Home/ 経済 経済 ノーベル経済学者スティグリッツの提言が日本経済に及ぼす影響 2012.07.25 HRPニュースファイルの中でも何度か紹介したことがあるコロンビア大学教授であり、2001年のノーベル経済学者のJ・スティグリッツが最新刊『世界の99%を貧困にする経済』(http://amzn.to/OVkTD8)を発刊しました。 近年話題となったウォールストリート占拠の根源となった「1%」の富裕層と「99%」の貧困層という現象は、同教授の見解に基づいているとも言われています。 同教授は、左翼ではありません。「情報の経済学」と呼ばれる新しい分析手法を開発したケインズ派に分類される学者ですし、市場経済における問題がなければ自由主義はメリットをもたらすことを肯定しています。 その意味で、共和党の保守系やTea Partyのようなリバタリアン=自由主義者とは距離感があるのは事実です。 上記の書籍を含めて、スティグリッツは米国内の所得不平等とグローバリゼーションに対する批判を主に展開しており、米国内に大きな影響を与えています。 同時に、スティグリッツの支持者は全世界にもいるため、彼の提言が全世界に与える効果も無視できません。では、どのような影響力を及ぼすのか。以下のようにまとめてみました。 (1)格差是正とグローバリゼーション批判派を勢いづかせる 同教授は、クリントン政権では大統領経済諮問委員会委員長を務めた後、世界銀行で上級副総裁、主席経済学者として活躍しましたが、米財務省やIMF(国際通貨基金)を痛烈に批判したため、世界銀行の上級副総裁を辞任しています。 同教授が執筆したGlobalization and Its Discontents(邦題:世界不幸にするグローバリズムの正体)では、米国主導の政策提言(緊縮財政や貿易自由化など)がもたらす問題点を指摘しています。 学者であると同時に実際の政策現場での体験だけに、スティグリッツの「告白」は、IMFや世界銀行、米財務省に動揺を与えました。 スティグリッツによれば、先進国と途上国の格差が開いているのは、ワシントンによる一部エリートに原因があるとします。 また、ウォールストリートの金融マンによる法外な報酬は社会正義として許容範囲を超えており、米国は格差是正をするべきであるとします。 08年にノーベル賞を受賞したP・クルーグマンやスティグリッツの同僚で国際的にも知名度の高いJ・サックス教授も同様の批判を展開しています。 このような流れはオバマ大統領と米民主党にとっては追い風になるでしょうが、前回の中間選挙で共和党が躍進して保守勢力が復活していますので、米国内で氏の意見がどこまで反映されるかは定かではありません。 (2)日本への影響とは 同氏の政策提言を日本で応用するに当たって注意が必要なのは以下の二点です。 例えば第一に、日本でも最近は貧困問題が注目されており、所得税の最高税率や相続税率の引き上げが提言されています。 また、資産課税を通じて所得の再分配強化も議論にあがっています。そこで、特に注目に値するのが次の論点です。 スティグリッツは、『世界の99%を貧困にする経済』の中で富裕層の減税は間違いであると論じています。 教授は「トリクルダウン説」を否定します。つまり、富裕層が豊かであれば、そのおこぼれが中間層や低所得層へ滴り落ちる(トリクルダウン)するという考えです。 これは、共和党の中に根強く存在する考え方であり、近年ではTea Partyが強く主張するロジックです。 しかし、同氏はむしろ、公共投資や社会保障関係を手厚くすることによって低所得層や中間層を底上げすることを主張します。 税制面では所得税と法人税の累進性強化、実効性の高い相続税の導入を提案していることを見ても分かる通り、伝統的な米国の自由主義に対するアンチテーゼです。 こうした論点が、日本でも幅を利かす可能性は高く、財務省をはじめとする増税派の理論的根拠になることでしょう。 第二に、米国主導によるグローバリゼーションへの批判は、TPP反対派と通じるものがあります。 実際に、米国による理不尽な要求があるのは事実ですが、それを抑止するためにTPPは参加国全部の合意を取り付ける制度です。 スティグリッツは、グローバリゼーションのメリットを十分に把握しているとはいえ、効率的な資源配分を阻害する原因が、ワシントンのエリートあるとしており、彼らに対する不信感は相当なものです。 ここ数十年のスティグリッツには、過激な体制批判の傾向があります。上記で紹介したメッセージは極めて政治性の強いものです。 日本ではスティグリッツファンが多いだけに、安易に同氏の政策提言が実行される可能性があります(具体的には、増税とTPP反対に使わる可能性が高い)。注) しかしながら、日本には、長年のゼロ成長から脱するためのマクロ経済政策こそ優先的に取り組むべきです。 日本は、日本としてやるべき政策を実行するのみです。同氏の意見は、あくまでも参考意見として研究するのがよいでしょう。(文責:中野雄太) 注)スティグリッツは消費税増税には否定的です。この点は我が党と同じスタンス。 小学生のような答弁を繰り返す安住財務大臣――日本財政はギリシャ化しない! 2012.07.20 18日から参議院の社会保障と税の一体改革特別委員会で、消費税増税について厳しい追及が始まっています。 19日、消費税をめぐる参院の審議で、安住淳財務大臣が新聞の社説を根拠に増税の必要性を訴えました。(7/20 J-CAST 安住財務相「主要新聞社の社説がみんな『消費税上げろ』と言っている」⇒http://www.j-cast.com/2012/07/20140133.html) 野党議員が「現場の為替ディーラーが『今、消費税を上げる必要はない』と言っている。そのことが、なぜ軽んじられるのか」と安住氏を追及したのに対して、 安住大臣は「じゃあ逆に、日本の主要新聞社の社説を含めて論評は、なぜみんな『消費税上げろ』と言うのか。そういう世論は大きいのではないか」 「新聞社だって、商売を考えたら反対(主張)でやった方が売れるかも知れないのに、しっかりそこは消費税上げて(民主、自民、公明)3党でやるべきだという社説がある」と反論しました。 