Home/ 2012年 May 2012年 May 中国大使館元1等書記官を書類送検――一刻も早く「スパイ防止法」を制定せよ! 2012.05.31 「百戦百勝は善の善なるものにあらず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。」 これは『孫子』の諜攻篇にある戦略であり、中国人が三千年来心掛けてきた戦い方だと言われています。 「戦わずして勝つ」ことで、自らの損害を出さず、かつ相手の富も損なうことなく、そっくりそのまま手に入れることができます。そのため、中国は世界中での外交交渉・諜報活動に大きな力を入れています。 5月31日、東京の在日中国大使館に勤務していた元1等書記官が4年前、外交官の身分を隠して外国人登録証を不正に入手していたとして、警視庁は外国人登録法違反などの疑いで書類送検しました。(5/31 NHK⇒http://goo.gl/PNpgU) 李春光書記官は、人民解放軍の諜報機関の出身者で、松下政経塾にも海外インターンとして在籍したこともあります。農水省の副大臣室に出入りし、中国の国有企業を日本に紹介するなど、農産物の対中輸出促進事業に深くかかわっていました。 鹿野農相グループの衆院議員の公設秘書(当時)が代表を務める協議会が李書記官と深いつながりを持っており、この代表を通じて農水省の内部資料(3段階で最も機密性の高い「機密性3」も含む)を把握し、諜報活動をしていたようです。(5/30 読売⇒http://goo.gl/KL1J1) このような問題が出て来た際、必ずボトルネックになることがあります。それは、日本には「スパイ防止法」がないということです。 かつて昭和60年に自民党が国会にスパイ防止法案を提出しましたが、廃案になっています。日本に「スパイ防止法」が存在しないことで、どのような問題が発生しているのでしょうか。 (1)国家機密の流出を止めることができない 国家機密を守る基礎として、国家公務員法や自衛隊法などの公務員の守秘義務規定はありますが、そもそも秘密の保護を目的としたものではないため、漏えいした秘密の内容や程度が問われません。 例えば、昭和55年におきた自衛隊スパイ事件で、主犯の元自衛隊幹部宮永は、ソ連に秘密情報を売り渡していたにもかかわらず、万引きやコソ泥と変わらない、たった懲役一年でした。また、国家意識が希薄な民間人がスパイ行為に協力したとしても、罰することができません。 (2)そのため、他の法律で取り締まるしかないが不十分 2007年に中国人技術者に製品の図面データを大量に盗まれながらも、データが競合関係にある組織に渡ったことを立証できなかったために起訴を断念せざるをえなかった「デンソー事件」を契機に、2009年に軍事スパイ行為を抑制する改正外為法、産業スパイを抑制する改正不正競争防止法が成立しました。 しかし、現状は逃げる強盗の車をスピード違反でしか取り締まれないと言われているような状態で、スパイ行為の取締りの限界が指摘されています。 冷戦時代、スパイにとっての世界三大マーケットは「東京、ベルリン、ベイルート」と揶揄され、ソ連軍の情報部将校、スヴォーロフは「日本はスパイ活動に理想的で、仕事が多すぎスパイにとっては地獄だ」と語っていたそうです。 先日、孔子学院(中国語や中国文化を広めることを名目にしているが、スパイ機関である可能性が高いと言われている。日本の大学にも数多く開設されている)に対して、米国務省が中国人教師のビザ更新を認めず、小中学生向けの指導を禁じるなどの内容の通達を発表しました。(5/26 産経⇒http://goo.gl/cAkv0) 結果的には、一週間余りで通達が撤回になりましたが、スパイ組織に対する毅然たる対応は、米に学ぶべき点があります。 一方で、孔子学院がスパイ組織であることを分かっていながらも、経済的関係から信念を貫き通せなくなっているのが、弱体化し、中国に対して弱腰になっている米国の現状でもあります。 だからこそ、日本がスパイに対する防止策を強化し、毅然たる態度を示さなければなければならないのです。 中国政府の靖国神社参拝に関する内政干渉問題や尖閣諸島の「核心的利益」発言、また国内で行われている「脱原発」をはじめとする左翼運動や沖縄での「反米軍基地活動」などは、「戦わずして日本を併合する」ための工作の一環です。 スパイは、多くの人々の知恵と努力の結晶を盗み、それらを軍事転用するなど、自国の利益のみを追求しています。政府は防衛と外交に関する国家機密を守ると共に、他国にも悪を侵させないことも考えるべきです。 日本は「スパイ防止法」を一刻も早く制定し、国際的に見てあまりにも非常識な状況から早急に脱すべきです。(文責・HS政経塾1期生 湊侑子) 「下山の思想」は世界にもあった!脱成長論の危険性を斬る 2012.05.30 村上龍氏が主宰するメールマガジンJapan Mail Media(以後JMM)で「経済成長と幸福」を扱ったテーマがありました。詳細はこちら⇒http://bit.ly/N9QxyL 成長期に必ず出てくる脱成長論 上記のメルマガでは、大方成長を肯定する意見が多く出ていますが、巷では「下山の思想」をはじめとする「脱成長論」が蔓延しています。こうした議論は古くからあり、決して新しい話題ではありません。 例えば、1970年代の高度経済成長期には公害や都市過密化などが社会問題化したことを受け、「くたばれGNP」という議論がありました。80 年代に入ると、いわゆる「バブル経済」期に中野孝次氏の『清貧の思想』がベストセラーとなる現象が起きました。 もう一つ例を挙げれば、1970年代にローマクラブが「成長の限界」というレポートを出し、20年間で石油資源は枯渇するため、成長には限界があると予測しました。現実は、全く逆であり、彼らは技術革新の効用を見落としていたわけです。 幸福を指数化する試み 近年では、ノーベル経済学者のJ・スティグリッツとアジア人初のノーベル経済学者であるA・セン教授は、GDPは極めて不完全な会計であり、人間の幸福度を測る指標を作成することを研究しています。