Home/ その他の時事問題 その他の時事問題 2024年から宅配便が届かない!? 物流業界を苦しめる「2024年問題」とは?【前半】 2023.09.20 HS政経塾13期生 岡本 隆志 ◆2024年4月以降、「働き方改革」でモノが届かなくなる可能性 コロナを機に、急速に普及したネット通販。それに伴い「置き配」という言葉が浸透するなど、すっかり私たちの生活に宅配便が身近になりました。 しかし、2024年4月から、宅配便でモノが届かなくなる恐れが浮上しており、いわゆる「2024年問題」と言われています。 この背景には、安倍政権下で2018年に制定された「働き方改革」があります。物流業界では2024年4月から、「働き方改革」が適用され、トラック運転手の時間外労働の上限規制が年間960時間に制約されます。 これにより、1日に運べる荷物量が減少するため、安定輸送が困難になることが予想されています。 また、「働き方改革」の適用で、人材流出の懸念もあります。働く時間が減り収入が減るため、離職を検討している人が出ているためです。 人手不足が加速すれば、さらに安定輸送が困難になるのではないかと言われています。政府はそれでも「働き方改革」を進めるのはなぜでしょうか。 ◆「働き方改革」の背景にある「過労死」と「低賃金」の問題 ここで「働き方改革」の背景を、2点説明します。 1点目は、長時間労働による過労死の問題です。過労死ラインの100時間を超える勤務によって亡くなられた方の遺族が、運送業者に賠償を求めて提訴(※1)するなど、トラック運転手の過労死が大きな問題となりました。 厚生労働省によれば、「道路貨物運送業」の令和4年度の労災認定(脳・心臓疾患)の決定件数(※2)は、最多の56件でした。これは、その次に多い「卸売業・小売業」の2倍以上あり、全体の約30%を占めています。 2点目は、長時間労働であるにもかかわらず低賃金であるということです。厚生労働省によれば、トラック運転手は全産業の平均時間よりも約20%多く働いているにもかかわらず、平均所得額は約10%低いという状況です(※3)。 このような状況が生じているため、政府はトラック運転手の時間外労働の上限を規制し、労働環境の改善に努めているのです。 ◆「働き方改革」で働けなくなる人も 一見、政府が行う「働き方改革」はトラック運転手にとってありがたい話にも見えますが、必ずしもそうではないようです。その理由の1つが自らの意志で長く働き、多くの給料を稼ぎたいトラック運転手の存在です。 あるドライバーからは「大変なことを承知のうえでこの仕事を選んだ。働く時間が減ることで収入が減ってしまうことが不安だ」(※4)との声が上がっています。 厚生労働省によると、残業代が月の総支払額の20%強を占めており(※5)、労働時間が制限されれば、給料が減ってしまいます。 すでに、離職を検討しているドライバーも存在しており、物流業界の人材不足が加速する危険性もあります。 ◆実は改善に向かいつつある「低賃金」の問題 また、依然として全産業の平均所得額より所得が低いものの、着実にトラック運転手の所得額が増えています。 大型トラック運転手と中小型トラック運転手の年間平均所得額は、8年間(H.26~R.3)でそれぞれ約9%、約14%増加(※6)しています。 一方で、全産業の平均賃金は約2.6%の増加(※7)でとどまっています。このように、少しずつではありますが、低賃金の問題も改善に向かっています。 ◆一律に規制を敷くのではなく、政府は、企業の創意工夫に委ねるべき もちろん長時間労働による過労死など、トラック運転手の労働環境の改善は、命に関わることである以上、決して看過して良い問題ではありません。 しかし、「働き方改革」と称して一律に規制をかけることの弊害を見逃してはいけません。体調や健康状態は人によって異なります。家族や人間関係、生活習慣なども異なります。 ですから、どれくらい働けば、「働きすぎ」になるかは、人それぞれのはずです。一律に決めることはできません。 それを無視して、一律に規制をかければ、先述のように、まだ働けるのに「働きたくても働けない人」が出てきてしまいます。 一方で、企業を一律な規制で“がんじがらめ”にしなくても、企業は長時間労働を放置できません。現代においては、長時間労働で大事故を起こしてしまえば、企業への痛手は計り知れないからです。 社会的な大問題を起こし、メディアに報道されれば、企業の存続にかかわります。 例えば、株価や売上の急激な下落はもちろんのこと、そうした悪質な企業とはお付き合いできないし、商品やサービスも買わないという事態も十分に考えられます。ですから、企業もそうした問題を放置できないわけです。 企業の自由な取り組みに委ねることで、新しい発想で長時間労働などの問題の解決策を生み出すこともできます。 例えば「置き配」。日本では、2019年から「Amazon」が始めたサービスですが、再配達の軽減や車の燃料コストの削減に寄与しています。 政府が規制を敷かなくても、企業の自由な取り組みで、トラック運転手の負担を軽減できた事例です。このように自由な競争があるからこそ、新たな知恵が生み出され、労働環境を改善していくこともできるのです。 ◆政府は「働き方改革」を見直すことで「2024年問題」の回避を トラック運転手が直面している長時間労働による過労死や、低賃金の問題は、解決されていくべき問題です。 ただ、このような問題を解決するために、「働き方改革」によって一律にトラック運転手の労働時間を規制することには問題があります。 なぜなら、安定輸送が困難になることや給料が減少するなど、副作用も生じているからです。ですから、「働き方改革」は見直し、企業の自由な取り組みに委ねるよう政策を転換することで、「2024年問題」を回避すべきです。 しかし、政府は「働き方改革」によって生じる「2024年問題」の対策として、運送事業者に負担がかかるさらなる規制を敷こうとしています。 後編では、その規制の問題点を指摘したうえで、政府が取り組むべき政策を提言します。 (※1)NHK、「トラック運転手“過労死” 遺族が運送会社に賠償求め提訴」(2023年5月11日) https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230511/2000073594.html (※2)日本、厚生労働省、「脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況」(2023年6月30日)4ページ https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001113801.pdf (※3)日本、厚生労働省、「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト賃金構造基本統計調査『トラック運転者の年間労働時間の推移』」(online) https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/work (※4)NHK、「ビジネス特集 “荷物の3割が届かない” 衝撃の予測は現実になるのか?」