Home/ 2022年 May 2022年 May SNSアカウントも続々凍結?バイデン政権が「偽情報」監視か【前編】 2022.05.31 https://youtu.be/SGjAbZCmgUg 幸福実現党党首 釈量子 ◆アメリカの「言論の自由」の危機 今、自由と民主主義の国、アメリカが言論の危機にあります。 バイデン政権が4月末に設立した「ディスインフォメーション・ガバナンス・ボード(DGB)」は、日本語では偽情報統治委員会で国土安全保障に関する偽情報に対処するための機関です。 4月29日付のAP通信の報道によれば、特にロシアや不法移民に関する偽情報に集中して対応する予定でしたが、共和党や一部のメディアが猛反発したことで、わずか3週間で停止に追い込まれました。 しかし、報道ではあくまで、「pause」(一時停止)と報じており、将来的に復活する可能性もあります。 国土安全保障省はDGB設立時に「偽情報の拡散は、国境の安全、災害時のアメリカ人の安全、そして私たちの民主的機関に対する国民の信頼に影響を与える可能性がある」と発表していました。 一見、とても正しい発言にも聞こえますが、これは、「言論の自由」をめぐる攻防であり、議論が沸騰しました。 例えば、ウォール・ストリート・ジャーナルは、DGBについて「バイデン政権は、国家による監視社会を描いたジョージ・オーウェルの小説『1984』を誰も読んでいないのではないか」と皮肉っています。(※2) ◆DGBトップの問題 DGBのトップになった、ニナ・ジャンコウィッツ氏は、2020年の大統領選のときに、汚職疑惑があがったハンター氏のノートパソコンをトランプの選挙運動のために作り出されたウソ情報と見るべきだと主張しました。 ちなみに、彼女自身は過去の二回の大統領選でバイデン氏とヒラリー氏を公然と支持していたとフォックスニュースは報道しています。 さらに、2021年3月21日にはTwitterで、ハンター氏のノートパソコンが疑わしいもので、おそらくロシアの影響工作の一環だとツイートしています。 しかし、アメリカ当局の捜査が進んだ現在、これはフェイクでも何でもなく、本物で副大統領の息子の立場を利用してウクライナや中国で商売をしていた証拠もあることが報道されています。 また、今年の3月末にはアメリカの大手メディアが司法省による刑事事件捜査が進展していることを一斉に報じました。 DGBのトップとなったニナ氏は、過去にこのような重要な真実を、誤ってフェイクニュースと断じていたわけですから、「トップになる資格があるのか」と非難が巻き起こり、今回辞任に追い込まれました。 バイデン政権は、事実上の撤回となったDGBについて「委員会は、どんな方法であれ決して検閲も言論の取締りもしない。憲法上の核となる権利を守りながら、祖国を守るという私たちの使命を確実に果たすように設計された」と弁明しています。 つまり、政府は情報が本物か偽物のジャッジをするだけで、検閲はしないのだから、「言論の自由」は守られるという建前を言っているわけです。 しかし、政府が検閲しないと言っても、政府が本物か偽物のジャッジするのなら、マスコミやソーシャルメディアがその判断を基に、発言の削除などができるわけです。 ◆強まる言論統制 アメリカでは既に、政治家とメディアが融合することで言論の統制が始まりつつあります。 2020年大統領選中のハンター・バイデンをめぐる汚職疑惑でも、民主党がフェイクだと断定するのに合わせたように、Twitterなどのソーシャルメディアも、情報を検閲しました。 選挙直後に実施されたアメリカのメディアリサーチセンターの調査によれば、バイデン氏に投票した4.6%の人がハンター・バイデンの疑惑を知っていたら投票しなかったと答えています。 ワクチンをめぐる問題でも、政権の動きに沿ってTwitterが検閲を行った例があります。 2021年7月16日にバイデン大統領は、フェイスブックなどのSNS上でmRNAワクチンに対する反対意見の存在を許すことで、「人々を殺している」と発言しました。 このバイデンの発言の数時間後、ワクチンやマスクの義務化に異議を唱えていたジャーナリストのアレックス・ベレンソン氏のTwitterアカウントが凍結されました。 ベレンソン氏は、アカウント凍結は違法だと裁判を起こし、裁判所は、Twitter社に判断の根拠を示す情報開示を4月29日に命じています。 今回のTwitter社の動きは、偽情報統治委員会DGBがなくても、既にアメリカでは、政府による言論統制が進みつつある実態を示唆しています。 (後編につづく) ウクライナ戦争の背後で台湾に迫る中国。このままだと日本はウクライナ化する?【後編】 2022.05.30 https://youtu.be/O1F0dhWrsKc 幸福実現党党首 釈量子 ◆北海道が戦場になる可能性も 前編では、アメリカのウクライナへの武器支援が長期化すれば、中国は無傷であるため、東アジアの軍事バランスが崩れ、戦争が起きかねない不安定な状況になることを指摘しました。 ロシアを敵に回せば、台湾だけでなく北海道も前線になってしまうため、日本も戦場になってしまう可能性が高まります。 しかし、現時点では、日本の北海道防衛についてはノープランです。 また、「習近平はロシアの苦戦を見れば、台湾侵攻には動けないのではないか」という意見もありますが、中国の立場に立てば必ずしもそうは言えないでしょう。 5月11日、幸福の科学では、第二次世界大戦開戦時のアメリカの大統領フランクリン・ルーズベルトの霊言が行われました。 