実際、フランス政府は二人の教授を招聘したほど力をいれています。 日本でも1973年に経済審議会がNNW(Net National Welfare 国民純福祉)の導入を試みました。GDPには含まれない公害や個人の余暇の経済価値を金額に換算して評価する手法です。 ただし、指標を作成する際の基準が曖昧であり、指数化することが難しいため、NNWは「なにがなんだか分からない」と揶揄され、結局失敗に終わっています。上記二人の教授が進める研究は、果たしてうまくいくのか、極めて疑わしいと言わざるを得ません。 成長と幸福に関してはブータン王国の例があります。 ワンチュク国王夫妻が来日されたことでも有名になったのが、GNH(Gross National Happiness、国民総幸福度)と呼ばれる手法です。人口70万人の9割程度が幸福を感じているとして、メディアでも紹介されましたが、見落とされている事実があります。 ブータン王国は09年の成長率は6.7%、10年には8.3%、11年には8.1%を記録しています。つまり、ブータン王国では経済成長の重要性を十分に認識したうえで、生活の質や幸福を追求しているのです。成長なくして幸福はないと言い換えても過言ではありません。 経済成長なき幸福という幻想 成長と幸福の関連性は、欧州でも活発に議論されています。 ニューズウィークのシュテファン・タイル記者の10年4月26日の記事によれば、イギリスやフランスでも「下山の思想」に相当する考え方が政策に影響を与えていることが分かります。 ただし、シュテファン記者は、脱成長論の道徳倫理的な価値観を認めつつも、健康や長寿、生活の質は経済成長と密接な関係にあることを強調します(前回紹介したR・バロー教授の研究も同様の結論を出している)。 さらに、経済危機や成長が鈍化するとしても、成長を諦める理由はないとします。むしろ、教育や技術革新などを通じて成長を高める政策に全力を尽くすべきだと提言しています。⇒http://bit.ly/KENDks これまでの議論を総括に相当し、脱成長論は間違いであることを強調しているのが、法政大学大学院の小峰隆夫教授の論文です。小峰教授は、成長には所得上昇と雇用の増大、税収の拡大などを含め七つのメリットがあると説き、「経済成長は七難を隠す」と言い切ります。⇒http://nkbp.jp/JLYInE 同教授は、「脱成長を唱える人は、自分の所得を喜捨してからそういうことを言ってほしい」という趣旨の発言をした高名な経済学者の言葉を引用していますが、まさに正鵠を得た言葉です。 脱成長論者には、高名な政治家や学者、メディアに存在しますが、そういう方はえてして高所得者です。ご自身の信念として清貧の思想を貫くのは結構ですが、国の成長を否定するのは間違っています。 脱成長論は亡国への道 これまでの議論からわかる通り、経済成長と幸福には正の相関関係があると言えます。人間の悩みの大半が経済的問題であることを考慮すれば、成長が果たす役割は無視できません。貧しい方を本当に救いたいならば、やはり成長することで所得や雇用を増やすべきです。 ましてや、震災や原発事故があった日本で脱成長を唱えるのは、国家としての自殺行為です。その意味で、脱成長論は亡国への道であり、絶対に与してはなりません。(文責・中野雄太) 未来は幸福実現党が示す政策にあり! 2012.05.29 自民党は23日、党本部で国土強靱(きょうじん)化総合調査会を開き、東日本大震災で国土の脆さが明らかになったとして、全国で防災・減災対策を進める国土強靱化基本法案をまとめました。 インフラ整備などにより、10年間で総額200兆円の事業費を想定。同党は次期衆院選公約の柱と位置付けており、6月上旬にも衆院に法案を提出し、取り組みをアピールする方針とのことです。(5/23 時事通信⇒http://goo.gl/RLk1v) 公明党も23日、国会内で記者会見し、「防災力の強化と経済の活性化を目的とする防災・減災ニューディール政策を打ち出した」と述べ、推進基本法を制定し、10年間に100兆円を集中投資する政策の意義などを訴えました。(5/23 公明党⇒http://goo.gl/TWLY8) 自民党や公明党の政策は、幸福実現党の政策の完全な盗用であり、まさしく「劣化コピー」と言わざるを得ない内容です。 自公に先立つこと約一年、幸福実現党は、東日本大震災発災直後より、「大規模公共投資で防災大国に」と、積極的な公共投資を行い、強固な防災インフラを整備することを公約に掲げておりました。(幸福実現党2011年7月主要政策⇒http://goo.gl/kL7Yd) 2011年7月に発刊された『日本経済再建宣言』(ついき秀学他著、幸福実現党発行)においても、ついき秀学党首は「全国の津波危険地帯の防波堤強化や津波避難タワーの建設、建物の耐震性強化等に投資していかなくてはなりません」と国土強靭化政策を具体的に提言しています。(参考:同書第1章第1節「震災復興・日本再建に向けての政策提言」⇒http://goo.gl/vFtk2) また、「10年間で総額200兆円」という投資額についても、幸福実現党は2010年7月の参院選マニフェスト(p.36~37)に、「200兆円の未来投資計画」と題し、「リニア新幹線など新たな交通インフラに対し、10年以内に100兆円を投資。防衛産業や航空・宇宙産業、ロボット産業、新エネルギーなどに10年以内に100兆円を投資」することを公約として掲げていました。⇒http://goo.gl/u9Fgi 2010年当時、200兆円規模の未来投資プランを掲げていたのは幸福実現党のみであり、また東日本大震災発災後直後、日銀の国債引き受けで大規模公共投資を行い、防災大国を実現すると訴えていたのも幸福実現党のみでした。 