Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 注目の「山口会談」の行方と、今後の日露関係について 2016.12.04 幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆北方領土返還の期待がトーンダウン 今月の半ばに、ロシアのプーチン大統領が安倍首相の地元である山口県を訪問し、日露首脳会談が行われます。 一時は「北方領土返還」への期待が高まったものの、ASEAN首脳会議でプーチン氏は「日本に北方領土を売ることはない」と断言するなど、現時点の両首脳の発信を見る限りややトーンダウンしております。 ◆プーチン大統領が安倍首相に期待した事 北方領土問題は1990年代の橋本首相・エリツィン大統領の時代にも返還への期待がありましたが、あっさりと裏切られました。 元々、旧ソ連及びロシアは多民族国家で、ソ連が崩壊した最大の理由が国内の最大の共和国であったロシアの離脱であり、ロシアにとっても共和国を構成している幾つかの民族の分離独立が、将来的に自国の存続を脅かす可能性があるということに、大きな警戒を持っています。 本来、北方領土との関連は異なりますが、少なくとも、元々「北方領土は我が国の領土」と主張しているロシアが何の理由もなしに、日本に譲歩するとは思えません。 しかし、プーチン氏が日本側に北方領土返還への期待を抱かせる事となったのは、現在の「ウクライナ問題」や「中東問題」など、ロシアが欧米と明確な対決状態にある中、先進国の中で、ロシアとの関係強化を図ることができる数少ない国が日本と見られていたからでしょう。 また、米国大統領選挙の行方も9月の時点ではオバマ政権の外交方針を継承すると思われたヒラリー氏勝利の公算が大きく、今後も米ロ関係は緊張状態にある事が予想されたことも、日露親善への舵が切られた大きな理由の一つと言えるでしょう。 ところが、11月の米国トランプ氏勝利により米ロ関係の劇的な変化が予想されます。 そして、もう一つ、永田町では12月の日露会談で、「北方領土返還」となった場合に内閣支持率が急上昇する事を見込んで「衆院解散説」が一気に流れ、政治家としての信義を重んじるプーチン大統領の心証を害した可能性があります。 プーチン氏としては、選挙の道具として使おうとした安倍首相・自民党政府に対し、不満や怒りを持ったとしてもおかしくはないでしょう。 少なくとも、現在は大いに盛り上がった北方領土返還の話は一気に冷え込む事になりました。この責任の一端は安倍首相・自民党が負わなければならないでしょう。 ◆米トランプ大統領誕生でロシアの外交も大きく変わる さて、先ほども述べましたが、米国大統領選挙でトランプ氏が当選したことは、プーチン氏に大きな影響を与える事になります。 両氏はお互いを認め合っており、今後の米ロ関係の緊張が緩和し、世界情勢は比較的安定の方向に向かう事が予想されるからです。 中東でのシリア問題、IS問題は両国の対話により、何らかの解決の糸口が見つかる事になるでしょう。 一方、米国オバマ政権下では「敵の敵は味方」の理論で進展しかかっていた中露関係は、今後停滞することが予想されます。 元々両国は、清朝の時代から国境線を挟んでの緊張が続き、お互いを国益上、最も注意すべき国家と考えてきました。 オバマ政権下の8年間は、ロシアも比較的中国との関係強化につとめ、米国を牽制してきましたが、少なくとも来年以降、中国の習近平主席は、米国はもちろん、ロシアにも注意を払う必要が強まり、東アジアでの覇権主義拡大の動きが止まるものと思われます。 上記の通り、今後は米ロ両国の信頼が深まることは間違いないのですが、それとともに、ロシア側から見た日露関係は、残念ながら相対的に重要度が低下することは覚悟しなければならず、この事も北方領土返還のトーンダウンの大きな原因の一つと言えます。 しかし、中国に対する米ロ両国の対応がより厳しいものとなり、日本にとって、安全保障上の最大の懸念である中国の覇権主義の動きが今後緩和されていくという意味では当然、是とすべきでしょう。 ◆まず、ロシアとの大胆な経済協力から ロシアという国の体制は、よくも悪くも一人の指導者の判断が国の方向を左右します。 プーチン氏のこれまでの言動を見る限り、彼なりの論理の中で、明確な支持・不支持の判断を行い、その判断に基づいて鉄の意志力で実行します。 日本に対しては少なくとも明確に否定的な判断をしていないことは事実で、日露関係をさらに強化することは、中国への牽制になると同時に、日本のさらなる繁栄の為に必要なことであります。 その為には、すでに議論されている、サハリン油田とパイプラインでつなぐ構想や、東京~北海道~サハリン~間宮海峡~ユーラシア大陸~シベリア~モスクワを新幹線で繋ぐ高速鉄道網構想については、ロシアでは大いに歓迎されるでしょう。 参考:ザ・リバティ 2017年1月号 「プーチンの『世界物流革命』~北方領土解決の鍵は鉄道にあり~」 このような大胆な経済協力を推進することが今後の日露両国の国益に適うとともに、共産党支配の中国が進める覇権主義を食い止める大きな防波堤になるのです。 米国トランプ大統領の時代に入る今だからこそ、日露両国が更なる友好関係を強化するチャンスであると思います。 こうした政策についても、「新しい選択」としての幸福実現党が訴え続けています。皆さまのご支援、心よりお願い申し上げます。 クールジャパン戦略を本当に「クール」にするために 2016.12.01 HS政経塾2期卒塾生服部まさみ ◆多額の国費を投じても成果は出ず、無駄使いの温床になっている 自民党は先月、慰安婦問題や記憶遺産登録などで中国や韓国が仕掛ける「歴史戦」に対して「我が国の『正しい姿』の発信を拡充するために関連予算」を増額するように安倍首相に要望を提出することを決定しました。 