Home/ 経済 経済 「リニア常磐新幹線」の整備で福島の本格的な復興を 2017.03.26 幸福実現党・広報スタッフ 佐々木勝浩 ◆福島の復興は始まったばかり 東日本大震災・福島第一原発事故から6年が経ち、福島県の被災地の復興が少しずつ進んでいます。 2017年3月31日には飯館村・川俣町・浪江町で、4月1日には富岡町で避難指示が解除され、帰還困難区域を除くほとんどの地域で住民が帰還できるようになります。 幸福実現党は以前から、福島の放射線量は安全なレベルであり、安全性が確認された地域の避難指示をできるだけ早く解除すべきであると訴えてきました。 しかし、生活の基盤や公共サービスが整わない段階で避難指示を解除しても、住民の帰還が進まないため、避難指示解除が遅れた事情も理解できます。 福島県では、現在でも8万人近い方が県内外で避難生活を続けており(※1)、本格的な復興には程遠い状況です。 ◆国が進める「福島イノベーション・コースト構想」 被災地の本格的な復興を目指す支援策の一つとして、政府は「福島イノベーション・コースト構想」を推進しています(※2)。 同構想は、福島浜通り地域にロボット、廃炉、新エネルギー、先進医療、スマート農業などの研究開発型の新産業を誘致し、国際的な未来産業エリアとして整備するもので、福島復興再生特別措置法で法定計画に位置付けられることが決まっています(※3)。 もともと日本の強みでもあるロボット技術は、危険な廃炉作業を進めるために不可欠であることから、県はロボット産業の育成・強化に注力し、同構想に基づくロボットテストフィールドを南相馬市に建設しています。 また、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、楢葉町に遠隔技術開発センターを建設し、福島第一原発を模擬した巨大な建物の中で、ロボットによる廃炉作業の研究開発と実証を行っています。 廃炉で生まれた高度な要素技術は他分野のさまざまな場面に展開され、日本の産業競争力を飛躍的に高めるとともに、国民の生活を大きく変えることが期待されています。 ◆福島浜通り地域を劇的に変える「リニア常磐新幹線」 しかし、このような新産業の立地を進めるうえで最大の障害となるのが、交通の便の悪さです。浜通り地域には新幹線が通っておらず、建設中の研究開発拠点にアクセスするには、東京から3、4時間を要します。 これでは、残念ながら大都市近郊や新幹線が通る他の地方に見劣りし、浜通り地域への進出をためらう企業もあることでしょう。 幸福実現党は、リニア新幹線の全国整備による「第二国土軸」の形成、すなわち、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・四国・大分・福岡をリニア新幹線で結び、ヒトとモノの移動時間を縮める「交通革命」を起こすとともに、現在の新幹線のルートを多重化して災害に強い国土をつくることを提案しています(※4)。 これにより、東京都心と札幌・福岡の各都心を2時間~2時間半程度で移動できるようになり、日本の各都市が強力に結び付いて、高い経済成長を遂げることが期待されます。 このうち、東京・つくば・水戸・いわき・仙台を結ぶ「リニア常磐新幹線」を整備すれば、東京駅からいわき市への所要時間は、各駅停車型で約43分、速達型で約27分と、大幅に短縮されます(※5)。 いわき市から在来線や高速バスに乗れば、浜通り地域は東京駅から1~2時間程度でアクセスできる交通至便の地となります。 また、仮にいわきと仙台の中間である南相馬市にも駅を設置すれば、1時間半程度で浜通りの各地に到達できます。 浜通り地域には美しい海を望む緑豊かな丘陵地が多く、本来はとても住みやすい場所です。 したがって、「福島イノベーション・コースト構想」によって未来産業を誘致し、「リニア常磐新幹線」によってアクセスを抜本的に強化すれば、浜通り地域は、理想的な居住環境を備えた未来産業エリアとして生まれ変わることは間違いありません。 なお、「リニア常磐新幹線」(東京・仙台間)の建設費は約4兆円と試算され(※6)、中央新幹線(品川・名古屋間)の建設費約4兆円(※7)と同程度になると見込まれます。 ◆地域内の道路交通も大幅な拡充を ただ、国土の骨格となるリニア新幹線の整備だけでは解決しない問題もあります。浜通り地域では道路網が十分に整備されておらず、日常的に渋滞が発生しています。 2015年に全線開通した常磐自動車道は、いわき中央IC~亘理IC間が暫定2車線区間(一部の4車線化は認可済み)であり、渋滞が発生しやすく、高速道路として十分に機能していないのが実情です。渋滞緩和と事故防止のため、全線を速やかに4車線化する必要があります。 また、住民の生活道路となっている国道6号についても、供用済みのバイパスの暫定2車線区間を早期に4車線化するとともに、2車線の現道を拡幅またはバイパス化することによって、全線で4車線を確保すべきです。 ◆福島は新しいフロンティア 福島は無限の発展の可能性を秘めた「フロンティア」であり、その底力を引き出すのが幸福実現党の政策です。 幸福実現党は、浜通り地域における未来産業の立地促進や、なりわいの再構築とともに、「リニア常磐新幹線」の整備による抜本的なアクセスの強化、地域内の道路網の大幅な拡充等による、本格的な福島の復興を訴えてまいります。 ※1 福島県 避難区域の状況・被災者支援(http://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/list271.html)によると、2017年3月現在の避難者は77,283人。 ※2 経済産業省 イノベーション・コースト構想推進会議(第8回)配布資料(http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu/committee/innovation/coast/2017/0211_01.html) ※3 復興庁 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案について(平成29年2月10日閣議決定)(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20170208104011.html) ※4 幸福実現党 『日本ファースト123の政策』(新幹線網改定案23頁) (http://publications.hr-party.jp/files/policy/2017/003/origin/all.pdf) ※5 中央新幹線の計画に基づき幸福実現党が試算。 ※6 想定ルート・延長と中央新幹線の設計断面より幸福実現党が試算。車両費を除く。 ※7 国土交通省 中央新幹線(品川・名古屋間)の工事実施計画(その1)の認可について(http://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo09_hh_000049.html) 相続税と遺留分制度の廃止で日本を元気に! 2017.03.23 HS政経塾 第6期生 野村昌央 ◆改めて見る、相続税改正 平成27年から相続税法が改正されました。 改正された内容のうち、基礎控除については、「5000万円+(1000万円×法定相続人数)」から「3000万円+(600万円×法定相続人数)」に改正されています。 これによって、相続税が適用される人が増え、課税対象者は全人口の4%程度から8%になりました。実質的な増税です。 日本における相続税の税収は、平成5年度の2兆9000億円をピークとして、平成27年度には約1兆5000億円と減少が続いていました。 平成27年に相続税が改正され、平成28年度の相続税収は約1兆9680億円と増加しています。 しかし、相続税収は全体の税収に対して約2%しかありません。それに比べ、相続税があることの弊害は大きなものがあります。 ◆相続税のもとにある思想 平等の面を強調すれば、相続税を100%にすることで誰もが平等な人生のスタートを切ることができると考える方がいますが、そのような考えは行き過ぎた個人主義ではないかと筆者は考えます。 人間は家族を持ち、社会を形成して、互いの自由と権利を脅かさないために法律というルールを設けて生活を営んでいます。 家族に対して、有形無形にかかわらず、自分自身が人生で得てきた財産を残していきたい、引き継いでいきたいというのはごく自然な考えではないでしょうか。 もし、相続税を100%にして、そうした家族や近しい人での助け合い(互助・共助)を否定してしまうのであれば、ゼロから始める自助と、公助しかない社会になってしまいます。 そしてそれは、マルクスの言った社会主義思想に他なりません。 そうではなく、私有財産を認め、チャレンジして成功する人を称えることのできる社会でなくてはなりません。 他の人が成功できるということは、もちろん自分自身も成功することができる社会だからです。 そして、公的な支援に頼るのではなく、騎士道精神をもってよりよいコミュニティを築いていくことができる社会を目指さなくてはなりません。 また、相続税や贈与税は、所得再分配の思想をもとにしています。格差を否定し、努力し、チャレンジして成功することをも否定することにつながってはいけません。 ◆遺留分制度で家族の絆が奪われる なにより、相続税のために、子供が親の面倒を見ることが少なくなっている面があることを政府はしっかりと考えなければなりません。 例えば、遺留分制度があるために、親の面倒をみなくても、つながりがなくても、その財産を相続する権利があります。 どのように家族と交流を持とうが、社会福祉で生活することができ、相続も変わらないのであれば、子供は安心して親と別居します。 また、相続税があるために、家や土地を売らざるを得ず、お金で配分するということもあります。これでは家を持つ、家族で支え合って生きるということができない社会と言えます。 ◆家族の絆を深め、機会平等の社会を 生きて働いている時に所得税などの税金を納めてきたにも関わらず、死んでからもまた税金を取ることに、正当性があるのでしょうか。 憲法29条には「財産権は、これを侵してはならない」とあります。相続税は憲法に明記されている権利を侵している可能性があります。 この根底には、「お金は個人が持つのではなく、国が管理して、みんなのためにと考えたことに使うのが正しい」という社会主義思想の価値観が入り込んでいると言っていいでしょう。 遺留分制度が存在し、相続税がとられるということは、長い目で見れば日本には伝統的で文化的な価値のある家屋や資産は残りません。 家を大切にすることも、家族のつながりを大切にすることも無くなる、ということになりかねないのです。このような、国家が家庭の文化を破壊する相続税を廃止し、家族の絆と文化を守りながら、すべての人にチャンスが開かれる社会にしていかなくてはなりません。 東芝の苦難――日本から原子力技術者を絶やしてはならない 2017.03.19 幸福実現党岐阜県本部代表 加納有輝彦 ◆東芝の希望「米ウェスチングハウス」の破産??? 