Home/ 経済 経済 現代の「禁酒法」から飲食業界を守れ! 【後編】 2021.06.19 https://youtu.be/WUmB2EbzOOE (6月9日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆行政による「飲食店潰し」は関連業界に波及する 行政によって血祭りにあげられたのが、飲食業界ですが、その倒産のウネリが、取引業者や関連業界にも波及しつつあります。 帝国データバンクによると、新型コロナの影響で倒産した企業数は昨年2月から6月15日までで累計1,606社に上り、そのうち16.5%にあたる265社が「飲食店」、次いで「建設・工事業」が156社となっています。 また、「飲食店や宿泊業の倒産に伴い、こうした業種から修繕や電気工事などを請け負っていた中小の事業者が連鎖的に倒産するケースが増えている。緊急事態宣言が再延長となれば、更なる増加につながる懸念もある」としています。 連鎖倒産が予想される業界は「建設・工事業」に止まりません。 実際に、飲食業界と密接な「飲食料品製造業」は-6.2%、「飲食料品卸売業」は-5%と大幅に減収し、氷やおしぼり業者なども大変な苦境に陥っているようです。 ◆中小企業の約3分の1が「過剰債務」に 飲食業界を中心に暗雲が立ち込めるなか、2021年4月度の全国の企業倒産件数は、50年間で「最少」を記録しています。 これは「実質無利子・無担保融資」など、緊急避難的な金融支援が、企業の資金繰りを一時的に緩和しているわけですが、今後計り知れない「副作用」につながる恐れも予想されます。 具体的には、企業の経営状態にこだわらない緩慢な貸出が横行したことで、経営側のモラルハザードを誘発してしまい、気が付いた時には「売上減少、借入増加」によって、本業での償還が難しい「過剰債務」に陥る企業が続出するという恐れが言われています。 東京商工リサーチが4月下旬に行った調査によると、実に法人の99.7%を占める中小企業の約3分の1がいま「過剰債務」にあるとされ、この夏を境に倒産が一気に増える展開が現実味を帯びてきていると分析しています。 ◆底をつきつつある「雇用調整助成金」 また、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対し、従業員の雇用を維持することを目的に給付されている「雇用調整助成金」の財源も底をつきつつあるとも報じられています。 雇用調整助成金は特別会計の一つ、労働保険特別会計の中の「雇用安定資金」が財源にあたりますが、2019年度末には1.5兆円もあった資金が、2020年度末には864億円にまで一気に激減しています。 政府は21年の通常国会で臨時特例法を制定し、一般会計からの投入で雇調金の給付停止はひとまず回避されましたが、今後倒産企業が急増し、失業者が大量に出た場合、失業給付等に回るはず財源が枯渇しているという事態に直面する可能性も否めません。 実際、東京都の財政調整基金の残高は、19年度末9345億円もあったのに、20年度末には21億円と、約99.8%減少しています。 ◆いまこそ必要な「抵抗権」 考え方を転換すべき時が来ており、それが「抵抗権」です。 幸福実現党としては、前述の旭酒造の意見広告の主旨に全面的に賛成で、それ以外の業種でも、勇気をもって営業を継続する経営者の判断には、心からの声援を送りたいと思っています。 「お上に従順に従う」という姿勢は、一見、日本人的には美徳に見えますが、政府や自治体の言い分がエビデンスとして根拠に欠け、理不尽な命令を乱発している最中にあるわけです。 抵抗権とは「人民により信託された政府による権力の不当な行使に対して人民が抵抗する権利」とされ、17世紀イギリスの思想家ジョン・ロックの社会契約論でも認められた正統な権利であり、無秩序に暴徒化するのとは全くもって異なります。 自由に対する侵害に対しては、根本的な人間の生存権があるので、国の行政命令や、不当な法律に対して、「抵抗する」という努力もするべきです。 もはや、全ての業種の全ての損害を政府が請け負うことなど出来やしませんし、国家財政破綻は必定でしょう。 そして変異株の流行が続くことが予想されている以上、「自らの生活は自らで守る」という姿勢がどうしても必要となっているわけです。 そして、行政においては飲食店を血祭りにあげ、経済を破壊するのをやめて、一刻も早く「通常モード」に戻すべきでしょう。 現代の「禁酒法」から飲食業界を守れ! 【前編】 2021.06.18 https://youtu.be/WUmB2EbzOOE (6月9日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆時短営業が「常態化」する飲食店 緊急事態宣言が6月20日まで再延長され、緊急事態がもはや「常態化」しています。 東京都においては、デパートや映画館などへの休業要請は緩和するものの、酒類やカラオケ設備を提供するような飲食店には休業要請を継続しています。 (※17日現在の報道では、東京都は緊急事態宣言が解除された場合、まん延防止等重点措置に移行し、飲食店に対しては営業時間を午後8時までに短縮するよう要請したうえで、酒を提供する場合には制限を設ける方向で調整中。) 首都圏1都3県で1月7日に緊急事態宣言が発出されて以降、なし崩し的に延長を重ね、時短営業の要請や酒類提供の大幅に制限されるなど、今年に入ってから飲食店が通常営業出来た日は実質的に「ゼロ」となります。 そうした無茶な要請を長期間行う一方、時短営業に協力する飲食店に払われる「感染拡大防止協力金」の支給に遅れが目立ち始めています。 首都圏の3月休業分(3/8~3/31)について、埼玉では9割以上が支払い済ですが、東京・神奈川・千葉では約半数が未払い(5月末時点)となり、1・2月の休業分すら、受け取っていない事業者も少なからずいるようです。 「これ以上は耐えられない」という飲食店経営者の憤懣と悲痛の思いは、至極真っ当な感情でしょう。 ◆意見広告が示す「感染経路」に関する不都合な真実 そんな中、「抵抗」する人々が現れております。 象徴的なのが、5月24日の日経新聞の全面広告で、日本酒『獺祭』で有名な山口県の蔵元「旭酒造」が「飲食店を守ることも日本の『いのち』を守ることにつながります」という意見広告を出したことでしょう。 *旭酒造ホームページに掲載 https://www.asahishuzo.ne.jp/news/info/004899.html 行政に対して「いったい感染経路として飲食店の割合はいかほどなのか?」と問いかけ、一例として「兵庫県の感染経路別患者数」が示されています。 これによると家庭52.1%、職場16.2%、福祉施設7.5%に対し、飲食店は僅か2.9%に留まっているようです。 首都圏からも、以前は出ていた感染経路別の割合が出ていたのですが、今はなぜか示されてはおりません。 47都道府県のうち6番目となる約4万人の感染者を出している兵庫県の母数規模から考えても、感染経路の割合が他県と比べて大幅に異なるということは、統計的に見てもないと思われます。 ◆現代の「禁酒法」で力を得ているのは誰か? 更に、意見広告には「一律20時閉店、酒提供の禁止、または19時ストップ」という時間規制こそ、逆に感染拡大を誘発する「密状態」を人為的に創り出しているのではないか」、という鋭い指摘もされており、その通りかと思います。 まさに、現代の「禁酒法」さながらといった感じでしょうか。 当時の米国では、酒類の製造から販売まで禁止されましたが、その裏で力をつけていったのが、アル・カポネに象徴されるようなマフィアでした。 現代日本においては、国民生活を犠牲にしてでも、有事における強いリーダーシップ像を演出し、支持率を高めたい政治家たち、特に東京都知事に代表されるような自治体のトップがそれにあたるのかもしれません。 ◆首長による「全体主義の練習」が不況を長期化させる 繰り返される緊急事態宣言、時短営業や酒類の提供禁止、大規模なワクチン接種推進など、「全ては東京オリンピック開催のため・・・」という方向で突き進んでいるのは確かです。 そして今回のオリンピックで、アスリートたちによる感動が余韻として残りながら、景気が回復していけば万々歳でしょう。 しかし、幸福実現党の大川隆法総裁は、6月8日に行われた法話『コロナ不況にどう立ち向かうか/Q&A』の中で「このコロナ不況は一過性のものではなく、2、3年で景気循環風に回復に向かってもとに戻ると思っている人が多いのですが、そうではない」「不況の循環風に終わることはない」という判断をされています。 しかも、今回の不況は、株大暴落や戦争などと異なり、政府ないしは地方自治体の長の宣言によるもので、「全体主義の練習」をしているに等しいと指摘されています。 都知事の命令で、一方的に特定の業種の営業が止められ、酒類の提供や、20時以降の営業禁止など、気が付くと瞬く間に、国民の基本的人権や、経済活動の自由が奪われました。 それが、適法手続きによるものではなく、「空気の支配」の中で、不況が深刻化していくという側面があるわけで、まさに「行政による不況」と表わすことが出来るでしょう。 (後編につづく) 日米台の半導体「中国包囲網」へ。日本復活のカギは?【後編】 2021.06.17 https://youtu.be/UT3GXmPe9kc (6月8日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆「周回遅れ」にある日本の半導体産業 前編では、台湾、韓国、中国、アメリカの半導体事情を紹介しましたが、その中、日本のルネサスエレクトロニクスが40ナノで、日本企業がいかに立ち遅れているのかが分かります。 考えられるボトルネックとしては、先端工場の運営ノウハウが不足していることに加えて、「微細化」するほど、工場や製造装置の投資額が莫大になるので、本来は相当な利益を上げて、投資に回さなければいけません。 TSMCの利益や投資額を見てみますと、20年12月期売上約5兆円、純利益約2兆円で、トヨタの純利益が2.2兆円(21年3月期)とほぼ同じレベルとなっています。 また、21年の設備投資計画は最大約2.9兆円で、まるで国家予算かと思うほどの投資規模で、税金を使わずに、TSMCは民間企業としてこれだけの投資を行っています。 台湾経済への貢献は甚大で、採用が追いつかないほどの雇用を生み、台湾国内に工場を次々と新設していますが、これらの中には、2022年下半期に量産予定の3ナノ生産用の設備投資や新工場も含まれています。 現時点で、兆単位の設備投資に耐えられるのは、TSMC以外では、サムスンやインテルくらいです。 ◆先端工場誘致を進める米国 米国は現状をよく把握しており、中国に負けないためには、米軍の最新鋭戦闘機で先端半導体を使用しないといけませんし、米国内で生産できる体制を整える必要があります。 昨年、トランプ政権の時に、米政府はTSMCに働きかけ、アリゾナ州に1兆円~1.2兆円の5ナノ工場を建設するという誘致に成功し、今後、更にアリゾナ州に2.3兆円~2.5兆円の3ナノ工場の追加投資を検討しているとのことです。 TSMCの他には、サムスンが5ナノ、インテルが7ナノの先端工場を、米国内に建設予定で、バイデン政権はこうした企業を支援するために、米国内に工場や研究開発拠点を設ける企業に、5年間で4.3兆円の補助金を検討しています。 ◆TSMCにとって「経済合理性」が低い日本 では、日本はどうすべきでしょうか。 日本は約2000億円の支援基金で先端工場の誘致に動いていますが、如何せん、金額が見劣りする点、米国のようにアップルや軍需産業などの納品先が少ない点、人件費が高い点など、TSMCにとってはほぼ「経済合理性」がありません。 経済産業省は「TSMCが日本で実施する半導体の研究開発に5年間で190億円出す」と発表しましたが、これは、日本に先端工場を誘致したかったが、実現しなかったことを意味します。 TSMCにとって負担の少ない研究開発で折り合いをつけたと言えるかもしれません。 