(2023年1月24日) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230124/k10013958651000.html (※5)THE GOLD ONLINE、「月収28万円・50歳のトラックドライバー『配達が終わらない』の嘆き…さらに『給与大幅減』の悲劇に『もう、やっていられない』」(2023年6月7日) https://news.yahoo.co.jp/articles/f16746a1db3431fb533800e13177de8f5c0629dc?page=1 (※6)日本、厚生労働省、「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト 賃金構造基本統計調査『トラック運転者の年間労働時間の推移』」(online) https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/work (※7)日本、厚生労働省、「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 『賃金の推移』」(2023年3月17日) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/dl/01.pdf (※1~7)最終検索日:2023年9月17日 米情報将校の内部告発――米国にはUFO技術獲得の極秘計画がある 2023.07.26 https://youtu.be/v_vij831Uu4 幸福実現党党首 釈量子 ◆アメリカで公開されたUFO映像 アメリカでは近年、UFOの存在を肯定する見方が強くなっています。大きなきっかけはトランプ政権以降、政府が、UFO映像を公開したことでした。 サンディエゴ沖合でアメリカ海軍が軍事演習の際にパイロットが撮影した映像 https://www.youtube.com/watch?v=9a0xIzp-fbs この映像はメディアでも取り上げられ、2020年4月27日、国防総省が、本物であることを認めました。 その後も、2019年7月にミサイル駆逐艦の乗組員が撮影したピラミッド型UFOも、2021年4月、国防総省は、海軍職員が撮影したものであることを認めました。 サンディエゴのピラミッド型UFO映像 https://www.youtube.com/watch?v=-Pjqdaz_b24 今年4月19日には、アメリカ上院議会で、第2回UFO公聴会が開催され、国防総省が提供した2種類の新しい映像も公開されています。 南アジアで撮影されたUFOは、不思議な動きをしています。二つ目は、イラク第二の都市モスル上空を飛んでいた銀色の球体です。 南アジアとイラクのモスル上空のUFO映像 https://youtu.be/M6Wmap12xm0 ◆元情報将校の衝撃的な告発 6月上旬、元・米情報将校のデビッド・グラシ氏がメディアに登場し衝撃的な告発を行いました。 グラシ氏は、「アメリカ政府は数十年前から現在に至るまで、墜落したUFOを回収し、リバース・エンジニアリング(リバース・エンジニアリング)している。これらが、地球にない技術であり、宇宙人も存在する」と主張しました。 そして、「アメリカ政府はこれらの事実を隠蔽しているので、情報公開すべきだ」と訴えています。 デビッド・グラシ氏は、現在36歳。14年間もの間、空軍の情報将校として様々な極秘プロジェクトに参加してきました。 2019年からは国家偵察局(NRO)や国家地理空間情報局(NGA)で、未確認空中現象(UAP)の解析のタスクフォースで主導的役割を果たしてきた人物です。 6月5日、グラシ氏は、防衛・科学ニュースサイト「デブリーフ」やケーブルテレビ「ニューズ・ネイション」のインタビューに、次のように答えています。 (1)極秘プロジェクト「UFOを回収」 「未確認空中現象(UAP)の仕事は、クラッシュ・リトリーバル・プログラムの存在を知られないようにすることだった」と答えました。 「クラッシュ・リトリーバル・プログラム」とは、人間由来ではないUFOなどの乗り物を回収する極秘プロジェクトのことです。 「回収された物体は、UFOの部分的な破片から無傷の物まで様々だったが、その形態や材料のテストを行った結果、独特の原子配列を持っており、地球以外の起源を持っていた」と主張しています。 さらに、グラシ氏は「何らかの理由で墜落したUFOを回収する際に、時々、死んだ宇宙人パイロットが見つかる。信じられないかもしれないが、これが真実だ」と語っています。 (2)見えない冷戦 二点目は、地球にない技術を利用し、軍事的に優位に立つための「見えない冷戦」が起きている、ということです。 グラシ氏は「軍事的優位性を得るために、リバース・エンジニアリングを巡って、アメリカと敵対国は対立しており、見えない冷戦が行われている」と主張します。 この敵対国には、中国やロシアが含まれていると思われますが、これらの国もリバース・エンジニアリングを行っていることを示唆しています。 参考まで、宇宙人と地球人の技術レベルの差は圧倒的で、1960年代、米軍の弾道ミサイル実験の最中に、UFOが複数の角度から光線を当てて撃墜しました。その様子は映像に残っています。 CNN:米軍弾道ミサイル撃墜映像」 https://youtu.be/xmh2NJxc3BQ (3)アメリカ政府は国民にウソをついている グラシ氏の主張を裏付ける機密書類は国家安全保障に関わるため、取材を行ったメディアが確認することはできませんでしたが、議会や関連機関にはすでに提出されています。 最後に、インタビュアーが「もしあなたの言っていることが正しいとしたら、何十年間もアメリカ国民はウソをつかれていたことになる」と話したところ、グラシ氏は「その通り。これは国民向けの偽情報キャンペーンだ」と憤慨して答えています ◆アメリカは、UFO技術獲得へ 6月26日には、上院情報委員会の委員長を務めるマルコ・ルビオ上院議員が、「ニューズ・ネイション」の取材を受け、次のように答えました。 「UFOの存在を主張しているのは、グラシ氏だけではない。他にも政府高官が存在する」「いずれも高い機密情報クリアランスを持つ人材だ」 ルビオ議員は情報提供者の主張が信頼できるかどうかまではコメントしていないが、「偏見なしに、簡単に結論を出さずに、これらの情報を収集していきたい」と話しました。 このように、アメリカではUFOの存在を認める段階から、UFO技術の獲得を真面目に取り上げるところまで、ステージが上がっています。 ◆日本はUFO後進国から脱却を 一方、日本政府は、公式には、UFO情報は一件もないと言っています。 日本はUFO後進国とも言われますが、UFOの存在も認めないような唯物論的科学主義を信じているようでは、いずれやってくる宇宙時代に対応できません。 宇宙情報を常識に縛られず、先入観を排し、UFOや宇宙人の存在にも心を開いていくことが、新しい時代を拓くことになると思います。 今回はアメリカ政府の動きを取り上げ、今後、「日本人の常識」に「揺らぎ」を起こしていくべく、幸福実現党は、発信していきたいと思っています。 改正マイナンバー法で監視社会に突き進む日本。4つの「抵抗権」で声を!【後編】 2023.06.25 https://youtu.be/SqsKVSOeSII 幸福実現党党首 釈量子 ◆マイナンバーの危険性 マイナンバーの危険性は、前編で指摘したセキュリティーの問題にとどまりません。 (1)貯金税 政府は今、1200兆円以上の借金を抱え、税金を取る手段を血眼になって探しています。 物価も上昇し、金融緩和の修正も迫られる中、「異次元の少子化対策」なるバラマキを続けるなら、企業の内部留保や個人の貯金等に目が行くわけです。 個人の「所得」のみならず「資産」まで把握して、その量に応じて税金を取るため、資産把握にマイナンバーを使うであろうことを、大川隆法党総裁は、警鐘を鳴らしてきました。 4月25日、経済界や学会の有志がつくる「令和国民会議(令和臨調)」は、社会保障制度の改革を促す政府への提言及びその後の記者会見の中で、マイナンバーで国民の所得を把握できるようにすべきとしました。 令和臨調で三菱UFJ銀行特別顧問の平野信行氏は「現在のマイナンバーは用途が狭すぎる」「資産や所得の把握に一番欠けているのは銀行口座への登録で、これは義務化すべきだ」との見解を示しました。 令和臨調は子育て支援策の財源として、「税を軸に安定的な財源を確保すること」と求めていて、政府財務省の意向にそった発信をしているのは間違いありません。 