Home/ その他の時事問題 その他の時事問題 反カルト・新興宗教・宗教二世問題、日本のお粗末な議論に喝!人権の防波堤「信教の自由」を守れ!【前編】 2023.04.27 https://youtu.be/JnKXTDOQaeU 幸福実現党党首 釈量子 ◆新宗教に対して偏見を煽るマスコミや政治 昨年夏、旧統一教会に恨みを持つ人物によって安倍元首相が襲撃された事件以降、新宗教に対して偏見を煽るようなマスコミ報道や政治的動きが出てきています。 自己責任を負うべき40歳を過ぎた男性の問題を、政治が「宗教全体」の問題であるかのようにすり替え、これまで票集めに宗教団体を利用してきた政治家たちも、掌を返して宗教への規制を強めています。 そこで今回は、「信教の自由」や海外の「カルト対策」について考えたいと思います。 ◆「信教の自由」の沿革 まず、「信教の自由」というのは、憲法20条で保障されている基本的人権です。もとは「内心の自由」から来ています。 憲法第19条に「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」という規定がありますが、この思想・良心の自由が「内心の自由」です。 「内心の自由」は、人間である以上、絶対に認められないといけない、根源的な自由です。 なぜなら、心のなかで思うことを禁止されたら、もう人間としての尊厳は認められないのに等しいからです。 その「内心の自由」の代表例として、第20条の「信教の自由」が出てきています。 「信教の自由」は、「〇〇の自由」という自由のカタログのなかで、「最も大切」なものとされます。 「何を信じるか」というのは命懸けで「信教の自由」から「信仰告白の自由」、そして「言論・出版の自由」が出てきたからです。 「信教の自由」がなければ、ほかの自由もなかったわけで、こうした歴史的な沿革から、ほかの権利よりも遙かに重い、尊い自由だと考えられています。 「信教の自由」は人権のなかの人権であり、国民が、心の中で何を思うかについて、政治家が口を挟むことは、「信教の自由」を侵害する憲法違反です。 政治の側が、「あなたの信じている宗教はおかしい」「この団体の神は偽物だ」などと言うことは、宗教弾圧であると共に、信者の人格を否定する人権侵害行為に他なりません。 もちろん、「詐欺」や「傷害」などの違法行為に関しては、現行の刑法でしっかり取り締まるべきだと考えます。 しかし、教義の中身に関しては、政治の立場としては、基本的に「思想の自由市場」に委ねるべきで、政治の使命は「信教の自由」を守ることにあります。 「おかしな宗教に騙される人や被害者が出てからでは遅い」という世論に押され、日本でもフランスの「反セクト(カルト)法」のようなものをつくろうという議論も出てきています。 しかし「カルトかどうか」を政治が判断することは、「信教の自由」の侵害に簡単につながるので、カルトの定義は難しく、主観のレベルで決めていい問題ではありません。 ◆海外のカルト対策 ●フランス そのフランスでは、1995年12月に国民議会の調査委員会の報告書で、「法外な金銭の要求」など10の指標を設定して、173団体の名前がカルト教団(セクト)として公表されたことがありました。 2005年に173団体のリストは撤回されましたが、その理由は、「客観的な基準に欠ける」というものです。(フランス内務省2020年報告書)。 その後、2001年に「反セクト法」が成立したのですが、これも、宗教の「教義」を対象にカルト認定して規制するというものではなく、「人権侵害」などの行為を取り締まるものです。 法律違反の有罪判決を複数受ければ、裁判所から宗教団体の解散の宣告ができると定めてはいますが、今日まで、実際に団体が解散させられた例はありません。 ●米国 アメリカでは、カルト規制の法律を作るという動きそのものがありません。 理由は、米国憲法修正第1条で「国教を樹立し、若しくは信教上の自由な行為を禁止する法律を制定してはならない」と定めているためです。 アメリカでは「信教の自由」は憲法で認められた絶対的な権利の一つとされ、州ごとに日本の「宗教法人法」にあたる法律はあるものの、連邦レベルで宗教団体に制限や制約を設けることはしていません。 ●中国 一応、中国の憲法には「公民の宗教信仰の自由」が明記されてはいます。 しかし、これは見せかけで「宗教を利用して社会の秩序を破壊してはならない」「宗教団体は外国勢力の支配を受けない」として警戒し、実際、容赦ない弾圧が繰り返されてきました。 後編では、中国の宗教に対する弾圧の実態から見てまいります。 (つづく) マイナンバーカードが24年秋から実質強制へ。迫りくる監視国家の靴音【後編】 2022.10.16 http://hrp-newsfile.jp/2022/4361/ 幸福実現党 政務調査会 藤森智博 10月13日、いわゆる紙の健康保険証が2024年秋をメドに廃止され、マイナンバーカードに一本化されることを政府が発表しました。 この問題について、前半では、マイナンバーカードの実質義務化にあたっての法律的な視点も踏まえ、自民党の「からめ手作戦」について明らかにしました。 後半では、「なぜ、そこまでして、マイナンバーカードの実質義務化を目指すのか」を考えるために、義務化によって、可能となり得る具体的な政策について見ていきます。 ◆「軽減税率」適用には、マイナンバーカードが不可欠になる可能性も まず、マイナンバーカードの義務化を進めていけば、国民の購買行動を監視できるようになります。そのためには、マイナンバーを提示した場合のみ、消費税の軽減税率を適用するといった方法があります。 「そんな無茶苦茶な」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に消費税が10%に増税され、今の軽減税率が始まる前に、そうした議論はありました。 2015年に麻生太郎財務大臣は記者会見で、軽減税率について「カードを持ちたくないなら持たなくてもよく、その代わり減税はない」と述べたとされます。 