それを裏付けるように、今年1月のTSMC決算発表会で、モリス・チャン社長は「単独での日本進出も、合弁での進出もない」と話しました。 一方、4月下旬には、中国南京市のファウンドリーに新ラインを設置し、約3100億円を投資し、自動車向けの半導体(10ナノ以上)を増産するという発表がありました。 これらを見ると、TSMCは非常に「したたか」で、民間企業として「経済合理性に基づいて判断している」ということです。 一般的には、海外の半導体メーカーが日本に研究所を置く場合、実際の目的は、企業や大学研究室からの「最先端技術情報」の収集や、優秀な技術者のリクルートにあって、ボランティア精神で、日本に貢献しようとはあまり考えていないのが実情です。 ◆製造装置と素材は日本の「強み」 そこで、改めて着目したいのが日本の強みであり、半導体の設計・製造を側面から支える「製造装置メーカー」としては、世界最強で、2020年のトップ15社のうち、7社が日本企業です。 他にも、シリコンウエハーなど「素材」の分野も大きな強みで、こうした日本企業がなければ、TSMCも先端半導体を作ることができません。 まず、こうした技術を死守することが大事です。 中国は日本の技術を常に狙っており、TSMCとの共同研究を行って、気づいたら、日本が身ぐるみはがされていたとならないように注意が必要です。 ◆国内の生産体制を構築し、地方に雇用創出を また、米国は製造装置メーカーから先端工場まで、国内で一貫して生産できるように誘致を進めています。 日本の素材・製造装置メーカーが開発拠点を米国に移転したら、日本が空洞化する可能性もあります。 半導体は「産業のコメ」と言われ、製造業の基盤になっているので、おろそかにできませんし、安全保障の問題にも直結します。 脱中国、日米台の連携を深めることも大事ですが、製造装置や素材など、日本の強みで、国内の生産基盤を死守しながら、雇用を生むことを考えて、国内に半導体の先端工場を作るべく努力すべきだと思います。 政府もなんとかしないといけないという危機感はあるようですが、一刻も早く付加価値の高い製造業で雇用増大を図り、地方に工場を建設し、地方の活性化を目指すべきだと思います。 ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 日米台の半導体「中国包囲網」へ。日本復活のカギは?【前編】 2021.06.16 https://youtu.be/UT3GXmPe9kc (6月8日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆日本の半導体が敗れた理由 政府は6月2日、今月決める成長戦略の原案を公表し、半導体産業を成長戦略の中核に据えることを明らかにしました。 背景には、「半導体はもはや食料やエネルギーと同じ戦略物資だ」という考え方があります。 現在、日本や米国は、特に「最先端の半導体」については、台湾のTSMCに依存している状況です。 もし台湾が中国による軍事侵攻を受け、半導体供給網が断たれてしまったら、世界経済は大混乱に陥ってしまうという危機感から、世界で国内に製造拠点を確保しようという流れがきています。 ◆「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の80年代 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれていた80年代後半、日本の半導体産業は世界シェア1位(1988年:50.3%)でした。 半導体の売上高は年々増え、今後も伸び続けていくことは間違いありませんが、日本企業のシェアは88年の50.3%をピークに下がり続け、2019年には僅か10%にまで低迷しています。 将来的には、シェア0%になる可能性もあるとされます。 また、1992年と2019年の企業別の売上ランキングを比較すると、1992年は10社中6社が日本企業で、2019年は1社のみがランクインしています。 ◆半導体産業の凋落の背後にある米国 「なぜ日本の半導体は凋落したのか?」といえば、幾つかの要因が挙げられます。 一つ目は、1986年に結んだ「日米半導体協定」です。 80年代後半、日本の半導体がシェアを伸ばし、米国は脅威を感じて圧力をかけました。 例えば、「ダンピング防止」という理由で「米国が決めた公正価格」を下回ったら、ダンピングと見なされました。 この協定によって、日本企業は価格決定権を奪われてしまったわけです。 また、当時の日本国内の半導体市場は、9割以上が日本製の半導体が占めており、これに対し、米国は「日本は鎖国している」と批判し、「開国」を迫りました。 その結果、91年に締結された「新日米半導体協定」では、日本国内における海外半導体のシェアを20%以上に高めないとダメだという文言が盛り込まれ、相当エネルギーを割かれました。 その後、1996年にこの協定は解消されましたが、こうした日本の扱われ方をみて、「第二の敗戦だった」と言う方もいます。 ◆金融政策のミスリードで苦境に陥った半導体産業 二つ目としては、「円高」の影響が挙げられ、1985年の「プラザ合意」以降、日本の円高傾向が続き、半導体の輸出には相当なダメージを与えました。 例えば、99年に日立やNECの事業再編から生まれた「エルピーダメモリ」という会社が2012年に倒産、米国の会社に吸収合併され、当時の社長は「(リーマンショック前と比べ)韓国のウォンと比較して70%も円高になった。企業努力ではカバーしきれない」と悔しそうに記者会見で語っていたのが印象的です。 このように、当時の金融政策が円高を生み、日本企業を守れなかった側面もあるように思います。 他にも、「企業の問題としてマーケティング力が弱く、日本の技術力を活かせなかった」という要因も挙げられるでしょう。 これらの要因が重なって、日本企業の勢いは一気に衰退しますが、それと反比例するかのように、韓国のサムスンや台湾のTSMCなどがシェアを伸ばしてきました。 