Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 ニッポンの防衛費――米国兵器依存から日の丸防衛産業の復活を【後編】 2022.06.19 https://youtu.be/wzo_UbLxDXE 幸福実現党党首 釈量子 ◆日本が見習うべき、ドイツ・ショルツ政権の特別防衛基金 日本にとって大きな参考になるのが、ドイツ・ショルツ政権が決断した防衛費に関する新たなイノベーションです。 日本は「財務省主導型」、いわゆる従来の「予算要求型」で、防衛省が財務省に予算を下さいとお願いする形では、機動的で、十分な防衛配備はできません。 こうした限界を超えるために、例えばドイツ・ショルツ政権は、ロシアによるウクライナ侵攻が欧州に及ぶ危機に対応する形で、「GDP比2%程度」の防衛予算と共に、特別防衛基金として「13兆円規模」のファンド創設を決断しています。 このように、「財務省主導型」から「防衛省(連邦国防省)主導型」に移行することで、より柔軟で機動的な防衛体制の構築につながることは間違いなさそうです。 ◆兵器の米国依存脱却、「日の丸」軍事産業を立ち上げろ! 現在の混迷を深める極東情勢において、中国による台湾や尖閣諸島・沖縄への侵略行為や、北朝鮮によるミサイル攻撃、ロシアによる北海道侵攻など、いつ何時、日本が攻撃される事態が起こってもおかしくない状況になりつつあります。 幸福実現党は、「日本の未来を本当に守り抜くためには」という命題に対して「国防費」についても考えていきたいと思っております。 また、日米首脳会談によって、「防衛費の相当な増額」がなされたといっても、結局、日本の血税は、「相互運用」というアメリカとの「お約束」によって、すべて米国の軍事産業に流れていくのも不都合な真実でしょう。 実際に、海上自衛隊の装備も、ほぼ米国製だともいわれています。 今後、日本では、「防衛産業」を日本の基幹産業として立ち上げていく必要があると我々は考えております。 例えば、北海道の室蘭は「鉄の街」と言われ、日本製鉄や日本製鋼がありますが、その周辺にも、加工技術に優れた中小企業が数多く存在しています。 地元の室蘭工業大学にも航空宇宙工学を研究する学部があり、宇宙開発の研究も盛んに行われているという特徴を備えています。 ロケット発射技術は、電波で誘導すれば軍事で転用できます。日本の地方都市でも大きなポテンシャルがあると言えます。 ◆兵器の米国依存の脱却、「日の丸」軍事産業の立ち上げを しかし、最後にボトルネックがあります。それが「憲法九条」です。「国を護る」のは、予算があって、武器があればいいというものではありません。 いわゆる「平和憲法」の呪縛が、この国の手足を縛り、国防論議もされない中において、「防衛費の相当な増額」を大きな成果だと考える現政権に、はたして国を護り抜くことができるのでしょうか。 更に言えば、日本では大学で軍事に関する研究すらできません。どの国でも大学は国益に資する研究を競って行っています。 軍事研究によって革新的な技術が生まれてきた事例としては、コンピューター、人工衛星、GPS、インターネットなどがあります。アメリカでは大学の軍事研究が国に大きく関わっています。 今の日本は、未だかつてない国防上の危機に立たされています。自国で軍事研究を行うことは、国家の自助努力として欠かすことはできません。 軍事転用できる技術というのは、他国が常に狙っているため、「軍事研究するな」という規制を廃し、防衛力強化につなげていかなくてはならないはずです。 ◆政府がやらなくてはならない仕事 幸福実現党は次の参議院選挙においては「減量の経済学」を掲げております。 デジタル庁や子ども家庭庁や、また新設予定の「健康危機管理庁(仮称)」など、無駄な省庁や役人を減量し、「政府はやらなくてよい仕事はするな」と訴えています。 しかし、「政府がやらなくてはならない仕事」、それが国民の生命・安全・財産を護る「国防」という仕事です。防衛費の拡大と、バラマキや政府の無駄仕事などと、同じにしては断じてなりません。 ウクライナ支援のために、6億ドルを拠出する岸田政権ですが、であるならば、ノーガードの北海道防衛や、いつ何時起こってもおかしくない、中国による尖閣・沖縄など南西諸島侵攻に万全の備えを構築することこそ、必要なのではないでしょうか。 ニッポンの防衛費――米国兵器依存から日の丸防衛産業の復活を【前編】 2022.06.18 https://youtu.be/wzo_UbLxDXE 幸福実現党党首 釈量子 ◆「防衛費の相当な増額」、それは日本の防衛に本当に足りるのか? 5月23日、日米首脳会談の後、岸田首相は「防衛費の相当な増額を確保する決意」について、アメリカの支持を得たことを明かしました。 ここでの「相当な増額」について、安倍元首相は「6兆円の後半という意味ではないか」とコメントしましたが、現時点でははっきりしていません。 2021年度の当初予算は約5.3兆円でしたが、その後、防衛費6兆円を初めて超す予算の補正が加えられました。 安倍元首相が言った「6兆円の後半」が本当であれば、昨年に続いて大幅アップとなることは間違いありません。 しかし、いま日本を取り巻く周辺国の「脅威」からみて、「その防衛費は、はたして妥当なのか」「日本を守り抜くことが出来るのか」、そうした議論が尽くされた上で算出されたものとも言えません。 