Home/ 記事配信 記事配信 「島サミット」閉幕――日本は太平洋島嶼国との連携を強化し、中国包囲網を構築せよ! 2012.05.27 太平洋13の島嶼(とうしょ)国・地域の首脳らが一堂に会した「第6回太平洋・島サミット」が25日、26日の2日間、沖縄県名護市で開催されました。 「島サミット」は日本が主催し、1997年、国際社会で日本を支持してきたオーストラリア、ニュージーランドなど南太平洋諸国に呼びかけ、各国への経済支援などを通じ、日本の国連安保理常任理事国入り支持に繋げる意図をもってスタートしました。 しかし、近年、中国が軍備拡大を背景に南シナ海や太平洋へ海洋進出を図る中、米国が初めて参加。中国を強く意識しつつ、日米豪と南太平洋島嶼国との枠組みの再構築を図る会合へと様変わりしました。(5/26 毎日「島サミット 海洋安保、中国にらみ…米の初参加で再構築」⇒http://goo.gl/85F7K) 南太平洋は豊富な漁業資源を持ち、またニッケル、マンガンなどの埋蔵鉱物資源に対する世界の関心も高まりつつあり、ロシアやフランス、韓国からの資金提供も活発化しています。今回の「島サミット」で野田首相も日本の援助を今後3年間で最大400億円提供することを表明しています。 一方、中国は「島サミット」開催を牽制するため25日、賈慶林(かけいりん)中国人民政治協商会議主席が、太平洋島嶼国であるフィジー、ミクロネシア、トンガ、バヌアツの5カ国の政治家の視察団と北京の人民大会堂で会談しました。(5/26 毎日「中国:太平洋・島サミット開催をけん制する動き」⇒http://goo.gl/9pWuI) 留意すべきは、前回まで「島サミット」に参加していたフィジーが、対中傾斜を深め、今回の島サミットに欠席したことです。 太平洋の資源に注目した中国は南太平洋島嶼国へ「経済援助」を急速に強めており、中国が行った援助は2005年の3300万ドルから09年には2億ドル超に拡大しています。 中には返済能力に見合わない多額の援助も見られます。例えばトンガでは、対中債務が累計でGDP比32パーセント、クック諸島とサモアでは、それぞれGDP比16パーセントを占め、南太平洋島嶼国・地域への支援総額では日本を追い抜き、豪州や米国に続く第3位になったと見られています。 近年の中国の支援は、鉱物資源などが豊富なパプアニューギニアやフィジーへの援助の急増ぶりが目立っています。(5/27 読売「島サミット 米と連携し中国進出に対処を」⇒http://goo.gl/gz0rv) 中国はOECDに加盟していないため、国際ルールを無視した援助を行っています。こうした相手国の経済規模に見合わない支援は、将来その国を苦しめるだけでしかありません。 こうした国々には、中国から要人が毎年のように足を運び、海軍艦船の寄港や軍事的支援だけでなく、移民も増えています。これは、中国が太平洋で覇権を確立するために島嶼国を配下に置くための戦略でもあります。 東シナ海や南シナ海のみならず、南太平洋に覇権を広げつつある中国を牽制するためにも、日本は太平洋島嶼国・地域への広範な経済支援と資源貿易を積極的に展開し、経済発展に寄与しつつ、「中国包囲網」を構築すべきです。 (文責・:佐々木勝浩) 中国高官が初めて尖閣は「核心的利益」と明言――中国に対して「憲法9条の適用除外」を宣言せよ! 2012.05.26 中国共産党で外交を統括する王家瑞対外連絡部長が22日、中国が領有権を主張する尖閣諸島について「核心的利益だ」と述べました。中国高官が尖閣諸島を「核心的利益」と明言したのは初めてのことです。(5/22 時事「尖閣は『核心的利益』=中国高官が初めて明言-日本に強硬姿勢」⇒http://goo.gl/kxRkh) これまで中国側は、今年1月に人民日報が尖閣諸島を「核心的利益」と表現。さらに今月13日の日中韓首脳会談で中国の温家宝首相が野田首相に対して、ウイグルと尖閣を念頭に「中国の核心的利益と重大な関心事項を尊重することが大事だ」と語りました。 しかし、これまで日本側は「尖閣諸島をめぐる領土問題は存在しない」という外交上の立場を貫くために、そうした報道を否定し、中国側の発言を意図的に曖昧にしていました。つまり「聞かなかったこと」「知らなかったこと」で、懸命にお茶を濁そうとしてきたのです。 しかし、3回目となる今回は、中国高官による公式発言です。日本の安全保障にとって、この発言が意味することは極めて重大です。 なぜなら、中国にとって「核心的利益」とは、南シナ海、台湾問題、ウイグル、チベット等と同じく、「いかなる代償(武力行使)を支払っても守るべき利益」、すなわち国家の主権や安全、領土や政治制度そのものを意味するからです。 つまり、今回、中国は「国家の主権を守るために、武力を行使してでも、尖閣諸島を奪取する」ことを、日本だけでなく、中国国内と世界に対して宣言したに等しいのです。 もはや日本には、これまでのように、自分にとって都合の悪い中国の発言と意図を「見て見ぬふり」「知らないふり」をするような愚かな対応は許されません。 一刻も早く、憲法改正を含め、外交、防衛体制、法整備など、総力を挙げて尖閣諸島の守りを固め、国土防衛のための対策を講じるべきです。 英語に「Bury your head in the sand」(頭だけ砂に隠す=現実から逃避する、知らぬふりをする)という諺があります。 ダチョウは敵に追われた際に、「頭だけ砂に隠す」習性からきた諺だと言われていますが、これまでの日本は、まさにダチョウと同じく、都合が悪い現実(恐怖)から逃れるために、現実を見て見ぬふりをする「ダチョウ国家」でした。 