Home/ 2022年 October 2022年 October 国保保険料、上限2万円引き上げの「カラクリ」が本当に恐いワケ。【前編】 2022.10.31 http://hrp-newsfile.jp/2022/4368/ 幸福実現党 政務調査会 藤森智博 ◆国保保険料の上限は、10年で8回、約30万円引き上げられ、2023年104万円へ 10月28日、厚生労働省は、来年度から国民健康保険(国保)の保険料の年間上限額を今より2万円引き上げる方針を固めました。 国保は、自営業者やフリーランスの人などが加入する保険です。保険料は、引き上げにより最大で年104万円となります。引き上げの背景には、高齢化による医療費の急増があります。 実は、この国保の引き上げは毎年の恒例行事のようになっています。 2014年以降23年までの10年間で引き上げが行われなかった年は、わずか2回。引き上げは、総額で27万円になります。 同じ公的保険である会社員中心の被用者保険や厚生年金保険は、同じ時期だとともに一度しか引き上げは行われておりません。国保の引き上げが「いかに、異常なことか」がよく分かるでしょう。 ◆上限引き上げの問題(1):保険料が「累進課税」となる それでは、この上限の引き上げは何が問題なのでしょうか。まず、挙げられることは「国保の累進課税化」です。 当然、保険料と税金には違う面はありますが、国保の場合、多くの自治体は「保険税」としてお金を徴収しています。 さらに、国保の対価である「医療」や「介護」は、事前の支払いが多くても少なくても、受けられるサービスには変わりはありません。 これが一般の私的保険と究極的に異なる部分です。公的保険は「助け合い」の観点から、サービスに見合わない保険料の徴収が正当化されているのですが、これが強調されればされるほど「税」としての性格は強くなっていきます。 そして、高所得者を狙い撃ちする「上限の引き上げ」は、国保の保険料が「累進課税化」することを意味しています。 ◆上限引き上げの問題(2):問題が先送りとなり、公的保険制度の失敗がより深刻化する 次に挙げるべきは、「上限引き上げは、事実上の問題の先送り」となっていることです。今回の上限の引き上げの対象は、厚生労働省の資料によれば、わずか1.51%です。 そうした高所得者層の負担が多くなる分、中間所得層の負担は軽減されると謳われています。 これは確かに魅力的とも見える人もいるでしょう。 しかし、そもそもの問題として、公的保険制度自体が既に限界を迎えつつあることを見過ごしてはいけません。 2019年度の人口一人当たりの国民医療費を見ると、65歳未満が19.2万円であるのに対し、65歳以上では75.4万円、75歳以上は93.1万円となっています。 特に75歳以上の後期高齢者1890万人の医療費18.4兆円(2022年度予算ベース)に対し、患者負担は1.5兆円。 残りの約17兆円は、公費が約5割、若年層からの支援金が約4割、高齢者の保険料約1割で賄われています。 少子高齢化が一層厳しくなるなか、全くもって「持続可能」ではありません。 こうした状況で、高所得者層への累進課税を強めたところで「焼け石に水」にしかなりません。 むしろ、一時的な中間層の負担軽減によって、事態の深刻さが見落とされる危険性さえあります。 医療費の増大が、直接的に保険料として転嫁されれば、実感としてそれを感じることができますが、軽減されればされるほど、そうした感覚は薄れます。 一部の高所得者層にのみ負担を押し付けて解決するのなら、それでもいいのかもしれませんが、実際のところ解決できません。むしろ、問題を先送りにすればするほど、事態はより深刻になるでしょう。 ◆上限引き上げの問題(3):法改正なしに事実上、政府が自由に引き上げを行っている そして3点目の問題は、国保保険料の上限引き上げに「法律改正」が全く必要ないことです。これが、毎年の「恒例行事」とできた「カラクリ」となります。 「国民健康保険法」には、実は保険料の徴収に関する具体的な規定がありません。ですから、政府は、「政令」によって、自由自在に具体的内容を決めることができます。 政令とは、法律を実施するために政府が制定するルールです。 法律で具体的な内容が決められず、政令に委任されるところが増えるほど、政府が自由に決められる幅は広がります。 国保保険料の引き上げの場合で言えば、累進課税を法改正なしに政府の「フリーハンド」でできてしまうことになります。 ◆政府の自由な保険料の上限引き上げは、憲法上の問題があり、自由の制限に通じる 「フリーハンドで政府が税金を課せる」ということは非常に恐ろしいことです。私有財産権は、自由と民主を担保するものです。 私有財産があるからこそ、経済活動の自由が保障されて、様々な思想・信条に沿った行動を取る自由も保障されるようになるわけです。 税金は、明らかにこうした私有財産の侵害となりますが、「公共の福祉」によって、社会全体の共通の利益のためにそれが許されています。 しかしだからと言って、「何でもあり」になったら困ります。だからこそ、「議会の法律によって条件を決めましょう」というルールがあります。これが憲法第84条の「租税法律主義」です。 「保険料自由自在」となれば、こうした憲法の精神を軽んずることになります。 もちろん、国民健康保険法第81条で、保険料に関して政令等に委任する規定があるため、憲法違反とまでは言えませんが、私有財産権を尊び、個人の自由を保障する憲法の精神の大きな妨げとなり得ます。 (後編につづく) プーチンの核使用に欧米警戒、終末兵器「ポセイドン」とは【後編】 2022.10.27 https://youtu.be/zg6jipGtxJM 幸福実現党党首 釈量子 ◆高さ500mの津波を起こす「ポセンドン」 まず、核魚雷「ポセイドン」を搭載している原子力潜水艦「ベルゴロド(K-329 Belgorod)」の特徴は、長さ184m、幅15m、米海軍の原子力潜水艦オハイオより大きく世界最大で、120日間潜水可能です。 「ポセイドン」は、2018年にプーチン大統領が「敵の武器」として披露した武器の中に入っていました。 「ポセイドン」は、長さ24m、直径2mで、動力が何と魚雷の常識を覆す原子力推進です。ほぼ無限の動力を持つため、射程距離が長く、まさに「海の大陸間弾道ミサイル」です。 