東芝は3月14日に一ヶ月遅れで決算を発表し、東芝の中核子会社で原子力発電所の建設や保守を手がける米ウェスチングハウス(以下WHという)が、7000億円規模の損失を計上する見通しであることを明らかにしました。 また、WHが手掛ける原子力発電所の建設工事がこのまま難航すると、さらに数千億円規模の損失が発生するリスクがあり、また損失がどこまで膨らむか見通せないため、東芝は原発事業の損失額を確定するため、米連邦破産法11条を申請しWHに破産法を適用させる方向で検討していると報道されました。 東芝内部からは、東芝存続には、WHの「破産」以外に道はないとの悲痛な声も漏れ聞こえてきます。 東芝は2006年、WHの一般的企業価値が2000億円といわれていた中、約6000億円という巨費を投じてWHを買収しました。 2006年当時の時代環境は、原子力ルネサンス。世界の原発関係者は期待に満ちていました。当時、原油価格の高騰は深刻で地球温暖化対策も世界的に喫緊の課題でした。これら二つの問題を一気に解決できる切り札としてクリーンエネルギー・原発へのニーズが世界的に高まっていました。 原発の世界市場を主導していた加圧水型軽水炉(PWR)に強いWHの買収は、東芝の原子力部門の悲願でもあったのです。 西田社長(当時)は、買収時、2015年度までに原子力事業の売上高を3倍から3.5倍にする。2015年までに原発新設で33基の受注を見込むと積極的発言を繰り返していました。 ◆リーマンショックそして東日本大震災 しかし、その後に起こったリーマンショックと、東日本大震災によって原発の未来図が変わってしまいました。 リーマンショックで巨額の赤字を計上した責任をとって辞任した西田氏の後任、佐々木社長は原発ビジネスへの傾斜を一層強めました。さらに東日本大震災後も、強気の姿勢は崩さず、2015年までに世界で原発39基の受注を目指すと表明していました。 2015.4月、東芝のほぼ全ての事業領域において不正会計が行われていたことが明らかになった後も、東芝はWHの売上高や利益は一切開示せず、一貫してWHの事業は好調とのスタンスを崩しませんでした。 しかし、東日本大震災後、国内外の原発新規プロジェクトは宙に浮いてしまい、東芝がWHを買収してから2015年までに受注して建設しているのは中国で4基、米国で4基、計8基に留まっています。 そんな中2015年11月、対外的な説明と内情が全く違っていたことが、一本のスクープで明らかになりました。 WHが計1600億円の減損処理を行っていた事実が報道されました。2012年、2013年度両年、WHは単体で赤字に転落していたのです。 東芝の不正経理の実態は、800人にも及ぶ関係者の情報により世に明らかになりました。 今回の原発事業の損失の真の原因に関しても、数十人の内部告発で明らかになりつつあります。 ◆東芝の原子力事業がなぜこれほどの苦境に陥ったのか ~内部告発者の声~ 東芝の子会社WHは、2008年、米国で4基の原発建設を受注しました。しかし現場での施工段階で設計図通りに出来上がらない、ずるずると工期が伸び、想定以上にコストが膨れ上がりました。工事は無限に続き、いつまでも完成しないのではないかという声も現場から聞かれるようになりました。 原因の一つが、各メーカーが作った部品や機器を原発の建設現場に持ち込み、実際に組み立てたり現場において設計図を解釈して最適な工法を選べる熟練作業員や現場監督が不足していたことです。 「米国では、1979年のスリーマイル島事故以来、30年以上にわたって原発の新設が凍結された事で、優秀な人材が流出し、建設現場で求められるノウハウの伝承が途絶えていた」ことが原因でした。(小笠原啓 日経ビジネスオンライン2017.3.13) 一方で、中国では、原発建設のノウハウを蓄積しています。 ◆日本から原子力技術者を絶やしてはいけない 東日本大震災後、再稼働しているのは伊方原発(四国)と川内原発(九州)のみです。原発は引き続きわが国のベースロード電源として使命を果たしていかなければなりません。現在、原発の今後について最終責任者たる気概を持った「主体」が、政治家にも官僚にも不在と言われています。 このまま無責任体制が続けば、日本国自体が東芝と同じ苦境に立たされるでしょう。 幸福実現党は、原発について最終責任者たる気概をもって政策提言を続けてまいります。 参考:日経ビジネスオンライン 「空き家」活用による地域活性化について 2017.03.14 HS政経塾 5期生 水野善丈 ◆「3戸に1戸」が空き家になる日 現在、日本の新築住宅数は年々積みあがっていく一方で、全国で空き家も一貫して増えています。2013年度「住宅・土地統計調査」によると、空き家の総数は全国で820万戸にのぼっています。 さらに野村総合研究所の調査によると、このまま住宅の除去や住宅用途以外への有効活用が進まなければ、2033年には約2015万戸、空き家率は30.2%になると予測され、3戸に1戸が空き家になるとまで言われています。 ◆なぜ、空き家が増えるのか? ここまで空き家が増えてきたのには、いくつか理由があります。 ひとつは、人口減少が進む中で、国の施策による住宅建設の推進です。 住宅建設の経済波及効果は、最終的に投資した額の倍以上の消費に繋がるので、「住宅ローン控除」や「住宅取得資金贈与の特例」など住宅投資への誘導政策により、新築建設が進められてきました。 また、2015年に相続税の最高税率が上がったように、民間では相続税対策による実需に合わない賃貸住宅の増産も進んでいます。そのため、空き家総数の52%を賃貸住宅が占めている状況です。 その一方で、日本の住宅市場の特殊な事情もあります。 