適正な防衛費を図る一つの指標である、「防衛費GDP比」から見ても、日本は「GDP比1%」の枠から上回ることもなく、ここ50年以上、国際情勢などの激変は無視するかのように、ほぼ横ばいで推移しています。 この「GDP比1%」をその他の主要国と比較してみると、シンガポール約3%(2.98%)、韓国2.78%、英国は2.2%。 他にも、米国3.74%、インド2.88%、ロシア4.26%、イギリス2.25%、サウジ8.45%、ドイツ1.4%、フランス2%など、他国との差は歴然。日本は極めて低水準であると言えます。 ◆横這い日本とは比較にならない軍拡をとげる中国 日本が「GDP比1%」の呪縛に囚われ続けてきた中、急ピッチで軍事費を拡大し続けたのは、お隣の中国です。 実際に、中国政府が2022年に公表した軍事費は約26兆3000億円と、日本の4倍以上ですが、実際はもっと多いとみられています。 その根拠が、アメリカが2021年度に作成した報告書によると、「中国が公表する軍事費はいくつかの主要な項目を省いている。公的な研究機関によれば実際は公表値(26兆3000億円)の1.1~2倍になる可能性がある。」と述べています。 この事実を鑑みるに、4倍どころか5倍~8倍の軍事費を使っていると言えます。 それに比べると、日本の防衛費の内訳を見ると実に貧弱と言わざるを得ません。人件・糧食費が約4割(42.8%)、維持費が約2割(22.7%)、基地対策経費が約1割(9%)なので、現状維持のために実に予算の「4分の3」が費やされています。 残りの「4分の1」、昨年度でいえば「1兆5千億円強」で新たな防衛力をつくるための資金を捻出している、苦しい懐事情にあるのが実態です。 ◆GDP5%程度なければ、今の日本は到底守り抜けない!? では「いまの日本にはどの程度の防衛費が本当は妥当なのか」これまでとは違う視点で考えてみたいと思います。 自衛隊元西部方面総監の用田和仁氏によると、「本当に日本を守り抜くには今さら『倍増』では到底間に合わない。『5倍増』のGDP5%程度が妥当だ」といいます。 そして、用田氏は、最優先事項として次の項目を指摘しています。 (1)サイバーや電磁波領域の装備増強 例えば、中国は軍用無人機の開発に非常に力を入れてきました。 日本の防空識別圏に中国の無人偵察機が侵入していますが、今後、おびただしい数の攻撃型ドローンなどが、我が国の領土を襲来する可能性も指摘されています。 そのような時に、電子機器を攪乱したり、焼き切ったりするのが、電磁波領域の装備です。 また、自衛隊の人員を簡単には増やせない点を補うための「無人潜水艇」などを、海・空における無人化・ロボット化などの技術開発は促進すべきだとも指摘されておりました。 (2)次に、中国のような軍事大国に対しては「空母や軍艦を出すならそれを対艦ミサイルで沈める」といった非対称戦的な戦い方を重視し、予算を投下することです。 (3)もちろん、ミサイル防衛の整備や、水中での作戦を有利に進めるべく、攻撃型原潜等の配備の重要性も言及されていました。 (後編につづく) クアッド失敗!? 対露制裁でほころぶ中国包囲網【後編】 2022.06.15 (6月1日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆クアッドとしての立場を考えない「親中派」 このように、アルバニージ氏は親中派の政治家であり、経済の落ち込みを救うために心理的にも距離が近い中国との関係の改善に動くでしょう。 そうなれば、「対中国」であるはずのクアッドが機能しなくなる恐れがあります。 さらに、ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、アルバニージ氏は中国とは「大惨事に至らない競争を」と述べています。これはバイデン政権がよく使うフレーズです。(※1) 当のバイデン政権は、インフレを止めるためにトランプ政権が課した中国への関税を引き下げることを検討しています。 実際に引き下げとなれば、これを合図にオーストラリアも中国との関係改善へ動く可能性もあります。 まさに、ロシア制裁などによるインフレを皮切りにして、クアッドの中国包囲網がほころびつつあるわけです。 クアッドのうち、オーストラリアとアメリカは、このように中国接近の流れができつつありますが、残りのインドは多くの報道の通り、対ロシア制裁に明確に賛同せず、むしろ、ロシアからの石油などを爆買いしています。 3月・4月だけで昨年1年間の原油輸入量の倍以上を購入、発注しています。(※2) ◆歩調も合わず、本末転倒のクアッド これらの事実が何を意味しているのかと言えば、中国とロシアを権威主義国と言って、同時に相手にする戦略、これは「破綻している」ということです。 クアッドが対ロシアに動こうとすれば、インドはクアッドに賛同できなくなり、アメリカやオーストラリアは対ロシアのため、経済的に中国に対して融和姿勢を取るようになります。 それが、先日の首脳会議のあとの共同声明でも表れています。声明では、ロシアにせよ中国にせよ、名指しはできていません。 一方で、中国とロシアは爆撃機6機をクアッドの会議に合わせる形で日本周辺に飛ばしています。明らかにクアッドに対して、中国とロシアで連帯するぞという姿勢を示しています。 このように当のクアッド側は、お世辞にも歩調が合っているとは言えず、さらにはクアッドの動きに刺激された中露を結束すらさせてしまっているわけですから、本末転倒です。 