戦後67年、日本は日米安保というアメリカの軍事力の庇護の下、ソ連などの周辺諸国の脅威という現実から目をそらし、アメリカに基地を提供し、経済的な負担だけを担っていれば、平和と安全を享受できました。 しかし、頼みの綱のアメリカは財政赤字から軍備の削減を与儀なくされ、隣国には、かつてのソ連以上に凶悪で残忍な中国共産党一党独裁国家が台頭し、日本はその侵略の危機に直面しています。 もはや、いくら頭を隠してたところで、アメリカが守ってくれる保障もありません。今や、戦力の保持や交戦権を否定する「占領軍による刀狩り条項」である憲法9条こそが、この国を滅ぼす最大の要因となっているのです。 もし、アメリカが何らかの理由で「日米同盟」を破棄したら、日本は国軍も持たない「世界一の無防備国家」として、ただただ無残に中国などの隣国に領土を蹂躙され、主権を奪われ、植民地にならざるを得ません。 自分の国を守る気持ちさえ持たない愚かな国に対しては、どの国も対中戦争のリスクを負ってまで手助けすることはないでしょう。 その先に来るのは、自由も人権も、言葉も歴史も、土地も財産も奪われる、無残な「日本のチベット化」です。映画『ファイナル・ジャッジメント』(⇒http://www.fj2012.com/)で描かれている世界そのものです。 ではどうすれば、日本を守り抜くことができるのでしょうか? 中国、北朝鮮に対抗する最善の方法は「憲法9条改正」です。相手の侵略の意図を挫く最大の抑止力は、こちらも相応する武力と能力を整え、それを行使する決意と気概を示すことです。 しかし、憲法改正には厳重な手続きと長い期間が必要です。そこで、今すぐにでも日本政府が取れる施策が、幸福実現党が提言している「憲法9条の解釈変更」です。 憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という前提を示していますが、中国や北朝鮮のように「侵略と人権弾圧をこよなく愛する国」は信頼することはできず、前提が崩壊した以上、憲法9条がそれらの国に適用が除外されることは当然です。 憲法解釈の政府見解の責任者は首相です。今こそ、首相は「中国や北朝鮮など、我が国の安全を脅かす国家に対しては憲法9条の適用を除外する」と宣言し、「主権を侵害する行為に対しては軍事力の行使も辞さない」という、毅然たる態度を示すべきです。 「ファイナル・ジャッジメント」の時は今です!首相は今こそ、国家と国民の命を守るため、勇気ある決断をすべきです。 そのために必要なものが、国民一人ひとりの声であり、自覚と決意に基づく行動です。 「天は自らを助くるものを助く」――主権者たる私達の信念と断行する力が、日本の未来を変え、日本を救う唯一の、そして最大の力となるのです。 そのための国防行動として、幸福実現党はこの度、「沖縄・九州防衛プロジェクト」を発足させました。(⇒http://goo.gl/uExVw) 尖閣諸島、沖縄、そして日本を守るための最大限の言論・啓蒙活動、政治活動を展開して参ります!是非とも、全国の皆様方のご支援、ご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。(文責・矢内筆勝) 消費税増税しても税収は増えない――税収に頼らない「新しい国のかたち」を築け! 2012.05.25 野田首相は5月21日、増税を含む一体改革について「決断する政治の象徴的なテーマ。ぜひ知恵を出し合って結論を出したい」と述べ、与野党合意に持ち込もうとしています。(5/25 ブルームバーグ「野田政権:消費税上げ、与野党合意目指す-民主の分裂リスク覚悟」⇒http://goo.gl/vIq9o) しかし、幸福実現党は立党以来、「消費税を導入しても税収が増えない」ことを主張して参りました。消費税導入(1989年)、消費税引上げ(1997年)以降も税収は減少の一途で、消費税導入直前には60兆円あった税収が現在は40兆円前後に減少しています。(財務省「一般会計税収の推移」⇒http://goo.gl/48dsq) なぜ、増税しても税収が減るのか?――これはノーベル経済学賞を受賞した経済学者フリードマンの「恒常所得仮説」―消費者の消費は恒常的な収入(固定的な収入)に比例する―という説でも説明できます。 消費税増税のような恒久増税は恒常所得を減らし、確実に消費を減少させます。その結果、景気が悪化し、結果として税収が約20兆円減少しています。 今後、消費税増税によって日本経済が更に悪化し、財政を更に悪化させないためにも、野田首相は「デフレ下の増税」という、経済学的には断じてやってはならない「禁じ手」に踏み切ってはなりません。政治家、マスコミ、御用学者達の消費税増税論は「無知蒙昧」を超えて「狂気の沙汰」です! 今こそ、政府・自治体は「税率を上げないで、いかに税収を増やすか」という知恵を絞るべきです。その最大の手段が「経済成長による税収増」であることは間違いありません。 90年代前半、経済が好調だった頃は今より20兆円余り税収が多かったことからも分かるように、景気が回復し、経済が成長すれば、増税を遙かに上回る規模での税収増が見込めます。 また、政府や自治体は「親方日の丸」的な役人根性を捨て去り、「経営的発想」「株式会社的発想」によって「稼ぐ」ことを考えるべきです。 例えば、横浜市では一職員の企画・提案によって「広告事業推進担当」が設置され、民間企業への広告枠の販売、広告付属物品の受け入れ、タイアップ、ネーミングライツ等による大規模な財源確保と経費節減が進んでいます。 広報印刷物はもちろん、横浜市のホームページ(⇒http://goo.gl/fIkI)の下部にも民間企業のバナーが設置されています。また、イベントでの広告、庁舎の壁の垂れ幕広告、道路構造物、ゴミ箱、ベンチ、玄関マットから納税通知書、水道検針票、給与明細書に至るまで、考えつくあらゆるスペースに広告を掲載しています。