Home/ 新着一覧 新着一覧 「自由の法哲学」を欠いた憲法改正議論には要注意! 2015.03.13 文/HS政経塾3期生 和田みな ◆憲法改正の重要3項目 自民党は11日までに、衆議院の憲法審査会の再開を与野党によびかけ、来週中に幹事懇親会を開き、今国会でどのように憲法改正を進めるかなどを話し合うことを提案しました。(3/12付「日経新聞」4面) 審議会が再開すれば、憲法改正のための議論が本格化していくことになります。 審議会では、自民党がすでに発表していた党の憲法改正案の重要25項目の内、これまで他の多くの党が必要性を認めている「財政規律」、「新しい人権」、「緊急事態条項」の3項目での議論を深め、他党との接点を探り、改憲への道筋としたいと考えています。 憲法改正の発議の高いハードルをクリアするため、安倍政権は他党とも協力することが不可欠な状況で、上記の3項目は公明党の主張とも合致し、維新の党も積極的な姿勢を見せています。 この3つの項目はそれぞれどのような意味を持つのでしょうか。 ◆財政規律 財政規律とは、財政赤字の拡大を防ぐために歳入と歳出のバランスが保たれている状態のことで、政府の支出を抑え、国債の発行額などに一定の制限を設けるものです。 しかし、機械的な財政規律条項を導入すれば、行政の柔軟性や自由な活動を阻害する要因となります。 例えば、歳出の強制削減が法律に明記されていることで「財政の崖」を招いた米国よりも厳しい状況が、日本に生じるかもしれないのです。 また、憲法に財政規律条項を入れるということは、そのための規範や数値目標を憲法に明記するということですが、このようなものは法律として整備するかどうかの類のもので、憲法に明記するレベルのものではありません。 この点について、経済学者の高橋洋一氏は次のように述べています。 「政府のムダ撲滅は当然として、経済苦境時の緊縮財政は経済を傷めて元も子もないので、そこまで規定したらまずい。こうした議論は、憲法改正後に制定される実定法での話であるので、憲法改正とは切り離して議論すべきである。」(2/28『「日本」の解き方』より) このレベルの内容を憲法に明記することは、今後、状況や目標が変わるたびに憲法の改正が必要になるということを意味しています。 それによって憲法の価値を落とし、憲法を一般の法律のレベルへと引き下げてしまうことにもなりかねません。 ◆新しい人権 環境権などを憲法に明記することは、これまではっきりとは認められてこなかった「新しい人権」を認めるということです。 このような人権は「幸福追求権」(憲法13条)から導き出されるもので、プライバシーの権利、環境権、日照権、平和的生存権など、多くの権利が主張されてきましたが、これまで最高裁判所が認めたものはプライバシーの権利としての肖像権のみでした。 なぜなら、このような新しい権利の多くは、それを認めることで他人の基本権を害することにもつながるため、個人の人格的生存に不可欠であるのかを、様々な要素を比較考慮して、慎重に決定しなければならないと考えられてきたためです。 したがって、このような新しい権利は、「権利」ではなく、あくまでも「利益」であって、個人の自律的決定に任せるべきレベルのものであると判断されてきました。 これが、一転して憲法に明記されるようになれば、憲法上認められた明確な国民の権利に格上げされることになります。 しかし、最高裁判所が認めていない「利益」を「権利」に格上げする根拠はどこにあるのか、また、これによって何の自由が守られることになるのかが極めて不明瞭で、逆に多くの自由の侵害を招く恐れがあります。 ◆緊急事態 緊急事態に即応するための条項を憲法に明記することは必要です。一方で、この緊急事態法制も個人の自由を制限するものであるという点を忘れてはいけないでしょう。 もちろん、有事の際には、「最大多数の最大幸福」のために、自由に一定の制限をかけることも必要です。しかし、法律レベルの利益や目標を憲法に明記しようとする現在の改憲議論者が、真の意味で自由の価値を理解しているとは到底思えません。 この程度の法理念の下で、緊急事態法制を行って国民の自由は本当に守られるのか不安が残ります ◆幸福実現党は憲法の真の価値を守る 自民党が悲願である憲法改正をなす為に、耳障りのよい項目で他党と協調したい気持ちはよく理解できます。しかし、それによって改正内容を間違えれば、逆に国民の自由が奪われてしまう危険性があります。 これでは憲法の持つ「国民の自由を守る」という真なる価値からくるところの崇高さを取り戻すことはできないでしょう。 その意味において、現在の憲法改正議論は、憲法の崇高さを失っていると言わざるを得ません。法律レベルのものか、憲法に明記すべき権利かは、それがいかに「国民の自由」を守るものかのレベルの差です。国民の生命、安全、財産を守り、日本を自由の大国とするための「自由の法哲学」をこそ、政治家は学ぶべきです。 幸福実現党は憲法改正を積極的に押し進めます。それによって国民の自由を守り、憲法の崇高な価値を守るためです。 幸福実現党が正面から訴えている憲法9条の改正は、このような「自由の哲学」を基礎に持ち、さらに、国家の自然権としてどの国にも認められている自衛権をしっかり持とうと主張しているものであり、法哲学的にも、歴史的にみても正当な理由があるものなのです。 幸福実現党は憲法の真の価値を守るという意味における「真の護憲政党」とも言える存在です。 建設的な未来を目指す「新談話」を! 2015.03.11 文/HS政経塾2期卒塾生 服部まさみ ◆日本とナチスを同一視するメルケル首相 3月11日の産経新聞によると、ドイツのメルケル首相は、10日民主党の岡田克也代表との会談で、ナチスによる犯罪行為の反省に触れつつ、日本に慰安婦問題の解決を促しました。 また、メルケル首相は、9日の安倍首相との共同会見でも、旧日本軍とナチスを混同しているような発言をしていたことが報じられています。 