Home/ 2015年 February 2015年 February 日本の海上防衛を考える(5)――中国に支配された南シナ海 2015.02.07 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆中国の海洋戦略 前回、中国が海洋戦略として南シナ海と東シナ海、西太平洋を2020年までに中国の海にする戦略を持っていると指摘しました。今回は、その戦略をもう少し詳細に分析してみましょう。 【前回】日本の海上防衛を考える(4)――中国の海洋戦略 http://hrp-newsfile.jp/2015/1959/ 海洋国家である日本が防衛を考える際に、中国の海洋戦略がどのようなものかを知ることは大変重要なことです。何故ならそれが分かっていれば日本の海洋防衛の対策も立てることができるからです。 中国の海洋戦略は、1997年に発表された「海軍発展戦略」に表れています。過去のニュースファイルでも紹介しましたが、これが分かれば、中国が今後どのような手を打ってくるかがすべて分かります。 【第一段階】2000~10年――「第一列島線」(鹿児島~沖縄~尖閣諸島~台湾~フィリピン~ボルネオを結ぶ線)の内部の制海権確保。つまり「南シナ海、東シナ海」を支配する。 【第二段階】2010~20年――「第二列島線」(伊豆諸島~小笠原諸島~グアム・サイパン~パプアニューギニアを結ぶ線)の内部の制海権確保。つまり「西太平洋」を支配する。 【第三段階】2020~40年――太平洋、インド洋で米軍と制海権を競う。つまり、南シナ海、東シナ海、そして西太平洋を段階的に「中国の海」にする。 【第一段階】は、計画から少し遅れている感はありますが、【第二段階】は、2006年から西太平洋の沖ノ鳥島近海で海洋軍訓練が行われ前倒しで進行しています。 そして西太平洋での海洋軍事訓練は、毎年回数を増やし、規模も大きくなっています。昨年の小笠原諸島での中国漁船のサンゴ密漁も中国当局の指示によるものです。 ◆南シナ海の支配は最終段階へ 話は戻りますが【第一段階】は少し遅れているようですが、南シナ海の支配は最終段階へ入りました。 昨年5月フィリピンは、自国が領有を主張していたスプラトリー諸島(南沙諸島)で7つの岩礁のうち6つの岩礁を中国が埋め立て軍事拠点化していると発表しました。 さらに中国は永暑島に人工島をつくり飛行場や軍艦の受け入れが可能な港も建設中であると米国防当局が分析しています。(11/23世界日報) 今年に入って2月4日には、フィリピン外務省が同国の排他的経済水域スカボロー礁(黄岩島)で、中国当局の船がフィリピンの漁船に意図的に衝突したとして中国に抗議しました。(2/5産経) ◆中国の軍事支配の手口 まず漁船を出して相手を挑発して、今度は軍艦を出して力で抑え込んで島を支配する、岩礁の場合は埋め立てで人工島を造って軍事基地化する、これが中国のいつもの手です。 一方でベトナムが領有を主張する南シナ海のパラセル諸島(西沙諸島)では、昨年5月~7月に中国が一方的に石油掘削を行いました。 8月には中国の『環球時報』が、パラセル諸島のウッディ―島(永興島)に航空滑走路の拡大工事を完成させたと報じました。「この滑走路は爆撃が飛び立てる」ことができ力による実効支配が進んでいます。(10/9産経) 9月23日には『中国中央テレビ』が、中国の海・空軍、第二砲兵(戦略ミサイル部隊)が合同で、南シナ海で大規模な合同軍事訓練の模様を報じました。 その際に中国軍関係者は「フィリピンやベトナムを威嚇するのが狙い。南シナ海の軍事基地建設に向け、拠点確保は早い者勝ちだ」と述べています。 パラセル諸島やスプラトリー諸島は、「三沙市」として中国当局が移住を推進し、「島民」には、1日40元(800円)の『駐島手当』が支給され、スーパー建設など生活支援なども着々と進めています。(1/7日読売) フィリピンは、中国への対抗策として仲裁裁判所に提訴し国際社会にアピール、昨年4月には中国に対抗するため米国と新軍事協定を結びました。 フィリピンにとって、軍事力にものを言わせて話し合いが成立しない中国に対する一番の対策は米国との軍事協定だったのです。 こうして中国の【第一段階】南シナ海の支配は最終段階に入っていますが、東シナ海についても、すでにその支配は進んでいます。