(横浜市広告事業⇒http://goo.gl/hRvPt) 横浜市の平成21年度決算では広告料収入が年間約7.3億円、広告掲載による経費節減効果が年間約5200万円となっています。(横浜市共創推進事業本部「横浜市の広告事業」⇒http://goo.gl/WGuoY) 広告以外にも「警察による有料警備サービス」など、自由な発想で、政府・自治体が自ら「稼ぐ仕組み」を築いていけば、いたずらに増税や国債によって借金を積み重ねるのではなく、税収を増やしていくことができます。 また、幸福実現党は大規模公共事業への「官民ファンド」を提言していますが、公共投資に民間資金を活用し、政府・自治体等の財政負担を軽くすべきです。 2013年から、インフラ整備の資金を民間から調達する新型地方債(レベニュー債)が地方自治体の公営企業に解禁される見込みです。これによって、税金ではなく、民間資金による水道や交通、病院といった公共インフラの整備・改修が可能になります。(5/21 日経「公営企業、民間からインフラ資金調達可能に」⇒http://goo.gl/Ai8Vw) レベニュー債はファンドのように、元利償還は事業の成否に依存しており、事業が赤字なら利払いはゼロになりますが、通常は一般の債券よりも利子が高く、米国では自治体が発行する債権の6割を占めています。これにより、税金に頼らない公益事業が可能になります。 日本においても、民間の資金、経営能力を使って公共施設等の建設、維持管理、運営等を行う PFI(Private Finance Initiative)法改正をはじめ、ようやくNPM (New Public Management : 新公共経営) の環境が整いつつあります。 今や政府や自治体財政が完全に行き詰まっていますが、幸福実現党は、これまでの近代国家の枠組みから根本的に脱却し、「無税国家」を目指した自由にして大胆な発想で、税収に頼らない「新しい国のかたち」を築いて参ります。(文責・黒川白雲) 経済成長のときは今!東京スカイツリーに見る「富を生み出す投資」のあり方 2012.05.24 5月22日、遂に東京スカイツリーが開業しました!久しぶりに活気あるニュースだと思われた方も多いのではないでしょうか。 高さ634メートルの世界一のタワーの開業当日は、隣接する商業施設の東京ソラマチと合わせて約21万9千人もの人々が来場したそうです。 展望デッキ(350メートル)と展望回廊(450メートル)を結ぶエレベーターが強風の影響で一時停止したこともあり、運営面では改善点が指摘されているものの、完全予約制となっている個人入場券は、7月10日までほぼ完売していることからも国民の期待の高さが伺えます。 東京スカイツリーの目的は、携帯端末向けのデジタル放送サービス「ワンセグ」のエリアの拡大が挙げられますが、開業した今や、その経済効果に注目が集まっています。 そこで、東京スカイツリーを(1)経営戦略、(2)凝縮された技術、(3)経済波及効果の観点から考察したいと思います。 (1)経営戦略・高付加価値路線 事業主体の東武鉄道は、東京スカイツリーと東京ソラマチを合わせた年間入場者を年間3200万人と見込んでいます。これは東京ディズニーランドの入場者数より700万人多いそうです。海外の観光客をはじめ、東京に新しい人の流れを呼び起こしそうです。(5/22 読売) 東京スカイツリーの収支構造はどのようになっているのでしょうか。約1400億円もの投資を20年程度で回収する計画のようです。(5/23 日経) 今年度は201億円の収入を見込んでおり、その柱は以下の3本です。 ・オフィスからの賃料収入 ・テレビ局からの施設利用料 ・入場料収入 東京スカイツリー内のコンテンツを充実させて、入場料収入を高めに設定している点が特徴です。今後、客単価を高く維持するためにどのような集客策を打っていくのか注目です。 (2)凝縮された技術:最先端技術と伝統の技術 東京スカイツリーは技術面でも誇るべきものがあります。例えば高さ350メートルの展望デッキまで40人を約50秒で運ぶエレベーター、ライトのLED化による消費電力の5割削減など、最先端の技術が凝縮しています。 また、法隆寺五重塔でも使われている工法を採用しており、「心柱(しんばしら)」という円筒がタワーの中央を貫いているそうです。凝縮された技術の結晶である東京スカイツリーの開業当日、関連する企業の株価が上がりました。 (3)経済波及効果 地元墨田区の中小企業にも、自社製品をPRする絶好の機会としようという取り組みが始まっています。(5/22日経) 「重ね染め」という独自の染色技術を活用した手ぬぐいの販売や、1947年~89年に販売された「トーキョーサイダー」の復刻など、地元企業の販路拡大に向けて動き出しています。 墨田区は、東京スカイツリーの「天空効果」によって1746億円の経済効果があるとしています。この他にも、街の将来性を見込んでマンションや商業施設などの不動産開発も活発化しており、さらに経済効果は広がりそうです。 やはり「世界一」という言葉には夢があります。東京スカイツリーの開業からも、夢やロマンがもたらす力、経済効果の凄さを伺い知ることができるのではないでしょうか。 大きな理想を掲げ、持てる限りの努力をして実現する。そのプロジェクトに関わった人々から、次はそれを利用する人々に夢が伝わります。このような「感動の連鎖」こそ、富を生み出す投資の姿といえます。 最近のフランスやギリシャにおける緊縮財政反対の動き、さらには5月19日の主要国首脳会議(G8)でも「再建と成長の追及」という見解で一致しました。