また、死亡後に残った遺産に課税する「死亡消費税」の導入もあります。死んだ後に税金を取る国などありません。 (2)AI等による監視主義は「人間の家畜化」につながる 「私有財産」も国民の自由権の一つであり、国民の行動から財産状態から職業などを一元管理できるようになれば、行きつく先は今の中国のような監視社会です。 経済的自由が制限されると、あらゆる自由が根こそぎ奪われます。 ◆「全体主義」に対しては抵抗を! 日本人は、「賢い人たちがやってくれる」と呑気に思いがちですが、全体主義的傾向には、「抵抗権」を盾に声を上げなくてはなりません。 (1)具体的には、マイナンバー制度の見直し 法律が成立したからもう遅いと考えるのはまだ早いのであって、見直しは可能です。 6月7日に読売新聞が社説で「1980年に納税者番号の一つ、グリーンカード制度を導入する法律が成立した後、政財界から批判が噴出したため、5年後に廃止した」として、見直しを訴え、話題になりました。 (2)現金、紙の保険証などアナログの要素を残すべき なんでもデジタルにすればいいという発想はやめて、「紙の健康保険証」も残したい人の選択肢を尊重すべきです。 すでに日本の病院は、ロシアや北朝鮮などサイバー攻撃の対象になり、電子カルテ化した医療情報を身代金に取られ、診療が止まった事例もありました。 災害による停電も常時念頭に置くべきです。デジタル化が遅れてアナログのままであるほど安全と言えるわけです。 政府は「誰一人取り残されないデジタル社会」などと言いますが、カードを持たないと不便な社会を作り出すのは断固拒否していきたいと思います。 (3)マイナカードで、国民や自治体の「欲」を釣るな 岡山県備前市では、給食費及び学用品費を無償化とする条件として、マイナンバーカードの取得を求めるとしました。 子供たちの給食と引き換えにする市の姿勢は、本来取得が自由なはずのカード有無で、行政のサービスを差別することになります。 マイナンバーの理念である「公平・公正な社会の実現のため」どころか、カードの有無で「差別」を付けるなど許されません。 (4)デジタル庁廃止 職員約730人のうち民間出身者は約250人、そのうち約9割が民間企業とも兼業できる非常勤職員です(2022年4月時点)。これはほとんど「ザル」です。 スパイ天国の日本でどんな情報も抜かれる可能性をはらんでいるのではないでしょうか。 ◆「全体主義」には抵抗を 国家が暴走して個人の「自由」を踏みにじるのが「全体主義」ですが、「カードを持つと便利になる」「お金が振り込まれる」という政府の言葉に簡単に踊らされてはなりません。 こうした教訓を学ぶことなく、突き進む政府の傲慢さの根源は、中国と同じく、神仏の目を意識しない精神性の低さにあります。 簡単に自由を奪い、人間を家畜化する政治に警鐘を鳴らすことは、「自由・民主・信仰」を政治的信念とする幸福実現党の使命だと考えています。 改正マイナンバー法で監視社会に突き進む日本。4つの「抵抗権」で声を!【前編】 2023.06.24 https://youtu.be/SqsKVSOeSII 幸福実現党党首 釈量子 ◆改正マイナンバー法が成立 6月2日、「改正マイナンバー法」が成立しました。 今、トラブルが起きていますが、まだ序の口で、今後日本の国民はさらに大きな問題に直面すると思われます。 まず、今回の法改正のポイントを見てみましょう。 (1) 現行の保険証を廃止、マイナ保険証に一本化 マイナンバーカードをつくるかは「任意」ですが、国民皆保険の日本では、健康保険証を持っているので、事実上、マイナンバーカード取得が義務付けられました。 カードを持たない人には、申請によって「資格確認書」を発行します。有効期限は1年で、無料です。 高齢者などを念頭に代理申請もでき、カードと確認書両方の申請がない場合は、医療や保険機関の判断で確認書を発行する方向です。 (2) 公金受取口座との紐づけ 次に、本人が不同意の意思を示さない限り、公金受け取り口座がマイナンバーと紐づけされます。 今後、行政から文書で尋ねられた時に「同意しない」という意思表示をしないと、勝手に紐づけされます。 しかし、マイナンバーに関するトラブルは絶えず、他人の年金記録が閲覧できたとか、誤登録も多発しています。 昨年12月には、奈良市のマイナカード窓口担当職員がマイナポイントを不正に取得して窃盗容疑で逮捕される事件もありました。 大手新聞の社説で「保険証の廃止 見直しは今からでも遅くない」など、政府に対する不満も溢れ、「返納したい」という人も出ています。 しかし、政府は見直しどころか、6月9日に「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定し、2026年中に「新しい次期マイナンバーカードの導入を目指す」としています。 「運転免許証」など一体化を更に進め、スマホ搭載型マイナカードも検討、「民間との連携も含めた利用拡大」に向けて突き進んでいます。 ◆海外のIDカードの教訓 諸外国ではマイナンバーに当たるIDカード体制は失敗しています。 イギリスでは、第二次世界大戦中に「非常時下」であることを理由にIDカードが導入されました。 しかし、1951年、警官に身分証明書の提示を求められて、その提示を拒んで有罪となった事件を機に「個人の身元を証明する行為は強制されるべきではない」という世論がわきあがり、1953年に国民登録法及びID カードが廃止となりました。 その後、2000年代に入って不法移民やテロ対策、給付金詐欺を検出するための手段としてID カードシステム導入の議論が再び起き、2006年労働党政権の時に、虹彩など生体認証データを含んだIDカードを導入しました。 しかし、13年ぶりに、保守党・自由民主党の連立政権への交代とともに廃止されました。 代わりに公共サービスの共通認証、及びポータルサイトが導入されましたが、取得は任意で、2020年時点で全人口の約10.7%にとどまっています。 アメリカでは、1943年に9ケタの社会保障番号(ソーシャル・セキュリティ・ナンバー)が導入され、身分証明書として利用されてきました。 しかし、「漏洩した番号で勝手にクレジットカードなどをつくられ、買い物をされる、なりすまし詐欺」が多発しました。 人口3億1千億人に対して、21年の被害者は4200万人、「なりすまし」の詐欺被害は年間総額5兆円、日本の防衛費にも相当します。 見直されたのは、陸軍です。 米軍では「ドッグタグ」という、戦死した時に個人を識別できるタグに、社会保障番号が打ち込まれているのです。 2015年、陸軍では社会保障番号の記載を廃止して、国防省の独自のIDナンバーが使用されるようになりました。 紛失したIDタグがあれば名前、社会保障番号、血液型や宗教までわかってしまい、兵士に危害を加えられる危険もあるからです。 ちなみにドイツは、共通番号はナチスの再来を想起させるという理由で税務分野の番号に限定しています。 一元化はリスクが跳ね上がるので、分散管理の方が安全であるという大きな教訓です。 ◆海外の教訓から「逆走」する日本 ところが政府の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」はまさに、海外の教訓から「逆走」しています。 特に、自衛隊員は、どこで何をしたかが丸裸になれば、船の位置や作戦行動などが丸見えになってしまいます。 国会で、「警察庁、防衛庁、公安調査庁などの治安官庁」が出した、2015年11月6日付「国家公務員身分証の個人番号カード一元化における問題点等について」の公文書が存在していることが、明らかになりました。 同公文書では、「情報が流出するおそれが飛躍的に増大」して、「職員やその関係者に対する危害・妨害の危険性も高まる」ので、「個人番号カード一元化の適用除外」を求めています。 (後編につづく) LGBTQに猛反発?世界大混乱。ロシア、イスラム諸国、グローバルサウス。【後編】 2023.06.08 https://youtu.be/BvYe-R_WVv4 幸福実現党党首 釈量子 ◆ロシア 前編から引き続き、世界の動きとして、ロシアのプーチン大統領の「LGBTQ」に関する発言も見てみます。 昨年9月30日のドネツク・ルガンスク、ザポリージャ・へルソン併合式典での発言です。 「私たち自身のために、とてもシンプルな質問に答えましょう。私たちは、この国、このロシアで、母親と父親の代わりに「親No.1、親No2、親No3」を持ちたいのでしょうか?」 この「親1親2」というのは何かというと、フランスでは2013年から同性婚が合法化され、さらに2019年から、学校が「父親」「母親」という言葉を使用しなくても済むよう法律を修正する案が国民議会で可決しました。 学校で書類などに「父」や「母」などの言葉を使うのをやめ、「親1」や「親2」という表現を使います。 プーチン氏の発言を続けます。 「私たちは、学校という場所で、子どもたちが学校に通い始めたときから、劣化と絶滅につながる倒錯を押し付けられたいのでしょうか?女性や男性とは別の性別が存在するという考えを頭に叩き込み、性別適合手術を受けさせたいのだろうか。それが私たちの国や子どもたちに望むことなのでしょうか。」 「欧米エリートの独裁は、欧米諸国の市民自身を含むすべての社会を対象としています。これは、すべての人への挑戦です。人間であることの意味を完全に放棄し、信仰と伝統的な価値を転覆させ、自由を抑圧することは、『倒錯した宗教』、つまり純粋な悪魔崇拝と似てきています。」 「イエス・キリストは山上の垂訓で、偽メシアを暴くためにこう言った。『その果実によって、あなたがたは彼らを知るであろう』。この毒の果実は、わが国だけでなく、欧米諸国の多くの人々を含むすべての国の人々にとって、すでに明白なものです。」 なお、ロシアでは「ゲイ・プロパガンダ禁止法」が制定されています。これは同性愛行為そのものではなく、同性愛関係が未成年者の発達に及ぼす悪影響を防ぐことを目的としたものです。 ◆グローバルサウス 最後に、新興国・途上国の様子です。 世界の動向を大きく握る「グローバルサウス諸国は、アメリカ型のリベラルに反発する国は多く、最近ではウガンダや、アジアでもインドネシア(人口の90%がイスラム教)とマレーシア(60%)などは、イスラム保守主義の台頭などで、LGBTに対する法律は厳格になりつつ国もあります。 世界70以上の国と地域が、憲法や国内法、または地域法により同性愛行為などを「犯罪」として取り締まりの対象としていて(難民研究フォーラムによる)、法令で死刑を規定している国は8カ国です。 実際に実施していない国もありますし、法律にはないものの、イスラムの「シャリーア」に基づいて「死刑」とされる国もあります。 同性愛嫌悪が強い国では、同性愛に対する迫害が酷く、難民認定申請をして国外に逃げる人もいます。 婚姻などを規定する「シャリーア」は、そもそも婚姻関係以外のすべての性行為が違法、石打ちの刑や鞭打ちの刑に処せられます。ISISの占領下のイラクでは、支配地域ではビルから突き落とされました。 「これはいくら何でもひどすぎる」と思うのが正直なところで、大川隆法党総裁も、イスラム圏に関しては、「自由の風」を流したいとイスラム教改革について言及を何度もされております。 アジアではシンガポールのマハティール首相が、2018年タイで行った講演でこのように語っています。 「アジア人は度々、西洋の価値観を疑問なしに受け入れてしまう。しかし、すべて真似(copy)する必要があるのだろうか。もし彼らが裸で歩き回ると決めたら、私たちも従わねばならないのか。私たちには私たちの価値観がある。だから私は自分たちの価値観があることを誇りに思っている。」 「彼ら(西側)が受け入れたいならば彼らの勝手だ。しかしそれを押し付けるのは、やめていただきたい。」 どの国も歴史や文化、その根底にある宗教に基づいて、独自の判断をしています。 G7サミットで岸田首相は「ジェンダー主流化」の推進を表明しています。 これは「ジェンダー平等」の観点をあらゆる政策や制度に反映することを指すという宣言で、6月24、25日に日光市で開催されるG7男女共同参画・女性活躍担当相会合でも議論される方向です。 日本の政治は、バイデン政権に追随するだけで、あまり考えてもいないというのが現状です。政治の無責任な姿勢がどういう結果をもたらすかを冷静に考えるべきです。 ◆生まれた性で生き抜くことの大切さ 幸福実現党は、LGBTの問題に対しては、「少数者の権利は守らなければいけないし、それが『魔女狩り』みたいになることは避けるべきだ」と考えます。 本当に苦しんでいる方にお伝えしたいところとして、「性への違和感」には根深い「心の問題」があることがよくあります。 例えば、子供の頃、一番身近な親からマイナスの感情をぶつけられたり、暴力を振るわれたりすることでの自己否定観を持ったり、学校で体型などの悪口を言われたことで、自分の性を否定するケースも多いのです。 そういうマイナスの心には、「波長導通の法則」で「憑依」という現象も起きてきます。「確かに」と思い当たる方も結構いるはずです。 自己否定の感覚を紛らわそうと、不特定多数の性関係を持つティーンエイジャーが立っていますが、人間は神仏の子であるという魂の尊厳や、欲望に負けずに自制心を養うことの大切さを教えるべきでしょう。 また、もっと深く突き止めると、「前世の性別の記憶が魂に残り、それが性の違和感に出る」こともあります。 人生は苦しいことが多くいのですが、「魂の修行の場」であり、やがてあの世に還っていきます。 「この世で自分がしたいことをやれることが幸福」という考えで、行き過ぎたリベラルが、男女を造ったという神の心に反し、地球の伝統的価値観を破壊することには反対です。 公教育で「生まれた性が嫌なら変えてもいいよ」と教えるのではなく、「生まれた性で生き抜くことの大切さ」であり、「その性別にとって違和感がある」のも、永遠の生命を持つ魂の歴史からすると学びの機会であるわけです。 こうした観点で、どういう政策が幸福であるべきかを考えてまいりたいと思います。 「LGBT法」世界大混乱。欧米諸国でも、イスラム諸国は猛反発。【前編】 2023.06.07 https://youtu.be/epD63XOXvYs 幸福実現党党首 釈量子 世界ではアメリカの、特にリベラルな民主党的な価値観を受け容れない、受け入れたくない国との価値観の対立が深まっています。 その代表が、「LGBTQ」に関する考え方です。 岸田首相は、サミットで、「LGBTへの差別を禁じる法律がないのはG7で日本だけ」「日本は遅れている」というイメージづくりの中で「日本もちゃんとやっています」と内外にアピールする狙いで国会に法案を提出しました。 アメリカでも、国を二分する激論が起き、イギリスでは行き過ぎた部分についての揺り戻しも起きています。 岸田政権による、点数稼ぎ狙いの法律をあえてつくる必要はないのではないでしょうか。 ◆日本の状況 日本の各党の法案を見てみます。 サミット開幕当日5月19日に、国会に提出した与党案があり、その後、立憲・共産が共同で対案を出しました。これは2年前の2021年に超党派の議連でまとめたものです。 そして26日に日本維新の会と国民民主党案が提出されました。 争点となった文言ですが、立憲・共産の(2021年超党派議連の法案)には、「性自認」という言葉がありました。 「自分自身の性別をどのように認識しているか」、生物学的には男性でも、自分が女性だと認識しているならそれを認めるということです。 しかし自分の認識だけで性別を決められるなら、本気で悩んでいる人と、自称女性の「変態」男性との区別がつきません。アメリカでは女性刑務所で自称女性のトランス男性によるレイプが起きています。 