Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 韓国極左政権による朝鮮統一 2017.04.04 HS政経塾 第6期生 山本慈(やまもと・めぐみ) ◆弾劾裁判の結果 朴槿恵(パク・クネ)容疑者の友人である崔順実(チェ・スンシル)氏の国政介入が発覚した昨年10月24日から、約5か月が経過しました。 前日30日の逮捕状審査では、9時間にわたる尋問に「身の潔白」を主張し続けたそうです。 朴容疑者は任期中、年に一度の年頭会見のみメディアと交流していました。しかし、弾劾期間中1月に記者会見を開き、事件関与の否定を世論に訴えかけ、必死の姿勢を見せていました。 しかし、本人の弁明も空しく、31日未明に朴容疑者は逮捕され、ソウル拘置所へ移送されることになりました。 ◆韓国世論分断 事件発覚後、ソウルでは毎週末、左派勢力による大統領退陣を求める大規模集会が過去最大規模で行われていました。 その後、保守勢力による「弾劾無効」デモが退陣デモの参加者数を超える規模で行われましたが、メディア報道されないまま、世論を変えられず、今なお、拘置所前で逮捕反対デモが行われています。 また保守派のインタビューから、退陣デモやロウソクデモは北朝鮮の工作員によって行われていることが分かり、1987年から始まった民主化運動の中で、北朝鮮の工作員が水面下に潜み、現在の左翼デモの中心となっていると言われています。 今回の弾劾裁判により、世論は大きく分断し、次期大統領選に大きな影響を与えることでしょう。 ◆次期大統領選が韓国の未来を決める 次期大統領選では、革新系政党「共に民主党」から文在寅(ムン・ジェイン)氏、革新系政党「国民の党」から安哲秀(アン・チョルス)氏が躍進し、保守陣営は足並みがそろっていない状況にあります。 文氏は、「従北」「反日」の政治家として知られ、高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備延期や、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の見直し、日韓合意の無効を訴えています。 支持率は現在トップに位置し、先日行われた予備選挙で2位と圧倒的な差をつけ、勝利しました。 もし文氏が当選すれば、「従北」方針になることが懸念されています。マティス米国務長官は、THAAD配備を着実に進めることを念頭に、2月2日訪韓時、両政府で一致しました。 しかし、文氏が大統領となり、THAAD配備延期を決定すれば、アメリカとの安全保障関係の歩調がずれることになるでしょう。 また日韓合意撤回と日韓軍事情報包括保護協定の見直し内容によれば、日本との関係はさらに冷え込み、日韓米関係が破綻することが想定されます。 この想定通りになれば、韓国は瞬く間に「赤化」し、違う形の朝鮮半島統一になるでしょう。 なお、THAAD配備延期は中国と北朝鮮への配慮として主張していると考えられています。 ◆日本ができること 現在も審議にかけられつつありますが、日本本土にもTHAAD配備することを検討しなければなりません。韓国で配備できないならば、抑止力として、日本はTHAADを配備すべきと考えます。 また韓国が北朝鮮と統一されれば、核兵器は間違いなく完成することと、もし平和裏に韓国が北朝鮮を統一したとしても、核ミサイルを保持できるようになるため、どちらにしても日本の安全保障の危機となります。 次期大統領選は隣国の大統領を決めることで、日本は関係ないと感じる人が多いかもしれません。 しかし、朝鮮半島が平和でない以上、日本は隣国の動きをしっかり観察し、日本がどう行動していかなければならないか考えなければならないでしょう。 参考資料 産経ニュース / 読売新聞 / 「SAPIO」4月号 情報コンテンツの流入で北朝鮮内部からの崩壊を狙え! 2017.03.25 HS政経塾2期卒塾生服部まさみ ◆「あらゆる選択肢」のひとつとして ティラーソン米国務長官は、「あらゆる選択肢がテーブルの上に乗っている」と述べ、北朝鮮に対して強硬な姿勢を取る意向を明らかにしました。 「あらゆる選択肢」の一つとして、外からの圧力と共に、「北朝鮮を内部から崩壊させる」という方法を検討するべきだと考えます。 この方法についてハーバード大学ベルファー科学・国際問題研究所特別研究員のペク・ジウン氏(Jieun Baek)が『フォーリン・アフェアーズ・リポート』2017年2月号に興味深い論文を発表しています。(参考:フォーリン・アフェアーズ・リポート2017年2月号P76~P83) ◆北朝鮮に流入する外国の情報コンテンツ 北朝鮮では政府が制作または許可した映像や音楽しか視聴することができません。金正恩の抑圧体制は極めて堅固だと言われていますが、実際にはひび割れが生じており、外国の情報が流れ込んでいます。 韓国や米国には脱北者と協力して、北朝鮮に情報を流す非営利組織(NGO)が存在します。 例えば、脱北し、韓国で非営利組織を運営している人物は、国境にある中国側の川岸から外国の映画や音楽が入ったUSBメモリをプラスチックケースに入れ、分厚いビニール袋に包むと、ワイヤーを結びつけ、向こう岸に投げます。 北朝鮮側の受け取り人が袋を引き揚げ、これらを売りさばきます。 受け取り役は、非営利組織から100ドル相当の支払いを受けますが、北朝鮮では家族を1~2か月養える大金です。 しかし、国境警備隊に捕まれば、強制収容所に送られるか、処刑される恐れもあるリスクを背負っています。 見つかれば、大変なことになるにもかかわらず、外国情報の密輸販売は割のいい仕事の一つだと考えられています。このように、外国映画などの情報コンテンツの密輸は、北朝鮮の人々がリスクを冒しながら、国内外のことを知る機会をもたらしています。 ◆情報コンテンツが取引されるグレーマーケットの存在 外国からの密輸品は、主にグレーマーケットで取引されています。94年から政府は度重なる飢饉に対応するために、食料を流通させようと、「チャンマダン」という市場の開設を認め、そこで生活必需品を購入し、物々交換できるようにしました。 それ以来、「チャンマダン」は発展し、現在では大型の市場が380~730か所、小さな市場はそれ以上あり、人口の約4分の3の人々が、こうした民間市場に依存するようになりました。 このようなグレーマーケットの存在が、禁止されているモノや情報の流通を容易にしたのです。 いまや海外のNGO、脱北者、密輸業者、仲介業者、ビジネスマン、買収された兵士や役人で構成される驚くほど堅固なネットワークを通じて、携帯電話やノートパソコン、タブレット端末などが持ち込まれ、北朝鮮の人々と外の世界とを結びつけているのです。 ◆北朝鮮の言論統制の実態 しかし、北朝鮮では、禁止メディアの視聴は、最も重大な犯罪の一つであり、外国放送を視聴したり、反体制的な出版物を所有したりすることは「国家に対する犯罪」となり、死刑を含む厳罰に処されます。 