もちろんその後、「マイナンバーカードは全員に行き渡るのか」などの批判が噴出し、この話は立ち消えます。 しかし、義務化が実現されれば、満を持しての実施は当然あり得るシナリオです。 ちなみに、この施策は法改正なく行えると考えられます。マイナンバーの利用目的は、法律で大きく制限されていますが、「社会保障制度、税制、災害対策」であれば合法です。軽減税率であれば、税制という目的の枠組みで問題なく制度化できると考えられます。 ◆購買情報の活用で、自分に不利益な政策が実施される恐れも 別に自分の購買行動を監視されても構わないという方もいらっしゃるかもしれませんが、突然の思わぬ事態に見舞われる可能性があることは知っておくべきでしょう。 例えば、マイナンバーで購買行動を補足できれば、購買データと診療情報の組み合わせが可能になります。 もし、ある食品を買っている人とある疾患にかかる人に十分な関連性が認められた場合、その食品に「たばこ税」のようなものを課す大義ができます。 私の場合、「ポテトチップス」が大好物ですが、この商品は人を肥満にする傾向があると「証明」されれば、「ポテトチップス税」を課す根拠となり、私が落胆する一方で、増税できる財務省が大喜びする未来が待っているかもしれません。 これは半分冗談として、マイナンバーの情報を個人が特定できないよう「ビックデータ化」すれば、法律による制限が、遥かに緩やかになることは間違いのない事実です。そこから得られた「知見」が政策に盛んに利用されることでしょう。 ◆国民総マイナンバーカードで、ワクチンパスポートの完全電子化も可能に 次にワクチンパスポートの完全電子化も想定されます。現在は、紙のものと併用されていますが、マイナンバーカードが全員所持の状態となれば、保険証同様に紙は廃止されるでしょう。 これによって何が可能になるかと言えば、政府は国民の行動履歴を監視できるようになります。アナログの紙であれば、追跡は困難ですが、デジタル情報であれば、解析は一瞬で済むでしょう。 ◆政府は民間情報とマイナンバーを突き合せることで、さらに国民監視を強化できる 別の論点として、国民総マイナンバーカードとなることで、政府に限らず民間のマイナンバー利用が増えることも要注意です。 もちろん本人の同意が、追加の情報取得の前提となりますが、政府のインフラのマイナンバーを使えば、企業は「楽」に顧客情報を活用できます。 ここでの落とし穴は、マイナンバーの親元である政府は、企業が持つ情報と政府が持つ情報を併せて、さらに国民監視を強化することができるようになるわけです。 ◆都合が悪い公約は選挙で掲げない体質に国民は騙され続けている こうした様々な問題点を持つ「マイナンバーカードの実質義務化」ですから、本来なら選挙で掲げるべきことです。 しかし、自民党の今年における参議院選挙の公約(参院選公約2022, 総合政策集2022 J-ファイル)を確認しても、「マイナンバーカードの義務化」「保険証の廃止」などの文言はありません。 他の政策にも通じることですが、自民党では、有権者受けが悪い政策は選挙では訴えず、選挙後に大々的に発表するという手法は当たり前になっています。 こうした自民党体質は「うそつき」とまでは言えなくても、国民を「結果として騙している」と言えるのではないでしょうか。もちろん自民党に限らず、既存の政党にもこれは共通するでしょう。 ◆信用のない政治が、実態を知らせることなくマイナンバーを運用している 信用のない政治家たちに「マイナンバー」という巨大な国民監視システムを任せることは非常に危険です。 法令上、マイナンバーカードの運用は制限されていることになっていますが、実際の運用が「どうなっているのか」について、私たち国民はまったく知らされていません。 例えば、マイナンバーのオンラインサービスの「マイナポータル」で、自身の個人情報に「誰が、いつ」アクセスしたのかというような情報は確認できません。 政府はマイナンバーの安全性を強く主張しても、透明性については沈黙しています。 ですから、実際のところ、どれだけ杜撰な運用をしていても、私たちはそれを知ることはできません。 こうした面から言っても、政治家あるいは政府にマイナンバーの運用を任せるだけの信用は無いと言えるでしょう。 ◆徐々に自由を縛られ、日本は全体主義的な監視国家への道を歩む また、今回の保険証の廃止に見る「本音と建て前」で国民の自由を縛るという発想は、コロナ禍以降、非常に強くなっていることも大きな問題点です。 例えばワクチン接種も、努力義務と言いながら、ワクチンパスポートの後押しなどもあり、事実上の強制に近づいた面は相当あったのではないでしょうか。マイナンバーカードの事実上の強制も、これと全く同じ構図と言えるでしょう。 結論として、今回のマイナンバーカードの実質義務化によって、日本にまた一歩、全体主義的な監視国家が近づいてまいりました。 そして、その靴音は日増しに強くなっているようにも感じられます。 大坂冬の陣後に、気づいたら堀が埋め尽くされた大坂城のように、このままでは、国民の「自由」という城も気づいたら「裸同然となっていた」という悲劇の結末を迎えることになるかもしれません。 そのようなことがないよう、今回の健康保険証の廃止には、強く反対を訴えるべきだと考えます。 マイナンバーカードが24年秋から実質強制へ。迫りくる監視国家の靴音【前編】 2022.10.15 http://hrp-newsfile.jp/2022/4360/ 幸福実現党 政務調査会 藤森智博 ◆2024年秋、既存の健康保険証は廃止へ 10月13日、河野太郎デジタル大臣が、いわゆる紙の健康保険証を2024年秋をメドに廃止し、マイナンバーカードに一本化することを発表しました。 同日、デジタル庁の担当者は「保険証の廃止は『原則』という断りなく実施する」と明言しており、政府の本気度が伺えます。運転免許証については廃止までは踏み込みませんでしたが、免許証の機能をマイナンバーカードに持たせる「マイナ免許証」の導入を前倒すことを検討し始めました。 