結局、安住大臣は「新聞の社説に書いてあるから」という小学生のような回答しかできませんでした。「無能大臣、ここに極まれり」です。 財務大臣自身が、財務省と癒着している大新聞の社説を信じて増税しようとしているのですから、全てが「茶番」だと言えます。 また、安住大臣は「今回の消費税率の引き上げは第一歩だ。その後、歳出の削減と税収を上げる努力をしていくが、それでも足らない分は、税の負担をどうお願いするか、設計を示さないといけない」と述べ、更なる消費税増税を目論んでいることを漏らしました。(7/20 NHK「財務相“消費税 再増税の検討も”」) 安住大臣は、もはや「財務官僚の言いなりのロボット」であることを自白したようなものです。 安住氏の持論は「(国の借金は)1000兆円を超える。このまま積み上げていけばギリシャのように生活や経済を直撃する」(1/12 記者会見)ですが、これは菅直人氏や野田首相が財務相時代に財務官僚に洗脳されたのと同じロジックです。 実際には、ギリシャ危機は付加価値税(日本の消費税に相当)増税とバラマキ政策が元凶です。(6/21 フジサンケイビジネスアイ「ギリシャ化の始まりを告げる『消費増税採決』」⇒http://utun.jp/HG8) ギリシャは、付加価値税率を引き上げては年金など社会保障支出を増やし、バラマキ政策を行ってきました。その結果、2006年の増税以降、プラスだった経済成長率がマイナスに転じ、対外債務を増やしています。 また、イタリアが昨年9月に付加価値税の税率を引き上げて以降、同税の受取額は減少。4月末までの1年間の徴収額は2006年以降で最低に落ち込みました。(6/13 ブルームバーグ「イタリアの増税が裏目に、付加価値税収減少」) 結局、「消費税増税しなければギリシャ化する」のではなく、「消費税増税がギリシャ化を招く」のです。 また、野田首相や安住財務相や財務官僚が言う「財政破綻の危機」も完全な嘘であり、増税のためのロジックに過ぎません。 債券ファンド世界最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、日本が将来的に財政破綻する「確率はゼロに近い」とみています。(6/29 ブルームバーグ「PIMCO:財政破綻リスクほぼゼロ、円債に魅力」) ピムコジャパンの正直知哉氏は「政府は徴税権を持っているので、民間部門のバランスシート(資産・負債状況)も合わせて考えるべきだ」と指摘。日本には長年の経常黒字で積み上げた世界最大の対外純資産があるため、「将来的に経常赤字基調になってもバッファーがある」と説明しています。(同上) 世界的なベストセラーとなった『国家は破綻する』(ラインハート・ロゴフ著、日経BP社、2011年)によれば、いわゆる「デフォルト」や「ソブリンリスク」は「対外債務(外国に対する(多くは)外貨建ての借金)」が原因となって起こることが示されています。 日本は「財政赤字(大半が対内債務)」はあっても「対外債務国」ではなく、むしろ日本は21年連続で世界最大の対外純資産を持つ「債権大国」です。(5/22 読売「日本の対外純資産21年連続世界一」) 一方、ギリシャの対外債務は約4000億ユーロ(約41兆円)で、同国政府や銀行、企業が返済できるのはその一部のみです。(5/16 ブルームバーグ) すなわち、「財政赤字」ではなく、「対外債務」がギリシャ問題の本質であるにもかかわらず、「財政赤字はギリシャ化を招く。早急に増税すべき」と主張している政府やマスコミのロジックは間違っています。 日本の財政は改善の必要はありますが、危機的状況からは遠く、早急にギリシャ化することはあり得ません。今は増税ではなく、デフレ脱却、景気回復を優先すべきです。 デフレを深刻化させ、景気をどん底に突き落とす消費税増税は、ギリシャやイタリアのように、より一層、財政赤字を深刻化させる「最悪の選択」です。共に、消費税増税法案を廃案に追い込んで参りましょう!(文責・黒川白雲) 日米の「財政危機」に対する意識の違い――増税ではなく景気回復を! 2012.07.19 アメリカでは連邦政府の赤字と並んで、州政府の赤字も問題となっております。ただし、財政赤字の問題の取り扱われ方が日本とアメリカでは全く異なります。 アメリカでは財政危機の問題として挙げられているのが、年金と医療です。 7月18日付のフィナンシャル・タイムズ3面では、年金で約3兆ドル(約240兆円)、退職者向けの医療費で約1兆ドル(約80兆円)の赤字が発生していると出ています。 また、景気後退によって税収が減っていることが財政赤字の原因であると指摘しています。(tax revenues fell sharply as a result of the economic slump.) 日本でも、年金の積立金不足は450兆円、年金の支給額は2009年以降50兆円を超え、医療費も30兆円を超えていますが、年金や医療が財政を悪化させているという指摘をマスコミが行うことはあまりありません。 また、「そもそも何故、税収そのものが下がっているのか」ということを問題にする報道機関も皆無です。ほとんどのマスコミが「財政危機だから増税すべき」という単純な論調です。 しかし、日本でも、経済成長によって増税しなくても税収が増えていた時期があったことを忘れてはいけません。実際、過去の税収の推移をみれば、景気の動向と連動していることは一目瞭然です。 まず、景気回復が税収増につながった2003年から2007年の四年間を見てみましょう。2003年から2007年までの四年間、政府の税収は43.3兆円から51兆円にまで緩やかに回復しています。この四年間の経済成長率を見ると1.3%~2%のプラス成長が続いていました。 しかし、2008年のリーマンショックの影響で、GDP成長率はマイナス1%成長を記録。2008年度の税収は前の年から5兆円近く減少しました。 さらに翌年の2009年はGDP成長率がマイナス5%となり、税収はさらに5.4兆円減少し、38兆円にまで落ち込みました。(税収の推移⇒http://utun.jp/HG3、実質経済成長率の推移⇒http://utun.jp/HGm) 2007年に51兆円あった税収が、たった2年間で38兆円にまで減少してしまったのです。