また、北朝鮮の核・ミサイル開発や、中国の東シナ海、南シナ海への海洋進出に対して「我が国の国益を増進するため、外交実施体制を一層拡充することが不可欠」とし、在外公館における戦略的な対外発信、国際テロへの対応強化を理由に外務省職員の定員を現在の約6千人から英国並みの6500人に増やすことも提言しています。(11月23日産経新聞) 安倍政権になってから戦略的な対外発信として、これまでも予算や人員が大幅に増えました。しかし、予算が増える一方で、多額の国費を投じているが成果は出ず、無駄使いの温床になっているというのです。 アニメや映画などのコンテンツ、食、観光、伝統工芸など日本の魅力を海外に発信し、産業の成長を目指すクールジャパン戦略。安倍政権下で力を入れて取り組んできた政策のひとつです。 しかし、60億円の投資決定を受けたにもかかわらず、公開はおろか、撮影に至った作品が一本も存在しない官製映画会社。投資を受けずとも、自力で海外進出できる特定の大手企業や、株主として参加している企業に対して「利権化」しているともいえるルール違反の投資を行う官民ファンド。地方自治体の自称「クールジャパン」と名前がつく事業には何でも予算や補助金を出すなど、雑誌『Wedge』12月号では、「クールジャパンの不都合な真実」という衝撃の実態が浮き彫りになっています。 ◆クールジャパン戦略が「クール」じゃない原因 クールジャパン戦略が「クール」じゃない原因は何でしょうか。 ひとつは、政府が主体となって介入しすぎていること、もうひとつは、明確な国家目標(ゴール)がなく、パフォーマンスとしてバラマキ政策になっていることです。 そもそもクールジャパンと言われるアニメや食などの日本文化の魅力は、民間が主体で、世界に広がり、自然にブームが起きました。 そのブームに乗っかるように、いや、ブームが過ぎてからクールジャパン戦略として、経産省、外務省、農水省など各省庁横断のプロジェクトが発足し、司令塔の役割を内閣府・知的財産戦略推進事務局が担っています。 政府は役所と変わらないような機関を立ち上げ、予算を投入したり、関係省庁の人員を増やすことを「成果」とし、仕事をやっているように見せているのですが、客観的に事業として成り立っているか、世界市場に受け入れられているかは考えられていないのです。 最終的には、「お金を、どこが幾ら、ばら撒くか」という発想の下、選挙で勝つためのパフォーマンスや票が取れる団体に、必要であろうが、なかろうが予算や補助金を出して選挙に勝てるシステムをつくっているだけと言っても過言ではありません。 アベノミクスが方向性は良かったけれど失敗したように、クールジャパン戦略も世界に通用するコンテンツを使って、国のイメージを上げ、日本のファンを増やし、経済成長や外交政策に結びつけるという理念の下、成長しそうな分野に国が積極的に投資をしていく、官民一体となってプロジェクトを発足し、ファンドも運用していくなどその方向性は間違っていません。 しかし、思うように効果を上げていないのは、アベノミクスが失敗したことと同じで、あまりにも政府が経済に介入し、民間企業を元気にする政策とブレーキをかける政策とベクトルの違うものを同時に行っているからです。 前述した「歴史戦」に関しても、河野・村山談話以上の安倍談話を発表しておきながら、「我が国の『正しい姿』の発信を拡充するため」に関連予算を増額するという矛盾。 同じ海外からの留学生を受け入れるとしても、国からの補助金をもらってスパイ養成所と化している大学もあれば、国からの補助金は受けず、自前で海外まで足を運んで入学説明会を行ったり、現地の学校と提携して優秀な学生を採用し、国際社会で活躍する人材を育てている専門学校もあります。 また、ある地方自治体の「忍者」をPRする自称「クールジャパン」事業で、わずか年4万件のホームページ閲覧数を獲得するために、2350万もの国費が投入されている一方で、補助金はなく、自分たちで資金を集めながら本来の日本がもつ地域の歴史や文化を活かした、民間主導の宿泊施設の取り組みが海外から注目され多くの外国人で満室になっている事例もあります。やはり、なにかがおかしいのです。 ◆クールジャパンを本当に「クール」にするために クールジャパンを本当に「クール」にするために国は何をするべきなのでしょうか。私は今一度、クールジャパン戦略そのものをもう一度、根本から見直すべきだと思います。 アニメや食、伝統文化は日本の大きな魅力です。しかし、それだけが「クールジャパン」なのでしょうか? 少し、視点を変えてみれば、日本の農業、水、海洋資源、新幹線、リニアモーターカー、安全な原発の技術など産業分野にも世界に誇れる技術がたくさん眠っています。 日本全国にリニア新幹線が通ったら世界の人はなんというでしょうか?日本が有人宇宙ロケットの打ち上げに成功したら世界はどんな反応をするでしょうか?きっと、「クール!ジャパン!」と注目されるでしょう。 今のクールジャパン戦略は民間でできることをわざわざ政府が主導で行っています。 そうではなく、民間だけではリスクが大きすぎるけれど、将来、必ず国益につながるような未来産業に優先して投資をしていく戦略にシフトした方がこの国の魅力は増すのではないでしょうか。 また、日本の国として未来の国家ビジョン、国家目標を示すことが、民間もどの方向に進めば良いかが分かり、安心して事業を起こせますし、日本の大きな夢が魅力となり、海外から投資を呼び込むことにもつながっていくはずです。 日本は、歴史上、数多くの奇跡を起こしてきた国です。日本は、普遍的価値のあるメッセージや誇るべきものを数多く持っています。 