これを受けて、インターネット上やSNSサイトではメルケル首相に対する誹謗中傷が多く見られました。 ◆「隙」を与えているのは日本 外務省幹部は「欧州各国は、韓国のロビー活動に相当影響されている」と警鐘を鳴らしています。 事実、韓国や中国は、安倍首相をヒトラーになぞらえ、南京事件をユダヤ人大虐殺(ホロコースト)と同一視するなどの宣伝工作活動を展開しています。 しかし、韓国や中国が世界中で反日宣伝工作を活性化させている原因は、他ならぬ日本国側が「隙」を与えているからです。 旧日本軍とナチスを同一視しているのは、メルケル首相だけではなく、日本のリベラル派のドイツ研究者や政治家、言論人、マスコミも同じです。 メルケル首相や中国、韓国が悪いというより、日本政府が河野・村山談話によって「日本は悪いことをした」「侵略国家であった」と認めてしまっていることが、根本的に間違っています。 歴史問題は外交問題ではなく、本質な問題は日本国自身にあるのです。 ◆建設的な未来を目指す「新談話」の発表を 過去の談話を踏襲し、謝罪を続けることが和解ではありません。 歴史問題の裏には「日米同盟を破棄させ、アジアの覇権を握ろう」という侵略的意図を持って、宣伝工作を行っている国があることを忘れてはなりません。 日本が河野・村山談話を踏襲し続ける限り、捏造された歴史を政治利用され、国益と信用を失い続けることになります。 歴史問題に終止符を打ち、世界から信頼される真のリーダー国家になるためには、新しい談話の発表しかありません。 ここに日本と世界の未来がかかっているのです。 「〈大川談話―私案―〉(安倍総理参考)」 http://special.hr-party.jp/policy2013/okawa-danwa/ ◆広報外交やロビー活動の強化 歴史問題解決に向けて、日本が新しい談話を発表し、世界に受け入れられるためには、他国を説得する理論とメッセージ性を兼ね備えた外交力が問われます。 新しい談話を発表する場合、特に米国の説得が不可欠になるでしょう。米国を説得するために何が必要か。どんな論拠がいるのか。どこを攻略するべきなのか。どの国の誰を味方につけるべきなのか。 このような明確な目標と戦略を立てて、日本の考え方と態度を決めることが重要です。また、政治の中枢であるワシントンD.C.に情報収集や発信を行う拠点も必要です。 ◆説得力のある外交を支える学術的研究 また、歴史問題について議論し、相手国を説得することは、国益がぶつかり合う政府間だけでは限界があります。そのため、政府から距離を置いた研究機関である大学やシンクタンクの存在が必要不可欠です。 例えば、従軍慰安婦問題は国際社会では人権問題として捉えられていますが、これに対して、どのような理論で国際世論を説得できるか。国際世論に影響を与えている戦勝国史観に基づいた価値観をどのように変えていくことができるか。 敗戦国のドイツと日本の違いを明確化するなど、自由な立場から研究し、アイデアを提案することで、政府やメディアが発信する内容の論理的な裏打ちができるようになります。 そのような説得力を持った学術的研究を行う研究機関の存在は、日本外交を何倍も強くします。 さらに、研究者自らが世界に向けて、英語で研究内容を発信したり、学生などが欧米やアジアの親日国の大学との交流や共同研究を通じて、人脈やネットワークを作っていくことが日本外交の厚みになっていきます。 ◆戦後の歴史認識を見直す国内世論の喚起を そして、外交力と共に、歴史問題の解決には国内世論の喚起が何よりも重要です。 戦後70年を迎えるにあたり、「日本は近隣諸国の圧力に屈することなく、勇気を持って戦後の歴史認識を見直し、真実を明らかにしよう」という国内世論をもう一段高める必要があります。 自国の歴史について、自分たちできちんとした認識を持つことが「自信」につながり、外国と対等な関係を築く原動力にもなります。 幸福実現党は、日本の誇りを取り戻すべく、新談話の実現に向けて真実の歴史観を国内外に発信して参ります。 ギリシャ債務の経済的帰結――EU問題からアジアの未来を考える 2015.03.10 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 はじめに――東日本大震災から4年を迎えて 3月11日――未曽有の被害をもたらした東日本大震災から4年を迎えました。 あらためて震災によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。 また被災された方々が一日も早く以前のような平穏な日々を取り戻すことができますよう、わが政党としても努力して参りますことをお誓い申し上げます。 ■ギリシャの債務問題 1月25日、ギリシャで反緊縮派の新政権が誕生し、一時、ギリシャのユーロ離脱やデフォルトの危機が高まりました。 先月20日のユーロ圏財務相会議では、国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)からの金融支援が条件付で4ヵ月延長されることが決定されたものの、ギリシャ債務問題をきっかけにした経済危機の可能性は拭えていない状況です。 さて、20世紀における2度の世界大戦の中心となった欧州で、欧州統合の理念が掲げられ、それを経済統合という形でいっそう推し進めるために導入されたのが共通通貨ユーロです。 今、欧州で起こっているのは、「ドイツもギリシャも一つの欧州だ」という政治的理想に、「ドイツとギリシャは違う」という経済的現実が突きつけられ、この矛盾をいかに乗り越えていくかという問題です。 これは私たち日本人にとって、遠い欧州で起こる無関係な問題ではありません。 なぜならば、かつて私たち日本の先人たちも大東亜の理想を掲げたように、国家民族の違いを超え、一つのアジア、一つの地球に住むもの同士、共通の価値観を持って交流交易を活発にし、平和と繁栄の文明を築いていきたいと願うのは同じだからです。 