このような経過を見れば、税収を増やすためには景気の回復が一番であることが分かります。 しかし、政府は景気回復にはまったく取り組まず、増税ばかりを議論しています。それに対して、幸福実現党の政策は、まず初めに景気回復を取り上げています。 それでは、どのような政策で景気回復を実現すれば良いのでしょうか?経済学では当たり前のことですが、「金融緩和」と「公共投資」です。 金融緩和により、長年続いたデフレから脱却し、政府の投資によってGDPを増やしていくことが重要です。 デフレから脱却すれば、物の値段も上がりますが、給与も増えます。今年よりも来年、来年よりも再来年給与が増えていくことが分かれば、安心してお金を使うことができます。 さらに、デフレから脱却をするためには日本銀行が国債の買い入れを増やす必要があります。政府は日銀から調達した資金で老朽化したインフラを整備し、地震や津波などの災害対策に投資をしていくことができます。 政府がインフラ整備にお金を使えば、道路や橋の補修をした人たちの給与が増え、さらにお金が使われます。政府が投資をすることによって、投資した額以上に国民所得が増えることを「乗数効果」と言います。 最近の実証研究では、戦後の公共投資の乗数は1から1.4程度と言われていますが、筑波大学名誉教授の宍戸俊太郎氏のように、10年間で250兆円規模の公共投資を行った場合、GDPは874兆円に増加するという推計を出している学者もいます。(藤井聡『救国のレジリエンス』p.165) 経済の語源は「経世済民」「国を治め、民を救う」です。 現在、政府が行っている経済政策は「経済」政策の名に値しません。本来の「経済」政策に立ち戻るためにも、増税ではなく景気回復に真正面から取り組むべきです。(文責・HS政経塾一期生 伊藤希望) デフレ脱却だけでは不十分?増税とエネルギー問題が日本経済に及ぼす影響 2012.07.18 今回は、増税とエネルギー問題を題材にしながら、デフレ脱却を再考します。 学習院大学の岩田規久男教授の著書『インフレとデフレ』に従えば、日本経済の1980年から1990年までの10年間の平均インフレ率は2.6%、91年から01年は0.7%、02年から07年は-0.2%、08年から11年は-0.3%となっています。 アメリカやイギリスなどの主要先進国でも1980年代以降はインフレ率の低下=ディスインフレ傾向ですが、日本の水準は際立っていることが分かります。 特に、岩田教授が主張している論点は、08年のリーマンショック以降、先進国でデフレなのは日本だけだということ。 ショックの震源地であるアメリカは、08年から11年までの平均インフレ率は2%です。つまり、日本のデフレは政策に問題があるということです。 物価水準の操作は、基本的に日本銀行(以後日銀)が担当します。2月に事実上のインフレ目標導入を決定した日銀が発表した「中長期的な物価安定の目途について」にも、「物価の安定を図ることを通じて、国民経済の健全な発展に資すること」を基本理念とすることが書かれています。⇒http://goo.gl/gZ3ld 日銀は、消費者物価指数の上昇率を当面は1%を目途としており、長期国債購入基金の積み増しを行いました。 過去の日銀の姿勢からは半歩前進とはいえ、まだまだ本格的なデフレ脱却からは遠い点を、私の論考の中でも数回紹介しています。⇒日銀の金融政策「据え置き」では不十分 そこで、最近話題になっている増税とエネルギー問題を絡め、これまで考慮されていない「デフレの脱却」の論点をあげておきましょう。 基本路線は、日銀の金融政策と財政出動によるポリシーミックス(政策の組み合わせ)です。経済が順調に拡大し、物価も少しずつ上がっていく限り問題はありません。雇用が創出され、成長率が高まれば、デフレ脱却と成長の実現により、国民の生活は楽になります。 しかしながら、一般物価指数は政策以外の要因によっても変動します。 例えば、資源価格高騰がインフレにつながるケースです。 わが国では、1970年代に二度のオイルショックがありました。中東の産油国で形成されるOPEC(石油輸出国機構)が石油の輸出を全面的に停止したことが原因で起こったインフレは、庶民の生活に大きな影響を与えました。 その後、産油国の意図的な原油価格つり上げは起こりにくくなりましたが、中東では紛争や戦争が起こる可能性が高いのは否定できません。 仮にホルムズ海峡で問題が起きた場合、わが国は石油の輸入に四苦八苦することになるでしょう。その結果、原油価格高騰による電気代負担の上昇だけではなく一般物価水準も上昇する可能性があります。 資源を輸入に頼っているわが国は、資源価格の変動に脆弱であるということを再認識するべきです。 さらに問題なのは、インフレが不況時に起こるケースです。最悪の場合、インフレと不況が同時に襲うスタグフレーションが再来する可能性があること。 その結果としてデフレが脱却できたとしても、失業率の増大や成長率の低下という高い代償を払わなければなりません。 もう一つが、野田首相が政治生命をかけて取り組んでいる消費税増税問題です。 増税をすることで、短期的には物価が上昇します。例えば、2014年に8%へ、2015年には10%へと上がることによって、一般物価も1%以上上昇したならば、日銀は労せず中長期的な目途を達成したことになります(あくまでも仮定の話)。 ただし、この議論に足りないのは、増税による消費や投資の落ち込みによる成長率の低下によって、再びデフレとなることを想定していないことです。 1997年4月に消費税が3%から5%に上がった後に何が起きたかを考えれば、増税がもたらす効果は明らかでしょう。 「デフレの脱却」だけでは、論点はいくらでもとれるので、やはり、高い成長と雇用の創出を最優先し、その結果としてデフレ脱却ができるとした方がよいでしょう。 さもなければ、予期せぬ短期的なインフレが生じた場合、「インフレを抑制するために増税をして財政再建をするべき」という論点が出てくる可能さえあるからです。 日銀は、インフレ懸念があるだけでも金融引き締めに入ります。そうすれば、日本経済は一層冷え込むことになります。 幸福実現党は、日本経済がさらなる長期不況に突入しないためにも、増税ストップと原発の再稼働などを通じてエネルギーの安定供給を継続して主張していきたいと考えます。