速さは、時速約130キロ(70knot)でそれほど速くないのですが、最深1000mまで潜って海底の地形に合わせて進むことができます。 通常の潜水艦が潜れる深さをはるかに超え、ソナーでも探知できません。電波も届かないので、現在のNATOでは迎撃はほぼ無理だと言われています。 「ポセイドン」に搭載されている核弾頭は2メガトンで、広島に落ちた原爆の130倍以上です。 敵国の海岸で核弾頭を爆発させた場合、高さ500m(1600フィート)のジェット津波を引き起し、沿岸部の都市は壊滅的な打撃を受けます。 街は放射能汚染水で覆われ、廃墟と化します。これが終末兵器と呼ばれる理由です。「ポセイドン」は元々、米国との関係悪化を機にロシアが米国東海岸を攻撃することを想定して開発されました。 これまでは「包括的核実験禁止条約」に従って、ロシアは実験を行っていませんでした。 しかし、ウクライナ東部でロシアが劣勢になればなるほど、形勢を逆転させるために、プーチン大統領がウクライナ近くの黒海で「ポセイドン」の実験を行う可能性があるのではないかと言われています。 ◆日本はインドと共に停戦の仲介を 今、世界は核戦争寸前にあるような危機的状況にあり、一日も早い停戦を望む方が多くなっています。 そういう中でインドの動きは注目に値すると思います。 インドは日米豪印のクアッドで米国と強い関係を持つ一方で、中立の立場を維持し、欧米によるロシアへの制裁には参加していません。 現在も、ロシアから安価な原油を輸入しています。インドにとっては、国境付近で紛争状態にある中国を牽制するためにも、ロシアとの関係を維持したいという国益重視の外交を行っています。 10月4日には、モディ首相はゼレンスキー大統領と電話会談し、「軍事的解決はあり得ない」という見方を伝え、停戦に向けて貢献する用意があると伝えています。 インドと置かれた状況が似ている日本も、世界の平和のために積極的に努力すべきだと思います。 本来、唯物論国家・中国共産党こそ世界の脅威のはずです。 ところが12日に発表された米国の「国家安全保障戦略」では、ロシアを「差し迫った脅威」とし、中国を「最も重大な挑戦」と位置付けています。習近平国家主席の高笑いが聞こえてきそうです。 北朝鮮がミサイル発射を続けていますが、中国と北朝鮮、ロシアという核を保有する三カ国は連携した動きを取っていると見るべきです。 そして、日本はこの三カ国に同時に対峙することはできないという現実に目を向けるべきです。 岸田政権はウクライナに防弾チョッキを送ることから始まり、制裁を強化し続け、敵対姿勢を鮮明にしてきましたが、戦争が長引き物価高の影響も、日本に押し寄せています。 日本人の命を守るためにも、日本人の生活を守るためにも、日本は独自外交を展開し、インドとともにウクライナとロシアの停戦の仲介に力を尽くすべきではないでしょうか。 プーチンの核使用に欧米警戒、終末兵器「ポセイドン」とは【前編】 2022.10.26 https://youtu.be/zg6jipGtxJM 幸福実現党党首 釈量子 ◆世界核戦争の危機 ウクライナとロシアの戦争は世界核戦争に拡大するかもしれない、という危機的状況になってきました。 ウクライナ軍が東部のロシア支配地域に攻勢をかけていましたが、9月30日、プーチン大統領はウクライナ東南部四州の併合を宣言しました。 そして、10月1日の演説の中で「ロシアの領土を守るためにあらゆる手段を講じる」「第二次世界大戦で米国が日本に対して核兵器を使用したことが前例をつくった」と発言しました。 このプーチン大統領の発言は、言い換えると、「ウクライナ東南部四州はロシアの領土になったのだから、これ以上攻撃してきたら核兵器を使用するぞ。第二次大戦では米国も同じように日本の抵抗を抑えるために原爆を落としただろう」ということです。 この発言を、米国はかなり真剣に受け止め、バイデン大統領は10月6日、「プーチン大統領が冗談を言っているわけではない」「核兵器によるアルマゲドン(世界最終戦争)のリスクは1962年のキューバ危機以来、最も高くなっている」と話しています。 ◆「キューバ危機」とは 1962年、米国のケネディ大統領と、ソ連のフルシチョフ大統領の時代に、ソ連がキューバに核兵器を配備しようとしました。 アメリカの「前庭」のようなところにソ連のミサイルが置かれたら、アメリカのほぼ全土が射程に入ります。 結局、ケネディが、キューバをアメリカ海軍で海上封鎖して「ソ連がミサイル基地を撤去しなければ、ソ連との戦争に入る」と強気に出たところ、ソ連はミサイル基地を引き上げ、かろうじて核戦争の危機は回避されました。 第二次大戦で広島・長崎に核を落とされて以降、核戦争の危機が最も高まったのがこの「キューバ危機」と言われます。現在の状況は、そのキューバ危機と同じだ、ということです。 ◆対立構図の変化 10月8日、ウクライナ南部にあるクリミアとロシアを結ぶクリミア橋で爆発が起きました。ロシアはこれをウクライナによるテロだとして報復攻撃し、ウクライナ全土にミサイル攻撃しました。 北大西洋条約機構(NATO)は、ロシアの報復攻撃を厳しく批判し、NATO高官に至っては「ロシアが核兵器を使用すれば、ほぼ確実にNATO加盟国が『物理的な対応』を行う」という踏み込んだ発言をしています。 これは、抑止力を高めるための発言だとは思いますが、ロシアとの直接対決を避けるというこれまでの基本路線が徐々に曖昧になっているのは危険な兆候です。 「ウクライナvsロシア」から、「ウクライナとNATO vsロシア」の対立構図に変わり、アルマゲドン(世界最終戦争)が現実のものになる可能性が高まっています。 ◆ロシアの終末兵器「ポセイドン」とは こうした状況の中、10月2日、イタリア最大の日刊新聞「ラ・レプッブリカ(la Repubblica)」で次のような報道がありました。 「NATOの情報機関が、ロシアの原子力潜水艦ベルゴロド(K-329 Belgorod)が北極圏の白海(White Sea)にある基地を出発し、カラ海(Kara Sea)に向かっている。そこで、ロシアが『ポセイドン』の実験を行うかもしれないと、同盟国に向けて警告を出した。」 この報道をきっかけに、「ポセイドン」という言葉が世界中に広がりました。