民主党政権が「コンクリートから人へ」を掲げる中、幸福実現党が掲げた「200兆円投資」は当時、「トンデモ政策」のように批判されたこともありましたが、ようやく世間の認識が幸福実現党に追いつきつつあることは評価したいと思いますが、率直に言いますと、自民党も公明党も幸福実現党の後追いに過ぎません。 民主党にも同じことが言えます。民主党マニフェストには一切載っていないにも関らず、幸福実現党の政策を後追いした政策が数多く見られます。 例えば、「日米同盟強化」「米軍基地の辺野古移設」「北朝鮮の核ミサイル防衛」「日銀のインフレ目標」「年金問題解決に向けた定年延長」「子ども手当等のバラマキ廃止」「原発の再稼働」等は、民主党政権は当初は反対の立場に近かったものの、後に「回心」して、現在は幸福実現党の政策に近づいています。 また、尖閣諸島・沖縄を含む南西諸島への自衛隊配備強化、軍事面での日韓連携強化など、中国の覇権主義に対する国防強化を訴えてきたのも幸福実現党だけでした。 先日28日、玄葉外相は「日本が主体的に防衛力を整備する努力を怠ってはいけない。もっと防衛予算を増額して良い。特に南西方面での緊急展開能力を本格的に整備していかなければならない」と述べていますが、これは幸福実現党が長らく訴えて来た政策そのものです。(5/28「中国進出にらみ防衛費増額を=外相」⇒http://goo.gl/dpCXD) 民主党政権は、幸福実現党に遅れること3年、「国難の到来」にようやく気付いたと言えましょう。 リーダーに必要な条件として「先見性」が挙げられます。幸福実現党の「先見性」がいかに優れているか、他党やマスコミの追随を見ただけでも明らかです。 幸福実現党の政策の中には、「憲法9条適用除外」「未来産業の振興」「新・所得倍増論」「GDP世界一」「減税による小さな政府」「日銀の国債引き受け」「社会保障制度の抜本的見直し(自助努力型社会)」「地域主権の間違い」等、まだまだ世間の認識が追いついていない政策や主張も多いのですが、これも時間の問題でありましょう。 民主党も、自民党も、その政策や政治思想のルーツは全て幸福実現党にあると言っても過言ではありません。 最終的には、幸福実現党が提言している方向にしか日本の未来はありません!皆様、共に、自信を持って、粘り強く政策を訴え続け、日本と世界の繁栄と平和を築いて参りましょう!(文責・加納有輝彦) 生活保護不正受給の増大――「セルフヘルプ」型社会への根本転換を! 2012.05.28 推定年収5000万円と言われる人気お笑い芸人の母親が今年4月まで生活保護を受給していたことは、国民の多くが「生活保護のいびつな現状」を知る機会となりました。 厚生労働省によると、今年2月に全国で生活保護を受給した人は209万7401人。平成24年度は生活保護費として約3兆7232億円が予算に計上されました。年間支出は国家予算の3.6%まで膨れ上がっています。このままいけば2025年には、5兆2千億年に達すると試算されています。 一方、不正受注は判明しただけでも、22年度までの5年間、増加し続けています。22年度は過去最高の2万5355件、約128億7426万円が不正に支給されました。 在日外国人による不正受給も増え、定職を持ちながら生活保護の他、別の福祉手当との二重、三重の受給で年収600万円という世帯もあります。 例えば、書類上だけ偽装離婚し、妻が「子供を抱えて生活できない」と訴えたら受給を認められ、今では「夫の収入と合わせ生活に十分なお金を得ている」という家族もあるそうです。 生活保護は憲法25条1項「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という社会権(生存権)の規定に基づき、「最低限度の生活を保障し、自立を助ける福祉制度」であり、困窮している国民を救済するための「セーフティネット」です。 しかし、現状はその制度の主旨から外れ、機能不全に陥っています。 社会保障論を専門とする鈴木亘教授は「今の生活保護制度は、いったん受給してしまうと、そこから抜け出すインセンティブ(動機)がまったくない制度となっている。そこが一番の問題です」と述べています。(『NHKスペシャル 生活保護3兆円の衝撃』⇒http://goo.gl/X1WAK) 現在、若年層(10代~30歳代)の生活保護の受給も急増しており、一部には不正受給が広がっています。彼らはインターネットで受給方法の情報交換を頻繁に行っています。 例えば、関西の29歳の男性は20歳から受給をはじめ、月額13万円の保護費が主な収入源。精神科で「うつ」と診断された時、友人から、「精神障害者保健福祉手帳」をもらうことを勧められ、生活保護が認められたといいます。 男性は「年額100万円以上の保護費があり、医療費や介護費、NHK受診料、住民税、国民年金が免除される。だから圧倒的にお得です」と語っています。この男性は一度も定職についたことがないそうです。 このようなケースがなぜ野放しになっているのでしょうか? 大阪府のケースワーカーとして勤務した経験もある、関西国際大学の道中隆教授は「審査にあたるケースワーカーが圧倒的に少なく、監視態勢が機能していません。人手不足で業務を非正規雇用の職員が担当し、調査したら、『生活保護受給者のほうが高給取りだった』という笑えない話もあります」と述べています。 そもそも、「国民の生活が第一」「格差是正」を掲げた民主党が政権交代して以降、生活保護費は際限なく拡大しています。 2009年3月、厚生省が「働ける若い失業者に生活保護を支給するよう」都道府県に求める通知を出したことが引き金となり、政権交代後の12月、「速やかな保護決定」を改めて通知、取得を容易にしたことで、生活保護の増加は歯止めがかからなくなりました。 「格差是正」を掲げ、弱者の味方のように見せる民主党は、「低賃金でも一生懸命働いた者の収入」より、「働かずに得られる収入」のほうが多いという、逆転現象を生み出し、制度の欠陥を利用する外国人や若者を生み出したといえます。 生活保護制度はもちろん税金で成り立っています。