日本から様々な考え方や意見を世界に発信し、世界の人々に「あるべき姿」や指針を示すことこそ、本当の「クールジャパン」戦略であり、私たちが目指すべき未来なのです。 日本に有利?不利?トランプ新大統領の政策を徹底分析する 2016.11.15 アメリカのテレビ・ラジオでもコメンテーターとして出演している及川局長がトランプ新大統領誕生で世界はどう変わるのかを語っています。 ◆保護主義?孤立主義?日本はどうなる? 日本に有利?不利?トランプ新大統領の政策を徹底分析する【ザ・ファクト】 URL:https://youtu.be/_UbcqOOEzDQ トランプ大統領勝利に見る「世論調査の限界」 2016.11.13 幸福実現党青年局部長(兼)HS政経塾部長 吉井としみつ ◆米大統領選――トランプ氏の劇的な勝利 トランプ大統領が、アメリカ大統領選挙に勝利しました。 正式な就任式は2017年1月20日となります。既に、日本も含めて各国首脳と個別に会談がセッティングされるなど、急ピッチで「新しい時代」への移行が進んでいます。 今回のトランプ氏の勝利は、大方の世論調査とは異なる結果でした。選挙予想のほとんどが、ヒラリー氏の有利としていましたが、結果はトランプ氏の劇的な勝利となりました。 一体、何がトランプ氏の勝利に繋がったのか―、様々な分析がなされていますが、大きく2点紹介します。 ◆世論調査の誤算1――隠れトランプ支持者 「隠れトランプ支持者」といわれる有権者の存在が指摘されています。 トランプ氏の発言を取り上げて「人種差別主義者」など、様々なレッテル貼りをする報道が蔓延した結果、トランプ支持を公式に表明すると「自分も非難されかねない」と感じた有権者が多数いました。 世論調査でも「トランプ支持とは言わない」ことで、結果的に世論調査ではヒラリー有利になったという説です。 マスメディアの過度な偏向報道によって、世論調査までも歪みかねないという点は、示唆に富んでいます。隠れトランプ支持者は、メディアの偏向報道が生み出した存在かもしれません。 ◆世論調査の誤算2――最後まで態度を決めない有権者 また、今回のアメリカ大統領選挙の最終の全国世論調査では、12%の有権者が態度を決めていなかったことが分かっています。 前回2012年の大統領選挙での同様の調査では、態度を決めていない有権者は3%であったことを比較すると、今回の選挙は、最後まで態度を決めていない有権者が増加していたことも指摘されています。 やはり、対立候補の差が僅かな場合は、態度を決めていない有権者の行動が、選挙結果を大きく左右しうるということです。 ◆世論調査の「誤差」をどう考えるか 前回2012年の大統領選挙(オバマ大統領vs ミット・ロムニー)では、全選挙区の勝敗予想を当てたNate Silver(ネイト シルバー)氏も、今回の選挙予想は外れました。 シルバー氏は自身の運営するニュースサイト「ファイブサーティーエイト」の記事では、選挙予想の弁解もしつつも、世論調査の誤差についても言及しています。 「ファイブサーティーエイトが、誰よりもトランプ氏に分があると見ていた理由」 Why FiveThirtyEight Gave Trump A Better Chance Than Almost Anyone Elseより ・ファイブサーティーエイトは、ヒラリー氏が有利なものの、トランプ氏にも30%勝利する可能性を伝えてきた。これは、他のジャーナリスト達が示したものよりもかなり高い確率だ。 ・世論調査には、少しの誤差はある。その僅かな誤差がトランプ氏の勝利に向けての十分な道筋を与えるものだ。有権者もそうしたことが起こりうると心の準備をするべきではなかったか。 [URL] http://fivethirtyeight.com/features/why-fivethirtyeight-gave-trump-a-better-chance-than-almost-anyone-else/ 世論調査の結果をそのまま鵜呑みにするのではなくて、「誤差はつきもの」であり、その「誤差」が予想とは別の結果をもたらす可能性があると知って、情報を読み取ることが大事だといえそうです。 ◆「世論調査の限界」も知って付き合うべき トランプ氏の劇的勝利や、今年6月のイギリスのEU離脱(BREXIT)を問う国民投票も、世論調査とは逆の結果が現実となりました。 これらのことからも、世論調査はあくまでも限られたサンプルでの動向を調査しており、そこで得られた回答も、有権者の真意かといえばそうでない場合もある、ということを踏まえておく必要があるでしょう。 世論調査は外れることもあります。 誤差があり、限界があります。 マスコミ報道でも、世論調査の結果を強調しすぎるあまり、国民に知らせるべきことを見失う可能性があるということです。 日本のマスコミ報道のあり方にとっても、今回のアメリカ大統領選挙の結果は一石を投じているのではないでしょうか。 【関連動画紹介!】 日本に有利?不利?トランプ新大統領の政策を徹底分析する【ザ・ファクト】 URL:https://youtu.be/_UbcqOOEzDQ 世間の予想を覆して、ドナルド・トランプ氏がアメリカの新大統領に選出された。 昨年から、THE FACTに出演し、トランプ氏の大統領選出を予測していた幸福実現党外務局長、及川幸久氏。 アメリカのテレビ・ラジオでもコメンテーターとして出演している及川氏にトランプ新大統領誕生で世界はどう変わるのかを聞いた。 保護主義?孤立主義?日本はどうなる? 日露平和条約に向けて:今こそ東京―モスクワリニア構想の提案を! 2016.11.06 HS政経塾一期卒塾生 逗子市政を考える会 彦川太志 ◆領土の帰属よりも、ロシアとの関係強化を狙う安倍政権 プーチン大統領の12月訪日が近づくにつれて、日本国内では平和条約締結に伴う日露関係の前進が大きく期待されています。 