クアッドは、もはや失敗であると見るべきでしょう。 ◆日本は独自外交を 中国は着実に対クアッドの布石を打っています。日本とオーストラリアの間のオセアニアの島々に次々と中国資本を投下し、安全保障の結びつきも強めています。 これは日本のシーレーンの危機を意味します。オーストラリアから日本への石炭や鉄鉱石が通る貿易ルートがあります。台湾有事の際の中東からの石油などの迂回ルートを塞ぐ動きです。 こうした中国の動きを考えれば、日本としては、ロシアとの友好の道を閉ざすのは非常に危険です。 中国は西側と南側の補給ルートを断とうとするわけですから、わざわざ日本が北側からの補給ルートを閉ざせば、日本は食糧的にもエネルギー的にも干上がる可能性が高くなります。 幸福実現党としては、クアッドは、既に失敗していると見て、単なるアメリカ追従はやめて、日本の国益を考えた独自外交も考えて、強大な中国に備えていくべきだと考えます。 (※1) https://www.wsj.com/articles/australias-center-left-labor-party-on-track-to-win-election-11653137678?page=1 (※2) https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70006 クアッド失敗!? 対露制裁でほころぶ中国包囲網【前編】 2022.06.14 https://youtu.be/R2o25ITa6yU (6月1日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆クアッド失敗の兆し 5月24日、東京でクアッド首脳会議が開かれました。 クアッドとは、日本、アメリカ、インド、オーストラリアの4か国の対中国包囲網の枠組みです。会談の後は、共同声明で、中国を念頭に「威圧的、挑発的、一方的な行動に強く反対する」と発表しました。 しかし実のところ、クアッドは既に失敗する可能性が見え始めました。その表れのひとつが、会談直前の21日に行われたオーストラリアの総選挙です。 対中強硬派だった保守連合(自由党と国民党)を率いるモリソン首相が敗れ、親中派だと言われているアンソニー・アルバニージ党首が率いる労働党が第一党となり、政権を奪取しました。 オーストラリアの政権交代は9年ぶりの出来事です。 ◆政権交代によるオーストラリアの「親中化」 選挙キャンペーンでは、習近平国家主席が「Labor(労働党)」と書かれた投票用紙を投票箱に投じている写真をラッピングした、PRトラックがオーストラリアを走り回っていました。 これは与党系の市民団体による活動ですが、このように保守連合は、中国問題を争点にしようとしましたが、これは空振りに終わります。 理由は、ロシア・ウクライナ戦争などでオーストラリアは、20年ぶりの前年比5.1%の物価高(3月)を記録し、国民の関心は、インフレに対処に集まっていたからです。 労働党のアルバニージ党首は、インフレに追いつくために少なくとも5.1%の最低賃金の引き上げを支持し、育児補助金の引き上げなどのバラマキ政策を主張しました。 さらに労働党に期待されていることは中国との関係改善です。 保守連合のモリソン前首相は、「2019年にコロナ・ウィルスの起源の調査を中国ですべきだ」と主張したところ、中国との関係が悪化しました。 これがきっかけで中国は、実質上の報復としてオーストラリアからの石炭やワインなど200億ドル相当の品目に関税をかけ、例えば、オーストラリアのワインの輸出量は12億ドル近くから2420万ドルに落ち込みました。これは、約98%の減少になります。(※1) ◆親しくしないものには制裁を与える中国 オーストラリアにとって中国は最大の貿易相手国であり、この輸出の落ち込みは経済に大打撃です。 これにロシア制裁などによるインフレが加わって、生活のために中国と関係改善して少しでも稼ぎを増やしたいという国民の声が高まりました。 例えば、西オーストラリア穀物グループのダグ・スミス会長は「私たちの業界に課されている中国の関税が取り除かれれば、とんでもない利益となるだろう」と取材に答えたことが5月29日、イギリスのデイリー・メールが報じています。(※2) ◆中国にゴマをするアルバニージ氏 新首相のアルバニージ氏は、クアッド首脳会議の直前に「中国からの要求は完全に不適切であり、私たちはそれらを全て拒否します」と強気な発言をしており、すぐに中国に妥協する姿勢は見せていません。 これがいつまで続くかは怪しいところです。 先ほどのデイリー・メールは、1月25日にキャンベラの「ナショナル・プレス・クラブ」でアルバニージ氏が「中国が何億人もの人々を貧困から救ったのは、多大な賞賛に値する」と述べたと報じています。 報道によると、さらにアルバニージ氏は「これは素晴らしい経済的成果であり、人類の歴史上、これまでに見たことのないようなもの」と中国をベタ褒めしました。(※3) ある意味で、アルバニージ氏の最低賃金の引き上げなどの社会主義的な経済思想が、中国共産党の思想と共鳴していると指摘できると思います。 (後編につづく) (※1) https://www.dailymail.co.uk/news/article-10851989/Anthony-Albanese-repair-Australias-trade-tensions-China.html (※2) ttps://www.dailymail.co.uk/news/article-10851989/Anthony-Albanese-repair-Australias-trade-tensions-China.html (※3) (※3) https://www.dailymail.co.uk/news/article-10438091/Federal-Election-2022-Albanese-praises-China-lifting-hundreds-millions-poverty.html 日米首脳会談の陰に隠れたウクライナ支援――世界から金づるにされる日本【後編】 2022.06.06 https://youtu.be/UKRkF_tpZ3o 幸福実現党党首 釈量子 ◆物事の「幹と枝葉」の峻別が出来ていない日本 ロシアに負けを認めさせようと追い込めば追い込むほど、ウクライナに戦術核が撃ち込まれるリスクも高くなるわけなので、ロシアに多額の賠償金を払わせようとするのは危険な賭けでしょう。 そうしたロシアに比べれば日本の方がはるかにお金を要求しやすい相手です。 日本のウクライナは、気がつけば何兆円規模の支援になっていた、ということもあり得ます。 日本はウクライナに支援をすればするほど、ロシアが日本の敵となり、日本は、中国・北朝鮮・ロシアの三正面作戦を強いられることになります。(※1) またロシアは圧倒的な資源国です。そのロシアを、非資源国のヨーロッパや日本を含むG7が、制裁で兵糧攻めをしようと思っても逆にこちらが兵糧攻めに合うことになります。 ですから、現在の日本には、果たして他国の支援する余裕があるのかということです。ロシアと敵対することで資源高には悩まされ続けることになります。また、三正面作戦の対応は国防費も爆増しなければ無理でしょう。 ◆虎視眈々と国土奪還を狙うウクライナ また、現状、欧米がウクライナを支援すればするほどウクライナは勢いづいて、停戦よりも国土奪還に動いているように見えます。ゼレンスキー大統領は、プーチン大統領との会談の前提はロシア軍の撤退だと述べています。(※2) アメリカも、決してウクライナに対して巨額な財政支援をすべきだという意見だけになっているわけではありません。 小さな政府を標榜することで有名な保守系のヘリテージ財団所長のケビン・ロバーツ氏は3月23日付のウォール・ストリート・ジャーナルにアメリカの400億ドル法案を批判する記事を投稿しました。 「ウクライナへの米国の援助は私たちの利益に関するものであり、彼らの利益に関するものではありません」と述べました。また「ウクライナへの単なる同情では、アメリカの国益に反することになりかねないと批判しています。(※3) さらに「400億ドルの援助法案は、ウクライナをロシアから保護するのではなく、議会をアメリカ国民への説明責任から保護するために可決されました」とも述べています。つまり、予算の中身について十分な議論がされたり、精査がされることがなく、巨額の予算が決められていることを問題視しているのです。 ◆生き残る道はロシアとの友好関係 さらに、ニューヨーク・タイムズの5月19日の社説では、「ウクライナを自由にする」などの目標は変えるべきでないとしつつも、「結局、アメリカの最大の国益は、それでもなおロシアとの全面戦争に突入することではありません。たとえその結果、交渉による和平のために、ウクライナに対して厳しい決断を迫ることになったとしてもそうなのです」と述べました。(※4) また「ロシアに対するウクライナの決定的勝利は、2014年以来ロシアが占領したすべての領土をウクライナが取り戻すことだと考えるのは、現実的な目標ではありません」とし、そうした非現実的な期待はアメリカやNATOを「出費がかかる長期の戦争に、さらに深く引きずりこむ可能性があります」と伝えています。 そして、バイデン大統領はゼレンスキー大統領とその国民に、ロシアと全面戦争はできないことや支援にも限界があることを明らかにすべきだと指摘しています。 結局、日本の国益は何かと言えば、中国封じ込めのために、ロシアとの友好の道を残すことです。そして、そのために日本はロシア―ウクライナ戦争の停戦の仲介に尽力すべきです。それが実現できなければ、終わりなきウクライナ支援と中国・北朝鮮・ロシアの三正面作戦によって日本は疲弊しきることになるでしょう。 (※1) https://news.yahoo.co.jp/articles/00118171d3292f899e3bb87974a3b420f111a498 (※2) https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-talks-zelenskiy-idJPKCN2MZ1O9 (※3) https://www.wsj.com/articles/ukraine-aid-package-government-spending-waste-war-munition-missile-populist-debate-democracy-senate-congress-debt-billions-isolationism-shutdown-11653338550 (※4) https://www.nytimes.com/2022/05/19/opinion/america-ukraine-war-support.html 日米首脳会談の陰に隠れたウクライナ支援――世界から金づるにされる日本【前編】 2022.06.05 https://youtu.be/UKRkF_tpZ3o 幸福実現党党首 釈量子 ◆あくまでウクライナを支援する日米 5月23日、東京で日米首脳会談が行われました。 