(文責・中野雄太) 国家戦略室「日本再生戦略(案)」を検証する 2012.07.14 消費増税関連法が7月11日より参議院での審議が開始され、同日、消費増税導入の最終判断を決する「景気条項」への対処として「日本再生戦略(案)」が政府で審議され、月内にも閣議決定され、予算編成に反映される見通しです。⇒http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20120711/shiryo4.pdf 「日本再生戦略(案)」では、100兆円の新規市場と480万人の雇用創出を目指し、2020年度までの経済成長率を名目3%、実質2%に高めることを謳っています。 これが実現すれば、日本経済は上向きますが、「日本再生戦略(案)」は果たして本物と言えるでしょうか? 産経新聞は「再生戦略は、22年6月に菅直人内閣が策定した『新成長戦略』を焼き直した項目も多い。新成長戦略自体、376項目のうち、成果の出ていない政策が約9割に上っている」と酷評しています。(7/10 産経) それでは「日本再生戦略(案)」について、主要な3論点について見てみたいと思います。 (1) グリーン成長戦略 同戦略では「グリーン成長戦略」として、2020年までの目標として、50兆円超の環境関連新規市場、140万人の環境分野の新規雇用を掲げています。 その中でも、「政策資源を総動員して国民の省エネルギー、再生可能エネルギーの導入を力強く支援していく」と、再生可能エネルギー分野の振興を目指しています。 しかし、再生可能エネルギー分野においては、我が国の産業は競争優位を有していません。 例えば、再生可能エネルギーの中核となる太陽電池パネルは「日本のお家芸」のように思われていますが、実際には、2010年の太陽電池セル生産では、シャープは世界シェアの7%、京セラは6%に過ぎません。 一方、2010年の太陽電池セル生産では中国勢4社は合計51%、台湾を含めると65%ものシェアを占めており、技術競争の時代が終わり、熾烈なコスト競争の時代に入っています。日本が競争優位を得ることは難しい分野です。 むしろ、安全保障の観点も含めて、イラクに匹敵する石油埋蔵量を持つ尖閣諸島の油田開発を実現することで、国内における年間石油消費量10兆円規模となる石油を採掘し、国の収益とするような大胆なエネルギー政策を打ち出すべきです。 (2) ライフ成長戦略 次に、同戦略では「ライフ成長戦略」として、2020年までの目標として、医療・介護・健康関連サービスの需要に見合った産業育成と雇用の創出として、新市場約50兆円、新規雇用284万人を掲げています。 しかし、学習院大学・鈴木亘教授は「医療・介護産業は、多額の公費投入による価格ディスカウントでかろうじて支えられている産業であり、自律的な成長が期待できる分野ではない。 医療・介護費を増やせば自動的に多額の財政支出増となることを考えれば、これは成長戦略というより、一時的な財政政策に近いものと見るべき。」(『社会保障の不都合な真実』P.207~)と指摘しています。 社会保障に関連して、日本再生戦略を実現していく財源として、年金積立金管理運用独立行政法人等の公的マネー(H23年度末時点で、運用資産額:約113兆円、収益額:約2兆6千億円)が出て来ています。しかし、国民資産を運用して財源とするならば、復興増税や消費増税もすべきではありまえん。 鈴木亘教授が指摘するように「多額の公費投入が必要」で、「自律的な成長」が期待できない分野への資金投入は非効率を生み出すのみです。 但し、高齢化は今後とも進展していくため、幸福実現党が提言しているように、医療・介護・健康関連における参入規制の緩和・撤廃、市場原理の導入と競争の促進、価格の自由化、民営化の促進等の構造改革を進めるならば、成長産業になる可能性はあります。 (3) アジア太平洋経済戦略 「アジア太平洋経済戦略」として、2020年までの目標として、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築、ヒト・モノ・カネの流れ倍増、EPAカバー率80%程度、パッケージ型インフラ海外展開による市場規模19.7兆円を掲げています。 しかし、経済連携協定の拡大を見ても、締結国との貿易割合を80%まで引き上げるのは、TPPを実行しないと達成できない数値です。しかし、TPPは交渉参加表明で他国に出遅れ、民主党内の反対意見も根強くあります。 ベトナムのカーン首席交渉官は「8月末までに意思決定できれば、メキシコ、カナダに遅れることなく交渉参加が可能」と日本に判断を迫っています(7/11 時事)が、未だに政府の決断は不透明です。 また、「食農再生戦略」には、TPPへの戦略が無く、農家戸別保証や青年就農給付金などのバラマキ等のみで、イノベーションの意識は薄く、農業の輸出産業化に向けた熱意は見られません。 TPPについては即刻参加を表明し、TPP交渉でリーダーシップを発揮すると共に、農業分野においては、幸福実現党が提言しているように、参入の自由化、農業の大規模化・効率化、農地の自由売買等の構造改革を進めるべきです。 また、「パッケージ型インフラ輸出」は有望な分野ですが、韓国やフランスの大統領による原発のトップセールスのように、政府首脳が経済界のリーダーを多数引率して相手国にセールスする政治力が必要ですが、日本政府は苦手としており、日本企業もバラバラに行動しています。 以上、主要な3論点についての危惧を述べましたが、更に共通して欠落している点を一つ挙げるならば、「安全保障」の観点が欠けていることです。 中国の覇権主義を抑止できる自主防衛力の確立が無く、対等な外交交渉はじめ、領土や海洋資源を保持し、安心した経済活動を行うことは出来ません。また、経済成長の要となる新技術の開発は「防衛産業」にあります。 結局のところ、「日本再生戦略(案)」は、日本が置かれている厳しい国難を打破するための「戦略的発想」に欠けており、「消費増税導入のための数字作り」に過ぎないと言えます。 これでは、次期衆院選の選挙対策としての「バラマキマニフェスト」や「官僚の利権拡大戦略」と言わざるを得ません。 