そこで自公案では今回、「性同一性」ということばにして、ある程度、客観性を持たせようという狙いがあります。 しかし、「性同一性」の客観的な要件は法案に書かれておらず、実際には「性自認」との違いはありません。 維新と国民民主は「ジェンダー・アイデンティティ」と、煙に巻いた感じです。 また21年超党派案の「差別は許されない」という言葉も、訴訟の乱発などに繋がらないよう自公は「不当な」という言葉をつけて、配慮したような体を取っています。 しかし、何が不当なのか客観的な要件がなければ、この法律を根拠とした訴訟リスクは無くなりません。 そうこうしている間、保守を中心に「女性の権利侵害」という声も大きくなり、「維新と国民」は「全ての国民が安心して生活できるよう留意」、さらに自公案が「学校でLGBTQ教育を行う」と踏み込んだのに対して「保護者の理解と協力」という文言を追加しました。 6月の会期末までに自公政権で押し切ろうと思えば押し切れる状況ですが、自民党支持層である保守派の反発を招く可能性も高く、成立の見通しは不透明です。 特に、海外では深刻な事態や揺り戻しもみられます。 ◆アメリカ まず、アメリカでは、バイデン政権と共和党支持者の間で、激しく対立しています。 NYで自殺企図のある11歳の女の子が、学校のカウンセラーに相談したところ「性転換手術(現在は性適合手術)」を勧められて保護者が驚いたという話はよくあると現地の方から聞きました。 子供が親の同意なしに、医師やカウンセラーのもとに行き、「性別転換手術」を勧められてしまうことは、合衆国憲法で「男女差別が禁止」されているのに加え、いま22の州では「公共施設における性自認に基づく差別を禁止する法律」があるからです。 一部保険業者や州のメディケイドプログラムは、補助金を使った医療でトランスジェンダーを差別することを禁止しています。 そのため、こうした州では、「性別転換手術」を含む、トランスジェンダーに考慮した医療へのアクセスを積極的に進めている、というわけです。 特にアメリカで激しい論争になったのが「思春期抑制剤」です。思春期が来るのを遅らせるホルモン療法で、性別転換手術の前に考える時間を持つために投与されるようです。 しかし、「不妊を招く恐れ」もあり、副作用について十分な研究もなされていないとして、利益主義の製薬会社への批判が巻き起こりました。 子供は「男の子には、女の子に生まれた可能性があるし、女の子は男の子かもしれない」と教えられ、実際に自分の性別に違和感を感じる子供も増えています。 こうした教育や社会風潮に「おかしい」と感じる世論を代表しているのが、トランプ元大統領です。 「子供たちに押し付けられている左翼的ジェンダーの狂気は、児童虐待行為です。私が次期大統領となったら初日にジョー・バイデンの残酷な政策を撤回し、いわゆるジェンダー・アファーミングケアという、子供に思春期ブロッカーを与えて身体外観を変え、未成年の子供に最終的に手術を施す馬鹿げたプロセスを撤回するつもりです。」 手術で卵巣や精巣など性腺を取れば、元の性には戻れません。特にホルモンは、血管のしなやかさを保つ働きなど生命を維持するために不可欠なので、命に直結します。 ◆イギリス イギリスでは7月から、「新しく建設する公的建造物は男女別のトイレを設けることを義務付ける」ことになりました。揺り戻しが起きています。 ケミ・バデノック女性・平等担当相は、「女性が安心できることは重要」と説明しています。 イギリスの小学校では男女共用トイレが増えた結果、トイレを怖がって学校を休む女子生徒がいたり、中にはトイレに行きたくなくて水も飲まない子もいるとして、数年前から問題になっていました。 保護者の多くは、子供の学校で変更が行われる前に相談を受けなかったと述べています。 日本でも、すでに愛知県豊川市の小学校では「みんなのトイレ」という名称で、「個室化、多様化に配慮」したトイレへのリフォームがなされ、入口は男女一緒で、男女共用もしくは男女別の個室が設置されています。 豊川市で小学生向けの塾に勤務する講師の方によると、小2の女子が「学校のトイレは気持ちが悪い。男の子は男の子にしてほしい」という声があったということで、「一体誰がトクするのか疑問だ」ということでした。 また同じ地域の元小学校校長も「腕白盛りの男子がふざけて女子トイレをノックしただけでおおごとになった。子供や親御さんへのアンケート調査など、丁寧に声を聴いて対応すべき」といいます。 (後編につづく) 神の正義なき「法の支配」では、国際秩序は作れない 2023.05.22 https://info.hr-party.jp/2023/13328/ 幸福実現党政務調査会 ニュースレター ◆G7によるウクライナ支援の継続で「戦争のさらなる長期化」が必至に ロシアーウクライナ戦争の最中、ゼレンスキー大統領は電撃的に訪日してサミットに出席し、ウクライナへの支援の継続と強化を訴えました。 それに対し、G7は「ウクライナに外交、財政、人道、軍事支援を必要な限り提供する」ことで一致しました。 首脳声明では、NATOの東方不拡大の約束を反故にされたロシアの立場を考慮せず、ウクライナ支援を表明すると共に、ロシアを侵略国家と断罪しています。 このように、戦争当事国の一方に肩入れする限り、戦争は一向に終わることはありません。 G7の外交姿勢がロシアと中国の接近を促し、「国際協調」はおろか、世界の「分断」を招いているのです。 そもそも、米国がデフォルト危機に陥っていることをはじめ、各国の財政状況を見ても、ウクライナ支援を行うことは「持続可能」ではありません。 広島が平和の地であるならば、本来、今回のサミットでは、ウクライナに対し過度に肩入れする外交方針を改めるべきであり、また、紛争をいかに一刻も早く停戦に向かわせるかについて議論すべきだったのではないでしょうか。 ◆「核使用の危機」を乗り越えるために 19日には、サミットでは初となる核軍縮に特化した文書として、「広島ビジョン」が発出されました。 「核兵器のない世界」を「究極の目標」と位置付けつつ、中国などが核戦力を増強していることを念頭において、現実性にも配慮した内容となっています。 しかし、被爆国・日本に対して、中国や北朝鮮が核兵器で威嚇しているという現実を直視すべきであり、今求められるのは、「核兵器のない世界」に向けた「核軍縮」ではなく、「核兵器を使わせない世界」に向けた議論です。 広島・長崎の惨劇を防ぐには、核不拡散や核兵器の透明性を高めることを各国に呼びかけるだけでは不十分であり、核抑止力強化は避けて通ることはできません。 今後、日本として自由・民主・信仰の価値観を共有する核保有国との連携を強化するとともに、独自の核装備の可能性を念頭におきながら、核の抑止体制のあり方を、国際社会に提起していくべきです。 ◆唯物論・無神論国家である中国を抑止するために 今回のサミットでは、覇権拡大を進める中国を抑止するとの方向が示されたものの、サミット直前にフランス・マクロン大統領が「G7を『反中G7』にすべきではない」と述べるなど、対中抑止について各国で足並みが揃っていないことは明らかです。 秒読み段階となっている中国による台湾侵攻についても、「台湾海峡の平和と安定」を目指すことで一致したというだけで、具体的な手立てが講じられる道筋が立ったとは言えず、不安が残る形となっています。 米国をはじめG7の相対的な地位が低下する中で、中国は、グローバルサウスと呼ばれる新興国に対し、経済的利益を盾に関係強化を図る動きを見せています。 日本は今後、国際的なリーダーシップを発揮して戦略的外交を展開し、自由・民主・信仰の価値観を押し広げなければなりません。 尚、共同声明では、中国が自国にとって、不利となる外交姿勢をとった国に対して、重要物資の供給を止めたり、不買運動を行ったりして圧力をかける「経済的威圧」に対し、「抑止し、対抗する」との方針が示されました。 