このことからも、緊縮財政一本やりの増税政策では、誰も救えないということが白日の下にさらされたといえます。 歴史的事例を見ても、19世紀前半のイギリスはフランスとの戦争により、債務が増大しました。イギリス政府の債務残高は1819年にはGDP比337%もありました(「国債と金利をめぐる300年史」)。 この状況からいかにしてイギリスは立ち直ったのでしょうか?その答えは緊縮増税政策とは正反対の、産業革命を背景とした「経済成長」だったのです。 テレビ報道の多くは、日本経済に対して悲観的なコメントをよく述べますが、極めて一面的な議論です。なぜなら、日本は21年連続で対外純資産は世界一であり、円高を背景として企業のM&Aが活発化し、着々と力を着けている企業も出てきているからです。日本の次なる発展を可能にする萌芽は確かにあります! 経済成長の時は今です!日本は世界の大国として、各国にこれから向かうべき方向性を指し示さなくてはなりません。 日本政府は、一刻も早く消費税増税路線を撤回し、東京スカイツリーに見るような、夢や希望を喚起する民間投資を支援する規制緩和・減税政策といった「経済成長戦略」を打ち出すべきです。(文責・吉井としみつ ) 教育は経済成長の原動力 2012.05.23 前回のHRPニュースファイルでは、未来産業育成を見据えた理数系教育の重要性を指摘しました。そこで、教育と経済は関連するのか否かについて論じます。 経済学の分野では、経済成長論の学問的蓄積が進んでいます。理論と実証両面での発展は目覚ましく、最近は経済学者のシュンペーターの「創造的破壊」を主眼にした分析もさかんです。経済成長は国民にとって大事であり、政治家が経済政策を考える上でも参考になります。 さて、今回は教育と経済成長の関連性について絞って論を進めます。 結論から言えば、教育は経済成長をもたらします。経済学では、労働や金融資産・機械などの資本以外に、人間の知的資源を人的資本と呼んでいます。当然、そこには技術も含まれると考えてもよいでしょう。 教育と経済成長に関して代表的な経済学者は、ハーバード大学のロバート・バロー教授を挙げるのが適切でしょう。 バロー教授の著書『経済成長の決定要因-クロス・カントリー実証研究-』(大住圭介他訳・九州大学出版会2001)では、実に示唆に富む研究成果がありますが、教授は国際学力テストによる点数を教育の質とみなします。そして、教育の質が高い国は経済成長率が高いことを統計的に実証しています。 特に注目に値するのが次の三点です。 (1)理科の点数が高ければ、経済成長が高い (2) 理科ほどではないが、数学の点数の高さは経済成長と正の相関関係にある (3) 読解力の高さも成長率と相関関係にある もちろん、高校や大学、大学院まで含めた教育年数が長い方が多い(いわゆる教育の量)と成長にも正の相関関係がありますが、「教育の質の影響はずっと重要である」という結論は傾聴に値します。 上記の通り、高教育国では知識や技術の習得や伝播が早くなり、結果として成長が促進されるメカニズムが働きやすくなると言い換えることができます。 翻って学力低下論争を振り返ってみると、大学生の理数系の学力低下に対して警鐘を鳴らした京都大学の西村和雄教授の問題提起は正しいということが分かります(『学力低下が国を滅ぼす』日本経済新聞社2001など参照)。 同様の見解を持つのは、一橋大学経済研究所の小塩隆士教授です。小塩教授は、「学校が教育内容を削減すればそれだけ人的資本の蓄積ペースが低下し、労働生産性が低下して経済成長が期待できなくなる」と喝破しています(『教育の経済分析』日本評論社2002年 219頁参照)。 また、学力低下の学生が社会人になっても、基礎的な職務が正しく実行できなければ、企業だけではなく、場合によっては産業界全体に蔓延し、日本全体の生産性を低める可能性があります。 93年に世界銀行が発表した『東アジアの奇跡』というレポートでも、日本や韓国や台湾、香港などの高い成長率に寄与しているのは教育であるという実証研究が出ていることから見ても、一国の経済成長に教育が果たす役割は大きいことが分かります。 皮肉ではありますが、マーフィー・シュライファー、ビシュニ―の論文(Quarterly Journal of Economics 1991)では、工学部の大学生が多い国では経済成長が高く、法学部に学生が集中している国では、成長率が低いことを示しています。 言い換えれば、工学系は経済に技術進歩をもたらす要因を持っています。法学部系が多いと無駄な法律や規制が増えて民間の経済活動を縛ることが多くなるからだと推測できます。 実際、経済成長の実証研究には、民主化を図る指標などが入っており、独裁国では経済成長率が低いという結果もあるくらいです(結論を全面的に受け入れるには注意が必要だが、興味深い研究ではある)。 上記の研究は多少古くなっているものを取り扱いましたが、以後の研究成果を見ても結論が大きく変わることはありません。 やはり、経済成長に教育が果たす役割は重要です。特に、成長を高めるためには理数系教育がカギとなるのは、幸福実現党の未来ビジョンとも一致します。 航空宇宙産業やバイオ技術、資源不足を解消するエネルギー政策、原子力発電の安全性強化などは、全て理系学問の進化なしにはあり得ません。 上記の分野にいかにして資金を配分するかを議論することも大事ですが、本質は教育の充実にあります。「日本経済再建宣言」は、実は教育再生とも密接に関連しているのです。(文責:中野雄太) 国民に窮乏生活を一方的に強いる野田政権の大罪 2012.05.22 訪米中の野田首相はG8サミットの一連の日程を終え、20日夜、帰国。野田首相は同会議の中で「財政再建と経済成長の両立」を実現するために消費税率引き上げ法案の今国会での成立に全力を挙げる考えを強調しました。 