あらゆる身分証をマイナンバーカードへと集約する流れが加速しつつあります。 ◆事実上の「マイナンバーカードの義務化」に国民は猛反発 これに対して、国民からは反対の声が相次いでいます。既にネット上では、保険証廃止に反対する署名運動が展開されており、オンライン署名プラットフォームchange.orgでは13日23時時点で5万人近くの署名が集まっています。 今回の保険証廃止の問題は、大きな関心を集めていると言えるでしょう。 国民の反対の声が相次いだ最大の理由の一つは、事実上のマイナンバーカードの義務化です。 国民皆保険の我が国において既存の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに一本化することは事実上のマイナンバーカード取得の義務化に他なりません。 マイナンバーカードの9月末時点での交付率は49%と低迷しています。 日経新聞なども一連の措置は「マイナンバーカードを一気に普及させる狙い」と指摘していますが、政府が健康保険証を廃止する真の目的は、国民に強制的にマイナンバーカードを申請させることだと言えます。 ◆強引な事実上の義務化は、「法治国家」としては大問題 さらに「マイナンバーカードの義務化」を達成するための「手段」にも問題がありました。 もし政府が最初から堂々と義務化を発表していれば、望ましくはありませんがある意味で正直でした。しかし現実には、政府は、実質義務化の実現に向け、健康保険証の廃止という「からめ手」を用いたわけです。 「本音と建て前」という日本的な手法とも言えますが、こうした手法に反発を覚えた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 より踏み込んでこの問題を考えてみると、実は今、「法治主義」が危機的状況であることも指摘できます。少なくとも現時点では、既存の健康保険証の廃止について、「法改正を目指す」という話ではなく、「決定事項」として報道されています。 本来、真っ正面からマイナンバーカードの義務化を進める場合、マイナンバー法を改正し、義務化を明文とすることが筋となります。 しかし、既存の健康保険証を廃止し、仕様を変更するということであれば、法改正は必要ないという話にできます。つまり、「からめ手作戦」によって、本来必要な法改正という民主的手続きをスキップしたと考えられるわけです。 ◆マイナンバー法制定時に明言されていた「カードの任意性」 また、マイナンバー法制定における国会審議を振り返ると、「マイナンバーカードが任意か、強制か」という問題は、間違いなく論点として存在していました。 例えば2013年5月23日の参議院内閣委員会では、以下のようなやり取りがされています。 民主党・新緑風会の藤本祐司議員が「マイナンバーの通知カードがあれば、マイナンバーカードは不要という人もいるでしょうが、それはそれで問題はないのでしょうか」という趣旨の質問に対し、時の内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)であった甘利明議員は「通知カードを番号カード(筆者注:マイナンバーカードのこと)に替えるのは、法律で強制的に全部、全員やりなさいということは言ってないわけですよね」と明言しています。 従って、マイナンバー法にマイナンバーカードの義務化が盛り込まれていれば、法案審議が違ったものになっていた可能性があるわけです。 ◆マイナンバーカードが義務化されずとも、既にマイナンバーによる国民監視の体制となっている点には、要注意 もっとも、マイナンバーカードの義務化そのもので、政府の国民の監視体制に大きな変化は起きないでしょう。 全国民にマイナンバーが割り振られており、適法であれば、既に政府は国民の個人情報を集約することができます。また、マイナ保険証でも紙の保険証でも、診療情報がデジタル化されていれば、ハッキング等で悪用されるリスクは同程度でしょう。 そもそもマイナンバーという制度自体に大きな問題はあるのですが、今回の措置だけを見れば、国民が必ずしも大きな不利益を被るとは言いは難い面はあります。 逆に言えば、これをもって「マイナンバーカードの義務化は問題ないのだ」という意見もあることでしょう。 ◆マイナンバーカードの実質義務化は更なる国民監視の強化を招く しかし、ほとんどの国民がマイナンバーカードを所持するようになると、芋づる式にマイナンバーの活用が拡大しかねません。すると、マイナンバーによる国民監視体制は確実に強化されるでしょう。 現状のように国民の半分程度しかカードを所持していなければ、カードを前提とした政府施策は行えません。 一方で、ほとんどの人がカードを持つのなら、あらゆる政策にカードを利用することができるようになります。この辺りが、政府が「マイナンバーカードの実質義務化」を狙う理由でしょう。 このように、政府は国民監視を強めるために、からめ手まで使ったマイナンバーカードの義務化に乗り出してきていると考えられます。 次に後編では、マイナンバーカードの実質義務化によって、「どのような国民な監視強化に繋がるのか」を具体的に考えてみたいと思います。 (後編につづく) マイナンバーカードで金融資産への課税の流れにSTOP! 2022.08.02 http://hrp-newsfile.jp/2022/4339/ HS政経塾 坂本和佳 ◆強まる個人情報の紐づけ 政府は「誰一人として取り残されることなく、多様な幸せが実現できる社会」という理想を掲げ、デジタル化の大きな肝いりの政策としてマイナンバー制度を導入しています。 今年の6月から始まった「マイナポイント事業第二弾」では、マイナンバーカード取得で5,000ポイント。健康保険証としての利用申し込みで7,500ポイント。公金受け取口座の登録で7,500ポイントが付与され、これらすべての手続きを行うと20,000円分のポイントがもらえます。 