Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 バイデン、台湾見殺しか?「日本版台湾関係法」で日米台の連携強化を!【後編】 2021.05.29 https://youtu.be/CHtr9G7-J2o (5月15日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆バイデン政権、米中対話路線に転換か? 前編では、米国議会では、中国の台湾侵攻を防ぐため、安全保障対話・合同軍事演習の枠組み構築、台湾との二国間貿易協定交渉などの議論が増えていることを指摘しました。 ところが、こうした議論が増える中で、5月4日の「フィナンシャルタイムズ」のオンラインイベントで、バイデン政権でアジア政策を統括する重要人物、インド太平洋調整官のキャンベル氏が、次のような気になる発言をしました。 「米国が中国の武力侵攻から台湾を守る立場を明確にすると、重大な不都合が生じる。中国は世界中で米国の国益を損なうような行動を取るだろう。従って、これまでの『戦略的曖昧さ』を維持すべきだ。」 オバマ政権時代に、米軍の「アジア回帰」を推進した人物でアジア通として知られていますが、中国が南シナ海の軍事拠点化を進めることを許してしまった張本人です。 キャンベル氏の本音は、トランプ政権のように、台湾の軍事支援を強化し、政府高官の交流を促すような政策をどんどん行えば、中国を刺激し、米中衝突のリスクが高くなるので、これまで通り、台湾の問題は曖昧なままでよいというわけです。 しかし、挑発的な発言を繰り返し、他国を刺激しているのは、中国であることを忘れてはいけなせん。巨大な軍事力を備えた中国の横暴を、事なかれ主義で止めることはできません。 また、キャンベル氏はオンライン会議で、米中の不測の事態に備えるために、「米中対話のホットライン」を作るべきだと主張しました。 中国共産党系のメディア「環球時報」は、この発言に対して、「ホットラインを作りたいならば、台湾問題に口を出すことを止めなくてはいけない」と答えています。 もしバイデン政権がオバマ時代のように中国との対話路線に戻っていくならば、台湾が危ない状況に置かれることになります。 ◆「日本版台湾関係法」制定を! 日本と台湾は運命共同体です。日本は米国と同じく、台湾政策を見直す時期に来ています。そして、日米同盟を基軸に、日米台の連携を主導すべきだと思います。 4月17日に行われた「日米共同声明」では、「台湾」が明記されました。1969年以来、52年ぶりで非常に画期的なことです。 しかし、喜んでいたのも束の間、菅首相は4月20日、衆議院本会議で共産党・赤嶺議員から、台湾問題に言及したことに関する質問を受け、「軍事的関与などを予断するものではない」と回答をしました。 また、公明党・佐藤議員から、台湾有事の対応について質問され、「いかなる事態が(米軍を後方支援できる)重要影響事態などに該当するか一概に述べることは困難だ」と答えました。 いかにも、自民党親中派や公明党に配慮し、中国を刺激しないように配慮した官僚答弁になっています。 重要影響事態とは、「日本以外の他国への攻撃であっても、放っておいたら日本が危ない場合は、自衛隊が米軍など他国軍の後方支援を行うことができる」というものです。 日本が米軍の後方支援を行うためには、台湾有事を「重要影響事態」と判断しなくてはなりませんが、日本への影響をどう見積もるかで解釈の余地のある政治的判断が必要です。 強い政治的リーダーシップが求められますが、菅首相の答弁を聞いていると心配になります。 5月11日~17日、陸上自衛隊とフランス陸軍は、離島への上陸や市街地戦を想定した共同軍事演習を行っています。 中国は台湾攻撃後、市街戦を行うので、台湾防衛のための共同訓練と言ってよいでしょう。 さらに、東シナ海で日米豪仏の共同軍事演習も行っています。しかし、台湾防衛と言いながら、これまで一度も日米台の共同軍事演習を行っていません。これを何とかしなくてはなりません。 その際、日本と台湾の間に正式な国交がないことがボトルネックになります。 日本も米国を見習って台湾との間に「日本版台湾関係法」をつくり、日米台の共同軍事演習や経済交流促進、首相の訪台などを盛り込んではどうでしょうか? 国会には、日米共同声明を具体化するために「日本版台湾関係法」制定の議論をしてほしいと願います。 日本の国益を守り、アジアの自由と平和を守るために、「日本版台湾関係法」の制定を強く訴えたいと思います。 ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 バイデン、台湾見殺しか?「日本版台湾関係法」で日米台の連携強化を!【前編】 2021.05.28 https://youtu.be/CHtr9G7-J2o (5月15日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆米国の台湾政策「戦略的曖昧さ」とは? 今日は「台湾防衛」をテーマにお話ししたいと思います。 5月初め、イギリスの雑誌「エコノミスト」では、中国が軍事的圧力を強化していることを受け、台湾のことを「地球上で最も危険な場所」と指摘しました。 蔡英文総統は不安を打ち消そうとすぐに反応し、「考えられるリスクを管理し、必ず台湾の安全を守れる」とコメントしました。 もし台湾が中国の侵略を受けた場合、米国は台湾を守るために本当に軍事行動に出るのでしょうか? 