ルーズベルトがバイデン大統領を霊的に支援していることが明かされており、ウクライナ戦争に関して「バイデンが『兵を送らない』と言ったから、プーチンは喜んで攻め込んだ。罠にかかったのさ」と供述しました。 また、ロシアを潰した後は習近平を跪かせるのが戦略であり、台湾への侵攻を焚きつけ、ウクライナ同様、中国をひっくり返したいということが語られました。 ◆日本がなすべきは停戦の仲介 今の日本の状況で、中国・北朝鮮・ロシアの三正面から攻撃があれば、日米同盟があっても、日本を守り切ることは非常に困難です。 日本が選ぶべき道は、ウクライナ戦争の停戦を実現し、ロシアと欧米の関係修復を行うこと以外に道はありません。 G7は今のところ、ロシア制裁で協調していますが、アメリカの圧力でそうせざるを得ない様子が伺えます。 例えば、ドイツのショルツ首相は、ウクライナ戦争が始まった当初からドイツの防衛力の強化を進める一方で、ウクライナへの武器供与は慎重姿勢でした。 そうした姿勢もあってか、4月12日にドイツのシュタインマイヤー大統領のキエフ訪問を拒否されたという前代未聞の出来事もありました。 フランスのマクロン大統領は戦争が始まった後も、プーチン大統領と協議を繰り返して、停戦を模索しています。 また同大統領は、「ウクライナ人とロシア人は兄弟のようなもの」と述べたり、意図的にジェノサイドと呼べば、戦争が拡大する恐れがあるとして慎重姿勢を貫いています。 アメリカでも、イギリスのデイリー・エクスプレスの調査結果によれば、アメリカ国民はウクライナ戦争で敗北しても構わないと44%の人が答えています。 さらにアメリカ国民は、「バイデン大統領か、プーチン大統領のどちらが辞めてほしいか」という質問に対し、53%の人がバイデン氏だと答えているのです。 ◆中国包囲網の構築を 日本はG7の国々とも協力し、アメリカ世論に粘り強い外交を行い、ウクライナ戦争の停戦を実現すべきです。 そして、日米ともに本当に世界の問題である中国共産党への対処に集中すべきです。 日米同盟第4条には「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する」とあります。 今の世界で一番の問題は、中国共産党によるウイグル、チベット、香港やモンゴルでの悪行の数々を、アジア一の民主主義国である日本が、同じく民主主義国家であるアメリカに訴えていく義務があります。 ロシアとの停戦を実現し、中国共産党への包囲網を構築することこそが日本の真なる国益となり、世界の安定と平和につながっていくことに必ずなります。 ウクライナ戦争の背後で台湾に迫る中国。このままだと日本はウクライナ化する?【前編】 2022.05.29 https://youtu.be/O1F0dhWrsKc 幸福実現党党首 釈量子 ◆台湾問題で中国を挑発するアメリカ 現在、台湾における緊張が密かに高まっています。きっかけはアメリカ国務省のWebサイトの変化です。 サイトでは、台湾とアメリカの関係について、以前は「アメリカは台湾の独立を支持しない」あるいは「台湾は中国の一部」と書かれていました(※1)。 それが、5月5日のWebサイトの更新で突如、こうした文言が消え去ったのです。 そして、新しく付け加わったのが「すぐれた民主主義や技術の原動力として、台湾はインド・太平洋において重要なパートナーである」という文言です(※2)。 これに対して、5月10日、中国外務省の趙立堅(ちょうりっけん)副報道局長は記者会見で「台湾問題をもてあそび、台湾海峡の現状を変えようと試みるもので、将来必ず身を焦がすだろう」と批判しました。 中国軍は、明らかに台湾への牽制に動いており、中国海軍の空母「遼寧(りょうねい)」は、サイトの更新があった5月5日に、台湾近海で1週間近く演習を続けました。 5月13日には遼寧からの艦載機の発着艦回数が200回を超えたと防衛省が発表しました。 ◆アメリカの曖昧な戦略 もちろん、アメリカが台湾を中国とは別の独立国家として認めること自体は望ましいことです。 しかし現状では、アメリカの「台湾関係法」は、防衛義務までは定めておらず、いざというときにアメリカが台湾を守る保障はどこにもありません。 これを「戦略的曖昧さ」と呼んでおり、アメリカは態度を明確にしないことで、台湾と中国の関係が緊張しないようしてきたわけです。 台湾を国として認めるような動きをする一方で、防衛面では曖昧なままで、台湾をかえって戦争に引きずり込みかねません。 ◆プーチンを罠にかけたバイデン 現在のウクライナ戦争でも大きなきっかけになったのも、バイデン政権の度重なるロシアへの挑発です。 ウクライナがNATOに加盟すれば、ウクライナからわずか7分でモスクワを核攻撃できようになります。そのため、プーチン大統領は、これがレッドラインだと繰り返し警告してきました。 しかし、バイデン政権はNATOの東方不拡大を一貫して拒否し続け、その一方では、12月8日に「(米国は条約に基づく防衛)義務がおよばない」と発言しました。 さらに2月10日、「ロシアがウクライナに侵攻してもアメリカ軍をウクライナ国内に派遣することはない」と断言しました。 「米軍はウクライナを守らない」と誘いをかけて、ロシアの軍事作戦を呼び込んだわけです。 ◆バイデンが中国を挑発する意図 バイデン大統領は、昨年11月の習近平主席との電話会談においても「台湾独立は支持しない」と述べていました。 