政府は、国家のサバイバルをかけて、日本を真に再生させる戦略を立て、断行していくことが求められます。(文責・小川俊介) 日本から世界に、信用ある金融のあり方を提示すべき~LIBOR(ライボー)不正操作疑惑からの教訓 2012.07.12 LIBOR(ライボー)不正操作疑惑――世界の金融市場に動揺が広がっています。 事の発端は、イギリスの名門銀行のバークレイズが6月27日に、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を不正に操作したとしてアメリカ・イギリスの金融監督当局から総額2億9千万ポンド(約360億円)の罰金を科せられたことに始まります。 そもそも、「LIBOR(ライボー)」とは何かというと、「London Interbank Offered Rate」の略で、「ロンドン銀行間取引金利」を意味し、ロンドンで金融機関がお互いにお金をやりとりする際の金利のことです。 これがなぜ重要なのかというと、「LIBORを基準に一定の金利上乗せ」して、多くの契約が行われ、融資や住宅ローンの利率や、金融派生商品(先物取引やオプション取引)の価格形成に影響を与えているからです。 その規模は、世界で360兆ドル(約2京8000兆円)という推計もあり(7/11 毎日)、LIBORは、世界の金融市場に大きな影響を持っています。 原因究明に急ぐイギリス 現在、バークレイズ銀行には2つの疑惑があります。 第一に、実際の取引より高い金利をイギリス銀行協会に報告(2005年頃から2008年)を行い、LIBORを不正に高く誘導して、市場取引で不当な利益を得たという疑惑です。 第二に、財務状況を実際よりも良く見せるために、実際の取引よりも低い金利を、イギリス銀行協会に報告(2008年秋のリーマン・ショック時)していた疑惑です。 ロンドンは、ニューヨークと並ぶ国際金融センターであり、このままではロンドンの信用を失墜させることにもなりかねません。イギリスのキャメロン首相は、議会に委員会を設けて徹底調査に乗り出しています。 世界に広がる大手銀行への捜査 しかし、この問題はイギリスを飛び越えて、他国にまで広がっています。その理由は、LIBORの決定方法にあります。LIBORは実際の取引結果ではなく、主要行による自己申告をベースに決められます。 各銀行が報告する金利を基に英国銀行協会が集計していますが、異常値を反映しないように、ドル建てのLIBORだと18行のうち、最も高い金利と最も低い金利の4行ずつを除き、残る金利を平均して算出されています。 すなわち、バークレイ銀行単独では、LIBORの不正操作を行うことができないため、他行と結託して、LIBORの不正操作を行っている「談合」疑惑が取り沙汰されています。 スイスのUBS銀行や、アメリカのシティグループにも調査が広がり、アメリカでは、議会にFRBバーナンキ議長やガイトナー財務長官を月内に招致することになっています(7/12東京) 日本の金融マーケットでは、LIBORが適用されるのは外貨建て定期預金などに限られ、国内への大きな影響はないと見られています。 しかし、今回の出来事を教訓に、日本が更に信用ある金融を実現するべく、2つの方向性について提案致します。 (1)透明性のあるLIBOR決定の制度改革 日本ではLIBORの代わりに、TIBOR(タイボー)が使われています。金利決定プロセスはLIBORと同じなので、金利決定の方向性を考えるべきです。 LIBORは「各行がまとまった資金のやりとりができると考える想定金利」を報告しています。実際に貸し借りをする際の金利ではなく、あくまで見込みの金利です。 一部のプロが利用していたうちは問題になりませんでしたが、1990年代以降、金融技術の発展で、LIBORが様々な局面で使用されて重要性が増す一方、銀行が厳しい経営環境から抜け出すために、金利操作の誘惑が常にあったことも原因として考えられます。 「透明性のあるLIBORの決定方法」へとイノベーションをするべき機会と捉えるべきです。 (2)金融界の倫理の見直し 金融における信用の源をもう一度見直す必要があります。金融派生商品自体は、資金調達の多様化を可能としており、今後も推し進めるべきです。 しかし、その土台となる「金融における倫理観」を今一度確かなものにしておくべきではないでしょうか。 金融の機能は、お金の流れを円滑にする公の機関であり、金融に携わる人は高い倫理をもって、自らを律すことが求められます。 そして、自助努力と勤勉さを持つ個人や法人に、お金が円滑に流れ、豊かな社会の実現に貢献することこそ、本来の金融の役割であるはずです。 今こそ、日本がリーダーシップを取って、「世界の金融センター」となる構想を持ち、法人税の減税など「お金を誘致できる政策」を打つべきではないでしょうか。 今回のLIBOR不正操作疑惑を払拭するくらいの「信用ある金融のあり方」を、日本から世界に発信すべきです!(文責・吉井利光) ロンドン五輪開幕迫る!――東京五輪を招致し、日本復活の原動力に! 2012.07.05 政局の混乱の裏で、開幕を7月27日に控えたロンドン五輪の報道が存在感を増してきています。 多くの人々が、我らが日本人選手の獲得するメダル数と色に期待を寄せています。彼らの活躍に、今年の日本の夏が盛り上がるかどうかがかかっています。 更に言うならば、2020年度以降の日本の未来にも影響してくると思われます。というのも、彼らの活躍が2020年夏季オリンピックを招致できるか否かに関わってくるからです。 5月23日に行われた国際オリンピック委員会(IOC)理事会で、2020年夏季五輪招致を目指す東京が第一次選考を順当に通過しました。 「宿泊」「輸送」「安全と警備」等の項目において東京都の開催計画は高く評価されており、まずは良いスタートを切ったと言えるでしょう。 しかし、ライバルのマドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)と比べ、大きな課題を日本は抱えています。 それは、「国内支持」です。