今月初め、サルコジ大統領の緊縮財政路線にNOを掲げたフランソワ・オランド前社会党第一書記がフランス大統領となったことは「緊縮財政路線vs.経済成長路線」という二律背反の構図を世界に突き付けた感があります。 欧州の「緊縮財政(増税や歳出削減等)」路線の危険性、そしてその上前をはねる野田政権の緊縮財政の危険性については、[HRPニュースファイル263]「欧州で『緊縮財政』批判強まる―野田政権の《超》緊縮財政の危険性」で既に指摘しているところです。⇒http://goo.gl/yY9oA EU域内の国民は「緊縮財政疲れ」を起こしており、IMFは「赤字削減目標によって、成長が損なわれるべきではない」として、経済成長をてこ入れするよう勧告しています。 しかし、経済成長に舵を切るということではなく、IMFも野田政権も「総論」としては「緊縮財政をしながら経済成長も実現する」という考えでありますが、具体的経済成長政策は無く、増税路線には変わりありません。 実際、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案が17日、衆院特別委員会で実質審議入りしました。 フランス大統領選やギリシャ総選挙、G8サミット等を受け、世界中で「緊縮財政か、成長か」という議論が沸き起こっていますが、その結論はハッキリしています。 このことについて、幸福実現党名誉総裁・大川隆法先生は既に2010年7月の段階で、御法話『未来への国家戦略』において、近未来予言的に下記の通り指摘しておられます。(大川隆法著『未来への国家戦略』幸福の科学出版に収録⇒http://goo.gl/Kewwd) 「ヨーロッパは今、緊縮財政に入っています。政府が、お金を使わない『ケチケチ運動』に入っています。その結果、ヨーロッパの不況は海外に輸出されるでしょう。」 「今やるべきことは、『経済成長』あるのみです。今、消費税を上げたら、必ず不況が来ます。同じことが、過去、何回も起きているのに、まだ分からないのでしょうか。」 幸福実現党はかねてより、緊縮財政を「ブレーキ」、経済成長を促すための財政政策、金融政策、規制緩和等を「アクセル」に例え、デフレ不況脱却のためには「ブレーキ」ではなく、「アクセル」を全開にして経済成長を実現し、自然税収増を図るべきであると提唱して参りました。 緊縮財政(ブレーキ)と経済成長(アクセル)は、同時には両立しないと考えるのが常識です。ブレーキとアクセルを同時に踏み、車が快調に前進するか考えてみれば分かります。 そして政府の公共投資は、自民党型の利益誘導や民主党型のバラマキであってはならず、「未来ビジョン」に基づく、長期的視野に立った未来産業振興に向けた公共投資を行うべきです。(参照:大川隆法著『もしケインズなら日本経済をどうするか』幸福実現党発刊⇒http://goo.gl/NL2Vb) そのため、幸福実現党の公共投資政策は「有効需要増加」という短期需要よりも、交通インフラや未来産業インフラ等、日本経済の生産活動に貢献し、経済成長を押し上げる中長期の「社会資本の生産力効果」に焦点を当てています。 なお、誤解を避けるために付記致しますが、デフレ時は民間経済活動のアクセルが全開にできるよう、財政政策、金融政策、規制緩和等をせよという意味であって、政治家の人気取りのためのバラマキ政策や政府、公務員の無駄の削減等は断固、進めていくべきです。 野田政権は、国会議員の定数是正、所得の官民格差の是正等、自ら身を切ることは徹底せず、電力の安定供給の義務を怠り、増税、節電、中国や韓国に比べ倍も高いといわれている電気料金のさらなる値上げ、ガス代の値上げ、ガソリン代の高騰等々、常に国民に窮乏生活を求めています。 今、政府が選択すべきは「緊縮財政」ではなく、「経済成長」に向けた財政政策、金融政策、規制緩和等の断行です。 モンテスキューは『法の精神』の中で「国家がその臣民を貧しくして先ず富もうとするか、それとも臣民が余裕を得て国家を富ますのを期待するか」と述べています。 野田政権は超緊縮財政によって「国家がその臣民を貧しくして先ず富もうとする」道を目指していますが、それは国民に窮乏生活を一方的に強いると共に、経済衰退に伴う税収減をもたらすだけです。 幸福実現党は「経済成長によって国民や企業を富まし、臣民が余裕を得て国家を富ます(自然税収増)」道を進めて参ります。(文責・加納有輝彦) 裁判員制度3年――裁判員制度のリスクを見極めよ! 2012.05.21 裁判員制度は5月21日、施行から3年を迎えました。裁判員裁判が始まり、今年3月末までに約2万8千人が裁判員・補充裁判員として裁判に参加し、約3600人の被告に判決を言い渡しました。 産経新聞は全国の弁護士会を対象にアンケートを行い、過半数が「定着した」と答える一方、9割以上の会が「制度に改善すべき点がある」として運用改善を求めています。(5/21 産経⇒http://goo.gl/EV5Rq) 読売新聞は全国の裁判員経験者にアンケートを行い、回答者の内、9割以上が「経験を肯定的に受け止めた」としています。毎日新聞の社説も「裁判官、検察官、弁護士ら法曹三者は3年間の実績を好意的に受け止めている」と論じています。 裁判員法は3年たって必要があれば見直すよう定めていますが、概ね評価は高く、運用面での改善点はありますが、法改正までは未定といったところでしょうか。 裁判員制度は2009年、「裁判への市民感覚の反映」を目的に導入されました。20歳以上の有権者から無作為に選ばれた裁判員6人が裁判官3人とともに審理し、被告の有罪、無罪と量刑を決めます。 