また、予算規模は1兆8000億円で第1弾(約2500億円)の約7倍にも上ります。 政府は、健康保険証と一体化した「マイナ保険証」の利用推進で、将来的に現行の保険証の原則廃止を目指し(※1)、来年度からマイナンバーカードの交付率を地方交付税の算定に反映させることも検討しています(※2)。 政府の思い通りになるように、明らかに権力を拡大し、強制力を強めています。 ◆預金口座とマイナンバーの紐づけで、個人資産は丸裸に ここで注目したいのが、平成30年から始まっているマイナンバー(個人番号)と預貯金口座の紐付けの問題です。さらなるマイナンバーの活用拡大のため、昨年新たに法改正がなされました。 その結果、金融機関は預貯金者等の情報をマイナンバーによって管理する義務が課せられました。個人の預貯金口座の紐づけは義務ではないとは言いながら、金融機関には管理の方法にマイナンバーを使うことが義務づけられています。(※3) これにより銀行口座開設時にマイナンバーの紐づけを許せば、他行の預貯金口座でも名寄せして個人の資産を丸裸にできるのです。 その目的は、行政機関などの税務調査や生活保護などの資産調査への回答を行うためと言っていますが(※4)、使用方法は明らかに行政から個人資産へのアプローチです。 また法律の改正によっても、その強制力は徐々に強まっています。なぜ今マイナンバーと預貯金口座の紐づけを進めているのでしょうか。 ◆個人資産把握から金融資産課税の可能性 それは、政府の政策の中に、金融資産課税の構想があるからだと考えられます。岸田首相は総裁就任時から金融所得課税の強化に言及しています。金融所得課税とは、利子所得、配当所得、株式等譲渡所得への所得課税のことで、労働所得等への課税とは異なり、一律20%の比例税率での分離課税というものです。 現在諸々の給付金や税金・社会保険料の計算は給与所得ベースに行われており、金融所得額は考慮されていません。 高所得者ほど株式や不動産など給与所得以外にも収入源を持つ場合が多いため、このマイナンバーと預貯金口座の紐づけをすることで、今までの給与所得と金融所得を一まとめにしてより正確な資産を把握することができます。 そうすれば公平で平等な税制にするという大義名分を掲げ、資産全部を合算して累進課税をかける可能性は非常に高いのです。 しかしこれを実行すれば、資産家等が税負担の回避を目的に、金融資産等の所在地を金融所得課税負担の軽い国に移すようになり、その結果、金融所得課税負担の重い我が国では投資の減少や税源の喪失、税負担への不公平感の高まり等の弊害が起きてしまいます。 個人の私有財産に課税し、豊かな者には累進課税を取り入れて所得の再分配に回す流れは、より完全な結果平等を目指す、社会主義への道なのです。 ◆日本は自由の大国を目指せ マイナンバー制度は、もはや国民の個人情報すべてを、権力の肥大化した大きな政府の下に置くためのインフラになっています。 知らぬ間に国家に個人情報や資産、健康状態まで管理されるようになれば、簡単に全体主義、国家社会主義へと導かれます。 その結果やってくるのは「自由の死滅」です。資産把握ができるマイナンバーの紐づけを許してしまえば、そこからさらなる増税政策を招きます。 必要なのは、個人の自由をしっかりと守ることです。国家からの監視、管理強化の流れで、個人資産を把握され、さらには活動規制、言論統制や思想統制につながりかねないマイナンバー制度にはしっかりと戦っていくべきです。 そしてもう一つ必要なのが、政府のやらなくていい仕事をやめることです。政府は今、マイナンバー制度の普及に国家予算一兆円以上をかけています。国の予算も国民の血税です。これも政府の無駄仕事なのではないでしょうか。 また高い税金をかけ、資産家を国から締め出すような政策をしていては、国家繁栄の道は遠ざかります。国民の自由を守るため、そして社会主義、全体主義の流れから守るため、今こそマイナンバー制度による国民管理にはNO!の声を上げなければいけません。 【脚注】 ※1 厚生労働省「第151回社会保障審議会医療保険部会(ペーパレス)資料」 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000942380.pdf ※2 内閣官房「デジタル田園都市国家構想基本方針」 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/pdf/20220607_honbun.pdf ※3 デジタル庁「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」 https://www.digital.go.jp/laws/ ※4 一般社団法人 全国銀行協会「マイナンバー周知リーフレット」より https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/article/F/8188_leaflet_01.pdf 「日本を守り抜く決意」街宣映像 2022.06.24 ■参院選2022≫「日本を守り抜く決意」 党幹事長、江夏正敏が福岡選挙区に立候補 (6.22初日街宣・博多駅前) https://youtu.be/uczfQQrL0IU ■≪参院選2022≫兵庫選挙区に立候補。 党政調会長・里村英一候補の第一声の街頭演説 https://youtu.be/chCJGH7cp9A ■≪参院選2022 ≫釈量子、第一声後の街頭演説ダイジェスト 神奈川県選挙区のいき愛子候補、埼玉県選挙区のみなと侑子候補の応援へ https://youtu.be/VEb3kJaFJQQ ■国家存亡の危機――この国に「精神的主柱」を 2つの理念と7つの柱 https://hr-party.jp/policy/class/2022/ ■参議院選挙2022特設サイト・候補予定者紹介ページ https://hr-party.jp/ SNSアカウントも続々凍結?