IOCが独自に行った各都市のに関する世論調査で、東京は47%と共に70%を超えたライバル2都市(マドリード78%、イスタンブール73%)に大きく水をあけられています。(5/25 The Japan Daily Press⇒http://goo.gl/Vh6MA) 2020年夏季五輪の開催都市が正式に決定するのは、2013年9月です。招致に向けた国内の機運を盛り上げるためにも、ロンドンでの日本選手団の活躍は欠かせません。 では、なぜ五輪を東京に招致する必要があるのでしょうか。これには、以下の3点が挙げられると思います。 一つ目は「インフラの再整備」 二つ目は「国際競争力の強化」 三つ目は「日本の復活をアピール」 まず、一つ目の「インフラの再整備」ですが、三環状道路(首都高速中央環状線、東京外郭環状道路(外環道)、圏央道)の整備率は47%と、まだまだ東京の交通ネットワークは未熟で、渋滞の大きな原因になっています。 これに対し、東京都は道路整備を加速させ、2020年度には整備率92%(外環完成)の達成を目指しています。(東京都「『2020年の東京』計画 全体概要」⇒http://goo.gl/Ua2k4) 実際、国土交通省は昨年12月、外環道の未着工区間の練馬―世田谷間(約16km)について、2012年度に着工し、東京都が招致を目指す2020年夏季五輪までに完成させる方針を発表。同区間の計画決定は1966年で、45年を経てようやく着工されることになりました。(2011/12/12 読売) 「五輪招致」という目標を掲げることにより、これまでほぼ凍結状態にあったプロジェクトもようやく動き出したのです。 二つ目の「国際競争力の強化」は、グローバル時代に日本が更に発展していくために必要不可欠な項目です。 東京が世界の都市間競争に敗れれば、日本全体が廃れてしまう恐れがあります。東京を世界中から人々が集まる吸引力を持つ都市にしていく必要があります。 現在、世界都市ランキングで、東京は4位ですが、シンガポール、ソウル、香港、上海などのアジア各都市が迫って来ており、悠長なことを言っていられません。(2011/11/19 「世界都市ランキング 『東京』は4位 将来は転落?」⇒http://goo.gl/PkVCs) 東京都は外国企業誘致のための総合特区制度を設け、東京都心・臨海地域などを重点的に開発し、アジアのヘッドクォーターとなる方針を掲げています。(東京都「アジアのヘッドクォータープロジェクト」⇒http://goo.gl/JPYV1) 東京都は「オリンピックを梃子として東京の自己変革を更に進め、日本を変える大きな動きにつなげていく」としています(「『2020年の東京』の概要」⇒http://goo.gl/jENQr)が、東京五輪招致がその原動力となることは間違いありません。 三つ目は、「日本の復活をアピール」することです。アピールする相手は、もちろん世界です。 「五輪」という祭典は200以上の国と地域から選手1万人以上が参加する大会です。東京で開催する場合、観客は五輪開催期間の17日間で約850万人(平成22年に東京都を訪れた外国人旅行者は約594万人)が訪れると見込まれています。 また、経済波及効果は都内だけで約1兆6700億円、全国では約2兆9600億に上ると試算されています。日本経済復活の起爆剤としても期待できます。(6/7 産経「2020年東京五輪開催の経済効果3兆円」⇒http://goo.gl/Y5aSG) 1964年に開かれた東京五輪によって、日本は「敗戦からの復興」の姿を世界に示しました。2020年の五輪は「東日本大震災からの復活」を成し遂げた、新しい日本を世界に訴えるチャンスです! 最後になりますが、日本は今、長期経済低迷期に陥っています。それを専門的に分析するならば、人口問題、デフレなど様々に理由を挙げられます。 しかし、最も必要なものは、国民全体で共有できる、明確な「明日への希望」であります。「五輪招致」は、その象徴の一つと言えるのではないでしょうか。 来るロンドン五輪での日本人選手団の活躍を応援しつつ、「東京五輪招致」の大義を発信していきたいと思います。 国民不在の「悪徳代官談合政治」を断固許すまじ!~消費税増税関連法案可決の不当性を告発する~ 2012.06.26 26日、衆院本会議に緊急上程された消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案は、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決され、同法案は参院に送付されました。(6/26 産経「小沢、鳩山氏ら民主57人が反対票 消費税法案が可決」⇒http://goo.gl/SV0d4) 採決における大量の造反者に加え、自民党の揺さぶりもあり、このまま混乱が続き、参院で採決が先送りされ、継続の手続きもせず会期末を迎えれば、法案は廃案になる可能性もあります。(6/26 朝日「消費増税法案の成立に不透明感」⇒http://goo.gl/ARrcb) 幸福実現党は立党以来、「長引くデフレ経済下にあって、増税は愚策の極みでしかない。消費増税が、消費の停滞やさらなる景気悪化を招き、失業者や企業倒産の増加、そして税収減をもたらすことは明らかである」と消費税増税に断固反対して参りました。 そして、消費税増税法案成立阻止に向け、全国各地で増税反対デモ、街宣活動、署名活動、チラシ配布等を熱心に行なって参りました。 また、納税者たる国民に信を問う手続きを欠いたまま、消費増税に突き進むことは、「課税権の乱用」そのものであり、議会制民主主義の本旨を完全に逸脱するものであることを指摘して参りました。(6/17 「消費増税に関する3党合意を受けて」⇒http://goo.gl/3UvK4) しかし、三党修正合意そして採決に至る過程において、マスコミ報道はもっぱら小沢グループの離反、新党結成等の政局に終始し、消費税そのものの問題点に関しては、国会においてそれなりの議論はされていたにも関らず無視されてきました。 まるで国民は目隠しされ、情報を与えられず消費税増税を問答無用で押し付けられたと言っても過言ではありません。政府与野党・官僚・マスコミ等増税翼賛体制による「談合政治」と言われる所以です。 