今後、東シナ海では南シナ海で起こったことと同じことが起こるでしょう。 次回、東シナ海と西太平洋で何が起こっているのか、また今後何が起こるのかを見ていきたいと思います。 (つづく) 宗教政党の強みを生かす…地域防災への取り組みの実例 2015.02.06 文/HS政経塾第一期卒塾生 彦川 太志 ◆天意の現れる国土 初めに、古事記に収録されている大和武尊の和歌を紹介いたします。 「やまとは 国のまほろば 畳(たた)なづく 青垣(あをがき) 山隠(やまごも)れる やまとし美(うるは)し」 これは、日本武尊が遠征の後、都のある大和に帰還した際に故郷の美しさを詠んだと伝えられる和歌です。 たった数行の文章ですが、眺めているだけで「神仏の愛される国・日本」の原風景が想起されてくるような、豊かな霊感溢れる和歌だと言えます。 私たち日本人にとって、この国土の風景は、その時代ごとの「天意」を感じ取る鏡でもありました。 本年は阪神大震災からちょうど20年に当たるということもあり、年初から防災に関心が向く一年となっていく気がしております。 そこで、今回は地元・鎌倉後援会の地域防災への取組について、ご紹介させていただければと思います。 ◆鎌倉後援会の取り組み 2014年10月、暴風と豪雨を伴う台風18号が関東に上陸し、首都圏の広い範囲で水害が発生しました。幸福実現党鎌倉後援会のある鎌倉市内でも、市内各所で水害が発生しました。 特に被害が大きかったのは、JR大船駅の周辺です。折からの豪雨で駅の裏手を流れる柏尾川が増水し、川へ流れる排水が逆流するという現象が起こりました。 幸いにして雨天は短時間で止み、冠水も午後には回復いたしましたが、道路に散乱したゴミの撤去活動や、冠水した商店街のゴミ出し支援活動を鎌倉後援会として実施いたしました。 地域の皆様からの感謝の声に励まされつつ、ボランティア活動の実施後、災害の予防について後援会メンバーが情報収集に取り組み、道路冠水がなぜ起こったか、原因を探りました。 その結果、河川増水による道路冠水への対策は、河川、下水、道路などいくつかの部署に分かれており、統合した対策が立てられていないということが見えてきたのです。 柏尾川は過去2004年の台風でも逆流現象が起こっているため、地域発展の阻害要因となっております。実効的な水害対策が実現されるよう、地域の皆様と協力しながら行政に働きかけて行きたいと考えています。 ◆地域のつながりが防災力の基礎 鎌倉後援会のある大船は、人情の街でもあります。近隣の自治会長は、「向こう三軒両隣的な、人情のある街にしたい」というビジョンを語っておられました。 少子高齢化が進む社会にあっては、少しでも人と人との繋がりをつくっておくことが、防災のみならず、防犯や孤独死対策につながると言えるでしょう。 また、普段からの話し相手をつくることで、若い世代であっても子育てや教育問題について解決の糸口を掴めるかもしれません。 冒頭紹介した、日本武尊の「やまとは国のまほろば…やまとし美し」という和歌も、神仏に愛されるような、「人と人の美しいつながり」を詠んだ歌なのかもしれません。 人間誰しも、「孤独」に勝る苦しみはないものです。東日本大震災で問題となったのも、避難生活におけるプライバシーと孤独の問題ではなかったでしょうか。 「美とは、存在の恵みないし愛なのではないだろうか」という言葉※があります。 宗教政党である幸福実現党は、相手のご意見に耳を傾けることはもちろん、言葉にならない「心の声」にも傾聴する姿勢を持った政党です。 鎌倉後援会は、人と人との温かみある関係が希薄になっていると言われる現代において、少しでも地域の潤滑剤になっていき、美し麗し、大和の国の復活を後押したいと考えています。 ※参考文献 『美について』今村友信 講談社現代新書 「要注意“ピケティ”ブームに備えよ!」【後編】 2015.02.05 ※今注目されている経済学博士ピケティの「格差と貧困の新理論」について、幸福実現党・政務調査会長の江夏正敏メルマガから、前回に引き続き後編をお送り致します。 文/幸福実現党・政務調査会長 江夏正敏 ◆投資にリスクが伴うのは当然 資本は新しい事業に投資されていきますが、すべてが成功するわけではありません。 