その後の記者会見では、日本の国連安保理への常任理事国入りに対するアメリカの支持や、日本の国防費増強のアメリカの支持、台湾防衛へのアメリカの軍事的関与、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の創設などが表明されました。 また、日米共同声明では「当面の最大の脅威は、ロシアによるウクライナに対する残虐でいわれのない不当な侵略であるとの見解で一致した」などと述べられ、ウクライナ戦争について日米が結束するという方針が示されました。(※1) 日本は5月19日に、岸田首相がウクライナに対する3億ドルの追加融資を発表し、日本の累計のウクライナの融資額が6億ドルになることが分かっていますが、今回の声明を見ればその支援は更に続くでしょう。 一方アメリカは、バイデン大統領のアジア訪問の裏で、ウクライナに対するおよそ400億ドルもの巨額な支援を行う法律を議会で可決しています。(※2) アメリカもコロナパンデミックを契機に巨額な財政出動をした結果、財政赤字が積み上がっており、羽振りよくウクライナ支援はできないのが現実です。 ◆「金づる日本」 ここで懸念されるのは、日本が世界で金づるになっているのではないかという状況です。 5月11日にフィンランドのサンナ・マリン氏が、岸田首相に支援を求めに来日しました。これは異常事態であり、世界から見た日本はまさに「花咲かジイサン」のようで、気前よく、カネをバラまいてくれるものだと認識し始めているのです。 現時点でのウクライナの支援金はまだまだ序の口で、どんどん日本から搾り取るべく、支援を迫ってくることでしょう。 20日付のブルームバーグの記事では「ドイツのエルマウで6月26-28日に開催されるG7首脳会議では、より規模が大きい支援パッケージが承認される可能性もある」と報じています。(※3) ですから、6月末の本丸であるG7首脳会談に向けて、今回の首脳会談では、今後、特に話題になるであろうウクライナ復興支援について話し合われた可能性があります。 ◆復興支援を世界に求めるゼレンスキー 日経の5月20日の記事では、復興プランは現代の「マーシャルプラン」だと指摘しています。マーシャルプランは第2次世界大戦後のアメリカによるヨーロッパ復興支援です。 イエレン米財務長官は会議前に開かれた講演で「1945年以降の欧州復興の作業に匹敵する多額の支援と民間投資がいずれ必要になる」と述べました。(※4) 5月3日付のウォール・ストリート・ジャーナルは「ウクライナの経済とインフラの再建には、およそ6000億ドルがかかる」とゼレンスキー大統領が述べたことを報道しています。(※5) お金が無いウクライナはこの莫大な復興費用をG7に負担させるべく、500億ドルの財政支援を求めましたが、その根拠は今後6ヵ月で月80億ドルの赤字が生まれるからだと4月17日付のポリティコで報じられています。(※6) さらに、G7の中で特に目をつけられるのは経済大国の日本やドイツである可能性は高いでしょう。 (後編につづく) (※1) https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/shin4_000018.html (※2) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220522/k10013637551000.html (※3) https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-05-20/RC6LVXT0G1KZ01 (※4) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB167190W2A510C2000000/ (※5) https://www.wsj.com/livecoverage/russia-ukraine-latest-news-2022-05-03/card/zelensky-estimates-cost-of-rebuilding-ukraine-at-600-billion-oP04eAen6xsQHqiJK8rE (※6) https://www.politico.com/news/2022/04/18/ukraine-50-billion-aid-package-00026032 SNSアカウントも続々凍結?バイデン政権が「偽情報」監視か【後編】 2022.06.01 https://youtu.be/SGjAbZCmgUg 幸福実現党党首 釈量子 ◆民主党とソーシャルメディアの繋がり 民主党とソーシャルメディアは金銭面でも深いつながりがあります。 例えば、Twitter社の政治献金について、2020年の大統領選のとき、圧倒的に民主党に献金しています。ジョー・バイデンには約20万ドル献金されており、これはTwitter社の中では一番多い献金対象です。 