安倍首相はロシア側との交渉に当たって、総額1.7兆円に上る経済協力を提示すると共に、北方領土問題については二島(歯舞、色丹)「引き渡し」、二島(国後、択捉)棚上げと言った着地を模索していると見られています。(11/5現在) 特に北方領土の引き渡しに対する姿勢は、従来の「四島一括返還」を求めていた姿勢から、「二島」の「引き渡し」へと大きく変化しており、この部分の譲歩をもって「新しいアプローチ」と称していた事が指摘されています。 【参考】鈴木宗男氏による解説 「Japanese expert proposes to sign peace treaty with Russia on basis of 1956 declaration(10/16タス通信)」 http://tass.com/world/904482 もしこの通りの交渉がなされるのであれば、「そもそも北方領土はロシア(ソ連)が不法占拠しているだけなので、日本に返すべきだ(返還)」という日本政府の従来の主張から、「第二次大戦後に領有権はロシアに移っているので、平和条約締結を機に二島を日本にプレゼント(引き渡し)するだけだ」というロシア側の立場に日本が譲歩したという事になります。 つまり、そもそもの領土の帰属にこだわるよりも、領土が返ってきて、しかもロシアとの関係を前進させることに国益を見いだしたと言えるでしょう。 南シナ海はおろか、日本海でも合同演習を行う中露両国の接近に楔を打ち込むことを優先している点、ある程度評価できると考えられます。 ◆ロシア側の評価は必ずしも高くない? しかしながら、ロシア側の反応を見てみると、必ずしも「二島引き渡し」と「経済協力」の平和条約パッケージが高い評価を得ているとは言い難いようです。 それは結局のところ、安倍政権による平和条約交渉の視野が北方領土からサハリン、ウラジオストク辺りの「極東」に集約されているほか、日露関係をいかなる方向に発展させて行きたいのかという、具体的な長期ビジョンが欠如していることに原因があると考えられます。 プーチン大統領は以前、ブルームバーグのインタビュー記事で「中露関係並みの高度な信頼関係」を日露で築くことが、領土問題進展の条件だと発言しています。 この記事の中で、ロシアは昨年「ハイレベルの信頼関係」を持つ中国と636億ドルの貿易を行い、1000億ドルの規模までこれを拡大しようとしている事を明かしています。 一方、同年度の日本とロシアの貿易総額は213億ドルであり、今回の経済協力1.7兆円を加味しても376億ドルと、中国の半分程度にしかならないことも指摘されているのです。 ◆発想を大きく、ロシアとの中長期的な経済協力ビジョンを掲げよ 例えば長期的に「ロシアとの貿易総額を1000億ドル規模まで拡大する」という構想を打ち出すと共に、東京からモスクワまでリニア新幹線を走らせるようなプロジェクトを提案すべきではないでしょうか。 もちろん、北方領土は全島返還を求めて行くべきとは考えますが、視野が狭くなってはいけないと思います。 中国の覇権主義による危機が高まっている現在、日露平和条約の締結は、中露接近に歯止めをかけ、中国にアジアでの安保、外交上のフリーハンドを与えない、と言う戦略目標を達成するような構想のもとに組み立てられるべきではないでしょうか。 日本に、迫りくる南シナ海危機への対策はあるのか 2016.10.27 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆ドゥテルテ氏の反米外交で、領土喪失の歴史が繰り返される? 先般、訪日したフィリピンのドゥテルテ大統領は、東京都内の講演で、「2年以内に、私の国から外国の軍部隊がいなくなってほしい」「行政協定の見直しや破棄が必要ならば、そうするつもりだ」と述べました(ドゥテルテ比大統領、米軍は「2年以内に撤退を」AFP通信、2016/10/26)。 そして、ドゥテルテ大統領に同行したヤサイ外相も記者会見でアメリカとフィリピン両軍の定期合同軍事演習が「中国側の疑念を高めることにつながりかねない」と述べ、現政権による中止の可能性をほのめかしています。 フィリピンの新政権は、南シナ海進出を目指す中国の野心を止めるために米国や近隣諸国と連携するのではなく、この問題を中比間の「話し合い」で解決しようとしています。ヤサイ外相は、米比軍事演習がその妨げになると見ているわけです。 ドゥテルテ大統領もヤサイ外相もアメリカとの同盟(米比相互防衛条約)を維持すると述べましたが、南沙諸島の問題は米比同盟の対象外としました。もし、今後、フィリピンが「米軍」を国外に追い出したら、90年代前半の米軍撤退後にミスチーフ礁を中国軍に奪われた時と同じ事態が繰り返されかねません。 米軍を抜きにしたフィリピン軍は旧式の駆逐艦や旧世代の戦闘機が主力なので、中国海軍の近代化された護衛艦や潜水艦、戦闘機等には、とうてい、対抗できないからです。 ◆「人権問題」でそりが合わないドゥテルテ政権とオバマ政権 フィリピンではドゥテルテ氏が大統領に就任してから2カ月余りで1000人以上もの麻薬取引の容疑者が警察官に殺されたとも言われています。これを問題視したオバマ米大統領に対して、ドゥテルテ比大統領は「我々に敬意を持たなければならない」と憤り、フィリピン国内記者会でオバマ大統領を罵倒しました。 ドゥテルテ氏は、植民地の統治者のように上から目線で説教をしてくる米大統領が我慢ならないのですが、9月5日にラオスを訪問したオバマ氏は、その暴言を聞き、翌日に予定した米比首脳会談を取りやめました。 そして、米比関係が冷え切るなかで、ドゥテルテ氏は10月に訪中します。