バイデン政権が「偽情報」監視か【前編】 2022.05.31 https://youtu.be/SGjAbZCmgUg 幸福実現党党首 釈量子 ◆アメリカの「言論の自由」の危機 今、自由と民主主義の国、アメリカが言論の危機にあります。 バイデン政権が4月末に設立した「ディスインフォメーション・ガバナンス・ボード(DGB)」は、日本語では偽情報統治委員会で国土安全保障に関する偽情報に対処するための機関です。 4月29日付のAP通信の報道によれば、特にロシアや不法移民に関する偽情報に集中して対応する予定でしたが、共和党や一部のメディアが猛反発したことで、わずか3週間で停止に追い込まれました。 しかし、報道ではあくまで、「pause」(一時停止)と報じており、将来的に復活する可能性もあります。 国土安全保障省はDGB設立時に「偽情報の拡散は、国境の安全、災害時のアメリカ人の安全、そして私たちの民主的機関に対する国民の信頼に影響を与える可能性がある」と発表していました。 一見、とても正しい発言にも聞こえますが、これは、「言論の自由」をめぐる攻防であり、議論が沸騰しました。 例えば、ウォール・ストリート・ジャーナルは、DGBについて「バイデン政権は、国家による監視社会を描いたジョージ・オーウェルの小説『1984』を誰も読んでいないのではないか」と皮肉っています。(※2) ◆DGBトップの問題 DGBのトップになった、ニナ・ジャンコウィッツ氏は、2020年の大統領選のときに、汚職疑惑があがったハンター氏のノートパソコンをトランプの選挙運動のために作り出されたウソ情報と見るべきだと主張しました。 ちなみに、彼女自身は過去の二回の大統領選でバイデン氏とヒラリー氏を公然と支持していたとフォックスニュースは報道しています。 さらに、2021年3月21日にはTwitterで、ハンター氏のノートパソコンが疑わしいもので、おそらくロシアの影響工作の一環だとツイートしています。 しかし、アメリカ当局の捜査が進んだ現在、これはフェイクでも何でもなく、本物で副大統領の息子の立場を利用してウクライナや中国で商売をしていた証拠もあることが報道されています。 また、今年の3月末にはアメリカの大手メディアが司法省による刑事事件捜査が進展していることを一斉に報じました。 DGBのトップとなったニナ氏は、過去にこのような重要な真実を、誤ってフェイクニュースと断じていたわけですから、「トップになる資格があるのか」と非難が巻き起こり、今回辞任に追い込まれました。 バイデン政権は、事実上の撤回となったDGBについて「委員会は、どんな方法であれ決して検閲も言論の取締りもしない。憲法上の核となる権利を守りながら、祖国を守るという私たちの使命を確実に果たすように設計された」と弁明しています。 つまり、政府は情報が本物か偽物のジャッジをするだけで、検閲はしないのだから、「言論の自由」は守られるという建前を言っているわけです。 しかし、政府が検閲しないと言っても、政府が本物か偽物のジャッジするのなら、マスコミやソーシャルメディアがその判断を基に、発言の削除などができるわけです。 ◆強まる言論統制 アメリカでは既に、政治家とメディアが融合することで言論の統制が始まりつつあります。 2020年大統領選中のハンター・バイデンをめぐる汚職疑惑でも、民主党がフェイクだと断定するのに合わせたように、Twitterなどのソーシャルメディアも、情報を検閲しました。 選挙直後に実施されたアメリカのメディアリサーチセンターの調査によれば、バイデン氏に投票した4.6%の人がハンター・バイデンの疑惑を知っていたら投票しなかったと答えています。 ワクチンをめぐる問題でも、政権の動きに沿ってTwitterが検閲を行った例があります。 2021年7月16日にバイデン大統領は、フェイスブックなどのSNS上でmRNAワクチンに対する反対意見の存在を許すことで、「人々を殺している」と発言しました。 このバイデンの発言の数時間後、ワクチンやマスクの義務化に異議を唱えていたジャーナリストのアレックス・ベレンソン氏のTwitterアカウントが凍結されました。 ベレンソン氏は、アカウント凍結は違法だと裁判を起こし、裁判所は、Twitter社に判断の根拠を示す情報開示を4月29日に命じています。 今回のTwitter社の動きは、偽情報統治委員会DGBがなくても、既にアメリカでは、政府による言論統制が進みつつある実態を示唆しています。 (後編につづく) 倫理観に国家が介入「パワハラ防止法」ハラスメントで裁判沙汰も【前編】 2022.04.16 https://youtu.be/SVRu3pKazlU 幸福実現党党首 釈量子 ◆4月全面スタート「パワハラ防止法」とは 4月から、いわゆる「パワハラ防止法」(正式名称:改正労働施策総合推進法)が全面スタートとなりました。 この法律が始まったのが2020年6月からで、このときは大企業のみが義務の対象でしたが、この春からは中小企業へも対策が義務付けられるようになりました。 今回の法律で定められたパワハラの定義とは、以下の3点です。 (1)優越的な関係を背景とした言動 (2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの (3)労働者の就業環境が害される そして上記(1)から(3)までの要素を全て満たすもの 例えば、みんなの前で「辞めてしまえ!」と怒鳴りつければ、これはパワハラと認定される可能性があります。 怒鳴るという行為は「仕事上必要ない」と考えられ、定義(2)の「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」と判断されてしまうわけです。 また、会社の宴会で若手に余興をやらせて、場は大盛り上がりと思っていたら、実は「あんなことはやりなくなかった」と、後でパワハラと断罪されることもありえます。 これは、上司から「やれ」と言われたら断れないということで、特に定義(1)の「優越的な関係を背景とした言動」にひっかかってくるわけです。 