Home/ 経済 経済 ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の活用の問題点【1】 2021.09.15 HRPニュースファイル読者の皆様へ おはようございます。 本日より3回に分けて、「幸福実現党政務調査会ニューズレター No.25」をお送り致します。 ■ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の活用の問題点【1】 https://info.hr-party.jp/2021/12014/ 政府は、新型コロナウィルスのワクチン接種証明書の活用に向けて、9月9日に方針を示しました。 活用には、飲食店やイベント等での証明書の提示を事例として挙げており、今後、非接種者への人権侵害が助長されかねません。 また、政府が感染症対策の名目の下、自由を制限し、国民を監視していくことは全体主義への道です。政府も、ワクチンの効果の限界を認めており、ワクチン接種証明書の活用が感染対策と経済再開の両立となるかは疑問が大きいです。 こうした不確実な制度で、国民の自由を大きく抑圧してはなりません。 幸福実現党政務調査会としては、このようなワクチン接種証明書の活用には、断固反対であり、即時見直しを政府に強く求めます。 1. ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)とは、政府の経済再開の切り札 ワクチン接種証明書は、ワクチンを接種したことを示す証明書になります。 これによって、政府は、経済再開の起爆剤となることを期待しています。緊急事態宣言等によって、経済を止めたことによって、不況が深刻化しています。ワクチン接種によって、自由な行動を許可すれば、経済を再開できるとバラ色の未来を描いているわけです。 2. 問題点(1) ワクチン接種証明書の感染症対策の効果は疑わしい ◆ワクチン接種しても、感染は防げない(ブレークスルー感染) しかし、そもそもワクチン接種証明書は、感染症対策として機能するか疑問が残ります。 ワクチン接種を二回しても、感染することはあります。これをブレークスルー感染と呼びます。 ◆デルタ株は、ブレークスルー感染を増やしている 日本におけるコロナの陽性者のうち、インド発祥のデルタ株が8月末時点で、9割以上となっておりますが(※1)、イスラエルの報告では、デルタ株によって、ワクチンの有効性(感染予防)が9割近くから、63%まで減少したと言われています(※2)。つまり、デルタ株には、ワクチンが効きづらいことを示唆しています。 ◆ワクチン接種をしても人に感染させることがある もちろん、ワクチン接種をすれば、重症化を防ぐとよく言われます。しかし、たとえ重症化せず、無症状感染であったとしても、人に感染させるリスクは残り続けます。 特に、ワクチン接種者も、鼻の中まで免疫を維持し続けるのは難しいと指摘されています(※3)。ある実験では、ワクチン接種者もそうでない人と同じように、デルタ株を増殖させ、人に感染させる能力があると報告されています(※4)。つまり、無症状の接種者が飛沫感染を引き起こす可能性が示されたわけです。 実際、アメリカでも、ワクチン接種者が、自主的な感染対策をほとんど講じなかったことが原因で、ワクチン接種をした人がデルタ株を拡大させていると報じられています(※5)。つまり、ワクチン接種証明書によって、お上からの「免罪符」を国民に贈れば、かえって感染拡大も起こりかねません。 ◆ワクチンの有効期間は短いという説もある ちなみに、厚生労働省は、先述のイスラエルのブレークスルー感染の理由として、ワクチン接種から長い時間(半年)が経過していることを挙げ、イスラエルが3回目の接種を進めていることを紹介しています(※6)。つまり、ワクチン接種証明書が発行されたとしても、本当に体内の中で、免疫が残っているのかが不明なわけです。 なお、ワクチン接種を2回ではなく、効果が切れる度に接種すればいいという考えもあります。しかし、その場合、ワクチンの効果が切れたら、その度にワクチンを接種しないといけなくなります。それは半永久的にワクチン接種を続けることを意味するかもしれません。 ◆ワクチンが効かない変異株が生じうる また、これからワクチンが効かない変異株が生じる可能性もあります。WHOによれば、注目すべき変異株(VOI)として、インド発のカッパ株(※7)やコロンビア発のミュー株(※8)などを挙げており、これらはワクチンの効果を弱める可能性が指摘されています。 加えて、東京五輪のせいか、日本でもデルタ株のさらなる変異株も発見されています(※9)。つまり、日本型変異が発生したのではないかということが示唆されたわけです。こうした新たな変異がワクチンの有効性を更に下げることもあり得ます。 ちなみに、こうした変異株の発生を防ぐためにも感染の数を減らすべく、ワクチン接種を進めるべきだという意見があります。これには一定の合理性はあるでしょうが、ワクチン接種を希望しない人に、事実上接種を強制するワクチン接種証明書を導入することなど断じてあってはありません。 なお、コロナが生物兵器である可能性を幸福実現党は指摘していますが(※10)、その場合、新たな変異株に偽装した生物兵器による攻撃も想定されます。つまり、変異株の発生を防ぐという戦略は水泡に帰すということです。 (※1)厚生労働省(2021.9.1)「第50 回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 国立感染症研究所 感染症疫学センター サ ーベイランスグループ作成資料(資料3-2 鈴木先生提出資料)」 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000826599.pdf (※2)Israel Ministry of Health (2021, June 7) Explanation About the Effectiveness of the Vaccine for Coronavirus in Israel https://www.gov.il/en/departments/news/06072021-04 なお、重症や入院を防ぐ有効性は93%としている。 (※3)日本経済新聞(2021.9.8)「デルタ株、ワクチン接種しても鼻腔で増殖 米で確認」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD252Q60V20C21A8000000/ (※4)medRxiv (2021. Aug, 11) Shedding of Infectious SARS-CoV-2 Despite Vaccination when the Delta Variant is Prevalent –Wisconsin, July 2021 https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.07.31.21261387v3 査読前の論文であるため、注意が必要である。 (※5)Business Insider Japan (2021.7.12)「米専門家、ワクチン接種済みの人がデルタ株の拡大を助けていることは『疑いようがない』」 https://www.businessinsider.jp/post-238324 (※6)厚生労働省(2021.8.27)「「ワクチン接種後のブレークスルー感染」 なぜワクチンと感染予防対策の両方が必要なのか(森内浩幸 著)」 https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/column/0006.html (※7)厚生労働省(2021.9.1)「第50 回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料4 新型コロナウイルス感染症(変異 株)への対応等 (新型コロナウイルス感染症対策推進本部)」 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000826604.pdf (※8)WHO (2021. Aug, 31) Weekly epidemiological update… デジタル庁に迫る中国軍の魔の手――私たちの個人情報が危ない? 【前編】 2021.09.11 https://youtu.be/HXDY7fceXRg 幸福実現党党首 釈量子 ◆デジタル庁の3つのコンセプト 9月1日、菅政権の肝いりの「デジタル庁」が発足しました。 発足式では、菅総理から「我が国全体を作り変えるくらいの気持ちで、知恵を絞っていただきたい」という激励の言葉もありました。 デジタル庁のコンセプトは、「情報の集中」と「一元管理」です。そのために、あらゆるデータのデジタル化を試みています。 平井デジタル大臣は、デジタル庁の3つの柱として、(1)『行政のデジタル化』、(2)『産業社会全体にわたるデジタル化』、(3)『誰もが恩恵を享受できるデジタル化』を掲げています。 (1)「行政のデジタル化」とは、マイナンバーを基盤として、スマホであらゆる手続きをオンラインでできるようにすることです。 そのために、地方自治体との情報管理システムの壁を取っ払って、政府の情報の一元管理を進めます。 (2)「産業社会全体にわたるデジタル化」では、具体例として、医療・教育・防災を挙げています。 つまり、「今まで眠っていたアナログのデータ、例えば、紙に書かれた医療情報をデジタル化して、今流行りのAIを使ったら、便利で儲けられる」という話です。 (3)「誰もが恩恵を享受できるデジタル化」は、デジタル庁が音頭を取って、データを使いやすいように標準化を進めることです。 ◆中国軍に狙われるデジタルデータ このように、デジタル庁は、便利さを追求するために、データの標準化・デジタル化を進めるわけですが、これは諸刃の剣です。 使い勝手のいい、便利なデータが、集中するということは、それだけ情報流出したときの被害が大きくなるということです。 しかし、日本のデジタル情報の防衛力はお世辞にも高いとは言えません。 イギリスのシンクタンクIISS(国際戦略研究所)は今年6月、日本のサイバー能力を3段階のうちで最低のグループにあると評価しており、これは中国やロシア、イギリス、フランスよりも低い評価です。 もちろん、デジタル庁もサイバー・セキュリティに取り組むとしていますが、日本は既にかなりの劣勢です。 特に、中国のサイバー攻撃部隊は精強で、17万5,000人規模とされ、このうち、サイバー攻撃部隊は3万人とも指摘されます。数だけで言えば、おそらく世界一でしょう。 アメリカのサイバー任務部隊は、6200人規模。我が国は、今年新設予定の自衛隊サイバー防衛隊で、160人です。 また、日経新聞の報道によれば、2020年度末の段階で、陸海空を合わせたサイバー関連の人材は660人で、2023年度までに1000人越えを目指すということですが、中国の3万人と数だけ比較すれば、非常に厳しい現状です。 2018年には、アメリカ海軍の契約業者が中国政府のハッカーによって、潜水艦搭載の超音速対艦ミサイルに関する極秘情報が流出しました。 加えて、尖閣を狙う、海上民兵のように「サイバー民兵」の存在も指摘されています。 例えば、平成28年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)など国内約200の企業や研究機関を狙ったサイバー攻撃に関与した疑いが強まったとして今年4月に中国共産党員の30代の男を書類送検されました。 サイバー民兵の狙うものとして、個人情報も挙げられます。2015年に日本年金機構へサイバー攻撃が行われ、氏名や住所を含む個人情報が125万件、流出しました。 (後編につづく) ワクチンパスポートは全体主義への道 それより治療の選択肢を増やすべき【後編】 2021.08.28 ワクチンパスポートは全体主義への道 それより治療の選択肢を増やすべき【後編】 幸福実現党政調会長代理 小川佳世子 ◆医師と患者の治療の選択肢を増やす 前編では、ワクチンパスポートの危険性についてお伝えしました。 現在の政府のコロナ対策は、健康な人にワクチン接種を進めることのみで、コロナにかかった場合は軽症なら自宅で回復を待つしかありません。 都市部では命の危険が迫った重篤な状況に陥っても、すぐに入院ができない状況です。 しかし、「副作用が大きすぎるロックダウン 医療体制を通常モードにして患者を救うべき【後編】」でも述べたように、「早期に発見して早期に手を打てば、重症化は防げる」「コロナを5類相当の対応にして、保健所を通さずに診察、治療できるようにすべきだ」と訴える医師もいます。 ただ、その前提としては、医師たちにコロナと戦う武器を提供する必要があります。 つまり、医師と患者に「治療の選択肢」を増やすことが重要なのです。 ◆抗体カクテル治療薬を外来で まず、先月特例承認され、重症化を防ぐ効果があるという「抗体カクテル療法」ですが、これは24時間の経過観察が必要とされ、入院しなければ使えません。 しかし、東京などでは入院自体が困難なわけですから、大勢の人の治療の選択肢とはなりえません。 重症化を防ぐ効果があるのに、軽症の段階では投与できないというのは矛盾しています。 ここにきてようやく政府と東京都は、改正感染症法に基づいて、都内すべての医療機関にコロナの病床確保や人材派遣を要請しましたが、増え続ける患者数に対応するには限界があります。 600人を超えるコロナ患者を診察してきた、日本赤十字社医療センターの出雲雄大医師は、テレビ朝日の取材に対し、以下の提言をしています。 (1)『抗体カクテル治療薬』を外来で皮下注射する。 (2)ステロイドなどの抗炎症薬を在宅患者にも処方する。 いずれも入院しなくても外来で対応でき、重症化を防ぐための策です。 医療行為としてのリスクはゼロではないとのことですが、何もしないことで生じるリスクよりは理解が得られるはずです。このように、実際に患者を診察している現場の医師の提言や知恵を生かすべきではないでしょうか。 なお、厚生労働省は8月25日、投与後の健康観察や容体悪化に対応できる、入院設備が整った医療機関などに限定して、外来でも「抗体カクテル治療薬」の投与を認める方針を明らかにしました。 大きな一歩で歓迎したいですが、そうした医療機関は数が限られているため、軽症者の治療の選択肢としては十分とは言えません。 ◆イベルメクチンはなぜ治療の選択肢にならないのか もう一つ、外来で処方できる飲み薬の選択肢としてイベルメクチンがあります。 ダニによる皮膚病である疥癬、寄生虫病の治療薬として、ノーベル賞受賞者の大村智氏がアメリカの製薬会社、メルク社と開発しました。 日本では現在、北里大学を中心に臨床試験中であり、正式な治療薬(適応薬)としては認められていませんが、昨年5月の段階で、厚生労働省は「医師と患者の合意のもと、イベルメクチンをコロナ治療に使ってもよい」として保険適用の対象になっています。 イベルメクチンはアメリカやインド、アフリカ等で「重症予防効果がある」という臨床論文が出ていますが、一方で、効果はないとする論文も発表されており、使用についての賛否が分かれています。 ただ、世界で5億人以上の使用実績があり、重篤な副作用はほとんど報告されていないため、「少しでも効果があるなら使いたい」という医師や患者の声もあります。しかし、現在のところ日本では積極的に使われていません。なぜでしょうか。 東京都医師会の尾崎治夫会長は、読売新聞のインタビューに対して、「メルク社が新型コロナの治療・予防には効かないという見解で、供給を制限している」と語っています。 また、臨床試験を得て正式な治療薬として認められたわけではなく、現状では副作用の被害救済制度の対象外のため、医師が使いづらいと指摘しています。 これについては現在、立憲民主党の中島克仁議員が中心となり、特例として副作用の救済措置の対象とする法案を提出していますが、議論の俎上に乗っていません。 副作用リスクに対応できる法律ができれば、処方する医師も増え、インドや中国で作られているジェネリック薬品の輸入や、国内での製造も進むと見られます。 現時点では「特効薬」ではありませんが、少しでも治療の選択肢を広げ、自由の幅を広げることは政治の仕事と言えます。 ◆健康生活と信仰心で免疫力を高める とはいえ、コロナに対する万能の治療法はありません。コロナに打ち克つ最終兵器は、各人の免疫力です。 食事や睡眠、適度な運動など、普段から健康生活を心がけることが大事です。 東京大学名誉教授の小柳津広志氏は、酪酸菌を増やすことで、重症者に生じているというサイトカインストームを抑制できると言います。 玉ねぎやゴボウ、ヤーコンなどには、酪酸菌のエサとなるフラクトオリゴ糖が多く含まれているため、こうした食材を積極的に取り入れてみることも一つです。 そして、明るい心、積極的な心を持ち、日々を生きることです。そして、神仏を信じ、自らが生かされていることに感謝する心、すなわち信仰心を持つことが、コロナに打ち克つ力になるのです。 実際、アメリカでは、宗教活動や祈りが免疫を高め、がんなどの病を癒す効果があるという研究結果も報告されています。 幸福実現党は宗教政党として、心の力、信仰の力の大切さも訴えてまいります。 ワクチンパスポートは全体主義への道 それより治療の選択肢を増やすべき【前編】 2021.08.27 http://hrp-newsfile.jp/2021/4124/ 幸福実現党政調会長代理 小川佳世子 ◆ワクチンパスポート導入の議論 新型コロナの感染拡大が続くなか、ワクチンパスポート導入の議論がされています。 現在は、海外渡航者のために発行されていますが、ワクチンを接種した人に証明書を発行し、所持者が公共や民間の施設を活用できるようにするものです。 8月25日の記者会見で、菅義偉首相は「ワクチン接種証明書の積極的な活用の方法を含め、飲食店の利用、旅行、イベントなど日常生活や社会経済活動の回復もしっかり検討する」と述べ、ワクチンパスポート導入に意欲を示しました。 政府分科会の尾身茂会長も「ワクチン接種や検査の陰性を証明できた人が経済活動を再開できるようにするなど新たなルールを議論する時期が迫っている」と述べています。 フランスでは、8月9日より、飲食店や長距離移動の交通機関、病院などでのワクチンパスポートの提示が義務付けられ、不携帯の場合は罰金も科されます。しかし、反対する人も多く、5週連続でデモが起きています。 厚生労働省HPには「予防接種を受ける方には、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、自らの意志で接種を受けていただいています」「接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないようお願いいたします」とあります。 ワクチンパスポート導入検討は、この方針と矛盾し、事実上の接種強要に繋がりかねません。 ◆ワクチンでは感染は完全に防げない ワクチンには感染や重症化予防というメリットもありますが、副反応のリスクもあります。 幸福実現党は、各自がメリットとリスクを検証した上で、接種は自由選択に任せるべきだと考えます。 ゆえに、事実上の接種義務化につながるワクチンパスポートには反対です。接種を希望する人の自由も、接種を希望しない人たちの自由も守られるべきだと考えるからです。 先日、コロナで亡くなられた俳優の千葉真一さんが「ワクチンを打っていなかった」と報じられましたが、摂取についての個人情報が当たり前のように報じられることに違和感を覚えました。こうした報道が自由の侵害につながらないか注視が必要です。 感染抑止という「公共の福祉」の観点から、ワクチン接種を進めるべきだとの声もあります。 しかし、ワクチンを打っても、完全に感染から守られるわけでもなく、他人に感染させなくなるわけでもないため、義務化の正当性は低いといえます。 大阪府からは、3月以降に確認された新規感染者計約8万5千人のうち、2回のワクチン接種をして発症した人は0・4%で、重症者や死亡者はいないとのデータが公表されました。 三重県は2回接種後に感染したのは5・2%で、重症者と死者はいないとしています。 このように一定レベルの有効性はあるといえますが、感染は100%防ぐことはできません。 イスラエルはワクチン接種を進めることで一度は感染者を大幅に減らしましたが、再び感染拡大に苦しんでいます。 アメリカやイギリスなどでも、接種者が増えても広がっています。