Home/ 2021年 February 2021年 February 最終判断が迫る東京五輪、北京五輪で踏み絵を迫る覇権国家中国の思惑【後編】 2021.02.21 https://youtu.be/RAT3hERDzoo 幸福実現党党首 釈量子 ◆国際政治に翻弄された近代五輪の歴史 日本では、1964年東京五輪のイメージもあり、人類共通の祭典として、無条件で善なるもので、ボイコットは過激なことと思われがちです。 しかし、近代五輪の歴史を振り返ってみても、国際政治においては大きな問題になってきました。 特に、全体主義的な傾向を持つ国が、五輪を開催することによって、それを自国の国威発揚、およびイデオロギーの対外的発信の目的で使われるケースが散見されます。 象徴的な事例としては、1936年にナチス・ドイツ統治下で開催されたベルリン五輪において、アーリア民族の優越性とヒトラーの権力を世界中に見せつける機会として、最大限に利用されたことです。 また、1980年のモスクワ五輪は共産主義国で開催された初めての五輪となりましたが、1979年12月、ソ連がアフガニスタンへ侵攻すると、民主党カーター政権の米国がボイコットを表明し、日本や西ドイツもこれに続きました。 イデオロギーの大きな対立が起きている状況下での五輪大会は、各国にとって参加の可否は「その国の政治体制や行動を認めるかどうか」という「踏み絵」にもなるわけです。 ◆習体制3期目の威信をかけた一大プロジェクト・北京五輪 2008年の北京五輪は、経済成長著しい中国が「世界の大国」として認められる大きな契機となりましたが、次の北京五輪は、中国にとって「国威発揚」のための絶好の機会です。 また、2022年10月から3期目が始まる習近平国家主席にとって、覇権国家の威信をかけた一大プロジェクトとなるのは間違いありません。 人々の健康などは考慮されず、権力者の「面子」がすべてに優先されるのが全体主義国家です。 公式に発表されている中国のコロナ感染者数は、明らかに虚偽であると各国の識者からも指摘されていますが、そうした虚偽情報を根拠にしつつ、感染症対策の徹底や、外国人へのワクチン接種やPCR検査を義務付けるなどして、完全な形で北京五輪を開催するつもりでしょう。 2021年2月、WHOが武漢で現地調査を行いましたが、残念なことに武漢ウィルス研究所からの流出説を否定し、輸入した冷凍食品を発生源とする説は引き続き調査するなど、中国に丸め込まれた「茶番劇」に世界中が失望させられました。 ◆北京五輪から透けて見える中国の野望に対し、日本はどうすべきか? 習近平政権は「コロナとの戦いに勝利する」と宣言していますが、「人類がコロナに打ち克った証」として、北京での五輪開催が行われる可能性もあります。 コロナウィルスを完全に抑え込んだ中国の周到さ、完璧な大会準備等を世界中に示し、放映権を握る欧米メディアは予定通りの五輪開催に歓喜し、世界の国々が北京に集まる・・・というシナリオになりかねません。 ウイグルや香港へのおぞましい人権弾圧、台湾や日本の尖閣沖での領海侵犯も止まりません。 北京五輪終了後、米国の中間選挙、また次期米大統領選挙を見据え、五輪を成功させた三期目の習近平政権が軍事行動を拡大させていくことを念頭に置くべきです。 米バイデン政権が「北京五輪へのボイコット」を呼びかける可能性は極めて低いでしょうが、日本はアジアのリーダーとしての自覚が必要な時期になっています。 ◆国際協力という大義名分によって、国益の最大化を図る中国の欺瞞 近代五輪は「スポーツを通じた平和な世界実現への寄与」を目的にしていますが、こうした「国際協力」の大義名分のもと、国際機関を取り込み、国際的な枠組みを活用しながら、国益を最大化していくのが中国のやり方です。 そして、左派リベラルのマスコミはこうした中国の掲げる大義名分を批判出来ず、見事に騙されて続けてきました。 もし、北京五輪が「人類がコロナに打ち克った証」として開催され、世界各国が喜んで参加するようなことがあれば、新型コロナウィルスの発生源は、中国武漢の生物兵器実験室であるという疑惑について「中国の責任を問わない」ということを国際社会が認めたことを意味します。 ◆五輪の限界、求められる世界的正義の視点 五輪会場として、中国ほど「フェアプレーの精神」に反した会場はありません。 本来「平和の祭典」であるものが、全体主義国家の独裁者のプロパガンダと、権力強化のために利用されている。 これは、近代五輪精神の死滅であり、西洋型国際協調の理念が、中国の共産主義の下に屈してしまったことを意味します。 東京五輪も北京五輪も、「五輪自体の限界」を露呈している現状について、「世界的正義」の観点から、五輪開催について我々一人ひとりが考えるべき時が来ていると思います。 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 最終判断が迫る東京五輪、北京五輪で踏み絵を迫る覇権国家中国の思惑【前編】 2021.02.20 https://youtu.be/RAT3hERDzoo 幸福実現党党首 釈量子 ◆はたして開催できるのか?タイムリミットが迫る東京五輪 コロナ禍においては、現代の社会の様々な問題が浮き彫りになっておりますが、近代オリンピック(以後、五輪と表記)もその一つです。 