ピケティ理論では、「持てる者(資本家)はさらに与えられる」としていますが、投資にはリスクが伴います。 国民の給料の伸びよりも、資本家の投資の方が、儲けの伸び率が高いのでケシカランということですが、リスクに見合う高い収益がないと、だれも投資をしようとしません。 投資しなければ、新たな会社もできず、雇用もなく、失業者が増えてしまいます。お給料そのものがなくなってしまうのです。 これからは、宇宙とか、医療とか、海洋とか、ロボットとか、いろいろな未来産業の可能性がありますが、膨大な投資資金が必要となってきます。 その投資に成功すれば、多くの人が潤います。しかし失敗すれば、すべてが無くなってしまいます。 いろいろな企業家が出てきて、資金を使ってチャレンジしていく中に、未来が切り開かれていきます。その中で、労働者の給料も確保でき、また給料もアップしていくのです。 ちまちまと「格差格差」と怨嗟の声を助長するのではなくて、企業を、国を、世界をダイナミックに発展させていく発想の方が、国民や人類を幸福にしていきます。 ◆財産権の侵害、自由の危機 ピケティは、相続税の強化や、資産、資本に課税を提唱していますが、根本的に財産権の侵害であり、憲法違反です。 人間にとって普遍的な価値である「自由」を確保するためにも、私有財産は最後の砦となります。 政府が国民の財産を収奪、没収した場合、国民は生きるために「国家」の言いなりにならざるを得ません(私有財産がなくなると、政府に見捨てられたら生きていけないので)。 ピケティの発想自体が、社会主義的なので確信犯としか言いようがありませんが、社会主義的発想は、独裁国家へとつながっていくので要注意です。 ◆富の拡大が必要(グリーンスパン元FRB議長) グリーンスパン元FRB議長も、ピケティ理論に対して「それは資本主義のやり方ではない。何かほかの手法だ」 「システムが非常に複雑化しているとはいえ、生活レベルを向上させるのは経済に占める資産や富のシェアが拡大したときだ」と述べています。 やはり、パイの奪い合いではなく、新たにパイを焼くことで、生活レベルが向上すると言っているのです。 ◆成功者を肯定せよ(コーエン教授) また、ジョージメイソン大学のタイラー・コーエン教授も「最も成功している市民への法的、政治的、制度的な敬意と支援がなければ、社会がうまく機能するはずがない」「富裕層の富の拡大は戦略的なリスクテイクが必要で、想像以上に難しく、淘汰も多い」と述べています。 成功した人を、悪人のように見なして、課税を強化することは、社会の発展の要因を阻害します。 ◆国家の役割 国家の役割は、「機会平等」の環境を整えることであり、「努力した者が報われる社会」を創ることです。所得の再分配という「結果平等」は、国民のやる気を失わせ、国家を衰退させます。 幸福実現党は「小さな政府」を目指し、国民がイキイキと充実した人生を送る幸福を味わっていただくことを目的としていますので、単なる所得の再分配には反対します。 相続税の強化も反対です。なぜ、財産を持っているだけで、国家に収奪されなければいけないのでしょうか。 ◆唯物論的!? 「ピケティは不平等の統一場理論を発見した」と称賛されています。 しかし、過去200年以上の欧米諸国のデータを分析して、このままでは格差拡大が必然であるとして、税金を使って悪平等の世界をつくろうとしています。 とてもフランスの左派にありがちな唯物的な傾向が感じられ、人間を本当の意味で幸福にするとは思えません。 ◆企業家精神と騎士道精神、そして宗教心 やはり、富を創りだす企業家精神を持った人々を称讃し、努力する者が報われるようなチャンスの平等が約束された社会こそ、健全に国が発展してきます。 世界はまだまだ発展してきます(ピケティは発展は止まったと感じているようです)。大きなビックプロジェクトに取組み、未来産業を打ち立てねばなりません。 資本の収益率が大きいことは良いことです。そのことによって国民の所得も向上していきます。 かつてのアメリカン・ドリーム、そしてジャパニーズ・ドリームを目指して、成功者を多く出すことが国民全体を豊かにしていきます。 成功者に罰則(課税強化)を与えるような、社会システムにしてはいけません。さらに、成功者は倫理的・宗教的な騎士道精神をもって、社会に富を還元するように努力する使命があります。 