各家庭には支給されたラジオがありますが、音量は調整できても、スイッチを切ることができないように作られており、選局はできません。ラジオからは一日中政府のプロパガンダが放送されています。 また、インターネットも一部のエリート以外は禁止され、民衆には、「光明」と呼ばれるイントラネットがあり、政府の役人が選んだ、体制を脅かさない科学ニュースや医療関連情報などの情報が流れています。 さらに、すべての家庭で使用する電子機器は、地元当局に登録しなければならず、何を見ているかを調べるため、立ち入り調査が抜き打ちで実施され、違法コンテンツが発見されると、逮捕され、禁制品は没収されます。捜査官は、違法なDVDを隠せないように、家宅捜査に踏み込む前に建物全体の電源を落として、DVDを取り出せなくするほど徹底しています。 人口2500万人のうち約300万人に携帯電話が普及していますが、国営のネットワークのみの利用で国内電話しかかけられず、通話は監視(盗聴)の対象にされています。 現体制が問題視しているのは、携帯電話よりも追跡が難しい携帯型のメディアプレーヤーで、多くの人が、グレーマーケットで中国製のMP4プレーヤーを購入し、密輸されたメモリーカードに入った動画を視聴しています。 また、中国製の「ノテテル(ノテルとも呼ばれる)」という携帯型メディアプレーヤーも人気でUSBやメモリーカード、DVDが使用でき、テレビやラジオの機能もあります。 当局だけではなく、近隣住人に通報される恐れもあるため、様々な工夫をして視聴しています。 非公式の団体やスポーツチームの結成も禁止しており、当局の許可がなければ、集会を開くこともできず、他の町に住む人の家に泊まることもできません。 巨大な密告システムを張り巡らしており、政府を批判した人物を通報した人には褒賞を与え、市民間に信頼関係が生まれるのを抑えています。監視能力も進化しており、集会を開くどころか、メッセージを送受信することさえ難しくなっているのが現状です。 ◆真実の輸入 こうした捜査や厳しい言論統制は、いかに情報の流入に神経質になっているかを明らかにしています。 現体制が最も恐れているのは、外国の情報に接した民衆が、自国の体制に幻滅し、変化を求めるようになることです。金正恩は、軍事力以上に外国からの情報が一番怖いのかもしれません。 そうであるならば、私たちは、北朝鮮を内側から変える情報の力に注目すべきではないでしょうか。 デジタル製品は、現在、北朝鮮社会で重要な役割を果たすようになりました。密輸されたメディアを見て、多くの人々が、自国とその指導者について、政府による主張と現実とのギャップに気づくようになり、外の世界が、政府のプロパガンダが描くような世界ではないと理解し始めたのです。 現体制はこれまで厳しい措置を持ってしても、禁止されたコンテンツを視聴するのをやめさせることはできませんでした。 また、私たちの伝統的な外交や制裁では、北朝鮮政府に政治的・経済的改革を強いることも、武力による威嚇や抵抗をやめさせることもできませんでした。 北朝鮮が変わるとすれば、内側から変わるしかないのかもしれません。アングラ市場で広がる外国の情報や文化的コンテンツの流通は、それを推進する方法ではないでしょうか。 具体的には、技術や情報を北朝鮮に送り込んでいる韓国やアメリカなどのNGOや人権団体への資金援助を検討すべきだと考えます。 特に、外国の情報を北朝鮮の将校や知識人、政治エリートたちに知らせることが重要であり、民衆をよく知る脱北者に、コンテンツ選びや実際に情報を運ぶNGOの活動に対して積極的な支援を行うことが重要です。 今後、研究を進めていく必要がありますが、現体制の存続を脅かす方法の一つとして積極的に取り組んでいきたいと考えます。ドアに鍵をかけた暗い部屋で、誰にも見つからないことを祈りながら外の世界を見るのではなく、日本と海底トンネルでつながり、リニアモーターカーで朝鮮半島へ、そして日本と北朝鮮の若者が大好きな音楽や映画で笑い合う日が来ることを目指していきます。 北朝鮮のミサイルに対する国防力を強化せよ! 2017.03.18 幸福実現党・広報スタッフ 佐々木勝浩 ◆北朝鮮のミサイルは、「西日本が射程範囲」 北朝鮮は、昨年1年間だけでミサイル発射を23回、核実験を2回行っています。 今年3月8日には4発のミサイルを同時に発射しました。3発が日本の排他的経済水域に着弾し、うち1発は能登半島の北北西約200キロの海域に落ちています。 今回、明らかになったことは北朝鮮のミサイルは同時に発射して、目標を的確に狙えるまでに進んでいることです。 菅官房長官は、北朝鮮のミサイルについて、「北朝鮮を中心に半径1000キロの円を描くと、西日本は射程範囲内に入る」ことを明らかにし、日本の安全保障上極めて脅威になっていること指摘しました。 また菅官房長官は今回のミサイル発射情報が、落下から20分後になって周辺の船舶に伝達されたことを発表しました。これでは周辺を航行中の船舶に被害が及ぶ可能性があります。 ◆迎撃ミサイルで日本は守れない 北朝鮮側は、今回のミサイル発射について「在日米軍基地を標的した訓練」であると発表しています。 発射された北朝鮮のミサイルは10分で日本に届き、問題は、1発や2発ではなく、たくさんのミサイルを一度に発射された場合、日本は防衛できるかです。 日本のミサイル防衛体制は、「大気圏で撃ち落とす迎撃ミサイル『SM3』搭載のイージス艦4隻と、全国17高射隊に計34基配備された地対空誘導弾『PAC3』による二段構え」(3/8読売)です。 現在配備の「SM3―1A」は、到達高度が300キロで、平成33年配備を目指す米国と共同開発中の「SM3―2A」でも、高度1000キロ以上です(3/3産経)。 ミサイルを『SM3』で迎撃できなかった場合、最大射程20キロの「PAC3」が迎撃する態勢ですが、多数のミサイルを迎撃することは困難です。 一方で日本にもTHAAD(高高度防衛ミサイル)の導入を検討するという声もありますが、どちらにしても「撃たれたら撃ち落とす」ような専守防衛では、日本は守れません。 日本を守るためには「北朝鮮にミサイルを撃たせない」対策を早急に進めることが必要です。 そのためには、北朝鮮の核ミサイルに対処するため低空で飛びレーダーで捉えにくい、しかもピンポイントで標的を狙える「トマホーク」のような巡航ミサイルを配備することです。 もう一つの対策は、やはりレーダーで捉えにくいステルス性能の高いF35戦闘機などによる「敵基地攻撃能力」の保有が必要です。 日本に北朝鮮を攻撃する能力(敵基地攻撃能力)があれば、北朝鮮も攻撃を受けると分かっていれば、簡単にミサイルを撃てなくなります。 これは、決して日本が北朝鮮を侵略するためではありません。 ◆北の核には対するには また現在、北朝鮮の核実験の兆候を米韓が衛星写真の分析からつかんでいます。北朝鮮が核弾頭の小型化に成功すれば核ミサイルを発射する可能が高まります。 