今回の採決を受け、河村名古屋市長は、悪代官さながらの「残酷な政治」と評しましたが、大川隆法幸福実現党名誉総裁は、既に本年1月の段階で、民主党の増税一辺倒の政策を評し「民主政治ならぬ『悪徳代官談合政治』である」と断罪しています。(『もしケインズなら日本経済をどうするか』「まえがき」) まさしく三党修正合意から採決に至る過程は、国民不在の「悪徳代官談合政治」がその本質です。 報道管制が敷かれたかの如く、国民に隠ぺいされてきた消費税増税の持つ問題点を、幸福実現党は告発し続けてまいりましたが、今一度指摘し、参議院での否決、廃案を目指し、世論を喚起したいと考えます。 消費税を増税しても、全体の税収は上がるとは限りません。実際、消費税を5%に引き上げた1997年には53.9兆円あった税収が、今では42兆円と10兆円以上減少しています。(財務省「一般会計税収の推移」⇒http://goo.gl/48dsq) この歴史的事実は、国会質問でも何度も取り上げられましたが、政府は「リーマンショック、欧州ソブリン危機等の要因もあり、消費税との因果関係は必ずしも明確でない」「消費増税したから税収が減少したとは言えない」との強弁を繰り返すのみです。 野田首相は参院予算委員会集中審議で、消費増税が経済に与える影響に関し、「将来への不安をなくしていくことで消費や経済を活性化させる要素もある」と「増税による経済成長」の可能性を示唆しましたが、恒常的な増税(=恒常的な所得の減少)が消費を減らすことは経済学の常識です。 また、消費税増税は国民の命をも奪う凶器でもあります。実際、自殺者の数は1997年、23,000人台でありましたが、消費税増税後の翌98年には一気に31,000人台に跳ね上がりました。特に自営業者やサラリーマン、無職者の自殺が増えました。(「自殺者数の年度推移」⇒http://goo.gl/UR8h) まさしく、消費税は「国税」ならぬ「酷税」であり、増税は国民の経済的自由を束縛し、ひいては国民を政府の奴隷にするための「隷属への道」であります。 幸福実現党は、引き続き、国民が承諾を与えていない「消費税増税法案」成立を断固阻止すべく、正論をまっしぐらに主張し、真なる国民の幸福増進のために戦って参ります。(文責・加納有輝彦) 増税ではなく税収増につながる経済成長戦略を――未来産業、ロボット産業に積極投資せよ! 2012.06.25 台湾の中央気象局からの受注で、スーパーコンピューター「京」の商用機が初めて輸出されることになりました。(6/24 日経「スパコン『京』、富士通が初輸出 台湾に商用機」⇒http://goo.gl/s4kzu) 計算速度の性能ランキングでは世界一の座から転落したスパコン「京」ですが、ITを用いた日本の防災ノウハウも含め、日本の技術への期待は相変わらず高いようです。 開発メーカーの富士通によれば、スパコン事業の売上高は年200億円程度で、2015年には約1000億円になることを見込んでいるそうです。 高度なシミュレーション精度や解析計算速度を持つスパコン「京」は、製薬会社や大学による抗がん剤開発や、精密な気象や地震・津波影響予測など、幅広い分野での活用が進んでいます。 「京」は約1000億円の国費を投じ、国が主導して開発しました。事業仕分けで話題になりましたが、優れたスパコンが開発されれば、様々な産業の活性化や防災に役立つため、その経済効果や国民の生活・安全性への貢献は計り知れません。 新産業の創出や新技術開発には、莫大な初期投資が必要となります。これを一企業だけで賄うのは難しいため、どの分野に投資すべきか、国家の長期戦略とビジョンが求められます。 例えば、ロボット産業は、2025年には約8億円程度の市場規模が見込まれている有力な分野の一つです。日本は、産業用ロボットでは既に生産・稼動台数ともに世界一のロボット大国で、特に生産台数においては世界の7割程度を占めています。 しかしながら、産業用ロボット以外の分野では、必ずしも技術力、競争力が高いとは言えません。 日本ロボット工業会は「我が国のロボット分野の国際競争力を商品化レベルから見た場合、製造業分野で競争力が高いことから総じて『ロボット技術力』も高く、競争力があると思われがちであるが、原子力、宇宙、海洋、災害対応、医療・福祉などの非製造業分野は、欧米と比較して必ずしも高くはない」という報告書をまとめています。⇒http://goo.gl/Dq2LM 実際、東日本大震災で被災し、放射能汚染を起こした福島原発では、放射線を浴びたがれきを運び出したり、内部の様子を調査したりするなど、災害ロボットの活躍が報じられました。しかし、日本製は1台のみでほとんどが欧米製でした。 アメリカではロボットは軍需産業の一つとみなされ、ロボット開発費には多額の軍事予算が付き、特殊なロボットを開発するための環境が整っています。 米国防高等研究計画局(DARPA)は、軍隊使用のための新技術開発および研究を行うアメリカ国防総省の機関ですが、アメリカ国防総省の科学技術開発費の25%を予算の上限とし、自由な研究を行うことができます。 来年度予算は28億ドル(約2240億円)に及び、その内、二足歩行ロボットを兵士の代理(アバター)として行動させる「アバタープロジェクト」に700万ドル(約5.6億円)が割り当てられるとのことです。(2/20 産経「人間代用ロボ 米軍が開発へ」⇒http://goo.gl/G0Gc1) 一方、日本では多額の予算がロボット開発に付くことはまれです。 99年に東海村JCO臨界事故が起きた際、事故対策用ロボット開発のため約30億円の予算が投じられましたが、半年の突貫工事で開発されたロボットは「現時点では現場投入できない」「原子炉で事故は起きない」等の理由で不採用となり、1年の短期間で国家予算の投入が打ち切られてしまいました。 そのため、開発が不十分で今回の原発事故でも採用されず、結局ムダな投資となってしまいました。中途半端で戦略のない投資は、あまり意味がありません。 産業用ロボットは、ロボット産業界が自動車工業や電子工業からのニーズに応え、そのニーズに特化した製品を生み出し、好景気の時期とも相まって普及が進みました。 一方、日本のロボット産業の競争力が弱い、災害対応、医療・福祉などの非製造業分野は、短期的に見れば採算が合わない分野であることは確かです。