日本としては、アメリカに「台湾が戦場にならないように、最後まで責任を持って守れ」と言うべきです。 日本は日米同盟がありますが、実のところ、日米同盟があるからと言って、戦争を防げるか分からないくらい事態は緊迫化しています。 ◆東アジアの守りが手薄に もはやアメリカには、米ソ冷戦時代ほどの軍事力はありません。 膨大な軍事費に耐えかねて、ベルリンの壁崩壊時点では200万人以上いた米軍は、現在、約130万人です。GDP比6%近くあった軍事費も4%を下回っています。 それでも、急拡大する中国に対抗するために、ロシアや中東にいる米軍を東アジアに移していく戦略を進めていました。 しかし、アメリカはウクライナへの武器支援によって、対戦車ミサイルのジャベリンを7000発提供し、在庫が3分の2に、対空ミサイルのスティンガーは2000発提供し、在庫は4分の3になったと報道されています。 今回、ウクライナに供与されたジャベリンとスティンガーのどちらの兵器も、すぐに増産できるものではなく、在庫が尽きれば、極東情勢に影響を与える可能性があります。 この間、中国は無傷であるため、東アジアの軍事バランスは崩れ、戦争が起きかねない不安定な状況になりつつあります。 (※1) http://web.archive.org/web/20220503165930/https://www.state.gov/u-s-relations-with-taiwan/ (※2) https://www.state.gov/u-s-relations-with-taiwan/ カトリック教会の香港教区トップが逮捕?ウイグル化する香港【後編】 2022.05.28 https://youtu.be/FCdIYOD1K5I 幸福実現党党首 釈量子 ◆現代でも起きている「宗教弾圧」 90歳にもなる枢機卿を逮捕するというのはれっきとした「宗教弾圧」ですが、これは中国共産党、習近平主席の方針に沿ったものと言えます。 中国では以前から、中国が任命した司教をバチカンが正式に追認するように求めていました。 中国共産党に忠実な人物が司教になれば、宗教は骨抜きです。専門家は、「バチカンが実質上、宗教信仰を認めない中国当局に妥協した」「悪魔との取引だ」と批判されていました。 中国の南部では、教会は破壊され、十字架はバーナーで焼き切られていますし、信徒の名簿が当局に渡れば逮捕 されます。こうした流れが、香港に及ぼうとしていると言えます。 昨年10月、中国政府の強い意向によって、香港の司教たちカトリックのトップが、中国政府の息のかかったカトリック、中国天主教愛国会から「宗教の中国化」についてレクチャーを受けたと言われています。 さらに、2か月後の12月、習近平主席は全国宗教工作会議で「わが国の『宗教の中国化』の方向を堅持する」とも演説しています。 ◆「宗教の中国化」という思想 この「宗教の中国化」というのは、習近平主席の宗教政策におけるキーワードです。 簡単に言うと、「宗教は中国共産党の考えに従い、その考えの普及に協力せよ」という内容です。 中国は、表向きには憲法で「信教の自由」は保障されています。(「中華人民共和国憲法」第36条) しかし実際は、中国の教会では、中国共産党に許可されていない教えの実践や説教といったことは禁止されています。 それどころか、習近平主席の思想を宣伝することまで要求され、厳しい検閲を受けています。 つまり中国の言う「信教の自由」とは、「習近平を“神”として崇めよ」ということです。これが「宗教の中国化」の本質です。 中国の仏教寺院のトップは「習近平の言葉を写経せよ」と言って指導をしている話も出ています。 そして香港でも、2020年7月の香港国家安全法の施行以来、「信教の自由」が著しく侵害されています。 キリスト教の神父も、中国共産党の取り締まりを恐れて、説教の内容を「自己検閲」しているとも言われています。 そういった厳しい逆風の中でも、中国政府による宗教弾圧に声を上げ続けていたのが、今回逮捕された陳日君(ゼン・ゼキウン)枢機卿でした。 世界から非難の声があがっているウイグル人への弾圧も、イスラム教といった宗教を根絶やしにするためのものです。 香港において、国際社会で目立ち過ぎないようにしつつも、着実に香港を「ウイグル化」しようとしているのが、習近平政権の狙いでしょう。 西側諸国の目から逃れつつ、香港市民を抑え込み、香港の経済的繁栄を手に入れてしまおうという魂胆です。 ◆最後の希望 そのために習近平主席が排除したいのがまさに「宗教」です。全体主義は宗教を恐れます。 宗教はこの世を超えた「あの世」「魂」といった存在を認めているので、この世の命を捨ててでも「自由」を守り、「信仰」を守ろうとする存在が本当に恐いからです。 これに対して、唯物論・無神論の国は、地上の権力者を「現人神」にします。それは「古代の暴君と同じような者が神を名乗れる」ということです。 だからこそ、宗教が最後の希望です。 大川隆法総裁が『メシアの法』で、「全体主義の傾向」として、次のように警告を鳴らしています。 「香港を制圧したら、次は台湾を制圧したくなるのです。間違いなくそうなるのです。そのあとは、尖閣とか沖縄も欲しくなるし、フィリピンの島から本土も取りたくなるし、ベトナムも取りたくなります。そのための布石として、ミャンマーの軍事政権はすでに北京に押さえられていて、布石は着々と打たれています。」 ◆全体主義と戦う幸福実現党 私たちは、「香港の自由を奪い、台湾を狙う中国の暴挙を放置したら、ヒトラーが順に国を取っていったのと同じことが起きる」と危惧しています。 