そして、南シナ海を巡る中国の領有権主張を違法と断じた国際仲裁裁判の判決を棚上げまでして、ドゥテルテ氏は中国のインフラ投資を国内に呼び込もうとしたのです。 親中外交はインフラ投資を呼び込むためのポーズなのかもしれませんが、結局、米比関係は修復が難しくなったので、日比首脳会談では、同盟国の日本を通してフィリピンを日米側に取り込むための布石が打たれました。 現状では、フィリピンが日米寄りに一歩近づきましたが、11月以降、人権問題を重視するヒラリー・クリントン氏が大統領となれば、「暴言大統領」が政治を司るフィリピンとアメリカとの関係は、うまくいかなくなりそうです。 ◆高まりつつある南シナ海での地域紛争勃発の危険性 26日の日比首脳会談後の共同声明では「両国の種々の友好関係および同盟関係のネットワークが、地域の平和と安定、海洋安全保障を促進する」とうたわれました。基本的に、今の日本は「外交」で紛争を抑止することを目指しています。 しかし、フィリピンの新政権は「頼みの綱」である米軍追い出しに肯定的ですし、米大統領選でヒラリー氏が当選した場合は、人権問題を巡って米比関係が険悪になる可能性が極めて高いのです。 アメリカとフィリピンとの同盟関係にひびが入れば、中国にとってまたとないチャンスなので、今後、南シナ海では地域紛争が起きる危険性が高まっていくでしょう。 ◆日本に、南沙諸島をめぐる地域紛争への対策はあるのか しかし、今の日本では、その有事に対応する準備はできていません。 南沙諸島近辺を通る海上交通路(シーレーン)は、日本とアジアの米軍にとって重要な物資の運搬経路ですが、この防衛のために日本がどこまで動けるのかは、いまだにはっきりしません。 集団的自衛権の行使の要件の中には、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」と記されていますが、果たして、南シナ海のシーレーンの防衛というのは、前掲の「明白な危険」の中に含まれているのでしょうか。 フィリピンという国は、「わが国と密接な関係にある他国」の中に含まれているのでしょうか。 今の日本では次の選挙のための国内政策の議論が盛んですが、南シナ海の情勢が変わりつつある今こそ、有事に適切な判断を下すための準備を進めなければなりません。 そのため、集団的自衛権や防衛法制に関する議論を国防強化に結びつけるべく、幸福実現党は今後も力を尽くしてまいります。 日露関係の正念場――求められる「交渉力」とは 2016.10.18 HS政経塾5期生 水野善丈 ◆ロシアと繋がる日本のメリット 近年、北朝鮮の核ミサイル実験や中国の領海侵犯も頻繁に行われる中、国防上の危機がより一層迫ってきています。 幸福実現党は、立党当初の2009年より北朝鮮・中国の脅威を訴え、地理的にも北朝鮮・中国の背後にあるロシアと友好関係を結ぶことは安全保障上、有効な戦略であると訴えてきました。 また、原発が全国的に停止される中、エネルギー自給率も6.1%(2013年)の日本にとって、ロシアのシベリアやサハリンにあるエネルギー資源の共同開発は、大きなメリットになります。 安倍政権は、ロシアに対して、クリミア併合から欧米諸国と足並みをそろえ、伊勢志摩サミットもロシアを外したG7で行うなどの対応をとっていました。 しかし、ここ最近になり、ロシアへの協調路線を進めようとしています。 ◆日露関係改善に重要な2つの会談 安倍首相は、プーチン大統領と11月のAPEC首脳会議や12月15日の山口県長門市で首脳会談することに成功しました。 狙いとして、プーチン大統領来日で北方領土問題を含む平和条約締結交渉の進展をもっており、「8項目の経済協力プラン」や「北方領土の共同統治案」を検討しロシアとの関係改善を進めようと考えています。 また、会談が行われる12月は、米大統領選も終わりオバマ大統領も任期最後の状態であるので、米国にも口出しをされにくく、今回の日露交渉の時期としては絶好のチャンスといえます。 ◆北方領土の位置づけとは 今まで日本は、ロシアと北方領土問題を中心に考え、ロシアとの関係を深めることに力を入れてきませんでした。 ロシアから見れば、平和条約を結んでいるわけでもなく、いきなり「北方領土を返せ!!」と言われても手順が違うと感じていたのではないかと推測されます。 現在ロシアは、クリミア半島の併合による欧米諸国からの経済制裁や近年の原油安の影響により、ここ数年でGDPを半分近く落としており、経済的に衰退しています。 そんな中、今回の日本の経済支援によって、北方領土返還に心が動きそうですが、実際はそうはなりません。 何故なら、お金で領土を易々と手放してしまうと、歴史的にも他の国の領土をたくさん取ってきたロシアにとって、北方領土の返還が契機となり、各地で独立運動が起きてしまいかねないからです。 プーチン大統領が、今年5月に北方領土問題に関連して「一つとして(島は日本に)売らない」と意地でも述べる背景にはこうしたものがあります。 ◆優先すべきは「安全保障重視」の日露交渉 では、ロシアとの交渉においてどのような手順を踏めばいいのでしょうか。交渉は、大小をみて、「大」の方を先に取る必要があります。 優先順位として、ロシアとの「平和条約」を結び、さらに通商条約など「経済協力」の関係を深めることが大切です。 これは、北方領土問題に関しては、いったん脇に置いてでも、日本とロシアとの関係の強化に集中する必要があります。 ◆ロシアとの友好関係を深め中国・北朝鮮の包囲網をつくる 今後、日本は、日米同盟は基軸としながらも、自主防衛体制を構築していかねばなりません。そして、アジアの安定を守るためにも、ロシアなどの大国とも平和条約を結び、手を取り合わねばいけません。 