現在、米国ではこの問題に関する議論が増えています。キーワードは「戦略的曖昧さ」です。 「戦略的曖昧さ」とは何かというと、これまでの米国の台湾政策である、中国が台湾に侵攻した場合の米国の対応を明確にしないことを意味します。 1972年にニクソン大統領が中国を訪問し、冷戦時代のソ連に対抗するために中国と国交を結び、台湾との国交を断絶しました。 しかし、当時の親台湾派の議員が、「このままだと台湾が中国に飲み込まれてしまう」という危機感を感じて、1979年に「台湾関係法」という法律を作りました。 これによって、米国は台湾との正式な国交は無いものの、台湾を中国の侵略から防衛するための武器を輸出できるようになりました。 こうした状況の中、米国は「戦略的曖昧さ」によって、中国の台湾侵攻を抑止するとともに、台湾の独立宣言を阻止し、アジアの安定に寄与してきました。 例えば、1995年、中国がクリントン政権に対して「もし中国が台湾を侵攻したら、米国はどのように対処するか?」と聞いたら、「それはわからない。状況次第だ」と答えました。 これが、米国の台湾政策における「戦略的曖昧さ」です。米国は数十年間に渡り、ずっとこのスタンスを維持してきました。 ◆米国で高まる台湾政策見直し論 しかし、中国はこの間、台湾奪取を狙って虎視眈々と軍事力を増強してきました。 これに対して、トランプ大統領は、ニクソン以降の対中政策を見直すことを表明し、台湾に対して最新鋭の武器輸出や政府高官を派遣するなど、米台関係の強化に貢献しました。 今年に入ってからはさらに進んで、米国の台湾政策「戦略的曖昧さ」を見直すべきではないかという意見が出てくるようになりました。 これまでの曖昧さこそが、中国の横暴を助長させているのだから、「中国が台湾を攻撃した場合、米国は台湾を必ず守ること」を明確にするものです。 今年1月、前インド太平洋長官のデービッドソン氏は上院軍事委員会で、「現在の中国の軍事展開を見れば6年以内に台湾侵攻の可能性がある」と警告を発して、日本でもかなり報道されました。 その際、「米国はこれまで『戦略的曖昧さ』の政策により恩恵を受けてきたが、中国との軍事バランスが変わった今、定期的に見直す必要がある」という意見も述べています。 デービッドソンの後任となった、現在のインド太平洋長官アキリーノ氏も、「『戦略的曖昧さ』の台湾政策を変更することで、どんなリスクや代償が生まれるのか、ぜひとも議論したい」と話しています。 インド太平洋軍のトップがここまで突っ込んだ話をしているのを見ると、軍人の間では、台湾が香港のようになってしまうという危機感を共有しているのではないかと思います。 こうした意見を持つ人は、共和党議員やシンクタンクに根強くいます。 例えば、トランプ政権で大統領補佐官を務めたボルトン氏は昨年7月、「選挙で選ばれた政府を有する台湾のような国を承認しようとしないのであれば、国家承認の意義とは一体何か」と述べ、台湾を国家として全面的に認めるよう訴えました。 また、米共和党のリック・スコット上院議員とガイ・レッシェンサラー下院議員は今年2月、中国の台湾侵攻を防ぐため、大統領に一定の武力を行使する権限を付与すべきとする「台湾侵略未然防止法案」(Taiwan Invasion Prevention Act)を上下両院に再提出しました。 法案の内容は、米台と理念の近いパートナーを交えた安全保障対話・合同軍事演習の枠組み構築、台湾との二国間貿易協定交渉の推進、大統領や国務長官の訪台、台湾総統の米議会での演説などです。 (後編につづく) ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 米国で再燃「武漢研究所コロナ起源説」!人民解放軍の関与を示唆する「爆弾文書」とは?【後編】 2021.05.26 https://youtu.be/LM78qTAeuRU 幸福実現党党首 釈量子 ◆米英科学界からも噴出する「WHO調査結果」への疑念の声 共和党議員による厳しい追及が続く中、5月14日には、英ケンブリッジ大学や米スタンフォード大学などの科学者18人が、科学誌『サイエンス』への書簡で、「パンデミックの起源を判断するにはさらなる調査が必要だ」と主張しました。 書簡では、「武漢研究所から偶然漏えいした可能性と、動物から人へと感染した可能性は、理論上両方ともあり得る」との見解を示しました。 WHOの調査団が作成した最終報告書では、「コウモリから別の動物を介して人に感染した可能性が高い」との見解を示し、研究所からウイルスが漏えいした可能性は「極めて低い」と結論付けました。 しかし、科学者らは報告書が漏えい説について「バランスの取れた検討」がされていないと厳しい指摘をしています。 5月19日には、下院情報委員会の共和党議員が中間報告書「新型コロナウイルスと武漢研究所」を発表しました。 これによると、「新型コロナの起源が武漢研究所であることを示す重要な状況証拠が次々と明らかになっているが、中国が主張する自然発生説を示す証拠はほとんどない。二度とパンデミックが起きないように、政府は中国に対して情報開示するよう圧力をかけるべきである」と主張しています。 ◆「爆弾文書」が明らかにする中国人民解放軍の関与 新型コロナ起源の状況証拠の一つとして注目したいのが「中国人民解放軍の関与」です。 前述の中間報告書では、「中国人民解放軍は生物兵器開発プログラムを持っており、武漢研究所の研究にも関与していた」ということを挙げています。 これに関連して、5月上旬、豪メディア『ザ・オーストラリアン』で、ある「爆弾文書」がリークされました。 