成功者であるからこそ、お金を有効に使うことができるのです。そこに成功者(大富豪)の修行の道があるのです。 ピケティは「貧しい人にも教育を受ける権利を平等に」と訴えていますが、それに対して異存はありません。だからと言って、短絡的に課税強化をすべきではありません。 貧しい人に対する教育については、成功者が奨学金などを充実させるなど、慈善事業の奨励をすべきでしょう。 もし、成功者が我利我利亡者のようになったら、いずれその成功は終わるでしょう。 やはり、国民に倫理・宗教心をしっかりと根付かせ、その上で「小さな政府」「機会の平等」「安い税金」を目指せば、国民を幸福にすることができると確信します。 ◇江夏正敏の闘魂メルマガ登録(購読無料)はこちらから https://m.blayn.jp/bm/p/f/tf.php?id=enatsu 「要注意“ピケティ”ブームに備えよ!」【前編】 2015.02.04 ※今注目されている経済学博士ピケティの「格差と貧困の新理論」について、全2回で、幸福実現党・政務調査会長の江夏正敏メルマガからお送り致します。 文/幸福実現党・政務調査会長 江夏正敏 ◆“ピケティ”ブーム ピケティの『21世紀の資本』という本が売れています。そして、書店ではピケティコーナーが拡充され、マスコミでも、特に朝日系やNHKで持ち上げられています。 ピケティは何を主張し、世界にどのような影響を与えようとしているのでしょうか。私は経済学者ではないので、精緻な議論をするつもりはありません。 しかし、政治に携わる者として、国民・世界人類を幸福にするかどうかは大問題となります。 ◆ピケティの主張 では、ピケティは何を訴えているのでしょうか。 簡単に言うと「資本主義には根本的に矛盾があり、貧富の差が拡大してしまう」、つまり「このままでは格差が広がる」と訴えています。 それで、格差を無くすためには、(1)累進課税の強化、(2)資産や相続税への課税強化、(3)世界各国の協力による「資本税」の創設を提唱しています。所得の再分配です。 そのためには「世界各国の政府が協調して、個人の“金融情報を共有”しなければならない」とも言っています。 ◆マルクスと同じ!? 「ピケティは、マルクスには影響されていない」とか、「21世紀の資本主義を守るため」と言われていますが、単純に見れば、マルクスと同じ結論です。 もっと俗っぽく言えば「相続税をもっと取れ」「資本家からもっと収奪せよ」「金持ちが悪いんだ」となります。 ◆ピケティ理論を実践すると ということは、ピケティ理論を実践した国は貧乏になります。国は発展・繁栄しません。いかにマルクスとの関係性を否定しても、結論が同じなのですから。 マルクスの理論を実践したソ連、東欧などの東側は、すべて没落したので、歴史的に実証済みです。 さらに個人情報を全部把握し、資産を管理するために、巨大な徴税権を持つ官僚独裁国家への道に入ってしまう危険性があります。 ◆ピケティの位置づけ ということで、朝日系やNHKが持ち上げている段階で、ピケティの素性がわかってしまうのですが、フランス社会党の経済顧問をつとめているので、一般的には中道左派とされています。 つまりピケティ理論は、大きな政府を目指すので左翼が喜びます。さらに、増税理論なので財務省が喜びます。 ピケティ理論は、国を貧しくする危ない経済理論ということなのです。 ◆ピケティ理論の問題点 ピケティ理論は、今まで学者が手を付けていなかった「各地方に残る古文書」を発掘し、20カ国以上の200年間のデータを駆使しているので、反対派も決定打が出せず、各方面で賛否両論が巻き起こっています。 少し雑にはなるかもしれませんが、ピケティ理論、もしくはピケティ理論から導き出される今後の政治的動きを予想して、問題点を指摘していきたいと思います。 ◆資本主義で豊かになった 資本主義では格差が広がると言っているのですが、もっと大きな時間で見ると、昔の単純な農耕社会では、一部の王侯貴族を除いて、多くの人は貧しかったはずです。 当時は、格差はあまりなかったでしょう。産業革命が起き、富を集中して工場などを造り、大規模・効率的に事業が回り始めて、膨大な富が創造されていくと、国全体が豊かになって行きました。 