東京五輪、次には北京五輪が迫っておりますが、今回は「五輪の限界」について取り上げてみたいと思います。 現段階(2月17日収録)では、大会組織委員会の森会長による「女性蔑視」発言と、後任人事(2月18日、橋本聖子五輪担当相が会長職を受諾)を巡っての混乱が続いていますが、まさに東京五輪を開催できるかどうか、最終判断のタイムリミットが迫っています。 というのも、世界各国から選手を東京に送り出すための予算組みの期限が「3月末」という国が多く、更に3月25日からは聖火リレーが開始される予定となっております。 聖火リレーのスタート地点は福島県のサッカー施設ですが、先日、震度6強の地震に見舞われました。 世界中に「フクシマ」で「大震災の余震が続いている」という報道がなされたことは、不安要素となってしまいました。 ◆IOCはなぜ「開催中止」を宣言できないのか? そもそも、東京五輪が完全な形で開催できるのかといえば、全世界のコロナ感染が終息しない以上、難しい状況です。 一方で、開催の決定権を持つIOC(国際オリンピック委員会)が、自ら「開催中止」を言い出せない理由があります。 その一つが放送権収入です。 五輪によってIOCは巨額の放送権収入を得ていますが、IOCが自らの責任で「開催中止」と言ってしまうと、放送権の購入者から損害賠償請求をされ、巨額の損失を被らなくてはならない可能性があるわけです。 IOC元副会長で、名誉委員でもあるケバン・ゴスパー氏(豪州)は「開催可否の判断を、国連に委ね、それをIOCが受け入れる形にしてはどうか」という提案をしています。 ◆東京五輪に関する経費はとてつもない規模に・・・ また、受入れ側の日本政府が「できません」と口が裂けても言えないのは、投資したお金の回収が見込めないからです。 五輪開催の経費は、既に、とてつもない規模になっています。 延期に伴って約3000億円の支出が増え、大会経費の総額は、国・都・組織委員会を合わせて1兆6,440億円となり、五輪の経費としては過去最大です。 更に、開催とは直接関係のない五輪関連支出が、国の予算としては1兆600億円、東京都として7,770億円が計上され、総額は3兆円以上に上ります。 ◆花見酒経済の終焉で増税のツケが国民に? しかも、1,500億円以上かけて建設された新国立競技場をはじめ、多くの会場が、「結局使われない」ということになりかねず、その後は民間主導で活用し、投資を回収する努力が必要となります。 巨額のコロナ対策の経費と併せて、「大増税」となって国民にツケが回ってきかねない状況です。 経済を吊り上げる効果を狙っての「打ち上げ花火としての五輪」というのは、失敗に終わったといえるでしょう。 また、安倍政権からの路線であった外国人観光客、五輪、カジノ等に頼った「花見酒経済」に依存し、経済を持ち上げようとしたことの限界が露呈してしまった、何よりの証拠ではないでしょうか。 ◆紛糾する東京五輪、花が添えられた北京五輪 東京五輪が紛糾すればするほど、「それに比べて」という図式で目立ってくるのが、2022年に迫る「北京五輪」です。 後任人事で紛糾する東京の様子は、「民主主義の脆弱さ」をあざ笑うように、全体主義国家の北京五輪に花を添えてしまっています。 中国では、2008年に北京で夏季五輪が開催されましたが。2022年は習近平政権下での初めての五輪開催となります。 予定では東京五輪の半年後になるので、東京五輪の開催可否は、北京五輪の開催可否とも密接にかかわっています。 ◆北京五輪開催を巡る世界各国からの反発 北京での五輪開催を巡って、米議会で大きな動きがありました。 2月3日、共和党の上院議員5人が、「2022年の北京冬季五輪の開催地変更」をIOCに求める決議案を提出したことを明らかにしています。(2月15日には、上院に続いて下院でも、共和党議員から開催地変更とボイコット決議案が提出されている) リック・スコット上院議員は声明で、中国政府によるウイグルでの集団虐殺、香港での人権制限や台湾への恫喝等を挙げ、「2022年の五輪開催は許されるべきではない」と述べています。 こうした動きに対して、中国外務省は「スポーツを政治化する試み」と猛反発しています。 北京五輪を巡っては、昨年10月、英ラーブ外相も不参加とする可能性を示唆しており、中国との対立が深刻な豪州でも、アベッツ上院議員が「自由を愛する国々が北京に『もううんざりだ』と言う時が来た」と述べ、複数の国会議員が北京五輪をボイコットすることを豪政府に求めています。 また2020年9月、世界160余りの人権団体が、香港での国家安全維持法による人権弾圧、ウイグル人の強制収容といった人権侵害を非難し、IOCに連名で「北京五輪の開催撤回」を求める要望書を提出しています。 (つづく) ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 RCEPのリスクとデジタル人民元の脅威、中国は通貨覇権を握るのか?【後編】 2021.02.19 https://youtu.be/HgS-GtklwjE 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆ドル支配体制を崩す中国の戦略 海外送金は、ベルギーに本社がある国際銀行間通信協会SWIFT(スイフト)という「国際銀行決済システム」を通じて決済されます。 