Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 中国が沖縄に仕掛ける「超限戦」の正体 2013.08.26 ◆中国が沖縄に仕掛ける「超限戦」 「超限戦」(ちょうげんせん)とは、1999年に中国軍大佐・喬良と王湘穂が発表した新しい形態の戦争です。 具体的には、弾が飛び交う「通常戦」のみならず、「情報戦」「心理戦」「思想戦」等に重きを置き、戦時と平時との区別がないことが特徴です。 「超限戦」が仕掛ける戦争には25種類にも及ぶ戦闘方法があり、諜報戦、外交戦、法律戦、経済・金融戦から、メディア戦、文化・映画・芸術によるプロパガンダ、対人工作(買収、脅迫、ハニートラップ、スキャンダル等)、サイバー戦、テロに至るまで、あらゆる分野に亘っています。 中国が「歴史認識」で、韓国やアメリカを巻き込んで、日本包囲網を形成しているのも「超限戦」の一種です。 いわば、孫子の兵法「戦わずして勝つ」を地で行く戦い方です。 例えば、左翼マスコミや日教組等を使った「反日・反米・親中」世論誘導や、経済的利益や外交、観光等を通じた、日本の政治家、企業等のコントロールなど、既に日本国民の日常生活レベルに達しています。 今回は、「超限戦」を使った、中国による「沖縄自治区化」の実態を紹介致します。 ◆日本本土と沖縄の分断 「沖縄自治区化」に向けた具体的戦略の第一は、「日本本土と沖縄の分断」です。 中国共産党中央委員会の機関紙『人民日報』の国際版である「環球時報」は、2010年11月、「1945年の終戦間際に日本軍は沖縄県民の皆殺しを命じ、米軍占領の直前に26万人を殺し、虐殺の規模は南京大虐殺に次ぐものとなった」「今沖繩では琉球独立運動が激化し、中国はそれを支援するべきである」と主張。 そして2011年、中国に「琉球自治区設立準備委員会」が設立されました。(2011/3/3 産経「中国画策、沖縄を琉球自治区に」) その流れを汲み、今年5月15日、沖縄に「琉球独立学会」が設立されました。(詳細:HRPニュースファイル「中国が『琉球(沖縄)は中国の属国』と主張」⇒http://hrp-newsfile.jp/2013/720/) また、中国は沖縄マスコミや左翼団体を使って、沖縄県民に「反日」「反米」を植え付け、「沖縄独立」「反米・米軍基地撤去」の県民世論を形成しています。 そして、反日感情を煽って沖縄を日本から切り離し、「道州制」導入後は「沖縄州」として独立させ、「地域主権」によって、米軍基地を追い出そうとしているのです。 そうなれば、チベットのように、中国は軍隊を含む漢民族の大量流入を“友好理に”進め、戦わずして「自治区化」を進めることができます。 ◆沖縄の心理的属国化 さらに、第二には「沖縄の心理的属国化」が進められています。 昨年10月28日、首里城祭で「琉球王国絵巻行列」仮装パレートが那覇市の国際通りで行われました。 そこでは、沖縄県民が「琉球の国王」「琉球の皇后」に扮し、中国皇帝の使者「冊封使」を歓迎する様子が演じられました。(10/29 中国網「沖縄で『首里城祭』開催中国皇帝の使者『冊封使』を歓迎」) この模様は日本全国のテレビでも報道され、観光を通じて、沖縄県民や日本国民に「沖縄は中国の冊封国(属国)であった」ことを刷り込む意図があります。 また現在、那覇市に新たな観光資源として中国王朝のシンボルである15メートルの巨大「龍柱」を2本建立する計画が持ち上がっています。(7/2 琉球新報「『龍柱』設置に2.5億円 那覇市議、効果を疑問視」) これが完成すれば、沖縄に観光に来た旅行者や沖縄県民は「龍柱」を見る度に、「沖縄は中国の一部だった」と洗脳することができます。 「龍柱」の工事は「一括交付金」という日本国民の血税2.5億円を使い、中国に発注され、早ければ今年9月にも着工する予定となっています。 ちなみに那覇市と福州市は、友好都市提携を結んでおり、友好20周年の2001年、那覇市長の翁長雄志氏を団長とする一行約160人が福州市へ訪問、交流祝賀会に参加しています。 翁長雄志氏は、中国・福州市から栄誉市民賞を授与されており、「親中派議員」として知られています。 那覇市の「龍柱」建設計画は、「心理面での属国化計画」の一環として、沖縄の中国属国化の道に繋がるものであり、大量の税金を使った「龍柱」建設計画は見直されるべきです。 沖縄を中国から守るためにも、多くの日本国民、沖縄県民の皆様に、この事実を知って頂きたいと願います。(文責・政務調査会・佐々木勝浩) 高まる集団的自衛権「行使容認」への期待――「国防強化」待ったなし! 2013.08.09 ◆内閣法制局長官に、集団的自衛権の行使容認派を登用 今月8日、次期内閣法制局長官に、集団的自衛権の行使容認に積極的な姿勢を持つ小松一郎駐仏大使を登用する人事が閣議で了承されました。 内閣を補佐する「法の番人」に、集団的自衛権の行使容認派を登用することで、従来より幅の広い防衛協力を米国等と結ぶ可能性が開けてきたと言えます。 小松氏が内閣法制局長官に登用されることで、この国の国防はどのような方向に強化されようとしているのでしょうか? 首相官邸HPで公開されている政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」の議事要旨(2/8付)を読むと、政府の目指す方向性が見えてきます。 ◆従来より幅広い防衛協力を提言する安保法制懇 (1)集団的自衛権の行使容認 安保法制懇の議事要旨によれば、「憲法の弾力的解釈を可能にすべき」として集団的自衛権の行使容認が提言されるだけでなく、さらに踏み込んで、自衛隊が自国民だけでなく、「他国民の生命・身体」をも守ることができるよう、政府答弁を変更すべきだという意見も飛び出ています。 さらに、米国のみならず、その他の国に対しても「集団的自衛権」を行使できるよう求める意見も出ています。 (2)対中防衛を睨んだ自衛権発動パターンの検討 また、自衛権を発動する要件として、従来の4類型(※)に加えて、(1)シーレーン防衛、(2)サイバー防衛、(3)宇宙分野といった新しい類型が提示されています。 