そもそもワクチンの効果が何か月続くかは明らかではなく、特に新たな変異株が出てきたときには、効果が低下すると言われます。 すでに日本でも、2回目接種を終えた人の感染や死亡も報告されています。 厚労省のHPにも、ワクチンを2回接種しても感染を完全に予防できる訳ではなく、ワクチン接種にかかわらず、適切な感染防止策を行う必要があると書かれています。 重症化を防ぐことができるというだけなら、そのことにメリットを感じる人だけが接種すればいいのであり、「公共の福祉」を旗印に事実上の強制をすることは許されません。 ◆長期的な治験が終わっていない もう一つは、今回のワクチンはわずか数か月の治験(臨床試験)だけで特例承認されたものであり、長期的かつ十分な治験が終わっていないということです。 長期的な副反応については不明で、現在進行形で情報収集が行われています。 国民はそのことについて十分知らされておらず、承諾のない治験に参加させられていると言っても過言ではありません。 短期的な副反応だけを見ても、ワクチン接種が始まって約半年の間に5100万人以上が接種した段階で、死亡報告や重篤な副反応が少なからず報告されています 厚生労働省のワクチン分科会副反応検討部会によれば、8月25日時点の発表で、死亡報告数は1088人、8月8日時点の重篤な副反応報告は3098人(死亡報告除く)です。 いずれも因果関係は「評価できない」とされていますが、かといって無関係とも言えない副反応がこれだけ生じています。 なお、令和元年シーズンに、5600万回接種されたという季節性インフルエンザワクチンの死亡報告数は5人です。これと比べてもやはり多いといえます。 このように考えると、ワクチンパスポートの推進は、健康リスクのある治験への参加を国民に強要することになりかねないと言えます。 ◆自由は何よりも大事な価値 一方、経済界は、ワクチンパスポートを経済回復のために使いたいと考えているようです。 経団連は6月24日付で「ワクチンパスポートの早期活用を求める」という提言を公表しました。ワクチン接種を条件に、経済活動を再開していこうというのです。 しかし、このような「条件付き自由」は、長期的にはかえって経済活動の自由を失わせることになります。 例えば、ワクチンを接種したのに再び感染が拡大しているイスラエルなどを中心に、ブースター接種が進んでいます。これは、ワクチンの効果をブースト(強化)するという、三回目のワクチン接種のことです。 「ワクチンパスポートがあれば、飲食店やコンサート会場に入れる」という条件を付けて経済活動を再開すれば、ワクチンの効果が落ちてきたらその自由は奪われ、ブースター接種の義務化など、また新たな条件が付けられることになりかねないのです。 それよりも、コロナに感染した人に対する治療の選択肢を広げることが急務です。 (後編へつづく) 国債大増発で大丈夫?地方財政も崩壊寸前――自治体がサバイバルするために必要な発想とは【後編】 2021.08.26 https://youtu.be/e_IA1Z5Zygo 幸福実現党党首 釈量子 ◆PPP先進国・アメリカから学ぶべきこと それに比べて、格段に進んでいるのがやはりアメリカです。 特筆すべきポイントが「シティマネージャー制度」で、自治体の財政運営全般を「経営」として捉え、市長が、その道の「プロ」であるシティマネージャーに、自治体経営の一部を委託するという仕組みです。 自治体の7割近くで導入されており、アメリカは大学でシティマネージャーを育成する教育がなされているようです。ちなみに、日本ではまだシティマネージャーのような存在はありません。 この背景には、アメリカでは憲法で、自治体に対する「バランス・バジェット」、予算均衡が法制化されていることも大きいでしょう。 例えば、自治体に返済手法がなければ起債できないなど、厳しい規律が求められています。 実際にフロリダ州では、州の法律で「バランス・バジェット」を監視して、州政府の商務省自体を民営化させるところまで行った事例もあります。 更に、踏み込んだのが、ジョージア州アトランタ郊外にあるサンディスプリングス市です。ここでは、市の全ての公共サービスが民間に委託されています。 もちろん世界で初めてのケースで、市の職員は僅か4名、シティマネージャーに自治体経営の全般を任せ、市長の報酬もわずか2万ドル(220万円程度)、議員6名も含めて、みな兼業です。 2005年末からPPP手法が取られていますが、伝統的な運営手法に比べて、民間型の厳しい経営努力が実を結び、あらゆる分野で支出を削減し、自治体としていわば黒字経営を実現している稀有な事例といえます。 ◆地域の「強み」を最大限活かして、稼げる経営体になる もう一つ、自治体に求められるのが「マーケティング」発想、いわば地域が持つ「お宝」や「強み」を最大限活かして稼げる自治体、富を還流させる地場産業を作るということです。 私も全国各地の支持者に会う中で、日本でも官民力を合わせて努力している自治体に実際足を運んで、お話を伺ってきました。 例えば、「長野県阿智村」は、「星を売ろう」ということで、冬以外は動かないスキーのゴンドラに客を乗せて、標高1400m地点で星空が楽しめるという「天空の楽園ナイトツアー」を2012年にスタートしました。 2006年に環境省「全国星空継続観察」で、阿智村の夜空が「星の観測に適している」に選ばれたことで「星が最も輝いて見得る場所」をうたい文句に売り出しました。 村長に話を伺ったら、役場に星の観察が好きな人がいて、申請したところ通ったという話でした。夜は真っ暗だという田舎は山ほどありますが、その真っ暗な山を楽しめるよう取り組んでいます。 ◆スペイン北部の田舎町バスクが国内最高所得を実現 世界に目を向ければ、富裕層が集積する大都市圏よりも、平均所得が高いリッチな「田舎町」というのも少なからず存在しています。 例えば、日本では「バスクチーズケーキ(バスチー)」が人気ですが、スペイン北部にあるバスク州は、首都があるマドリッド州とほぼ並んで、一人当たりの所得が最も高くなっています。 バスクは、激しい独立運動が激しかった80年代、州都ビルバオは不況と高い失業率、大洪水被害などで、錆れた地方都市に成り下がっていました。 このままではまずいと危機感を持った行政や企業、大学等が連携し、「ビルバオ大都市圏再生プラン」が作成されました。 本格的なPPP(官民連携)をベースに、飛躍的な発展を遂げ、今やスペイン随一の「クリエイティブ・シティ」として君臨しています。 またビルバオと共に、バスクの双璧をなす港町サン・セバスチャンは、18万人という人口ながら、なんとミシュランの星が16個と、人口あたりの星密度が世界一を誇り、魅力的なピンチョスやバルなどでも満たされた「美食の街」として、世界中の食通たちに愛される地域の「強み」も併せ持っています。 まさに地方自治体としての「イノベーション」と「マーケティング」が両立した格好の模範事例と言えるでしょう。 ◆地方自治体に必要なマネジメント思考 国も地方も「小さな役所」を目指すことが時代のトレンドにならねばなりません。 そのためには、法律や条例をリストラし、「補助金を配るために増税する」というバカバカしい仕組み自体に、メスを入れていくことです。 国も際限のないバラマキなど許されませんし、地方も「国から予算を引いてくる」のが仕事かのような地方議員のあり方は時代遅れになっていかねばなりません。 また、国と地方が経営マインドを発揮するのを阻害する日本国憲法86条に規定された「予算単年度主義」の見直しも必要です。 江戸時代に全国700もの錆れた農村を復興させた二宮尊徳は、身を粉何して働き、日本型資本主義を打ち立てた方です。 コロナ禍であらゆるものが崩れていく中、危機感を持った卓越した経営感覚を持つ英雄たちが現れてくると信じたいところです。 税金を使わずに智慧を使って、いかに富を生むかという発想こそが大事です。 ここにコロナ禍の中、日本の可能性が最大限に花開く、自助努力からの繁栄を目指して参りたいと思います。 国債大増発で大丈夫?地方財政も崩壊寸前――自治体がサバイバルするために必要な発想とは【前編】 2021.08.25 https://youtu.be/e_IA1Z5Zygo 幸福実現党党首 釈量子 ◆国も地方もコロナ禍で露呈する財政の脆弱さ 東京オリンピックが無観客となったことで900億円のチケット代などが吹っ飛び、どこが負担するのか問題になったりしています。 また、コロナ感染拡大を食い止めるべく、世界第2の規模となる膨大な財政出動を行っているため、21年3月時点で前年比100兆円を超える財政赤字が増加しています。 トータルで国の借金(政府の債務)は1200兆円を超え、世界ダントツです。 地方自治体の懐事情も深刻で、東京新聞の調査によると、47都道府県のいわば「貯金」にあたる財政調整基金残高が1年間で、約7,141億円以上が取り崩されたということです。 総額1兆9642億円の約36%にあたり、わずか1年で3分の2以下に減ってしまっています。 世界最大規模の債務残高を抱える日本は、国と地方自治体の舵取りを本格的にイノベーションしなければ間違いなく潰れます。 そこで今回は、「イノベーション」と「マーケティング」の視点から日本の国と地方の未来に必要なことをお伝えしていきます。 ◆PPPとPFI――質の高い公共サービス提供に民間の力 一つ目がPPP(プライベート・パブリック・パートナーシップ)と言われる、いわば「官民連携」で公共サービスの提供を行う仕組みの総称です。 例えば、民間企業へ公有地を貸出し、自治体の運営全般を包括的に委託することなどが挙げられます。 ある自治体が財政赤字になったので、河川敷のテニスコートの管理を民間に委託して、あっという間に黒字化したというケースはよく聞きます。 このPPPの手法の一つで、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)というのが、日本で主に活用されています。 言葉としては「民間の資金等を活用する」ことですが、これは元々、イギリス・サッチャー政権における「小さな政府」への取組みから誕生した考え方です。 例えば、庁舎や公営住宅、学校などの建設や公園を整備しようとしたときに、これまでは、自治体が、設計・建設や運営の方法を決めてバラバラに発注していました。 それだと資金面を中心に大きな非効率が発生してしまいます。 それをPFIでは、設計から建設・運営まで、民間の資金とノウハウを最大限活用することで、効率的な公共サービスの実現を図っていくという考え方です。 そして、その効果は、「支払に対して最も価値の高いサービスを供給する」という考え方によって、どれだけ公的負担が少なくなるかで測られます。これがVFM(バリュー・フォー・マネー)というPFIの基本原則です。 ◆日本で増えつつあるPFIの事例と課題 1999年に「PFI法」=「民間資金等の活用による公共施設等の設備等の促進に関する法律」が制定されており、約20年で累計事業数は740件、契約金額は約6兆2,361億円に達しています。(2018年末時点) 身近なケースでは、2015年に完成した49階建ての「としまエコミューゼタウン」です。 豊島区役所をはじめ、商業施設、集合住宅の入った複合施設で、区としては新たな財政負担ゼロで建て替えを実現しています。 また、渋谷区の新庁舎も、三井不動産を中心に、PFI型で建てられています。 敷地の一部に定期借地権を設定し、マンションやオフィス用地として貸し出し、その権利金を新庁舎建設に充てることで、実質、財政負担ゼロでの建て替えを実現しています。 全国各地でも、PFI方式で給食センターやごみ焼却施設の整備運営や、道の駅などでの活用事例があります。 中でも岩手県紫波町の「オガールプラザ」などは、本格的なPPP事例として全国で注目されてきました。 元々、冬場は「日本一高い雪置き場」と揶揄されるような、不毛な駅前の土地でした。 そこをPPPによって、複合商業施設「オガール」として、町役場の新庁舎のみならず、図書館の新設をはじめ、体育館、ホテル、市場(マルシェ)、飲食店、クリニック、保育園などを集積しました。年間100万人近くが訪れ、新しい雇用も多数生み出しています。 紫波町のPPPの優れた点は、国の補助金などには極力依存せず、大企業の力にも頼らず、地元の金融機関や民間企業を中心に、事業を組み立てているところです。 このプロジェクトを牽引したリーダーシップも注目されます。 町長も町職員の理解を促し、更に100回を超える公聴会を通して、町民や議会の理解を得ながら、町全体の共感を少しずつ固めるという地道な努力を重ねています。 民間の方も、地元出身の方を中心に、第一線で活躍している人たちをブレーンに迎えた「デザイン会議」のレベルが非常に高いものでした。 紫波町には幸福実現党の高橋敬子議員がいるのですが、オガールでは小規模なイベントがこまめに打たれ、何か新しいものをやろうという気運があります、と言っていました。 多くの自治体が紫波町を視察し、実際にPPP事業に参画していますが、残念ながら成功に至らない自治体も少なくありません。 (後編につづく) 副作用が大きすぎるロックダウン 医療体制を通常モードにして患者を救うべき【後編】 2021.08.20 http://hrp-newsfile.jp/2021/4120/ 幸福実現党政務調査会長代理 小川佳世子 前編では、厳しい罰則を伴う行動制限(ロックダウン)は効果が薄いうえ、「副作用」が甚大であると述べました。 とはいえ、何か手を打たなければ、多くの人の健康や生命が危険にさらされてしまいます。 現在、都市部では連日のように「コロナ病床が逼迫し、肺炎の症状があっても入院できない」「自宅療養中に亡くなった」というニュースが流れ、多くの人が不安のなかにあります。 ◆ロックダウンの前にやるべきこと 人口当たり病床数世界一を誇る日本で、なぜそのようなことが起きるのか。 