私たち幸福実現党は宗教政党として、全体主義と闘います。 昨年から「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」を行って、 5月12日に内閣府を通じて岸田文雄首相に提出してきました。 ■内閣総理大臣宛に「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」を提出 https://info.hr-party.jp/2022/12681/ 日本の国会は、中国に対して未だに名指しで批判することもできず、ジェノサイド認定もしておりません。 公明党の強い意向を受けて、踏み込めないという実態があります。 また、自分の国を守ると言っても、憲法9条の根本的な改正もできていない自民党は、憲法の見直しではなく、「加憲」をすることでもって留まっております。 今回の逮捕をはじめ、中国の悪事に対しては、断固、非難の声を上げていくとともに、日本、台湾、アジアの平和を守るために国防の強化をしっかりと訴えていきます。 カトリック教会の香港教区トップが逮捕?ウイグル化する香港【前編】 2022.05.27 https://youtu.be/FCdIYOD1K5I 幸福実現党党首 釈量子 ◆急激に進む、香港の「ウイグル化」 急激に香港の「ウイグル化」が進んでいます。 「ウイグル化」とは、中国が新疆ウイグル自治区と呼ぶ東トルキスタンのウイグル人たちが置かれた悲惨極まりない状況に近づいてきているということです。 ウイグルでは、罪なき人々が「強制収容施設」に収監され、虐殺と搾取によって事実上の植民地、監獄同然となっています。香港はもはやそのような状況になってきています。 5月11日、カトリック教会の香港教区トップの司教をつとめた、陳日君(ジョセフ・ゼン)枢機卿ら少なくとも4人が「香港国家安全法」により逮捕されました。 ゼン氏は2002年から2009年の間に香港司教を務め、2006年に枢機卿に任命されました。「雨傘革命」では主導的な役割を果たして民主化運動を応援し、「香港の良心」と呼ばれた方です。 幸福の科学グループの雑誌「ザ・リバティ」の取材にも何度も応じていただき、「中国も民主主義を導入すべき」ということを語っておられました。 ■「香港の信教の自由は風前の灯」 香港の良心と呼ばれる陳日君枢機卿インタビュー 2019.09.29 https://the-liberty.com/article/16317/ ◆「香港の良心を逮捕した男」とは 今回の一連の逮捕は、香港で新しい行政長官が選出された直後というタイミングですが、その新行政長官・李家超(ジョン・リー)氏は、香港警察の元保安局長です。 李氏は2019年からの民主派デモを弾圧したり、中国政府を批判していた蘋果日報(アップル・デイリー)を潰した強硬派として知られています。 この手腕を中国政府に評価されて、香港政府の事実上のナンバー2である政務官に抜擢されていました。 さらに、李氏は保安局時代の2018年、中国・新疆ウイグル自治区の「テロ対策施設」を視察していて、そこでは「大変参考になる」などと発言していたことも報じられています。 この「テロ対策」というのは名ばかりで、そこではウイグル人への大量虐殺、ジェノサイドが行われていることは言うまでもありません。 しかも、李氏はその後、香港と中国の境界近くに「反テロ訓練施設」をつくることを計画しています。 この施設は、拘束された活動家への拷問・強姦などで悪名高い「新屋嶺(しんおくれい、広東語ではサン・ウク・リン)拘留センター」の隣に、東京ドーム4個分もの広さで建設が進んでいます。グーグル・アースの衛星写真からも確認することができます。 市民からは、「強制収容所が建設される」「新屋嶺(しんおくれい)ではなく、新疆嶺(しんきょうれい)だ」と恐れる声が上がっていました。 今回の逮捕は、新行政長官が今後、香港の弾圧をさらに強化していくことを暗示しているといって間違いありません。 ◆相次ぐ海外の批判、そして“慎ましやか”な日本 これに対して海外では批判の声が相次ぎました。 アメリカ国務省のネッド・プライス報道官は5月11日、「香港当局が再び、あらゆる手段で異論を封じ、権利と自由を傷つけていくことを示した」との声明を発表し、香港政府を批判しました。 またイギリスのジェームズ・クリバリー大臣は、議会に対する声明で、「国家安全法による、民主派の逮捕は受け入れられない」「中国および香港当局には、国家安全法への強い反対を表明し続ける」と非難の声を上げています。 一方、バチカン(ローマ教皇庁)はゼン氏の逮捕について、「懸念している。今後の状況に最大の注意を払う」と遠慮がちなコメントを出しています。 これら、欧米の批判に対しては、中国政府の香港への出先機関(である外交部駐香港特派員公署)は「バカな政治劇はやめろ」と反論をしていますが、こういうのを、厚顔無恥というのだろうと思います。 残念なことに、日本の岸田文雄首相は5月4日にローマ教皇フランシスコと会談したばかりですが、 日本政府からは特に非難の声は出ていないようです。 (後編につづく) 自民も公明も連合の「お仲間」 今や企業に「賃上げ」を求める政党ばかり【後編】 2022.05.25 http://hrp-newsfile.jp/2022/4274/ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆最低賃金が上がり続ければ、企業は雇用を抑制し、社員を解雇する 政治家は人気取りのために、最低賃金の引上げに熱心です。 