これら3つの新類型は、そのまま中国が行っている「海洋、サイバー空間、宇宙」での軍事拡張に対応するものであることがわかります。 これらの事実から、固有名詞こそ登場しないものの、安保法制懇の提言は、中国の軍拡に対して「対中包囲網」を敷くための布石であると考えることができます。 事実、安保法制懇は提言で示す類型で自衛権を発動できるようにするためにも、集団的自衛権の行使容認を求めています。 ※従来の4類型:(1)公海上の米艦防護、(2)米国向けの可能性がある弾道ミサイルの迎撃、(3)PKOなどでの駆けつけ警護、(4)海外での後方支援活動の拡大 ◆頼みとなる米軍の台所事情は厳しい このように「行使容認」の機運が盛り上がる集団的自衛権ですが、その盛り上がりと裏腹に、相手となる米軍の台所事情は極めて厳しいと言わざるを得ません。 米軍は向こう10年間で約5000億ドルの国防予算の強制削減が予定されておりますが、ヘーゲル米国防長官は、この強制削減が続いた場合、将来的に11ある空母艦隊を8から9に削減しなければならず、それは「米国の国益に反する戦略上の大きな誤り」であると指摘しました。(8/1日経「米国防長官『空母3隻減も』」) ◆米軍は東南アジアでも「引っ張りだこ」 オバマ大統領は、西太平洋の戦力を削減し、アジアに艦隊の6割を配置する戦略を打ち出していますが、だからと言って安心することはできません。 米軍のプレゼンスと抑止力に規定しているのは、日本だけではないからです。例えば、フィリピンも中国の海洋進出の脅威を前にして、米軍の抑止力強化に向けた動きを進めています。(8/8 Defense News:「Philippines To Start Talks With US on Greater Military Presence」) ◆米軍の弱体化で動き出す、中ロ海軍 さらに懸念を呼んでいるのは、中国のみならず、ロシアの動向です。 米軍が国防予算の強制削減に直面しているのと対照的に、ロシア海軍は地中海への進出を強めています。 地中海への進出に関して、ロシア紙は往時のソ連海軍のような大海軍の再建を目指すのではないとしつつも「ロシアの観点からすれば不公平な制裁を受けている国々への貨物納入を確保すること」を目的とすると語っています。(4/8 ロシアNOW:ヴェドモスチ紙「ロシア海軍を世界に再展開する意義は」) シリア内戦において、ロシアが政府側に武器の供与を行っている事実を考慮すれば、軍事費の強制削減に伴う米海軍の弱体化によって、米国はさまざまな「挑戦」に直面することとなるはずです。 ◆もう米国頼みはできない。安倍首相は憲法九条改正に踏み込め! 以上の要素をみれば、集団的自衛権の行使容認は、それ自体重要ではあっても、日本を守る「伝家の宝刀」ではないことが明らかです。 むしろ、世界中で混乱に直面する米国から、地域の安定に関わるミッションに、自衛隊の積極的関与を求められる可能性が高いと言えます。 集団的自衛権は、国防強化への一里塚にすぎません。 安倍首相は、集団的自衛権問題を片づけるのみならず、早期に「憲法九条改正」に向けて「勇気ある一歩」を進めるべきです。 終戦記念日が近づく今、国防強化を実現しようとする安倍首相には、山のような非難が積まれる可能性がありますが、ぜひ、踏みとどまって、「アジアの柱」である日本の誇りを取り戻して頂きたいと思います。(文責・幸福実現党神奈川4区支部長 彦川太志) 米軍ヘリの墜落事故を受けて 2013.08.07 ◆米軍ヘリの墜落事故を受けて 沖縄県本部の金城竜郎です。米軍ヘリの墜落事故を受けての提言を書かせて頂きます。 8月5日午後4時ごろ、米軍基地キャンプ・ハンセン敷地内の訓練地区で、米空軍嘉手納基地に所属する訓練中のHH60救難ヘリコプターが墜落炎上し、乗り組んでいた4人のうち、3人が脱出できましたが、1名が死亡するという痛ましい事故が起きました。 亡くなられた米空軍兵士に対しましては、心から哀悼の意を表すると共に、ご冥福をお祈り申し上げます。また、ご家族の皆様の心中をお察し申し上げます。 幸いにして、地上施設や米軍基地外の被害は確認されていませんが、脱出した兵士の皆様も負傷されたとの報道もあり、一日も早い回復をお祈り致しております。 ◆センセーショナルな報道は慎むべき 今回の事件に関しまして、普段から反米報道が盛んな沖縄地元紙(『沖縄タイムス』『琉球新報』)は、一面トップで「民家まで2km」という見出しを躍らせ、センセーショナルに事件を報道しています。 「報道の自由」は許されてはいるものの、基地周辺住民の恐怖心を煽るような表現は慎むべきです。 今後、今回の事件を受けて、米軍基地の前での基地撤去抗議活動が拡大するものと思われますが、その中に、基地に隣接する名護市、宜野座村、金武町、恩納村の住民のどれだけの住民の方が参加されるというのでしょうか。 普天間基地周辺の抗議行動を見る限り、基地反対運動には、本土から多数の左翼活動家が駆けつけて来ているのみで、地域からの参加者はごく少数です。 また、沖縄紙は墜落したHH60救難ヘリコプターの危険性を批判していますが、東日本大震災の「トモダチ作戦」において、嘉手納基地から参加した同型機が「救難機」として多くの人命を救ったり、物資を運んでくれた恩を忘れるべきではありません。 また、沖縄では早速、今回のヘリコプター墜落事故を「オスプレイ配備反対運動」に繋げる動きが出ています。 しかし、オスプレイの事故率は今回、墜落したHH60の半分以下であり、むしろ老朽化が進む同型機からオスプレイMV-22への移行を促進すべきです。(参照:8/6 The Liberty Web「墜落したヘリはオスプレイの2倍危ない もっとオスプレイ配備を」) ※事故率データ:防衛省「MV-22オスプレイ事故率について」⇒http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/osprey/dep_5.pdf ◆政府は日米同盟の重要性を沖縄県民に説明すべき 今、沖縄において、最も注意すべきことは、中国の海洋覇権拡大の動きです。 