国民に消費税増税という「痛み」を求めながら、その一方で生活保護費を際限なく拡大させている、有権者の政府への不信は拡大するばかりです。 しかし、若くして生活保護という安易な道を選ぶ若者たちは、働くことを通して社会に貢献し、生活するという健全なスタイルから逸脱してしまったら本当に病んでいきます。 「ゆりかごから墓場まで」の通り、高齢になったらすべてを国が面倒を見るシステム「北欧型福祉国家」を日本人は理想化していますが、スウェーデンは自殺率も高い国です。なぜなら、人間から「生きがい」を奪うからです。 地獄への道は善意で舗装されています。セーフティネットは必要ですが、行き過ぎた所得分配政策は、個人の自助努力の精神を崩壊させ、社会全体の効率を低下させます。 これは経済学的には「クラウディングアウト効果」と呼ばれています。政府の生活保護政策を期待することによって、本来なら働ける能力を持った人が、そこに安住し、自助努力を怠って働かなくなる人々が増え、国家が機能不全に陥ってしまいます。 サッチャー首相登場以前のイギリスでは、国民は「働くよりも国家からの福祉的給付を受けよう」と期待し、健全な勤労意欲の喪失が広がった「英国病」に陥っていました。 サッチャー首相は社会福祉のあり方を大幅に見直し、多くの抵抗を受けながらも、タブーを恐れず、社会保障に果敢にメスを入れ、イギリスに「セルフヘルプ(自助努力)の精神」を取り戻し、景気を回復させ、「英国病」を克服しました。(3/27 夕刊フジ「社会福祉にメスを!日本も“英国病”の恐れ」⇒http://goo.gl/blb9r) 今後、どれだけ増税し、生活保護費に充てても、受給者も納税者も国も豊かにはなりません。今必要なのは、国家ビジョンです!今、必要な発想は「格差是正」という、社会主義的な「パイの分配」ではなく、「新たなパイを焼く」ことです。 消費税増税を増税して富を配分することではなく、発想そのものを変え、日本経済そのものを成長させ、富そのものを増大させ、失業を減らし、貧困を無くしていくことこそ必要です。 景気が回復し、雇用も増え、収入も増えたなら、「国に頼らなくても生きていける多くの個人」を増やすことができます。「社会保障」の多くもそこに吸収され、解決していきます。経済成長こそ、全ての「解決の鍵」を握っています。 私たち幸福実現党は、社会保障はセルフヘルプと家族・地域の助け合いを基本とします。もちろん、セーフティネットを整え、再分配政策が最も必要な方々の生活をサポートし、自立を支援していくことは大切だと考えます。 幸福実現党は「努力したものが報われる社会」、自助努力の精神に基づく、「日本病」の克服、国家の再建を進めて参ります。(文責・竜の口法子) 「島サミット」閉幕――日本は太平洋島嶼国との連携を強化し、中国包囲網を構築せよ! 2012.05.27 太平洋13の島嶼(とうしょ)国・地域の首脳らが一堂に会した「第6回太平洋・島サミット」が25日、26日の2日間、沖縄県名護市で開催されました。 「島サミット」は日本が主催し、1997年、国際社会で日本を支持してきたオーストラリア、ニュージーランドなど南太平洋諸国に呼びかけ、各国への経済支援などを通じ、日本の国連安保理常任理事国入り支持に繋げる意図をもってスタートしました。 しかし、近年、中国が軍備拡大を背景に南シナ海や太平洋へ海洋進出を図る中、米国が初めて参加。中国を強く意識しつつ、日米豪と南太平洋島嶼国との枠組みの再構築を図る会合へと様変わりしました。(5/26 毎日「島サミット 海洋安保、中国にらみ…米の初参加で再構築」⇒http://goo.gl/85F7K) 南太平洋は豊富な漁業資源を持ち、またニッケル、マンガンなどの埋蔵鉱物資源に対する世界の関心も高まりつつあり、ロシアやフランス、韓国からの資金提供も活発化しています。今回の「島サミット」で野田首相も日本の援助を今後3年間で最大400億円提供することを表明しています。 一方、中国は「島サミット」開催を牽制するため25日、賈慶林(かけいりん)中国人民政治協商会議主席が、太平洋島嶼国であるフィジー、ミクロネシア、トンガ、バヌアツの5カ国の政治家の視察団と北京の人民大会堂で会談しました。(5/26 毎日「中国:太平洋・島サミット開催をけん制する動き」⇒http://goo.gl/9pWuI) 留意すべきは、前回まで「島サミット」に参加していたフィジーが、対中傾斜を深め、今回の島サミットに欠席したことです。 太平洋の資源に注目した中国は南太平洋島嶼国へ「経済援助」を急速に強めており、中国が行った援助は2005年の3300万ドルから09年には2億ドル超に拡大しています。 中には返済能力に見合わない多額の援助も見られます。例えばトンガでは、対中債務が累計でGDP比32パーセント、クック諸島とサモアでは、それぞれGDP比16パーセントを占め、南太平洋島嶼国・地域への支援総額では日本を追い抜き、豪州や米国に続く第3位になったと見られています。 近年の中国の支援は、鉱物資源などが豊富なパプアニューギニアやフィジーへの援助の急増ぶりが目立っています。(5/27 読売「島サミット 米と連携し中国進出に対処を」⇒http://goo.gl/gz0rv) 中国はOECDに加盟していないため、国際ルールを無視した援助を行っています。こうした相手国の経済規模に見合わない支援は、将来その国を苦しめるだけでしかありません。 こうした国々には、中国から要人が毎年のように足を運び、海軍艦船の寄港や軍事的支援だけでなく、移民も増えています。これは、中国が太平洋で覇権を確立するために島嶼国を配下に置くための戦略でもあります。 東シナ海や南シナ海のみならず、南太平洋に覇権を広げつつある中国を牽制するためにも、日本は太平洋島嶼国・地域への広範な経済支援と資源貿易を積極的に展開し、経済発展に寄与しつつ、「中国包囲網」を構築すべきです。 (文責・:佐々木勝浩) 中国高官が初めて尖閣は「核心的利益」と明言――中国に対して「憲法9条の適用除外」を宣言せよ! 