12月15日のプーチン大統領との首脳会談をきっかけに日露関係がより良い方向へ進むことを願ってやみません。 <参考文献> 「国家の気概」 大川隆法 「プーチン 日本の政治を叱る」大川隆法 国防の危機を訴えない沖縄県翁長知事――党沖縄県本部が要請文を提出! 2016.10.16 幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆国民に知られていない尖閣諸島周辺の危機 幸福実現党は立党以来、中国の覇権主義の危険性を訴え続けて参りましたが、中国の習近平政権の下、国防の危機が進行しています。 特に沖縄県・尖閣諸島の領有を中国側が一方的に宣言していることは、看過できない状態であり、幸福実現党は幾度となく警鐘を鳴らしてきました。 民主党政権から自民党政権になっても事態が深刻化している事については、あまり知られていないのではないでしょうか。 一部のマスコミでは報道されていますが、最近の尖閣周辺は、以下のような状況になっています。 ・8月1日に中国の最高裁に当たる最高人民法院が中国の「管轄海域」で違法漁労や領海侵入をした場合に刑事責任を追及できるとする「規定」を定めた。中国は尖閣諸島周辺も自国領海と主張しており、同海域において、我が国の漁船に対し中国公船が厳格な法執行を行う恐れがある。 ・連日、大量の中国「漁船」の航行が確認されているが、専門家によると中国「漁船」は1隻に30人以上乗船可能な大型船で、搭乗員の多くは海上民兵だという。その証拠に8月11日、ギリシャ船と衝突、沈没して救助された中国漁船の船長、甲板長、機関長の3人は、中国の海軍軍人であることが判明している。 ・我が国の経済水域内であるにも関わらず、沖縄県の漁業者は尖閣諸島周辺で漁をすることを断念せざるを得なく、大変な経済的損失を受けている。勇気を出して漁に出ても、万が一にも中国の公船と接触するようなことでもあれば、中国に捉えられる恐れも出ているからだ。 ・9月25日、中国空軍の戦闘機とみられる航空機など計8機が沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を通過した。中国は西太平洋上で遠洋訓練を行ったものと思われる。 ◆なぜ翁長知事は危機を訴えないのか 自民党安倍政権も、噂されている解散・総選挙に備えて高支持率を維持するためか「憲法9条改正」の発信を曖昧なままにしており、本気になって国防に取り組むには至っていないのが現状です。 沖縄県民の生命の保護を大きな使命としているはずの翁長県知事からも、全く発信がなされていません。 翁長氏は沖縄県知事に就任以来、普天間飛行場の移設問題を始め、一貫して在沖米軍基地の早期撤退を主張し続け、沖縄には国防の危機が存在しないかのような発信を続けてきました。 以前の当ニュースファイルでもお伝えしましたとおり、フィリピンのドゥテルテ大統領が明確な反米・嫌米路線を標榜し始め、南シナ海にも中国の領土拡張の可能性が高まっています。 沖縄県知事として本当にこの嫌米・親中路線を変更しなくてよいのか、大きな疑問が高まります。 ◆党沖縄県本部が知事に要請書を提出! 上記のとおり、翁長知事が知事としての責務を果たしていない現状に危機を感じた幸福実現党沖縄県本部(山内晃本部長、金城タツロー副本部長)が翁長知事あてに以下の要請文を作成し10月14日(金)、沖縄県庁知事公室の運天参事に対し手渡しました。 1、沖縄周辺における中国による挑発的な行動に対し、どのような対処が必要・可能であるのか、連絡会議を設置し、対応策を講じること。 2、政府に対し、尖閣諸島周辺海域の安全を要請してもおられるが、日米安全保障条約第5条に基づき、日米が協調して不測の事態に備えるよう、更に強く要請をすること。 3、石垣島、宮古島における政府による自衛隊配備着手への受け入れを表明し、中国政府に県民保護のメッセージを示すこと。 党沖縄県本部はこれらの要請について、知事に10月28日までに回答を求めました。 そして要請文の提出は、琉球新報や八重山日報などの地元のマスコミにも取り上げられました。 ◆具体的な活動で国の危機を食い止める幸福実現党 今、「日本の外交」といえば年末に控えているプーチン大統領の訪日の際に予想される「北方領土返還」が大きく取り上げられていますが、こと沖縄について言えば事態が改善しているかというと、ほとんど進展がないのが現状です。 そうした意味では、今回の党沖縄県本部による要請文提出は、改めて日本の国益のため、沖縄へ目を向けさせる大きなきっかけとなることが期待されます。 我が党は、今回の要請文の提出をはじめとして、国の危機を食い止める具体的な活動を全国各地で展開しております。皆さまのご理解、ご支援を心よりお願いいたします。 10/9(日)のスポニチに幸福実現党記事が掲載 2016.10.09 HRPニュースファイル編集部 10/9(日)のスポニチ(7面)に幸福実現党が行なった「国会議員の二重国籍に関する意識調査アンケート結果」と「国防・安全保障に関する意識調査アンケート結果」が掲載されましたのでお知らせいたします。 なお、本記事の元になったアンケート結果を党HPにも掲載いたしました。 ◆「国会議員の二重国籍に関する意識調査アンケート結果」 https://info.hr-party.jp/press-release/2016/3722/ -アンケート回数の約半数が国会議員の二重国籍を問題と回答― ■調査概要 幸福実現党は2016年9月29日~10月3日まで大手インターネット調査会社インテージのシステムを利用し、18歳以上のアンケート回収者1173名に対して、国会議員の二重国籍問題などに関する調査を実施しましたのでご報告いたします。