ASEAN諸国は中国が南シナ海における紛争当事国となり、一触即発の事態も経験したことで多大な不安を抱え、南シナ海における「行動規範」策定を唱えておりますが、中国はその動きを牽制し続けています。 東シナ海においても、中国は日中中間線付近で両国政府の合意に違反して単独で石油・天然ガスの採掘を始めています。 尖閣諸島周辺領海に中国の公船が侵入する事案が頻発していることは多くの沖縄県民が知るところです。 このように緊迫するアジア情勢において、中国の軍事的な挑発行動を未然に防ぐことは、沖縄県民の皆さまの命と財産を守ることでもあります。 そして、その役割の大部分を担っているのが、沖縄に駐留し、訓練を重ねている米軍であることは自明です。 ですから、沖縄県民もまた、米軍の安全運用に協力し、兵士が平静な心で任務・訓練について頂けるよう配慮すべきです。 そして、地元マスコミは、いたずらに米兵の緊張感やフラストレーションを過度に高めるような報道・行動は慎むべきです。 政府や地方自治体においては、米政府に対し遺憾の意を表明し、原因究明と再発防止を求めることは当然のことですが、同時になぜ、沖縄に基地があり、米軍の日頃の訓練が何のためにあるのかを県民に説明する義務もあるはずです。 その義務を放棄したままで、感情だけの基地撤去の世論を喚起することないよう努めて配慮頂きたいと強く強く要望致します。(文責・幸福実現党 沖縄県本部 金城竜郎) アメリカの孤立主義に備えよ! 2013.08.01 ◆安倍首相が「集団的自衛権の行使」容認表明を検討 安倍首相は27日、憲法解釈で禁じているとされてきた「集団的自衛権の行使」容認に向け、「検討を進めていく考えだ」と明言しました。(7/27 産経「首相、アジア首脳に集団的自衛権の検討伝達」) 「集団的自衛権」とは、日本がアメリカ等の同盟国と共同して防衛にあたる権利のことです。 国連に加盟している日本は、国連憲章第によって「集団的自衛の固有の権利」が保障されていますが、これまで政府の公式見解は、憲法9条に鑑み、「集団的自衛権を有しているが、行使は許されない」といういびつな解釈がなされて来ました。 そのため、在日米軍が攻撃されても、日本は米軍を助けることはできないのが現状です。これでは、日米同盟を妨げてしまいます。 幸福実現党は立党以来、日米同盟強化に向け、「集団的自衛権の行使」を認めるよう主張して参りました。安倍首相の勇気ある決断を期待したいと思います。 ◆幸福実現党の国防政策の背景 しかしながら、幸福実現党は日米同盟を基軸としつつも、「自分の国は自分で守る」という「自主防衛」強化も訴えております。 その背景には、中国の軍事的台頭のみならず、アメリカが「世界の警察」という使命を放棄しつつあることが指摘されます。 第二次世界対戦後、アメリカは朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争、あらゆる地域紛争に介入して来ました。 こういったアメリカの戦争介入には、共産勢力から「帝国主義的」という批判もなされてきました。 しかしながら、アメリカが介入することによって、世界の平和と安定、日本をはじめとする米国の同盟国の平和が保たれてきたことは事実です。 ◆「孤立主義」を深めるアメリカ しかし、近年、アメリカは「自国が平和であれば、世界で紛争が起きたとしても介入しない」という「孤立主義」を強めてきています。 アメリカが「孤立主義」を強めてきた背景には、国内世論の変化があります。 米調査機関ピュー・リサーチ・センターのアンドリュー・コーチ氏が執筆した報告書の中で、最近の米国民は「国益を直接侵さないとみられる国際問題には責任や関心をほとんど抱かない」ことが指摘されています。 アメリカでは、ベトナム戦争時の1974年、ソ連崩壊後の92年と、周期的に「孤立主義」が強まってきましたが、2006年のイラク、アフガニスタンでの長引く戦争から始まった近年の「孤立主義」は過去のものとは違って、長期的であり、深刻であると言われています。 報告書では、米大使ら4人が殺害されたリビア東部ベンガジの米領事館襲撃事件に関心を示した米国民はわずか25%でした。 また、ある調査では、6年前はほぼ同じ割合であった外交政策、国内政策に対する米国民の関心が、今では83%の米国民が「大統領は国内政策に集中すべきだ」と答える一方、外交はわずか6%しか関心がありませんでした。 シリアでは10万人以上の人が亡くなっているにも関わらず、アメリカ政府は介入を決定していません。その背景には、半数以上の国民がシリアへの介入を望んでいないということがあります。 アメリカ政府の外交政策は国内世論の影響を強く受けることを私たちは知らなくてはなりません。 ◆憲法9条を改正し、自主防衛強化を進めよ! 今後、アメリカ世論が国内政策を更に重視するようになれば、極東や東南アジアで有事が起きたとしてもアメリカが介入しないことも考えられます。 また、米国防総省は、今後10年で4870億ドル(約48兆円)の歳出削減が義務づけられており、在日米軍は日本から徐々に撤退する方向で動いています。 中国・北朝鮮が軍備拡張を進める中、米国の「孤立主義」が進めば、日本は窮地に立たされることは避けられません。 幸福実現党は日米同盟強化を訴えていますが、たとえアメリカからの助力が期待できない事態に至っても、自国で、自国民を守ることができる「自主防衛」体制を築くべきです。 そのためにも、安倍首相は集団的自衛権の行使を合法とするのみならず、早急に憲法9条改正に取り掛かる必要があります。(幸福実現党 東京都第1区支部長 伊藤のぞみ) 中国艦艇が日本一周航海――中国海軍の太平洋侵出と日本列島の危機 2013.07.28 ◆「中国艦艇の日本一周航海」が意味するもの 防衛省は7月25日、沖縄本島と宮古島間の海域を、太平洋から東シナ海に向けて通過する中国海軍の駆逐艦5隻を確認したと発表しました。 