これは、アメリカ等の陪審員制度に倣った制度ですが、陪審員制度は陪審員が「有罪か無罪か」だけを決め、具体的、法律的な内容、そして量刑については裁判官に任せる制度です。一方、日本は裁判官と裁判員が一緒になって量刑まで決めます。(最高裁判所HP⇒http://goo.gl/WJuEd) このことについて、幸福実現党名誉総裁・大川隆法先生は「量刑まで決めていくということなので、極めて危険な領域に入っている。裁判員の選び方によっては大変なことが起こる可能性がある」と警告しています。(大川隆法著『幸福実現党宣言』幸福の科学出版,2009年.p.98⇒http://goo.gl/1nJfd) 裁判員制度の本当の理由は「裁判官があまりにもこの世離れした人が多く、国民の権利が損なわれている。一般国民の方が常識があるので、裁判に参加し、意見を言ったほうが、結論を間違えないだろう」ということです。 しかし、「プロではまともな判断ができないので、素人を入れる」という発想には一種の恐ろしさを感じます。「裁判への市民感覚の反映」が必要ならば、裁判官を定期的に民間企業等に出向させ、「市民感覚」を磨くなどの工夫や知恵を出していくことも重要だと思います。 裁判員の選任にも多くの課題があります。裁判員候補になった人の辞退者は57%に上ります。裁判員の在任期間が長い場合はさらに辞退率が高まります。多くの方々は忙しく、長時間拘束されることは避けたいのです。 この点について、大川隆法党名誉総裁は「民間人はそれほど暇ではありません。会社が潰れかかっているようなときに、量刑までやっている暇はありません。おそらく、この制度は見直しがなされ、膨大な作業がもう一度始まるはずです」と述べています。(大川隆法著『政治の理想について』幸福の科学出版,2009年,p.105⇒http://goo.gl/WfbmL) 裁判員制度は「司法の民主化」「司法への市民参加」としてもてはやされていますが、ソクラテスに死刑を言い渡した「人民裁判」以来、「多数意見が本当に正しいのか」ということは歴史的にも議論が分かれるところです。 鳥取県では「いじめが正しいか、間違っているか」について学級会で多数決が行われ、挙手の結果、「いじめられた人が悪い」の方が、「いじめた人が悪い」よりも多くなり、いじめられた少女が悪いと認定された事件が起きました。⇒http://goo.gl/964Et 「利害対立」の落とし所を多数決で決めるならまだしも、「善悪」を多数決で決めるには大きなリスクを伴います。 特に宗教的なものの場合、例えば少数者が信じている宗教に対する、多数決の意見が必ずしも正しいとは言えない場合が多く見られます。かつての「魔女裁判」のようなものが現代でも行われる危険は否定できません。 憲法学の第一人者、慶應義塾大学法学部の小林節教授は憲法32条で保障されている「裁判を受ける権利」とは「本来プロの裁判官に裁かれることの保障」であって、「公正な第三者である裁判官に(公正な)裁判をしてもらわない限りは刑罰を受けない」という保障である。「裁判員という名の素人を司法に参加させることには賛成できない」と述べています。(小林節著『「憲法」改正と改悪』時事通信社,2012年,p.143⇒http://goo.gl/ZkaOL) こうした憲法の趣旨に鑑みても、裁判員という一般を司法に参加させることに、改善や法改正も含め、根本的に見直していく必要があると考えます。 3年を経過した裁判員制度。マスコミは「プロの常識に一石を投じた」と賛美していますが、裁判員制度のリスクについても明らかにすべきであり、同制度のあり方について国民的議論を深めていくべきです。(文責・竜の口法子) ウイグルの人々の声を聞け!そして日本は中国の覇権主義からアジアを守れ! 2012.05.20 日本のマスコミは「日中記者交換協定」によって中国批判を規制されているため、多くの日本人は、中国による「東トルキスタン」に対する残虐極まる軍事侵略の悲劇を知りません。 1949年に中国人民解放軍が東トルキスタンに侵入し、最終的に東トルキスタン共和国を征服し、1955年に「新疆(しんきょう)ウイグル自治区」と命名しました。(世界ウイグル会議HP⇒http://goo.gl/yC3TH) 「新疆」とは「新しい領土」「新しい植民地」という意味です。中国共産党政府は、同自治区に漢民族を大量に送り送り込み、ウイグル人の土地を奪い、中国に反発する者は次々に捕らえては暴行、虐殺を繰り返してきました。 1964年から中国は核実験を開始、これまで46回におよぶ核実験を行い、19万人が急死、健康被害者は129万人にのぼります。(参照:高田純(札幌医科大学教授)著『中国の核実験─シルクロードで発生した地表核爆発災害─』⇒http://goo.gl/NZIGP) また、結婚適齢期の女性たちは、沿海部の工場で働かせ、漢民族との結婚を強要されています。そのため、ウイグル自治区に残った男性たちは結婚の相手がいないため、ウイグル人の人口は急速に減少し続けています。 これが中国の恐るべき「民族浄化政策」の実態です。(参考・幸福実現TV「ウイグル虐殺の真実と日本」⇒http://goo.gl/eSdwv) 中国共産党政府は米国で起きた「9.11テロ」以降、ウイグル人の中国に対する抗議や活動は「イスラム教徒のテロである」と国際的に喧伝し、弾圧を正当化しています。 今年4月5日には、中国政府は「東トルキスタン・イスラム運動」のメンバー6人を「テロリスト」と認定。「国際社会と連携してテロ対策を強化する」と国際社会に発信しています。(4/6産経⇒http://goo.gl/MFJrV) そのような中、5月14日から17日、中国政府が「反体制組織」と認定している「世界ウイグル会議」の第4回代表大会が東京で開催されました。 