4月にイーロン・マスクが言論の自由を守るためにTwitter社を買収すると発表したとき、民主党は猛反発しました。 このTwitter買収案件について、アメリカの証券取引委員会(SEC)が調査に乗り出したことが、5月11日、ウォール・ストリート・ジャーナルで報道されました。 アメリカでは、上場株などの株式を5%を超えて大量に保有した場合は、取得から10日以内にSECに届け出るルールがあるのですが、マスク氏がこれを破ったと問題視されています。 しかし、重大な犯罪かと言えばそうではなく、報告を怠っても、全ての案件をSECが訴訟するわけでもありません(そもそも刑事ではなく民事訴訟)。 他にも、Twitter買収を一時的にストップさせるような政府機関の動きが報道されています。 5月6日、ブルームバーグによると、米連邦取引委員会FTCが、独占禁止法の違反の疑いでTwitter買収の審査を行っているということです。 そもそも独占禁止法は、企業に競争させて、消費者が安くていい商品が選べるように、一つの企業が他の企業を買収して市場を独占することがないようにするための法律です。 完全な異業種のEVの会社のテスラや、ロケットの会社のスペースXのイーロン・マスクによる買収が、なぜ独占禁止法違反なのかよく分かりません。 もっとも、民主党との金銭的なつながりはTwitter社に限った話ではなく、GAFAなどのインターネット産業に共通しています。 民主党は、このようにインターネット産業と結びつきを強めると同時に、フェイクニュースの規制を強化せよと言っているわけで、アメリカの「言論の自由」は非常に危険な状況です。 ◆自由を守るために必要なこと なぜ、リベラル、つまり自由を掲げるアメリカの民主党で、このような言論統制が起きてしまうのでしょうか。 バイデン政権は「偽情報の拡散は、国境の安全、災害時のアメリカ人の安全、そして私たちの民主的機関に対する国民の信頼に影響を与える可能性がある」と言っています。 これは裏を返せば、国民一人ひとりが自分の判断で正しい情報を選ぶ力がないと言っているようなものです。 つまり、リベラルと言いながら、本当の意味での「人権」を軽視して、全体主義的な傾向を強めています。 それは、アメリカ独立宣言の冒頭に出てくる「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」考えを忘れてしまっているからではないでしょうか。 これは、トランプ氏が「自由は神から与えられているので、どんなこの世の権力も奪うことはできない」と語り、ブレなかった姿を実に対照的です。 私たち幸福実現党は、神なき民主主義や信仰なき民主主義では、限界があると考えます。 無神論は人間の傲慢さにつながります。中国のような専制国家の独裁者は、政府の批判を許さず、犯罪をでっちあげて逮捕していきます。 しかし、民主主義国であっても、神を信じない、自由や人権に関する哲学や信念のない精神性の低い人物が大統領になると、自分の考えに反対する人たちを潰したり、言論の自由を踏みにじったり、前任者をお縄に懸けたりと、全体主義的な傾向を持ってしまいます。 アメリカが今、急速にバイデン政権の元、全体主義化が進んでいるのは、こうしたアメリカの 建国の精神が忘れ去られつつあることに他なりません。 一方で日本でも、ロシア報道一つ取ってみても、多様性が確保されているとは決して言い難い状況となっています。民主主義国で、異なる意見が言えなくなってしまえば、それは中国などの独裁国家と何ら変わりません。 幸福実現党は、日本は「自由の大国」であるべきであり、民主主義を守るためには、是々非々で、正直な意見を国民の皆様に訴え続けてまいります。 SNSアカウントも続々凍結?バイデン政権が「偽情報」監視か【前編】 2022.05.31 https://youtu.be/SGjAbZCmgUg 幸福実現党党首 釈量子 ◆アメリカの「言論の自由」の危機 今、自由と民主主義の国、アメリカが言論の危機にあります。 バイデン政権が4月末に設立した「ディスインフォメーション・ガバナンス・ボード(DGB)」は、日本語では偽情報統治委員会で国土安全保障に関する偽情報に対処するための機関です。 4月29日付のAP通信の報道によれば、特にロシアや不法移民に関する偽情報に集中して対応する予定でしたが、共和党や一部のメディアが猛反発したことで、わずか3週間で停止に追い込まれました。 しかし、報道ではあくまで、「pause」(一時停止)と報じており、将来的に復活する可能性もあります。 国土安全保障省はDGB設立時に「偽情報の拡散は、国境の安全、災害時のアメリカ人の安全、そして私たちの民主的機関に対する国民の信頼に影響を与える可能性がある」と発表していました。 一見、とても正しい発言にも聞こえますが、これは、「言論の自由」をめぐる攻防であり、議論が沸騰しました。 例えば、ウォール・ストリート・ジャーナルは、DGBについて「バイデン政権は、国家による監視社会を描いたジョージ・オーウェルの小説『1984』を誰も読んでいないのではないか」と皮肉っています。(※2) ◆DGBトップの問題 DGBのトップになった、ニナ・ジャンコウィッツ氏は、2020年の大統領選のときに、汚職疑惑があがったハンター氏のノートパソコンをトランプの選挙運動のために作り出されたウソ情報と見るべきだと主張しました。 