日本でも報道が出始めています。 「ポセイドン」とは、ギリシャ神話に出てくる海と地震を司る神様の名前でが、NATOが恐れている「ポセイドン」とはどのような兵器なのでしょうか?その実体を見ていきたいと思います。 後編では、核魚雷「ポセイドン」の特徴から見て参ります。 (後編に続く) 北朝鮮ミサイル発射を助ける中露。次に来る核の脅威と日本の打つべき手とは。【後編】 2022.10.19 https://youtu.be/hJVj6B-UXAI (9月7日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆北朝鮮ミサイル発射のロシアの利点 ロシアは9月30日、ウクライナ東・南部の4州の併合を宣言し、これに対してアメリカのバイデン政権は、ロシアへの経済制裁を拡大したところです。 この時期に、北朝鮮がアメリカへの強い牽制を含んだミサイル発射を繰り返したことについて、アメリカのシンクタンク、CSIS(戦略国際問題研究所)は、次のように指摘しています。 「ロシアのプーチン、中国の習近平の問題で手いっぱいのバイデン政権にさらなる負荷をかけることに利点を見出している」 実際、ロシアにとって北朝鮮のミサイル発射は、アメリカの関心を北朝鮮に向けさせるメリットがあるわけです。 アメリカは、韓国の装備品を買い上げて、ウクライナに送る計画を進めています。北朝鮮にミサイルを発射してもらうことで、ロシアは、この動きを封じようとしているのかもしれません。 特に北朝鮮ミサイルが急速に技術を向上させている背景にロシアの力があるとされます。 9月25日に発射されたミサイルは、「北朝鮮版イスカンデル」と呼ばれ、尾翼を動かして上下に軌道を変化させられるロシアのミサイル「イスカンデル」を改良したと指摘されています。 変則軌道は迎撃が難しいわけです。 ◆北朝鮮の核実験の兆候 今後、さらに懸念されるのは7度目となる核実験です。 今年の3月ごろから、衛星画像による分析などで、北朝鮮が「18年に完全に廃棄した」としていた豊渓里(プンゲリ)の核実験場で、坑道を掘削するなど、核実験再開の準備がなされ、指導者の決断があればいつでもできる状態だとされてきました。 既に北朝鮮は今までの核実験で、大きなロケットに核弾頭を積める程度に小型化することに成功しています。 もう一段の小型化を目指し、核ミサイルの精度を高めるために7回目の核実験を行うことは十分に考えられます。 CSISは、実験が行われるタイミングとして、10月16日に開幕する中国の共産党大会から、アメリカの中間選挙が行われる11月8日の間だろうと予想していますが、中国やアメリカが国内問題で手いっぱいのタイミングで行うかもしれません。 ◆日本としてどんな手を打つか 度重なるミサイル発射について、日本政府は「北朝鮮に抗議し、最も強い言葉で非難した」とお決まりのセリフを繰り返すばかりです。 ミサイル発射が繰り返されているのは、中国、ロシアとの連携があってのことであり、西側諸国がロシアを追い込み続けた場合、3つの核保有国が今後、想定外の事態を起こしかねず、もはや一刻の猶予も残されていません。 具体的な施策としては、核装備への着手です。 中露北の3つの核保有国に対峙するには、日本も「いざとなったら核を使える」という状況をつくらなくては、核の使用を思いとどまらせることはできないのです。 同盟国であるアメリカも北朝鮮のみならず中国やロシアから報復を受けるリスクを負いながら日本に核の傘を提供してくれる保障はありません。 もう一つは、外交の鉄則である「敵を減らす外交」を展開すること。具体的には中国や北朝鮮の背後に位置するロシアとの友好の道を残しておくことです。 日本はアメリカに追随してロシアを非難し、ロシアを中国側に追い込んでいます。 しかし、アメリカは中国とロシアを同時に敵に回す余裕などありません。中国、ロシア、北朝鮮を同時に敵に回してしまう恐ろしさに気付くべきです。 トランプ政権時代のアメリカは北朝鮮と直接交渉し、中国と北朝鮮の関係を引き離すと共に、ロシアのプーチン大統領と友好関係を結び、中国を孤立させようとしました。 バイデン政権はこの真逆の政策を取り、北朝鮮との交渉を断ち、ロシアを挑発して西側と対立させ、中国、ロシア、北朝鮮を結び付けることになりました。 こうして、世界大戦の構図ができてしまい、最悪のシナリオで進んでいます。 アメリカは今後も、ロシア制裁をさらに強めていくでしょうが、日本は大局的視点に立ち、最大の脅威である唯物論国家の中国を包囲しつつ、中国、ロシア、北朝鮮の仲を分断する外交を展開していかないといけないはずです。 繰り返しますが、日本を守るため、もはや猶予はあまり残されていません。生き延びようとする意欲のない国は、滅びていきます。 政府は、言葉による非難だけではなく、現状の危機を正しく認識し、国民を守るための具体的な一手を打つべきだと思います。 北朝鮮ミサイル発射を助ける中露。次に来る核の脅威と日本の打つべき手とは。【前編】 2022.10.18 (9月7日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆北朝鮮のミサイル発射 9月下旬から10月上旬にかけて北朝鮮が次々にミサイルを発射しています。 特に10月4日に発射された弾道ミサイルは、青森県の上空を飛び超えて太平洋に落下しました。 日本の上空を通過したのは2017年9月以来、5年ぶりで、飛行距離は4600キロに達し、過去最長です。 これは北鮮から約3400キロの距離にあるグアムが射程圏内に入ったということであり、「いつでもグアムに撃てる」というアメリカに対する強烈なメッセージと言えます。 さらに、この2日後の10月6日にも、午前6時過ぎに弾道ミサイル2発が発射され、北朝鮮東岸付近と日本海に落下しました。(その後、北朝鮮は、9日未明に2発、14日未明に1発のミサイルを発射) いずれも日本のEEZ(排他的経済水域)の外側に落下したとのことですが、日本にとって脅威が高まっていることは間違いありません。 ◆北朝鮮ミサイル発射の背景 ここで強調しておきたいのは、日本の安全保障にとっての脅威は、北朝鮮のミサイル発射という単体の問題だけではないということです。 もはや北朝鮮のミサイルに対する対処だけを考えているのでは、問題の本質は見えません。 