプルに考えた方がよいでしょう。 つまり、富裕層の増税負担を配慮しているならば、所得税と相続税の最高税率を上げる必要がないということです。 政治的配慮が税制度を複雑にしている 政治的配慮をするがために、複雑な税制度となり、公認会計士や税理士の無駄な仕事が増えることになります。現在の税制においてさえ、納税者にとっての手続きも煩瑣だとの意見もあるほどですが、今後もこのような「アメとムチ」を使い続ける限り、ますます複雑さは増していくと思われます。 既に国と地方には60種類の税金が存在しています(『増税亡国論』参照)。加えて、軽減税率や控除の基準が複雑で、一般国民が税制度を把握するのは至難の業です。自営業者などは、税理士や公認会計士を雇わないと対処できません。納税の時期には仕事の手を休めて煩雑な書類の作成や手続きに追われるという意見を何度も聞いたことがあります。 このように考えると、シンプルな税制度に改革をしていくニーズはあります。同時に、国税庁の役人もシンプルな税制度にしていく方が、仕事が楽になるというメリットがあります。理想的には、所得税か消費税のフラット化(例:一律10%)なのですが、わが国では逆の議論ばかりが横行しているのが現状です。 いずれにしても、現在の税制度は複雑過ぎますし、税の種類も多すぎます。これだけ多くの税金がありながらも財政赤字が膨らみ続けているということは、政府の仕事に無駄が多いという何よりの証拠です。だからこそ、幸福実現党はシンプルで安い税金を提唱しているのです。 財務省の狡猾さは未だ健在 2014年4月実施されようとしている消費税増税ですが、そのためには本年は名目3%以上の成長をする必要があります。本年は7月に参院選が予定されているので、安倍首相は外交や安全保障面での明確な主張を回避し、景気対策を強調するのは間違いありません。 実は、ここに財務省の狡猾な政治的思惑があります。 現在、安倍政権は日銀に大胆な金融緩和を提言しているのは周知の通りです。 一方、財務省は、本年の名目3%の経済成長率を達成できることを黙認することでしょう。また、財務省が嫌う「列島強靭化計画」のような公共投資についても黙認しているのも理由があるのです。つまり、政府のマクロ経済政策が効果を発揮し、「これだけ成長したならば、増税は仕方ない」と思わせる心理を使おうとしているのです。 すでに、消費税法案の可決の際には、国会議員の過半数が賛成票を投じています。経済政策の中でも、とかく複雑で難解な税制を得意とする国会議員は皆無です。ましてや、減税路線を実現するべく公民連携(PPPともいう)や公会計を導入して政府支出の無駄を省く行政手法に通じている議員はいません。つまり、財務省は見事に政治家を操っているのです。 アベノミクスによる経済成長路線は、大方正しい方向性を示しているのは事実です。ただ、本当に経済成長を継続して失業率を減らし、有効求人倍率を高め、設備投資や住宅着工指数や日経平均株価等を高めようと思うならば、増税は断じて控えるべきです。 しかしながら、富裕層増税が三党合意に至りました。そして、今年の経済成長が実現できれば、来年の4月から消費税は5%から8%へと上昇します。2015年には、さらに2%ポイント上昇して10%となります。 要するに、アベノミクスの成長路線は、増税をするための布石として使われているのです。自民党と公明党が増税政党であることも輪をかけているのはいうまでもありません。 だからこそ、本年の夏の参院選では、幸福実現党は消費税増税法案の廃止を再度主張するのです。もちろん、富裕層増税の撤回も同時に求めます。 徹底した金融緩和と未来産業への公共投資など、安倍政権の経済政策と重なっている点は多々あるのですが、最大の違いは、徹底した減税路線による経済成長の実現です。 「自由からの繁栄」こそ、幸福実現党の経済政策の柱であり日本経済再建に必要なキーワードなのです(参考資料:http://www.hr-party.jp/new/topic/tax)。(文責:中野雄太) すべてを表示する « Previous 1 … 22 23 24 25 26 … 33 Next »