2012.05.26 中国共産党で外交を統括する王家瑞対外連絡部長が22日、中国が領有権を主張する尖閣諸島について「核心的利益だ」と述べました。中国高官が尖閣諸島を「核心的利益」と明言したのは初めてのことです。(5/22 時事「尖閣は『核心的利益』=中国高官が初めて明言-日本に強硬姿勢」⇒http://goo.gl/kxRkh) これまで中国側は、今年1月に人民日報が尖閣諸島を「核心的利益」と表現。さらに今月13日の日中韓首脳会談で中国の温家宝首相が野田首相に対して、ウイグルと尖閣を念頭に「中国の核心的利益と重大な関心事項を尊重することが大事だ」と語りました。 しかし、これまで日本側は「尖閣諸島をめぐる領土問題は存在しない」という外交上の立場を貫くために、そうした報道を否定し、中国側の発言を意図的に曖昧にしていました。つまり「聞かなかったこと」「知らなかったこと」で、懸命にお茶を濁そうとしてきたのです。 しかし、3回目となる今回は、中国高官による公式発言です。日本の安全保障にとって、この発言が意味することは極めて重大です。 なぜなら、中国にとって「核心的利益」とは、南シナ海、台湾問題、ウイグル、チベット等と同じく、「いかなる代償(武力行使)を支払っても守るべき利益」、すなわち国家の主権や安全、領土や政治制度そのものを意味するからです。 つまり、今回、中国は「国家の主権を守るために、武力を行使してでも、尖閣諸島を奪取する」ことを、日本だけでなく、中国国内と世界に対して宣言したに等しいのです。 もはや日本には、これまでのように、自分にとって都合の悪い中国の発言と意図を「見て見ぬふり」「知らないふり」をするような愚かな対応は許されません。 一刻も早く、憲法改正を含め、外交、防衛体制、法整備など、総力を挙げて尖閣諸島の守りを固め、国土防衛のための対策を講じるべきです。 英語に「Bury your head in the sand」(頭だけ砂に隠す=現実から逃避する、知らぬふりをする)という諺があります。 ダチョウは敵に追われた際に、「頭だけ砂に隠す」習性からきた諺だと言われていますが、これまでの日本は、まさにダチョウと同じく、都合が悪い現実(恐怖)から逃れるために、現実を見て見ぬふりをする「ダチョウ国家」でした。 戦後67年、日本は日米安保というアメリカの軍事力の庇護の下、ソ連などの周辺諸国の脅威という現実から目をそらし、アメリカに基地を提供し、経済的な負担だけを担っていれば、平和と安全を享受できました。 しかし、頼みの綱のアメリカは財政赤字から軍備の削減を与儀なくされ、隣国には、かつてのソ連以上に凶悪で残忍な中国共産党一党独裁国家が台頭し、日本はその侵略の危機に直面しています。 もはや、いくら頭を隠してたところで、アメリカが守ってくれる保障もありません。今や、戦力の保持や交戦権を否定する「占領軍による刀狩り条項」である憲法9条こそが、この国を滅ぼす最大の要因となっているのです。 もし、アメリカが何らかの理由で「日米同盟」を破棄したら、日本は国軍も持たない「世界一の無防備国家」として、ただただ無残に中国などの隣国に領土を蹂躙され、主権を奪われ、植民地にならざるを得ません。 自分の国を守る気持ちさえ持たない愚かな国に対しては、どの国も対中戦争のリスクを負ってまで手助けすることはないでしょう。 その先に来るのは、自由も人権も、言葉も歴史も、土地も財産も奪われる、無残な「日本のチベット化」です。映画『ファイナル・ジャッジメント』(⇒http://www.fj2012.com/)で描かれている世界そのものです。 ではどうすれば、日本を守り抜くことができるのでしょうか? 中国、北朝鮮に対抗する最善の方法は「憲法9条改正」です。相手の侵略の意図を挫く最大の抑止力は、こちらも相応する武力と能力を整え、それを行使する決意と気概を示すことです。 しかし、憲法改正には厳重な手続きと長い期間が必要です。そこで、今すぐにでも日本政府が取れる施策が、幸福実現党が提言している「憲法9条の解釈変更」です。 憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という前提を示していますが、中国や北朝鮮のように「侵略と人権弾圧をこよなく愛する国」は信頼することはできず、前提が崩壊した以上、憲法9条がそれらの国に適用が除外されることは当然です。 憲法解釈の政府見解の責任者は首相です。今こそ、首相は「中国や北朝鮮など、我が国の安全を脅かす国家に対しては憲法9条の適用を除外する」と宣言し、「主権を侵害する行為に対しては軍事力の行使も辞さない」という、毅然たる態度を示すべきです。 「ファイナル・ジャッジメント」の時は今です!首相は今こそ、国家と国民の命を守るため、勇気ある決断をすべきです。 そのために必要なものが、国民一人ひとりの声であり、自覚と決意に基づく行動です。 「天は自らを助くるものを助く」――主権者たる私達の信念と断行する力が、日本の未来を変え、日本を救う唯一の、そして最大の力となるのです。 そのための国防行動として、幸福実現党はこの度、「沖縄・九州防衛プロジェクト」を発足させました。(⇒http://goo.gl/uExVw) 尖閣諸島、沖縄、そして日本を守るための最大限の言論・啓蒙活動、政治活動を展開して参ります!是非とも、全国の皆様方のご支援、ご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。(文責・矢内筆勝) 消費税増税しても税収は増えない――税収に頼らない「新しい国のかたち」を築け! 2012.05.25 野田首相は5月21日、増税を含む一体改革について「決断する政治の象徴的なテーマ。ぜひ知恵を出し合って結論を出したい」と述べ、与野党合意に持ち込もうとしています。(5/25 ブルームバーグ「野田政権:消費税上げ、与野党合意目指す-民主の分裂リスク覚悟」⇒http://goo.gl/vIq9o) しかし、幸福実現党は立党以来、「消費税を導入しても税収が増えない」ことを主張して参りました。