領海への侵入こそありませんでしたが、これらの艦艇は今月に入って対馬海峡や宗谷海峡を通過し、日本を囲む形で太平洋に進出しています。 防衛省によると、中国海軍の艦艇が日本を一周する形で航行することが確認されたのは初めてのことです。(7/25 読売「中国艦艇が日本一周航海、洋上で補給も…防衛省」) 6月の米中首脳会談で習近平は、オバマ米大統領と尖閣諸島の問題を話し合った際、「太平洋には米中両大国を受け入れる十分な空間がある」と語ったことは記憶に新しいところです。 これは習近平が「中国とアメリカとで太平洋を分割して支配しよう」と提案したことを意味しています。 すなわち、今回の「中国艦艇の日本一周航海」の中国の意図は、「尖閣・沖縄のみならず、太平洋側を含む日本列島全部が核心的利益(中国の死活的国益)のターゲットに入っている」ことを日本側に意思表示したものであります。 中国は、日米防衛ラインである沖縄~尖閣~台湾を結ぶ「第一列島線」を突破したら、次は「第二列島線」、すなわち、日本列島の太平洋側の領海化であり、東京~名古屋~大阪を結ぶ太平洋ベルト地帯への軍事侵攻もその視野に入っています。 これは日本にとって死活的問題であり、尖閣・沖縄のみならず、日本本土の中核地帯が危機的状況に陥ることを意味します。 ◆中国海軍の両用戦能力強化に備えよ! 中国海軍は、空母「遼寧」をはじめとして、駆逐艦やフリゲートなどの水上艦艇、弾道ミサイル原潜を含む潜水艦などを着実に増強し、「両用戦能力(amphibiouswarfare)」を強化しています。 「両用戦」とは、艦艇によって地上部隊を輸送し、これらを目標の島嶼に上陸させ、占領する水陸両用の戦いです。 中国海軍は両用戦の中核となる「揚陸艦」を多数建造し、海兵隊も保有しています。その戦術はアメリカ海兵隊に倣っています。 中国海軍が保有している071型揚陸艦「崑崙山」は、エアクッション揚陸艇を4隻搭載し、水陸両用戦闘車両を15~20輌と兵士を500~800名収容することができます。中国海軍は「崑崙山」と同型の揚陸艦を3隻すでに保有し、続々と建造中です。 さらに中国海軍は081型とよばれる揚陸艦を計画中であることを考えると、中国の狙いは、尖閣諸島、そして台湾も含めた、日本本土にも向けられていると考えられます。 先日26日、防衛省は年末に策定する「防衛大綱」のたたき台として発表した「防衛力の在り方検討に関する中間報告」では「機動展開能力や水陸両用機能(海兵隊的機能)の確保」を検討していますが、主に尖閣諸島に向けられており、本土防衛は想定していないものと見られます。 ◆沿岸防衛を早急に固めよ! 日本の空と海は、現在、中国からの脅威にさらされており、中国は今後着実に大規模な日本本土への上陸作戦能力を保持することは明らかです。 日本の海上自衛隊と中国海軍の戦力差は開く一方の状況にあります。 幸福実現党の安全保障政策では、シーレーン防衛のための空母の建造と潜水艦の増強などを謳っていますが、これはシーレーン防衛のみならず、沿岸防衛をも想定に入れたものです。 また、幸福実現党は島嶼防衛のための海兵隊創設を謳っていますが、これは尖閣・沖縄のみならず、日本本土の防衛部隊としても重要視されています。 本年から2020年にかけて、日本の生存―Survival―のかかった非常に緊迫した期間に入っています。 安倍政権は憲法改正を「長期的課題」と捉え、先延ばしするかに見えますが、今こそ、「大川談話」を採択し、憲法9条を改正し、国防を固めなければ、日本本土が絶対的危機に陥ることは避けられません。(文責・政務調査会 佐々木勝浩) 試される安倍首相の国家観――いかに自虐史観を払拭し、憲法改正を成し遂げるか 2013.07.22 ◆試される安倍首相の国家観 第23回参議院選挙において、自民党が64議席を獲得し、115議席となりました。自公で135議席と過半数を上回る議席数を獲得し、「衆参のねじれ」が解消されました。 今回の参議院選挙では、とにかく「経済政策における実績を問う」ということで、自民党は、アベノミクスの成果を強調することに重点を置きました。 今後、アベノミクス「第3の矢」である成長戦略をどれだけ魅力あるものにしていけるかに注目が集まりそうです。 しかし、これからは経済一辺倒ではなく、「安倍首相は、日本の戦後の歴史観をどう捉えているのか」、また「憲法改正の議論をどう深めていくのか」、首相の国家観が問われてくることになるでしょう。 ◆安倍首相の歴史観・憲法改正の可能性に注目する海外メディア 海外メディアも日本の戦後の歴史観や憲法改正について、詳しく報じています。 例えば、保守的な論調のワシントンポスト紙は「強硬な国粋主義者である安倍首相は(今回の参議院選挙の勝利で)、中国と韓国を激怒させている、日本の帝国主義的侵略したというアジアの歴史観を修正する意見を大胆に表明するようになるかもしれない」と指摘しています。(7/21 ワシントンポスト”Japan ruling bloc cruises to victory in parliamentary election“) また、リベラルな論調で知られるニューヨーク・タイムズでは、「(今回の参議院選挙の自民党の勝利で)、日本国憲法が1947年に施行されて以来、初めての憲法改正に現実味を帯びてきた」と今後の憲法改正の可能性を指摘しています。(7/21 ニューヨーク・タイムズ”Election Win by Ruling Party Signals Change in Japan“) 世界各国から、安倍首相の歴史観・憲法改正への踏み込みについて注目が集まっているのです。 ◆自虐史観払拭のために乗り越えるべき「二つの相手」 日本は自虐史観の払拭をしていくために「二つの相手」がいます。 一つ目は、アジアの隣国である、中国と韓国です。 中国は南京大虐殺を、韓国は従軍慰安婦を、事実を歪曲して、日本が悪いことをしたと仕立て上げるために、海外ロビイ活動も戦略的に行っています。