ちなみに、彼女自身は過去の二回の大統領選でバイデン氏とヒラリー氏を公然と支持していたとフォックスニュースは報道しています。 さらに、2021年3月21日にはTwitterで、ハンター氏のノートパソコンが疑わしいもので、おそらくロシアの影響工作の一環だとツイートしています。 しかし、アメリカ当局の捜査が進んだ現在、これはフェイクでも何でもなく、本物で副大統領の息子の立場を利用してウクライナや中国で商売をしていた証拠もあることが報道されています。 また、今年の3月末にはアメリカの大手メディアが司法省による刑事事件捜査が進展していることを一斉に報じました。 DGBのトップとなったニナ氏は、過去にこのような重要な真実を、誤ってフェイクニュースと断じていたわけですから、「トップになる資格があるのか」と非難が巻き起こり、今回辞任に追い込まれました。 バイデン政権は、事実上の撤回となったDGBについて「委員会は、どんな方法であれ決して検閲も言論の取締りもしない。憲法上の核となる権利を守りながら、祖国を守るという私たちの使命を確実に果たすように設計された」と弁明しています。 つまり、政府は情報が本物か偽物のジャッジをするだけで、検閲はしないのだから、「言論の自由」は守られるという建前を言っているわけです。 しかし、政府が検閲しないと言っても、政府が本物か偽物のジャッジするのなら、マスコミやソーシャルメディアがその判断を基に、発言の削除などができるわけです。 ◆強まる言論統制 アメリカでは既に、政治家とメディアが融合することで言論の統制が始まりつつあります。 2020年大統領選中のハンター・バイデンをめぐる汚職疑惑でも、民主党がフェイクだと断定するのに合わせたように、Twitterなどのソーシャルメディアも、情報を検閲しました。 選挙直後に実施されたアメリカのメディアリサーチセンターの調査によれば、バイデン氏に投票した4.6%の人がハンター・バイデンの疑惑を知っていたら投票しなかったと答えています。 ワクチンをめぐる問題でも、政権の動きに沿ってTwitterが検閲を行った例があります。 2021年7月16日にバイデン大統領は、フェイスブックなどのSNS上でmRNAワクチンに対する反対意見の存在を許すことで、「人々を殺している」と発言しました。 このバイデンの発言の数時間後、ワクチンやマスクの義務化に異議を唱えていたジャーナリストのアレックス・ベレンソン氏のTwitterアカウントが凍結されました。 ベレンソン氏は、アカウント凍結は違法だと裁判を起こし、裁判所は、Twitter社に判断の根拠を示す情報開示を4月29日に命じています。 今回のTwitter社の動きは、偽情報統治委員会DGBがなくても、既にアメリカでは、政府による言論統制が進みつつある実態を示唆しています。 (後編につづく) ウクライナ戦争の背後で台湾に迫る中国。このままだと日本はウクライナ化する?【後編】 2022.05.30 https://youtu.be/O1F0dhWrsKc 幸福実現党党首 釈量子 ◆北海道が戦場になる可能性も 前編では、アメリカのウクライナへの武器支援が長期化すれば、中国は無傷であるため、東アジアの軍事バランスが崩れ、戦争が起きかねない不安定な状況になることを指摘しました。 ロシアを敵に回せば、台湾だけでなく北海道も前線になってしまうため、日本も戦場になってしまう可能性が高まります。 しかし、現時点では、日本の北海道防衛についてはノープランです。 また、「習近平はロシアの苦戦を見れば、台湾侵攻には動けないのではないか」という意見もありますが、中国の立場に立てば必ずしもそうは言えないでしょう。 5月11日、幸福の科学では、第二次世界大戦開戦時のアメリカの大統領フランクリン・ルーズベルトの霊言が行われました。 ルーズベルトがバイデン大統領を霊的に支援していることが明かされており、ウクライナ戦争に関して「バイデンが『兵を送らない』と言ったから、プーチンは喜んで攻め込んだ。罠にかかったのさ」と供述しました。 また、ロシアを潰した後は習近平を跪かせるのが戦略であり、台湾への侵攻を焚きつけ、ウクライナ同様、中国をひっくり返したいということが語られました。 ◆日本がなすべきは停戦の仲介 今の日本の状況で、中国・北朝鮮・ロシアの三正面から攻撃があれば、日米同盟があっても、日本を守り切ることは非常に困難です。 日本が選ぶべき道は、ウクライナ戦争の停戦を実現し、ロシアと欧米の関係修復を行うこと以外に道はありません。 G7は今のところ、ロシア制裁で協調していますが、アメリカの圧力でそうせざるを得ない様子が伺えます。 例えば、ドイツのショルツ首相は、ウクライナ戦争が始まった当初からドイツの防衛力の強化を進める一方で、ウクライナへの武器供与は慎重姿勢でした。 そうした姿勢もあってか、4月12日にドイツのシュタインマイヤー大統領のキエフ訪問を拒否されたという前代未聞の出来事もありました。 フランスのマクロン大統領は戦争が始まった後も、プーチン大統領と協議を繰り返して、停戦を模索しています。 また同大統領は、「ウクライナ人とロシア人は兄弟のようなもの」と述べたり、意図的にジェノサイドと呼べば、戦争が拡大する恐れがあるとして慎重姿勢を貫いています。 アメリカでも、イギリスのデイリー・エクスプレスの調査結果によれば、アメリカ国民はウクライナ戦争で敗北しても構わないと44%の人が答えています。 