しかし、この制度には、もともと欠陥があります。 最低賃金を強制的に高値で固定すると企業は雇用増に尻込みします。この場合、賃金の水準を市場にまかせた時には就職できた人の中で、不採用になる人が出てくるのです。 日商と東商の調査でも、最低賃金の引上げが「経営に影響あり」と答えた企業の対応策には、採用の抑制と社員の削減があげられていました。 例えば、40円の引上げがなされた場合、2割の企業が正社員の削減と採用の抑制を行うと答えました。非正規社員の削減と採用の抑制を行うと答えた企業は3割にのぼります。 業績が伸びない中で「最低賃金の引上げ」に対応した場合、社員を解雇したり、採用を減らさなければいけなくなるのは、当然のことです。 (※解雇と採用抑制を行うと答えた企業の割合) ・30円引き上げの場合:正規社員の削減と採用の抑制を行う企業が15%/非正規社員の削減と採用の抑制を行う企業が27% ・40円引き上げの場合:正規社員の削減と採用の抑制を行う企業が23%/非正規社員の削減と採用の抑制を行う企業が30% ◆デメリットが多すぎるので、最低賃金の引上げは「ぬか喜び」政策にすぎない 雇用の抑制のほかにも、企業には、最低賃金の引上げへの対策があります。 しかし、それは、どれも、誰かの痛みを伴います。 「設備投資の抑制」を行えば、企業の未来の発展が犠牲になります。 「製品・サービス価格の値上げ」を行えば、消費者の負担が増えます。 「正社員の残業時間の削減」を行えば、今いる社員が稼げるお金が減ります。 結局、最低賃金の引上げで給料が増えても、他のデメリットが大きいので、メリットは相殺されてしまうのです。 人件費で経営が圧迫され、倒産する企業が増えれば、むしろマイナスのほうが大きくなっていきます。 ◆企業経営に介入したがる「社会主義政策」にNOを! 大川隆法党総裁は、自民党の賃上げ路線に対して、企業に「賃上げをさせると、企業は赤字になり、倒産していく」と批判しました(『資本主義の未来』幸福の科学出版)。 また、政府が消費税を増税しながら企業に賃上げを要請したことについて、「そんなことができるのであれば、国民が全員、国家公務員になっているという状態でしょう」と指摘していました。(企業は)「最低賃金を上げたら、できるだけ少ない人数で働かせるようにする」とも述べていたのです(『忍耐の時代の経営戦略』幸福の科学出版)。 「最低賃金」の引き上げを通して政治が市場経済に介入してくると、企業経営の自由が奪われていきます。 その路線を推し進めていくと、倒産が増え、社会主義経済に近づいていくのです。 労働組合の「お仲間」になった既成の政党の経済政策には、社会主義的な考え方が入り込んでいます。 しかし、幸福実現党は、長らく経済界への賃上げ要請や最低賃金の引き上げなど、政府による企業経営への介入に反対してきました。 「国の介入、あるいは地方自治体の介入は最小限にとどめるべきです」(大川隆法著『人の温もりの経済学』) 今の日本では「賃上げ」を公約し、国民の歓心を買う政治家と、賃上げの負担を担う経営者の間に、埋めがたい落差が生まれています。 政治家の人気取り政策のために、日本の民間雇用の7割を担う中小企業を押しつぶしてはなりません。 幸福実現党は、神の見えざる手を機能させる経済を目指し、労働者と経営者の双方の幸福のために、適正な賃金が実現する雇用政策の実現を目指してまいります。 【参照】 ・大川隆法著『人の温もりの経済学』幸福の科学出版 ・大川隆法著『資本主義の未来』幸福の科学出版 ・大川隆法著『忍耐の時代の経営戦略』幸福の科学出版 ・厚生労働省「令和3年度地域別最低賃金改定状況」 ・日本・東京商工会議所「『最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査』調査結果」 自民も公明も連合の「お仲間」 今や企業に「賃上げ」を求める政党ばかり【前編】 2022.05.24 http://hrp-newsfile.jp/2022/4273/ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆自民も公明も連合の「お仲間」 4月から5月にかけて、労働組合と政党との交流が盛んになっています。 4月18日には、労働組合の中央組織である「連合」の芳野友子会長が、自民党本部の政策会合に出席し、「ぜひ自民党にも力を貸していただきたい」と訴えました。 5月13日には、公明党の竹内政調会長と連合の清水秀行事務局長が会談。竹内氏は「賃金を持続的にあげられる構造にもっていかないといけない」と述べています。 近年、自民党は賃上げに熱心なので、ながらく野党を支持してきた連合の会長が自民党本部の会合に参加できるようになりました。 公明党に対しても、連合は、昨年の衆院選では東京12区の公明党候補を支援しています。 連合は、もともと立憲民主党や国民民主党などを支援してきましたが、最近は、与党にも積極的に働きかけています。 今や、自民党や公明党も、連合の「お仲間」なのです。 ◆与野党のほとんどが「賃上げ」を公約 実際に、自民党の麻生副総裁は、「連合の話を一番聞いているのは自民だ。賃上げを経団連や経営者に一番言っているのも自民だ」(3/27)と言っています。 野党よりも労働組合の声を聴いていると自慢しているわけです。 