さらに、最近では、中国が半導体を自前で製造できるように、巨額の投資を行って追い上げています。 ◆微細化を巡る熾烈な技術競争 現在行われている半導体戦争のキーワードは「微細化」です。 半導体の性能は1ナノメートル単位の回路幅で表され、幅が狭いほど、処理能力が高くなり、消費電力が低くなります。 現在、最先端の半導体を製造しているのは、TSMCとサムスンで、回路幅は5ナノです。次に、インテルが10ナノで、あのインテルが全力を尽くしても、TSMCの5ナノに追いつくことができません。 TSMCは2022年に3ナノ量産を予定しており、いま圧倒的に独走中なのがわかります。 なお、3ナノというのは「3秒間で伸びる髪の毛の長さ」と同等で、いまの半導体の驚異的な微細レベルがよく分かります。 中国のSMICが14ナノで、TSMCの技術力と比較すると、SMICは4~5年遅れていると言われています。 また、米国の輸出規制により、TSMCがSMICなどに対して、10ナノ以下の「先端半導体」は輸出できないことになっています。 (つづく) ワクチンパスポートは国家による国民管理を助長し、自由を奪う 2021.05.08 ワクチンパスポートは国家による国民管理を助長し、自由を奪う 幸福実現党政務調査会長代理 小川佳世子 ◆ワクチンパスポート導入に向けた議論 新型コロナウィルスのワクチン接種が世界で進むなか、ワクチン接種を済ませたことを公的に証明する「ワクチンパスポート」の議論が進んでいます。 国民の約半数が2回の接種を終えたというイスラエルは、ワクチンパスポートを持っている人に、レストランの店内利用、スポーツジム、イベントなどへの参加を認めています。 EUではパスポートを持っている人は加盟国内を自由に移動できるようにする方針を固め、夏までの導入を進めています。 アメリカ政府は連邦レベルでは導入しないと発表しましたが、州によっては発行を進めています。 こうした流れを受け、日本でも導入するべきではないかという意見が出てきています。 今のところ政府は否定的ですが、3月15日の参院予算委員会では、河野太郎ワクチン接種担当大臣が「国際的にワクチンパスポートの議論が進んでいくということになれば、日本も検討せざるを得ない」と述べました。 海外渡航の際、相手国から求められる場合にはやむを得ないケースもあるでしょう。しかし、このワクチンパスポートを国内で導入することには反対します。 ◆安全性の検証が不十分 反対の理由の一つ目は、ワクチンの安全性の検証が十分になされていないという点です。 優れたワクチンの開発は感染症抑制の有効な手段であり、研究者たちの努力によって、感染症で亡くなる人を減らしてきたことは確かです。 通常、ワクチン開発には感染症が発見されてから、5年以上かかるとされます。麻疹のワクチンも10年かかっています。しかし、今回のワクチンは1年あまりのスピードで接種が開始されました。 しかも今回、各国で承認されているコロナワクチンの多くは「遺伝子ワクチン」と呼ばれ、今まで実用化されたことのないタイプのものです。 基礎研究は重ねてきたものですが、長期的に人体にどのような影響が出るかの検証はまだ不十分です。 また4月末時点で、日本でワクチンを接種した228万人のうち、接種後に19人の方が亡くなりました。 厚生労働省は、いずれのケースもワクチンとの因果関係は「評価できない」としていますが、うち15人は接種後一週間以内に亡くなっていますので、何らかの関係を疑ってしまいます。 もちろん100%安全なワクチンはありませんので、ワクチンを推進すべきか否かは、感染抑止効果とワクチンによる副反応リスクを冷静に比較して判断する必要はあります。 ただ、現在の日本の感染状況を考えれば、ワクチン接種はリスクが高いと感じる人も少なからずいるでしょう。 こうした観点から見ても、ワクチン接種はあくまでも自由意志に任せるべきです。 ワクチンパスポートを導入し、これによって利用できる施設や行動範囲が限られるとすれば、事実上、ワクチンの強制になります。 ワクチンを打たないと決めた人の自由を制限することはあってはなりません。 ◆ワクチンは万能ではない 二つ目の理由は、ワクチンは万能ではなく、接種すれば感染が防げる保証はないということです。 実際、ワクチン接種後に感染が確認された方が出ています。 韓国では、1回目のワクチン接種を受けた約230万人のうち、278人がコロナに感染したとのことです。 また、一定以上の効果が認められるワクチンができても、変異したウィルスには効果が薄いということは以前から指摘されていました。 ゆえに、ワクチンを打った人だけが自由に行動してもよいというのは、合理的な施策とは言えません。 ワクチン接種をしたからといって基本的な感染対策を怠れば、かえって他の人に感染を広げてしまう可能性も高まるといえます。 ◆国家による国民管理につながる ワクチンパスポートに反対する三つ目の理由は、国家による国民の健康管理につながりかねないということです。 ワクチンパスポートの発行により、国家が、国民の誰がワクチンを接種していて、誰がしていないかという健康にかかわる情報を把握することになります。 かつて、ナチス・ドイツは国民の健康診断を実施して、一人ひとりの健康状態を把握し、健康な国民だけを残そうとしました。 自由主義国である日本で、政府が健康情報を悪用することは考えたくありませんが、「感染症予防のためなら、私権の制限は仕方がない」という空気が高まる今、ワクチン接種をしていない人への風当たりが強くなり、差別を助長することは十分に考えられます。 その意味でも、個人の情報を国家が把握・管理する道を開くべきではありません。 ◆自由の確保と感染抑止の両立のために ワクチンパスポートの導入が経済活動再開につながると期待する向きもありますが、ワクチンに期待していたほどの効果がないことが分かったら、また活動にブレーキがかかることになりかねません。 「ワクチンを打ったら自由に行動してよい」といった条件付きの自由は、条件が変われば、簡単に奪われてしまうからです。 