消費税導入(1989年)、消費税引上げ(1997年)以降も税収は減少の一途で、消費税導入直前には60兆円あった税収が現在は40兆円前後に減少しています。(財務省「一般会計税収の推移」⇒http://goo.gl/48dsq) なぜ、増税しても税収が減るのか?――これはノーベル経済学賞を受賞した経済学者フリードマンの「恒常所得仮説」―消費者の消費は恒常的な収入(固定的な収入)に比例する―という説でも説明できます。 消費税増税のような恒久増税は恒常所得を減らし、確実に消費を減少させます。その結果、景気が悪化し、結果として税収が約20兆円減少しています。 今後、消費税増税によって日本経済が更に悪化し、財政を更に悪化させないためにも、野田首相は「デフレ下の増税」という、経済学的には断じてやってはならない「禁じ手」に踏み切ってはなりません。政治家、マスコミ、御用学者達の消費税増税論は「無知蒙昧」を超えて「狂気の沙汰」です! 今こそ、政府・自治体は「税率を上げないで、いかに税収を増やすか」という知恵を絞るべきです。その最大の手段が「経済成長による税収増」であることは間違いありません。 90年代前半、経済が好調だった頃は今より20兆円余り税収が多かったことからも分かるように、景気が回復し、経済が成長すれば、増税を遙かに上回る規模での税収増が見込めます。 また、政府や自治体は「親方日の丸」的な役人根性を捨て去り、「経営的発想」「株式会社的発想」によって「稼ぐ」ことを考えるべきです。 例えば、横浜市では一職員の企画・提案によって「広告事業推進担当」が設置され、民間企業への広告枠の販売、広告付属物品の受け入れ、タイアップ、ネーミングライツ等による大規模な財源確保と経費節減が進んでいます。 広報印刷物はもちろん、横浜市のホームページ(⇒http://goo.gl/fIkI)の下部にも民間企業のバナーが設置されています。また、イベントでの広告、庁舎の壁の垂れ幕広告、道路構造物、ゴミ箱、ベンチ、玄関マットから納税通知書、水道検針票、給与明細書に至るまで、考えつくあらゆるスペースに広告を掲載しています。(横浜市広告事業⇒http://goo.gl/hRvPt) 横浜市の平成21年度決算では広告料収入が年間約7.3億円、広告掲載による経費節減効果が年間約5200万円となっています。(横浜市共創推進事業本部「横浜市の広告事業」⇒http://goo.gl/WGuoY) 広告以外にも「警察による有料警備サービス」など、自由な発想で、政府・自治体が自ら「稼ぐ仕組み」を築いていけば、いたずらに増税や国債によって借金を積み重ねるのではなく、税収を増やしていくことができます。 また、幸福実現党は大規模公共事業への「官民ファンド」を提言していますが、公共投資に民間資金を活用し、政府・自治体等の財政負担を軽くすべきです。 2013年から、インフラ整備の資金を民間から調達する新型地方債(レベニュー債)が地方自治体の公営企業に解禁される見込みです。これによって、税金ではなく、民間資金による水道や交通、病院といった公共インフラの整備・改修が可能になります。(5/21 日経「公営企業、民間からインフラ資金調達可能に」⇒http://goo.gl/Ai8Vw) レベニュー債はファンドのように、元利償還は事業の成否に依存しており、事業が赤字なら利払いはゼロになりますが、通常は一般の債券よりも利子が高く、米国では自治体が発行する債権の6割を占めています。これにより、税金に頼らない公益事業が可能になります。 日本においても、民間の資金、経営能力を使って公共施設等の建設、維持管理、運営等を行う PFI(Private Finance Initiative)法改正をはじめ、ようやくNPM (New Public Management : 新公共経営) の環境が整いつつあります。 今や政府や自治体財政が完全に行き詰まっていますが、幸福実現党は、これまでの近代国家の枠組みから根本的に脱却し、「無税国家」を目指した自由にして大胆な発想で、税収に頼らない「新しい国のかたち」を築いて参ります。(文責・黒川白雲) 経済成長のときは今!東京スカイツリーに見る「富を生み出す投資」のあり方 2012.05.24 5月22日、遂に東京スカイツリーが開業しました!久しぶりに活気あるニュースだと思われた方も多いのではないでしょうか。 高さ634メートルの世界一のタワーの開業当日は、隣接する商業施設の東京ソラマチと合わせて約21万9千人もの人々が来場したそうです。 展望デッキ(350メートル)と展望回廊(450メートル)を結ぶエレベーターが強風の影響で一時停止したこともあり、運営面では改善点が指摘されているものの、完全予約制となっている個人入場券は、7月10日までほぼ完売していることからも国民の期待の高さが伺えます。 東京スカイツリーの目的は、携帯端末向けのデジタル放送サービス「ワンセグ」のエリアの拡大が挙げられますが、開業した今や、その経済効果に注目が集まっています。 そこで、東京スカイツリーを(1)経営戦略、(2)凝縮された技術、(3)経済波及効果の観点から考察したいと思います。 (1)経営戦略・高付加価値路線 事業主体の東武鉄道は、東京スカイツリーと東京ソラマチを合わせた年間入場者を年間3200万人と見込んでいます。これは東京ディズニーランドの入場者数より700万人多いそうです。海外の観光客をはじめ、東京に新しい人の流れを呼び起こしそうです。(5/22 読売) 東京スカイツリーの収支構造はどのようになっているのでしょうか。約1400億円もの投資を20年程度で回収する計画のようです。(5/23 日経) 今年度は201億円の収入を見込んでおり、その柱は以下の3本です。 ・オフィスからの賃料収入 ・テレビ局からの施設利用料 ・入場料収入 東京スカイツリー内のコンテンツを充実させて、入場料収入を高めに設定している点が特徴です。今後、客単価を高く維持するためにどのような集客策を打っていくのか注目です。 (2)凝縮された技術:最先端技術と伝統の技術 東京スカイツリーは技術面でも誇るべきものがあります。例えば高さ350メートルの展望デッキまで40人を約50秒で運ぶエレベーター、ライトのLED化による消費電力の5割削減など、最先端の技術が凝縮しています。 また、法隆寺五重塔でも使われている工法を採用しており、「心柱(しんばしら)」という円筒がタワーの中央を貫いているそうです。凝縮された技術の結晶である東京スカイツリーの開業当日、関連する企業の株価が上がりました。 (3)経済波及効果 地元墨田区の中小企業にも、自社製品をPRする絶好の機会としようという取り組みが始まっています。(5/22日経) 「重ね染め」という独自の染色技術を活用した手ぬぐいの販売や、1947年~89年に販売された「トーキョーサイダー」の復刻など、地元企業の販路拡大に向けて動き出しています。 墨田区は、東京スカイツリーの「天空効果」によって1746億円の経済効果があるとしています。この他にも、街の将来性を見込んでマンションや商業施設などの不動産開発も活発化しており、さらに経済効果は広がりそうです。 やはり「世界一」という言葉には夢があります。東京スカイツリーの開業からも、夢やロマンがもたらす力、経済効果の凄さを伺い知ることができるのではないでしょうか。 大きな理想を掲げ、持てる限りの努力をして実現する。そのプロジェクトに関わった人々から、次はそれを利用する人々に夢が伝わります。このような「感動の連鎖」こそ、富を生み出す投資の姿といえます。 最近のフランスやギリシャにおける緊縮財政反対の動き、さらには5月19日の主要国首脳会議(G8)でも「再建と成長の追及」という見解で一致しました。このことからも、緊縮財政一本やりの増税政策では、誰も救えないということが白日の下にさらされたといえます。 歴史的事例を見ても、19世紀前半のイギリスはフランスとの戦争により、債務が増大しました。イギリス政府の債務残高は1819年にはGDP比337%もありました(「国債と金利をめぐる300年史」)。 この状況からいかにしてイギリスは立ち直ったのでしょうか?その答えは緊縮増税政策とは正反対の、産業革命を背景とした「経済成長」だったのです。 テレビ報道の多くは、日本経済に対して悲観的なコメントをよく述べますが、極めて一面的な議論です。なぜなら、日本は21年連続で対外純資産は世界一であり、円高を背景として企業のM&Aが活発化し、着々と力を着けている企業も出てきているからです。日本の次なる発展を可能にする萌芽は確かにあります! 経済成長の時は今です!日本は世界の大国として、各国にこれから向かうべき方向性を指し示さなくてはなりません。 日本政府は、一刻も早く消費税増税路線を撤回し、東京スカイツリーに見るような、夢や希望を喚起する民間投資を支援する規制緩和・減税政策といった「経済成長戦略」を打ち出すべきです。(文責・吉井としみつ ) 教育は経済成長の原動力 2012.05.23 前回のHRPニュースファイルでは、未来産業育成を見据えた理数系教育の重要性を指摘しました。そこで、教育と経済は関連するのか否かについて論じます。 経済学の分野では、経済成長論の学問的蓄積が進んでいます。理論と実証両面での発展は目覚ましく、最近は経済学者のシュンペーターの「創造的破壊」を主眼にした分析もさかんです。経済成長は国民にとって大事であり、政治家が経済政策を考える上でも参考になります。 さて、今回は教育と経済成長の関連性について絞って論を進めます。 結論から言えば、教育は経済成長をもたらします。経済学では、労働や金融資産・機械などの資本以外に、人間の知的資源を人的資本と呼んでいます。当然、そこには技術も含まれると考えてもよいでしょう。 教育と経済成長に関して代表的な経済学者は、ハーバード大学のロバート・バロー教授を挙げるのが適切でしょう。 バロー教授の著書『経済成長の決定要因-クロス・カントリー実証研究-』(大住圭介他訳・九州大学出版会2001)では、実に示唆に富む研究成果がありますが、教授は国際学力テストによる点数を教育の質とみなします。そして、教育の質が高い国は経済成長率が高いことを統計的に実証しています。 特に注目に値するのが次の三点です。 (1)理科の点数が高ければ、経済成長が高い (2) 理科ほどではないが、数学の点数の高さは経済成長と正の相関関係にある (3) 読解力の高さも成長率と相関関係にある もちろん、高校や大学、大学院まで含めた教育年数が長い方が多い(いわゆる教育の量)と成長にも正の相関関係がありますが、「教育の質の影響はずっと重要である」という結論は傾聴に値します。 上記の通り、高教育国では知識や技術の習得や伝播が早くなり、結果として成長が促進されるメカニズムが働きやすくなると言い換えることができます。 翻って学力低下論争を振り返ってみると、大学生の理数系の学力低下に対して警鐘を鳴らした京都大学の西村和雄教授の問題提起は正しいということが分かります(『学力低下が国を滅ぼす』日本経済新聞社2001など参照)。 同様の見解を持つのは、一橋大学経済研究所の小塩隆士教授です。小塩教授は、「学校が教育内容を削減すればそれだけ人的資本の蓄積ペースが低下し、労働生産性が低下して経済成長が期待できなくなる」と喝破しています(『教育の経済分析』日本評論社2002年 219頁参照)。 また、学力低下の学生が社会人になっても、基礎的な職務が正しく実行できなければ、企業だけではなく、場合によっては産業界全体に蔓延し、日本全体の生産性を低める可能性があります。 93年に世界銀行が発表した『東アジアの奇跡』というレポートでも、日本や韓国や台湾、香港などの高い成長率に寄与しているのは教育であるという実証研究が出ていることから見ても、一国の経済成長に教育が果たす役割は大きいことが分かります。 