今や与党と野党が入り乱れて、「賃上げ」を競うようになったので、ほとんどの政党が労働組合の「お仲間」になりました。 賃金の水準は、市場における需要と供給と、企業経営の状況に応じて決まるものなのに、政治家がしゃしゃり出て、「私たちが賃金を上げる」と大きな声を上げています。 法律を使い、企業経営の状況にお構いなく、人気取りのために最低賃金を引き上げるのですから、経営者から見れば、迷惑な話です。 現時点(5月下旬)で、自民、公明、立民、国民民主、共産の5党が考える最低賃金についてのプランを見ると、時給1000円と時給1500円で二分されています。 【時給1000円】 ・自民党:早期で1000円以上の実現(全国加重平均)、2020年代に全ての都道府県で最低賃金1000円に挑戦する(自民党雇用問題調査会が5/10に緊急提言) ・公明党:年率3%以上をメドに引き上げ、2020年代前半には全国で1000円超の実現(加重平均)、2020年代半ばには47都道府県の半数以上で1000円以上へと引き上げる(2021衆院選公約) ・国民民主:全国どこでも時給1000円以上を早期に実現(2021衆院選公約) 【時給1500円】 ・立憲民主:最低賃金時給1500円を将来的な目標に(2021衆院選公約) ・共産党:時間額1500円の全国一律最低賃金の実現(全労連の評議員会が1/26に提言) 各党は賃上げを前回の参院選でも公約し、2019年に901円だった全国平均の最低賃金額は、現在、930円にまで引き上げられています(*加重平均額) (※維新の党は最低賃金という仕組みに賛同していないので賃上げ公約がない。れいわ新選組は全国一律最低賃金1500円) ◆中小企業の多くは経営に苦しみながら賃上げに対応している 立憲民主党と共産党は最低賃金1500円を掲げました。 これは、今の1.6倍以上なので、あまりにも高すぎる数字です。 中小企業の負担にお構いなく、強制的な賃上げを一気に進めれば、人件費の負担増で企業の倒産が増えるでしょう。 自民党、公明党、国民民主党は早期に1000円を実現しようとしています。 これは、現在の賃上げ路線を加速しようとする動きです。 しかし、賃上げを推進する前に、最近の最低賃金引上げが、中小企業にどのように受け止められているかを知る必要があります。 全企業数のうち中小企業が占める割合は99%以上を占めているからです。 ここで、日商と東商の調査を見てみましょう。 (*日本・東京商工会議所「『最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査』調査結果」2022/4/5 を参照。小数点以下の数字は四捨五入) そこでは、「最低賃金は近年3%台の大幅な引上げが続き、多くの中小企業・小規模事業者から、経営実態を十分に考慮した審議が行われていない」という企業からの苦情が紹介されていました。 この調査では、以下の4点が明らかになっています。 (1)今の最低賃金が「負担になっている」(*)と答えた企業の割合は7割近く(65%)にのぼりました。特に、コロナで被害を受けた「宿泊・飲食業」では9割(91%)がそう答えています。(※「負担になっている」=「大いに負担になっている」と「多少は負担になっている」の合計) (2)前回(21年10月)の最低賃金引上げの後、4割(40%)の企業が強制的に賃金を上げざるをえなくなりました。 (3)(賃上げなどで)人件費が増えても対策がとれない企業は4割(42%)にのぼります。 (4)2022年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は5割に迫る勢い(46%)。「賃上げを実施予定」と答えた企業のうち、7割(69%)が、業績の改善がないことを認めています。 要するに、法律で最低賃金が引き上げられた結果、多くの中小企業は、経営に苦しみながら、賃上げに対応しなければいけなくなったのです。 (後編につづく) ウクライナ戦争で進行する史上最悪の食料危機【後編】 2022.05.19 https://youtu.be/usLR-0zspWU 幸福実現党党首 釈量子 ◆世界の「肥料庫」としてのロシア 史上最悪の食料危機は日本にどう影響するのでしょうか。 輸入とうもろこしの1%がロシア産で、輸入のほぼ全量を米国やカナダ、オーストラリア、ブラジルなどからの輸入のため、価格高騰の影響は受けながらも、「食料危機が日本を直撃」という事態には至っていません。 その代わりに、日本を直撃するものが「肥料危機」です。日本は肥料原料のほぼ全量、99%を輸入に依存しています。 ロシアはその肥料の三要素である「窒素、リン酸、カリウム」の全てで重要な役割を担っており、世界の「肥料庫」なのです。 三要素のうち、カリウムの25%をロシアとベラルーシに依存し、リン酸については、日本の輸入の約9割が中国産だと言われています。 現代の農業においては、化学肥料なしでは、産業ベースに乗る収量や品質を維持することが出来ず、絶対的な必需品です。 世界最大の肥料庫であるロシアからの供給が、ウクライナ戦争による物流の混乱と経済制裁の両面から途絶えることになれば、この「肥料危機」が日本はもちろん、世界中の農業に大打撃を与えることになります。 山形県で20ヘクタール以上の規模で米作を行う農業経営者にインタビューしたところ、次のように言っていました。 「肥料危機は次年度以降の農業経営に直撃する。