発展段階においては、劣悪な労働環境の問題などもあったかもしれませんが、資本主義のおかけで、国民が豊かになったのは事実です。 ◆「大きな政府」は社会主義への道 資本主義は便利で効率的なシステムであって、善悪の問題ではありません。それは、資本(お金など)を集中して、大規模な事業を興し、多くの富を生み出すことができるのです。 その際、その便利で効率的なシステムを、正しく使うための倫理が必ず必要となります。 今の資本主義には倫理が必要なのであって、税金で吸い上げて再分配する「大きな政府」は、社会主義そのものとなり、人間を幸福にしません。 ◆相続税、資産・資本課税、累進課税の強化は、大企業が弱まり雇用不安を生む また、資本の集中によって、大きな事業が可能となり、多くの雇用を生むことができます。 社会保障の究極は、国民に職があるということです。大きな会社は、それだけ多くの人を雇うことができます。ありがたいことです。 しかし、ピケティ理論の結論からは、累進課税、相続税、資本課税を強化していくことですから、大きな事業を継続しにくくなり、小さなお店ばかりが生き残るようになってしまいます。 これでは、国の発展・繁栄は難しく、国民を養うことができなくなります。 (つづく) ◇江夏正敏の闘魂メルマガ登録(購読無料)はこちらから https://m.blayn.jp/bm/p/f/tf.php?id=enatsu 日本は中東から決して退いてはいけない! 2015.02.03 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆日本政府は二人の日本人の死を無駄にしてはならない 冒頭に、今回「イスラム国」の人質となって殺害された湯川遥菜氏、後藤健二氏へのご冥福を心からお祈り申し上げます。 さて、今回の人質事件を通じて、誘拐やテロに備え、重点地域への防衛駐在官の集中配置、在外公館の情報収集力強化の必要性など、在留邦人を守るための議論が活発化してきました。 また、安倍首相においても、3日の参議院予算委員会で日本人を自衛隊が救出できるよう憲法9条を求めた野党議員に対して「自民党は既に9条の改正案を示している。なぜ改正するかと言えば、国民の生命と財産を守る任務を全うするためだ」と述べ、前日の消極的な姿勢とはうってかわって、憲法改正への意欲を表明しました。 是非とも、今回のお二人のご無念が無駄にならないよう、あるべき安保法制のかたちを今国会において道筋付けて頂きたいと思います。 ◆「イスラモフォビア(恐怖症)」増殖の危険性 今回の人質事件を通じて、もう一つ考えるべきは、国内における「イスラモフォビア(恐怖症)」の増殖を防ぐことです。 実際に、歴史的にイスラムと関係が深いヨーロッパでは、イスラム・テロの頻発やイスラム教徒の移民増加に伴い、10年以上前からイスラモフォビアの広がりが叫ばれ、1月初旬フランス・パリで起こったイスラム過激派による「シャルリー・エブド襲撃事件」に対する「反イスラム・テロ」デモでは、フランス史上最大規模といわれる約370万人が参加しております。 また、フランスでの事件を受けて、ドイツでも移民排斥等を訴えるデモが勃発し、「反イスラム」を訴えていたのは記憶に新しいところです。 今のところは「イスラム国」と一般のイスラム社会は分けて考えるべきという論調が主流のようですが、欧米的価値観の影響が根強い日本メディアにおいて、今後の展開次第で徐々にイスラム自体への排他的な論調が出てくることも考えられます。 また「イスラム国」に関しても、日本人の立場からすれば、今回の行為については断固許し難いのが当然の感情でありますが、中東・イスラム圏について学ぶ者として冷静に観察すると、歴史的・思想的に「イスラム国」が掲げる大義が「全くのデタラメ」かといえば、必ずしもそうとも言えない点があることもまた客観的な事実であります。 今まで大半の日本人からすると、中東は「遠くて縁の薄い地域」で、「砂漠」や「石油」「アラブの大富豪」「テロ」といった非常に表面的なイメージしか持っていなかったのが実情かもしれません。 しかし、今回の事件を通じて教訓を得るとするならば、日本人独自の目線から「中東・イスラム圏」に対して、国民広く目を開き、本質的な理解を深めていくことにあるのではないでしょうか。 ◆日本の積極的な中東外交は日本・中東諸国双方の国益と明るい未来に通ずる 一部の識者の中には、「日本は(外交的に)中東にそんなに深く関与しない方が良い、またはする必要がない」という意見を持つ方もいます。 ただ、今回の一件で腰が引けてしまうことなく、積極的な中東外交を仕掛けていくことこそ、日本・中東イスラム諸国お互いの国益に繋がり、世界の安定に直結すると言っても過言ではありません。 例えば、中東地域で産出される原油・天然ガスが日本のエネルギー安全保障を支えているという事実があります。 エネルギー資源の90%近くを中東に依存している現状を鑑みれば、この地域の安定化に日本の国益が掛かっている状況にあり、そもそも無関心ではいられません。 また、人口が激増する中東・イスラム市場は日本企業にとっては宝の山であると同時に、「人材」をしっかり育てる日本企業の更なる進出や政府の経済支援によって、中東に新しい発展の種を植え付けることになり、双方の経済的発展に繋がっていきます。 過激志向の強いジハーディストが増えているのも、根本的にはイスラム教の教えに根差す問題ではありますが、副次的には貧困の増大や高い失業率、無償での極端なイスラム教育などといった、経済的、教育的要素が多分に影響していることからも目を背けてはなりません。 このように日本の産業力、技術力、教育力は、イスラム圏の根本的な改革にも繋がっていくのです。 ◆「サムライ精神」の発揮によって、中東における中国の野望を打破せよ 更に、ほとんどの識者やメディアは言及しておりませんが、中国の中東外交は彼らの覇権戦略に深く繋がっている事実があります。 激化する欧米とイスラム圏の対立の間隙をぬい、漁夫の利を得つつ、イスラム圏を手なずけようとしている中国の野望が浮き彫りになっています。 (このテーマについては、HRPニュースファイルで何度か配信させて頂いておりますので、そちらをご参考頂ければと思います。参考:「イスラム圏で止まらない『中国の進撃』」http://hrp-newsfile.jp/2014/1774/ 「アメリカVSイスラム圏を取り込んだ中国」の構図――日本の中東外交がカギを握る」http://hrp-newsfile.jp/2013/668/) しかし、日本には、中東イスラム圏において中国が絶対に勝てないカードを持っています。 それは「絶大なる信頼と尊敬」というカードです。 その信頼と尊敬心は何処から来るのか―― それはこれまで中東の地で彼らの信頼を勝ち取ってきた企業マン、政府関係者の皆さんの汗と努力の賜物でありましょう。 また、遡れば明治から戦前までの日本を守り抜いた先人たちの「サムライ精神」のおかげでありましょう。 日本外交にそうした「サムライ精神」を取り戻し、欧米とイスラム圏の対立に「正義」と「公正」の柱を立て、融和を図ることが出来たならば、中国の覇権主義は自然と中東において打破されることでしょう。 富裕層を脅かす累進課税、努力した者が報われる国家へ! 2015.02.02 文/幸福実現党・神奈川県本部副代表 HS政経塾第4期生 壹岐愛子 ◆現代のマルクスが日本で累進課税推進を提言 『21世紀の資本』で、全世界で注目を集めているフランスの経済学者トマ・ピケティが初来日し、各所で「格差のない社会のための累進課税の強化」を提言しております。 彼の主張に対して日本でも賛否が分かれておりますが、今後、税金を国民から吸い上げたい財務省はじめとする役人官僚が、ピケティ論を錦の御旗にし、日本の富裕層に対しての累進課税をさらに加速していく危険性があります。 しかし、ピケティの御膝元であるフランスでは、2013年に最高税率75%を課税し、その後850社の企業が海外に本社移転し、ベルギーに216人が移籍しました。 結局、成長率0%台、失業率が10%を超える状況は変わらず、逆に、大量の国富が流出され、2015年年初から政策を転換せざるおえなくなっております。 ◆高所得者と政府の愚かな争い 日本はどうでしょうか。 2015年1月より、所得税の累進課税は6段階から7段階制度に変更になり、新たに4000万円超える所得に対して最高税率45%、住民税とあわせると55%の税金を払う制度になりました。 最高税率55%は先進国でもトップクラスです。 