世界の銀行が国際業務において、どの通貨で決済をしているのか、それが米ドルであるとSWIFTが世界中の銀行と結んでいます。これがアメリカのドルの支配体制です。 これには中国であろうと歯向かうことができません。 そこで中国はRCEPとCAIによってデジタル人民元を、東アジアとヨーロッパの地域限定の決済通貨にして米ドルの支配体制を終わらせようとしているわけです。 同時に、中国は人民元を中心に持って行っていくために、SWIFTと中国人民銀行と合弁会社をつくり、SWIFTにもアプローチしています。(2月4日、ロイター記事) これだけ見ても中国が人民元デジタル人民元を世界の基軸通貨に本気でしようとしていることが伝わってきます。 ◆デジタル人民元の目的 デジタル人民元という新たな通貨でアメリカの経済的覇権を奪おうとしているわけです。 デジタル人民元の目的は、それだけではありません。デジタル人民元は、元々は国民の個人データを政府が把握するというところに目的がありました。 中国14億の人民が行う経済学活動をすべてデジタル化してしまえば、誰がいつ何にお金を使ったかを全部把握できます。 すでにこれを中国の中でやっているのが、例えば「アリババ」です。 アリババは、「アリペイ」というデジタルの決済システムによって10億人くらいの人民のお金のやり取りを把握しています。 それに対して、「中国共産党がアリババを攻撃している」という記事(映像15:54)がありました。 アリババア創設者ジャック・マーは、去年の末から今年の1月まで音信不通で全く現れなくなり、ニュースになっていました。 他にも、中国共産党はアリババグループの新たな 企業上場にストップをかけたりしています。 要は民間企業にデジタル通貨の決済をやらせない。決済は、中国共産党がデジタル人民元で全部やることを言いたいようです。 ◆バイデン政権で中露接近 ここでアメリカがバイデン政権になりました。 バイデン政権の影響について、大川隆法党総裁が最近刊『ヤイドロンの本心』の中でバイデン政権の外交について重要なことを述べています。 ヤイドロンという存在については、幸福実現党言論チャンネルの中で一度取り上げていますのでそちらをご参照いただければと思います。 同書でこのバイデン外交について、「中国とロシアを近づけることになる」という指摘をしています。 バイデン大統領は先日、国務省に入って今後の外交方針についてのスピーチをしました。 その中で、ロシアに対しては厳しくいく。そして中国に対しても厳しく行く。しかし中国は競争相手であり、できたら強調していきたいと、トランプ政権とは真逆の方針を出しました。 同書では、まるでバイデンの発想は20世紀の米ソ冷戦時代の発想だ。ロシアが敵であって、逆に中国を引き込むという全く時代遅れの発想だ。 バイデン外交ではロシアが孤立し、間違いなく中国とロシアの距離が近づいていく。これは最もいけないシナリオだと指摘しています。 これは、もちろん軍事的にも、経済的にも最もまずい形になります。すでにロシアがデジタル人民元決済体制に参加するような空気が漂っています。 1月6日の「日経アジア」の記事ですが、ロシアが資源エネルギーの輸出で中国への輸出を拡大しているという記事(映像20:59)です。 ロシアが石炭を中国に輸出する量を倍ぐらいにしようとしています。中国はこれまでオーストラリアから石炭を輸入していましたが、オーストラリアとの関係が悪化していました。 ロシアとしては願ってもないことです。ロシアと中国との貿易量が増え、その時の決済通貨はどうなるのかです。 去年8月6日の「日経アジア」の記事ですが、ロシアが米ドルに代わって人民元を増やし始めています。 ロシアもそうですが、中国との貿易に依存する国は中国のペースで人民元によって決済を迫られる方向に動いているわけです。 そこに日本を含むRCEPやCAIや日本も入ってきます。 ◆デジタル庁設置で懸念すること 日本に関係する部分として懸念せざるをえないのが、2月9日に閣議決定した「デジタル庁の設置」です。9月に発足させることです。 同庁は、菅政権の看板政策ですが、9月に発足予定で菅首相をトップに500人規模になるということです。 気になるのがRCEPに日本が入っていって、そのステップの中でデジタル人民元というのが使われる流れに日本が簡単に入ってしまわないだろうかという点です。 入ってしまったとしたら、日本は中国の経済覇権の領地になってしまうのではないか。そんな懸念を持たざるを得ません。 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 RCEPのリスクとデジタル人民元の脅威、中国は通貨覇権を握るのか?【前編】 2021.02.18 https://youtu.be/HgS-GtklwjE 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆RCEPとは 今回は、「RCEPのリスクとデジタル人民元の脅威」と題し、中国の新たな経済的な脅威についてお送りします。 