つまり、繰り返しミサイルを発射する北朝鮮の背後に、中国とロシアがいて、3つの核保有国が連携するかのような動きを取っています。 これにより、日本は中露北の、 」@―えいわゆる「三正面」を強いられる形になりつつあります。 日本は、台湾・沖縄の危機が目前だということで、中国の脅威には備えようとしてきました。 しかし、今年2月にウクライナで戦争がはじまり、日本はロシアと北朝鮮も同時に相手にしなければならなくなりました。 ところが、日本の政府もマスコミも「見たくない現実」をみない雰囲気になっています。 9月26日~30日まで、アメリカの原子力空母「ロナルド・レーガン」が参加する米韓合同軍事演習が行われ、30日には日本も加わりました。 これは北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の対応などを想定した演習で、アメリカの空母が参加する演習は2017年以来、5年ぶりでした。 そして北朝鮮は、この軍事演習のタイミングに合わせて、25日、28日、29日にミサイルを発射しました。 ◆北朝鮮が強気になれる理由 これまでも軍事演習に対するけん制とみられるミサイル発射はありましたが、演習の前後に少し日にちを外して行われてきました。 ところが今回、米韓軍事演習の真っただ中の29日、アメリカのハリス副大統領が韓国を訪れ、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との会談で北朝鮮を非難し、さらに南北の軍事境界線を挟む非武装地帯も視察もするタイミングにぶつけてミサイルを発射しました。 以前には考えられないことで、アメリカがどれほど舐められているかが分かります。 そして、10月4日はグアムを射程圏内に入れていることをアピールするかのように、弾道ミサイルを通常軌道で発射しています。 北朝鮮がアメリカに対して、かつてないほど挑発的な態度に出ています。これは中国とロシアと示し合わせて行っている恐れがあります。 象徴的だったのは、5日の日本上空を飛び越えた中距離弾の発射に対して、国連安全保障理事会(15カ国)が緊急会合を開き、北朝鮮に対する「報道声明」を出そうとした動きに対して、中国とロシアが強く反対しています。 ちなみに、中国の外務省は北朝鮮のミサイルについて、米韓合同軍事演習などを行ったアメリカを非難するコメントを出しています。 (後編につづく) マイナンバーカードが24年秋から実質強制へ。迫りくる監視国家の靴音【後編】 2022.10.16 http://hrp-newsfile.jp/2022/4361/ 幸福実現党 政務調査会 藤森智博 10月13日、いわゆる紙の健康保険証が2024年秋をメドに廃止され、マイナンバーカードに一本化されることを政府が発表しました。 この問題について、前半では、マイナンバーカードの実質義務化にあたっての法律的な視点も踏まえ、自民党の「からめ手作戦」について明らかにしました。 後半では、「なぜ、そこまでして、マイナンバーカードの実質義務化を目指すのか」を考えるために、義務化によって、可能となり得る具体的な政策について見ていきます。 ◆「軽減税率」適用には、マイナンバーカードが不可欠になる可能性も まず、マイナンバーカードの義務化を進めていけば、国民の購買行動を監視できるようになります。そのためには、マイナンバーを提示した場合のみ、消費税の軽減税率を適用するといった方法があります。 「そんな無茶苦茶な」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に消費税が10%に増税され、今の軽減税率が始まる前に、そうした議論はありました。 2015年に麻生太郎財務大臣は記者会見で、軽減税率について「カードを持ちたくないなら持たなくてもよく、その代わり減税はない」と述べたとされます。 もちろんその後、「マイナンバーカードは全員に行き渡るのか」などの批判が噴出し、この話は立ち消えます。 しかし、義務化が実現されれば、満を持しての実施は当然あり得るシナリオです。 ちなみに、この施策は法改正なく行えると考えられます。マイナンバーの利用目的は、法律で大きく制限されていますが、「社会保障制度、税制、災害対策」であれば合法です。軽減税率であれば、税制という目的の枠組みで問題なく制度化できると考えられます。 ◆購買情報の活用で、自分に不利益な政策が実施される恐れも 別に自分の購買行動を監視されても構わないという方もいらっしゃるかもしれませんが、突然の思わぬ事態に見舞われる可能性があることは知っておくべきでしょう。 例えば、マイナンバーで購買行動を補足できれば、購買データと診療情報の組み合わせが可能になります。 もし、ある食品を買っている人とある疾患にかかる人に十分な関連性が認められた場合、その食品に「たばこ税」のようなものを課す大義ができます。 私の場合、「ポテトチップス」が大好物ですが、この商品は人を肥満にする傾向があると「証明」されれば、「ポテトチップス税」を課す根拠となり、私が落胆する一方で、増税できる財務省が大喜びする未来が待っているかもしれません。 これは半分冗談として、マイナンバーの情報を個人が特定できないよう「ビックデータ化」すれば、法律による制限が、遥かに緩やかになることは間違いのない事実です。そこから得られた「知見」が政策に盛んに利用されることでしょう。 ◆国民総マイナンバーカードで、ワクチンパスポートの完全電子化も可能に 次にワクチンパスポートの完全電子化も想定されます。現在は、紙のものと併用されていますが、マイナンバーカードが全員所持の状態となれば、保険証同様に紙は廃止されるでしょう。 これによって何が可能になるかと言えば、政府は国民の行動履歴を監視できるようになります。アナログの紙であれば、追跡は困難ですが、デジタル情報であれば、解析は一瞬で済むでしょう。 ◆政府は民間情報とマイナンバーを突き合せることで、さらに国民監視を強化できる 別の論点として、国民総マイナンバーカードとなることで、政府に限らず民間のマイナンバー利用が増えることも要注意です。 もちろん本人の同意が、追加の情報取得の前提となりますが、政府のインフラのマイナンバーを使えば、企業は「楽」に顧客情報を活用できます。 