肥料会社に問い合わせたところ『次年度も予約さえ入れれば同量確保は可能だが、価格は倍以上になる』と言われた」 また、「昨秋から、中国のリン酸や尿素などの輸出制限で肥料が高騰しているのに加え、トラクターの動力で使う軽油1600Lの経費など、ただでさえ苦しい。販売価格を大幅に上げるしか、生き延びる道はない」と。 ◆危機感ゼロの日本 米欧追従を貫く日本は、ロシアを敵に回してしまったことで、国防的には、北は北海道、南は沖縄に至るまで、ロシア・中国・北朝鮮といった敵性国から包囲され、いつ攻撃を受けてもおかしくない状況です。 また、資源インフレが起きる中、資源小国・日本の数少ない希望である原発再稼働も一向に進まず、エネルギー安全保障の脆弱さは否めません。 このタイミングで中国による台湾侵攻がもし起これば、日本のシーレーンは途端に封鎖され、エネルギーのみならず、食料の輸入も止まる可能性があるのです。 反面、13億人以上を抱える中国は、世界の穀物在庫(小麦51.1%、トウモロコシ68.8%、コメ59.8%)の半分以上を抱え、過去最高水準にまで、在庫を積み上げています。 要するに、世界は穀物在庫の残りを中国以外の国々で分け合っている図式になります。 中国は、肥料についても「一帯一路」の沿線国から輸入増強を図り、肥料生産プロジェクトも推進しています。 不測の時代に備える中国のしたたかな食料戦略を、危機感ゼロのお花畑・日本も少しは参考にしなくてはならないのではないでしょうか。 食料安全保障の柱を立てるためにも、今こそ「減反政策」を完全に廃止し、「食料増産体制」を確立すべきです。 そして世界最大の「肥料庫」としてのロシアとの関係改善を図ることは、日本の食糧増産にとって、シンプルかつベストの方策でしょう。 軍事防衛の面でも、エネルギー・食料安保の面でも、日本の危機を脱するカギを握る国は、実はロシアであるという現実認識がいま求められています。 岸田首相は、欧米追従一辺倒ですが、国家存続の危機に立たされた日本を守り抜くためには、「ウクライナよりも、ロシアを失った方が日本の打撃は大きい」ことを直視すべきです。リアリスティックな判断が必要です。 ウクライナ戦争で進行する史上最悪の食料危機【前編】 2022.05.18 https://youtu.be/usLR-0zspWU 幸福実現党党首 釈量子 ◆史上最悪の「食料危機」が到来 世界中のメディアがロシアとウクライナにくぎ付けになるなか、水面下でジワジワと食料危機が進行しています。 5月4日、「世界食糧計画(WFP)」(※1)は、突発的な事案で十分な栄養を摂取できずに命や生活を危険にさらす状態を示す「急性飢餓」の人口が、2021年から約4000万人も増加、過去最悪の1億9300万人に上ったことを明らかにしました。 3月末にWFPのビーズリー事務局長は「ウクライナでの戦争は第2次世界大戦以降、目にしたことのないような大惨事を地域の農業と世界の食糧・穀物供給をもたらそうとしている」とし、「大惨事の上の大惨事」と最大級の警告で表現しています。 なぜなら、今回の戦争が、世界有数の穀倉地帯ウクライナとロシアとの間で行われているからです。 ◆世界の2つの「食料庫」を直撃するウクライナ戦争 FAO(国連食糧農業機構)が毎月発表している、世界の食料価格指数(肉、酪農品、穀物、野菜・油糧、砂糖、2014~2016年平均=100)を見ると、2022年2月には1990年の統計以来の最高値141.1ポイントを記録しています。 更にウクライナ戦争が本格化した3月度は159.7と食料全体で未曽有の高騰を見せています。その中でも上昇が目立ったのが穀物で、170.1とこちらも過去最高値となっています。(※2) 小麦の世界の生産量は、2021年が7億7587万トンです。ロシアとウクライナの合計は、1億1835万トンで、2か国の生産規模は、全体の13.5%にあたります。 また、小麦の輸出量ベースを見ると、ロシアは世界第1位、ウクライナが世界第5位、2か国合計で国際穀物市場に流通する小麦の約25%~30%を占めます。 両国に小麦輸入の3割以上を依存している国がなんと50か国近く(世界196か国中)もあるという驚くべき状況です。 フランスのデータ分析会社(ケイロス)は6日、ウクライナの22年度産の小麦生産量は前年比で35%以上減少する見通しだと発表しています。 トウモロコシについても、ウクライナが世界第4位の輸出国で、世界の約20%を賄っています。 植物油の原料になるヒマワリ油に至っては、ロシア・ウクライナの2か国だけで世界流通の70~80%を占めているのです。 ◆「食料争奪戦」による争いが世界中で起こる? 特にウクライナへの小麦依存度が6割に上る、エジプトやトルコ、イランなど中東・北アフリカの国々では、すでに食料価格の急激な上昇に喘いでいます。 例えば、エジプトなどでは主食であるパンの価格が50%も上昇し、人口1億人の約3割にあたる貧困ライン(1日1.9ドル以下)を下回る人々の生活を直撃しています。 2011年に北アフリカのチュニジアからエジプト、中東全域に広がった「アラブの春」の革命のうねりは、実は、前年度のロシアやウクライナでの小麦の不作によりパン価格が高騰し、庶民の不満が渦巻いたことに端を発しました。 結果的に、複数の政権が転覆、カダフィ政権が倒れたリビアは未だ内戦状態、アサド政権打倒で内戦に突入したシリアも未だに混迷を深めています。 