(18歳以上、性別・年代は日本国在住者比率に準拠) ■調査結果 (1)国会議員の二重国籍に関して約過半数が問題であると回答 •「日本の国会議員が日本国以外の国籍を保有すること(二重国籍)は問題だと思いますか?」という設問に対し、「問題だと思う」と47.5%が回答し、「問題だと思わない」26.3%を大幅に上回る結果となった。 •「内閣総理大臣などの日本国の外交に携わる役職に二重国籍の国会議員が就任することを問題だと思いますか?」という設問に対し、「問題だと思う」は56.6%に増加している。 •国籍法の二重国籍に関する罰則規定について努力義務以上に「故意の場合は強化すべき」と回答した割合は35%。 (2)国会議員は二重国籍状態であるかを「必ず公表すべき」「任意で公表すべき」が合計「79.9%」 •国会議員の自分自身の二重国籍の有無について「必ず公表するべき」「任意で公表するべき」と回答した割合は合計79.9%。 •国会議員の二重国籍の有無についてメディアが積極的に公表を求めるべきかについて「求めるべき」と回答した割合は52.1%。 (3)二重国籍の国会議員に投票したくない(43.4%)、二重国籍の国会議員を法的に禁止すべき(41.1%) •選挙区の国会議員が二重国籍であった場合に「投票したくない」と回答した割合は43.4%。 •重国籍者が国会議員になることを法的に禁止すべきだと思いますか?という設問に対して「禁止すべき」と回答した割合は41.1%。 •グローバル時代を迎えて二重国籍を法的に認めるべきだと思いますか?という設問に対して、そう思う(18.4%)、そう思わない(40.8%)。 ■調査結果に関する見解 (1)二重国籍という一般的に馴染みがない問題について、国民の約過半数が国会議員の二重国籍は問題であると回答し、内閣総理大臣などに相応しくないと回答している。自らの二重国籍を放置したままにしている国会議員、まして内閣総理大臣になる可能性がある野党第一党党首である蓮舫氏の立場に対して厳格な国籍意識を求めている。 (2)連合の神津会長が9月16日記者会見でも述べていた通り、蓮舫氏以外にも二重国籍の議員が存在している可能性があり、アンケートでも約8割の回答者が国会議員に二重国籍の有無を公表することを求めている。全ての国会議員は有権者に対する情報提供として二重国籍であるか否かを公表すべきである。 ◆「国防・安全保障に関する意識調査アンケート結果」 https://info.hr-party.jp/press-release/2016/3720/ -「中国に安全保障上の脅威を感じる」75.9%がYes― ■調査概要 幸福実現党は2016年9月29日~10月3日まで大手インターネット調査会社インテージのシステムを利用し、18歳以上のアンケート回収者1172名に対して、国防・安全保障に関する調査を実施しましたのでご報告いたします。(18歳以上、性別・年代は日本国在住者比率に準拠) ■調査結果 (1)中国に対する安全保障上の危機意識は非常に高い状況にある •「中国に安全保障上の脅威を感じますか?」という設問に対し、75.9%の回答者が「脅威を感じる」と回答。 •「日本の防衛力について強化していくべきだと思いますか?」という設問に対し、53.8%の回答者が「強化すべき」と回答。 (2)尖閣諸島において隣国に毅然とした対応を求める意識あり •「尖閣諸島(無人)に自衛隊の基地を設置するべきだと思いますか?」という設問に対し、44.5%の回答者が「設置するべき」と回答。(「設置するべきではない」は28.9%) •「日本政府は尖閣諸島周辺で違法な操業を行っている外国籍漁船を積極的に拿捕するべきだと思いますか?」という設問に対し、69.1%の回答者が「拿捕するべき」と回答。 (3)安保法制などの日米同盟の更なる強化を求める意識は相対的に強い •「昨年に法制化されたいわゆる安保法制は日本に必要だと思いますか?」という設問に対し、43.7%の回答者が「必要である」と回答。(「必要ではない」は24.6%) •「沖縄の在日米軍基地は必要だと思いますか?」という設問に対し、51.1%の回答者が「必要である」と回答。 •「日米同盟は今後更に強化していくべきだと思いますか?」という設問に対し、57.8%の回答者が「強化していくべき」と回答。 (4)周辺国に対して領土問題・歴史問題・核問題で毅然とした対応を求める意識あり •「竹島の領有権について日本政府は国際司法裁判所に提訴するべきだと思いますか?」という設問に対し、73.6%の回答者が「提訴するべき」と回答。 •「昨年発表された日韓合意に基づいて韓国政府はソウル特別市の在大韓民国日本国大使館前の少女像(慰安婦像)を移転するべきだと思いますか?」に対し、55.3%の回答者が「移転するべき」と回答。 •「東アジアにおける核開発に対抗するために自衛隊が積極的な対処を行うことができる能力を整備するべきだと思いますか?」に対し、49.2%の回答者が「整備するべき」と回答。 •靖国神社への内閣総理大臣による公式参拝は賛否が拮抗しており、日本の核兵器の所有については否定的な意見が上回っている。 ■調査結果に関する見解 •中国が安全保障上の脅威であるという認識が有権者の約75%に達し、尖閣諸島の自衛隊中流や違法操業漁船の拿捕を求める声が一定以上存在していることから、日本政府は世論に応えて対応方針を示すべきである。 •日米同盟については相対的に強化していくべきという声も強く、日本の安全保障上の観点から更なる強化を実現していくことが重要だ。また、大韓民国との間に存在する領土問題・歴史問題に対して、日本政府は国際的な法や両国の合意に基づく誠実な大韓民国政府の行動を求めるべきである。 •国防への責任について民進党は有権者の支持を得ていない。