では、各自の自由を守りながら感染抑止をしていくために何が大事かといえば、一人ひとりの免疫力を高めることしかありません。 恐怖心から自由になり、明るく積極的な心を忘れず、健康生活を送ることが、免疫力アップの一番の近道といえます。 各自が免疫力を高め、感染対策をすることは、自由を守る道でもあるのです。 ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 過剰なコロナ対策は、自由を圧迫する「緊急事態」 2021.04.30 http://hrp-newsfile.jp/2021/4075/ 幸福実現党政務調査会長代理 小川佳世子 ◆都市部に3度目の緊急事態宣言が発出 4月25日に、4都府県に3度目となる緊急事態宣言が発出されました。 これを受け、酒類を提供しない飲食店は時短営業を、酒類を出す飲食店には基本的に休業が要請されます。 さらに、一日の売上が億単位に上る百貨店にも雀の涙ほどの補償金で休業要請が出ました。百貨店は中小企業のことも考慮して、「休業自粛の対象にしないでほしい」と声を上げましたが、悲痛な声は行政には届きませんでした。 「休業要請などに協力して感染者が減れば、またお客が戻ってくる」と信じていた経営者たちも、度重なる宣言発出に、経済的にも精神的にも限界が来ています。 ◆私権を制限することの抵抗感が薄れている 都府県によって事情は違いますが、東京都が緊急事態宣言の発出を要請した段階では、感染者数、重症者数共に、2回目の緊急事態宣言の際の3分の1以下です。 従来より感染力が強いとされる変異株が懸念されるとのことですが、国の基準に照らすと病床使用率は「ステージ3」に当たります。 「医療の提供に支障が生じている」ことが要件である、緊急事態宣言発出の基準に合致しないのではないかという指摘もされています。 そもそも、世界一の病床数を誇り、欧米諸国よりも人口当たり感染者数が少ない日本において、医療体制を整えるための対策を十分に行わず、国民の自由を奪う緊急事態宣言を何度も出すこと自体が問題だといえます。 さらに東京都の小池知事は、夜のネオンや街頭の消灯を要請し、「戦時中の灯火管制のようだ」とネット上で騒がれました。 他にも、大阪の吉村知事が「個人の自由を大きく制限するような法令が必要だ」と発言したり、秋田県の佐竹知事が、飲食店が早く閉まってしまうために、若者たちが路上で集まってお酒を飲む「路上飲み」について、「力ずくで排除するくらいやらないとダメ」と発言したりして物議をかもしています。 こうした発言に象徴されるのは、「コロナ対策という名目ならば、国民の自由を奪うことは許される」という発想です。政府や自治体のリーダーが、国民の自由を奪うことについて、抵抗感が薄くなっていること自体「緊急事態」と言えます。 ◆緊急事態宣言で感染者が減る確たる証拠はあるのか もちろん、緊急事態宣言によって一時的に自由を奪うことが、感染を抑制し、多くの人の命を救うことになるならばやむを得ない面もあるでしょう。 しかし、緊急事態宣言が感染抑止につながるという確たる根拠は示せていません。 例えば、昨年4月に出された1回目の緊急事態宣言について、政府の専門家会議は「感染の抑止に貢献したが、感染のピークは宣言前だった」と述べています。 つまり、緊急事態宣言が感染抑止に直結したとは言い切れないわけです。 しかも、飲食店や商業施設に対し、時短営業や休業を要請することが感染抑止につながるということも、科学的根拠が薄いと言えます。 東京都では、判明している感染経路としては「家庭内」が最も多く、続いて「職場内」介護施設などの「施設内」と続きます。 多くの「感染経路不明」には、マスクを外して食事をする飲食店や、多くの人が行きかう商業施設やイベント会場が含まれるのではないか、という仮説に基づいて、飲食店などを狙い撃ちしているにすぎません。 しかし、一人で静かに食事をすることで感染リスクが高まるとは思えませんし、感染抑止と夜8時以降の営業自粛との因果関係も明確とは言えません。 ワタミを経営する渡辺美樹氏は、日経新聞のインタビューに対し、アメリカ人から「なぜ日本は時短なんだ」と驚かれたというエピソードを語っています。アメリカは店内の人口密度が問題視され、時間帯は関係ないというのです。 実際、飲食店や商業施設は、顧客に安心して利用してもらうため、感染対策に投資してきました。席と席の間を開けたり、売り場を広くしたりして、密にならない工夫を重ねてきたのです。 一律の時短、休業要請は、こうした民間の努力と知恵を無にする行為といえます。 さらに、開いている飲食店が少ないと、限られた時間に人が殺到してしまいます。百貨店も休業前日の土曜日には、「閉店前に必要なものを買っておこう」ということで、大混雑するという事態を引き起こしました。 行政が「計画的」に人を動かそうとすると、かえって人が密集するという皮肉な結果になります。それよりは、民間企業や国民の知恵を信じた方がいいでしょう。 ◆過剰なコロナ対策で犠牲にされる命と自由 今、テレビや新聞では毎日のようにコロナ感染者や死者が報じられています。これはあまりにも過剰反応ではないでしょうか。 これだけ毎日報じられていては、人々は冷静さを失い、恐怖に支配されます。毎年、インフルエンザで1万人、肺炎で10万人亡くなっていますが、これは大問題になっていません。 昨年は肺炎やインフルエンザによる死者が減りましたが、トータルの死者数も減っています。徹底した感染対策に加え、例年なら「肺炎」と判定された方が、「コロナ死」と判定されているケースも考えられます。 さらに、昨年11月~今年1月下旬にかけ、深刻な医療危機に直面した札幌市に派遣された、厚生労働省災害派遣医療チーム事務局次長の近藤久禎氏によれば、病院・施設にいた人は、コロナの「患者数」でみると札幌市内全体の1割程度だが、「死者数」だと市内全体の76%を占めていたというのです。 さらに、クラスター発生病院で感染した死亡者のうち72%は「寝た切り状態」だったとのことです。