ここでの落とし穴は、マイナンバーの親元である政府は、企業が持つ情報と政府が持つ情報を併せて、さらに国民監視を強化することができるようになるわけです。 ◆都合が悪い公約は選挙で掲げない体質に国民は騙され続けている こうした様々な問題点を持つ「マイナンバーカードの実質義務化」ですから、本来なら選挙で掲げるべきことです。 しかし、自民党の今年における参議院選挙の公約(参院選公約2022, 総合政策集2022 J-ファイル)を確認しても、「マイナンバーカードの義務化」「保険証の廃止」などの文言はありません。 他の政策にも通じることですが、自民党では、有権者受けが悪い政策は選挙では訴えず、選挙後に大々的に発表するという手法は当たり前になっています。 こうした自民党体質は「うそつき」とまでは言えなくても、国民を「結果として騙している」と言えるのではないでしょうか。もちろん自民党に限らず、既存の政党にもこれは共通するでしょう。 ◆信用のない政治が、実態を知らせることなくマイナンバーを運用している 信用のない政治家たちに「マイナンバー」という巨大な国民監視システムを任せることは非常に危険です。 法令上、マイナンバーカードの運用は制限されていることになっていますが、実際の運用が「どうなっているのか」について、私たち国民はまったく知らされていません。 例えば、マイナンバーのオンラインサービスの「マイナポータル」で、自身の個人情報に「誰が、いつ」アクセスしたのかというような情報は確認できません。 政府はマイナンバーの安全性を強く主張しても、透明性については沈黙しています。 ですから、実際のところ、どれだけ杜撰な運用をしていても、私たちはそれを知ることはできません。 こうした面から言っても、政治家あるいは政府にマイナンバーの運用を任せるだけの信用は無いと言えるでしょう。 ◆徐々に自由を縛られ、日本は全体主義的な監視国家への道を歩む また、今回の保険証の廃止に見る「本音と建て前」で国民の自由を縛るという発想は、コロナ禍以降、非常に強くなっていることも大きな問題点です。 例えばワクチン接種も、努力義務と言いながら、ワクチンパスポートの後押しなどもあり、事実上の強制に近づいた面は相当あったのではないでしょうか。マイナンバーカードの事実上の強制も、これと全く同じ構図と言えるでしょう。 結論として、今回のマイナンバーカードの実質義務化によって、日本にまた一歩、全体主義的な監視国家が近づいてまいりました。 そして、その靴音は日増しに強くなっているようにも感じられます。 大坂冬の陣後に、気づいたら堀が埋め尽くされた大坂城のように、このままでは、国民の「自由」という城も気づいたら「裸同然となっていた」という悲劇の結末を迎えることになるかもしれません。 そのようなことがないよう、今回の健康保険証の廃止には、強く反対を訴えるべきだと考えます。 マイナンバーカードが24年秋から実質強制へ。迫りくる監視国家の靴音【前編】 2022.10.15 http://hrp-newsfile.jp/2022/4360/ 幸福実現党 政務調査会 藤森智博 ◆2024年秋、既存の健康保険証は廃止へ 10月13日、河野太郎デジタル大臣が、いわゆる紙の健康保険証を2024年秋をメドに廃止し、マイナンバーカードに一本化することを発表しました。 同日、デジタル庁の担当者は「保険証の廃止は『原則』という断りなく実施する」と明言しており、政府の本気度が伺えます。運転免許証については廃止までは踏み込みませんでしたが、免許証の機能をマイナンバーカードに持たせる「マイナ免許証」の導入を前倒すことを検討し始めました。 あらゆる身分証をマイナンバーカードへと集約する流れが加速しつつあります。 ◆事実上の「マイナンバーカードの義務化」に国民は猛反発 これに対して、国民からは反対の声が相次いでいます。既にネット上では、保険証廃止に反対する署名運動が展開されており、オンライン署名プラットフォームchange.orgでは13日23時時点で5万人近くの署名が集まっています。 今回の保険証廃止の問題は、大きな関心を集めていると言えるでしょう。 国民の反対の声が相次いだ最大の理由の一つは、事実上のマイナンバーカードの義務化です。 国民皆保険の我が国において既存の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに一本化することは事実上のマイナンバーカード取得の義務化に他なりません。 マイナンバーカードの9月末時点での交付率は49%と低迷しています。 日経新聞なども一連の措置は「マイナンバーカードを一気に普及させる狙い」と指摘していますが、政府が健康保険証を廃止する真の目的は、国民に強制的にマイナンバーカードを申請させることだと言えます。 ◆強引な事実上の義務化は、「法治国家」としては大問題 さらに「マイナンバーカードの義務化」を達成するための「手段」にも問題がありました。 もし政府が最初から堂々と義務化を発表していれば、望ましくはありませんがある意味で正直でした。しかし現実には、政府は、実質義務化の実現に向け、健康保険証の廃止という「からめ手」を用いたわけです。 「本音と建て前」という日本的な手法とも言えますが、こうした手法に反発を覚えた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 より踏み込んでこの問題を考えてみると、実は今、「法治主義」が危機的状況であることも指摘できます。少なくとも現時点では、既存の健康保険証の廃止について、「法改正を目指す」という話ではなく、「決定事項」として報道されています。 本来、真っ正面からマイナンバーカードの義務化を進める場合、マイナンバー法を改正し、義務化を明文とすることが筋となります。 しかし、既存の健康保険証を廃止し、仕様を変更するということであれば、法改正は必要ないという話にできます。つまり、「からめ手作戦」によって、本来必要な法改正という民主的手続きをスキップしたと考えられるわけです。 ◆マイナンバー法制定時に明言されていた「カードの任意性」 また、マイナンバー法制定における国会審議を振り返ると、「マイナンバーカードが任意か、強制か」という問題は、間違いなく論点として存在していました。 