どんな文書かと言うと、2015年に人民解放軍科学者、除徳忠らによって書かれたもので、米国務省が新型コロナの起源を調査する過程で入手したものです。 ◆新型コロナウイルスは「生物戦争」を戦う中国の兵器 「爆弾文書」の注目ポイントは、以下2点となります。 第一に「第三次世界大戦は『生物戦争』になる」という記述です。 文書には、「中国人民解放軍の科学者は、第一次世界大戦は『化学戦争』であり、第二次世界大戦は『核戦争』、第三次世界大戦は『生物戦争』になる。第三次世界大戦に備えて、2015年から新型コロナウイルスを含むウイルスを“生物兵器”として研究開発する」と書かれています。 新型コロナ感染拡大による被害の大きさは戦争被害と比較されますが、見事に予言していたかのように感じます。 例えば、アメリカの第二次大戦の死亡者は約40万人ですが、すでに現時点で超えています。 ◆事前に考え抜かれていた「ウイルス攻撃」の理想的条件とは? 第二に、「生物兵器の使用方法を計画していた」ということです。 文書には、「戦争で勝利するために生物兵器が重要になることを踏まえ、生物兵器を使用し、最大限の損害を与えるための理想的な条件を示す。具体的には、強烈な太陽光はウイルスにダメージを与えるので、晴れた日の日中に持ち運ぶべきではない。また、雨や雪は空気感染の影響を弱まらせる。従って、夜や明け方、もしくは、曇りの日で、適度な風が吹いている日に、ウイルスをばら撒くべきだ。そうすれば、ウイルスは対象エリアに広がっていくはずだ。その結果、ウイルス攻撃によって、入院治療を必要とする患者が溢れ返り、敵国の医療システムを崩壊させることができる」と書かれています。 これは、まるで各国で問題になっている「医療崩壊」を予言していたかのような、リアルな描写です。 中国は早速、この書類は「中国を貶めるためのでっち上げだ」と反論していますが、米国や豪州、カナダの政府機関での経験を持つデジタル科学捜査の専門家、ロバート・ポッター氏によれば、「この書類は作り物ではなく、事実である」と言っています。 このように、米国では、新型コロナウイルスは武漢研究所から漏れたのではないか、という議論が再燃しています。 日本ではなかなか、こうした報道を見かけることもありませんが、全世界を地獄に引きずり込んだ新型コロナ起源の追及を決して忘れてはならないと思います。 米国で再燃「武漢研究所コロナ起源説」!人民解放軍の関与を示唆する「爆弾文書」とは?【前編】 2021.05.25 https://youtu.be/LM78qTAeuRU 幸福実現党党首 釈量子 ◆再び注目を集める「武漢研究所コロナ起源説」 かつては「陰謀論」として無視されていましたが、いま米国では「武漢研究所から新型コロナが流出した」という見方が再び注目を集めています。 本年1月、トランプ政権の時に国務省が発表したファクト・シートには「武漢研究所が中国人民解放軍と共同研究していたことや、2019年秋の段階で何人かの研究者が新型コロナと同じような症状で倒れていた、という事実を隠蔽している」という指摘がありました。 バイデン政権はトランプ前政権のこうした見解を認めており、世界保健機関(WHO)による中国武漢の調査結果が3月に発表されましたが、ブリンケン国務長官は「中国寄りだ」と不満を述べ、「コロナ発生源を明らかにする必要がある」とも語っています。 また、米国の情報機関を統括する、アブリル・ヘインズ国家情報長官は「自然発生か、武漢研究所から漏れたのか、両方の可能性を調査している」と話しています。 ◆真相究明に立ち上がった米・共和党議員たち こうした言葉とは裏腹に、バイデン政権は武漢研究所を本気で追及する気があるとは言えない状況が続いている一方、共和党議員たちが独自に真相究明に乗り出しています。 今年3月、エネルギー・商業委員会の共和党議員は「国立衛生研究所(NIH)」のフランシス・コリンズ所長宛てに、また、4月には「エコヘルス・アライアンス」のピーター・ダスザック氏宛てに、武漢研究所と行った共同研究に関する記録を全て提出するよう求めました。 共和党議員の厳しい追及を受けている渦中の一人が「コロナ研究の第一人者」として知られるピーター・ダスザック氏で、2005年以降、コロナに関する研究論文を21本発表、中国のコロナ研究者と長年、直接仕事をしてきた人物です。 2019年には、数百万匹のコウモリが住む中国の洞穴で、ダスザック氏が見慣れぬ防護服を着ていたため、洞穴を見に来た観光客からの「何をしているのか」という問いに対し、「SARSのようなウイルスを探している」と答えた、というエピソードが残っています。 トランプ前大統領は昨年4月、この話を引き合いに出し、エコヘルス・アライアンスへのコロナウイルス研究の助成金をストップしています。 ◆米中のコロナ共同研究に米政府からも多額の資金提供が…? 5月5日、共和党のマイク・ギャラガ―議員は「国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)」のアンソニー・ファウチ所長宛てに書簡を送り、「今回のような悲惨な感染症の起源について、これまでのような浅い理解のままでは許されない」と指摘し、詳しい情報提供を求めています。 この「国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)」と、その母体である「国立衛生研究所(NIH)」によって、米国の科学者と武漢研究所の間で行われた共同研究に多額の資金が提供されていたことが分かっており、この中には、コウモリのコロナウイルス研究も含まれていました。 