日本としても今後、各国との協力関係と自給体制を構築して、経済の中国依存からの脱却を急ぐべきです。 ◆「脱炭素」は西側先進国を没落させる 気候変動、エネルギーに関するセッションでは、2050年の脱炭素社会の実現に向けて取り組みを加速させることで一致し、首脳声明では、温室効果ガスの削減対策がとられていない化石燃料を段階的に廃止することが盛り込まれるなどしました。 脱炭素社会の到来に向けて先進国が一層の環境規制を行えば、経済成長を大きく阻害させ、G7の経済的な地位が今後、一層低下することは避けられません。 また、先進国が軒並み行っている脱炭素への大規模投資は、太陽光発電設備やEV車の原材料の供給などで優位性をもつ中国に経済的利益が流れることになってしまいます。 そもそも、CO2が温暖化や気候変動に影響を与えるという説はフェイクに過ぎないと私たちは考えています。 先進国の繁栄を守るためには、脱炭素に関する取り組みを根本的に見直すべきです。 ◆信仰ある国で結束を 今回の首脳声明では、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化」が掲げられました。 しかし、その「法」に神の正義が根底になければ、形式上「法の支配」を掲げている中国の覇権拡大を押しとどめることはできないはずです。 やはり、大切なのは、キリスト教、イスラム教を問わず信仰があることであり、今回のサミットでは、信仰ある国で結束を強めていくという方向を確認し合うべきではなかったでしょうか。 幸福実現党政調会は、唯物論・無神論国家である中国を抑止するべく、神の正義に基づいた政治が展開されるよう、今後も政策発信に邁進していく所存です。 G7サミット 欧米の「法の支配」の限界――「自由・民主・信仰」による団結を 2023.05.11 http://hrp-newsfile.jp/2023/4432/ 幸福実現党政務調査会・外交部会 久村晃司 ◆「法の支配」を掲げるG7サミット 日本が議長国を務める広島G7サミット開催まで残り一週間となりました。岸田文雄首相はサミットの達成目標の一つとして「法の支配に基づく国際秩序を守り抜くというG7の決意を力強く示す」ことを掲げています。 ウクライナ電撃訪問を受けて「ロシアの侵略は暴挙だと痛感」した首相の強い思いが表れています。 「法の支配(rule of law)」とは「全ての権力に対する法の優越を認める考え方」であり、権力者が法を無視して自分勝手な政治を行う「人の支配」の対義語とされます。 日本政府は「法の支配の強化」を外交政策の柱の一つに据え、「国際法に基づく国家間の紛争の平和的解決」に力を入れているとしています(※外務省HP)。 しかし、この「法の支配」という考え方だけで、ロシア‐ウクライナ戦争に終止符を打ち、「国際秩序」を守ることは極めて難しいでしょう。 ◆国際社会の分断が浮き彫りになった討論会 今年1月、国連安全保障理事会において「法の支配」をテーマに公開討論会が行われました。テーマは議長国を務める日本が選定し、77カ国等が参加しました。 冒頭、グテレス国連事務総長は、ロシアを念頭に「力によって他国の領土を併合することは国連憲章や国際法の違反である」と指摘しました。 これに対しロシアのネベンジャ国連大使は、「西側が作り出したルールに基づく秩序には同意できない」と真っ向から反論しました。同じく中国も欧米への批判を展開しています。 また、中東やアフリカ諸国には中立的な意見が目立ちました。 例えばアラブ首長国連邦は「基本原則の尊重は、最強国の利益に関わるときにのみ守られるものであってはならない」と釘を刺しています。 討論会を主催した林外相は「法の支配の下に今一度結集しよう」と参加国に呼びかけましたが、かえって国際社会の分断が際立つ結果となってしまいました。 ◆欧米の「国際法違反」の実態 「法の支配」と言えば、一見、すべての国が無条件に受け入れそうなものです。しかし、その考えに反発する国は少なくないのが実態です。 特にロシアは、「欧米こそ国際法に違反する行為を繰り返してきた」と度々強調してきました。 その代表的な事例は「イラク戦争」です。アメリカとイギリスは2003年3月20日、国連安保理の決議を得ることなくイラクの首都バクダッドを空爆、戦争を開始しました。 米ブッシュ(子)政権は「イラクに大量破壊兵器が存在する」と主張していましたが、大量破壊兵器は見つかりませんでした。 イラク戦争については国際的な非難の声が多数上がり、国連アナン事務総長(当時)も、イラク戦争は「国連憲章に違反する」と指摘しています。 なお、戦争開始から最初の一年間で、イラク民間人の死者数は最大1万人超と推計されました(※英米の非政府組織「イラク・ボディーカウント」)。 これはロシア‐ウクライナ戦争における、一年間のウクライナ民間人の死者数約8,000人(※国連人権高等弁務官事務所)を上回ります。 NATO軍による「コソボ空爆」も、欧米諸国による国際法違反、あるいは国連憲章違反と指摘される事例の一つです。 セルビア共和国内のコソボ自治州においてアルバニア系住民が独立を求め、1991年、セルビア当局との紛争が始まりました。 セルビア側によるアルバニア系住民への虐殺行為があったとして、NATO軍は1999年3月24日、国連安保理の承認を得ないままコソボ空爆に踏み切りました。 78日間続いた空爆は回数にして1万回を超え、1,000人以上の民間人死者を出しましたが、当時のクリントン米大統領は「人道的介入」として正当化しています。 その後、2008年にはコソボ自治州が独立を宣言し、西側だけが国家承認を行いました。ロシアによる「特殊軍事作戦」は、このNATOによるコソボ空爆を模倣したものであるとの指摘もあります。 さらにさかのぼれば、先の大戦のアメリカによる広島と長崎への原爆投下や、民間人への無差別爆撃も明らかな「国際法違反」です。 しかし、いまだに日本は、アメリカからの正式な「謝罪」を受けていません。 ◆不公平な「法の支配」の限界 ロシアは今回、ウクライナへの攻撃に踏み切った理由として「ウクライナ東部のロシア系住民を保護するため」と説明していますが、これは一定の正当性がある主張です。 (※言論チャンネル参照 https://www.youtube.com/watch?v=zT1hgibFWr4) 欧米諸国は自分たちの行為を棚に上げてロシアを非難し、「力による一方的な現状変更であり、悪である」と一蹴する傾向がありますが、それこそあまりにも一方的な見方です。 プーチン大統領は「我々はいつも、『西側は法に基づく秩序を守っている』と聞かされてきたが、全くのナンセンス、完全な騙しだ」「西側が何に基づいて決定して、そもそも誰がそうする権利を与えたのか、はっきりしない」(※2022年9月30日プーチンのスピーチ)と、西側諸国への不満をあらわにしています。 大川隆法党総裁は、歴史の法則として、「最強国、要するに、戦争をして勝ちつづける国の法律が、結局は国際法になるのです」(『この戦争をどうみるか』)と指摘しています。 これまではアメリカの国内法が国際法として「通用」してきたかもしれません。 しかし時代は変化しつつあり、アメリカの衰退やBRICs諸国の台頭もあって、プーチン大統領は、世界は「多極化」しつつあると指摘しているのです。 そうしたなかで、日本が相変わらず「法の支配」という名の「欧米の支配」を呼び掛けても、「国際秩序」を守り抜くことはできないでしょう。 ◆分断ではなく「融和と停戦」を では来る広島サミットにおいて、議長国である日本は何を訴えるべきでしょうか。それは、一日も早いロシア‐ウクライナ戦争の「停戦」です。 折しも、アメリカ国防総省ペンタゴンの機密文書流出事件によって、欧米諸国の支援にかかわらず、ウクライナ有利が「嘘」であったことが明らかになりつつあります。 