これは期間中の札幌市内の全死亡者の45%に当たるとのこと。(東洋経済オンライン記事より引用) 全国的に見ても、高齢者の致死率が高いことは指摘されていますが、かなり免疫力が落ちている寝たきりの患者の死者が多かったというデータは注目すべきものがあります。 もちろん、お一人おひとりの命は尊いものです。ただ、ゼロリスクを求める過剰なコロナ対策は、別の命を犠牲にしてしまう可能性があることも知っておかなくてはいけません。 経済活動を抑制すれば、倒産、失業が増えます。失業は生活の糧を奪うだけでなく、人々の生きがいも奪います。 昨年の第二波の際(7月~ 10月)には自殺者数が過去3年間と比べて約16%増加しました。特に女性の自殺率は37%、20歳未満の自殺は49%上昇しています。そして、昨年の自殺者は11年ぶりに増えたのです。 地方在住の党員からは、「経営者や従業員にコロナ感染が出たと噂されたお店が、次々とつぶれている」「家族にコロナ感染が出た近所のお宅が、いつの間にか引っ越ししていた」などという話を聞きました。 自殺の原因はさまざまでしょうが、コロナを「特別扱い」することで、人々が必要以上に恐怖心を持ち、感染以外の原因で精神を病み、命を落としていることがうかがえます。 何よりも、自由は人間の尊厳にとって極めて大事なことです。私たちは、この世でただ命を長らえるためではなく、自由のなかで何かを為すためにこの世に生まれてきているからです。 行政のリーダーたちは、その厳粛な真実に思いを馳せ、行動の自由を制限することの重みを知っていただきたいと思います。 ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 温室効果ガス排出削減目標の大幅引き上げは、国家破滅への道そのもの 2021.04.24 http://hrp-newsfile.jp/2021/4069/ 幸福実現党政調会エネルギー部会長 壹岐愛子 ■温室効果ガス排出削減目標の大幅引き上げ 4月 22〜23日、気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)が開催されました。 この中で菅義偉首相は、2030年度のCO2等の温室効果ガスの排出削減目標(NDC)について、現行の「26%減」から、「46%減」への大幅引き上げを表明しています。 菅首相はさらに、「50%の高みに向けて挑戦を続ける」とも強調していますが、NDCの引き上げなど脱炭素化の動きというのは、結論から言えば「国家破滅への道」にほかならず、大いに問題があると言わざるをえません。 ■NDC引き上げの弊害 NDCを引き上げた今、「脱炭素」に向けて具体的なアクションを取れば、日本にはどのような弊害が生じると考えられるでしょうか。 例えば、「太陽光や風力発電、電気自動車の導入を急拡大すれば、日本の製造業は、レアアース含めた鉱物資源を多く有する中国への依存を高めることになる」といった指摘もなされています。 グリーン投資(環境に配慮した経済活動への投資)を日本国内で進めるとしても、再エネを導入する資金は中国に流れて同国を大きく利する形となり、かたや日本の経済成長にはほとんど寄与しないというのが実際のところでしょう。 また、今回のNDC引き上げにより、今後、環境規制の一環として、「炭素税」の本格導入など含め、環境分野における課税強化がなされることも想定されます。 しかし、こうした増税など行えば、製造業の生産コストをむやみに高めることになり、場合によっては、厳しい環境規制にさらされていない国に生産拠点が移り、日本は「産業の空洞化」を経験することにもなりかねません。 いずれにしても、日本の産業界はエネルギーコストの上昇に直面する可能性が高く、経済活動は大きく阻害されることが懸念されるのです。 ■環境規制は行うべきではない 以上を踏まえて、今回のNDCの引き上げは、国富を中国に流出させることになるほか、エネルギーの供給体制を脆弱にして日本の安全保障をも脅かすことになることから、「百害あって一利なし」と言えます。 そもそも、CO2などの温室効果ガスが地球温暖化に影響を及ぼしているということは、仮説の域を超えていないのが実際のところです。この考えをもとに環境規制を強化することなど、本来あってはならないことのはずです。「炭素税」なども国民の財産権を不当に侵害する手段として用いられかねず、絶対に導入すべきではありません。 NDCの引き上げや「カーボンニュートラル宣言」は、外交関係を踏まえれば、ある程度やむを得ない部分はあったという見方もできるでしょう。 しかし、そもそも「CO2温暖化」は「フェイク」と言え、脱炭素はやればやるほど中国にお金が流れ、軍事費となって日本の脅威として跳ね返ってくるというのが事実ではないでしょうか。 (参考) 杉山 大志「CO2ゼロで高まる日本の中国依存とサイバー攻撃の脅威」(キャノングローバル戦略研究所, 2020年11月16日) 日米両国の繁栄をもとに、断固として中国の覇権を止めるべき(党声明) 2021.04.19 https://info.hr-party.jp/press-release/2021/11688/ 4月18日、下記声明を発信いたしましたのでお知らせいたします。 ■日米両国の繁栄をもとに、断固として中国の覇権を止めるべき(党声明) 2021年4月18日 幸福実現党 日本時間の17日に開催された日米首脳会談で、アジア太平洋地域の平和に向けて、日米同盟の重要性が改めて確認されました。 今回の会談では、香港や新疆ウイグル自治区で激しい人権弾圧行為を繰り広げる中国に対して、強くけん制する姿勢が示されました。 会談を受けて発表された共同声明では、「台湾海峡の安定」にも言及しています。日米両国が「人権弾圧を許さない」とする立場を明らかにするとともに、台湾の自由を守るとの意思を示した点は、一定の評価ができます。 しかし、米国をはじめとする各国が、人権弾圧を理由とする経済制裁を行っているなか、日本は、法整備が進んでいないこともあって、各国の動きに歩調を合わせることができていない状況です。 