その理由の一つは、コロナを「2類相当」の感染症として対応しているためです。 2類相当の対応は、感染者の2~3割以上が亡くなる危険性の高い感染症を想定しています。そのため、医療機関は非常に厳しい感染防止策を取らねばならず、特別な対応ができる一部医療機関しか患者を受け入れていません。 現在、発熱や咳などのコロナ感染が疑われる症状が出た場合、まずは電話でかかりつけ医に相談し、必要に応じてPCR検査を受けることになっています。 PCRで陽性が出たら、その後は保健所の管轄に入り、指示を待つことになります。保健所は陽性者の経過観察や中等症以上の入院調整、パルスオキシメーターの手配、場合によっては食糧の配達なども行わねばならず、パンク状態です。 感染者が増え続け、既に地域によっては「保健所から全く連絡がこない」「医師の診察も受けられない」という状況にあります。 開業医として500人以上のコロナ患者を診察してきたという、長尾和宏医師は、自身のブログ等で「PCR検査の結果を待たずに、肺炎の兆候が現れたら早めに投薬などを開始すれば、重症化は防げる」「早期発見、早期治療が大切」と訴えています。 また、血中酸素飽和度が96%未満以下だと中等症と判断されますが、数値が正常値でも胸部CTを取るとひどい肺炎の症状がみられるというケースもあるようです。こうした症例は現在のように保健所が電話で経過観察をし、数値が悪くなったら入院調整するという方法では救えないため、医師が診察して入院が必要かどうかを判断し、保健所を介さず入院の手配を行う方がよいと指摘します。 とはいえ、現在では開業医に出来ることは限られています。例えば、先月特例承認された「抗体カクテル療法」は、現時点では入院患者が対象で、自宅療養や高齢者施設、外来では使えません。 これを普通のクリニックや医療機関で使えるようにするだけでも、打ち手は増えます。 新型コロナを「2類相当」から季節性インフルエンザ並みの「5類相当」とし、検査だけでなく治療も普通のクリニックや医療機関で行えるようにすれば、コロナ患者を受け入れたいという心ある開業医が仕事をしやすい環境が整います。 他にも、軽症のうちにウィルス抑制効果が期待される薬剤の投与を進めるなど、やれることはあるはずです。 陽性が分かったら自宅に閉じ込め、軽症の段階では何も手を打たず、中等症以上になったらはじめて入院調整が行われるというのは、あまりにも無策でしょう。 家から出るな、営業をするなという施策を強化する前に、「万が一、コロナにかかっても医師の診察や治療が受けられる」という体制づくりを急ぐべきです。 ◆コロナへの恐怖を取り除く そうはいっても、マスコミ等によってコロナへの恐怖心が刷り込まれた状況では、「コロナ患者は受け入れたくない」という医師も多いでしょう。患者の側も、コロナ患者を受け入れているクリニックには行かなくなり、たちまち病院経営が危機に陥ります。医療従事者への差別も生じるかもしれません。 ゆえに、大事なのは、コロナへの恐怖を取り除いていくことです。 現在は毎日、陽性者数と重症者数が報じられ、自宅療養で苦しんだり、亡くなったりする人の話がテレビで繰り返し流されています。 それだけでなく、インフルエンザや他の感染症と比べてどのくらい感染や死亡リスクが高いのかという冷静なデータ、「こうしたら回復した」という臨床データなど、人々が冷静に考え、行動できるようなことも報じるべきです。 そして何よりも求められることが、心の力、信仰の力です。 奈良の大仏は、天変地異が続き、天然痘がはやった時に御仏への信仰を立て、国家の安寧を願って建立されました。 日本人は、国家的な困難に対しても信仰を立てて克服してきたのです。 個人においても、明るく積極的なマインドを持ち、「自分にはまだ使命がある」と考え、充実した毎日を送っている人は、コロナへの恐怖心でいっぱいの人より免疫力は高く、ウィルスを跳ね返す力は大きいといえます。 恐怖心から、国民の自由を侵害し、間違っても日本を中国のような「全体主義国家」にしてはなりません。 平静な心を取り戻し、政府も国民一人ひとりも智慧と強靭な精神力でサバイバルしていくことが求められているのです。 副作用が大きすぎるロックダウン 医療体制を通常モードにして患者を救うべき【前編】 2021.08.19 http://hrp-newsfile.jp/2021/4118/ 幸福実現党政務調査会長代理 小川佳世子 新型コロナの感染者が増え続けています。 政府は8月17日、緊急事態宣言対象地域13都府県に広げ、蔓延防止等重点措置の適用地域を13道県に増やすことを決めました。 しかしながら、東京五輪前から緊急事態宣言を出した東京や沖縄の感染者数は減少の兆しが見えず、「要請ベースの緊急事態宣言では効果が低下しつつある」という指摘がされています。 そのため、強制力を伴う外出禁止や出勤停止を想定した「ロックダウン(都市封鎖)」に向けて、法整備を進めるべきだという声が出ています。 17日の記者会見において、政府分科会の尾身茂会長は、「個人に感染リスクの高い行動を避けてもらうことを可能にするような法的な新たな仕組みの構築や現行の法制度の活用について、まずは検討だけでも早急に行ってもらいたいという意見が分科会で上がった」と述べました。 ◆緊急事態宣言でも「副作用」が甚大 どのような検討がされるか、現時点では不明ですが、海外で行われたロックダウンは、外出や営業を禁止し、違反者には罰則を科すというもの。憲法に定められた国民の自由や人権を大きく侵害することになります。 ただ、昨年以来、東京では既に4回の緊急事態宣言が出され、飲食店や小売店の営業の自由は奪われています。去年2月から今年8月初旬までの累計で、コロナの影響ですでに1860社が倒産しており、統計には現れない廃業も増えています。今後借金の返済が始まると、さらに倒産や失業が増加するでしょう。 人と人との接触も否定され、鬱に苦しむ人も多く報告されています。昨年は10年ぶりに自殺者も増え、特に子供や女性の自殺が増えました。 このように、人々の自由を奪うことの「副作用」は非常に大きいと言えます。 ◆緊急事態宣言の効果の検証が不十分 ただ、人々の行動制限によって感染拡大を十分に抑えられるなら、一時的に自由を奪うことも「公共の福祉」の観点からやむをえないと言えます。 しかし、緊急事態宣言やロックダウンによって感染が抑止できるという保証はありません。 例えば今年1月、東京に2回目の緊急事態宣言が出された時は、その直後からPCR検査の陽性者数は減少しました。しかし、新型コロナの潜伏期間や検査結果が出るまでの期間を考慮すれば、陽性者数の減少と宣言の因果関係は明確とは言えません。 また、東京の繁華街の人出は、昨年夏ごろからほぼ変化していません。むしろ今年に入ってからはさらに減っています。一方、感染者数は人出とほぼ関係なく推移しており、外出する人の数と感染者数とは無関係と言えます。 