ただ、どんな高邁な政治的理想が掲げられても、経済の論理を無視しては達成できません。 そこで、ここではEU問題をきっかけとし、日本やアジアの未来を構想する材料を提供できたらと考えます。 ■解決策はユーロ離脱か さて、ギリシャのように巨額の対外債務を負った国がその返済を進めるには、一般に増税や政府支出の削減等、緊縮策を進めることが必要だとされますが、各国で反緊縮派の政党が台頭しているように、単純な緊縮路線に行き詰まりが生じています。 これまでの緊縮派の政権が試みてきたように、国内での雇用、特にギリシャのように若年層の失業率が50%を超える状況を見過ごして、対外債務返済のために緊縮財政が断行されるのは、政治的な困難さだけでなく、経済的合理性の観点からも見直しが迫られるべきです。 本来、対外債務返済のためには財政収支だけでなく、国際収支、特に経常収支改善の方法が議論されてしかるべきです。ところが、ギリシャの場合、自国通貨を持たないため、そうした議論が見られません。 通常、自国通貨を持つ国であれば、対外債務返済の困難が予想された場合、自国通貨の為替が切り下がることで、極端な緊縮策をとることなく、経常収支が改善に向かいます。 英国病で苦しんだイギリスでも、労働組合の弱体化や規制緩和による競争促進といったサッチャー改革の実効的な効果が現れるのには、1992年のポンド危機を経る必要がありました。 当時、イギリスは欧州通貨制度(EMS)の一員として、マルクに自国通貨ポンドの価値を連動させておりましたが、ジョージ・ソロスらヘッジファンドによるポンド売り攻勢を受け、結局、ポンドは暴落し、イギリスはEMSからの離脱を余儀なくされました。 ところがイギリスはEMSから離脱し、自律的な金融政策の手段を得ることで、90年代、00年代と平均5%程度の成長率を保持することができたのです。 同じことをタイやインドネシア、韓国等、97年のアジア通貨危機を経た東アジア諸国も経験しております。 経済合理性からすれば、一時的な混乱覚悟で、ギリシャは自国通貨ドラクマを復活させるべきです。 ■ギリシャのEU直轄領化 しかしギリシャのユーロ離脱は現在のところ、議論されることはあっても、実際、互いに望んでいない印象があります。 ヨーロッパの語源はギリシャ神話に登場する女神「エウローパ」とも言われますが、欧州発祥の地がユーロから離脱するのは、いろいろな意味で困難があるのでしょう。 では単純な緊縮策でもなければ、ユーロ離脱でもなく、現状の延長で事態が展開するならば、どんな状況が現れるのでしょうか。 現在、ギリシャは金融支援の見返りにEUやIMFで協議された経済改革案を実行しなければならない立場にあり、その延長線上で考えるならば、EUの認可なしで何一つ予算が決められない未来がいずれギリシャに訪れることが予想できます。 つまりギリシャにユーロ離脱以外の選択肢があるとすれば、主権や領土を担保に資金援助を受け続ける状態、すなわちEU直轄領となることです。 EUとしてはギリシャの主権を所有し、例えばギリシャをタックスヘイブンの「自由の大国」として、非ユーロ諸国に対抗するという手もあるでしょう。 ドイツは自国通貨マルクを捨てましたが、代わりにユーロを創設することで、欧州における影響力を保持、拡大させました。 私たち日本人も自国の財政収支だけに着目するのではなく、地球的視野を持った対外経済政策を構想していくべきです。 対談映像――我が党の署名にユネスコ本部が動いた!(拡散歓迎) 2015.03.09 HRPニュースファイル事務局より ◆ユネスコにも影響を与えている我が党の署名活動 昨年より我が党で取り組んでいる「中国による「南京大虐殺」「従軍慰安婦」のユネスコ記憶遺産への申請に抗議し、日本政府に万全の措置を求める署名」活動、誠にありがとうございます。 中国による「『南京大虐殺』『従軍慰安婦』の記憶遺産登録申請」に反対する署名活動は、幸福実現党が国内で行っていますが、ハッピーサイエンス国際本部でも全世界の支部で取り組んでいます。(現在も継続中) その第一弾として、先月2月10日、ハッピーサイエンス国際本部の武川一広国際広報局長がパリのユネスコ本部を訪問し、中国の記憶遺産登録申請に反対する「海外の支部で集めた署名の原本」や「南京大虐殺」「従軍慰安婦」はなかったことを裏付ける当時の具体的資料等を手渡しました。 ユネスコの記憶遺産の担当者の方も中国の「南京大虐殺」の記憶遺産登録申請について日本人はどう思っているのか気にしており、その際に、我が党が現在取り組んでいる「日本で集めた署名の束の写真」も事務局の方々にお見せしました。 「海外支部で集めた署名原本」と「日本の署名の束の写真」は、ユネスコ事務局の方々に大きな驚きを与え、「今回の申し入れを真摯に受け止め、事務局長に早急に報告します」と回答を得ました。 <面談時の主な内容> ・ボコバ事務局長(ユネスコのトップ)に必ず届ける ・資料を精査し、しっかり審議をする ・本件について異議申し立てをしているのはハッピーサイエンスしかない ・日本人はこの問題をどう認識しているのか?(日本国内の世論への関心も強かった) ◆対談映像――ユネスコ本部での面談はどのような内容だったのか ユネスコ本部での面談はどのような内容だったのか、及川外務局長・武川国際広報局長による対談映像は、党HPの動画サイト「幸福実現党チャンネル」からご覧いただけます。 「幸福実現党チャンネル」【対談映像】その時、ユネスコ本部が動いた! https://www.youtube.com/watch?v=_p855JxGqfc 内閣府・ユネスコ本部に日本国民の声を届けて記憶遺産登録の棄却を実現し、歴史認識問題に終止符を打ちましょう!引き続き、皆様のご協力をお願い申し上げます。 ■中国による「南京大虐殺」「従軍慰安婦」のユネスコ記憶遺産への申請に抗議し、日本政府に万全の措置を求める署名 《署名用紙はこちらから》 http://info.hr-party.jp/2014/3159/ 【署名締切】3月24日(火)必着 幸福実現党党本部 〒107-0052 東京都港区赤坂2-10-8 6F TEL:03-6441-0754 戦後70周年――戦後レジームからの脱却の秋(とき) 2015.03.08 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆ホロコーストとしての「南京大虐殺」 昨年、12月13日、初の国家哀悼日の式典に参列した中国習近平国家主席は「南京大虐殺の事実を否定しようとしても、30万の犠牲者と13億の中国人民、平和と正義を愛する世界の人々が許さない」などと、事件の犠牲者が30万人に上るとの中国側の立場に改めて言及しました。(朝日12/13) また李克強首相は、今月5日開幕した全人代での政府活動報告で、今年が抗日戦争勝利から70年にあたることに触れ、「反ファシズム戦争と抗日戦争勝利の70周年を記念する関連行事を催す」と表明しました。 抗日戦勝記念日の9月3日頃に北京で軍事パレードを実施する見通しです。 この文脈によれば、日本はファシズム国家であり、「南京大虐殺」は、ナチスによるユダヤ人大虐殺(ホロコースト)と同じ歴史的事実であり、これを否定することは、ホロコーストを否定する「歴史修正主義」と同じであり、戦後秩序に対する挑戦、すなわち許されざる大罪であるということになります。 「南京大虐殺」をナチスのホロコースト並みの人道上の罪に仕立て上げ、日本を憲法9条の鎖でしばりあげておくことが、現在の中国の国家戦略であることは明らかであります。(幸福実現党は、南京大虐殺はなかったとする立場です。) これはひとり中国の立場でなく、英米にも見られる立場であると言えます。 ◆海外における皇太子殿下の記者会見報道 本年2月23日の皇太子様の55歳の誕生日に先立ち行われた記者会見において、皇太子さまが戦争の記憶が薄れつつあることに触れ、「謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています」と述べました。 この会見は、海外において以下のように報道されました。 英ガーディアン紙は、「皇太子、日本は第二次世界大戦の歴史を書き改めてはいけないと述べる」と見出しを付け、副題を「皇太子、戦争での日本の行為を正しく記憶することが重要だとの異例の発言。右翼たちが従軍慰安婦の問題を矮小化しようとする中で」としています。 Japanese crown prince says country must not rewrite history of WW2(The Guardian 2/23) http://www.theguardian.com/world/2015/feb/23/japanese-crown-prince-says-country-must-not-rewrite-history-of-ww2 同紙は、特別に反応しなかった日本の新聞を尻目に、ツイッター等ソーシャルメディアで飛び交った反応を紹介し、殿下の穏やかな口調ながら徹底した意思の表明は、従軍慰安婦問題などを重要視しない右翼主義者たちの中心にいる安倍晋三首相への批判とも受け取られた、と伝えているのです。 BBCも同様の文脈で報道し、最近の安倍政権の動きに加え、日本の歴史教科書は、日本の戦争時の残虐行為をごまかしていると長年批判を受けていると報じています。 Japan’s Crown Prince Naruhito urges ‘correct’ war history(BBC NEWS ASIA 2/23) http://www.bbc.com/news/world-asia-31585492 ◆歴史認識包囲網の中で 海外メディアが、特に反応しなかった日本の新聞報道ではなく、日本のネットユーザーによる「安倍首相への警告を含んでいるのではないか」などと反応した論議を積極的に紹介していることは、日本の保守勢力を歴史修正主義者と断罪するための意図が働いているとも思えます。 このように、戦後70年の本年、中国を先頭に、いわゆる連合国史観、つまり東京裁判史観による歴史認識包囲網が敷かれつつあります。 幸福実現党は、普遍的観点から先の大戦における日本の使命を正当に再評価する必要があると考えています。 すなわち西欧列強の人種差別による植民地支配から、アジアの同胞を解放するため、そして自国民を帝国主義から、共産主義勢力から護るための聖戦、自衛戦争であったという戦後一貫して抹殺されてきた観点です。 ゆえに、日本の歴史の再評価は、ホロコーストを否定する歴史修正主義などでは断じてありません。いや、一般市民を殲滅した東京大空襲をはじめ、日本各地の大空襲、そして広島、長崎への原爆投下こそがホロコーストでなくてなんでありましょう。 米国に対しても自国の歴史に対し真摯に向き合い、反省をして頂く必要があると考えます。これは決して日米同盟を否定するものではありません。 真実の歴史認識こそ、世界平和、未来創造への第一歩と信じます。 歴史認識を糺す運動の一貫として、幸福実現党は現在、中国による「『南京大虐殺』『従軍慰安婦』のユネスコ記憶遺産への申請に抗議し日本政府に万全の措置を求める署名」を行っております。 皆様のご協力をよろしくお願いいたします。(3月24必着) 署名用紙 http://info.hr-party.jp/files/2014/06/MpiuQvKg.pdf 【署名送付先】〒107-0052 東京都港区赤坂2-10-8-6F 幸福実現党本部 TEL:03-6441-0754 自分の国を誇れる健全な愛国心を育む、偉人教育の重要性 2015.03.07 文/幸福実現党 山口県本部副代表 かわい美和子 ◆地元・周南市の名士として慕われる児玉源太郎 私の生まれ育った山口県周南市の偉人に児玉源太郎がおります。