日本政府は今後、「人権の蹂躙は断固として許さない」との姿勢を、行動力を伴う形で示すべきです。 さらに今回は、米国の対日防衛義務を定めた、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることも確認されました。 とはいえ、日本が自国の領土を守る姿勢を見せなければ、米国が一方的に守ることはありません。現状、日本政府は尖閣諸島沖への侵入を繰り返す中国船に対し、効果的な手が打てていません。 このままでは尖閣は危ういと言わざるをえません。日米の連携を強化しつつも、自らの国は自らで守る体制整備を行っていかなければなりません。 また、脱炭素を強力に進めようとする菅・バイデン両氏が、今回の会談で、「日米が世界の脱炭素をリードしていく」との考えを、改めて示しました。 両国がコロナ禍においてバラマキ・増税路線を進めながら、脱炭素社会の構築を目指すことは、「世界大恐慌」への道につながりかねないと危惧するものです。 二酸化炭素などの温室効果ガスが地球温暖化に影響を及ぼしているということは、仮説の域を超えておりません。 「脱炭素」のための環境規制などは、経済を冷え込ませ、ひいては文明を破壊しないとも限らず、断固としてやめるべきです。日本としても、菅首相が唱える「カーボンニュートラル」という政策目標を撤回すべきです。 「自由・民主・信仰」という普遍的価値観を共有できる日米の両国が強力な紐帯を築き上げ、世界に対して正しい方向性を打ち出すことは、極めて重要です。 中国の覇権主義を押しとどめるために、日本がしかるべき使命を果たし、日米が連携して世界をリードできるよう、幸福実現党は今後も活動を続けてまいります。 以上 約1800億円増えた年金予算 年金制度維持のため国民の生活は破綻? 2021.04.08 http://hrp-newsfile.jp/2021/4058/ 幸福実現党政務調査会長代理 小川佳世子 ◆過去最大の社会保障費を盛り込んだ令和3年度予算 一般会計の総額が106兆円を超える、令和3年度予算が成立しました。 これは当初予算(補正予算を含まない予算)としては過去最大の規模です。 昨年度はコロナ対策のため、補正予算を含んだ予算総額が175兆以上と過去最大に膨らみました。 今年度の予算には、すでに5兆円のコロナ対策予備費が含まれていますが、今後さらに補正予算が組まれると見込まれます。 補正予算の内容や是非については、また改めて意見を発信していきたいと考えていますが、今回は、令和3年度予算で最も大きな割合を占める社会保障関係費に注目します。 令和3年度予算の社会保障関係費は35兆8421億円。昨年度比1507億円増となり、過去最大です。 内訳を見てみると、「年金」が昨年度比1773億円増の12.7兆円。「介護」が824億円増の3.5兆円。少子化対策や雇用保険、生活保護等が含まれる「福祉」の項目が784億円増の7.6兆円となっています。 「医療」は、コロナ感染を恐れた人々が病院に行かなくなる「受診控え」が起き、医療費が減ると見込まれた結果、1875億円減の12.1兆円となりました。 ◆「ステルス値上げ」される保険料 社会保障に多額の税金がつぎ込まれれば、将来の増税につながってしまいます。 政府は「少子高齢化による自然増加分に納めました」として、必要な社会保障を行いつつも国民負担を増やさないようにすることをアピールしています。 しかし、社会保障は35.8兆円の一般会計予算だけで賄われているわけではありません。 年金、医療、介護については、各自の収入に合わせて「社会保険料」が徴収されています。 さらに、医療や介護には各地方自治体の公費(地方税など)も使われています。 年金の負担について見てみると、サラリーマンや公務員などが加入する「厚生年金保険」の場合、給与に応じて決まる「標準報酬月額」に18.3%を掛けた額を毎月払います。 半分は会社など雇用主が払ってくれますが、たいていの人は給与の1割弱を天引きされることになるわけで、かなりの負担です。 この保険料率は2004年は13.93%でしたが年々上昇し、2017年には18.3%まで上がりました。 今のところ18.3%で固定し、足りない分は国家予算(税金)で補うルールになっているのですが、少子高齢化によって保険料を負担する人は減り、年金関連の予算は増える一方です。 そこで、目立たないような形で負担を増やしています。 昨年9月には、年収約800万円台以上の人の厚生年金保険料負担が増えました。 さらに昨年成立した「年金改革法」によって、パート・アルバイトなどの短時間労働者が、より多く厚生年金加入の対象になることが決まりました。 現在、短時間労働者は従業員501人以上の企業に勤めている場合のみ厚生年金加入の対象となっていますが、2022年10月から従業員101以上の企業、2024年10月からは従業員が51人以上の企業に勤めている短時間労働者も厚生年金の対象となります。 「将来もらえる年金が増える」とアピールしていますが、これは小さな企業にとっては非常に大きな負担増になります。短時間労働者にとっても目先の手取りが減ることになります。 要は、保険料が足りないので「ステルス値上げ」をしているのです。 このように年金制度を維持するという名目で負担を増やしていけば、現役世代の生活が破綻してしまうでしょう。 ◆支給される年金は減っていく このように、国税や地方税や社会保険料等などのかたちで負担は増える一方、もらえる年金は減っていきます。 小泉内閣のもとで行われた2004年の年金改革では、約20年間で2割程度、支給される年金をカットする方針が決まりました。 ただ、これは高齢の有権者の反発を恐れて、さまざまなカットの条件を付けた結果、当初の想定通りに進んではいません。 そこで、昨年成立した「年金改革法」では、年金受け取り開始の年齢を少しでも遅らせるようにしました。 2022年4月から、受け取り開始年齢を遅らせると年金月額が増えるようにして、受け取り開始の年齢を60歳から75歳の範囲で選べるようにしたのです(現在は60歳~70歳の範囲)。 