これに対して、日本側も正当な主張を海外に対しても発信する必要があります。 二つ目には、同盟国であるアメリカに対する説得です。 第二次大戦中、日本・ドイツ・イタリアはファシズム国家であり、アメリカ側に正義があったということになっています。アメリカにとっても、原爆まで使った手前、「日本が侵略国家であった」ということにしないと都合が悪いのです。 当然、アメリカは同盟国であり、一番の脅威は、「信教の自由」から生じる自由を否定し、人権を抑圧する国ですから、優先順位を考えて外交政策を行う必要があります。 このような優先順位を考えた外交を行うためにも、日本が発展すること自体が力強い交渉カードとなるのです。 ◆幸福実現党が訴えてきた、日本に必要な「本当のこと」 幸福実現党は、今回の参院選を通じて、「国防強化」「消費増税中止」「生涯現役社会」という3つのチャレンジを訴えて参りました。 日本が「自分の国で自分を守る」方向にシフトすることは、アメリカにとっても、軍事費の削減に繋がります。 また、消費税増税の中止や法人税減税は、日本の景気回復、経済成長を促進させます。 そして、「生涯現役社会」の推進は、増大する社会保障費という、先進国共通の問題に対して、自助をベースとした新しい福祉哲学を提案しています。 また、幸福実現党は、自虐史観を払拭し、「日本の誇り」を取り戻すことを力強く訴え続けて参りました。 「日本の誇り」を取り戻すためには、日本が発展するしかありません。現状維持では、「日本の誇り」は取り戻せないのです。 安倍首相の「本気さ」がこれから試されます。是非とも、河野談話・村山談話の踏襲の撤回にまで踏み込むべきです。 今回の参議院選挙では、幸福実現党としては、誠に悔しい結果とはなりましたが、日本が発展・繁栄して、世界に対しても日本が大国としての責任を果たすためにも、幸福実現党は、日本に必要な「ほんとうのこと」を粘り強く訴え続け、必ずや次期選挙での勝利を果たして参ります! (HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ) 「正義」ある国家を目指して 2013.07.21 ◆参院選を終えて 21日、参院選の投票が行われ、幸福実現党は誠に残念ながら議席獲得に至りませんでした。 炎天下の中、候補者と共に汗を流し、力強く支援の輪を広げてくださいました党員、支援者の皆さまに心より感謝申し上げますと共に、結果を出すことができなかったことを党首として深くお詫び申し上げます。 私は国難が急速に深刻化し、危急存亡の秋が目前に迫る中、議席を獲得できなかったことが悔しくて悔しくてなりません。 今回の参院選の成功点と反省点、教訓を抽出し、反省に反省を重ね、次回の国政選挙の勝利に繋げていく覚悟でございます。 皆様の声に耳を傾け、必ず勝利を実現して参ります。ご指導の程、何卒宜しくお願い申し上げます。 ◆憲法9条改正に尻込みする安倍政権 安倍首相は21日夜のNHKの番組で、自民党の参院選の大勝・ねじれ解消を受け、「憲法改正」に向けた姿勢を聞かれました。 自民が大勝したわけですから、憲法9条改正に向けて、前向きの発言が期待されましたが、「安定的な政治状況を作っていただいたわけだから、落ち着いて議論を深めたい」と曖昧に述べるにとどまりました。 参院選において、自民党は「憲法9条改正を掲げれば議席を減らす」という懸念があり、「9条改正」自体は選挙の争点から下げ、「96条改正」を前面に出しながらも憲法改正全般をトーンダウンさせました。 玉虫色のことを言って、本来言うべきことは言わない――これは民主主義の歪んだ姿であり、だからこそ、日本は停滞を続けて来たのです。 もし、憲法9条の改正が必要だと思うならば、堂々と、国民に対して憲法9条改正の必要性を説くべきです。 今回、議席獲得はなりませんでしたが、臆すること無く、「憲法9条改正」を正面から正々堂々、訴えて来た幸福実現党こそが、本当の意味での「責任政党」であると自負する次第です。 目的において間違いないのであれば、どのような苦難があろうとも実現するのが「正義の道」です。私達は、この信念の下、今後とも戦いを続けて参る所存です。 ◆日本の国防、もはや「待ったなし」! 現在、中国は尖閣諸島に対して、領海侵犯を繰り返しています。 尖閣諸島の日本の領海には、中国の公船が入り、日本の海上保安庁が警告を発しても、中国船が逆に「釣魚島は中国固有の領土。ここは中国の管轄する海域であり、海上保安庁の船こそ、直ちに退去せよ」と言い張る事態が相次いでいます。 尖閣海域で、中国の海洋監視船が日本の漁船を追い掛け回す事件も発生しており、地元漁民も安心して漁ができないのが現状です。 4月26日には、中国外務省が尖閣諸島について、公式に「中国の核心的利益だ」と明言しました。中国共産党、政府関係者が公の場で「核心的利益」と認めたのは初めてのことです。 さらに中国は、日本の一部である沖縄も自分たちの領土であると主張し始めています。 中国は、ベトナムなどと領有権を巡って対立している南シナ海の西沙諸島でも実効支配を着々と進めています。 7月18日には南シナ海の西沙諸島・永興島に5千トン級の船が停泊できる大型埠頭が完成しました。(7/20 朝日「中国、南シナ海・西沙諸島にふ頭完成 実効支配着々」) 大型埠頭は当然ながら、軍艦の寄港も企図したものでありましょう。現在の南シナ海の姿は、明日の東シナ海の姿であり、日本は警戒を強めるべきです。 こうした事実や様々な軍事的研究から、中国はアジア全体また日本に対して、明確な「侵略の意図」を持っていると言えます。 日本の安全保障・国防は、もはや「待ったなし」の状況にあります。一刻も早く、「平和のための抑止力」を強化すべきです。 幸福実現党は憲法9条の改正が急務であると考え、今後とも正面から「正論」を訴え続けて参ります。 ◆今後とも「ほんとうのこと」を言い続けます! 