「要請」を「強制」にしても、十分な効果が出るかの検証はされていないのです。 少なくとも、大きな「副作用」を許容してもいいと言えるほどのハッキリとした効果はないと言うべきでしょう。 厳しい外出制限を1回だけ行えばコロナがなくなるならよいですが、残念ながらそれは非現実的です。感染拡大の度に繰り返されるならば、政府や知事の権限は巨大化し、日本が中国のような「監視社会」に移行する可能性も否めません。 (後編に続く) 「空飛ぶクルマ」で見える日本のイノベーションの限界 2021.07.14 http://hrp-newsfile.jp/2021/4107/ 幸福実現党 政務調査会未来産業部会 藤森智博 ◆JALが「空飛ぶクルマ」のサービスを2025年に実現 多くの人が夢見た「空飛ぶクルマ」の実現が間近に迫ってきました。 7月9日の日経新聞の朝刊では、一面に、JALが2025年度に「空飛ぶクルマ」で空港と観光地を結ぶサービスを開始すると報じました。また、2025年に開催される大阪・関西万博で、会場移動で「空飛ぶクルマ」を導入予定です。 政府も「空飛ぶクルマ」導入に向け、本格的な取り組みを始めています。2018年8月に経済産業省と国土交通省で共同して「空の移動革命に向けた官民協議会」を立ち上げ、ロードマップを策定しました。 「ものづくり大国・日本」としては、世界に先駆けて「空飛ぶクルマ」を開発し、日本の成長につなげたいところです。現政権もその実現に向け、大きく旗を振っていますが、「本当に成功するのか」という疑問がいくつかあります。 ◆失敗する理由(1):規制の多さ 「空飛ぶクルマ」が成功どころか、失敗しかねない理由として、日本独特の「規制の多さ」が挙げられます。 例えば、ビルの上では、原則として、ヘリコプターなどの航空機は離着陸ができません(航空法79条)。飛行場以外で、離着陸をする場合は、国交省の許可が必要です。都心のビル群の屋上にある、ヘリポートには、原則として離着陸は許可されず、緊急時以外は利用できないようになっています。 では、「屋上以外ではどうか」ということになりますが、離着陸はできます。しかし、国交省の許可に、平均して1~2週間かかるのが一般的なようです(※1)。これは、事前に予定されているケースを除いて、全く使えないことを意味します。ビジネスとしては、かなり厳しいでしょう。 なお、こうした規制は「グローバル・スタンダード」ではありません。 アメリカは、離着陸の場所に制限はなく、空港以外の離着陸を原則禁止している国は、日本を除くと、ドイツなどごく少数です(※2)。 これでは「空飛ぶクルマ」以前の問題です。ヘリコプターなどの旧来型の航空機に対しても、重い規制を課しているようでは、空飛ぶクルマの国際競争に勝ち抜くのは難しいのではないでしょうか。 ◆失敗する理由(2):脱炭素による中国への後追い 2つ目の問題は、脱炭素です。菅政権は、2030年度の温室効果ガスの削減目標を46%に引き上げました。 自動車に関して言えば、日本勢が得意なハイブリッド車(HV)の全廃などには、政府は踏み込んでいませんが、既にホンダは、HVを含めたガソリン車を全廃し、電気自動車(EV)などに切り替えると宣言しました。 非現実的な46%の削減目標を達成しようとしたら、EV化への動きは加速しそうです。また、それは「空飛ぶクルマ」にも当てはまるでしょう。 空飛ぶクルマの技術競争のうち、EVのような電気モータに注目すると、日本は既に劣勢のようです。今年の4月に発表された特許庁の調査(※3)によれば、電気モータ関連の特許の出願件数は、2018年段階で228件でした。この228件のうち、半分以上が中国勢の特許です。対して、日本は20件にも満たず、6倍以上の開きがあります。 もちろん、特許は質も大事ですが、ここまでの開きがあるのなら、既に状況は厳しいと言えます。こうした中で、日本が得意とするハイブリッドを封じるような政治発信や政策推進すべきではありません。 ◆失敗する理由(3):自由性がない、小粒な研究 さらなる問題は、政府の「こだわり」です。政府が言う空飛ぶクルマとは、基本的に「eVTOL」です。これは、電気で動き、垂直に離着陸するタイプのものになります。 つまり、ガソリンのみで動くタイプや、滑走路で飛ぶタイプは、政府の眼中にありません。ですから、研究予算はeVTOLありきとなり、法改正で利用を認める「空飛ぶクルマ」はeVTOLのみとなりかねないでしょう。 しかし、そうした政府のこだわりは裏目に出るかもしれません。6月28日にスロバキアで、歴史上初ともされる空飛ぶクルマの都市間飛行をクラインビジョン社が成功しました。 75kmを35分で飛びきったと報道されましたが、この空飛ぶクルマは、ガソリンエンジンで、滑走路から飛び立っていました。 現時点では、電気モータでは、電池が重く、航続距離が短いので、いち早い都市間飛行を実現するには、ガソリンエンジンも捨てるべきではないでしょう。 加えて言えば、政府の予算も小粒です。「空飛ぶクルマ」の今年度の研究費は、経産省系のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の40億円ですが、これはNEDOの主要な事業のうち、わずか3%にしか過ぎません。 小粒な研究費で、自由性も乏しければ、イノベーションが起きるわけがありません。イノベーションに必要なものは、自由と試行錯誤です。大胆な規制緩和と、自由を尊ぶ科学技術政策へ転換すべきでしょう。 (※1)経済産業省(online)「第2回 空の移動革命に向けた官民協議会 資料2-5 一般社団法人全日本航空事業連合会 ヘリコプターの運行制限と程空域における運行実態について」 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/air_mobility/pdf/002_02_05.pdf (閲覧日:2021.7.12) (※2)同上 (※3)特許庁(online)「ニーズ即応型技術動向調査「空飛ぶクルマ」(令和2年度機動的ミクロ調査)」 https://www.jpo.go.jp/resources/report/gidou-houkoku/tokkyo/document/index/needs_2020_airtransportation.pdf (閲覧日:2021.7.12) 「外国人の土地取得問題について」【1】 2021.07.13 http://hrp-newsfile.jp/2021/4105/ 幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会長 曽我周作 ◆外国資本による土地取得が進む日本 本年6月にいわゆる土地規制法案といわれる法律が可決・成立しました。正式名称は「国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案」というものです。 