RCEP(アールセップ)とは、「東アジア地域包括的経済連携(Regional Comprehensive Economic Partnership)」のことで、英語の頭文字 をとって RCEPと呼びます。 まず、2月10日、RCEP協定案が自民党の対策本部内で了承されました。 これによってRCEPという自由貿易協定がこれから日本の国会の中で批准される見込みになりました。 ◆RCEP合意までの経過 どこからRCEPの話が出てきたかというと、実は日本からでした。 2006年、現在の自民党二階幹事長から「二階イニシアチブ」と呼ばれる、「東アジアEPA提唱」案が出されました。東アジアの中で自由な貿易をやるという提案です。 そこから数年かけて議論がなされ、昨年2020年にRCEPとして、ASEAN(東南アジア諸国連合)の10カ国(インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア)に、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドも入って合計15カ国が合意しました。 15カ国によってなされる自由貿易は、世界最大の自由貿易協定になります。世界の人口、世界のGDP、それから世界の貿易総額の約3割を占めるのがこの地域です。 しかし、この中にインドは入りませんでした。 インドが離脱した理由は、RCEPに入ってしまうと安い中国製品が入ってきて国内に多くの失業者が出てしまう点と、中国と国境紛争中で自由貿易協定を結ぶわけにいかないという判断があります。 そしてアメリカも入っていません。 日本政府は、わが国企業活動、経済成長に寄与し、日本が自由貿易推進の力強いメッセージを発信すると言っています。 ◆RCEPの中身 RCEPの中身を見てみましょう。 (1)関税の自由化、9割ぐらいが自由化になると言われています。 (2)サービス分野の規制緩和や投資障壁の除外ですが、中国はサービスにおける規制や投資障壁はたくさんあり、本当にできるのでしょうか。 (3)国を跨いだ広域的なサプライチェーンの実現、製造業にとってはメリットが大きいのだろうと思われます。 (4)通関コストの大幅な低減 (5)コンテンツやデータなどのデジタル情報に関し、国境を超えた自由な流通ですが、中国が「デジタル人民元」を基軸通貨にしようとしている点で問題です。 ◆RCEPとCAIを主導する中国の狙い 中国は主導して東アジアでRCEPを進めましたが、ヨーロッパではCAI(中国 EU 投資協定)を進めています。 CAIは、英語でcomprehensive agreement of investment という包括的投資協定という意味で、 投資協定になっていますが、実質上の自由貿易協定です。 CAI はEUが入っており、イギリスは入っていません。アメリカも入っていません。 1月22日、アメリカの保守系メディア「THE DIPLOMAT」が、中国 とEUの投資協定CAIに関して、アメリカとインドの政府が懸念を持っているという記事を出しています。 要は、中国から見るとアメリカを抜きにして、アジアのRCEPと欧州のCAIの自由貿易協定で広いテリトリーを獲得したことになります。 自由貿易協定で広いテリトリーを獲得すれば、投資であろうと貿易だろうと全部お金が絡みます。 自由貿易において常に世界の基軸通貨は米ドルであったはずですが、中国主導でアメリカ抜きということになると、必ずしもドルを使う必要がありません。 ここに、米ドルに代わって人民元を基軸通貨に持っていきたいという習近平政権の狙いがあります。 ◆「デジタル人民元」が「米ドル」に挑戦 アメリカのメディアに、「デジタル人民元」が「米ドル」に挑戦するという記事(※動画の9:25)が出ています。 紙の「人民元」は世界で影響力がない弱い通貨です。現時点では中国も経済においてドルの世界で生きており、ドルを稼がなければなりません。 ドルを稼ぐためには2つあります。貿易で稼ぐか、海外から中国に投資してもらうかです。 中国が持っているドルの量を外貨準備高と言い、どれだけドルを持っているかによって、紙の「人民元」の発行量は決まります。 ドルを稼いでドルの量が増えなければ、中国国内の内需拡大すらできないわけです。 結局、ドルというアメリカの世界の中に中国も入っているだけで、これでは中国がアメリカを超えることはできません。 しかし、ドルを持っている量に左右されずに自由に使える「デジタル人民元」を導入して世界の基軸通貨である米ドルに挑戦し、取って代わろうとしているのです。 これはRCEPとCAIによってアジアとヨーロッパでアメリカ抜きにして「デジタル人民元」を決済通貨にするという壮大な中国共産党の戦略なのです。 (つづく) ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 コロナ関連法改正、コロナ時代の「自由論」とは? 2021.02.13 https://youtu.be/hUn3HD5Cgv0 (2月3日収録) 幸福実現党政務調査会長 里村英一 ◆基本的人権に反するコロナ関連法改正 2月3日、国会でコロナ関連法改正が成立いたしました。 