市内には児玉神社も祀られており、多く人たちから尊敬を集めております。 今回は、児玉源太郎の偉業を紹介するとともに、偉人を教えることの大切さについてお話しいたします。 児玉源太郎は、嘉永5年(1852年)に、長州藩の支藩であった徳山藩(現:山口県周南市、当初の名称は下松藩)に生まれます。 父と義兄を亡くし、生家が一時断絶する厳しい幼少期を送りました。やがて藩の献功大使として戊辰戦争に参加した後、陸軍に入ります。そして、西南戦争などに従軍し、その頭角を現わしました。 陸軍大学校長の初代校長も務め、ドイツの軍制・戦術の移入を通じて陸軍軍政の近代化も進めました。日清戦争では大本営参謀としても活躍しました。1898年に台湾総督に就任し、後述する多大な功績を台湾に残しました。 1900年に第四次伊藤内閣の陸軍大臣を務め、第一次桂内閣でも、内務大臣や文部大臣を兼任し、政治家としても活躍しました。 1904年に陸軍大将として日露戦争へ出征し、熾烈を極めた旅順攻略を指揮し、当時最強と呼ばれたロシア太平洋艦隊を壊滅に追い込む功績を上げました。 戦争に勝利するだけでなく、これ以上のロシアとの戦争継続は困難と判断し、日露戦争の早期講和も促しました。 日露戦争後に陸軍参謀総長に就任。南満洲鉄道の創立委員長としても活躍しましたが、1906年に脳溢血により54歳の生涯を終えました。 児玉源太郎は、故郷の徳山に「児玉文庫」という私設図書館も設立するなど、若者の教育にも力を注ぎました。 日露戦争へ出征当時、児玉は内務大臣や台湾総督を兼務する重職にありましたが、作戦参謀次長の急逝を受けて、降格人事となることも承知で作戦参謀次長の重責を引き受けます。 その結果、内務大臣を免ぜられることになります。このような、名誉や大臣の地位よりも、軍人として日本の国を守らんとした児玉源太郎の気概、武士道精神は、政治家・軍人の鑑であると言っても過言ではないでしょう。 ◆台湾で、いまも慕われ愛され続けている日本の偉人 台湾に、台湾の自然や政治関係の様々な資料が展示されている国立台湾博物館があります。 かつてこの博物館は、台湾の第四代の総督であった児玉源太郎と民政長官の後藤新平の偉業を称える記念館として建てられたものです。この博物館の三階には二人の像が建っています。 児玉源太郎は、台湾で経済・鉄道・医療などで様々な改革を行い、「児玉神社」ができるほど、台湾の人たちからも慕われていました。日本と台湾の架け橋ともなった人物と言われております。 後藤新平も、鉄道や道路、港湾などのインフラ整備のほかに、アヘン漸禁策を行うなど、台湾のために尽力しました。 ほかにも、第七代台湾総督であった明石元二郎も、台湾電力や華南銀行の設立、教育法の改革などの台湾施策に尽力しました。 参考:日本人が台湾に残した功績 「台湾に残る日本を訪ねて」【ザ・ファクト REPORT#6】 http://www.youtube.com/watch?v=SdkvWRkgNYw ◆新学習指導要領で教えられるべき歴史上の偉人 文部科学省の新学習指導要領では、小学校6年の社会科として人物の働きを通して学習できるように指導することを定めています。 児玉源太郎は、新学習指導要領で教えられるべき歴史上の人物としてその名こそ出てこないものの、その偉業は多くの日本人が知るところです。 児玉源太郎だけでなく、私の生れ育った山口県には、明治維新の偉業を成し遂げた偉人が沢山おられます。このような偉人たちがいたことを、山口県人として、そして日本人として誇りに思っております。 ◆自分の国を誇れる健全な愛国心を育む、偉人教育の重要性 このように大きな歴史の転換点で活躍した偉人、特に日本の繁栄のみならず、周辺国や他国の発展にも貢献した偉人たちを子供たちに教えることは、自分の国を誇れる健全な愛国心を育むためにも重要です。 真の国際人を育むためにも、語学教育だけでなく、自分の国を誇れる健全なアイデンティティーをもった人材教育が重要です。 そのために、いまの歴史教育から自虐史観を廃し、同時に我が国の偉人をしっかりと教えることが重要です。 幸福実現党宣言――今こそ求められる日本人の意識変革 2015.03.06 文/幸福実現党・北海道本部副代表 森山佳則 ◆新しい世界秩序の中の日本の選択 今、世界では、数多くの争いが起き、終結するそぶりは今のところ、見えて参りません。 中東では、「イスラム国」の問題、イランの核開発とイスラエルの問題があります。ロシアとウクライナの対立もあります。 北朝鮮の核開発、中国と周辺地域での領土問題(日本も含まれる)。EUでは債務国問題等ヨーロッパが没落、こうした動きが、21世紀に入って、顕著になってきています。 スーパーパワーを持っていたアメリカが世界の警察をやめると宣言し、世界は多極化に移行しつつあります。 こうした「新しい世界秩序」の中で、日本は、世界の繁栄と平和に対して、どのように貢献するのか、考えていかなければいけません。 日本が「一国平和主義」のままであれば、この世界の流れの中で取り残され、強国からの支配を受け、没落していく可能性が高いところに来ています。 ◆幸福実現党宣言! 幸福実現党大川隆法総裁は、日本が主権国家として自立し、世界のよりよき未来のために、積極的に、能動的に、役割をはたしていく時が到来したと『幸福実現党宣言』の中で訴えています。 〈1〉求められる日本人自身の意識変革 明治維新の時は、日本を先進国入りさせなければ、欧米列強諸国の植民地になることが必定であったため、先人達は、真剣に憂い、国力をつけるべく、必死の努力で新しい時代を拓くために、人生を捧げられたのだと思います。 今、また、そうした時代が来ています。軍事力にものを言わせ隣国の領土も、「核心的利益」として自国の主張を一方的に押しつける中国の存在があることを知らなければいけません。 日本はどう考えるのか。まず、軍事力で脅してくる国から、自分の国を護れるように「憲法改正」しなければいけません。