この状況から日本を守るためにはどうしたらいいのでしょうか。大川隆法総裁は『世界を導く日本の正義』(幸福の科学出版)の中でこのように指摘しています。 核兵器は、他国を侵略したりするためにだけあるのではありません。先の大戦で日本に2つの原爆が落とされましたが、それ以降の歴史において、核兵器は使われていません。 すなわち核兵器の最大の効能は、「他の核兵器保有国に核兵器を使わせない」ということです。 「こちらが核兵器を使った場合には、向こうからも核兵器を使われる可能性がある」ということが最大の抑止力になって、結局、お互いに核兵器を使えないわけです。(引用終わり) すでに政府は昭和31年に憲法9条下でも「敵基地攻撃能力」の保有が可能と答弁しています。よって政府の決断で下記2点を早急に進めるべきです。 (1) 北朝鮮の核ミサイルに対処するため巡航ミサイルの配備や航空機による「敵基地攻撃能力」を保有すること。 (2) 自衛のため「核装備」を進めること。 北朝鮮の核やミサイルから日本を守るためには、この二点を政策に掲げ、速やかに実行すべきなのです。 緊迫する北朝鮮情勢――日本はよりリアルな国防を 2017.03.07 HS政経塾 第5期生 表 なつこ ◆またしても北朝鮮が日本海に向けてミサイルを発射 先日3月6日朝、北朝鮮がまたも日本海に向け弾道ミサイルを発射しました。4発のうち3発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に、残りの1発もEEZ付近に着弾しました。 安倍晋三首相は、今回の発射で北朝鮮が新たな段階の脅威になったと述べました。 今回のミサイル発射の理由は、(1)今月1日から行われている米韓合同軍事演習への対抗、(2)アメリカのティラーソン米国務長官が、北朝鮮の核・ミサイル問題を「差し迫った脅威」と認識し、日中韓との連携強化を目的として各国を訪問することに対するけん制、の二点があると言われています。 ◆北朝鮮の国際的環境は悪化 各国の北朝鮮への視線は厳しさを増しています。 北朝鮮は、先月12日の日米首脳会談直後にもミサイルを発射しました。日米をけん制する狙いだったと考えられますが、かえって両国の結束と対北朝鮮への強硬姿勢を強めました。 また、同13日には金正男氏暗殺の報せが世界に衝撃を与えました。暗殺の現場にされたマレーシア政府は北朝鮮との国交を断絶する動きも見せています。 ひいては、北朝鮮と比較的友好的関係にあった東南アジア諸国も北朝鮮の扱いを見直す議論を始めています。 またこの事件を受けて、トランプ大統領は北朝鮮をテロ支援国家に改めて指定する検討を始めていました。 ◆北朝鮮内部も情勢悪化 一方で北朝鮮内部も混乱していると見られます。 金正男氏殺害の容疑者と見られる複数の人物が所属している、北朝鮮の国家保衛省(政治警察)において、5人以上の幹部が高射銃で処刑されたと、先月27日に韓国の国家情報院が明らかにしました。 人民は金正恩氏に忠誠心を持っておらず、体制に不満を持つ高官の脱北が相次いでいます。末端の地方保衛部員らは、現政権崩壊後に自分たちが人民にリンチされることを恐れている、といいます。(参照:西岡力 http://ironna.jp/article/3960) ◆トランプ政権の対北政策 トランプ大統領は2月23日、ロイター通信のインタビューで、大統領就任後初めて核戦力について明言し、「私は核のない世界を誰よりも見たいと思っている。しかし核保有国があるなら、核について他国に劣るつもりは決してない」と、核戦力増強の意向を示しました。 このインタビューの中で北朝鮮については「非常に怒っている」、金正恩委員長との直接会談の可能性については「遅すぎる」と語りました。 アメリカは、北朝鮮のミサイルから韓国を防衛するために、年内に地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を在韓米軍に配備する予定ですが、THAADの迎撃の精度は不透明であるため、北朝鮮がミサイル発射実験をしようとした際に軍事施設を攻撃するほうが確実性は高いと考えています(3月4日付日本経済新聞)。 また、アメリカは金正恩委員長を別の指導者にすげ替える構想も検討しています。 ◆日本はどうするか アメリカは現在の北朝鮮の混乱状態から、核実験や弾道ミサイルの発射を一段と予測しにくくなったと認識しています。 この度(3月6日)のミサイル発射も、事前予告もなく日本の排他的経済水域に着弾しており、「漁船等が操業している可能性もあり、きわめて危険な行為」(3月6日安倍首相発言)です。 日本では現在、この北朝鮮情勢の悪化を受け、危機が差し迫った際には相手国のミサイル攻撃基地を先制攻撃できる「敵基地攻撃能力」の保有を検討しています。 これは国際法上も認められている能力であり、先に紹介した「THAADよりも軍事施設攻撃の方が精度は高い」というアメリカ側の考えにも一致するものです。 ただ、憲法9条の解釈から、国防のあり方を「専守防衛」と規定してきた日本はこの能力を持たずにきたため、実現には5~10年かかるとされています。 したがって北朝鮮の暴走から確実に日本を防衛するためには、アメリカの核を日本に配備し抑止力にするニュークリアシェアリング(核共有)などについても、同時並行的に議論し交渉していくことが求められていると言えます。 日本は、緊迫している周辺の国際環境を受け、より現実的に安全保障を考える必要があるでしょう。 ツイッターで世論を変える?!デジタル化で広がる新たな広報戦略 2017.03.05 HS政経塾2期卒塾生服部まさみ ◆アメリカ大使館も踊った!「恋ダンス」が爆発的話題に 昨年、TBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(通称:逃げ恥)で爆発的人気となった「恋ダンス」。 全国の老若男女がこの「恋ダンス」を踊り、インターネット上に動画をアップすることが流行りました。 ちょうどドラマが最終回を迎えるころ、アメリカ大使館のケネディ元大使やスッタフたちが踊っている動画がYoutubeにアップされ、700万回以上再生されるという爆発的なヒットを生み出し、話題になりました。 アメリカ大使館の広報は、この爆発的なヒットを「ただのブーム」、「流行にのっただけ」とするのではなく、真面目に、専門的に分析しています。 その視点が非常に参考になるので、ご紹介させて頂きます。 ◆テレビ×SNS=大きな反響! アメリカ大使館が動画をyoutubeにアップしただけではそれほど大きな反響はなかったようですが、ニュース番組で「アメリカ大使館も踊った!」と取り上げられ、そこからフェイスブックやツイッタ―などで拡散され、一気に大きな話題になりました。 大きな反響が出るためには、テレビで取り上げられただけでは、若者の間で話題にならず、反対に、ツイッタ―などインターネット上で話題になっただけでは、世間に知られることはありません。 