例えば2013年5月23日の参議院内閣委員会では、以下のようなやり取りがされています。 民主党・新緑風会の藤本祐司議員が「マイナンバーの通知カードがあれば、マイナンバーカードは不要という人もいるでしょうが、それはそれで問題はないのでしょうか」という趣旨の質問に対し、時の内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)であった甘利明議員は「通知カードを番号カード(筆者注:マイナンバーカードのこと)に替えるのは、法律で強制的に全部、全員やりなさいということは言ってないわけですよね」と明言しています。 従って、マイナンバー法にマイナンバーカードの義務化が盛り込まれていれば、法案審議が違ったものになっていた可能性があるわけです。 ◆マイナンバーカードが義務化されずとも、既にマイナンバーによる国民監視の体制となっている点には、要注意 もっとも、マイナンバーカードの義務化そのもので、政府の国民の監視体制に大きな変化は起きないでしょう。 全国民にマイナンバーが割り振られており、適法であれば、既に政府は国民の個人情報を集約することができます。また、マイナ保険証でも紙の保険証でも、診療情報がデジタル化されていれば、ハッキング等で悪用されるリスクは同程度でしょう。 そもそもマイナンバーという制度自体に大きな問題はあるのですが、今回の措置だけを見れば、国民が必ずしも大きな不利益を被るとは言いは難い面はあります。 逆に言えば、これをもって「マイナンバーカードの義務化は問題ないのだ」という意見もあることでしょう。 ◆マイナンバーカードの実質義務化は更なる国民監視の強化を招く しかし、ほとんどの国民がマイナンバーカードを所持するようになると、芋づる式にマイナンバーの活用が拡大しかねません。すると、マイナンバーによる国民監視体制は確実に強化されるでしょう。 現状のように国民の半分程度しかカードを所持していなければ、カードを前提とした政府施策は行えません。 一方で、ほとんどの人がカードを持つのなら、あらゆる政策にカードを利用することができるようになります。この辺りが、政府が「マイナンバーカードの実質義務化」を狙う理由でしょう。 このように、政府は国民監視を強めるために、からめ手まで使ったマイナンバーカードの義務化に乗り出してきていると考えられます。 次に後編では、マイナンバーカードの実質義務化によって、「どのような国民な監視強化に繋がるのか」を具体的に考えてみたいと思います。 (後編につづく) 沖縄県那覇市に核シェルター設置を 2022.10.06 http://hrp-newsfile.jp/2022/4358/ HS政経塾12期生 山城 頼人 ◆核攻撃の危険性があるが避難場所がない日本 中国による台湾侵攻に際して、日本への核・ミサイル攻撃の可能性も考えなければなりません。 現状の日本の地下駅舎では、「核兵器攻撃による放射能物質の流入を防ぐのは困難」であると政府が判断していたことが、産経新聞の報道にて明らかになっています(※1)。 つまり、核攻撃から身を守れる公共の避難場所が、日本国内には存在しないことを意味しています。 そのような中、台湾有事に備えるために、政府が先島諸島に住民避難用のシェルターを整備する方向で検討に入っていると報道がありました(※2)。 先島諸島のみならず、日本の各都市には、最悪の事態である核攻撃から国民を安全に守れる、「核シェルター」の設置が急務です。 ◆核シェルターの特徴 核シェルターとは、核・ミサイル攻撃による閃光や衝撃、放射能や生物化学兵器などによる有害物質から身を守るための避難場所を指します。 核シェルターは、鉄鋼建築による強度性と外気を完全遮断できる機能(複数の扉など)を備え、核兵器による放射線物質の室内侵入を防ぐ「特殊空気ろ過装置」と、電力発電所からの電力供給の停止を考えた「自家発電装置」の設置が必須です。 また、核爆発後に生じる放射線の減衰期間から考え、最低でも2週間はシェルター内に滞在できるよう、食料や水、簡易トイレ、生活物資の備蓄が必要です。 海外では、個人用核シェルターを持っている人も多く、自宅の地下室や庭などに地上型か地下型のいずれかで設置しています。また、ビルの地下空間や地下鉄駅、地下駐車場などが、公共用核シェルターの機能を兼ねている場合が多いです。 スイスの人口あたりの核シェルター普及率は100%以上(※3)、スウェーデンは約70%(※4)、台湾台北市には、台北市人口の4倍を収容する4600箇所もの核シェルター施設があり、市の人口の4倍以上にあたる約1200万人を収容できると言われています(※5)。 シンガポールでは1998年以降、新築住宅にはシェルター設置を義務付ける措置をとるなどして国民保護を国家事業として行っています。 ◆ドイツの地下鉄駅兼核シェルター(※6) ドイツの都市ボンにあるボン地下鉄駅は、最大14日間、約4,500人を収容できる核シェルターでもあります。 1960年代に、東側諸国との武力衝突の危険性から、地下鉄駅内の改修工事が始まり、1979年に地下鉄駅兼核シェルターとして完成しました。 ボン地下鉄駅には、都市の送電網に障害が発生した場合も想定して、非常用電源装置が備えられており、平時の際はボン市営鉄道の鉄道運行のための非常用電源装置として機能しています。 飲料水タンクやシェルター避難者の排熱を減らすために独自の井戸水を利用した水冷式冷却装置、空気ろ過機も備わっています。 ボン地下鉄駅の改修工事は、政府による補助金のみで1,110万DM(ドイツマルク※7)、当時の円レートにして約12億円を費やしています(※8)。 日本も既存の地下施設の改修工事をして、核シェルターとして活用する方法が良いでしょう。 ◆公共と民間の地下施設を、核シェルターとして活用 そこで、国防の最前線地である沖縄県の那覇市に、公共と民間の地下施設を活用した核シェルター設置の実現性を考えてみたいと思います。 那覇市にある公共地下施設は、「県民広場地下駐車場」、「なは市民協働プラザ」の計二箇所になります。本二箇所は県が管理する地下施設であり、既に「緊急一時避難施設」として県が指定しています(※9)。 那覇市にある民間地下施設は、「パレット久茂地地下駐車場」、「泊ふ頭地下駐車場」、「首里城公園地下駐車場」の三箇所の地下駐車場があげられます。 