この法律が検討されたのは、外国人や外国法人、つまり外国資本による土地買収が問題とされたことから始まっています。 また、そもそも誰が所有している物件なのか、外国人によって土地が取得されたのかどうか分からない土地も多くあります。 所有者不明土地問題研究会(座長:増田寛也氏)が2017年12月に発表した資料(※1)によると、2016年時点の所有者不明の土地面積は約410万haと推計されています。 これは九州本島の面積約367万haよりも大きい規模になります。 また、外国資本による森林買収が問題になっている北海道では2019.年12月末現在における海外資本等による森林所有状況は、北海道庁が把握しているだけでも面積が2,946ha、所有者数が220に上ります。 しかも、何のためにその土地を利用しようとしているのかについて「不明」という場所がいくつもあります。(※2) また林野庁の発表によれば、2019年の一年間での国内における森林の買収は、把握されている分だけでも、62件、451haにも及び、2006年から2019年までの累計では465件、7560haにもなります。(※3) 産経新聞編集委員の宮本雅史氏の著書『爆買いされる日本の領土』などで、北海道以外でも、例えば対馬市、奄美市など、特に中国・韓国資本による土地の買収の問題事例が多く指摘されています。 中には自衛隊の基地に隣接した土地が買収されているなど、外国資本による土地の買収に一定の歯止めがかけられるようにならなければ、安全保障上でも大きな問題になりうるという実態が浮かび上がってきました。近年この問題は広く認識されるようになりました。 ◆外国資本による土地取得に規制のない日本 戦後の日本では、これまで外国資本による土地取得になんらの規制も設けられてきませんでした。 実は「外国人土地法」という法律が現在でも存在しますが、この法律は敗戦後から現在まで運用されていません。 この「外国人土地法」は大正14年に制定された法律です。外国資本による土地取得等に規制を設けることができる旨を規定した法律になります。 実は「外国人や外国法人が日本において土地に関する権利を取得することを原則として認めるとともに、その例外を定めた法律」(※4)といわれるように、明治期の日本では外国資本による日本の土地の買収は認められていませんでした。 この外国人土地法では「相互主義の観点から、外国人や外国法人が属するその外国の法律が、日本人による土地に関する権利の享有を制限しているときは、政令によって、そういった外国人や外国法人の日本における土地に関する権利の享有についても同様の制限的な措置をとることができる」(※4)こと、「国防上必要な地区については、政令によって、外国人や外国法人の土地に関する権利の取得につき禁止をし、または条件もしくは制限を付することができる」(※4)ということが定められています。 しかし、これらに規定による政令は現在定められていません。 外国人でも日本の土地はどこでも自由に買うことができ、そして自由に転売することができます。 しかも「工夫次第で外国人なら保有税を支払わなくても済む」(※5)ともいわれています。しかも、日本では所有権は一定の物を直接排他的に支配する強力な権利である物権です。 所有権は自由にその目的物を使用し、収益し、処分することができる権利として強く保護されています。 ◆なぜ外国人土地法は使えないとされたのか ではなぜ、この法律は運用できないのでしょうか。 それについては、第185回国会の法務委員会(2013年10月30日)の政府側の答弁の中で、「権利制限や違反があった場合の措置等について、法律では具体的に規定がないので、政令に包括的、白紙的に委任がされていると考えられるため、それが現在の日本国憲法の四十一条や七十三条の六号(※6)に違反するおそれがある」という主旨のことが指摘されています。 また、1994年につくられたGATS(サービスの貿易に関する一般協定)によって「原則、国籍を理由とした差別的制限を課すことは認められていない」との見解が示されています。 一点目については法律を改正することで対応可能とも考えられます。 二点目のGATSについては例外規定として、公衆道徳の保護、公の秩序の維持、生命・健康の保護のための措置も認められていますし、また安全全保障のための措置も認められています。(※7) 諸外国も何らかの規制をかけていますし、そもそも外国人の土地所有を認めていない国もあります。 ともあれ、「外国人土地法」は外国資本による土地取得に制限をかける上で、使えない法律だという見解が政府側から示されました。 しかし、何も規制ができないようでは安全保障上重大な危機を招く恐れがあるため、新しい法律の制定に向けた検討が進み、この度の法律制定につながりました。 これは前進ではありますが、まだまだ問題の根本的な解決には不十分です。次回は、法律の中身についてお伝えしたいと思います。 ※1 所有者不明土地問題研究会 最終報告概要 2017年12月13日 https://www.kok.or.jp/project/pdf/fumei_land171213_02.pdf ※2 北海道庁 海外資本等による森林取得状況 2020年5月公表 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/srk/gaishi.html ※3 林野庁 外国資本による森林買収に関する調査の結果について 2020年5月8日 https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keikaku/200508.html ※4 第185回国会 法務委員会 第2号 会議録 2013年10月30日 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigirokua.nsf/html/kaigirokua/000418520131030002.htm ※5 『領土消失 規制なき外国人の土地買収』 宮本雅史、平野秀樹 角川新書 ISBN978-4-04-082262-4 ※6 日本国憲法 第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。 第七十三条の六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。 ※7 サービス貿易に関する一般協定(GATS)(基本構造と主要な権利・義務) 第2回国際化検討会 外務省サービス貿易室 2002年2月 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/kokusaika/dai2/2siryou3_2.html すべてを表示する « Previous 1 … 6 7 8 9 10 … 78 Next »