ギャラガ―議員は、ファウチ氏が「武漢研究所コロナ起源説」に対して、これまで何度も冷や水を浴びせてきたことを問題視し、武漢研究所に対する米国政府の資金提供や支援がいかに行われたかを、洗いざらい開示するよう要求しています。 ◆人工的に作れる致死率の高いコロナウイルス また「コロナ遺伝子変異に関する研究」について明らかにすることが大事だと強調しています。 なぜなら、意図的に遺伝子配列を変えることによって、自然界に存在するコロナウイルスよりも感染力が強く、致死性の高いコロナウイルスを作ることが可能になるからです。 ノーベル生理学・医学賞を受賞された、北里大学特別栄誉教授の大村智氏が雑誌『到知』(2020年12月号)の中で、「新型コロナウイルスの遺伝子は遺伝子配列の四か所がエイズウイルスと同じであり、人工的に作られたフシがいっぱいある」と言っておられました。 今回の情報開示によって、新型コロナウイルスと同じようなウイルスを実験で作っていたことがわかれば、「武漢研究所コロナ起源説」を裏付けることになります。 今のところ、これらの情報開示請求に対して、ファウチ氏、コリンズ氏、ダスザック氏からの回答は得られていないようです。 更に、5月6日、共和党のキャシー・マクモリス・ロジャース議員らはブリンケン国務長官宛てに書簡を送り、国務省が機密文書扱いにしている新型コロナウイルスに関する機密研究調査報告書に関して「機密解除」するよう求めています。 (後編につづく) ウイグル人権弾圧、岐路に立つ日本外交と企業【後編】 2021.05.02 https://youtu.be/bbWJoSzrZus 幸福実現党党首 釈量子 ◆北京冬季五輪ボイコット、3つの方法 「ユーラシアグループ」が提唱する「北京冬季五輪ボイコットの3つの方法」の一つ目は、外交的ボイコットと呼ばれるもので、可能性が60%あると見ています。 これは、政府高官を北京に派遣させないことで、オリンピック開催国としての立場を外交面から批判するものです。 参加国は、米国、カナダ、英国、オーストラリアに加え、EUの数か国と予想し、日本やインド、韓国は中国との経済的なつながりが大きく、参加しないと見ています。 二つ目は、アスリートのボイコットで、可能性が30%あると見ています。 アスリートのボイコットは、米国内の政治圧力により、オリンピック選手が競技に参加することを中止させることです。 また、米国民が観客として北京に行かない、米国内でテレビ放映も行わない、スポンサーにならないことによって中国に利益を与えない、という経済的ボイコットもあります。 アスリートのボイコットや経済的ボイコットは、外交的ボイコットよりも厳しい対応になるので、米中関係は冷戦状態に入り、中国政府は欧米ブランドのボイコットを指示するだろうと予想しています。 三つめは、当たり障りのない中国非難声明を出すものです。これは、公式のボイコットではありませんが、一番可能性が低く10%と見ています。 米上院議員(ロムニー)の中には、外交的ボイコットと経済的ボイコットの併用が最善の策だと主張しています。 なぜなら、米国民が観光客として北京に行かないので、中国はホテルや食事、チケットで儲けることができない。 一方で、人生をかけて練習してきたアスリートの舞台を用意することができるからです。 今後も、米国やヨーロッパで北京オリンピックのボイコットについて議論されると思います。 米国務省は、「ボイコットを公式に決めてはいないが、今後大いに議論したい」と、ボイコットに含みを持たせています。 ◆ウイグル人権弾圧、岐路に立つ日本企業 日本はウイグル人権弾圧に対する制裁と同じく、新たな外交姿勢が問われることになります。これまでの加藤官房長官や公明党・山口代表の発言を見ると、これからも「中国忖度政治」が続くような気がしてなりません。 民間企業にも影響が出ています。衣料品ブランドは批判リスクを負って、新疆綿を使い続けるか、取引を止めて中国の不買運動を受けるか、難しい対応を迫られています。 スウェーデンのH&Mは強制労働の疑いがあるので、新疆綿を使用しないと発表しましたが、中国の不買運動に直面しています。 ナイキも、同様の理由で、新疆綿の使用を停止しました。 しかし、無印良品の良品企画は新疆綿の使用を継続し、問題があれば取引を停止すると発表しました。ユニクロの柳井会長は「政治問題なのでノーコメント」と答えました。 日本企業は歯切れの悪い対応となりました。そんな中、カゴメが新疆産のトマトペーストの使用を中止すると発表しました。 総じて、H&Mやナイキなどの欧米の企業は、ウイグルで人権弾圧の疑いが残っている限りは、取引しない。日本の良品企画は、確かな証拠がないので、取引を継続する。このように判断が分かれています。 日本政府や日本の企業は新たな対応を迫られています。日本が中国との経済的関係が深いのは確かですが、現在、経済原理を超える価値判断が求められています。 日本人の意識も変わりつつあります。産経新聞とFNNの世論調査によると、ウイグルや香港の人権問題について、日本も国会決議や制裁で関与すべきかどうか聞いたところ、8割が「関与すべき」と答えています。 中国の人権弾圧に対して、日本は宗教観や政治哲学に基づいて、価値判断すべき時が来ているのではないでしょうか。 今後は欧米に足並みを揃えるという消極的姿勢ではなく、アジアのリーダー国として日本が率先して人権擁護に動くべきだと思います。 ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 ウイグル人権弾圧、岐路に立つ日本外交と企業【前編】 2021.05.01 https://youtu.be/bbWJoSzrZus 幸福実現党党首 釈量子 ◆二股外交の元凶、親中派と公明党 4月16日、菅首相とバイデン大統領が会談し、共同声明を発表しました。 共同声明では約半世紀ぶりに「台湾」を明記しました。「香港」や「ウイグル」の人権も問題視し、中国を牽制しました。 欧米は中国の人権問題について制裁に動いており、「人権中国包囲網」が出来つつあります。 まず、今年1月、トランプ政権のポンぺオ国務長官がウイグルの人権弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」に認定しました。同月、ウイグル産の綿やトマトの輸入を停止しました。 国連の「ジェノサイド条約」では、殺人のほか、集団構成員に重大な肉体的または精神的な危害を与えることや、意図的に出生を妨げることなどが含まれています。 最近、ウイグルから逃げ出した女性たちの勇気ある証言が出てきていますが、レイプや拷問に加え、不妊手術があったと証言しています。 日本はそもそも「ジェノサイド条約」を批准していません。加藤官房長官は、米国のジェノサイド認定を受けて、「懸念を持って注視している」という懸念表明を行いました。会見の中で「ジェノサイド」という言葉も使用しませんでした。 3月には、EUがウイグルの人権弾圧に関わった当局者に対する制裁を発動しました。天安門以来初の制裁です。 その後、米国、英国、カナダはEUに足並みを揃えて、制裁を課しました。 これで、G7(アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、フランス、イタリア、カナダ)の中で、制裁に参加していないのは、日本だけになりました。 公明党の山口代表は、「欧米に足並みを揃えるべきか」と質問を受け、「人権侵害の根拠がないのに、制裁を課せば、外交問題を引き起こす」と答えました。 こうした状況なので、日本の国会はウイグル人権侵害を非難する「国会決議」も行っていません。 そんな中、4月6日には「人権外交を超党派で考える議員連盟」が発足しました。自民党の中谷元・元防衛相と国民民主党の山尾志桜里・衆議院議員が発起人代表です。 発起人の一覧を見ると、共産党議員も参加し、まさに超党派です。しかし、なぜか公明党議員の名前が見当たりません。 共産党の志位委員長は、「毛沢東を一番礼賛したのは公明党」と皮肉を述べましたが、言い得て妙です。 このように日本の二股外交の元凶は自民党の親中派や公明党にあると言わざる得ないわけですが、これが欧米の不信感を生んでいます。 米国はウイグルの人権弾圧に加担した企業をブラックリストに載せ、米国企業の輸出先を失いました。米国は身を切って、中国の人権弾圧に対峙しようとしています。 しかし、米国は今、同様の覚悟が、日本政府にあるのかを問うています。 ◆世界に広がりつつある北京冬季五輪ボイコット 日本政府が躊躇っている間に、2022年2月に開催予定の北京冬季五輪をボイコットすべきかどうか、米国で議論が始まっています。そして、世界に広がりつつあります。 ボイコットの支持者は、ウイグルやチベット、香港の民主活動家弾圧、台湾への軍事的威圧を許してはいけない。北京五輪をボイコットし、中国を罰する必要があると考えています。 中国にとっては、北京五輪は国内支持を固め、世界中にプラスのイメージを広めるまたとないチャンスです。各国政府が難しい対応を迫られるのは間違いありません。 イアン・ブレマー氏が創業した米国のコンサルタント会社「ユーラシアグループ」は、ボイコットの方法を3つに分類し、どれほどの可能性があるか、算出しました。 (後編につづく) ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 人民元・基軸通貨への挑戦VS日米豪印クアッド+欧州【後編】 2021.04.28 https://youtu.be/bhWYlKosh7M 幸福実現党党首 釈量子 ◆中東で人民元取引拡大。米ドル覇権への挑戦 中国が中東に接近する狙いの二点目は、中東での人民元取引拡大です。これは、米ドル覇権への挑戦を意味します。 3月30日の「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、中国とイランは「中国イラン銀行」も設立すると述べています。 現在、世界の貿易や金融は米ドルを中心に取引されています。 米国の力の源泉は軍事力や経済力に加え、このドルの支配力にあります。 米国が管理するドルの決済システムから、制裁対象の銀行や企業を排除すれば、その後の貿易決済などが出来なくなります。 中国やイランにとって、このドル支配を打ち破ることは大きな目標です。今回の協定により、人民元の取引を増やしていくはずです。 気になるのは、中国の最大の原油輸入国、サウジアラビアの動きです。 4月3日の香港の「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」は、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが3月、「中国のエネルギー安全保障を確保することは、今後50年間で最大の優先事項である」と報じています。 