防衛費も自国のことだけで決めるのではなく、相手のあることなので、そこから護りきれる確固とした防衛力にしなければなりません。 〈2〉求められる世界をデザインする力 日本は、世界に目を向け、どのような人々がどのようなことを考え、どのように暮らしているかに強い関心をもち、そして世界各国をも平和に繁栄させていくにはどうしたらいいのかを考えなければいけません。 この日本の「グランドデザイン力」が、今の日本の世論の形成にまったく現れて来ないということが大きな問題です。 国をリードする知識人、マスコミ、政治家、官僚が、そうした見識をしっかりと持ち、世論を正しくリードしていくことができていないと思います。 この国をあげて、世界に関する知識や、日本の立ち位置と方向性を、議論し、世論形成していって初めて、国としての強さが出てくるのだと思います。 〈3〉世界を司る宗教の力 今、日本人が考えなければならないこととして、「信仰」ということがあります。宗教といってもいいでしょう。信仰は、たいへん重要なことです。 古来より、この日本は、天照大神様を信仰し、八百万の神々に護られ発展してきた国であります。世界の国々でも、ほとんどの国が、宗教を大切にしています。 日本では、戦後、占領軍の洗脳教育により、宗教と軍部が一体となって侵略戦争を行った悪魔の国として、宗教に対して悪いイメージが植え付けられましたが、事実はそうではありません。 日本を守るため、また人種差別を撤廃すべくアジアの植民地解放のために戦ったというのが真実です。南京大虐殺も、従軍慰安婦の強制連行も、日本を貶めるためのプロパガンダであることが明らかになってきています。 もういいかげんに、宗教は悪しきものという誤った先入観を捨てて、宗教は素晴らしいものであるという本来の日本の価値観に戻ることが大切です。 日本人の精神性の高さは明治維新以後、世界の国々との交流の中で、明らかになったことですし、その背骨には、宗教心、神仏を敬う心という一本筋が通っていたからです。 武士道精神とも言われますが、そのおおもとには、神や仏への深い信仰心が横たわっておりました。 そうした誇りを取り戻し、高い精神性のもと、世界を耕すような傑出した国になっていく必要があります。それをできるのがこの日本であると思います。 この宗教に対するアレルギーを払拭し、宗教心を持つことは素晴らしいという価値観を日本人が持ち得たとき、世界の平和と繁栄に大きく貢献できる国へと成長していけるのではないかと思います。 この〈1〉~〈3〉に日本人が正面から向き合う時、日本は、世界の繁栄と平和のために「太陽の昇る国、日本」として、世界の人々の希望となっていくことができるでありましょう。 議論進む新安保法制――実効性ある体制づくりを実現しよう 2015.03.05 文/HS政経塾 第1期卒塾生 彦川太志 昨夏の集団的自衛権・限定容認の閣議決定を受け、安保法制の与党協議が進んでいます。 協議の焦点は「船舶検査」「海外派遣」「集団的自衛権行使の手続き」の3点に絞られていますが、それぞれのテーマで、実効的な安保法制を組み立てようとする自民党の足を公明党が引っ張る姿が浮かび上がっています。 北東アジアの安全保障環境が不安定化する中、わが国は一刻も早く実効性ある安保法制を整備していかなければなりません。今回は、与党協議それぞれの論点について考えてみたいと思います。 ◆船舶検査:大量破壊兵器の拡散をとめられない公明党 安保法制協議で議論される「自衛隊による船舶検査」には、二つのケースが想定されています。 一つは、米軍を攻撃する国に向かう船舶の積荷を検査する場合であり、もう一つは「大量破壊兵器」などの拡散を阻止する場合です。 前者は現行の周辺事態法によって北朝鮮が想定されていますが、後者は密輸入によって核兵器などが拡散していく事を阻止する事が想定されていると言えます。 米韓研究所によれば、北朝鮮が今後5年間で核弾頭を100発程度生産できる能力を持っている事が言及されていますが、もし北朝鮮が核弾頭を完成させれば、それを配備するだけでなく、「お金に換える」であろうことも十分想定できます。 北朝鮮製の核弾頭が世界に拡散することになれば、わが国のみの安全にとどまることなく、世界の平和を揺るがす事態となってしまいます。 現行法では、自衛隊が船舶検査を実施する際は、「船舶が登録されている国(旗国)の同意」、もしくは「国連安保理の決議」があった上で、対象となる船舶の「船長の同意」を得なければならないため、実効性について不十分であることが指摘されています。 たとえるならば、「ドライバーの同意」がなければ、警察は飲酒運転の検査ができない、と言っているようなものです。 このような事情があるため、政府は2月27日の与党協議会で、「船長同意の撤廃」を提案したのですが、与党である公明党が「隊員の命にかかわるような衝突が多くなる」として反対しています。与党間の調整難航を前に、政府も「船長同意の撤廃」自体を撤回しようとしています。(産経3/5) 政府には、現状維持に後退することなく、「船長同意の撤廃」を実行し、真にわが国と国際社会の平和を守れる体制を整えていただきたいと思います。 ◆海外での邦人救出活動を制限する「北側三原則」 また、恒久法化をめざす自衛隊の海外派遣に関しては、公明党の北側一雄副代表が「北側三原則」と呼ばれる三つの原則※を受け入れるよう自民党に迫りました。 ※(1)国際法上の正当性、(2)国民の理解と民主的な統制、(3)自衛隊員の安全確保 ここで出された三原則の提示は、基本的に統一地方選対策と見られていますが、自衛隊の海外派遣を「国連安保理の決議」「国会の事前承認」を前提とした上で、海外での活動範囲の広範化を抑制することに目的があるとしています。 この三原則について、政府は「国会の事前承認」については受け入れ、自衛隊の活動範囲については、「受け入国の同意」を前提とする方針のようです。