そして、アメリカ国民からは終わりの見えない戦争の停戦を求める声も高まっています。 そろそろ、バイデン大統領の掲げる「民主主義国家」対「専制国家」の対立軸では、世界大戦まっしぐらであることをG7は認識すべきでしょう。 中国の習近平主席はプーチン大統領ともゼレンスキー大統領の両者とそれぞれ会談し、停戦の仲介役として動き始めています。 このままでは中国のような覇権主義国が反欧米国をまとめあげるリーダー国家ともなりかねず、非常に危険です。 ◆「法」の根源にあるもの 「民主主義国家」対「専制国家」の考えに代わるものとして、大川隆法党総裁は「神仏を信じる国家」対「神仏を信じない国家」の対立による、中国・北朝鮮の封じ込めを提唱しています。 ロシアとウクライナは、ロシア正教とウクライナ正教といった違いはあるものの、ともに神を信じている「信仰のある国」です。 特にプーチン政権以降のロシアは、ロシア正教を国の柱に据えた信仰国家であり、かつてのソ連のように数多くの人々を弾圧してきた無神論・唯物論国家ではありません。 冷戦時代の考え方でロシアを封じ込めることは、多くの人々の幸福に適っているとは言えないのです。 他方、中国や北朝鮮ではトップが神に成り代わり、法律をつくっていますが、その結果、罪のない多くの人々が「合法的」に弾圧され、この世の地獄が現れています。 そもそも、「法の支配」の「法」の根源には神仏の存在があります。大川隆法党総裁は『法哲学入門』の「まえがき」で以下のように述べています。 「はっきり言えば、人間の創った法が、神の法や仏の法を超えてはならないのだ。神仏の法を根源としつつ、変動していく社会に適した実定法が定められていくべきだと思う。国民のその時代の『空気』が、必ずしも神意や仏意でもないことを深く肝に銘ずるべきであろう。」 神仏を信じる心を基にした政治が行われてこそ、普遍的な価値に通じる「法」を定めることができます。 「法の支配」が優れたものとみなされてきたのは、どのような時代や地域でも変わらない神仏の願いと一致する「法」が定められるという前提があるからです。 反対に、神仏の存在を忘れると、善悪の判断もなくなり、メディアの作り出す「空気」に流された政治に堕してしまいます。 それはまさに、西側のプロパガンダを横流ししているだけの、現在の日本外交の姿でもあります。 今こそ日本は、「自由・民主・信仰」を政治の基本原則とし、ロシア‐ウクライナ戦争の仲裁国になりうる数少ない国として、正義ある平和をつくる道を選ぶべきです。 LGBT理解増進法、何が問題? 2023.05.10 http://hrp-newsfile.jp/2023/4431/ 幸福実現党政務調査会長代理 小川佳世子 ◆議論百出の「LGBT理解増進法案」 性的少数者に対する理解を深めるための法律案、いわゆる「LGBT理解増進法案」についての議論が自民党内で進められています。 特に議論になっているのは、「差別」という言葉を入れるかどうかです。LGBTに関して「差別は許されない」としてしまえば、心の中で思ったことや、つぶやいたことまで非難されて、生きにくい世の中になるのではないかということで、慎重な声があります。 しかし、野党などからは「理解を進めるだけでは生ぬるい」「差別の禁止まで踏み込むべきだ」というような意見も出ています。 このように議論がまとまらないなか、5月19日から始まるG7広島サミットで議長を務める岸田首相としては「日本が性的少数者に理解のある国である」ことをアピールするため、サミット前に国会に法案を提出し、できれば成立させたいと考えているようです。 この法律について、国民はおおむね理解を示しています。今年2月に行われた世論調査(FNN・産経新聞社)では、理解増進法を成立させるべきと考えている人が64%を超え、反対の26.5%を大幅に上回りました。 また、同性同士の結婚を認めることについては、特に20代では9割以上が賛成、30代でも88%以上が賛成していて、特に若い世代を中心にLGBTへの理解が進んでいるようです。 しかし、いま、この法律を成立させることはいくつかの疑問があります。 ◆疑問(1):「内政干渉」で急かされていないか 一つ目の疑問は、海外からのプレッシャーや空気に押されていないか、ということです。 アメリカのエマニュエル駐日大使は、東京新聞の取材に対して、LGBTへの差別を禁止する法律について、早めに法律を制定すべき、と訴えています。 日本の法律について、なぜアメリカの大使が口を挟むのでしょうか。アメリカの政府関係者が日本の政治に口を挟むことは、「余計なお世話」を通り越して、「内政干渉」です。 「日本だけがLGBTに理解のない国だと思われている。サミットまでに法整備を」と、不必要に空気を読んで成立を急ぐのはおかしな話です。 他の国が何を言おうとも、日本の国のことは、日本で責任を持って決めるべきです。 ◆疑問(2):LGBTに寛容な日本に特別な法律が必要か 二つ目の疑問は、欧米諸国とは違い、もともとLGBTに寛容だった日本に、特別な法律が本当に要るのだろうか、ということです。 例えばイギリスでは1967年まで同性愛が犯罪とされていました。男性同士で性行為を行ったら有罪となり、刑務所に入れられていたのです。 そうした偏見は今も残り、LGBTの人たちを狙った犯罪が後を絶ちません。 イギリス・ロンドン警視庁の統計によれば、2018年にロンドン市内で確認されただけで、年間2300件のLGBTを狙った暴行などが起きているとのことです。 アメリカコロラド州でも、昨年11月、LGBTの人たちが集まるナイトクラブが銃撃され、30人が死傷する事件が起きました。 さらにアメリカでは、同性愛を精神障害と見なして「治療」する施設がいまだに存在しています。2014年にオバマ大統領が、同性愛の治療を中止する声明を発表したものの、世間から隔離された施設でいまだに人権を無視した治療が行われています。 一方、日本ではそのような極端な差別はなく、ゲイのタレントが活躍できるほどです。 しかも、今、日本が成立させようとしている法律は、LGBTに焦点を当てて差別禁止を定めようとするものであり、世界的に見ても異例なものです。 他の国では、人種、宗教、年齢、性的指向(恋愛対象がどの性別か)などで、雇用や教育面において差別をしてはいけない、という法律はありますが、LGBTに特化した法律はありません。 「日本だけがLGBTについての法整備が遅れている」と主張する人もいますが、わざわざ「性的指向」などという言葉を法律にいれなくても、日本では歴史的に、欧米諸国のような極端な差別や人権侵害は行われてきませんでした。 ◆疑問(3):行き過ぎた保護は大多数の人を不幸にする 三つ目の疑問は、この法律をつくることで、大多数の人が暮らしにくくならないか、ということです。 現在、日本がつくろうとしている法律は、差別をした人への罰則があるわけではないので、「罰則がないならそれほど大きな問題は起きないんじゃないか」と考える向きもあります。 しかし、国がわざわざこのような法律を作ることは、国民への価値観の押しつけとなります。法律をつくることで、決して「差別」するつもりがなくても、「同性愛は受け入れられないな」という考えを持つ人が、社会的に批判を浴びるということにもなりかねません。 2月には、首相秘書官が同性カップルについて「見るのも嫌だ」とオフレコ発言をしただけで、クビになるという出来事がありました。 これは公的な場でなされた発言ではなく、「思想・信条の自由」「言論の自由」の範囲と言えるのではないでしょうか。 もし、この法律が成立したら、普通の国民が職場や学校等でこういう発言をしただけで、世間的な非難を浴びることになり、生きづらくなる人が出てしまいかねません。 さらに、LGBT理解増進法案には、今のところ「性自認」という文言が入る見込みです。 「性自認」とは、肉体の性別にかかわらず、自分で認識している性別のことです。 