改正の最大のポイントは、営業時間短縮に応じない事業者に対して「30万円以下の過料を科すこと」や「入院拒否をしたコロナ感染者に対して50万円以下の過料を科す」などの罰則規定が設けられたところです。 当初、刑事罰を科すなどの話もありましたが、さすがに刑事罰は行き過ぎだということで見送られました。 行政罰で罰金ならしょうがないという雰囲気はありますが、幸福実現党は今回の罰則規定を設けたことに関して基本的人権に反するもので、何よりもかけがえのない「自由を蝕むもの」であると考えています。 ◆幸福実現党が考える「自由」とは何か 幸福実現党は、「自由」は人間の幸福にとってかけがえのないものの1つであると考えています。 党大川隆法総裁の著書『自由・民主・信仰の世界』にも明らかなように、わが党は自由・民主・信仰という原則が貫かれる世界を理想としています。 歴史的に観ても、自由・民主・信仰という原則が「信教の自由」や「言論の自由」をはじめとする人権につながっていきました。 あるいは、法哲学の面から観ても、人権のカタログの第1ページにこそ、「信教の自由」が置かれるべきであると言われます。 人生哲学、人間の人生をどのように見るかは、政党がどんな政策をつくる場合に非常に関連している問題です。 人間とは、たまたま偶然この世に投げ出され、そして運命に翻弄され死んだら焼かれて灰になって終わる存在なのか。 そうではなく、人間は、各人が自分の理想やミッション、あるいは自分の課題を持ってこの世に生まれてきた存在です。 自分のミッションや人生の課題に取り組み、何かしら一歩でも前進して幸福を得、それが来世の幸福にもつながっていきます。 従って、自らがミッションや課題に取り組む以上、自由に取り組める保障がなければ人生は無意味なものになってしまいます。 このように自由というものは本当に大切なものです。 ◆「危害原理」とは何か 自由に関する政治哲学の最高峰の一つともいわれる、ジョン・スチュアート・ミルは『自由論』において、「人に危害を及ぼさない限り自由は束縛されない」という「危害原理」を言っています。 例えば、赤信号を自由に車で走り抜けたらどうか。飲酒運転でも構わず車に乗ったらどうなるか。当然、人に危害を加える可能性は高くなります。 こういう観点から、行為と結果の「相当因果関係」、つまり危害を加えることの相当性が高ければ高いほど、やはりその自由は抑えねばならないという考えです。 逆に言えば、それぐらい「自由を抑えることに関しては慎重にも慎重さが求められる」ということをジョン・スチュアート・ミルは言っているわけです。 今回のコロナも、果たして相当因果関係が高いのでしょうか。営業時間を短縮すれば感染はとまるのか。あるいは入院さえさせれば必ず感染がとまるのか、これはまだ何とも言えません。 インフルエンザにおいては、毎年1000万人が感染して1万人が亡くなっています。それでもインフルエンザに関しては罰則規定など存在しておらず、自由は侵害されていません。 心配しているのは、ワクチンが思ったほど効かない。あるいは変異株が増えたなどの理由によって、第4波が来た時に、さらに法律を改正して罰則規定を重くし、また刑事罰を導入して国民の自由を縛ろうという方向に行くのではないかという恐れです。 それは考えすぎだと言われるかもしれません。しかし自由というのは一箇所が破られるとたちまち全体にその穴が広がっていくことを歴史が証明しています。 もちろん私は感染拡大を止めたいと思います。あるいは入院はいけないというつもりはありません。 しかし、そうした命や健康を大義名分に掲げて、国家権力や政府が国民の自由を阻もうとするときはよほど気を付けなければなりません。 ◆政府が健康管理をする危険性 歴史的に言えば、20世紀において「ある政府」が健康体を大義に掲げて、ガン検診を国民に義務付けました。 検診を怠ると罰則がつき、さらに政府は無農薬栽培を進め、タバコやアルコールを禁止し、妊娠している女性の検診を強化するなどして国民の健康管理に努めました。 いい政府だと思われるかもわかりませんが、この政府はナチス・ドイツのことです。 ナチスの場合はアーリア民族の健全性、健康性をユダヤ人が蝕むと言って最終的にはユダヤ人虐殺までいきました。 つまり、国家の権力が健康体を大義にして自由を蝕み始めると、最終的には「強制収容所」、あるいは「ガス室」にまで行ってしまうということを歴史は教えてくれています。 ◆自由を守るために 私たちは、そのような歴史は絶対に繰り返してはならないと思います。 もちろん、今回法律改正を決めた政治家たちも健康を守りたいという善意からの判断であるということは信じたいと思います。 しかし、そこにはとんでもない反作用が含まれているということも言いたいわけです。 したがって、幸福実現党としては今後この改正された法律がどのように運用されるのか、あるいは適用されるのかをしっかりと見つつ、自由の大切をこれからも訴えて参りたいと思います。 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 新日英同盟で、中国包囲網強化へ。尖閣防衛、海警法施行、日米豪印クアッド+英独仏。