しかし、そうした分野こそ、今後、大きなニーズが見込まれます。 既に、リハビリ支援のロボットや、病院内で物品を搬送するロボット、手術支援ロボット等の開発がなされています。特に介護、医療分野は、安全性の向上、使いやすさなどにおいて、より一層の技術開発が望まれます。 また、産業として成立させるためには、コスト削減のための研究も必要です。国家として「ロボット産業に投資し、次世代ロボットの分野でも世界一になろう」といった方針を出し、大規模かつ長期的な投資をすることで、産業化が進むことが期待されます。 他にも、航空・宇宙産業、交通インフラ、新エネルギー開発、食料増産、軍事など、投資価値の高い、有力な分野はたくさんあります。 少なめに見積もっても、日本のデフレギャップは約20兆円あると言われています。デフレ期で民間が投資を渋る今こそ、国家が未来産業や新技術開発に積極的に投資すべきです。 先般、メキシコで開催されたG20首脳会合のメインテーマが「強固でバランスの取れた成長」であったにも拘わらず、野田首相の意見表明は増税一本槍で成長戦略に乏しく、各国との落差が目立ちました。(6/20 東京「成長戦略の弱さ露呈 首相のG20意見表明」⇒http://goo.gl/BGr5t) 野田首相は「増税」という、政府にとって何の努力も工夫も要らない政策に政治生命をかけるのではなく、「力強い経済成長は可能である」と断言し、明るい未来ビジョン、夢のある政策を打ち出すべきです。(HS政経塾 部長代理 小川佳世子) 世界中に蔓延する緊縮財政トレンドに、日本は乗るべきではない!今必要なのは繁栄のビジョン 2012.06.20 6月17日のギリシャ議会再選挙が終わり、ギリシャ国民はユーロ残留と緊縮財政を受け入れる結果となりました。 しかしながら、緊縮財政派の新民主主義党(ND)が第一党になったとはいえ、NDの得票率が29.65%に対して、緊縮財政反対派の急進左派連合(SYRIZA)は26.88%と、僅差であったことは特筆に値します。 年金削減と増税は厳しい選択ですが、それ以上にギリシャ国民がユーロ離脱によるデメリットを恐れたということでしょう。 欧州ではギリシャに限らずイタリヤやスペイン、ポルトガルが財政危機に直面しており、緊縮財政が主流を占めています。対外債務がデフォルトすることを回避し、ユーロの安定を狙っているのがユーロ圏首脳陣の考えです。 これに対して、コロンビア大学のスティグリッツやプリンストン大学のクルーグマン両教授のようなノーベル経済学者は、積極財政や金融緩和を主張しています。 さらに、リーマンショックを的確に予測して有名となったニューヨーク大学のルービニ教授はユーロ離脱を公然と主張しており、欧米の経済誌などでも同じ論調が出始めています。 ユーロ離脱は別にして、緊縮財政が世界的に幅を利かせている現実は無視できません。なぜなら、世界の政府首脳やIMFのエコノミストたちには緊縮財政を主張することが多いからです。 最近こそ、IMFのラガルド専務理事とチーフエコノミストのブランシャール氏は性急な緊縮財政を戒めているとはいえ、経済危機に陥った国に対する支援の見返りに緊縮財政を押し付ける姿勢は変わっていません。 例えば、ギリシャ支援でもIMF、欧州中央銀行(ECB)、EUは「トロイカ体制」と呼ばれていますが、ギリシャ支援の条件は厳しい歳出削減と増税の要求です。 これは今に始まったことではなく、97年の通貨危機に陥ったタイやインドネシア、韓国、ロシアに対しても同様の条件が要求されました。 緊縮財政論者は、がん細胞を除去することで病状が改善することをイメージしているのかもしれません。 そして、エコノミストだけではなく、政治家が緊縮財政を主張するときは、道徳的な観点から「赤字はよくない」「借金は返済するべきだ」という視点が強く、正義感に基づいて主張されているのでしょう。 日本でも、自民党議員や保守系の論客からは「消費税増税を国民に訴えることが、政治家としての責務」ということを主張している方がいます。 国民が嫌がることでも、「正しい」と思ったことは断固やり抜くことを言いたいのでしょうが、増税だけを行った場合の経済に対する負の効果が全く視点が抜け落ちており、責任ある主張だと言いかねます。 現在の不況と累積債務問題は、マクロ経済学の常識に従って行動するのが筋です。現代のマクロ経済学の基本に従えば、不況克服には減税や政府による財政出動、日銀による金融緩和の組み合わせが妥当です。 最近出版されたクルーグマンの最新刊『End This Depression Now!』(未邦訳。「この不況を止めよ!」という意味)では、不況期に緊縮財政を進める愚かさと積極的なマクロ経済政策を発動することを主張しています。 日本では原発の安全性確保から始まり、将来的な防衛産業や交通インフラ、海底資源の有効利用など、将来的に富を生み出す投資はまだまだ少ないと言わざるを得ません。 さらに言えば、投資を有効的にするためにも、従来の公共事業にも民間資金を利用して施設整備や公共サービスを行うPFI(民間資金等活用事業)や従来の公的サービスを民間業者が行って公民の連携を進めるPPPを導入し、行政コスト削減と民間の活性化を同時に進める行政手法を取り入れていくことも可能なのです。 その意味で、従来の土建型公共事業ではなく、民間資本を活用する公共事業へとシフトすることで、財政政策の効果もあがることでしょう。 日本では、消費税増税に向けて民主党と自民党、そして公明党が協議を終え、いよいよ法案可決に向けて動き出します。ここにきて反対を表明する議員が出てきたことは良いとしても、経済成長に向けての具体策は何もないことは心もとない限りです。 幸福実現党は、「下山の思想」のような悲観論を打破し、「日本経済再建」宣言をしています。そして、ヒト・モノ・カネ・情報が日本に集まる世界一の経済大国を目指す中長期ビジョンを持っています。 今必要なのは、せこい緊縮財政路線ではなく、繁栄へのビジョンとそれを実現する行動力と勇気なのです。(文責・中野雄太) すべてを表示する « Previous 1 … 71 72 73 74 75 … 78 Next »