同紙では、「この発言から、将来的に、中国のサウジアラムコから輸入する原油は、人民元で取引される可能性が高い。そうなれば、他の国に波及する可能性がある」と指摘しています。 少し背景を補足すると、トランプ前大統領は、サウジアラビアとの関係を重視していました。 しかし、バイデン大統領は2月、人権外交の一環として、「ムハンマド皇太子がサウジアラビア記者のカショギ氏殺害を承認していた」という情報機関の報告書を公表し、皇太子の警備隊など76人に制裁を課しました。 結果として、中国とサウジアラビアが接近することになったわけです。 原油取引にドルを使うことは、米国のドル覇権を維持するための重要な要素でした。 サウジアラビアが米ドル決済から人民元決済に移行するようなことがあれば、これまでの枠組みを破壊する、米ドル覇権への挑戦だと言えます。 ◆「日米豪印クアッド+欧州」で一対一路阻止へ 現在、中国が主導し、17カ国が「国連憲章を守るための友好グループ」を立ち上げ、米欧に対抗する勢力として、参加を呼び掛けています。 17カ国とは、中国、北朝鮮、ラオス、カンボジア、イラン、シリア、アルジェリア、パレスチナ、アンゴラ、エリトリア、キューバ、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグア、セントビンセント・グレナディーン、ロシア、ベラルーシです。 参加国を見ると、北朝鮮やベネズエラなど、独裁色の強い専制国家が名を連ねています。今後、中東の国が参加する可能性があると思います。 これらの動きに対して、バイデン大統領は3月25日の記者会見で、世界の現状は「民主主義勢力と専制主義勢力の戦いだ」「近いうちに、米国で民主主義サミットを実現させたい」と述べました。 バイデン大統領は翌日の26日、イギリスのジョンソン首相との電話で、中国の一帯一路に対抗し、「民主主義国家で同様のイニシアチブを作り上げ、世界中の民主主義陣営を支援する構想」を提案しました。 現在、中国の一対一路に対抗する枠組みとして、日米豪印クワッドがあり、3月12日には、四カ国首脳のテレビ会議が開催されました。 しかし、主題が、新型コロナウイルスのワクチン供給になっていることに物足りなさを感じます。 海上自衛隊の発表によると、3月17日~18日、中東のアデン湾で、護衛艦「ありあけ」が、フランス海軍の原子力空母「シュルル・ド・ゴール」やベルギー海軍のフリゲート艦「レオポルド1世」と共同訓練を行いました。 3月19日~20日には、フランスとベルギーに加え、米海軍の強襲揚陸艦「マキンアイランド」とも共同訓練を行いました。 イギリスも5月に最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を含む空母打撃軍を、ドイツも8月にフリゲート艦をインド太平洋に派遣する予定です。 日本にとって、これらの動きは歓迎すべきことですが、東シナ海や南シナ海、中東での中国の覇権拡大を抑え込むためには、もう一段踏み込む必要があります。 具体的には、日本はクワッドを軍事同盟である「アジア版NATO」として格上げすることを提案すべきだと思います。これは、中国が一番嫌がっていることです。 国内の親中派勢力は反対すると思いますが、今後は「クアッド+欧州」で中国の一対一路を阻止しなくてはなりません。 トランプ政権の中には、日米豪印のクアッドを「アジア版NATO」に発展すべきとの声が実際にありました。 今後は、主体的に、日本から声を上げていくべきではないでしょうか。 日本はウイグルや香港の人権弾圧を終わらせるためにも、正義を貫く「武士道の国」として生まれ変わらなくてはなりません。 ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 人民元・基軸通貨への挑戦VS日米豪印クアッド+欧州【前編】 2021.04.27 https://youtu.be/bhWYlKosh7M 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国王毅外相、中東6カ国訪問 3月24日~30日、中国の王毅外相は中東6カ国(サウジアラビア、トルコ、イラン、アラブ首長国連邦、オマーン、バーレーン)を訪問しました。 その狙いは、中国は経済協力や新型コロナウイルスのワクチンをテコに、中東との関係を強化し、ウイグルや香港の人権問題を巡る米欧の圧力に対抗することです。 3月27日には、中国の王毅外相とイランのザリフ外相が、25年間の「包括的戦略パートナーシップ協定」に署名をしました。 今回の公式発表では、協定の詳細は明らかになっていませんが、昨年夏にリークされた協定内容によると、中国は、原子力や港湾、鉄道などインフラ投資、原油・ガスのエネルギー開発、5G通信の科学技術協力などを行う見返りとして、イランの原油を安価で購入するというものでした。 中国は、約4000億ドル(約40兆円)の巨額投資を行う予定です。イランにとっては、安定した原油の買い手を確保したことになります。 中国外務省の発表によると、王毅外相は署名に先立ってロウハ二師と会談し、「世界がどのように変わろうとも、中国とイランの関係は変わらないだろう」と話しました。 また、外国勢力の介入や理不尽な制裁を非難し、米国のイランに対する経済制裁を牽制しました。 中国はイランと接近し、米欧の民主主義陣営への対抗軸をつくろうとしています。 ◆ペルシャ湾に中国軍駐留か このような動きをする中国は、具体的に何を狙っているのかでしょうか。 