日本は今、江戸時代にあった収穫の半分を年貢として納め、残りの半分を農民のものとする「五公五民」を超える重税に耐えなければならず、富裕層の財産を脅かす国家になっています。 この結果、日本の大手企業の経営陣も国外に移住する傾向にあり、シンガポール、香港、スイスをはじめとするタックスヘブンと呼ばれる租税回避地への移住が進んでおります。 富裕層は、税負担の軽い国に移住して保有する株式等を売り、売却益への課税を逃れていました。 こうした富裕層の海外移住を受けて、政府は今年の7月から富裕層の税逃れ対策として、移住する時点で「含み益」に課税する方針です。 まさに政府と富裕層との壮絶な節税バトルが行われており、優秀な人達が節税対策という国を富ませる方向ではないことに労力を使っています。 今回の制度変更は、低所得者の負担増が強い消費税を増税していくのに対して、高額所得者の税負担を強化するのが狙いですが、日本の発展にとってこの路線は正しいのでしょうか。 ◆累進課税制度の問題点 ここで累進課税制度の問題点について確認します。 まず1つ目に憲法29条にある「財産権をおかしてはならない」の私有財産の自由を脅かす制度です。 近代にとって財産権とは身分的平等の保障を守る生命線です。個人の経済的自由である、私有財産を守ることが、民主主義国家の前提なのです。 2つ目に差別的税制である点です。 人によって税率が異なることは、努力する者が報われる制度とは言えません。 結果平等、格差是正のために、稼いでいる人からはお金をとってもよいという理論は、稼ぎの多い人を差別的に扱っています。「貧しい人々に分配する」「所得再分配」をお題目とする政策は社会主義的な政策に他なりません。 3つ目に民主主義の多数決の原理を悪用しております。 富裕層も低所得層も一人一票を与えられており、多数者の原理の中で、富裕層は必ず負けてしまいます。 政治家は自分達の票取りのために所得層の大半である低中所得層が喜ぶような政策を掲げ、非課税の最低レベルの幅を上げてきました。 日本では低所得者の課税率は先進国で特に低く、所得350万以下の層は殆ど所得税を払っておりません。(但し日本は所得税以外にも60種類以上の税金があり、低所得者の税負担が少ないとは一概に言えません。) 累進課税制度は多数者の専制をもたらし、結果として国家を衰退させているのです。 ◆税制のフラット化を目指し、日本の国富流出を防ごう! 高度な累進課税の根底にある心理は「富裕層への嫉妬心」です。 長年、税金の「一律一割」を推奨している渡部昇一氏は、累進課税に対して「ふつうの人間関係では恥ずべき劣情を、社会正義という名で堂々と公表」していると述べております。 一律平等な課税制度は、国民の勤労意欲をかきたてるだけでなく、海外から富裕層を引き寄せることにも繋がります。 当たり前のように努力した人が報われる社会を築いていかなければ、日本の国富流出による衰退は免れないでしょう。 幸福実現党は立党以来、税制のフラット化を推進しております。 フラット化を導入し、私有財産を守り、税逃れではなく、税金を払うことを「国民としての義務」と思って誇りをもって努力する人を増やしていくことが必要なのです。 参考書籍:『税高くして国亡ぶ』渡部昇一著/出版社: ワック 戦闘機の自主開発、日本は自信をもって進めよう! 2015.02.01 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆平成のゼロ戦「心神」(しんしん)の試験飛行が迫る 国内外の注目を浴びていたステルス実証機「心神」(しんしん)の試験飛行が、いよいよこの4月に迫ってきました。 「心神」は、防衛省の委託を受けた三菱重工、IHIが中心となり、次世代の主力戦闘機として、国防関係者の大きな期待を受けて平成22年度から開発に着手したものです。 中でも、今回IHIが開発に成功したジェットエンジンは、敵のレーダーに映りにくいステルス性能を備え、国産が難しいと言われてきたものです。 また防衛省は、国産戦闘機の導入によって4兆円の新規事業が生まれ、8.3兆円の経済波及効果と24万人の雇用創出効果があると試算し、経済面でも大きな貢献となることが分かりました。 ◆大東亜戦争では、世界最先端の戦闘機開発能力 大東亜戦争の時の日本は「ゼロ戦」「隼」など世界最新鋭機の開発に成功しました。 