実際に、会社の研修会などで、パワハラと認められた裁判事例は出ており、例えば、2015年に大分地裁は、うさぎの耳型のコスチュームを着させたということで、60代女性に対し、20万円の支払いを命じています。 ◆何でもかんでもハラスメントになる時代 ちなみに、「自分は関係ないか」と思う若手の方もいるかもしれませんが、若手の平社員もハラスメントをする可能性があります。 例えば「テクノロジー・ハラスメント」いわゆる「テクハラ」です。 IT機器に弱い目上の先輩たちに「こんな簡単なこともできなくて、よくこれまで仕事ができましたね」などと言ってしまったら、テクハラ認定になりえます。 この他にも、年齢を理由とした嫌がらせをする「エイジ・ハラスメント」(エイハラ)。 恋人がいる人が自分の恋愛や結婚の価値観を人に押し付ける「ラブ・ハラスメント」(ラブハラ)など何でもかんでも「ハラスメント」になる時代です。 ◆厚生労働省が示したパワハラの6つの類型 今回のパワハラ防止法に併せて厚生労働省は、以下の通り、パワハラの6つの類型を示しました。 (1)身体的な攻撃 (2)精神的な攻撃 (3)人間関係からの切り離し (4)過大な要求 (5)過小な要求 (6)個の侵害 こちらは厚生労働省が過去のパワハラ裁判を元に、分類をまとめたものになりますが、非常に広い範囲を対象としているようです。 例えば、専門家は、部下の指導するため机を叩いたり、椅子を蹴ったりすると威嚇をしたということで、(2)の「精神的な攻撃」として、パワハラと認定される可能性があると指摘しています。 また、(6)の「個の侵害」は、要はプライバシーの侵害になるため、部下の女性に対し「子どもはまだ?」と聞くこともNGです。 ちなみに、「30才を過ぎているのに結婚していない人は信用できない」という価値観を披露してもパワハラとなり得ます。 これらのパワハラの多くは、以前から、裁判でパワハラと認定されたことがあるケースです。 ◆パワハラ防止法の問題点 今回の法律の肝は、6つの類型が明記されたこと、企業に対して、パワハラ防止の取り組みを義務付けたことです。 罰則はないのですが、違反した場合、勧告が行われ、それを無視すると会社名が公表されてしまいます。 そして、この法律の問題点は、具体的な取り組み違反の内容は、「指針」という形で、すべて政府に丸投げしているところです。 その結果、厚生労働省は就業規則の改定や相談窓口の設置など、具体的には条文には書いていない10種類の取り組みを企業に対して義務付けました。 これは中小企業には重い負担です。 ほかにも男女雇用機会均等法では「セクハラ」が、育児・介護休業法では「マタハラ・ケアハラ」が同じように指針という形で細かく規制されています。 こういう形の規制は気を付けないと「言葉狩り」のように広がる可能性があります。 何がハラスメントになるかを政府が決めるようになっていくと、中国のような個人個人に「社会信用スコア」をつけて、善悪の基準を管理しようとしている全体主義国に近づいていくと言えます。 (後編につづく) マスコミが報じない「電力需給危機」のなぜ【後編】 2022.03.31 https://youtu.be/2eYPf6vP6LY 幸福実現党党首 釈量子 ◆「電力自由化」の誤り エネルギー政策、第三の誤りは、「電力自由化」です。特に2016年からの小売全面自由化と、2020年からの発送電分離という制度があるからです。 当初、「電力自由化」というと、「電気料金が下がる」ともてはやされました。ところが、日本より前に電力自由化を行ったヨーロッパの国では、電気料金は上昇していました。 そして、日本でもやっぱり電気料金は上がっています。 前述の通り、太陽光発電のような再エネの不安定さをバックアップするために火力発電が必要です。 しかし、「電力自由化・発送電分離」で、発電する会社と送電する会社を分けています。 送電は、旧大手の電力の仕組みのままなので、発電する会社は、稼働率の低い火力などを、いざというときのために残しておくと経営悪化につながるため、切り捨てていきました。 「電力自由化・発送電分離」の前には、電力会社は供給義務を負っていました。 停電を極力させないように十分な設備を維持する一方、そのコストを長期的に回収できるよう、電気料金を国が規制する「総括原価方式」が取られてきました。 これは優れた考えで、「電力の安定供給」と「安い電気料金」の落としどころを探る制度であり、「電力の鬼」と言われた松永安左エ門氏の智慧ともいうべきものです。 ところが、電力自由化・発送電分離によって、発電会社は自由にフリーダムとなり、送電網だけを持つ会社が、供給義務を負うという図式になってしまったのです。 ◆エネルギー政策の見直しを さらに、「脱炭素」の大号令のもとで、太陽光発電などの再生可能エネルギーが急増し、これらを火力発電よりも優先して供給する措置が取られています。 政府が主導して進めた電力自由化・発送電分離で、電力の安定供給に誰も責任を負わなくなってしまったという、究極の「無責任体制」と言っても過言ではありません。 さらに、固定価格買取制度(FIT)で実質的な補助金をばらまき、「すねかじり」のような発電業者をたくさんつくってしまいました。 結局、現在の電力の安定供給を軽視している現状を改めない限り、同じような電力のひっ迫は繰り返し起こり、本当に大規模停電の事態が引き起こされてしまうと思います。 現在、世界は戦争状態であり、エネルギー価格も高止まりしていて、まさに緊急時の状況が続く見通しです。 現在の電力自由化・発送電分離を白紙に戻し、電力体制を見直していかなくてはなりません。 FITなどの実質的な補助金による再エネ優遇を見直し、安定供給を行うため、石炭火力の投資を進め、そして原子力発電を再稼働させるべきです。 ◆ロシアとの関係も重要 また、今回の停電危機とは直接的な関係はありませんが、危機に強い電力体制をつくるという意味では、ロシアとの関係も重要です。 