新築住宅が増えるのはいいのですが、もともと建っていた敷地に住宅が建てられる再建築率はたった10%しかなく、中古住宅流通シェアが約14.7%(米:90.3%、英:85.3、仏:64%)しかないように、中古住宅の市場が日本では醸成されていません。 そのため日本では、本来、財産になるはずの不動産が、20年経つとほとんど価値がなくなってしまい、次の世代へ相続・売却をするころには「負動産」となり、活用が難しくなっているのです。 ◆「空き家」を地域活性化へ繋げる取り組み 「空き家」について政府が解決するのは不可能に近いです。なぜなら、地域によって事情も異なり、空き家解決策は様々であり、解決には空き家の需給のマッチングがカギを握るからです。 そこで、現在、全国の各地域では、増える「空き家」を地域の活性化策につなげようと、地域のコミュニティに繋がっている自治体やNPOなどが中心となって、様々な取り組みが行なわれて、実際に地域に移住者や雇用を増やしている事例があります。 その成功事例が、広島県尾道市の「認定NPO法人 空き家再生プロジェクト」の取り組みです。 これまでに再生した物件は20件近くに及んでおり、運営する「空き家バンク」の登録者数は700名を超えていて、事業をはじめて数年で、新規借り手80件以上、移住者150名以上の実績をだし、地域活性化に寄与しています。 成功要因は、面倒見の良いNPOに加え、さまざまなイベント、取り組みがあるため、参加しやすく、必要な人たちをうまく巻き込んでいるところです。 また、移住には仕事の問題も大きいですが、空き家を再生した「あなごのねどこ」というカフェが雇用を生み出しており、15名近く雇っています。 空き家を再生、活用することで地域に仕事が生まれ、経済が活性化し、それが地域の魅力をアップさせ、また移住者が増える。こうした循環の中心にいるのは、行政や自治体でもなく、民間の力であるNPOでありました。 ◆国民が主体となる国家設計へ 空き家は、一見みると、不安要素しかなく活用に困ります。しかし、地域の人たちの繋がり、考え、アイディア次第では、地域のブランド力を高める材料・財産にも生まれ変わるのです。 今回取り上げた、例は一部で、NPOだけでなく、自治体が中心となって空き家を地域活性化へと結びつけて成功している例はたくさんあります。 今までの日本では、問題が起きれば、政府が税金をかけて、規制を強いて何でもやるような、大きな政府の政策が行なわれてきました。 しかし、社会に多様性ができ、様々な社会問題が生じてくる中で、政府がすべてやろうとすればするほど、成果がでず、税金がかかる一方です。 多様な社会であるからこそ、発想を逆転させ、民間の力で解決できることは解決する方向へ舵を切らねばならないと思います。 今回の空き家で考えるならば、税収の数%しかない、相続税・贈与税を撤廃することで、空き家が必要なところに循環することにより、新たな市場が生まれ地域活性化へより前進していくと考えられます。 また、旧くなっている建築基準法も、リノベーションがより進み中古住宅市場が活性化するように、民間からの声も吸い上げて変更すべきところは変更していく必要があります。 地方創生の一番重要である「民間の力」を引き出す政策をこれから具体的に作りだしていきたいと思います。 <参考資料> 「解決!空き家問題」 中川寛子 「老いる家 崩れる街 -住宅過剰社会の末路-」 野澤千絵 国民が必要としてないマイナンバー制度を拡大させる政府にご用心 2017.02.26 幸福実現党神奈川県本部神奈川第三選挙区支部長 HS政経塾 第四期生 壹岐愛子 ◆10人に1人しか申請していないマイナンバー 2015年10月からスタートした、マイナンバー制度。 12桁の番号が日本の全住民に付与され、「公平・公正な社会の実現」「国民の利便性の向上」「行政の効率化」というお題目のもと、国民の理解がないままはじまりました。 制定されてから約1年半、幸福実現党はマイナンバー制度制定前からこの制度の問題点について指摘してきましたが、制定後の現状はどうなっているのでしょうか。 まず、開始当初から起こったのがシステムトラブルです。 自治体窓口では2016年1月以降、カード交付時のサーバー障害が約2カ月にわたり1日に1回のペースで発生し、さらに大規模な障害が6回も発生しました。 このため処理ができず申請者にカードを手渡せないケースが続発し、総務省は、当初予定していた「2016年3月末までに1000万枚」の交付目標を、ほぼ4分の1の260万枚に引き下げました。 その後も利用者は増えず、総務省による昨年の10月時点でのマイナンバーカードの申請件数は、約1143万件です。これは日本の人口に占める約9%で、10に1人程度しか申請していないことになります。 ◆来年には保険証とマイナンバーが紐づけられる ただ税金はこれまでにすでに1千億円以上投資されています。 昨年度のマイナンバー関連事業費は1150億円。内訳は、自治体クラウド整備に450億円、情報セキュリティー構造改革に400億円、住民基本台帳ネットワーク運営やデータ移行などに300億円。 その結果申請率9%です。民間企業であれば、採算がとれない部門の廃止は充分に検討されますが、政府内で見直しの声はあがってきません。 むしろマイナンバーの利用拡大を躍起になって進めております。 昨年の9月に「ワンストップ・カードプロジェクト」チームが太田大臣補佐官統括のもと、内閣官房・内閣府・総務省・厚生労働省・文部科学省・経済産業省などの関係府省における関係課室長により構成されるプロジェクトチームとして結成しました。 