民間地下施設を避難場所(核シェルター)として活用するには、都道府県知事が施設管理者の同意を得られれば、可能となります(国民保護法第148条)。 また、現在沖縄県によって進行中の「沖縄鉄軌道計画」では、那覇市内に鉄道を通すにあたって「地下駅」が構想されているので、本地下鉄駅もボン地下鉄駅のように核シェルターとして活用できるよう計画を進めていくべきでしょう。 ◆核シェルター設置への課題 那覇市への核シェルター設置に向けての課題は二点あります。 一点目が、予算の問題です。上述したように、核シェルターには様々な設備工事が必要になり、最低でも2週間は滞在できるように、食料や水、簡易トイレ、生活物資などの備蓄が求められます。ボン地下鉄駅の例であるように、改修工事には数億から数十億円の出費が伴われます。 さらに維持費も考えなければなりません。とはいえ、既存の地下施設を核シェルター化に向けた改修工事は急務であります。財源としては沖縄振興予算からの捻出が考えられます。 二点目が、既存の地下施設のみでは市民全員を収容できないことです。 避難所において一人当たりの必要な収容面積は3.5平方メートルと言われています(※10)。那覇市の人口は約32万人(317,406万人)(※11)です。 那覇市民を地下施設に避難させるにあたり、単純計算で合計112万平方メートル(32万×3.5平方メートル)の面積を要した地下施設が必要になります。 上述した公共地下施設である県民広場地下駐車場は、地下三階建ての計10,688平方メートルの地下面積を要しており、仮に収容人数を約3,000人(10,688平方メートル÷3.5平方メートル)と考えます。 つまり、県民広場地下駐車場ほどの面積を要した地下施設が、市内に約110箇所(32万人÷3,000人)必要という計算になります。 ◆行政が取り組むべきこと 本二点の課題は、那覇市のみならず各都市でも直面する課題でしょう。まず行政が取り組めることは、新規で建物を建設する際に、核シェルター設置が容易にできる法整備(固定資産税の優遇など)です。 さらに、既存の建物にも核シェルター設置を推進し、個人用核シェルターの設置も市民に普及させていくべきです。 また、核シェルター建設費として、国家予算の公共事業関係費などを増額する必要があります。 本記事では、那覇市を例に考えましたが、核シェルターの設備工事は、日本の各都市が取り組むべき喫緊の事業になります。 抑止力としての防衛力も高めていく一方で、国民の命を守る国民保護にも意識を向けなければなりません。 (※1)産経新聞朝刊(2022年8月1日) (※2)時事通信社(2022年9月16日) (※3)swiaainfo.ch 《https://www.swissinfo.ch/eng/prepared-for-anything_bunkers-for-all/995134》 (※4)Swedens`news in English 《https://www.swissinfo.ch/eng/prepared-for-anything_bunkers-for-all/995134》 (※5)ロイター『有事に備える台湾防空壕整備』(2022年8月4日) 《https://jp.reuters.com/article/taiwan-defence-shelters-idJPKBN2P90IY?feedType=RSS&feedName=special20》 (※6)「Der Großschutzraum in der U-Bahnstation Bonn Hauptbahnhof 」geschichtespuren.de 《https://www.geschichtsspuren.de/artikel/bunker-luftschutz-zivilschutz/172-bunker-u-bahn-bonn-hauptbahnhof.html》 (※7)DM=ドイツマルク。1948年6月20日から1998年12月31日までのドイツ連邦共和国(1990年のドイツ再統一までは西ドイツ、それ以降はドイツ)の法定通貨。 (※8)1971年1月から1980年12月までの各月を円レートで平均し、1DM=111円となった。 《https://fx.sauder.ubc.ca//data.html》 (※9)「内閣官房国民保護ポータルサイト」 《https://www.kokuminhogo.go.jp/hinan/index.html》 (※10)スフィアハンドブック-人道憲章と人道支援の最低限基準2018年- 《https://jqan.info/wpJQ/wp-content/uploads/2019/10/spherehandbook2018_jpn_web.pdf》 (※11)那覇市公式ホームページ(2022年7月末時点) 《https://www.city.naha.okinawa.jp/》 日本企業で進む「脱中国」3つの理由【後編】 2022.10.05 https://youtu.be/yQ0bqUImVno 幸福実現党党首 釈量子 前編では、日本の製造業の「チャイナリスク」として(1)ゼロコロナ政策、(2)経済安全保障をあげました。 「チャイナリスク」の三つ目は、台湾有事です。 (3)台湾有事 今年秋の党大会では習近平氏が異例の3期目に入り、「偉大な領袖」と呼ばれた毛沢東に並ぶ「領袖」が公式に復活し、「人民の領袖」と呼ばれるのではないかと言われています。 習近平氏は一貫して「台湾再統一に際して、武力統一を排除しない」と明言しています。 米国下院議長のナンシー・ペロシ氏が訪台してから、人民解放軍による台湾海峡の中間線を超える挑発は常態化しています。 もし台湾有事が起きれば、日本は中国とは敵対関係になり、中国に進出している日本企業とその社員は人質に取られることも想定されます。 何年も積み上げてきた事業が台無しになるかもしれず、言いがかりをつけて、日本企業の社員が不当に逮捕されることも十分あり得ます。 中国経済の低迷が台湾有事を引き起こす可能性もあります。 中国のGDPは不動産市場が3割を占めます。しかし現在、不動産の売れ行きが減り、不動産価格も下落しています。 中国では7月以降、物件の引き渡しが遅れていることに抗議して、数千人規模で、マンション購入者が住宅ローンの返済を拒否しています。 