【後編】 2021.02.11 https://youtu.be/0b0qzYu3knY 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国への懸念が高まりつつあるフランス、ドイツ 前編では、対中面からアジア太平洋地域で深化する日英関係について述べましたが、英国以外のドイツやフランスも中国の牽制に動き出しています。 ドイツでは、昨秋に「インド太平洋ガイドライン」を閣議決定し、中国への懸念からドイツ海軍のアジア派遣を決めています。 フランスは、英国離脱後の欧州連合(EU)で、外交・安全保障のリーダー役を狙っており、「我々もインド太平洋国家」とフランス外務省報道官は強調していますが、いま中国の覇権主義を見逃せば、点在するフランス領が寸断される危機感があります。 これらが実現すれば、日本と米国、オーストラリア、インドによる連携の枠組み「QUAD(クワッド)」の4カ国と、イギリスとフランス、ドイツの海軍が、沖縄から台湾、フィリピンを経由してマレーシアに至る第1列島線が「海の長城」と化し、中国包囲網を構築することが出来ます。 日本にとっても、世界屈指の海軍と日本の自衛隊が東シナ海に集結し、尖閣諸島の防衛力強化の役割が期待されます。 ◆バイデン政権下で「米中経済逆転」が早まる? では「肝心かなめの米国はどうか?」ということです。 2月4日、国務省でバイデン大統領が行った初めての外交政策演説の中で、中国を「最も手ごわい競争相手」と位置づけ、「米国の繁栄と安全、民主的価値観は中国の直接的な挑戦を受けている」と非難する一方、「米国の国益に沿うのであれば、一緒に取り組む用意がある」と、含みを持たせました。 翌日、中国の「環球時報」では、「トランプ政権の全面対決姿勢よりも、中国にとって対応の余地がある」「バイデン大統領は中国との協力関係から利益を得ることを考えている」と報じています。 更に、バイデン大統領が中国との協力関係について話した直後、気候変動を取り上げたことから「バイデン政権の最優先事項は環境問題であり、中国と米国の協力関係は環境問題から再スタートする可能性が高い」という見通しを示している。 中国は今後、環境問題を足掛かりに、中国包囲網の切り崩しにかかってきます。 英シンクタンク「経済ビジネス・リサーチ・センター(CEBR)」は2020年12月26日、パンデミックが各国の経済に悪影響を与えたため、中国が当初予測よりも5年早く、2028年に米国を抜くことになると予測しています。 バイデン政権下で、「米中経済逆転」の流れが進んでいくと、アメリカによる中国牽制の力が弱まっていきます。 日本は米国の欠けた力を単に補完するだけでなく、日本自体が主体となって、自由や民主主義、法の支配の価値観を共有する国々と協力しながら、アジアの自由を守らなくてはなりません。 ◆新しい「日英同盟」で中国包囲網を構築せよ 最後に、日本はどうすべきかを考えてみます。 まず、米国に働きかけ、日米豪印の四か国の「クアッド」にイギリスを加え、「クインテット(5人組)」に拡大することを目指すべきですし、同時に「ファイブ・アイズ」への参加も、検討すべきです。 バイデン政権の対中政策が、親中路線に傾く懸念があるなか、国連安全保障理事会の常任理事国でもある英国としっかり手を結ぶことで、対中抑止の足並みを揃えることができます。 現在の準同盟関係から「日英同盟」に格上げすることも目指すべきではないでしょうか。 英国内の保守派からは、「台湾との関係を強化すべきだ」という声も根強く、日本と英国で、台湾のTPP参加や国際機関復帰を後押しすることも可能になります。 ◆武士道の国として「自分の国は自分で守る」覚悟を固める時 1月24日、岸防衛大臣とオースティン米国防長官の電話会談で、「尖閣諸島が日米安保第5条の適用対象になる」ことを確認しています。 しかし、日本は主権国家として「自分の国は自分で守る」という覚悟を固めることを忘れてはなりません。 尖閣諸島を守るためにも、日本としてやるべきことがあります。 海警局の大型船に対応できるような海上保安庁の警備体制強化や、中国の「グレーゾーン」戦略に対応する法整備、また尖閣諸島の実効支配強化を図るための公務員常駐、灯台や気象観測所の設置を考えるべきです。 そして何よりも、憲法9条改正を真正面から議論していく必要があります。 2021年は日本が立つべき年です。 20世紀初頭に結ばれた「日英同盟」が、当時の帝政ロシアと立ち向かう日本にとって、国難打破の大きな力となったのは紛れもない事実です。 日本が武士道の国として、英国と共にアジアの自由と平和を守る国として、しっかりと立ち上がっていきたいと思います。 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 新日英同盟で、中国包囲網強化へ。尖閣防衛、海警法施行、日米豪印クアッド+英独仏。【前編】 2021.02.10 はじめに、2月11日は「建国記念の日」です。 日本という国が 2681年目を迎え、これまで日本の国を守ってくださった先人に対し心より感謝を申し上げます。また皆様と共に日本の建国をお祝いさせて頂きたいと思います。 ■新日英同盟で、中国包囲網強化へ。尖閣防衛、海警法施行、日米豪印クアッド+英独仏。