台湾有事などで南シナ海のシーレーンが麻痺すれば、中東などからの石油や天然ガスは入ってこなくなってしまっています。 一方、ロシアのサハリンからの輸入であれば、そうした有事の際も、供給を続けることができます。価格面でもロシアからの撤退は大きな影響が出るようです。 長期契約しているサハリン2から撤退すれば、短期の購入契約しか方法はなくなり、世界のLNG争奪戦に巻き込まれて高いLNGしか買うことはできなくなります。 日経新聞の試算になりますが、サハリン2の撤退によって、21年のLNG輸入額は約4.3兆円が、約5.8兆円となり、35%増えると見積もられています。 日本エネルギー経済研究所の2017年の試算によれば、LNGの価格が10%上昇すると、電気代が2.2%上昇します。 35%であれば、電気代が7.7%上昇することになり、家計のダメージは大きなものとなります。 また安定した供給が止まってしまえば、国家存亡の危機です。政府には、今回の停電危機を単なる一時的な問題で終わらせることなく、抜本的な解決を求めます。 マスコミが報じない「電力需給危機」のなぜ【前編】 2022.03.30 https://youtu.be/2eYPf6vP6LY 幸福実現党党首 釈量子 ◆大停電の背景 3月22日、季節外れの大寒波の中、電力が足りなくなり、あわや200万~300万の大停電かという事態にまで発展しました。 規模でいうと、一時405万戸が停電した2011年の東日本大震災に次ぐ規模でしたが、多くの事業者や個人が節電の呼びかけに応え、今回は最悪の事態を回避できました。 今回の電力不足の直接的な原因は、3月16日の夜遅くに発生した福島県沖地震です。 一時は14基の火力発電所が停止し、新地火力発電所の出力100万kWや広野火力発電所6号機の出力60万kWなど合わせて647.9万kWの電力が失われました。 現場の懸命な作業で8基分が復旧しましたが、22日時点では、334.7万kW分が動かすことができませんでした。 これに加えて、横浜市の磯子火力発電所1,2号機が、地震とは関係のないトラブルで19、20日と相次いで停止しました。 これで失われた発電の供給力は、それぞれ60万kWで合計120万kWです。つまり、合わせて450万kW以上の火力発電が動かない状態となっていました。 電力は地域間で融通し合いますので、東北での停止は東京にも影響します。 こうした背景で、東京電力は、22日の8時から23時に累計で6000万kWhの節電を要請しました。これは想定された需要に対し、10%の節電になります。 ◆「原発再稼働」の声 そこで、「原発再稼働」の声が上がっているわけです。 今回、福島県沖地震は震度6強ですが、原子力発電所は、安全性の観点から地震に非常に強く設計され、東日本大震災以降、よりハイレベルの対策も取られるようになっています。 また、今回の地震のケースでは、新潟県の柏崎刈羽原発は無傷で動かすことができたはずです。柏崎刈羽原発には7つの発電設備があり、総出力は約821万kWです。 今回の東電の節電要請6000万kWhを、単純に8時から23時まで15時間で割れば、1時間あたり400万kWになります。 柏崎刈羽原発が動いていれば、そもそも節電要請自体が必要ありませんでした。 電力は、地域を分散させて、安定して供給できる多様な電源を持つことが大事です。 昨年21年の1月上旬にも大寒波による急激な電力需要の高まりで停電の危機がありました。また21年夏頃からは、エネルギー価格がじわじわと上昇し始めました。 このように、原発再稼働の機会は何度もありましたが政府は動きませんでした。 ◆欧米ではエネルギー政策を見直し 欧米では、ウクライナ危機を通じて、エネルギー政策を根本的に見直しています。 ベルギーも3月18日に2025年までに閉鎖する予定だった原子力発電所2基の稼働を10年間延長することを決めました。 ドイツは今回のウクライナ危機を受けても、結局、原発の復活は難しいという結論になったようです。 これは原発の技術者がいなくなってしまうなど、既に脱原発が後戻りできないレベルまで進んでしまったことが原因です。 ◆「脱原発」の誤り 日本は、今であれば、脱原発の見直しは間に合います。しかし、時間が経てば経つほど、技術の継承は難しくなります。 資源のない日本はこうした観点からも脱原発の撤回を進めるべきです。 しかし、政府は依然として原発の再稼働に及び腰で、3月22日の電力需給ひっ迫では、何とか大規模停電を回避できましたが、次も回避できる保証はどこにもありません。 ◆「太陽光発電」の誤り エネルギー政策の第二の誤りは、太陽光発電を爆造です。 太陽光発電の問題は、真冬のように暖房をつけたくなり、電気が必要になっているときに、雪が降ったり、曇ったりしていて発電量が大幅に下がります。 太陽光発電は、東電管内で仮にフル稼働すれば1600万kW分ですが、冬の最大電力需要は4500万から5000万kWで、3分の1弱くらいです。 実際に、22日の太陽光発電を「貢献度」で見ると、8時から18時から電力供給の全体の実績に対し、太陽光発電からの供給はわずか3%で、いざというときに頼りにならない発電でした。 状況によって発電量が大幅に変わる太陽光発電などの再エネ発電の不安定さをバックアップするためには火力発電が必要です。 今回の大停電は、火力発電が止まったので電力がひっ迫したわけです。 (後編につづく) 【Society5.0】国が進めるムーンショット事業は本当に大丈夫!? 2022.03.17 https://youtu.be/52C0H56uKgo 幸福実現党党首 釈量子 ◆「Society 5.0」とは 今回は、政府が進める科学技術政策「Society 5.0」について考えます。 「Society 5.0」は、2016年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」で、我が国が目指すべき未来社会の姿として、初めて提唱されました。 