開戦時の真珠湾攻撃では、空母を運用して飛行機で敵の基地の破壊に成功し、さらに続くマレー沖海戦では、海軍国イギリスを代表する最新鋭艦「プリンス・オブ・ウェールズ」が日本の航空部隊によって撃沈されました。 こうした緒戦での日本の大躍進は、我が国が世界最先端の戦闘機開発能力を持つ証明ともなり、欧米諸国に大きなショックを与えることになりました。 戦争の終盤には、同盟国であるドイツが開発した世界初のジェット戦闘機「メッサーシュミット」の断片的な設計図を頼りにして、「橘花」という国産のジェット戦闘機の実用化にも成功しています。 これは、当時としては驚異的な出来事でした。 ◆連合国側による日本航空機産業潰し 最終的に日本は連合国側に敗れたものの、欧米諸国は、日本の様々な軍事技術についても、底知れない恐怖心を持ち、この復活を最大限妨げることを大きな目標としました。 そして米国は、7年余りの占領期間に、日本の技術開発能力を潰すために、以下の政策を実行しました。 1、憲法9条に「戦争放棄」を明記、武器の製造を禁止した。 2、財閥(大企業)を解体し、重工業の復活を妨げた。 3、飛行機の開発を法律で禁止した。(米国製飛行機の下請けについては可能) およそ7年間の占領の後に、日本は独立を果たしましたが、この間にジェットエンジンなどの技術革新が大きく進み、世界レベルの技術との間には、埋めることができない溝ができてしまいました。 乗用車などの多くの分野において、技術開発力をいかんなく発揮し、世界のトップクラスの地位を占めることができました。しかし旅客航空機の開発については、「YS-11」の取り組みが注目されましたが、全般的には、厳しい状況が続きました。 また、1980年代の中曽根内閣の当時、FSX(次期主力戦闘機)選定の際、自主開発の方向で計画が進められていましたが、米国側の強硬な働きかけの結果、自主開発を断念し、「共同開発」という形で決着しました。 さらには、国内では、左翼の平和勢力や、マスコミの影響で、戦闘機の自主開発に対する大きな反対運動も広がっていました。 このように、日本の戦闘機自主開発については、国内外からの大きな抵抗があったのです。 ◆戦闘機自主開発の必要性が高まる さて、以上のとおり、日本は米国の下請けになるか、日米共同開発という形で、自主開発を行うことができませんでした。こうした環境の中で、戦闘機開発についても、日本の政治指導者たちは自然に米国頼りになっていきました。 現在、日本における主力戦闘機は、米国のF15です。この戦闘機は、かつて世界最強と言われ、湾岸戦争の時点で負けた事がありませんでした。 しかし、現時点での世界最強は、米国がその次の主力戦闘機として開発した、「F22」(愛称ラプター)です。この戦闘機には、「ステルス技術」を含めて最高水準の技術を使っており、当然のことながら日本は防衛の要として、米国に対して購入の要請を行いました。 ところが、米国オバマ政権では、このF22のラプターの売却を拒否しました。 日本だけでなく、イスラエル、オーストラリアへの売却を断っており、ステルスが最新鋭の技術であるので、他国への流出を懸念している事や、米国内の防衛の考え方が大きく変わってきた事が影響したのです。 こうした判断の結果、日本も次期主力戦闘機を自主開発する必要に迫られたのです。 ◆「国防強化」という明確な国家ビジョンを推進しよう さて、私たち幸福実現党が訴えてきたように、中国習近平主席による覇権主義が拡大しています。 日中間の懸案となっている尖閣諸島近海にも、先月数回にわたり中国軍機の飛行が確認されており、この傾向は今後、益々増加していくことが予想されています。 また米国も「世界の警察官」としての役割を放棄する事を掲げました。その結果、中東ではシリアや「イスラム国」、アジアでは中国がその覇権主義を拡大しつつあります。 安倍政権は、幸福実現党と同様に国防強化を訴えていますが、「国民の生命と財産を守る」という立場から、今後も憲法改正などの法的な整備と同時に、戦闘機についても、今回の「心神」から始まる自主開発への道を推進することが大切です。 国民の皆さまには、ぜひ、ご理解をいただきますよう、お願いいたします。 すべてを表示する « Previous 1 2 3