また、ロシアやウクライナに輸入依存していない国々であっても、不作や冷害などがひとたび起きると、それまで輸出に回していたものを、国内向けに確保するという動きになります。 そして、国際市場に出回る量が一気に減少してしまうために、世界的に一気に急騰する傾向があります。 ◆史上最悪の「食料危機」、真犯人は誰か? さて、ロシア・プーチン大統領は、4月5日、閣僚等と行った「農林水産業開発会議」において、食料供給については「ロシアに対して敵対的な政策を堅持する輸出を注意深く監視しなくてはならない」と述べました。 この食料危機において、自国の強みとしての穀物を「戦略物資」として、十二分に活用し、少しでも外交を有利に進めるつもりでいます。 実際に、ロシアは3月中旬に小麦の輸出制限を発表する一方で、ウクライナ産の小麦が手に入らないエジプトに対しては、ロシア産小麦を前年比の6倍近くまで輸出を急増しました。 イラン、トルコ、リビアにおいても前年比の2倍超を輸出しており、ウクライナ産が手に入らず困窮する国々に小麦を売り、結果的には、紛争の拡大を抑止している形になっています。 対してバイデン政権は食料危機に苦しむ国々へ870億円(6億7千ドル)規模の食糧援助を発表してはいます。しかし、今回の戦争の発端は、ロシアを挑発し、ゼレンスキー大統領をあおりに煽ったバイデン大統領の責任を問わねばなりません。 (後編につづく) (※1)世界食糧計画(WFP)53カ国や地域を対象とした食料危機に関する2021年度の調査報告書 https://ja.wfp.org/news/shiliaoweijiniguansurukuroharubaogaoshushiliaobuannojilugengxin (※2) https://www.fao.org/worldfoodsituation/foodpricesindex/en/?msclkid=6b1d3212cea311eca461734688c9448c 緊急経済対策で日本人は奴隷化する?困窮者給付2つの問題点【後編】 2022.05.13 https://youtu.be/pdBf7NYdvDc (4月28日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆困窮者の給付金のもう一つの問題 次に、困窮者給付金は給付の仕方に問題があります。 今回の給付金は、「真に生活に困っている方々への支援」として、いわゆる「プッシュ型」で給付します。 プッシュ型とは、一言で言えば、「押込み型」あるいは「押しつけ型」です。つまり、こちらで手続きしなくても政府が勝手にお金を振り込んでくれる、大変便利な制度です。 これに対して、プル型は「自己申告型」です。お金を受け取るためには、自分で動いて手続きをしなくてはいけません。 申告不要で迅速に手続きができるので、コロナ禍以降、メディアは「プッシュ型」をもてはやしています。 しかし、行政が国民一人ひとりのニーズを把握することは不可能なので、プッシュ型では「真に生活に困っている方々」だけに支援を行うことはできません。 今回の場合で言えば、なぜ低所得で子どもがいる世帯限定なのか、なぜ子ども一人あたり5万円なのかを説明できません。 そうすると、国民同士の不公平感が出てくるので、私にもお金を出せという話になります。 今後、経済の状態が一層悪くなれば、国民全員へのプッシュ型給付という話も出てくるかもしれません。 ◆日本人の自由を守るために しかし、プッシュ型の給付金は、基本的にマイナンバーと結びつき、国民の監視や資産への課税につながっていくため、非常に危険なものです。 政府は表向きにはあまり言いませんが、申請なしに給付を可能にすると言って、マイナンバーを推進すると、行政が国民の銀行の口座番号を把握したり、ゆくゆくは全銀行口座の紐づけなどを通じて所得状況や資産などを一元管理できるようになります。 ちなみに、紙のお金を無くして、全てを電子マネーにしてしまえば、タンス預金もできなくなるので、完璧です。 承認もしないで、判子もつかず、書類も書かず、「年収が幾ら、貯金が幾ら以上の人からは一律五十パーセントの税金を取って、恵まれない一千万世帯に、自動的に振り込む」ということが原理的に可能になります。 タダでお金がもらえることは嬉しいかもしれませんが、その後に待っているのは、地獄です。 こうした恐怖の世界が到来したら、それは今の監視国家の中国や北朝鮮と何ら変わらない国になってしまいます。 幸福実現党としては、こうした事態は何としても防がなくてはいけないと考えています。 やむを得ない事情の方への支援は必要かもしれませんが、政府の監視が前提となるプッシュ型はやめて、原則プル型での支援に限定していくことが、日本人の自由を守るために大切です。 ◆「勤勉の精神」こそ、道を切り拓く力 大川隆法党総裁の『正義の法』で次のように説かれています。 「私は、基本的には、「魚を与えるよりは、『魚の釣り方』を教えるほうが正しい」という考えを持っています。魚を与えても、持っている魚は必ず尽き、手持ちの魚はなくなります。しかし、「魚の釣り方」を教えたら、教えられた側は、一生、魚を釣ることができるのです」 この魚の釣り方という意味で言うと、「勤勉の精神」を身につければ、これは一生を通じた宝となって、道を切り拓く力となります。 教育の現場では、努力が報われることを教えていくことが重要です。そして政府は、減税や規制緩和を通して、「勤勉な努力による、自由とその成果を認める」社会を創っていくべきです。 すべてを表示する 1 2 Next »