具体的に言うと、例えば肉体的には男性の人が「私は女だ」と認識するだけで、女性であることを認め、尊重しようということです。 そうしたら何が起きるでしょうか。 体は男なのに、「女性だ」と主張して女性トイレやお風呂などに入っていく男性も認めなくてはならなくなります。 実際、LGBTの権利保護を進めるアメリカでは、男性の体のままで「私は女です」と主張して女性のお風呂に入り、その後暴動に発展した事件がありました。 小さな女の子を連れた親が「なぜ男が女性のお風呂に入ってくるの」と抗議をしても、「LGBTの人を差別してはいけない」というカリフォルニア州の法律を根拠に、親の抗議は聞き入れられませんでした。 また、肉体は男性なのに「私は女だ」と主張して、女子スポーツ大会で優勝し、真面目に努力してきた女性が不利益を受けるといったケースも出ています。 そのため、「多数派が安心して生きられるようにしよう」と、揺り戻しも起きています。 フロリダ州では、「小学校で、性自認について話し合いをしてはいけない」という法律が、カンザス州では「性自認に基づいたトイレの使用を禁じる」つまり、「女性のトイレは生物学的女性だけしか使ってはいけない」という法律が定められたりしています。 アメリカなどはLGBTへの理解が進んでいるというイメージの報道がなされていますが、実際はどのようなことが起きているかを理解したうえで、議論を進めるべきでしょう。 ◆政治に必要な宗教的視点 私たち幸福実現党は、LGBTの権利拡大や同性婚を認めることには反対の立場です。 それは、大勢の人たちが生きにくくなるだけでなく、少数派の人たちの幸福にもつながらないと考えるからです。 欧米諸国において、LGBTの人たちへの差別の歴史は、キリスト教的価値観によるところが大きいと思われます。聖書には、同性愛は罪であるというような記述があります。 かといって、神仏の存在を否定し、人間は何をやっても自由であると主張し、LGBTの人たちに過度な権利を認めるのも、社会の秩序を乱し、大勢の人を不幸にします。 私たち幸福実現党は宗教政党であり、神仏の存在や霊的な世界を認める立場です。そして、宗教的な視点から、なぜLGBTの人たちがいるのかということを伝えています。 大川隆法党総裁は、人間は、何度もこの世とあの世を転生輪廻している存在であり、例えば肉体的には男性でも、過去何度か女性で生まれた経験があると、女性として生きた時の記憶が魂に残り、女性としての生き方を望んだり、男性に惹かれたりすることもあるという霊的真実を明かしています。 そのようにLGBTの人たちへの理解を示しつつ、今世与えられた性で生きることが魂の経験を増やす上で重要であることを説いています。 一方、最近では、強い欲望を持つ人がその思いと同通する悪しき霊に憑依されるケースも増えており、死後、苦しみの世界に行かないためにも、過度な権利保護はすべきではないと教えています。 いずれにせよ、こうした視点は、この世的議論や多数決の民主主義では決して得られないものだと言えます。 本当に多くの人の幸福につながる政治を行うためには、やはり神仏の心や霊的な真実を教える宗教的真理が不可欠なのです。 反カルト・新興宗教・宗教二世問題、日本のお粗末な議論に喝!人権の防波堤「信教の自由」を守れ!【後編】 2023.04.28 https://youtu.be/JnKXTDOQaeU 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国の気功集団「法輪功」への弾圧 法輪功は、共産党の地方機関紙が「法輪功は詐欺」と書いたことを機に、新聞社や中国の政府機関が密集している「中南海」を取り囲む大規模な抗議行動を行いました。 当時の江沢民政権は、法輪功を非合法の「邪教」として弾圧し、逮捕令状がなくても逮捕し、強制収容所における思想改造、拷問、臓器収奪などがなされています。 2015年には刑法の「邪教」に関する条文を変えて、「邪教団体を組織、もしくは利用し、国家の法律の実施を妨害した者」に対する最高刑を懲役15年から無期懲役に引き上げました。 2017年にも「邪教」への取締りを強化し、中国最高人民法院と最高人民検察院は「未成年者に対する宣伝広告」など7項目に対して厳しく処罰する方針を明示しました。 習近平政権は、若い世代の信仰の根絶に非常に熱心で、教科書や大学内で「神」など宗教的な言葉を禁句にするなど、信仰心を根絶やしにしようとしています。 2015年から習近平政権は「宗教の中国化」を掲げ、「信仰」よりも中国共産党への忠誠を優先させる政策を進めました。 これにより、伝統宗教も例外なく、党の指導に従わないキリスト教の教会を容赦なく破壊し、牧師を連行し、仏像の首が孔子像に挿げ替えられるなど、文明国とは思えないことをしています。 ◆ウイグルにおける中国の人権蹂躙 今、世界の宗教者が心を痛めているのが、中国の習近平政権が行っている宗教弾圧です。ウイグルにナチス型の「再教育施設」が、推計1300カ所以上あるとされています。 ある日突然、頭に黒い袋を被せられて連行され、施設では手足を拘束され、拷問やレイプ、鎖につながれたまま「習近平への感謝」を連日叫ぶよう強制されます。 習近平政権の「宗教弾圧」に関しては、何ができるのか、考えなくてはなりません。 2018年、幸福実現党は、国連の人権理事会の加盟各国の人権状況をチェックする「普遍的定期審査(UPR)で中国が対象となった際、レポートを提出しました。 私と及川幸久外務局長が、ウイグルの方と一緒にオブザーバー参加し、各国の様子などもお話を聴いてきました。 ◆「信教の自由」に対する日米の認識の違い アメリカでは2年以上前から中国のウイグル弾圧を「ジェノサイド」と認定し、厳しい対応を取っています。 アメリカでは人間は創造主に作られた被造物だという考えが根底にあります。どこの国でも、「人間は、神の子仏の子であり、それだけ尊い存在なのだ」という考えが、人権の尊厳の根拠となっています。 おなじ神仏の子が、弾圧されていることは、耐えがたい悲しみを感じるわけです。 神仏の存在は、政治の上位概念にあるものです。 信仰心を踏みにじり、軽々しく宗教に規制を掛けようとする日本の政治の動きは、神になりかわろうとする「独裁者」の傲慢さに、よく似ているように思えます。 政治が宗教の信仰形態や教義などに口を出し、介入すると軽々に言うことの危険性を訴えたいと思います。 ◆アメリカ政治の人権と正義の感覚 また、アメリカの下院は3月27日、「強制臓器摘出停止法案」が、賛成413反対2の、圧倒的多数で可決しました。 アメリカでは、「強制的な臓器狩りや臓器摘出を目的とした人身売買に対して、資金提供など便宜を図った」と判断した人物に制裁を科すことを可能にする法律が審議されており、法案を作成した共和党下院議員クリス・スミス氏は、次のように述べています。 「習近平主席と中国共産党のもと、毎年6万人から10万人、平均年齢28歳の若者が犠牲者となって、その臓器のために残酷に殺されています。」 「中国共産党は彼ら (ウイグル人を含む民族や法輪功) を屠殺にちょうど良い『邪悪なカルト』であると宣言しているのです。 ◆日本は人権の防波堤に 日本の報道では、「宗教で被害を受けた」と言う二世信者のマイナスの側面ばかりが取り上げ、政治でも宗教団体への規制の強化を論じるのが時代の流れのように報じています。 「信教の自由」に対して、国家権力の介入を容認する動きは、中国のような、全体主義の政治に通じて、危険だと思います。 逆に、中国に対しては「自由、民主、信仰」という普遍的価値を共有する国が包囲していく必要があります。 むしろ日本は、宗教の理解を深め、「信教の自由」を擁護する立場を鮮明にし、中国共産党の宗教弾圧に抵抗して、人権の防波堤となるべきではないでしょうか。 すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 … 64 Next »