一方で、自民党に対する国防への信頼も十分とは言えず、憲法9条改正を含めて国民的議論の喚起が必要だ。 フィリピン・ドゥテルテ大統領の登場と南シナ海の危機 2016.10.02 幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆6月の大統領選挙で圧倒的な勝利 今年、フィリピンでは6年に一度の大統領選挙が行われました。 これまでは、前大統領ベニグノ・アキノ3世の元で、フィリピンは順調な経済成長を遂げたものの、国防では南シナ海で中国との領土紛争が問題となっており、危機を迎えていました。 そこでアキノ前大統領は、日本や米国等の自由主義国家との軍事関係を強化しつつ、「南シナ海の領有権」について国際司法裁判所に提訴を行い勝訴するなど、この危機を何とか食い止める動きを進めていました。 こうした国防上の課題を残したアキノ政権の後継者として、ドゥテルテ新大統領が国民の圧倒的な支持の下で誕生しました。 この大統領選挙の議論を見る限り、フィリピンの国民はドゥテルテ大統領が地方都市の市長として治安維持の実績を上げた部分や、「犯罪者は射殺する」「就任したら腐敗した官僚や警察は皆殺しにする」などと、米国大統領候補のトランプ氏以上の過激な発言にも魅力を感じたのかもしれません。 ◆米国オバマ大統領への批判 ドゥテルテ大統領は、元々検事出身で1980年代からはダバオ市長として治安の改善に取り組み、東南アジアで最も平和な都市を標榜し、その結果、ダバオはフィリピンでも有数の治安のよい都市となったのです。 実際に私的な自警団を組織し、超法規的な私刑を許していたともいわれ、一部には危険視する向きもありました。 そして大統領に就任すると公約どおり、まず国内の治安維持、特に「麻薬撲滅」を推進しました。 しかし、ダバオ市長時代と同様、超法規的措置による私刑を許し、麻薬犯罪に関わる容疑者を裁判にかける事なく逮捕の現場で射殺する事件がわずか1ヵ月で1800件発生し、人権に強い関心を持っている米国等からドゥテルテ大統領へ批判が寄せられました。 ところが、彼はこうした批判に強く反発するだけでなく、一時は国際連合からの脱退をほのめかし、また米国オバマ大統領に対しても侮辱の言葉を繰り返しました。 その結果、9月5日にラオスで開催されたASEAN首脳会議に合わせて予定されていた米比首脳会談が中止になる等、米国との関係が一気に冷え込む事態になりました。 元々フィリピンは米国の植民地であり、一部には嫌米感情があるのかもしれませんが、毅然とした指導者を求めていたフィリピン国民もドゥテルテ大統領がここまで国際関係を緊張させる事になるとは予想しなかったでしょう。 ◆南シナ海が危ない! ドゥテルテ大統領は、国内の治安維持だけでなく、フィリピンの元首として、南シナ海での中国の領土拡張を食い止めるという大きな国家的な課題を持っています。 そうした国益上の立場から、中国への抑止力として米国との軍事同盟強化は最重要であるはずなのですが、ドゥテルテ大統領は、米国に自らの尊厳を傷付けられたことが許せなかったのかもしれません。 さらに、重要な事は現在のフィリピンにおける米軍の駐留について「出て行かなくてはならない」とも発言しています。 現在、米国次期大統領選挙を戦っているトランプ、クリントン両候補とも、米軍の海外駐留について、「他国のために米国の軍事費をこれ以上使い、米国の青年の血を流すような事はしない。自分の国は自分の責任で守るべき」と基本的には否定的な考えを持っています。 ドゥテルテ大統領の数々の嫌米感情をむき出しにした発言は、米国次期大統領の米軍撤退の考えを具体化させるきっかけになりかねません。 ドゥテルテ大統領自身は、明確に中国との友好関係を望んでいるわけではなさそうですが、中国は、こうした米比関係の冷え込みで、南シナ海での影響力を拡大することにつながるため、一連の騒動を内心ほくそ笑んでいるはずです。 そして、日本のシーレーン(海上輸送路)にあたるこの海域において中国の影響力が強まることは、当然、我が国とっての死活問題になります。 幸福実現党は、シーレーンの安全を守ることが国益上最も重要であることを訴えてきましたが、その一角である南シナ海に中国の領土拡張の野望が実現しかねない事態となりました。 ◆世界平和に向けての日本の役割 安倍総理は、噂されている来年1月の解散・総選挙に向け「北方領土の返還」という大きな成果を求めて、現在は日露関係の強化に大きな関心を持っているかのように見えます。 この事自体は、国益に適うので否定いたしませんが、少なくとも現時点の南シナ海の危機を考えると、まずは米国とフィリピンの関係改善に努めるべきではないでしょうか。 幸い、9月のASEAN首脳会議でも安倍総理とドゥテルテ大統領は首脳会談を行い、フィリピンの海上警備能力を向上させる方向に向かっています。 海洋進出を進める中国を牽制するために、フィリピンに対し海上自衛隊の練習機を最大5機ほど有償貸与すること、大型巡視船2隻を円借款で供与することで合意するなど、友好的な関係が維持されています。 安倍総理は、両国の関係改善を促進することが可能です。 南シナ海だけでなく、日本は中東でも欧米諸国ほど敵対視されておらず、逆に友好国とも見られているため、イスラム諸国との橋渡しが可能な立場にいます。 このように我が国は、今後、世界の経済成長のけん引役を果たすとともに、世界各地の紛争を仲介し、世界平和へ大きな貢献をすることも可能であり、進めて行くべきではないか、と感じる次第です。 我が党は、そのために今後も政策を訴えつづけ、戦い続けます。皆さまのご支援、心よりお願いいたします。 すべてを表示する « Previous 1 … 37 38 39 40 41 … 98 Next »