人類社会は「狩猟社会」(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)と発展を遂げてきました。 そして、5番目の未来社会像として、政府が掲げたのが「Society 5.0」です。 内閣府のホームページでは、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義しています。 Society 5.0の一環として国が進める「ムーンショット」事業があります。 ムーンショット事業には9つあり1番目が、「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現する」、というものです。 ムーンショット目標1 https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub1.html ◆ムーンショット事業の危険性 具体事例として挙げられているのが「アバター」です。「アバター」とは、自分の分身のことで、サンスクリット語のアバターラ「化身」の意味から来ています。 「ムーンショット事業」では、ロボット技術などを使って、リアルな三次元空間で、一人ひとりが好きなアバターを何台も操作できる社会を目指しています。 実際に、脳に直接、プラグや電極を差し込んだり、チップを埋め込んだりして操作する方法が、世界各国で研究されています。 中国では、すでにハトの脳に微小電極をインプラントして動きをコントロールしたり、電極を埋め込まれた実験用ラットが、直接人間の脳から信号を受け複雑な迷路から抜け出る実験に成功したと言われています。 また、イーロン・マスク氏が立ち上げたNeuralink(ニューラリンク)は、2021年4月、サルがコントローラーを使わず思考だけでピンポンゲームをプレイする映像を公開しました。 ◆日本の「ムーンショット事業」 では日本では、何を目指すかというと次のような技術です。 (1)自分の精神状態をスマホで把握できるようになる スマホで見られるということは、ほかの人も見られるということで、プライバシーの問題になりかねません。 (2)自分の過去の記憶からの解放される VR空間で過去のトラウマの事件をやり直し克服するというものです。 (3)自分の「やる気」のコントロール 脳を直接、電気で刺激し、うつ状態を和らげることを目指しているようですが、これも、人の心を操作できる可能性を否定できません。 今でさえ、サイバー攻撃が大変だと言われているのですから、アバターが不可欠になった社会の被害はもっと深刻になるでしょう。 前述したトラウマ修正プログラムは、社会からの抹殺もボタン一つ、人々の価値観を自在に操ることもできるようになるかもしれません。 そうしたインフラを管理するような企業や国家は、GAFAの比ではない権力が集中することになります。記憶の改ざんや精神の操作もできるなら、「洗脳」は簡単です。 ◆絶対に譲れない「人間の尊厳」 しかし、「絶対に譲れない一線」となるのが「人間の尊厳」です。人間の尊厳の根拠は、神が人間を創られたということです。その中心が、人の心であり、心こそが人間の「最後の砦」です。 唯物論に陥ってテクノロジーが暴走するとどうなるか。それが中国共産党政権のAI監視社会のような、この世の地獄です。 唯物論、科学万能主義で、神も仏の否定する先にあるものは、恐ろしい未来です。ですから、科学技術が進歩しても、それに釣り合うだけの霊性、精神性が人間にはどうしても必要です。 日本も「文部省」が「科学技術省」と一緒になった「文科省」以降、唯物的な、いわゆる科学万能主義が強くなってきています。 すでに、学校現場でも「知識教育」が「テクノロジー」と結びついて、若い世代でも「心」が何か分からないという人が増えています。 人工知能が進化してくと、人間の働きを代用するようになるので、人間はいらない社会がくると考える人が出てきています。 ◆教育の大事な役割 2017年、坂本龍馬や吉田松陰のような日本の誇りとなる偉人を教科書から削除する提言を発表し、波紋を広げています。 「歴史的な確定できる業績として、何があったかがはっきりしない」という「科学的な思考」が歴史の分野や宗教の分野にまで入り込んできています。 そうした科学的思考では、「AIに対抗する人材を養成する」と言っても、限界があります。 吉田松陰の「万巻の書を読むに非ざるよりは、寧んぞ千秋の人たるを得ん」という言葉が遺っています。 つまり、「万巻の書を読まずして、どうして千秋の人(千年も後に名前が遺るような人)になれようか」ということですが、こうした和歌を見ると、知識的だけで人を育てる方ではなかったことがよく分かります。 「かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」の句には、自分の生死を超えて、世のため、人のために尽くそうという尊い「心」が現れていると感じられます。 この三十一文字が、当時の維新の志士たちの魂を震わせ、世の中を変えていく人材になっていきました。 このように心はAIが進化しても、千年経っても万年経っても絶対に届かない世界だということが言えるのではないかと思います。 自分がどんな人間になっていくのか。あるいはどんな使命のために自分が生まれてきたのか。そうした事を深く考えさせ、そして意志であるとか、志を持たせていく、そしてその心を練り込んでいくことが大切です。 科学が暴走して人類が不幸に陥らないために、未来産業も「人のぬくもり」の価値を高める方向で研究されるべきだと思います。 そもそも一流の科学者が、すべて神の世界を探究するという命題の下で様々な学問を進めてきたということも決して無視してはいけないことかと思います。 この科学技術が唯物論に立つことがないよう、私たちは声を上げていきたいと思っております。 すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 5 … 64 Next »