他国からの侵略の脅威が迫り、国民の生命・財産・安全が脅かされる危機が強まっている以上、政治家は自己保身を捨て、勇気を持って、国防強化を急ぐべきです。 幸福実現党は、本当に国民の幸福のために何が必要なのか。何を今なさねばならないのか。臆することなく、正しいことは正しいと訴え続けて参ります。 私たち幸福実現党は、国難突破を果たすまで、絶対にあきらめません! そして一刻も早く国会議員を輩出し、憲法改正と国防強化を実現し、「正義」ある国家を実現して参ります。 国難ある限り、私たちの戦いは止まることはありません。 今後とも幸福実現党へのご指導ご支援の程、何卒宜しくお願い申し上げます。(文責・幸福実現党党首 やない筆勝) 9条改正と、差し迫る国難に対処するための憲法解釈変更を検討すべき 2013.07.18 ◆差し迫る国難に対処するための憲法解釈変更を考えよ! いよいよ選挙戦も終盤に入り、各党が浮動票を獲得するための戦いに入る中、ほとんどの政党は、経済政策に重点を置いた訴えをしています。 自民単独で70議席近く獲得とも予想する報道が出される中で、自信を深めたのでしょうか。公示後、改憲について言及を控えていた安倍首相が9条改正について言及。将来的な憲法9条改正に意欲を示しました。(7/16 共同「安倍首相、将来の9条改正に意欲 自衛隊を軍隊として位置づけ強調」) 自民党は憲法改正草案の中で、9条改正と国防軍創設を謳っていましたが、今回は(も)完全にトーンダウンしています。 選挙戦終盤にやっと9条改正に言及する様子を見ますと、安倍首相は、実際に9条改正を「遠い将来のこと」と考えているようです。 また、連立を組む公明党という、憲法改正のブレーキ役も存在しています。 こうした状況を踏まえると、国を守るためには、9条改正を訴えつつも、同時に、差し迫る国難に対処するための憲法の運用を考える必要があります。 幸福実現党も参院選の公約として、「憲法9条を改正します。それまでの間は、憲法解釈の変更で有事への備えを万全にし、隣国の脅威から日本を守ります」と掲げています。 そこで、本日は、憲法9条の解釈変更に関し、特に「自衛戦争合憲説」をご紹介、検証してみたいと思います。 ◆9条をどう読むか? 憲法9条は、下記2項から成り立っています。 ①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 ②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 第1項で「戦争・武力行使という選択肢の放棄」をしていますが、「国際紛争を解決する手段としては」という留保が付いています。 いわゆる1928年の不戦条約では、同じ文言を用いて「侵略戦争の禁止」が国際的に同意されていることに鑑みると、この「国際紛争を解決する手段として」の戦争・武力行使とは、侵略戦争・侵略的武力行使だと言えます。 とすれば、9条1項は、侵略戦争(のみ)の放棄であり、自衛戦争まで放棄したものではないのです。 そして、次は、9条2項の「前項の目的を達するため」、いわゆる芦田修正をどう考えるかということです。 9条2項では、「一切の戦力の不保持と交戦権の否認」が定められているのですが、「前項の目的」とは関係ない場合はどうなのかという疑問がわいてきます。 「前項(1項)の目的」を「侵略戦争の放棄のため」とした場合、9条2項は「侵略戦争のための戦力は持たないが、自衛戦争のための戦力は持たないとは言っていない」と読むことができます。 9条1項を「侵略戦争の放棄」と読み、2項を「侵略戦争目的のための戦力は持たない」とすると、「自衛戦争」は憲法9条に反していないことになります。 これがいわゆる「自衛戦争合憲説」であり、これによって「(侵略戦争のためではない)自衛戦争のための陸海空軍その他の戦力は保持できる」と読むことができます。 ◆「自衛戦争合憲説」は妥当なのか この「自衛戦争合憲説」は、政府にも採用されておらず、憲法学者の多くからも反対されています。戦後の憲法学の大家、芦部信義東大教授らも、「自衛戦争合憲説」の難しさを指摘しています。 しかし、本当に採用できない解釈なのでしょうか?「自衛戦争合憲説」への批判を検証してみます。 【難点1】「自衛戦争合憲説」は、憲法の前文の“格調高い”平和主義と合わない しかし、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という言葉が、隣国の中国や北朝鮮、かつてのソ連については全く当てはまらないことは否定しようがありません。 さらに、崇高な理念を世界的に実現しようとした国際連合は、平和を実現する国際組織として十分に役割を果たせていないのが現状です。 とすると、前文に謳われているような“格調高い”内容というのは、空理空論ではないのかと、問い直さねばならないと思います。 【難点2】「自衛戦争」と「侵略戦争」の区別は難しい 第二次大戦で侵略行為を繰り返したナチスドイツも、「これは自衛戦争だから正当だ」と言っていたことに対する警戒でしょう。 ですが、これを突き詰めれば、国内の治安を保つ警察の実力以上の一切の装備や兵器を持つことはできないことになります。 国家と国民が“丸裸”になるのを容認することになってしまうのです。 【難点3】9条2項の「前項の目的を達するため」という文言は、「決意を表したもので、何の意味もない」という解釈が広く認められている 事実、この文言を入れた芦田均自身が、「これは自衛戦争を合憲にするための“付け足し”だ」というようなことを全く言っていません。 ですが、制定したのは戦後間もないGHQ統制時のことだったため、それを以て、自衛戦争合憲説を否定することはできないのではないかと思います。 敗戦直後の国会において、「自衛戦争をそのまま認める」という動きが認められたはずがありません。これらの事情を考えても、自衛戦争合憲説の憲法解釈は十分に論理的ではないでしょうか。 ◆「自衛戦争合憲説」は、憲法上認められるのか 憲法は「自由の基礎法」であり、国民の生命・安全・財産、そして自由のために存在している限り、絶対に遵守しなければなりません。 