このプロジェクトでは具体的に利用拡大項目として「マイポータルにおける子育てワンストップサービス」「コンビニ交付導入促進」「マイキープラットフォームの推進」の3本柱をアクションプランとして発表し17年度予算案とは別にシステム投資をする予定です。 さらに、厚生労働省は2018年度から、マイナンバーカードが健康保険証として利用できるように計画しております。 このように国民には知らされず、いつのまにか莫大な税金が使われ、知らない間に私達国民を一元管理できる制度を構築しようとしております。 ◆マイナンバー制度でどれだけ効果があったかは不透明 これまでのマイナンバー制度で、どれだけの効果があったか不透明にも関わらず、税金をつぎ込み利用拡大を進める政府は傲慢であり、社会主義の方向にむかう日本国家に危機感を感じます。 マイナンバー制度の導入は、情報漏洩の危険性があるほか、国家による監視社会の構築や資産課税の強化など自由の抑圧につながるため、廃止を含めた抜本的な見直しが必要です。 幸福実現党はマイナンバーの適用範囲の拡大を中止するとともに、分野別番号への移行を進めます。国民が望んでいないマイナンバーを進める政府の動きに関しては充分に用心していく必要があるでしょう。 21世紀、日本の宇宙計画【3】――月と火星に植民都市を 2017.02.18 幸福実現党・茨城県本部代表/茨城第1選挙区支部長/経済部会 川辺賢一 ◆新しい宇宙輸送手段の確立を 前回はフロンティアが消失した地球において、人類は生き残りを図るためにも、多惑星間をまたいで活躍できるようにならなければならないこと、また、そのためには現状のロケットには限界があり、プラズマ推進を始め、次世代ロケットの開発を進めていく必要があることを述べました。(参照: http://hrp-newsfile.jp/2017/3069/) しかし、果たして今の延長線上に、人類の宇宙進出のための橋頭堡として、今世紀中に月や火星に植民都市建設を進め、100万人規模の移住や自立的な文明を建設することは可能なのでしょうか。 現在、私たちが宇宙に行く手段はロケット打ち上げに限られておりますが、ロケットに頼り続ける限り、人や物資の大量輸送は困難で、高コストで、例えば小惑星に希少物質や鉱物資源があっても採って返って来るだけの費用が経済性に見合いません。 「常識は疑うためにある」と過去の哲人が語ったように、私たちはロケットを使わずに、宇宙に行く方法も考えなければなりません。 ロケット以外に宇宙に行く方法としては反重力推進装置や地上からのビーミング推進等、様々なアイディアがあり、どれも研究は進めるべきですが、現在の技術の延長線上に実現可能なアイデアは、宇宙エレベーターです。 ◆日本で始まった宇宙エレベーターの宇宙実験 宇宙エレベーターとは、地表(海面)と宇宙をケーブルでつなぎ、そのケーブルに沿ってクライマーといわれる乗り物を上下させ、地上から宇宙空間に人や物資の大量輸送を、しかもロケットに対して95%以上も割安の費用で、可能にするシステムです。 なおクライマーを昇降させる際に要するエネルギーについては、パワービーム、つまり電波やレーザーによって電力を送ります。 大手建設の大林組の計画では、宇宙エレベーターのケーブルは全長10万km。 ケーブルに対しては、高度3万6千kmの静止軌道を基点として、それより地球側は地球の引力で内側に引っ張られ、それより宇宙側は遠心力で外側に引っ張られる力が働きます。 この潮汐力に耐えられる強くて軽い素材が今までなかったために、宇宙エレベーターは長い間SFの域を出ない壮大なフィクションでしたが、1990年代に入り、次世代炭素素材としてカーボンナノチューブが日本人の手で発見されると、俄かに宇宙エレベーターの可能性がNASAを始め、先進国で議論されるようになりました。 日本においても、昨年12月9日に打ち上げられたH2-Bロケットに積載された輸送機のなかには、宇宙エレベーター実験用の人工衛星が積まれ、宇宙空間で初となる本格的な実験が始まろうとしており、実は水面下で先進各国は開発を進めています。 ロケットに対する宇宙エレベーターの最大の利点は徹底的なコスト低減と宇宙空間に運搬可能な積載トン数の大幅な増加です。 ロケットの場合、宇宙に運ぶための積載物は全重量のたった1割しかなく、多くの場合、一度使ったロケットは使い捨てです。 もしも一度乗ったら使い捨て、そんな飛行機があったら、あまりにも不経済だと感じると思いますが、そうした前近代的な状況に宇宙ロケットの現状は置かれております。 また現在、ロケットによる宇宙探査に必要な費用の大部分は地球から脱出することに費やされておりますが、宇宙エレベーターが実現されれば、例えば月面探査費用は今より98%も削減できます。 宇宙エレベーターのケーブルは地球の自転に同期して回転しており、ケーブルの先端に行けば行くほど、高速で移動しております。 そのため地表から物体を打ち上げた場合、地球の引力の影響を受けないところまで脱出するためには、秒速11kmの速度が必要ですが、宇宙エレベーターを使って高度4万7000km地点まで行った場合、ただそこで宇宙船を切り離すだけで地球の引力から脱出できてしまいますし、同じ要領でもう1万km程先に行けば、火星の公転軌道まで到達できます。 宇宙エレベーター経由で月面基地を行き来することで、大量輸送も可能となり、ほどなくして大規模なコロニー建設や月資源の輸送、観光客の来訪が始められます。 つまり宇宙エレベーターを軌道カタパルトとして使い、宇宙空間で軌道変更用に一部ロケットの噴射を利用することで、私たちは太陽系中の惑星を周遊できるようになり、さらなる遠宇宙に向けた航行が僅かなエネルギーで可能になるのです。 ◆未来を創る挑戦を そして日本や世界では今、宇宙エレベーター技術を競う大会が開催され、様々な大学の研究室や企業がチームを作り、数百から千m上空からケーブルを降ろし、そこを各々のチームが独自に開発したクライマーを昇降させ、速度や安定性を競っております。 筆者自身、後援会活動の一環として、クライマーを開発し、宇宙エレベーター競技への参加を通じて、人類の宇宙進出に向けて国民を鼓舞する啓蒙運動を展開する段取りを組んでいます。 未来を創る挑戦者として、筆者と共にチームを組んでクライマーを開発し、大会に参加する熱い仲間を随時、募集しておりますので、技術面、資金面に限らず、ご協力可能な方のご連絡をお待ちしております。 確かに、実際、宇宙エレベーターを実現するためには、技術的な問題のみならず、政治的問題、安全保障上の問題も多々あります。 しかし、宇宙エレベーターの建設をマイルストーンに、技術開発を進めていくなかで、未来の自動車や航空機、その他様々な構造物の素材となりうる軽くて強い新素材の開発が進みますし、クライマーに電力を送るパワービームの技術は今後、バッテリーを搭載せずとも飛行可能な無人輸送機が飛び交う未来社会においては必須の技術となるでしょう。 だから日本は宇宙エレベーターの開発を始め、宇宙開発への大型投資を進めるべきなのです。 このように幸福実現党は人類の未来を創るべく、飽くなき挑戦を続けていきますので、その一員として、一人でも多くの方に党員になって頂きたく思います。 第3次補正予算が成立—見え隠れするアベノミクスの限界 2017.02.04 HS政経塾第4期卒塾生 西邑拓真 ◆第3次補正予算が成立 2016年度第3次補正予算が先月31日の参院本会議で、賛成多数で可決、成立しました。 一会計年度の年間予算として成立した当初予算に対し、補正予算は、会計年度途中に予算の追加や変更が生じた際に、議決を経て組まれる予算のことを指します。 今回の補正予算の歳出総額は6225億円を計上しています。 また、今回、税収の見通しが当初の見込みよりも1兆7440億円引き下げられたことから、その不足分が赤字国債の発行で穴埋めされます。 年度途中に赤字国債を追加発行するのは、リーマン・ショックの影響を受けた2009年度以来、7年ぶりです。 ◆見え隠れするアベノミクスの限界 税収が当初の見込みよりも落ち込んだ要因として、「円高」に端を発した「法人税収の伸び悩み」に求められています。 しかし、第二次安倍政権の発足以来掲げられたアベノミクスの限界が、国内景気の悪化を招いて税収減をもたらしているのが実態であり、それゆえにこそ今回、赤字国債の追加発行に踏み切らざるをえなかったとみるべきではないでしょうか。 アベノミクスにより、金融緩和策と消費増税をはじめとした一連の増税策が行われ、日本経済はまさに「アクセル」と「ブレーキ」を同時に踏み込んでいる状況です。 先月には、給与所得控除の引き下げによる増税策が始まりました(注1)。 また、今年4月には、タワーマンションの建物の固定資産税評価見直し、18年には預貯金口座へのマイナンバー付番開始が予定されるなど、安倍政権下で今後、「大増税パッケージ」実施が待ち構えています。 (注1)17年1月1日より、年収1000万円を超える会社員の所得控除額の上限が230万円から220万円に引き下げられた。財務省の試算によると、今回の税改正で、夫婦と子供二人の世帯で、年収が1200万円の場合3万円、1500万円の場合4万円の税負担がそれぞれ増加することになる。 ◆ 「トランプノミクス」に邁進するアメリカ 翻って米国は、トランプ新大統領により、35%から15%への法人減税、所得税率の区分を7つから3つへの簡素化と最高税率の39.6%から33%への所得減税の実施を明示しています。 注目すべきは、大胆な減税策だけではありません。先月30日、トランプ大統領は、「一つの規制を作った場合、既存の二つの規制を廃止する」という旨の大統領令に署名しており、併せて、米国内の全ての規制の75%を廃止するとしています。 このように、「トランプ革命」へひた走る米国は今、大胆な減税と規制緩和策によって、経済の活力向上に大きく向かおうとしています。 ◆「日本ファースト」戦略により、大胆な減税・規制緩和策を 今、「シムズ論(注2)」に注目が集まっています。 かねてより大胆な金融緩和策によりデフレ脱却を図るべきだと訴えてきた内閣官房参与・浜田宏一氏は、当理論に影響を受けたとしたうえで、アベノミクスの手詰まり感を解消するために今必要なのは「財政拡大だ」とする考えを主張しています。(朝日新聞17年2月3日付「アベノミクスに手詰まり感―「生みの親」浜田・内閣官房参与に聞く」参照) ただし、今回の補正予算の成立で2016年度の歳出総額は100.2兆円にものぼることになりましたが、この理論によりやみくもな財政出動が合理化され、結果的に「大きな政府」へ向かうのは避けなければなりません。 民間活力の向上なくして、景気回復もなければ、経済成長もありません。 日本が本当に必要としている財政政策とは「減税政策」であり、これに大胆な「規制緩和策」を併せた「自由の領域」の拡大が今、この国に求められているのではないでしょうか。 トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げ、前例なき施策を相次いで明らかにしている中、自国の発展と繁栄のために、日本も、とるべき政策を淡々と実行すべきでしょう。 (注2)クリストファー・シムズ米プリンストン大学教授が提唱する「物価水準の財政理論」では、金利がゼロ近辺まで低下すると量的金利が効果を持たなくなり、マイナス金利幅を拡大すると金融機関のバランスシートを損ねるとしたうえで、今後は減税も含めた財政の拡大が必要であるなどといった考えが述べられている。 参考文献 週刊エコノミスト「財政が物価水準を決めるシムズ論を読み解く」(2017年1月31日号) 週刊エコノミスト「徴税強化2017」(2017年1月31日号) ロボット産業の発展に向けて――今日本に必要なこと 2017.01.05 幸福実現党・神奈川県本部神奈川第3選挙区支部長 HS政経塾 第4期生 壹岐愛子 ◆ロボット産業のこれまで 日本の産業用ロボットの年間出荷額、国内稼働台数は世界一であり、我が国は「ロボット大国」です。 1980年代に市場規模は760億円でしたが、1990年代には6000億円代まで伸びました。しかしその後15年間市場規模は変化しておりません。 近年は中国に年間導入台数で逆転されており、世界の産業用ロボットのシェアも日本は半分から3分の1となりました。 こうした世界のロボット市場拡大に対し、我が国のさらなる発展に向けた国家プロジェクトが立ち上がり、2014年経済産業省からは「ロボット新戦略」が打ち出されました。 新戦略では、2020年までに産業用を2倍の1.2兆円、非産業用を現在の600億円の10倍の6000億円にする目標が打ち出されております。 ◆発展を止める現状の課題 こうした中において日本企業の課題となっているのが、研究費に比べ実用化に向けた投資ができないところにあります。 日本のロボット開発への研究費は約200億円です。これは決して低い額ではありません。 しかし、開発の中心となっている大企業が、市場規模がまだロボットの新分野に対して投資よりもリスクを恐れ、実用化に舵をきれない現状があります。 一方アメリカでは研究費50億円規模のベンチャー企業が活躍しています。開発から実用化に向けて進みやすいのです。 その点、日本には技術とお金はあっても富に変えていくイノベーターがいないのです。 ◆ロボット産業発展の鍵は日本人の精神性 ロボット産業の発展を担う鍵は日本人の2つの観点からみた精神性にあると思います。 一つは、新しい分野を開拓していくフロンティア精神です。 課題先進国と言われている日本では様々な分野でロボットのニーズが高まっております。強みの医療・介護、災害派遣用など新しい分野においてジョブクリエーションできる可能性を実現化しなければいけません。 またマスコミや左翼陣営による企業叩きが強い昨今、ミスをしたら企業生命が断たれるような日本の風潮のままでは、シリコンバレーのようなベンチャー精神あふれる企業や起業家の誕生は難しくなるばかりです。 批判の先に国を発展したい思いがあるか一人ひとりが自覚できる国を政府は目指すべきです。また、「技術は国富になり国益となる」と信じ投資できる信念が必要です。 もう一つは、宗教面からみた視点です。 現状の政府のロボット革命にはロボット共存していく中での人間の尊厳の裏付けがされておりません。 幸福実現党はロボットやAI(人工知能)の進化に伴い、人間は「神の子、仏の子であり、神仏が創られた存在」であることを明言しております。 将来ロボットや人工知能が敵にならないためにも、またロボットが悪用されることのないよう、心や善悪のような目に見えないものに対する価値観が重要になっていきます。 ロボットと共存する未来社会をつくるためには、一見対比するような精神的なものが求められているのです。 IR推進法は浪費推進法!?――賭博で日本を豊かにできるのか? 2017.01.01 幸福実現党・大阪第5選挙区支部長 数森 圭吾 ◆IR推進法とは 2016年12月15日の衆議院本会議で自民党や日本維新の会などの賛成多数で「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」、いわゆるIR推進法が成立し、カジノ合法化への道が開かれることになりました。 このIRとはIntegrated Resortの略で統合型リゾートを意味しています。 この統合型リゾート施設とは、地方自治体の申請に基づいて、カジノの併設を認める区域を指定されて設置される国際会議場・展示施設やホテル、商業施設、レストラン、劇場・映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温浴施設などと一体になった複合観光集客施設をさしています。 この説明ですと、IR推進法が地域にエンターテイメント性や商業性の向上をもたらし、人もお金も集まってくる良いイメージを持つ方もいるのではないかと思います。 このIR推進法の主なメリットとしてあげられているのは、「国内外からの観光客の誘致やMICEの振興」「カジノ税収入など新規財源の創出」「地域での雇用促進や経済波及効果」などです。つまり政府は「消費促進にともなう経済効果」「新たな財源(税収)」を狙ってカジノを合法化しようとしているといえます。 ◆刑法185条 賭博の禁止 しかし日本では刑法185条によって賭博が禁止されています。これは、賭博を放置すると国民の勤労意欲が失われ、さらに賭金の獲得や借金の返済のために窃盗や強盗など他の犯罪が誘発されることなどが懸念されるためであり、賭博罪とは、風俗ないしは経済倫理・秩序に対する罪であるとされています。 IR推進法の成立によって、今後日本でカジノの法制化がすすめられるにあたり、この刑法で定められた賭博罪との矛盾を乗り越えることは非常に難しい問題です。 