【前編】 https://youtu.be/0b0qzYu3knY 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国海警法の施行で尖閣や南シナ海の危機迫る 中国の習近平国家主席は、バイデン政権の対応能力を試しながら、着々と海洋進出の準備を進めています。 2月1日、中国の「海警法」が施行され、中国の主権や管轄権を侵害する外国の組織、あるいは個人に対して、海警局が「武器の使用を含むあらゆる必要な措置」を取ることを、法律上認めました。 これにより、外国の軍艦や公船に対して、退去を命令したり、強制的な措置を取ったりすることができるようになり、例えば、海上保安庁の巡視船や海上自衛隊の艦船を、海警局の船が攻撃できるということも想定できます。 また、中国の主張する「管轄海域」で、外国が構造物を設置した場合、強制排除することもできます。かつて日本の政治団体が魚釣島に建てた灯台等が念頭に浮かびます。 ◆事実上の「第2海軍」となっている中国海警局 中国外務省の華春瑩(かしゅんえい)報道官は「海警法の制定は正常な立法活動であり、釣魚島(ちょうぎょとう:尖閣の中国名)は中国固有の領土だ。中国は領土主権と海洋権益を守る」と強調し、関連付けています。 既に2018年、海警局は、中国国内の治安維持を担う「人民武装警察部隊(武警)」に編入され、人民解放軍の最高指導機関である「中央軍事委員会」の指揮下に入り、軍との一体化が進んでいます。 昨年の米国防総省の年次報告書によりますと、海警局の排水量1千トン以上の船舶は、2010年以降、約60隻から130隻以上に急増し、新造艦の多くは1万トン級の大型船舶で、ヘリコプターの発着が可能で、30~76ミリの機関砲等の武器を搭載しています。 ちなみに、年次報告書は、中国海警局を、世界で圧倒的に最大の「沿岸警備部隊」になっていると分析しており、事実上の「第2海軍」となっていると言っても過言ではありません。 今回の海警法制定によって、日本の領土である尖閣諸島の危機は、最大級に高まっています。 ◆イギリスのアジア回帰戦略 こうした中国の海洋進出を牽制するために、注目したいのが英国です。 近年、英国は1968年以来の「スエズ以東からの撤退」という戦略を見直し、「アジア回帰戦略」に大転換し、50年ぶりに、安全保障と経済・貿易の両面でアジアへの関与を強めようとしています。 英国の路線変更を決定づけたのは、中国の新型コロナウイルスへの対応、そして昨年6月「国家安全法」を施行し、中国政府が香港を弾圧したことがあります。 2月3日には、日英の外務・防衛担当閣僚のテレビ会議(日英2プラス2)を開き、中国の海洋進出を念頭に、英国はインド太平洋地域に最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を含む空母打撃軍を派遣、自衛隊との共同訓練に合意しています。 更に、中国海警法の施行について意見交換を行い、ウイグルの人権状況についても、重大な懸念を共有しています。 ◆アジア撤退後も残された英連邦の防衛協定 ここで「スエズ以東からの撤退」後の、英国とアジアの関係を振り返ります。 まず英国が引き上げた後のマレーシアとシンガポールの防衛、安全強化のために、1971年に「五か国防衛取極(FDPA)」が締結されました。 英連邦の5か国(イギリス、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド)による防衛協定です。 地道に役割を拡大し、1997年香港返還もあって見直され、中国の南シナ海への進出が世界の懸念となる中、安全保障面での役割を大きくしてきました。 また2019年、ウィリアムソン英国防相が「EU離脱後、アジアに新たな軍事基地を検討している」と明かし、シンガポールが候補ではないかと言われています。 そうすると、南シナ海からインド洋に抜けるマラッカ海峡の守りが強化されることになります。 ◆アジア太平洋地域で深化する日英関係 2020年12月、「五か国防衛取極(FDPA)」の外相で共同声明を発表し、通常戦争の抑止に注力することを確認しています。 英国は現在、機密情報を共有する「ファイブ・アイズ(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)」と「五か国防衛取極(FDPA)」の2つの枠組みを通じて、インド太平洋全域に影響を与える立場にあります。 また、日英関係についても、英国が2015年に策定した「国家安全保障戦略」の中で、オーストラリアやニュージーランドと同じく自由や民主主義の価値観を共有する「アジアで最も緊密な安全保障パートナー」と明記しています。 貿易面では、2020年10月「日英包括的経済連携協定(EPA)」が締結され、2021年1月に発効されており、世界のGDP3位の日本と6位のイギリスが自由貿易でつながることの意義は非常に大きいと言えるでしょう。 ボリス・ジョンソン首相は1月30日、「英国民に莫大な利益をもたらす経済連携を築く」「自由貿易の旗手となる野心を表している」という声明を発表し、翌日には「環太平洋経済連携協定(TPP)」への参加を正式に申請しています。 英国にとって、アジアの経済成長を取り込むことができるメリットは非常に大きいと思われます。 (つづく) ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! https://hr-party.jp/newspaper/application/ ※配信頻度:毎月2回程度 記録的寒波、逼迫する電力不足の真相とは。 2021.02.05 https://youtu.be/p4oW03YhCME (1月15日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆電力の需給逼迫の原因 昨年12月、記録的な寒波の到来で北陸地方では電力不足で停電が起き、暖房をはじめ電化製品が全く使えない状況が起きました。 今回の電力の需給逼迫の原因は、記録的寒波とコロナの影響で「巣ごもり」が増え、暖房需要が急増したこと、さらに大量に導入された太陽光発電が、悪天候でほとんど発電できなかったことです。 しかし、今回の直接的な電力の需給が逼迫した原因は、火力発電の主な燃料となっているLNG(液化天然ガス)の供給が、次のような原因で滞ったからです。 (1)中国・韓国など東アジアにおけるLNG需要の急増 (2)カタール等、LNGの供給国における設備の故障 (3)コロナの影響によってパナマ運河で渋滞が発生しており、LNG船の運航の遅れにより、米国産LNGが入ってこない状況 全国の電力会社は、今回のLNG不足を石炭火力発電所のフル稼働、高価な石油火力のフル稼働、さらに災害時などに応援のために使う「非常用電源車」も駆けつけて、辛うじて電力需要を支えているのです。 政府が進める「脱石炭火力」がもし実現していたら、すでに停電が起きていた可能性もあります。 日本のLNGの調達はオーストラリアや中東、東南アジアなどからの輸入に頼っています。 もし今後、中国にシーレーンを抑えられ、LNGや石油が日本に入ってこなくなった場合には、今以上に危機的な状況が起こります。 ◆燃料の補給が追い付かない状況 今回の電力需給の逼迫は、これまでのピーク時に発電所の能力が足りなくなるという問題ではなく、燃料の補給が追い付かず、発電量が足りなくなるという点で、より深刻だと言えるのです。 つまり、発電所が足りているのに、燃料の輸入が追い付かないという、いわば「兵糧攻め」の状態です。 日本でこうした状況を、まさに大東亜戦争で経験したため、戦後のエネルギー政策では、化石燃料への依存を減らし、原子力発電などで自給率を高めることを目指してきました。 しかし、2011年3月の福島第一原子力発電所の事故以降、全国のほとんどの原子力発電所が停止し、火力発電、特にLNGによる火力発電に大きく偏った供給体制となりました。 とりわけ、最近は地球温暖化対策を理由として石炭火力の段階的廃止が求められ、ますますLNGへの依存が高まっています。 また、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の導入で太陽光発電が爆発的に増加し、電力自由化の影響もあって、経営が難しくなった火力発電所が撤退することも非常時の電源の確保を難しくしています。 ◆バランスの良い電源構成の構築が必要 東日本大震災前、2010年度の電源別発電電力量の割合は、LNGが29%、石炭が28%、原子力が25%、石油等が9%、水力が7%、地熱および新エネルギーが2%となっていました。 2017年度には、LNGが40%、石炭が32%、原子力が3%、石油等が9%、水力が8%、地熱および新エネルギーが8%となっています。 LNGの割合は現在、約40%にまで高まっていますが、LNGは石油や石炭のような長期の備蓄ができず、今回のようにサプライチェーンに支障があれば、供給不足に直結します。 これは、エネルギーの安定供給が、コロナの影響や国際情勢によって大きく影響を受けることを意味しています。 ◆政府はエネルギー政策の見直しを 寒さが続く1~2月、LNGの供給が追い付かなければ発電ができなくなりかねません。 こうした事態を受け、電力会社や電気事業連合会が「電気の効率的な使用のお願い」を必死に呼びかけていますが、政府は「現時点で節電は想定していない」と言っています。 しかし、エネルギーが逼迫しているのは、脱原発や脱炭素など今までの政府のエネルギー政策が招いた結果にほかなりません。 突然の停電が起きれば、非常用の発電機が動かず、人工呼吸器や人工心肺装置などの運用に支障が出るのではないか、との指摘も出ています。 こうした危機的な状況を招いたのは、これまでの「エネルギー政策」の失敗にほかなりません。 日本は今後の不測の事態において、エネルギーの自給体制構築を進め、安定的に電力を供給できる体制をつくるべく、バランスの良い電源構成を構築する必要があります。 同時に、真冬に「計画停電」が起きないよう最悪の事態を回避するために政府には責任を持った対応を求めたいと思います。 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 幸福実現党の最新情報が届く「機関紙愛読者(党友)」にも、ぜひお申込み下さい!! 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