特に、日本では、テレビの影響力が大きいので、テレビとSNS(フェイスブックやツイッターなど)の両方で取り上げられることで大きな反響が出てきます。 ◆ツイッターから生まれるトレンド 最近は、テレビや新聞で話題になることより、ツイッタ―などインターネット上で話題になったものをテレビや新聞などが取り上げ、ひとつのトレンドを作っていくというケースが増えてきているといいます。 それでは、具体的にどのようなプロセスでトレンドが生まれるのでしょうか。 若者の意見をもとに商品開発を行い、様々なヒット商品を生み出しているマーケティング会社の調査によると、以下のプロセスでトレンドが生まれるといいます。 (1)ツイッタラーがコンテンツに目をつける 「ツイッタラー」という3万人以上のフォロワーを持っている人たちがいます。このツイッタラーたちは、おもしろい内容(コンテンツ)を見つけることが仕事なので、常におもしろいコンテンツを探しています。 (2)ツイッタラーが拡散する このツイッタラーたちに目をつけられると、拡散(RT)が始まります。 (3)一般のアカウント上でツイッタ―がまわり出す。 そして、拡散されたものが一般のアカウント上でもまわり始め、多くの人が拡散し始めます。 (4)ニュースやテレビで取り上げられる ニュースやテレビでも取り上げられ、ツイッタ―を知らない世代にも広まり、トレンドになり、世論が形成されていきます。 ◆ツイッタ―がもつ影響力 ツイッタ―は日本語との相性が良く、特に、日本においては、ツイッタ―が持つ影響力が大きいと言われています。 それぞれの国よって影響力をもつ媒体が違うようで、アメリカの場合、若者の間では「スナップチャット」という媒体が主流で、「フェイスブック」は35歳以上の年齢層で、年配の方がお孫さんの写真を見せ合って交流するツールとして人気があります。 また、「ツイッタ―」は少し、ブームが去っていましたが、トランプ大統領が使ったことで、再び、注目されています。このように世代によっても違いがあります。 「PPAP」という世界中で話題になった動画がありましたが、これもYoutubeの動画を日本のツイッタラーたちが拡散し始め、ジャスティン・ビーバーという歌手がこの動画を見つけて、話題にしたところ、世界中に広がりました。 一方で、世界では話題になっても、日本では全く知られていないケースもあります。 「ソルト・ベイ」という1か月で950万回も見られて海外ですごく流行った動画がありますが、これはインスタグラムという媒体から拡散され、日本では、ツイッタ―に乗らなかったので、ほとんど知られていません。 このように日本ではツイッタ―の要素が足りないと影響力が出ないといわれています。 ◆爆発的な話題になる動画の共通点 話題になる動画にはいくつかの共通点があるようです。 爆発的に話題になる動画の3大要素として次のように考えられています。 (1)ギャップ要素:真面目な人がふざける。ふざけている人が真面目にしているなど内容のギャップがあるもの。 (2)リズム(音)要素:トレンドの曲や頭に残る曲を使っている。 (3)動き(ダンス)要素:インパクトがあったり、真似しやすい動きがあるもの。 この3大要素が含まれているものは、爆発的な話題を生みやすいと言われています。前述したアメリカ大使館の恋ダンスビデオもこの3大要素を含んでいます。 一つ目のギャップ要素では、大使など真面目なイメージのある人たちが、学生や若者が面白がってやる「踊ってみた」をやっている点や、雪の中や大使館の中など、ロケーションが新鮮で斬新であること。 二つ目のリズム要素は、話題のドラマ、流行の曲を使っていること。 三つ目のダンス要素も、いろんな人が真似して踊っている、流行りの「恋ダンス」をしていることなどです。 ◆広報外交の重要性 以上のように、インターネットの新しい媒体を使いながら話題性をもって世論をつくりあげていく事例を紹介してきました。 なぜ、このような事例にアメリカ大使館は注目するのでしょうか。 外交戦略のひとつに、「パブリック・ディプロマシー」があります。 「広報外交」、「広報文化外交」と言われていますが、伝統的な「政府対政府」が行う外交とは異なり、広報や文化交流を通じて、国際社会の中で自国の存在感やイメージを高め、相手国の国民や世論に直接働きかける外交のことです。 インターネットなど情報化社会が進んだ現代では、個人が様々な情報を受け取り、発信できる時代になりました。 そのため、政府を相手に政治家や外交官が交渉を行う外交だけでは十分ではなく、国民や世論に働きかける「パブリック・ディプロマシー」がますます重要になってきています。 トランプ大統領を見てもわかるように、外交官やメディアを使わず、大統領自らがツイッタ―で、世界中に直接メッセージを発信しています。 アメリカは特にこの広報外交に力を入れている国ですが、今までは「アメリカの価値観を押し付ける」というイメージが定着していました。 しかし、恋ダンスの動画に見られるように、日本で流行っているもの、日本人が好きなもの、日本の文化的要素に合わせながら、アメリカらしいメッセージを含んでいる点など、相手の文化を尊重しながら友情をはぐくもうとする姿勢が新しく、参考になる点です。 また、動画や音楽など非言語の要素を活用したコンテンツは言葉が通じない相手や、政治に興味がない人にもアプローチできるという点で大きなポテンシャルがあり、様々な垣根を越えてリーチできるツールとして注目されています。 インターネットの媒体を上手に使いながら、私たち一人一人が日本の素晴らしさを世界にアピールしていくチャンスでもあります。 幸福実現党は正しい方向に国論を引っ張りながら、積極的な外交を展開して参ります。 トランプ革命の行方と日本の外交戦略【3】 クリミア危機の伏線を敷いた「EUの野心」と「脆弱なウクライナ経済」 2017.03.02 幸福実現党政調会・外交部会 彦川太志 前回のニュースファイルでは、米トランプ政権がロシアとの関係改善を実現するためには、シリア問題とウクライナ問題を巡る対立にどのような着地を見出すかが試金石になると紹介させて頂きました。 トランプ革命の行方と日本の外交戦略【2】トランプ政権下で進展する、米露関係の修復 http://hrp-newsfile.jp/2017/3085/ 今回は、ロシアとウクライナ、EUの関係について触れつつ、ウクライナ問題の解決に向けて、日本が持つべき考え方を提言させて頂きます。 ◆ロシアを追い詰めたEUの「野心」 一般的に、ウクライナ内戦はクリミア半島やドネツク・ルハンスクなどの二州に対するロシアの領土的野心から引き起こされたと考えられていますが、軍事的な観点からみると、逆にNATOがロシアを挑発した、という構図がある事が見えてきます。 ウクライナは91年のソ連邦崩壊と共に独立を果たし、EU諸国の「東方拡大」政策を背景とした欧米からの資金供給をテコに、ロシアからの経済的・政治的独立を志向してきました。 