さらにアメリカ国民は、「バイデン大統領か、プーチン大統領のどちらが辞めてほしいか」という質問に対し、53%の人がバイデン氏だと答えているのです。 ◆中国包囲網の構築を 日本はG7の国々とも協力し、アメリカ世論に粘り強い外交を行い、ウクライナ戦争の停戦を実現すべきです。 そして、日米ともに本当に世界の問題である中国共産党への対処に集中すべきです。 日米同盟第4条には「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する」とあります。 今の世界で一番の問題は、中国共産党によるウイグル、チベット、香港やモンゴルでの悪行の数々を、アジア一の民主主義国である日本が、同じく民主主義国家であるアメリカに訴えていく義務があります。 ロシアとの停戦を実現し、中国共産党への包囲網を構築することこそが日本の真なる国益となり、世界の安定と平和につながっていくことに必ずなります。 ウクライナ戦争の背後で台湾に迫る中国。このままだと日本はウクライナ化する?【前編】 2022.05.29 https://youtu.be/O1F0dhWrsKc 幸福実現党党首 釈量子 ◆台湾問題で中国を挑発するアメリカ 現在、台湾における緊張が密かに高まっています。きっかけはアメリカ国務省のWebサイトの変化です。 サイトでは、台湾とアメリカの関係について、以前は「アメリカは台湾の独立を支持しない」あるいは「台湾は中国の一部」と書かれていました(※1)。 それが、5月5日のWebサイトの更新で突如、こうした文言が消え去ったのです。 そして、新しく付け加わったのが「すぐれた民主主義や技術の原動力として、台湾はインド・太平洋において重要なパートナーである」という文言です(※2)。 これに対して、5月10日、中国外務省の趙立堅(ちょうりっけん)副報道局長は記者会見で「台湾問題をもてあそび、台湾海峡の現状を変えようと試みるもので、将来必ず身を焦がすだろう」と批判しました。 中国軍は、明らかに台湾への牽制に動いており、中国海軍の空母「遼寧(りょうねい)」は、サイトの更新があった5月5日に、台湾近海で1週間近く演習を続けました。 5月13日には遼寧からの艦載機の発着艦回数が200回を超えたと防衛省が発表しました。 ◆アメリカの曖昧な戦略 もちろん、アメリカが台湾を中国とは別の独立国家として認めること自体は望ましいことです。 しかし現状では、アメリカの「台湾関係法」は、防衛義務までは定めておらず、いざというときにアメリカが台湾を守る保障はどこにもありません。 これを「戦略的曖昧さ」と呼んでおり、アメリカは態度を明確にしないことで、台湾と中国の関係が緊張しないようしてきたわけです。 台湾を国として認めるような動きをする一方で、防衛面では曖昧なままで、台湾をかえって戦争に引きずり込みかねません。 ◆プーチンを罠にかけたバイデン 現在のウクライナ戦争でも大きなきっかけになったのも、バイデン政権の度重なるロシアへの挑発です。 ウクライナがNATOに加盟すれば、ウクライナからわずか7分でモスクワを核攻撃できようになります。そのため、プーチン大統領は、これがレッドラインだと繰り返し警告してきました。 しかし、バイデン政権はNATOの東方不拡大を一貫して拒否し続け、その一方では、12月8日に「(米国は条約に基づく防衛)義務がおよばない」と発言しました。 さらに2月10日、「ロシアがウクライナに侵攻してもアメリカ軍をウクライナ国内に派遣することはない」と断言しました。 「米軍はウクライナを守らない」と誘いをかけて、ロシアの軍事作戦を呼び込んだわけです。 ◆バイデンが中国を挑発する意図 バイデン大統領は、昨年11月の習近平主席との電話会談においても「台湾独立は支持しない」と述べていました。 日本としては、アメリカに「台湾が戦場にならないように、最後まで責任を持って守れ」と言うべきです。 日本は日米同盟がありますが、実のところ、日米同盟があるからと言って、戦争を防げるか分からないくらい事態は緊迫化しています。 ◆東アジアの守りが手薄に もはやアメリカには、米ソ冷戦時代ほどの軍事力はありません。 膨大な軍事費に耐えかねて、ベルリンの壁崩壊時点では200万人以上いた米軍は、現在、約130万人です。GDP比6%近くあった軍事費も4%を下回っています。 それでも、急拡大する中国に対抗するために、ロシアや中東にいる米軍を東アジアに移していく戦略を進めていました。 しかし、アメリカはウクライナへの武器支援によって、対戦車ミサイルのジャベリンを7000発提供し、在庫が3分の2に、対空ミサイルのスティンガーは2000発提供し、在庫は4分の3になったと報道されています。 今回、ウクライナに供与されたジャベリンとスティンガーのどちらの兵器も、すぐに増産できるものではなく、在庫が尽きれば、極東情勢に影響を与える可能性があります。 この間、中国は無傷であるため、東アジアの軍事バランスは崩れ、戦争が起きかねない不安定な状況になりつつあります。 (※1) http://web.archive.org/web/20220503165930/https://www.state.gov/u-s-relations-with-taiwan/ (※2) https://www.state.gov/u-s-relations-with-taiwan/ すべてを表示する « Previous 1 … 5 6 7 8 9 … 98 Next »