75歳から受け取る場合の年金月額は、65歳から受け取り始める人と比べて最大84%増えることになります。 例えば毎月15万円の年金をもらえる人が、75歳から受け取り始めた場合、毎月27万6千円の年金を受け取れます。 ただし、87歳まで生きなければ、受け取る年金の総額は65歳から受け取り開始した場合と比べて減ります。 日本人の平均寿命は84.21歳なので、受け取り開始年齢を遅らせることで年金支給額を少しでも減らそうという意図が垣間見える施策といえます。 ◆大増税の前に方向転換を こうしてみると、負担は増える一方、もらえる年金額は徐々に減らされていく未来がやってくることは明らかでしょう。 「年金制度」を維持するために、増税や年金保険料のアップが繰り返されれば、生活破綻がやってきます。「国民滅びて年金制度あり」となれば、何のための社会保障なのか分かりません。 社会保障の財源は、誰かが負担しているということを忘れてはならないのです。 こうした未来を避けるためには、自助と共助が基本です。すなわち、75歳前後まで元気に働ける社会を目指しつつ、働けなくなった場合は家族で助け合うという社会保障の原点に返ることです。 もちろん、万が一の場合のセーフティネットとして、最低限の公的社会保障は整備する必要があると考えます。 そうでなければ、老後に最低限度の生活を送るために、現役世代から重税や社会保障負担に苦しむ社会になるしかありません。 どちらの社会もあり得ますが、既成政党は、年金維持のため、若い時から大増税に苦しむ社会という選択肢しか示していません。 働いて得た収入はなるべく個人が自由に使えるようにし、人生の最後まで生きがいを持って働き、家族の絆を大事にする社会を目指しているのは、幸福実現党ただ一つなのです。 ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 成長戦略インサイト(8)勤勉性を失わせる財政は正されるべき 2021.04.04 成長戦略インサイト(8)勤勉性を失わせる財政は正されるべき 幸福実現党成長戦略部会長 西邑拓真 ――先月26日、令和3年度予算案が成立しました 新年度の国の一般会計総額は、前年の当初予算に比べて3.8%増となる106兆6,097億円に達し、9年連続で過去最大を更新する形となりました。 歳出がここまで積み上がったのは、年金や医療に対する歳出額が高齢化の進展で自然増となったほか、デジタル庁の発足に向けた予算や、新型コロナウィルス対策に向けた予備費が計上されたことによります。 政府の予算は、今回成立した「当初予算」だけに留まりません。「雇用調整助成金」の受給期間が6月末に切れるなど、政府による一連の措置の期限切れを迎えます。 追加の「経済対策」を実施するにあたって、今後、補正予算の編成に向けた議論が本格化すると見られますが、秋までに実施される次期衆院選を見越して、「大盤振る舞い」となる可能性は高いでしょう。 米国ではバイデン政権が、「8年間で2兆ドル(約220兆円)」のインフラ投資を実施するとの計画を示すと同時に、すでに、連邦法人税率を21%から28%に引き上げるとの考えを明らかにしています。 「播いた種は必ず刈り取らなければならない」のは、財政においても同じであると言えます。お金が成長に資する部分に効果的に使われなければ、納税者はいずれ、さらなる大増税に見舞われることになります。 バラマキ・増税は、国から「勤勉の精神」を失わせ、国民に貧困と苦しみを与えることになりかねません。 バラマキを受ける側は「頑張らなくても食べていけるのなら、働かなくても良い」という心理につながり、また、バラマキの原資を獲得するとして高所得者や企業を狙い撃ちに増税を実施するなどすれば、納税する側は、「収益を上げるために知恵を絞って勤勉に働こう」というモチベーションを低下させることになるでしょう。 国として、コロナに対して、適切なバランス感覚を持って必要な対策は実施しつつも、財政のあり方を「国の援助ありき」という考え方から、「自助努力」を促す方向に転換すべきだと思います。 ――さて、今、香港や新疆ウイグル自治区などで激しい人権弾圧を繰り広げている中国に対し、国際世論が厳しい目を向けている 香港において、一連の政治統制が繰り広げられているほか、ウイグルでは拷問や強制労働のほか、ウイグル人女性に対して、組織的な性被害や不妊手術の強制などが行われており、中国による人権弾圧は苛烈さを増しています。 先月30日、米国務省は、人権に関する年次報告書の中で、中国によるウイグル人の弾圧を国際法上の犯罪となる「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と「人道に対する罪」と非難しています。 また、米国のほか、これまで中国と良好な関係を築いてきたEUも、ウイグルでの人権侵害を理由に、中国共産党幹部を対象とする経済制裁を発動しています。 翻って日本政府は、加藤勝信官房長官が「深刻な懸念」を表明するに留まっています。そもそも日本は、人権侵害を理由に経済制裁を課す法律が、G7で唯一整備されていないというのが現状です。 こうした中で、超党派で法整備を進めようとの動きがあるのも事実ですが、中国への配慮もあってか、政権与党である公明党は法整備に慎重な考えを示しています。 日本の政治は戦後、国際社会における「正義」とは何かを顧みることなく政治を行ってきたと言えます。 かつて中国で起きた天安門事件では、日本は、国際的に孤立していた中国政府を擁護する姿勢をとりました。このことが、その後の「中国の巨大な勃興」を許してしまったのは否めません。 人間にとって尊い「人権」を踏みにじる国家による覇権拡大は、決して許されるべきではありません。日本は国際的な正義に照らして、人権弾圧を断固として許さないとの姿勢を明確に示すべきです。 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