EUの東方拡大政策とは、旧ソ連邦の同盟国を形成していた旧東側諸国を西側諸国の一員として取り込んでいく政策であり、NATOによる対ロシア軍事包囲網の形成をも含んでいました。 そうした流れの延長として、ウクライナのEU加盟と経済統合が推進されておりましたが、ウクライナ領内にはソ連時代に形成されたロシアの重要な軍事産業が今も複数所在していることから、ウクライナ経済のEUへの統合は、経済問題のみならず国防上の問題とも絡んだ深刻な政治的対立に発展していました。 ウクライナに所在するロシアの軍事産業の例を紹介すると、軍用機や艦艇のエンジン生産工場をはじめ、対空ミサイルの誘導装置やICBMの部品を生産する工場が所在していることが知られています。 ロシア政府は、このような軍事力の中枢にかかわる産業の情報がEUとの経済統合によって第三国に流出する可能性を警戒していたのであり、ウクライナのEU加盟によって、軍事力の基幹に関わる産業を喪失した上に、ロシアに対するミサイル防衛網がモスクワの目と鼻の先に展開されるという危機に直面することを危惧していたのです。 カーネギー国際平和財団・モスクワセンターのドミトリー・トレーニン氏は、「ウクライナ危機とそれに先行する西洋との関係悪化」により、ロシアは中国との「協商関係」の拡大を選択せざるを得なかったと指摘しています。 ロシアを中国との実質的な「協商関係」に追い込んだEUの東方拡大政策について、その妥当性を検証する必要性があると言えます。 ◆外国資本に左右される脆弱なウクライナ経済にこそ問題の核心がある 一方で、ウクライナ経済の在り方にも注意を払う必要があります。 ウクライナは独立以来、IMFなどの西側資本を呼び込みつつ経済改革を進めてきましたが、26年に渡る歴史の中でGDPがプラス成長となったのはわずか4年間のみ。 しかもヤヌコヴィッチ大統領が追放された2014年初頭時点でのウクライナ財政は、GDP約1783億ドルに対して、対外債務残高1421億ドル、外貨準備高204億ドルという財政リスクを抱える状態でした。 確かに、軍需中心のソ連経済はウクライナを豊かにすることはありませんでしたし、ソ連崩壊後のロシアもウクライナを救済する力を持ち合わせていませんでした。 しかし、それと同様に、欧米諸国が十年以上に渡って資金援助や経済改革を指導してきたにもかかわらず、ウクライナ経済が行き着いた所はデフォルト間近の「外資依存経済」であり、国営企業民営化の努力も一部のオリガルヒ(新興財閥)を育てただけで、国内に厚い中産階級層を形成する事ができなかったという現実があります。 外資に依存せざるを得ない経済状況それ自体が、ウクライナ国内に混乱の火種を点している事は明らかです。 結局、「ロシアの資金」と「欧米の資金」のどちらを利用して経済を維持するのかという経済的・政治的選択肢の間を揺れ動いた結果、民族衝突に火が点く寸前までいったのがウクライナ問題であり、「ウクライナ国民の自立と幸福を真に実現する」という観点が完全に抜け落ちている点、同国の政治指導者に反省を求めるべきだと言えるでしょう。 むしろ経済制裁による深刻なリセッションの最中、「武器輸出額」以上の「農業輸出額」を達成し、新たな輸出の主力産業を育てるという経済改革を「自力で」行ったロシアに、ウクライナも少しは見習った方がよいと思います。 ◆ODA政策を見直し、ウクライナに「自助からの繁栄」の精神を育てるべき 以上の点を踏まえると、結局ウクライナ問題と言っても、旧ソ連時代の重工業産業からの産業転換に苦戦し、自立した経済を構築できていないウクライナを、欧米が救済するのか、ロシアが救済するのかと言うだけの問題であることが見えてきます。 また、経済を外資に依存している状況が変わらない限り、資金提供を行う国や集団の利害に常に内政が影響されますので、外交にも重大な影響が及びます。 このことから、ウクライナ問題の解決に向けて、日本は同国国内の健全な中産階級育成を支援することで、「内政の安定」と「外交関係の安定」を達成できるように取り計らうべきだと言えるでしょう。 その政策的手段としては、これまで日本が行ってきたODAを見直し、新たな基準で実施して行く事が考えられます。 日本はクリミア危機以降、ウクライナに対して2000億円以上のODAを実施していますが、下水処理場の修復や日本企業製品の無償提供などの場当たり的施策に終始しており、ODAを通じてウクライナ問題にどうコミットしていくのかと言う「哲学」が感じられません。 これは私見に基づく提案ではございますが、ODAを「商道徳」育成に特化し、「石門心学」(江戸時代中期の思想家・石田梅岩を開祖とする倫理学で、正直 倹約 勤勉の「三徳」を説いた)をウクライナに輸出するようなイメージで、「ウクライナ経済の安定と発展」、「紛争の抑止」に貢献する気概を見せてはいかがでしょうか。 日本は「資源大国」ではありませんが、世界有数の「老舗大国」でもあり、「ファミリービジネス」大国でもあります。 その核心は宗教的信条に裏打ちされた「自助努力」と「利他の精神」に基づく「ジョブ・クリエーション」の経済思想に他なりません。 もちろん、テクニカルな法改正や制度改革は別途必要となるでしょうが、「日本の繁栄にあやかりたい」という親日国を増やしながら、欧州とロシア間の対立を経済面から解消していく哲学を一本打ち込んでいく事も、外交の使命であると考えます。 次回、最新情勢を踏まえつつ、「ミンスク合意」の履行を果たし、米露関係を修復に導くための日本の具体的行動について提言し、ウクライナ問題の最終回としたいと思います。 反日から親日へ!モンゴルの今 2017.02.25 大阪第5選挙区支部長 数森圭吾 ◆危機に瀕するモンゴル経済 モンゴルの人口は306.1万人。首都ウランバートルには134.5万人が暮らしています(2016年外務省発表)。名目GDPは約7200億円で日本のGDPの約0.14%という経済規模となっています。 モンゴルといえば、「遊牧民」や「草原」、移動式住宅の「ゲル」など牧歌的なイメージを思い浮かべられる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 しかし近年、モンゴルに埋蔵された莫大な鉱物資源が世界から注目され、2010年以降は鉱物資源分野の発展により急激な経済成長がおこりました。 2011年にはモンゴルの経済成長率は17.29%を記録しています。 しかしその後、モンゴルの輸出品のうち約7割を占める石炭の価格が暴落し、経済は停滞。2016年の経済成長率は0.04%にまで落ち込み、資源バブルは崩壊したといわれています。 ◆日本にとって地政学的に重要なモンゴル モンゴルはロシアと中国の間に位置し、日露中の三国の関係のなかで重要な役割を果たす国として考えられています。 対中包囲網や中露関係への楔として重要なモンゴルが、政治的にも経済的にも自立し、日本との関係を深めることは非常に重要な問題であるのです。 ◆反日国だったモンゴルがアジア有数の親日国へ モンゴルは人口1000人に対して5人が日本に留学しており(2016年)、この比率は世界で断トツのトップとなっています。 実は日本とモンゴルは1939年のノモンハン事件において、満州国とモンゴル人民共和国という形で紛争を経験しています。 しかし、当時反日だったモンゴルがその後、親日へと変わっていったのです。 終戦後、シベリアでソ連軍の捕虜となり、約1.4万人の日本人がモンゴルで抑留されたといわれています。 ソ連の影響下で1924年~1992年までモンゴルでは社会主義政権が続き、日本人抑留者の情報は政府が一切公表していなかったそうです。 しかし1992年に日本人抑留者に関する文献をもとにして、「渡り鳥の還る秋」というモンゴル映画が製作され、モンゴル国内に日本人抑留者の存在が広く知られるきっかけとなりました。 この映画は当時のモンゴルで大きな反響をよぶことになります。 それまでモンゴルでは日本人は「敵」「残酷」「軍国主義」などと教わっていたそうですが、映画に描かれた日本人の「正義感」や「礼儀正しさ」が日本人のイメージを大きく変え、両国の距離を縮めたといわれています。 ◆親日度を深めた日本のODA 2004年に在モンゴル日本国大使館が実施した世論調査では、「最も親しくすべき国」として日本が第1位に選ばれるという結果からもモンゴル国民の親日ぶりがうかがえます。 このようにモンゴルの親日度が深まった理由の一つに日本のODAがあります。日本はこれまで交通インフラ整備などモンゴルに対して定期的なODAを行ってきています。 今年5月に開港予定の「新ウランバートル国際空港」も約650億円の日本のODAで実現したものです。 このプロジェクトには三菱商事など多数の日本企業が多数参加しており、日本への信頼はより深まってきているといわれています。 ◆深まる両国の経済関係 日本からモンゴルへの輸出品は8割が自動車となっており、反対に輸入品は鉱物資源が8割を占めています。そんななか、昨年6月には日本とモンゴルの経済連携協定(EPA)が発効しました。 この協定はモンゴルにとって初めての二国間経済協定でした。これによって自動車など日本の主な輸出品への関税が下がるほか、サービスや投資の自由化が促進される見通しとなっています。 また、2010年に尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件で、中国が対抗措置としてレアアースの対日輸出制限を行うという事態がありました。 これによってハイテク技術に不可欠なレアアースの価格が急騰し、日本のハイテク産業に大きな影響を出すこととなりました。 このレアアースやレアメタルといった希少性の高い鉱物資源はモンゴルでも採掘されています。モンゴルとの経済関係を強めることは日本にとっても資源確保のリスク分散になるというメリットもあるのです。 ◆アジアに自由を確立するため 未来に向けて種を蒔くべき国「モンゴル」 今モンゴルは経済的不安定さや官僚の汚職などの問題を抱えながらも、民主化路線を進んでいます。 中国がカネと武力で周辺国への影響力を強めているなかにおいて、自由を重んじる国が自立・発展し、またアジアのリーダーとなるべき日本の安全保障や経済的発展を確保・維持していくためにも、未来に向けて強い絆を生む「種」を蒔くべき重要な国の一つがモンゴルではないでしょうか。 トランプ革命の行方と日本の外交戦略【2】 トランプ政権下で進展する、米露関係の修復 2017.02.22 ■トランプ革命の行方と日本の外交戦略【2】 トランプ政権下で進展する、米露関係の修復 幸福実現党政調会・外交部会 彦川太志 今回のニュースファイルでは、特にウクライナ問題に焦点を当てつつ、米露関係の修復を実現するために日本が果たす役割を検討してみたいと思います。 ◆米露関係修復の試金石となるシリア・ウクライナ問題 米露関係の修復にとって問題となっていたのは、シリア内戦とウクライナ問題を通じた両国の対立でした。 オバマ前大統領は、シリア内戦においては中途半端な介入で「イスラム国」発生の土壌を作り、ウクライナを巡る問題については経済制裁によってロシアを深刻な金融危機へと追い込み、「中露接近」への道筋をつけてしまいました。 こうしたオバマ政権の「負の遺産」を如何に解消し、新たな米露関係を出発させるかが、外交面におけるトランプ政権の課題だと言えますが、トランプ大統領の誕生により、すでに様々な変化が起きています。 ◆ロシア主導で進展する、シリア内戦の停戦交渉 まずシリア内戦については、1月からロシア、イラン、トルコの3か国主導による停戦交渉(アスタナ会議)が開催されており、アサド政権と複数の反体制派が停戦の仕組みや新憲法の制定について対話を進めています。 アレッポでの停戦すらままならなかった昨年の状況から考えれば、驚くべき進展と言えますが、この交渉には米国からも大使が派遣されており、トランプ政権としても事実上、ロシア主導のシリア内戦の終結を黙認している様子が伺えます。 トランプ大統領は中東、特にシリア出身者の米国入国を大幅に制限する大統領令を発出しましたが、例えロシア主導であれ、シリア内戦が終結に向かえば難民問題自体も解決に向かうと予想されるため、米国にとってもメリットがあると言えるでしょう。 ◆ウクライナ問題は、「ミンスク合意」の履行と「ロシア制裁」の問題が焦点となる 一方、2014年のウクライナ騒乱に端を発するロシアのクリミア半島併合に対して、欧米はロシアに経済制裁を発動しておりますので、米露関係の修復を現実のものとするためには、ウクライナ内戦を終結させつつ、ロシア制裁の問題を解決する必要があると考えられます。 ウクライナ情勢を簡単に説明しますと、ウクライナでは2014年2月に親露的なヤヌコヴィッチ大統領が反政府運動によって追放されたり、住民投票でロシアへの編入を希望したクリミア自治州の希望をロシアが受け入れると言った事件が発生した事を契機に、同国政府軍と、ロシア系住民が多く居住しウクライナからの独立を求める、自称「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の二州との間で内戦が繰り広げられている状況です。 内戦状態の終結に向けては、ロシア、ドイツ、フランス、ウクライナの四か国首脳が保証を与える形で、政府軍と独立を求める二州との停戦や政治的和解などを取り決めた「ミンスク合意」が交わされました(2015年2月)が、未だに衝突が絶えず、停戦には程遠い状況です。 ◆米国の関与で解決に向かう「ミンスク合意」 「ミンスク合意」の履行に向けては、今年2月16日にラブロフ外相(露)とティラーソン国務長官(米)による会談が行われ、米国はウクライナ内戦について「ミンスク合意」の履行と、緊張の緩和に向けた「新しい共通の基盤」に基づいた解決を探す用意があると発言した旨、報道されています。 