一点目は、中東での軍事的影響力拡大、エネルギー資源確保です。 中国は米中対立が激しくなる中、ここ数年、戦略的にイランへの関与を強めてきました。 例えば、2016年、習近平国家主席初となるイラン訪問を行いました。 今回の協定は、習近平氏のイラン訪問以降、水面下でずっと進めてきたものです。 イランの地元メディアによると、今回の協定で、中国はイランからペルシャ湾のキーシュ島を25年間借りて、中国軍の兵士が最大5000人駐留することができるようになります。 これは、ペルシャ湾に中国人民解放軍が駐留するという事態になります。 さらに、中国はホルムズ海峡の外側に位置する戦略的要衝のジャスク港(Jask Port)にインフラ投資し、軍事拠点化する可能性があります。 ジャスク港を押えればホルムズ海峡を押えることができます。 また、イラン以外でも、2015年、アフリカのジブチに中国人民解放軍の海外初の軍事拠点を設けました。 ジブチは「アフリカの角」と呼ばれ、バブ・エル・マンデブ海峡の南端にあり、アデン湾から紅海、スエズ運河へと船が通過する戦略的要衝です。 ジブチは中国に対してGDPの約70%の債務があります。債務の罠で、中国に掠め取られた国の一つです。 中国はすでにスリランカを「債務の罠」にかけ、スリランカのハンバントタ港を実質的に手に入れています。 スリランカ、パキスタン、イラン、ジブチの港をつなげると、中国の「真珠の首飾り」がより強固なものになることがわかります。 これらの動きを見ると、中国が中東やインド洋で軍事的影響力を拡大し、アメリカなどの影響力を排除しようとしていることがわかります。 (後編につづく) ブレグジットでよみがえる日英同盟、英国「脱中国」で「世界国家」回帰へ【後編】 2021.04.11 https://youtu.be/RHaT0q4F5jo (4月3日収録) 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆中国依存をやめ日本の方に舵を切ったイギリス 前編で述べたようにイギリスが「日本は最大のパートナー」と述べた、さらに深い意味とは何でしょうか。 イギリスの保守系新聞「The Daily Telegraph(デイリー・テレグラフ)」で、1年前の2020年4月1日、コラムニスト「コン・コフリン」氏が、「パンデミックを一つのきっかけとして中国を敵対的国家とみなすべきだ」と書いています。 続けて、「中国マネーに目がくらんだ親中政治家が、中国共産党に接近したため、自動車部品から医薬品に至るまで中国依存を招き国益に脅威を与えた」と親中政治家を厳しく批判しました。 例えば、キャメロン元首相は中国依存、親中派の政治家で習近平氏を国賓として呼んでいます。 この時、習近平氏をイギリスのエリザベス女王に会わせ、大きなニュースにもなりました。しかし、晩餐会でのエリザベス女王の習近平氏に対する印象は「無礼な人だ」と側近に漏らしたとされています。 この後、イギリスは180度変わるわけです。それが次のメイ首相の時です。 メイ首相は、中国依存をやめて日本の方に舵を切りました。メイ首相は訪日した際、安倍首相との首脳会談で「日本は最大のパートナーである」と言っています。 この時のメイ内閣の外務大臣が今のジョンソン首相です。 ジョンソン首相が外務大臣だった時から「グレートブリテン構想」が提唱され、まさに国家の指針を「大陸から海洋へ」と変えたのです。 ◆イギリス「香港人300万人受け入れ」の意味 貿易で成功するためには軍事力がいることをイギリスはよく知っています。 これまで欧州の安全保障に寄与してきたイギリスが、これからはインド太平洋の安全保障に貢献すると決めたのです。 インド太平洋でイギリスは経済繁栄させてもらう。そのためにこの地域の安全保障にイギリスが責任持ちますと言っているわけです。 その具体的な例として香港があります。香港の民主化を弾圧した中国政府に対して厳しく批判をしたのがイギリスです。 そして香港人300万人をイギリスが受け入れると言っています。これは実は大変なことで、そもそもブレグジットは移民反対から始まったものです。 EUに入っているから中東の移民を受け入れざるを得なかった。これがきっかけでEU を離脱するというのがブレグジットでした。 移民反対だったイギリスが300万人も香港の移民を受け入れることは、イギリスにとっては太平洋に貢献する点で特別なことなのです。 ◆脱中国の鍵 TPP11について、前出の「テレグラフ」のコラムの内容に戻ると記者がこう言っています。 「ベトナムなど製品の供給候補地がTPP11に加盟している。日本と協力しながらTPP11を活用し、サプライチェーンの脱中国を目指す」と。 ヨーロッパ各国にしても、アメリカにしても、日本にしても、なぜ中国経済に依存いているのか。それは製品の部品など、様々なサプライチェーンを中国に依存してきたからです。 これをやめない限り、脱中国はできません。 TPP11の国の中には中国に代わってサプライチェーンを移せる国がいくつもあり、その中で一番有望な国がベトナムです。 ◆あるべき日本の国家戦略 親中を止めて、グローバルブリテンの方向に完全に舵を切ったイギリスの国家戦略から学ぶものがあるとしたら、日本の国家戦略はどうあるべきなのでしょうか。 現時点で日本の国家戦略はアメリカが唯一の同盟国であるということです。しかし、もし日米同盟が何らかのきっかけで終わってしまった場合、日本は自分で守る力をもっていないので危険にさらされます。 