今回来日した「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長は、自らも中国批判で投獄された経験を持ち、後にアメリカに亡命しています。 同議長は記者会見で、2009年7月の新疆ウイグル自治区での暴動を機に「中国の流血政策は激しさを増している。自治権を与えず、ウイグル人を絶滅に追い込んでいる」と中国政府を厳しく批判しました。(5/14産経⇒http://goo.gl/zph7r) 日本がラビア・カーディル氏にビザを発給したことに対し、中国政府は「日本の決定に反対を表明する」と強く反発しています。(5/11産経⇒http://goo.gl/N687H) その意趣返しとして、第5回日中韓サミットでは、胡錦濤国家主席が野田首相との首脳会談を拒否しました。(5/15読売「胡主席の会談拒否、ウイグル会議へ意趣返し?」⇒http://goo.gl/EMrC6) 更には、中国の駐日大使が日本の与野党国会議員多数に「日本政府がこれを認めれば、日本自身の安全にも害がある」という、恫喝的脅迫状を送り付けてきました。(5/18 夕刊フジ「中国ふざけるな!大使恫喝文に自民有志が抗議へ」⇒http://goo.gl/TepG6) そして驚くべきことに、同大使は日本の国会議員に対して「ラビアおよびドルクンらの中国の分裂を図る反中国および暴力テロの本質をはっきり見抜き、いかなる形でも接触せず」「いかなる支持もしないことを希望する」と命令しています。 これは完全な内政干渉であり、ジャーナリストの櫻井よしこ氏は「中国は日本の宗主国のつもりだろうか。わが国の政治家に、そして日本人に、これをしてはならない、あれをしてはならないと命令する内政干渉は許し難い」と強い憤りを表明しています。⇒http://goo.gl/BL0nG 中国では政府の意向を受けた中国社会科学院日本研究所の学者・呉懐中氏は「沖縄の主権は中国に属する」とまで断言しています。(2010/8/20 新華社) 中国のウイグル自治区化も「ウイグルは中国のものである」という主張から始まっています。その歴史に学ぶ時、「今日のウイグル」の姿は、「明日の沖縄」そのものの姿となる可能性があります。 「新疆・琉球自治区」を誕生させないためにも、日本政府は全力を挙げて、人権弾圧に苦しむチベット、ウイグル、南モンゴルの人々を救い、各国の独立と中国の民主化・自由化を支援すべきです。 その第一歩として、幸福実現党は5月26日(土)、ウイグルや南モンゴルの方々を講師に招き、幸福実現党講演会「日本へのファイナルジャッジメント―奪われた祖国、そして、日本の針路」を開催致します。⇒http://goo.gl/7QpTX 日本の未来を考えるべく、一人でも多くの皆様のご参加をお待ち申し上げております。中国の人権弾圧を救済するのは、アジアの民主主義のリーダーである日本の使命です。(文責・佐々木勝浩) 中国の南シナ海侵攻と尖閣・沖縄の危機 2012.05.19 フィリピンと中国が互いに領有権を争う南シナ海のスカボロー礁で4月10日、中国漁船を拿捕しようとしたフィリピン船舶を中国の監視船が妨害して以降、両国の船舶がにらみ合いを続けています。 フィリピン当局によると現在、同海域には中国の監視船2隻と漁船10隻、フィリピン艦船2隻と漁船1隻がいるということです。(5/17 AFP⇒http://goo.gl/gXkpi) この間、中国はフィリピンに対して激しい外交上の駆け引きを展開。中国旅行会社のフィリピン旅行の一時中止、バナナへの検疫強化など、経済的圧力を強化。フィリピンが提言した島嶼の領有権に関する国際司法裁判所への付託も一蹴しています。(4/18 人民網日⇒http://goo.gl/fH1vg) にらみ合いから1ヶ月が経過した5月8日、中国共産党の機関紙・人民日報海外版は「我々はフィリピンに対抗する十分な手段を持っている」「各種の軍事的挑発に対する十分な準備を行う必要がある」と「最後通告」を掲載。 過去二度、人民日報がこうした「檄文」を掲載した直後に、中印国境紛争や中越戦争が勃発しているため、今回もフィリピンとの武力衝突は必至と見られています。(5/10 Record China「南シナ海問題で中国がフィリピンに最後通告、一触即発の事態に」⇒http://goo.gl/LyPp6) この南シナ海での紛争は、決して「対岸の火事」と傍観することは出来ません。 中国共産党の公式機関紙である人民日報が「日本に水をあけられている中国海監の装備」と題し、フィリピンとの紛争を教訓に、更なる対日軍備強化を提唱しています。(4/19 人民網日本語版⇒http://goo.gl/stPgJ) 更に、東京都による尖閣諸島購入計画(参考:SAPIO6/6号「中国、東京都の尖閣購入計画に態度硬化させ軍艦等派遣も検討」⇒http://goo.gl/ER7LC)や「国連大陸棚限界委員会による沖ノ鳥島の認定」(参考:4/29 産経「沖ノ鳥島『支持せず』中国外務省が反論」⇒http://goo.gl/IxM7v)を受け、中国も態度を更に硬化させています。 実際に中国が尖閣諸島や沖縄に実力行使を行った場合、日本政府はどのように対処するつもりなのでしょうか? 憲法9条の束縛(「国の交戦権は、これを認めない」)によって、自衛隊には明確な交戦規定が設けられておらず、現状では日米同盟に頼らざるを得ない状況にあります。 しかし、米軍が沖縄から漸次的に撤退していく流れは必至です。今、日本が根本的に「自主防衛」に舵を切らなければ、尖閣諸島や沖縄は近々、危機的状況を迎えることになります。 既に中国では「中華民族琉球自治区」援助準備委員会設立の公告が喧伝されており、「琉球臨時政府」や「琉球独立憲法」を策定。