個人で賭博をした場合には犯罪となるにも関わらず、国が関わるカジノは合法となることには疑問が残ります。 ◆「賭博が国を滅ぼす」と考えた歴史の為政者たち 歴史を振り返ると、日本初の賭博禁止令を出したのは689年の持統天皇で、その対象となったのは「すごろく」でした。 また戦国時代には武士たちが陣中などでも賭博に熱中したことから、「賭博」が士気に関わる懸念材料の一つとなっていたそうです。そのため徳川家康が天下統一を果たすと、賭博常習者を厳罰に処したとされています。 歴史的にも為政者にとって「賭博は国を滅ぼす」と認識されることが多かったと言えます。しかし反対に、今の政府はこの賭博を合法化しようと考えているのです。 ◆カジノ解禁によるデメリット カジノ解禁によるデメリットとして、「反社会的勢力の活動の活発化」や「ギャンブル依存症問題」などが懸念されています。 カジノ解禁によって暴力団やマフィアが介入する可能性が高まり、反社会的勢力の資金源を増やすことになる。またマネーロンダリングにカジノが利用される可能性もあるといえます。 またカジノが身近にできることによってギャンブル依存症となる人の増加が見込まれるともいわれています。 ◆IR推進法によって促進されるのは消費?浪費? IR推進法は消費促進にともなう経済効果と新たな財源を狙ったものです。政府の思いは「なんとしても国民に金を使わせたい」というのが正直なところでしょう。 刑法にある理念や倫理を無視してまで行われる消費推進はいつのまにか「浪費推進」になっていくのではないでしょうか。これでは国民の堕落を招きかねません。 ここ最近の政府の他の動きをみると、10年以上使われていない預金を政府が回収する「休眠預金法案」や、月末の金曜は15時退社を推進する「プレミアムフライデー」がすすめられています。 財源確保や消費促進のためなら私有財産没収を行い、民間企業の就労スタイルにまで口をつっこむ政府は「国民が消費するためなら手段は選ばない」という次元にまできているのではないでしょうか。 この考え方を極端にしていくと「理想実現の為なら暴力革命も厭わない」という共産主義的発想に通じるような怖さもどこかで感じてしまいます。 政府は自由主義・資本主義の精神に基づいた政治理念について考え直し、減税など、健全な消費を促す政策を実行し、経済発展に伴う税収の確保を第一とすべきではないでしょうか。 世界の一流企業を日本へ誘致するために 2016.12.20 HS政経塾第6期生 坂本麻貴 ◆国外へ立地していく日本企業 最近、服を買っても、本棚や家具、百円均一で小物入れや雑貨を買っても、中国製などの商品が非常に多くなっています。 二次産業に限らず、大企業の製造工場の多くは、税率のやすい海外へと移転し、日本国内の空洞化が問題となっています。 ◆生産の国内回帰促進でメイドインジャパンを世界に なぜ、企業は工場や本社を海外に立地するのでしょうか。 その理由は、一つは労働力の確保の容易さや人件費の安さ、もう一つは、税率の低さがあります。現在、日本の法人税実効税率は29.97%ですが、これは世界で7番目に高い税率です。 それに対してシンガポールが15%、韓国は24.2%です。イギリスは20%、アメリカ38.92%ですが、今回の大統領選で勝利したトランプ氏は、15%まで引き下げようとしており、それを受けてイギリスでも17%まで引き下げようとしています。 アメリカが15%まで引き下げ、中国などに進出している工場などがアメリカ国内への立地が進めば、日本の国力はどんどん落ちていってしまいます。 国民の生命と安全、財産を護るためには国力をつけなくてはなりません。 国力とは、産業と軍事力が中心だということを考えれば、日本国内に新産業をそだてる環境を整えるのと同時に、海外に進出していった企業を呼び戻し、国際競争力をつける必要があります。 ◆法人税パラドックス 法人税率を下げると税収が下がってしまうという理由で、財務省は減税に消極的です。 しかし、たとえば、イギリスでは税率を33%から23%に引き下げた時、税収は年平均4.8%伸びています。このうち4.5%分は経済成長によって企業の課税所得が拡大したためとされています。 また、ドイツでも、2008年に9%下げたことにより、ドイツ企業の国際競争力が上がり、オランダやアイルランド等の低税率国に移転されていた所得が、再びドイツに戻り、税収も上がっています。 つまり、高すぎる税率だった場合、ある程度まで下げることによって逆に税収増が見込めるのです。 ◆国力を支える哲学の必要性 現在の税制には哲学がありません。哲学がないため、税制改正草案をいくら練って表面的な数字を変えても、どこかで必ず失敗するのが目に見えています。 それは、公正・公平であるということにとらわれ過ぎて、「結果平等」になっているからです。結果平等は、「結果さえよければ手段は何をしても構わない」という共産主義的な考え方からくるものです。 共産主義の思想のもとに税制を考えると、基本的に取れるところから取れるだけ取る、というような方向に進んでいきます。 しかしそれでは、努力を重ねて稼いだ人も、そうでない人も同じ税率を負担するということになります。 こういう考えの下では、個人の能力も企業の活力も育まれにくくなります。そういう「公平さ」よりも、努力した人が報われる、「機会の平等」をもとにした税制であるべきではないでしょうか。 長い目でみて産業を育てていく税制改革を進め、産業を復活させて雇用や消費を増やしていかなくてはなりません。 すべてを表示する « Previous 1 … 27 28 29 30 31 … 78 Next »