100年前の日英同盟で、日本はロシアという敵からイギリスという世界ナンバーワンの国に守られました。 しかし、日英同盟が終わってから先の対戦に巻き込まれて、結局、甚大なる被害と多くの生命を失いました。 その歴史の教訓から、日本の国家戦略において複数の同盟国が必要であると言えると思うのです。 アメリカ以外にもう一つ、イギリスという同盟国を持つべきだと考えます。 アメリカ自身は、同盟国戦略を国家戦略の中心に置いています。アメリカにとっての同盟国は挙げられるのがイギリス、そしてイスラエル、カナダ、そして日本です。 日本はアメリカだけですが、これをやっぱり変えていく。こいう考え方を日本は持つべきではないでしょうか。 ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 ブレグジットでよみがえる日英同盟、英国「脱中国」で「世界国家」回帰へ【前編】 2021.04.10 https://youtu.be/RHaT0q4F5jo (4月3日収録) 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆イギリスの新たな国家戦略 今回のテーマは、「ブレグジットでよみがえる日英同盟」です。 3月15日、「POLITICO(ポリティコ)」イギリス版で、ポリス・ジョンソン首相が「イギリスの世界戦略、アジアへ」という新たな世界戦略を発表したことを報じました。 この新たな国家戦略は「グローバルブリテン」と名付けられ、その中身は、これまでの「EU(ヨーロッパ大陸)」から「インド太平洋」に軸足を変更するものです。 そして、この「グローバルブリテン」には、イギリスが世界国家に回帰するというコンセプトがあるのです。 ◆「グローバルブリテン」を支える要素 しかし、今のイギリスはGDP も軍事力も大きいわけではなく、覇権国に戻るというわけではありません。 そうではなく、大陸から海洋の方に軸足を置き、それに伴って100年ぶりに日英同盟を復活させるというのが、グローバルブリテンの中心的な要素です。 3月17日、イギリスは空母クイーン・エリザベスを日本、東アジアに派遣することを決めました。 インド太平洋にあるオーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、インドは、イギリスの植民地だったところで、いわゆる英連邦です。 日本と縁の深い地域でもあり、インド太平洋は今や世界の経済成長の中心地でもあり、イギリスは経済がこれから伸びていく地域が中国やロシア側に回らないように先手を打って戦略を進めているのです。 ポスト・ブレグジット後にイギリスが最初に自由貿易協定を結んだ国も日本でした。 ◆伝統的「スエズ以東」戦略の復活 イギリスには元々伝統的な欧州大陸に依存しない「スエズ以東」と貿易をする外交戦略があります。 イギリスからしてみると、スエズ運河は大変便利な航路で、アフリカ大陸を回っていかなくてもショートカットでインド太平洋に行くことができるわけです。 スエズ運河を長年管理していたのはイギリスでしたが、アメリカをバックにエジプトにスエズ運河の管理権が移り、1960年代「スエズ以東」の戦略ができなくなりました。 それで仕方なく イギリスはEUに加わりました。しかし、ブレグジットで、欧州大陸に依存しない、伝統的な「スエズ以東」の戦略に帰ったのです。 イギリスは、TPP に参加することを決定しています。TPP 11カ国の中で6カ国は英連邦です。 さらにはインド太平洋には「クアッド」があります。 「クアッド」は、日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4カ国による軍事協力体制ですが、本音は中国包囲網にあります。 イギリスが参加すると、「クアッド」ではなくなりますが、イギリスが参加すれば、まさに「太平洋版 NATO」になります。 ヨーロッパのNATOは対ロシアですが、「太平洋版 NATO」は、対中国です。 ◆イギリスにとって日本は最大のパートナー 私がイギリスのロンドンの150年ぐらいの伝統のある金融機関で仕事をしていた時、日本のビジネスにも精通していたイギリス人の上司に言われたことがあります。 「サムライ精神は、まさにイギリスの伝統のジェントルマンの精神と本質的には一緒だ」と。 イギリスという国はどこの国とも同盟関係を持たない国でしたが、世界で唯一同盟を結んだのが日本でした。よほど日本に対して信頼を置いたのだと思います。 2月27日、イギリスの保守系新聞「Daily Express(デイリー・エクスプレス)」が、ポリス・ジョンソン首相が学校の教室の机に座る姿を写真入りで記事にしています。 ここでジョンソン首相は、日本の国旗とフランスの国旗をバックに、グローバルブリテン構想という新たな国家戦略の下、「子供たちに縮小していくヨーロッパ大陸の言語を教えるよりも、偉大な国家の言語を教えるべきだ」と論じています。 この「偉大な国家」とは日本のことを指しています。 また、ジョンソン政権のドミニク・ラーブ外相やリズ・トラス国際貿易大臣も、「日本は重要なパートナーである」との旨を述べているのです。 ここには、さらに深い意味があります。 (後編につづく) ~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 すべてを表示する « Previous 1 … 13 14 15 16 17 … 98 Next »