オバマ政権はウクライナ問題の解決に向け、このような形で関与する事はありませんでしたので、「ミンスク合意」の履行に向けて米国が本格的に関与するということであれば、ウクライナでの内戦状態は時間の問題で解決に向かう可能性が高いと言えるでしょう。 ◆米露接近のチャンスを捉え、「ロシア制裁」撤回を発信すべし しかしながら、ロシアへの経済制裁は主に「クリミア併合」を理由に行われているため、米露関係を改善していくためには、クリミア併合に関わる問題を解決する必要があります。 トランプ政権の誕生によって米ロ関係の懸案であったシリア・ウクライナ問題の多くが進展を迎える中、日本は勇気をもって「対ロシア制裁」やウクライナ支援の在り方を見直していくべきだと考えます。 次回、最終回となるニュースファイルでは、米露関係最大の懸案事項であった、「クリミア併合」と「ロシア制裁」の問題を解決する提言を行いたいと思います。 【2/24(金)19時~ 幸福実現党政調会・外交部会 月例公開セミナーのお知らせ】 日々、幸福実現党にご支援を賜り、誠にありがとうございます。 2月24日(金)19時より、ユートピア活動推進館3階大会議室において幸福実現党政調会・外交部会主催の公開セミナーを開催させていただきます。 当日ご参加頂きました皆様には、外交部会作成の持ち帰り資料をご用意させていただきます。多くの皆様の御参加をお待ちしております! テーマ:「米ロ関係改善への試金石、ウクライナ問題の解決策を考える」質疑応答 日時:2月24日(金)18:45開場 19:00開始 21:00終了予定 場所:ユートピア活動推進館3F大会議室 東京都港区赤坂2-10-8 会費:1000円(持ち帰り資料あり) 主催:幸福実現党政調会 外交部会 講師: 同 副部会長 彦川太志(HS政経塾一期生) ◆お申し込み・お問い合わせ ご参加のお申し込みは、【お名前】、【電話番号】、【所属支部(任意)】を明記の上、下記までメールをお送りください。 ※件名に「2月24日セミナー希望」とご記入ください。 担当:彦川太志 【victory777dh@gmail.com】 学習指導要領改訂案、「竹島」と「領土」と「歴史」 2017.02.21 HS政経塾6期生 須藤有紀 ◆新しい学習指導要領案 2月14日に、文部科学省は、幼稚園教育要領と、小・中学校学習指導要領の改訂案を発表しました。 改訂案の中では、(1)「社会に拓かれた教育課程」の重視、(2)知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成、(3)豊かな心、健やかな体の育成、の3点を基本的な考え方として、各教科の改善事項が述べられています。 その中でも特に注目したいのが、小学校第5学年の「内容の取扱い」です。 ◆初!学習指導要領に「竹島・尖閣」 第5学年の「3内容の取扱い」では、「『領土の範囲』については、竹島や北方領土、尖閣諸島が我が国固有の領土であることに触れること」と、「竹島・尖閣」に関する記述が登場しました。 2014年の指導要領解説書改訂の際、竹島・尖閣を「固有の領土」と明記したため、小中学校の社会の教科書には竹島・尖閣に関する記載がありますが、学習指導要領で竹島・尖閣に触れるのは初めてです(日経新聞Web版2017年2月15日)。 ◆竹島は明確に「日本」だ! そもそも竹島が我が国固有の領土であることは、地図や資料によって明らかにされています。 外務省によれば、「日本人が政府(江戸幕府)公認の下,鬱陵島に渡る際,竹島を航行の目標として,また船がかり(停泊地)として利用するとともに,あしかやあわびなどの漁猟にも利用」しており、「遅くとも17世紀半ばには」竹島に対する領有権は確立していたと言います。 また、サン・フランシスコ平和条約締結の際、韓国は条約を起草していたアメリカに「日本が放棄すべき地域に竹島を加える」ように求めていましたが、アメリカは「竹島は朝鮮の一部として取り扱われたことはなく日本領である」として、「韓国の要請を明確に拒絶」しています。 ◆かすめ取られた竹島 以上のように、竹島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも対外的にも明白です。 そうであるにも関わらず、1952年、韓国はいわゆる「李承晩ライン」を一方的に設定し、そのライン内に竹島を取り込みました。 そして、竹島に警備隊員などを常駐させ、宿舎や監視所、灯台、接岸施設などを構築してきたのです。 2012年には、現職大統領として初めて李明博大統領(当時)も竹島に上陸し、2016年には「共に民主党」前代表の文在寅氏や、韓国国会議員団10名が上陸するなど、政治的パフォーマンスの場として、竹島が使われることも度々起きています。 これは明らかに国際法違反であり、領土侵犯行為です。 ◆抗議「パフォーマンス」は、もう十分です 日本はこうした事件が起きるたびに「抗議」を行っているようですが、残念ながら効き目は全くありません。 韓国の態度からも、日本が「ナメられている」ことがよく分かります。 日本の抗議が抗議のための抗議であり、口で言う以外に何の実行力もないことが分かっているからでしょう。 事実、日本は憲法9条によって戦力保持が禁止されています。口での抗議以外に、対抗手段はありません。 まず、国民一人一人が「我が国の領土」に対する意識を持つこと。その上で、「我が国の領土」をしっかりと守るという強い意識を共有し、実行力を持つ必要があります。 ◆領土だけでなく、歴史教育も見直しを! 韓国との問題は領土だけでなく、従軍慰安婦等の歴史認識においても深刻です。 今回の学習指導要領改訂では、残念ながら小学校社会における第二次世界大戦に関連する改訂は見受けられませんでしたが、幸福実現党がかねてから主張しているように、韓国側が主張する慰安婦強制連行等は決してありませんでした。 日本の歴史教育は、大勢において未だに自虐史観から脱することができておらず、誤った認識のもとに行われています。 戦後70年を越えた今、GHQによるWGIPの呪縛から、日本は早く解放されるべきです。 「竹島・尖閣」を我が国固有の領土として明記するだけでなく、こうした歴史認識においても、学習指導要領改訂を行うべきであると考えます。 【参考】 ◆小学校学習指導要領改訂案 第5学年 社会 2内容 (1)我が国の国土の様子と国民生活について、学習の問題を追及・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるように指導する。 ア 次のような知識及び技能を身に付けること。 (ア)世界における我が国の国土の位置、国土の構成、領土の範囲などを大まかに理解すること。 ◆外務省HP「日本の領土をめぐる情勢」 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/gaiyo.html 〇日経新聞 2/15「竹島・尖閣諸島を明記 「我が国固有の領土」 学習指導要領案」 www.nikkei.com/article/DGXLZO12920630U7A210C1CR8000/ トランプ革命の行方と日本の外交戦略【1】 トランプ政権と「マスコミ世論」の戦い 2017.02.19 幸福実現党政調会・外交部会 彦川太志 トランプ大統領の就任式から、はや一ヶ月が経過しました。 就任初日にTPP交渉からの脱退を表明するなど、矢継ぎ早に公約を実行に移してきたトランプ大統領ですが、米国内マスコミとの戦いにかなりのエネルギーをとられている様子が伺えます。 今回のニュースファイルでは、トランプ大統領とマスコミの戦いについて解説しながら、日本の外交戦略を考えてみたいと思います。 ◆「マスコミ世論」と戦う大統領が誕生した トランプ大統領の姿勢を一言でいえば、「マスコミ世論と戦う大統領」でしょう。 大統領選後に話題となった報道を振り返ると、まずCNNがBuzz Feedによる「トランプ氏は過去のスキャンダルをロシアに握られている」と言った捏造報道を取り上げた事を皮切りに、就任式直後に参加者数の規模を巡って舌戦が繰り広げられました。 そのほか、「メキシコとの国境に壁を築く」「中東からの難民受け入れを見直す」と言った公約実現のために矢継ぎ早に発出される大統領令に対して、マスコミから批判が集中しました。 2月に入ってからも、米マスコミは安倍首相の訪米による首脳会談に娘のイヴァンカ氏が参加したことを「異例」として問題視したほか、トランプ氏の外交アドバイザーであったマイケル・フリン氏が同職就任前に駐米ロシア大使と接触を持っていた事を暴露し、同氏を辞任に追い込みました。 このように、マスコミとの戦いから幕を開けたトランプ新政権ですが、「マスコミ世論」の反発とは裏腹に、一般の世論調査機関が実施した支持率調査では、トランプ大統領が発出した11の大統領令についてすべて支持が不支持を上回るという結果が発表されています。 ◆トランプ政権の大統領令は、「米経済の復活」に重点を置いている トランプ大統領の就任以降の大統領令を見てみますと、TPP交渉からの脱退、不法移民や難民に紛れた犯罪者・テロリストの入国制限、さらにはパイプラインの建設認可や、安定した経済成長と米企業の競争力回復を支援する金融システムの形成、米国民の家計を金融危機から守るための仕組みづくりと言ったように、「米国の国力回復」を念頭に置いた政策に重点を置いている事がわかります。 また、トランプ政権が本格的に動き出せば、TPPやNAFTAのような多国間貿易の枠組みを見直しつつ、「減税と規制緩和」を二本柱とした経済政策を具体化する事で米経済を復活させ、国内雇用の増加を強力に推進する事が予想されます。 ◆米マスコミはトランプ政権の評価を「ジョブ・クリエーション」の成果で測るべき 米マスコミは、トランプ氏や家族、側近のスキャンダルなど、政策とは異なるところでトランプ政権の支持率を落とすことを狙っている様子ですが、トランプ政権を評価するうえで、トランプ氏が何よりも米国内の「ジョブ・クリエーション」を目指し、公約に掲げているという事を忘れてはならないでしょう。 トランプ大統領は就任式前の記者会見で、ジョブ・クリエーションに大きな自信を有しており、自身を「神が創造した中で、最も偉大なジョブ・クリエーター」だと表現していました。 不法移民やテロ対策も、結局は国内のジョブ・クリエーションを推し進めてアメリカ経済を立ち上がらせることを補強するものであり、まずは雇用創出、経済成長で米国を復活させることが、トランプ大統領の公約であったはずです。 結局、トランプ政権の評価は、「マスコミ世論」ではなく、トランプ大統領が公約を実現できたかどうか。つまり、米国内の雇用創出を行う事ができたかどうかによってこそ測られるべきはないでしょうか。 これは直ぐに結果の出る戦いではありませんので、「マスコミ世論と戦う大統領」が勝利できるかどうか、トランプ氏の戦いを見守りたいと思います。 ◆日本にとっては、米露関係の修復を支援する事が当面の外交政策となる ところで、歴史的に米国は「国内世論」と「外国」の二つの勢力を同時に敵に回した場合に「負けパターン」に入ると言われています。 「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ大統領も、このセオリーを回避するため、「国内マスコミ」との「第一の戦い」に勝利してから、山積みとなっている外国との問題を片付けようとしている事が伺えます。 このような観点から見れば、トランプ政権が「マスコミとの戦い」に勝利し、国内を統合するまでの間、外交面においては同盟国との関係強化を中心に世界秩序の安定を図ると予想できます。 そのような構想を実現するためには、トランプ氏が大統領就任前から主張している様に、NATOや日本、韓国が防衛費増加に応じるほか、何よりもオバマ政権8年間で悪化したロシアとの関係を修復する必要があります。 日本も自国の安全保障から考えれば、米露関係の修復を支援することが望ましいと言えます。 特に2014年のウクライナ危機以降、中露接近が深化しているという情勢がありますので、ウクライナ危機を契機にこじれた米露関係の修復を支援し、ロシアのG8復帰を促すことが重要でしょう。 しかし、つい先日に行われた日米首脳会談では、安倍首相はウクライナ問題について「米露間で解決を」と主体性のなさ、国家戦略の無さを露呈しました。 次回ニュースファイルでは、ウクライナ問題の解決に焦点を当てつつ、米露関係修復のために日本が採るべき外交政策について提言したいと思います。 【※お知らせ】 ■2/24(金)19時~ 幸福実現党政調会・外交部会 月例公開セミナーのご案内 日々、幸福実現党にご支援を賜り、誠にありがとうございます。 2月24日(金)19時より、ユートピア活動推進館3階大会議室において幸福実現党政調会・外交部会主催の公開セミナーを開催させていただきます。 当日ご参加頂きました皆様には、外交部会作成の持ち帰り資料をご用意させていただきます。 多くの皆様の御参加をお待ちしております! テーマ:「米ロ関係改善への試金石、ウクライナ問題の解決策を考える」質疑応答 日時:2月24日(金)18:45開場 19:00開始 21:00終了予定 場所:ユートピア活動推進館3F大会議室 東京都港区赤坂2-10-8 会費:1000円(持ち帰り資料あり) 主催:幸福実現党政調会 外交部会 講師: 同 副部会長 彦川太志(HS政経塾一期生) ◆お申し込み・お問い合わせ ご参加のお申し込みは、【お名前】、【電話番号】、【所属支部(任意)】を明記の上、下記までメールをお送りください。 ※件名に「2月24日セミナー希望」とご記入ください。 担当:彦川太志 【victory777dh@gmail.com】 すべてを表示する « Previous 1 … 34 35 36 37 38 … 98 Next »