戦後の護憲派は、人権尊重・国民主権・平和主義の3つを絶対に守られるべき価値だと断言し、9条改憲を阻止する論陣を張っていますが、9条が絶対不可侵のものとは思えません。平和を実現する方法は、価値観や時代背景に左右されるからです。 ただ、9条の解釈を「自衛戦争合憲説」の方向に変更しようとすると、96条の改正の時以上に、大きな反論が起こされるはずです。解釈改憲で、憲法のあり方を変えることが、“独裁者”の手法に見えるからでしょう。 しかし、現に憲法9条の改正が間に合わず、国民の生命、安全、財産、何より自由を守れなければ、何のための憲法なのでしょうか? 現在は「集団的自衛権」についてのみ解釈の議論がされていますが、万が一のため、9条自体の解釈も検証されることが望まれます。 「自衛戦争合憲説」を採った上で、日米同盟や国連を通した国際協力に日本がどう関わるのかについて、基本法の制定や自衛隊法の改正で補うことを考えても良い時期でしょう。(HS政経塾 第3期生 森國英和) 2013年版「防衛白書」と中国の脅威――中国の潜水艦に備えよ! 2013.07.12 ◆2013年版「防衛白書」を巡る中国の猛反発 政府は9日、2013年版「防衛白書」(以下、「白書」)をまとめました。ネット上で読むことができますので、ぜひ、ご一読をお勧め申し上げます。 ⇒http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/ 今年の白書の特徴は、何と言っても、中国の脅威を強調し、中国を牽制する内容となっていることが挙げられます。 白書は、中国の尖閣海域における侵略的行動について、「国際法秩序と相いれない独自の主張に基づき、力による現状変更の試みを含む高圧的とも指摘される対応を示している」と批判。 中国に国際規範の順守を強く求めるとともに、日米同盟を基軸に島嶼防衛など国防を強化していく方向性を打ち出しています。 特に、公船の領海侵入など中国の挑発活動を列挙しており、「不測の事態を招きかねない危険な行動を伴うものがあり、極めて遺憾だ」と強く非難しています。 これに対して、中国政府は11日、「(白書は)事実を無視して、これまでに輪をかけて『中国の軍事的脅威』を誇張し、中国の国防と軍建設をみだりに批判している」「中国と周辺国の関係について意図的に挑発するものだ」などと猛反発しています。(7/12 サーチナ「中国国防相が防衛白書に猛反発」) しかし、白書に書かれている内容は「誇張」でも「挑発」でもなく、淡々とした事実の列記に過ぎません。中国政府は自らの行動こそが「周辺国を意図的に挑発している」ことを猛省すべきです。 ◆中国の海洋進出の目的 白書(p.42)には、中国の海洋進出、特に日本近海における活動における目標は次の五つであることが指摘されています。 (1)中国の領土や領海を防衛するために、可能な限り遠方の海域で敵の作戦を阻止すること。 (2)台湾の独立を抑止・阻止するための軍事的能力を整備すること。 (3)中国が独自に領有を主張している島嶼周辺海域において、各種の監視活動や実力行使などにより、当該島嶼に対する他国の実効支配を弱め、自国の領有権に対する主張を強めること。 (4)海洋権益を獲得し、維持し、保護すること。 (5)自国の海上輸送路を保護すること、 すなわち、中国は自国の領土・領海防衛、台湾の独立抑止・阻止、島嶼周辺海域(尖閣諸島を含む)の実効支配の強化、海洋権益の獲得、海上輸送路の確保のために、日本近海への海洋進出を強めていると分析しています。 ◆中国の潜水艦戦力の脅威 実際、中国海軍は初の空母「遼寧」を竣工するなど、着実に戦力を増強しています。 中国海軍の中でも特に増強が著しい戦力は、潜水艦戦力です。白書(p.36)によると中国海軍が保有する潜水艦は約60隻と日本の3倍以上の戦力を保有しています。 その内の4隻は「弾道ミサイル原潜」です。一部の弾道ミサイル原潜は新型の潜水艦発射弾道ミサイル「巨浪2号(JL-2)」を搭載することが可能です。 「巨浪2号」とは、大陸間弾道ミサイル「東風31号(DF-31)」の潜水艦版であり、射程は8,000km以上で、中国近海からアメリカ本土を核攻撃できる能力を持っており、米国の「核の傘」を消し去る恐れがあります。 水上艦の行動は監視できても、海中に潜む潜水艦の行動を監視することは容易ではありません。 したがって、地上の核ミサイル発射施設は破壊できても、潜水艦は破壊されずに残存する可能性が高く、中国の潜水艦は、日米にとっては大きな脅威となっています。 ◆中国の潜水艦の脅威に備えよ! ただし、潜水艦が作戦行動を行うには、海の中の環境を熟知しておく必要があります。 海の中の環境を熟知するためには、海水の採取や音波による調査など、海洋資源の探査と同じか、似た手法が使われます。 中国が頻繁に日本近海に海洋調査船を派遣する理由は、まさにここにあります。 7月2日には、尖閣諸島周辺の排他的経済水域で、中国の石油会社所属の海洋調査船「ディスカバラー2」がワイヤを海中に垂らして航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しています。(7/2 産経「尖閣EEZに海洋調査船」) また、7月3日、沖ノ鳥島から北約85キロの日本の排他的経済水域で、中国の海洋調査船が航行しているのを、海上保安庁のジェット機が発見しています。(7/3 産経「沖ノ鳥島EEZに中国船、2004年以来の確認 海保警戒」) 中国の海洋監視船などは国有化以来、今月7日までに計51回、尖閣周辺の領海内に侵入しています。 中国は、こうした海洋調査によって、潜水艦が潜伏し、行動するための膨大なデータの蓄積を進めていることを知らなくてはなりません。 日本の海上自衛隊の対潜水艦戦能力は世界有数ですが、彼我の戦力差は現在でも3倍以上あり、このまま何もしなければ差は開く一方です。 