(産経3/3) また、緊急時は「国会の事後承認」を得ることとし、承認が得られなければ「即時撤収」するというルール作りを検討していますが、政府の想定する「海外派遣」の事例には2013年のアルジェリア邦人人質事件や、1997年のペルー大使館人質事件への対応などが含まれています。 こうしたテロ事件に対処する場合、国内の政局に合わせて現地の事態が進んでくれるわけではありません。 仮に事前承認が得られないまま海外に派遣され、事後承認が得られなかったとしても、1ヶ月程度は撤収まで猶予を与えるなど、配慮が必要ではないかと考えます。 ◆集団的自衛権に基づく「防衛出動」も議論 3つ目の争点は、集団的自衛権に基づく「防衛出動」までの手続きをどうするか、という議論です。 政府は新たに出動規定を設ける提案をしましたが、公明党の「派遣が際限なく広がる印象が強い」との反対があったため、既存の枠組みに昨夏の閣議決定を反映した「存立危機事態」を加える方向になっています。(産経3/5) 大事な点として、自衛隊法の「武器等防護」の概念を当てはめて米軍の艦船等を個別に守るケースと違い、「防衛出動」が発令されるということは、自衛隊が組織として動き、「侵略を撃退する」という意味があります。 2年前に小野寺防衛相(当時)が東南アジアを歴訪した際は、中国の海洋進出の脅威に直面する多くの国々から、わが国の防衛力強化を歓迎する声があがりました(中央公論2013/11号)。 他にも、日本に南シナ海防衛を担ってほしいと米政府高官が発言していることからもわかるように、わが国の安保法制改革は、基本的に好意的に受け止められていると言ってよいでしょう。 戦後70周年を迎えるいまこそ、国内で完結した神学論争に終止符を打ち、憲法9条の改正を視野に入れた、アジアの責任ある大国にふさわしい安保法制を打ち立てるときだと考えます。 日本が世界平和のために良き影響力を発揮するには 2015.03.04 文/幸福実現党・世田谷区代表 曽我周作 ◆ウクライナ問題 アメリカのオバマ政権は残り約2年、「世界の警察ではない」とするアメリカが続く中、世界では紛争が絶えません。 ロシア―ウクライナ問題では実質上ドイツが調停役となり停戦合意が結ばれましたが、その後も交通の要衝であるデバルツェボを親ロシア派が攻撃し、ウクライナ軍は撤退しました。 ウクライナ軍は、非力な装備であることが指摘されており、「ソ連時代の旧兵器を使用するお粗末さ」(Newsweek日本版3.10)と言われます。 アメリカ軍の統合参謀本部議長のデンプシー氏は上院軍事委員会の公聴会で「ウクライナに対する殺傷能力のある武器供与を検討すべき」であると述べました。 しかし、アメリカが軍事的に介入するわけではありません。そして、さらに調停役を務めているドイツ、そしてフランスも含めてEU側も軍事的に直接介入する意思は持ち合わせていません。 「プーチンは経済制裁を科されようと、外圧には屈しない。だが、ヨーロッパに実行する覚悟があるのは、経済制裁だけだ」という指摘もあります。(『Newsweek』(3.10日本語版)) したがって、ロシアとしてはアメリカと戦うことはないわけであり、同時にNATOがアメリカを抜きに本気で戦う意思はないことも見抜いています。 ロシアとしては、ウクライナ問題は防衛問題でもあり、そう簡単に引き下がるはずはありません。 また、ウクライナの問題は経済的な救済力の戦いだとも指摘されるところでありますが、EUでは今ギリシャの問題が再燃しており、ドイツもウクライナ経済を支えられるかといえば難しいだろうと思われます。 ◆日本の役割 その中で日本の安倍政権は、ロシア―ウクライナの調停役を買って出ようとしているようです。 「日本はこれまで主にロシア側に平和的解決への建設的な対応を求めてきた。今後は、和平交渉を主導する欧州と連携しつつ、日本独自にウクライナに対しても停戦合意の着実な履行といった和平への『努力』を強く促すことでロシア、ウクライナ間の“調停役”を果たしていきたい考えだ」(3.2産経)と報道されています。 では、日本がそのような役割を果たすには何が必要なのでしょうか。 気になるのは、例えば「ワシントン・ポスト」論説委員のアン アプルボーム氏が「第二次大戦以降、ドイツは重要な外交政策の経験がなく、他国の危機の解決に慣れた外交官もいないこと」や「ドイツ軍は強い軍隊を持っていないこと」を指摘していることです。 まず、日本としてはロシア―ウクライナ問題に対して軍事的に介入することは立場上考えられませんので、この問題では日本の軍事力は直接の問題とならないでしょう。 しかし、同氏が指摘するような、外交的な存在感の無さは敗戦後の日本にも共通するものであります。 敗戦国に対するある種の軽視もあるのかもしれませんが、日本は世界の問題に積極的に関与する姿勢を強く世界に対してアピールすべきです。 そして、実際に世界の発展や平和安定のために積極的に関与していくべきです。そういう意味では、安倍政権の姿勢は評価されるべきものでしょう。 ◆世界に影響力を及ぼすために日本に必要な力 さらに、やはり経済力を増していくことも必要です。 ウクライナに対してもそうかもしれませんが、今後ロシアに対しても経済的に助けられるところはあるはずです。日本の「経済力」は非常に大きな影響力があります。その力を伸ばすことが必要です。 特に中国は経済力も軍事力も非常に大きく伸ばし、世界への影響力を増大させていますので、日本も経済力の強化に努めなければなりません。 さらに、今後世界にかかわるには少なくとも「自分の国は自分たちで護ろうとする姿勢」が必要であり、憲法改正を含めた法整備は必要でしょう。 それをせずに、相変わらず自国の安全をアメリカの軍事力に依存するような姿勢では世界からの尊敬は得られないと思われます。 軍事力は国際的に国力の背景となるものだというのが現実です。もちろん軍拡に励めというものではありませんが、少なくとも自国の安全保障については自らの責任で確保するという姿勢は必要だと思うのです。 