中国の軍事力を背景に「琉球国」の独立を宣言するだけという見方もあります。(2011/3/13 産経「中国画策、沖縄を『琉球自治区』に、海軍機が尖閣接近」⇒http://goo.gl/fSGtS) 元警視庁捜査官の坂東忠信氏は「人民解放軍の中には、日本への侵攻計画を呼びかける高級幹部もいる。『琉球自治区』の動きは民間(の論調)を装っているが、今後、世界中の中華民族と連携して圧力をかけてくる可能性もある」と警告しています。(同上) 尖閣諸島、沖縄の危機が強まる中、今こそ、国民の「生命・財産・安心」を守るべく、憲法改正による防衛軍の創設を軸とした「自主防衛強化」への取り組みを開始すべきです。日本にとって今が最後の決断の時です。(文責・小川俊介) 中国が尖閣諸島を「核心的利益」と宣言――日本はフォークランド紛争の教訓に学べ! 2012.05.18 5月13日の日中韓首脳会談で、中国の温家宝首相は野田首相に対し、尖閣諸島について「(中国の)核心的利益と重大な関心事項を(日本が)尊重することが大事だ」と述べ、中国の尖閣諸島領有を強く主張しました。⇒http://goo.gl/f8dFV 「核心的利益」とは、中国政府が「国益上譲れない」という強い領有の意思を表明するときに使う外交用語です。 これまで、中国政府は「核心的利益」という言葉を台湾やチベット、ウイグル等に限定して用いていましたが、2010年頃から中国の政府系メディアが南シナ海について使い始め、2012年1月には、尖閣諸島について人民日報が使用し始めました。⇒(5/17 日本の論点「中国の『核心的利益』」⇒http://goo.gl/RWESj) 中国首脳が尖閣諸島について、侵略したチベットやウイグル等と同じ「核心的利益」と宣言したということは、尖閣諸島に対する「武力行使宣言」がなされたということです。 こうした中国の尖閣諸島侵攻に備え、陸海空3自衛隊が昨年11月の統合演習で、沖縄・尖閣諸島が中国に占領されたと想定し、詳細な「奪還作戦」を策定していたことが分かりました。(5/9 産経「陸海空3自衛隊 尖閣奪還作戦を策定 『中国が占領』連携対処」⇒http://goo.gl/V2EBc) 自衛隊がようやく尖閣諸島防衛強化の姿勢を示したことは前進ですが、なぜ、尖閣諸島が奪われたことを前提とする「奪還」演習なのでしょうか。 北方領土や竹島を見ても明らかなように、国土は一度奪われると奪還は非常に困難で、奪還には大きな犠牲を伴います。「国土を奪われてから奪い返す」という戦略は下策であり、「国土を奪われないようにする」ことこそ上策です。 ここで参考になるのは、イギリスとアルゼンチンとの間で争われているフォークランド諸島の領有権問題です。 フォークランド諸島は英国が1833年から実効支配していますが、アルゼンチンはスペインから独立した際に相続した領土だとして領有権を主張。1982年4月2日に発生した紛争は約2カ月半にわたって続き、英国側が勝利しました。 しかし、フォークランド諸島を巡る両国の領有権争いは、今もなお続いています。アルゼンチンが英領フォークランド諸島に侵攻、敗北したフォークランド紛争開戦から30年目の今年4月2日、アルゼンチン大統領は改めて同諸島の領有権を主張しました。⇒http://goo.gl/JFnGx アルゼンチンが領有権問題を再燃させた理由は、フォークランド諸島沖には約3億5000万バレルの石油が埋蔵されていると目されており、経済的に減速したアルゼンチンは豊富な資源を埋蔵する同諸島に強い魅力を感じているためです。(4/2 ロイター「フォークランド紛争から30年、海底油田めぐり緊張高まる」⇒http://goo.gl/d8Aw0) フォークランド諸島を巡る英国とアルゼンチン両国間の対立の構図は、日本と中国が争う尖閣諸島の領有権問題にもそっくりそのまま当てはまります。 フォークランド諸島は英国から10000km以上離れていますが、アルゼンチンから1000kmも離れてはいません。一方、尖閣諸島は日本本土から1000kmほど離れていますが、中国本土からは300kmほどしか離れていません。 国連が尖閣諸島沖で行った調査では、埋蔵量世界第2位のイラクに匹敵する推定1095億バレル(推定7000兆円)の石油の埋蔵可能性が報告されています。尖閣諸島は、急激な経済成長と人口増大によるエネルギー不足に悩む中国にとっては、まさしく唾涎の的です。 フォークランド紛争の時には、イギリス海軍の艦船がフォークランド諸島に配備されていなかったことが、アルゼンチン側に武力侵攻を踏み切らせる一因となりました。 日本も尖閣諸島や付近の石垣島や沖縄本島に海上自衛隊の護衛艦を配備しておらず、海上保安庁の巡視船が配備されているのみで、容易に中国側の侵攻を許す状態が続いています。 フォークランド紛争の初動で遅れを取ったイギリスは、マーガレット・サッチャー首相の決断で空母機動部隊や爆撃機部隊を始めとした大規模な部隊を派遣し、多大なる人的犠牲や経済的犠牲を払いながらフォークランド諸島を奪い返しました。 しかし、日本の民主党政権にサッチャー元首相のような強いリーダーシップを期待することはできません。 本土から離れた島を統治する場合、実効支配を確実なものにしなければ、他国による侵略を招くことは火を見るよりも明らかであり、万が一、占領された場合、「奪還」には多大な犠牲を伴うことは避けられません。 日本政府はこうしたフォークランド紛争の教訓をよく学び、自衛隊の護衛艦を南西諸島に配備し、尖閣諸島周辺海域のパトロールを強化し、早急に尖閣諸島の実効支配を確実なものとすべきです。(文責・黒川白雲) すべてを表示する « Previous 1 … 223 224 225 226 227 … 253 Next »