日本と異なり、中国では購入契約を結んだ時点で頭金を支払い、物件の受け渡し前にローンの返済が始まります。 専門家の中には「中国経済はすでにマイナス成長に陥っている」と指摘する方もいます。 中国経済が著しく低迷し、成長の見込みがなくなれば、中国共産党による統治の正当性が揺らぎます。 そのような場合には、党の正当性を証明するために、台湾の武力統一に動く可能性が高まります。 いずれにせよ、台湾有事は「あるか、ないか」ではなく、「いつあるのか」と考えるべきです。日本企業が脱中国に動き、不測の事態に備えるのは賢明な判断だと思います。 ◆日本企業は国内回帰を! このように中国での事業リスクを感じて、中国から撤退しコストの安いインドやベトナム、マレーシアに生産拠点を移す企業が増えています。 例えば、アップルはすでにインドでiPhoneを生産し、今年6月にはベトナムでiPadを生産すると発表しています。 日本にとっては、日本企業の国内回帰を促したいところです。 特に、中国に生産を大きく依存している製品のうち、付加価値の高いものは日本に移転してほしいと思います。 資生堂やマツダなどの工場が日本に帰ってくれば、日本の地方経済が活性化するのは間違いありません。 ちなみに、米国では、トランプ政権の時に企業の国内回帰を促しましたが、バイデン政権も踏襲し、米国の雇用を創出しています。 つまり、共和党、民主党ともに国内回帰を推し進めています。 米国への国内回帰や直接投資によって、雇用は2019年以降右肩上がりになり、2022年には約35万人の雇用を生んでいます。 日本政府も日本経済をもっと良くするために、国内投資を増やすために努力しなくてはなりません。 今後も新型コロナの感染拡大や戦争のリスクがあることを考えると、地方経済をインバウンドのみに頼るのは危険です。 企業が地方で工場を建設し、社員を採用し、社員が生活すれば、立派な経済圏が誕生します。地方経済の基盤はもっと強いものになります。 ◆企業の国内回帰の課題 しかし日本企業の国内回帰を促すにあたって、大きなボトルネックがあります。それは、アジアの諸外国に比べて、日本の電力料金が高いということです。 日本企業の国内回帰を推し進めるためには、電力料金を抑え、安定した電力供給を確保しなくてはなりません。 そのために安全基準を満たした原発を再稼働させることが必要です。国内回帰をする企業の法人税を安くするという政策もあります。 円安が進んでいることも日本企業の国内回帰を促す理由になります。他にも考え得る対策を打って、このチャンスを生かすべきではないでしょうか。 日本企業で進む「脱中国」3つの理由【前編】 2022.10.04 https://youtu.be/yQ0bqUImVno 幸福実現党党首 釈量子 ◆脱中国の動き 韓国や米国に比べて対中依存度が高い日本ですが、いよいよ日本企業の脱中国の動きが強くなってきました。 自動車メーカーのホンダは、現在、二輪、四輪、エンジン工場などホンダの生産拠点は日本や中国、米国、カナダなど24カ国に及びます。 今後、上海のロックダウンで生産に影響が出たことを受けて、中国からの部品供給を東南アジアやインドなどにシフトできるか検討すると言われています。 また、マツダは上海のロックダウンや半導体不足の影響で、4~6月期の販売台数が前年同期比で34%も減少しました。 今後、国内での部品生産を増やし、日本国内で安定した生産活動を行う予定です。 他にも、資生堂はこの3年間で国内工場を6か所に倍増させました。「SHISEIDO」「エリクシール」といった主力商品は、ほぼ全てが国内生産になると言います。 資生堂は、品質の高さを重要視し、信頼の高い「メイド・イン・ジャパン」を売りにするつもりで、こうした企業が相次いでいます。 ◆中国撤退を決めた三つの理由 以前、尖閣諸島を国有化した際に、激しい反日デモや不買運動が起きました。 これを中国特有の「チャイナリスク」と呼びました。しかしここにきて中国の新たなリスクが顕在化しています。 (1)ゼロコロナ政策 一点目は、ゼロコロナ政策です。中国の習近平氏は、「ゼロコロナ政策」を採用し、新型コロナを完全に封じ込めるため、私権を無視し、隔離を強行しました。 中国の上海では3月末から約2ヶ月間、新型コロナ拡大によるロックダウンが行われ、日本企業の生産活動を制約し、大きな損害を与えました。 企業経営に大きな影響を与える政策が、強権のもとでいとも簡単に行われたのを見て、日本企業は中国リスクを実感したわけです。 ちなみに現在も、四川省の成都など、中国人口3億人をカバーする地域でロックダウンが行われています。 中国の電力不足も影響し、今年夏、中国は記録的な猛暑によって電力需要が増大するとともに、雨不足で水力発電量が減少しました。 中国政府は対策として、電力使用量が多い工場に生産の一時停止を通知しました。8月中旬、四川省にあるトヨタ自動車の工場の生産も一時停止しました。 (2)経済安全保障 二点目は、経済安全保障です。現在、米中対立が激しさを増す中、日本でも経済安全保障の観点から技術流出に対する意識が高まっています。 特に、先端技術を持つ日本企業にとっては、経済安全保障は重要な課題です。なぜなら、技術・データの流出が日本企業の優位性や日本の安全保障に与える影響が大きいからです。 そんな中、中国政府は昨年9月、中国でのデータの取り扱いを規制する「データ安全法」を施行しました。 これは、企業が持つデータの管理を強化するものです。同法では対象とするデータの具体例として工業、通信、交通、金融、資源、ヘルスケア、教育、技術などを挙げており、これらが主な監視対象となります。 日本企業は経済安全保障の観点から、技術流出や機密情報が漏えいすることを警戒しているわけです。 また、中国政府は、ハイテク製品の開発や設計などの全工程を中国国内で行うことを事実上強制する新たな規制を導入することを検討しています。 現在、複合機やプリンターといった事務機器を対象としていますが、今後は半導体などのハイテク製品まで範囲を広げることを検討しています。 この規制が導入されれば、日本で商品開発を行い、中国で組み立てるような企業は、中国で販売できなくなります。 (後編につづく) すべてを表示する