いずれも一朝一夕にはいかない問題ではありますが、世界に貢献する日本であろうとするならば、使命感を持ち、積極的に行動する政治が必要になると思います。 近づきつつあるイラン・イスラエル有事――中東には今すぐ新たな「調停者」が必要だ 2015.03.03 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆シーア派・イランの伸長、アメリカ・イスラエルの隙間風 世界中から「イスラム国」が注目を集める中、イランを巡る動きが慌ただしくなっています。 まず、イエメンで事実上のクーデターを起こし、政権を転覆させた同じシーア派系勢力であるフーシ部族に対して、イランは衣料品や食糧、民間定期便の就航に合意するなど、本格的な支援を開始しました。 また、フーシ部族を主体としたイエメン政府の使節団をテヘランに受け入れ、更に踏み込んだ関係強化の協議も始まっており、イエメンにおけるシーア派の影響力強化を着々と進めています。(読売3/3) 一方、イランが進める核開発に対して、オバマ政権は3月末下旬までに外交的解決を目指していますが、その融和路線を危険視するイスラエルのネタニヤフ首相がオバマ大統領との調整なしに訪米するという異例の事態が起こっています。 ネタニヤフ首相は3日の議会演説に先立って「米国イスラエル公共問題委員会(AIPAC)」の年次総会で演説を行い、「イランと結ばれようとしている合意はイスラエルの存続を脅かしかねない」と訴えました。 それに対し、オバマ大統領は同日、「10年以上はイランの核開発を制限する必要がある」との認識を示し、イスラエルの理解を得るスタンスを取りつつも、核問題解決に向けての手法は「イスラエルとは異なる」という姿勢は崩しておりません。 任期がわずかとなった米大統領は、得てして議会の抵抗の少ない外交分野でレガシー(政治的業績)を残そうとしますが、ノーベル平和賞を受賞し、アメリカに「世界の警察官」をやめさせたオバマ大統領としては、話し合いと協調をベースにした不介入路線をより強めていくことが予想されます。 ◆「イスラム国」の台頭に繋がったオバマの消極主義 しかしながら、そうしたオバマ大統領の不介入路線が、各地で混沌の種を撒きつづけてきたことも現実です。 「イスラム国」の台頭に関しても、オバマ大統領のイラク、シリアにおける2つの消極主義が主な原因になったと言えるでしょう。 一つは、2011年にイラクから完全撤兵したことです。 ペトレイアス将軍の元、2008年のサージ(大規模派兵)以降、地元のスンニ派を上手く取り込みつつ、宗派間のバランスを上手く保っていましたが、米軍が撤退したことでスンニ派は後ろ盾を失い、シーア派政権に虐げられていたため、新たな後ろ盾として登場した「イラク・イスラム国」が急拡大したと言えます。 二つ目には、シリア内戦にアメリカが不介入主義を採ったことです。 シリア・アサド政権の早期打倒を行わず、内戦を長期化させたことで、「イラク・イスラム国」がシリアに勢力を拡大するチャンスを与え、結果として「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」が出来上がったのです。 ◆イスラム国の台頭で「漁夫の利」を手にしたのはどの国か? 一方、「イスラム国」の台頭で漁夫の利を得ていたのはシーア派・イランであったという見方も出来ます。 というのも、イランは「イスラム国」掃討の大義名分を掲げ、同じシーア派が政権側のイラク、シリアに対する後方支援を行いながら、欧米側とも共闘姿勢を見せ、核開発交渉で見返りを求めつつ、時間稼ぎを行ってきました。 今後、「イスラム国」の弱体化が予想されますが、イラク・シリアに生ずる力の空白に対し、シーア派が今まで以上に伸長し、イランからレバノン、そしてイエメンにより強い影響力を持つ可能性が強いと言えましょう。 その結果、サウジアラビア等、スンニ派国家を包囲しながら、イスラエルの喉元に刃を突き付ける格好となるのです。 ◆予想されるイラン・イスラエル有事は日本に大打撃を与える このような展開が現実化することで、オバマ大統領のイランに対する融和路線は結局、平和と安定はおろか、大規模な戦争を招きかねません。 なぜなら、時間の限られたイスラエルにとって、頼りにならないオバマ政権を見限り、最も警戒しているイランを始めとするシーア派勢力の伸長に対し、核攻撃を含めた実力行使は厭わないからです。 そしてイラン・イスラエル間で有事が発生した場合、中東へのエネルギー資源依存度が90%近い日本にとって、国家存亡の根底を揺さぶるようなエネルギーショックの到来も、近い将来の現実かもしれないのです。 だから、中東で起こっている一連の有事に対しても、日本は関与すべきでないと考えるのは無責任なのです。 ◆アメリカに代わる「調停者」は日本しかいない 元々は、第一次世界大戦後にヨーロッパとイスラム世界の「調停者」として期待されてきたアメリカでしたが、約1世紀経った今、イスラム圏からの信を失い、もはや「調停者」としての耐用年数は過ぎたと言えるでしょう。 しかし、スンニ派とシーア派の宗派対立、イスラム圏と欧米圏の歴史的遺恨、イスラム教とユダヤ・キリスト教の一神教対立など、多層的な対立構造の中で、いまそこにある深刻な危機を抱える中東地域には、新たな「調停者」が必要なのです。 その非常に難しい役割を担えるのは世界中を見渡しても、日本しかないでしょう。 そのためにも、経済・文化的のみならず、日本は安全保障面においても、しっかりと貢献できる体制を整えるべきです。 自国の国益をしっかり守るためにも、中東の平和と安定を保つためにも、新たな「調停者」として両者を納得させるような「自立国家」となる必要があるのです。 すべてを表示する « Previous 1 … 124 125 126 127 128 … 253 Next »