幸福実現党は、参院選の公約として「シーレーン防衛のための潜水艦の増強」を掲げていますが、早急に日本も潜水艦を増強し、中国の潜水艦の脅威に対処する必要があります。(文責・政務調査会長 黒川白雲) パウエル氏の「核、無用論」は責任ある発言か? 2013.07.11 ◆パウエル氏の「核、無用論」とは? 「核、軍事的には無用」というアメリカのコリン・パウエル元国務長官のインタビュー記事が、7月10日の朝日新聞の一面に掲載されました。(7/10 朝日「核兵器『軍事的には無用な存在』パウエル元米国務長官」) 11日の朝日新聞の15面には、インタビュー記事の詳細が掲載されています。 「なぜ核兵器が不必要だと思うのでしょうか」という記者の質問に対して、パウエル氏は「極めてむごい兵器だからだ。まともなリーダーならば、核兵器を使用するという最後の一線を踏み越えたいとは決して思わない。使わないのであれば、基本的には無用だ」と答えています。 英語の原文がないため、邦訳がどこまで正確か分かりませんが、「まともなリーダーならば、使いたいとは決して思わない」という一文と「使わないのであれば、基本的には無用だ」という一文の間には大きな飛躍があります。 ◆原爆投下は必要だったのか? 世界には核兵器を「使いたくない」けれど、「使った」国家が存在します。他ならぬ、パウエル氏がいるアメリカ合衆国です。 私は、「第二次世界大戦の終結のために、核の投下が必要だった」とは、決して思いませんが、アメリカ政府としては「やむなく使った」と言うことでしょう。 そうでなく、「使いたくて使った」ということであれば、当時のアメリカのリーダーは「まともではなかった」ということになります。 パウエル氏は、「核は無用である」と主張するのであれば、第二次世界大戦で、アメリカは日本に核を投下する必要はなかったということを論証し、アメリカ国民に広く伝えるか、「基本的には無用」という「基本」から外れる基準は何であるのか、当時の情勢は、どこが「基本」から外れていたのか、明確に示す必要があります。 どちらもできないということであれば、アメリカは原爆投下が間違っていたことを認め、日本に対して正式に謝罪すべきでしょう。 参照:『原爆投下は人類への罪か?公開霊言 トルーマン&F・ルーズベルトの新証言』(大川隆法著、幸福実現党発刊) ◆「核抑止」のための核保有を肯定するパウエル氏 さらに、核が無用であるのであれば、そもそも、なぜ米国は核を保有しているのか、パウエル氏の明確な説明がありません。 パウエル氏自身、アメリカに関しては「核の削減」という言葉を使い、「アメリカが保有する核をゼロにする」とは言っているわけではありません。 先ほどの発言に続いて、パウエル氏は「軍事的な意味で無用」であり、「政治的に見れば、核には抑止力がある」と発言しています。 軍事兵器としては「使えない」が、他国からの核攻撃を防ぐ「抑止力」にはなるという認識のようです。 アメリカが削減するべき核兵器の数に関しても、「危機に対応するための備えとして持つ抑止力としては、ずっと少ない核兵器数で十分なのだ」と発言しており、「抑止力として必要な数は確保しておきたい」という本音が見えます。 アメリカが単独で核を廃絶すれば、アメリカは他の核保有国の言いなりになるしかありません。万一、テログループの手に核兵器が渡った場合、アメリカがテログループの要求をすべて呑まなければならなくなります。 朝日新聞がセンセーショナルに報じている、「核不要論」とは裏腹に、パウエル氏は「核抑止のための核保有」を肯定しているのです。 現在、核を保有している国は「核の先制不使用」を原則としており、全ての核保有国は「兵器としての核」ではなく「抑止力のための核」の保有を前提としています。(今年4月に中国の国防白書から「核の先制不使用」の記述を削除したことが問題となりましたが、その後、中国国防省から「先制不使用」政策を堅持すると発表がありました。) したがって、パウエル氏の「核の不使用」発言は、(少なくとも建前上は)どの国も言っている当たり前のことに過ぎません。 朝日新聞が「反核」キャンペーンの一環として、パウエル氏の話を誇張して利用したのが実態といったところでしょう。また、アメリカとしては、北朝鮮の核ミサイル開発に伴い、日本国内で噴出しつつある「核武装論」を沈静化させる思惑があるのかもしれません。 ◆「北朝鮮の核」と「アメリカの核」は何が違うのかを説明すべき パウエル氏の話には、「抑止のための核保有」が認められているのであれば、なぜ、北朝鮮の核保有は許されないのか、説明がありません。 「北朝鮮の核」と「アメリカの核」の違いは、「独裁国家の核」と「民主国家の核」の違いです。 90年代を通じて、北朝鮮国内の餓死者は300万人を超えているといわれています。 自国民が数人でも亡くなれば問題になる民主主義国家と、100万人単位の死者が出ても何とも思わない「独裁国家」では、核保有の意味が全く違うのです。 自国の国民を餓死に追いやりながら、核開発を続ける北朝鮮に対し、対話路線だけでは、北朝鮮が核開発を止める日は永遠に来ないでしょう。 ◆「最悪の事態」に備えるのが政治家の使命 「中国が核兵器を使用しようとしたらどうするか」という質問に対し、パウエル氏は「そんなことは起きないだろうから、考えたこともない」と回答するなど、楽観的過ぎる部分が多く見られます。 常に最悪を想定し、最悪の事態が起こったとしても、被害を最小限に食い止める道筋を考え、実現していくことが政治家の仕事です。 「北朝鮮も、中国も『平和を愛する諸国民』であり、核兵器を使うことは絶対にない」という楽観的な予測に、1億2千万人の日本人の人命をゆだねるわけにはいきません。 幸福実現党は参院選の最大の争点として、「憲法9条改正」を中心とした早急な国防強化策を訴えていますが、それは国民の生命・安全・財産を守るという強い使命感ゆえであります。(幸福実現党 東京都第1区支部長 伊藤のぞみ) すべてを表示する « Previous 1 … 74 75 76 77 78 … 101 Next »