皮肉ではありますが、マーフィー・シュライファー、ビシュニ―の論文(Quarterly Journal of Economics 1991)では、工学部の大学生が多い国では経済成長が高く、法学部に学生が集中している国では、成長率が低いことを示しています。 言い換えれば、工学系は経済に技術進歩をもたらす要因を持っています。法学部系が多いと無駄な法律や規制が増えて民間の経済活動を縛ることが多くなるからだと推測できます。 実際、経済成長の実証研究には、民主化を図る指標などが入っており、独裁国では経済成長率が低いという結果もあるくらいです(結論を全面的に受け入れるには注意が必要だが、興味深い研究ではある)。 上記の研究は多少古くなっているものを取り扱いましたが、以後の研究成果を見ても結論が大きく変わることはありません。 やはり、経済成長に教育が果たす役割は重要です。特に、成長を高めるためには理数系教育がカギとなるのは、幸福実現党の未来ビジョンとも一致します。 航空宇宙産業やバイオ技術、資源不足を解消するエネルギー政策、原子力発電の安全性強化などは、全て理系学問の進化なしにはあり得ません。 上記の分野にいかにして資金を配分するかを議論することも大事ですが、本質は教育の充実にあります。「日本経済再建宣言」は、実は教育再生とも密接に関連しているのです。(文責:中野雄太) 国民に窮乏生活を一方的に強いる野田政権の大罪 2012.05.22 訪米中の野田首相はG8サミットの一連の日程を終え、20日夜、帰国。野田首相は同会議の中で「財政再建と経済成長の両立」を実現するために消費税率引き上げ法案の今国会での成立に全力を挙げる考えを強調しました。 今月初め、サルコジ大統領の緊縮財政路線にNOを掲げたフランソワ・オランド前社会党第一書記がフランス大統領となったことは「緊縮財政路線vs.経済成長路線」という二律背反の構図を世界に突き付けた感があります。 欧州の「緊縮財政(増税や歳出削減等)」路線の危険性、そしてその上前をはねる野田政権の緊縮財政の危険性については、[HRPニュースファイル263]「欧州で『緊縮財政』批判強まる―野田政権の《超》緊縮財政の危険性」で既に指摘しているところです。⇒http://goo.gl/yY9oA EU域内の国民は「緊縮財政疲れ」を起こしており、IMFは「赤字削減目標によって、成長が損なわれるべきではない」として、経済成長をてこ入れするよう勧告しています。 しかし、経済成長に舵を切るということではなく、IMFも野田政権も「総論」としては「緊縮財政をしながら経済成長も実現する」という考えでありますが、具体的経済成長政策は無く、増税路線には変わりありません。 実際、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案が17日、衆院特別委員会で実質審議入りしました。 フランス大統領選やギリシャ総選挙、G8サミット等を受け、世界中で「緊縮財政か、成長か」という議論が沸き起こっていますが、その結論はハッキリしています。 このことについて、幸福実現党名誉総裁・大川隆法先生は既に2010年7月の段階で、御法話『未来への国家戦略』において、近未来予言的に下記の通り指摘しておられます。(大川隆法著『未来への国家戦略』幸福の科学出版に収録⇒http://goo.gl/Kewwd) 「ヨーロッパは今、緊縮財政に入っています。政府が、お金を使わない『ケチケチ運動』に入っています。その結果、ヨーロッパの不況は海外に輸出されるでしょう。」 「今やるべきことは、『経済成長』あるのみです。今、消費税を上げたら、必ず不況が来ます。同じことが、過去、何回も起きているのに、まだ分からないのでしょうか。」 幸福実現党はかねてより、緊縮財政を「ブレーキ」、経済成長を促すための財政政策、金融政策、規制緩和等を「アクセル」に例え、デフレ不況脱却のためには「ブレーキ」ではなく、「アクセル」を全開にして経済成長を実現し、自然税収増を図るべきであると提唱して参りました。 緊縮財政(ブレーキ)と経済成長(アクセル)は、同時には両立しないと考えるのが常識です。ブレーキとアクセルを同時に踏み、車が快調に前進するか考えてみれば分かります。 そして政府の公共投資は、自民党型の利益誘導や民主党型のバラマキであってはならず、「未来ビジョン」に基づく、長期的視野に立った未来産業振興に向けた公共投資を行うべきです。(参照:大川隆法著『もしケインズなら日本経済をどうするか』幸福実現党発刊⇒http://goo.gl/NL2Vb) そのため、幸福実現党の公共投資政策は「有効需要増加」という短期需要よりも、交通インフラや未来産業インフラ等、日本経済の生産活動に貢献し、経済成長を押し上げる中長期の「社会資本の生産力効果」に焦点を当てています。 なお、誤解を避けるために付記致しますが、デフレ時は民間経済活動のアクセルが全開にできるよう、財政政策、金融政策、規制緩和等をせよという意味であって、政治家の人気取りのためのバラマキ政策や政府、公務員の無駄の削減等は断固、進めていくべきです。 野田政権は、国会議員の定数是正、所得の官民格差の是正等、自ら身を切ることは徹底せず、電力の安定供給の義務を怠り、増税、節電、中国や韓国に比べ倍も高いといわれている電気料金のさらなる値上げ、ガス代の値上げ、ガソリン代の高騰等々、常に国民に窮乏生活を求めています。 今、政府が選択すべきは「緊縮財政」ではなく、「経済成長」に向けた財政政策、金融政策、規制緩和等の断行です。 モンテスキューは『法の精神』の中で「国家がその臣民を貧しくして先ず富もうとするか、それとも臣民が余裕を得て国家を富ますのを期待するか」と述べています。 野田政権は超緊縮財政によって「国家がその臣民を貧しくして先ず富もうとする」道を目指していますが、それは国民に窮乏生活を一方的に強いると共に、経済衰退に伴う税収減をもたらすだけです。 幸福実現党は「経済成長によって国民や企業を富まし、臣民が余裕を得て国家を富ます(自然税収増)」道を進めて参ります。(文責・加納有輝彦) すべてを表示する 1 2 3 4 Next »