Home/ 和田みな 和田みな 執筆者:和田みな 中小企業の悲鳴「首相、このままじゃ会社つぶれますよ!」【前編】 2016.04.20 文/兵庫県第12選挙区支部長 和田みな ◆日本経済を支えている中小企業を取り巻く厳しい現状 日本の中小企業数は約38.5万社に上り、全企業数の99.7%を占めています。さらに、これらの企業が日本の雇用の約70%を担い、企業の売上高の約50%を担っています。 日本経済を支えている中小企業ですが、アベノミクスの下で厳しい経営状況に陥っていることが明らかになってきました。 先日発表された「中小企業同友会」の四半期速報では、「中小企業、第2次アベノミクス下で景気失速」、「(業況は)ほぼ全面的に悪化しており中小企業景気は失速している」と政府の失策と経営の厳しい現状が報告されました。 また、特に厳しい状況にあるのが関東以外の地域であることも述べられており、安倍政権の推進する「地方創生」が厳しい状況にあることも示されました。 ◆消費税の増税は間違い この速報では、景況の腰折れの原因として、「消費増税と物価上昇、税や保険料支出の増加がもたらした消費低迷」があったことが述べられております。 「こうした中での消費税10%再増税は中小企業に深刻な事態を招来しかねない」と、与野党が進めている消費増税についての再検討も提言されています。 このようなお声が、多くの経営者の本音ではないでしょうか。 消費税の増税に関しては、安倍首相や自民党議員の中からも慎重論が出始め、また、この度の熊本地震の発生により延期論も大きくなっています。 一方で、自民党の稲田朋美政調会長は日経新聞のインタビュー記事(4月20日付)において、「14年4月に消費税率をいきなり3%引き上げたのは問題だったという声は多い。1%をまず上げる考え方もあるし、2%上げても大丈夫という判断もある」と述べています。 実際に、私がお聞きした経営者のお声では「97年の3%から5%への増税時よりも、去年の5%から8%への増税は倍以上の負担感があったのに、すぐにまた2%上がるのは厳しい」というものが多く、経営者にとっては「たったの3%」ではないことを感じます。 しかし、景気への影響を考えているからといって、稲田氏が言うように1%ずつの増税を繰り返すことは、かえって企業の事務負担を増やし、経営には悪影響を与えることになりかねません。 そもそも、稲田氏も述べている、経済に悪影響を与えず財政再建を可能とする「増税」は可能なのでしょうか。 幸福実現党が一貫して訴えているように、まずは景気を本格的な回復軌道にのせ、経済成長を実現することで、自然増収による財政再建の道を目指すべきです。 ◆中小企業を苦しめている政策にメスを 消費税の増税の他にも、中小企業の経営を苦しめている政策は沢山あります。 我が党は、本稿でも何度か触れている「マイナンバー制度」の廃止や事業承継税制の抜本的な見直しはもちろん、政府が進めようとしている「外形標準課税」の拡大に反対します。 マイナンバー制度を企業の立場から考えると、導入や管理のコスト増と、情報漏洩に対する罰則という負担がのしかかっています。 行政の利便性の向上や国の徴税システムの強化のために、民間に負担を押し付け経営を圧迫しているといえます。 また、近年、急激な日本社会の高齢化に比例して社長の平均年齢も上昇しています。それに伴って、社長交代率も3.88%と3年連続で前年を上回りました。 これから、どのように事業を次の世代に引き継いでいくかが大きな課題となっている中で、中小企業の事業承継を困難にしているのが事業承継税です。 高齢化社会に対応していくためにも、非上場株式への相続税、贈与税を撤廃する税制改革が必要です。 さらに、資本金が1億円以上の企業が対象であった「外形標準課税」についても、5000万円、3000万円へと引き下げ、適用範囲を拡大していくことが検討されています。 これが進めば、業績や売り上げに関係なく、会社の規模によって税金を納めなければならなくなり、多くの企業にとって増税となります。 政府は法人税の引き下げを打ち出しながら、景気に関係なく税金が取れるシステムの構築を進めているのです。 そもそも景気の悪化は政府の失策が原因です。それにも関わらず、税金だけを納めさせようとする考え方は「大きな政府」そのものです。 (つづく) 日本人女性のホントの幸福を実現する 2016.03.11 文/幸福実現党・兵庫県第12選挙区支部長 和田みな ◆国連「女性差別撤廃委員会」の日本への勧告 先月15日、幸福実現党党首・釈量子が民間人代表の一人として国連女性差別撤廃委員会でスピーチを行いました。 そこで釈党首は、いわゆる「従軍慰安婦」はねつ造であったこと、日本人は古代より女性に敬意を払い続けてきたことなど、日本人の立場として正しい歴史認識を世界へ発信しました。 しかし、3月7日に国連女性差別撤廃委員会が日本に対して公表した「最終見解(総括所見)」の内容は、日本に対して非常に厳しいものとなりました。 ◆「慰安婦問題」 慰安婦問題について、最終見解では、被害者の権利を認め、補償や公的謝罪、尊厳の回復を含む完全で効果的な癒しと償いを提供することが盛り込まれてしまいました。 さらに、ジャハン委員による会見でも「我々の最終見解はまだ解決されていない問題だとみなしている」と、昨年末の慰安婦問題の日韓合意についての委員会の見解が示されました。 同委員会は2009年の最終勧告でも慰安婦問題について「持続的な解決」のための賠償などを日本政府に求めていましたが、今回は前回よりも詳細で具体的な記述を盛り込み、2009年の勧告に対する日本政府の対応に不満をにじませる内容となっています。 この件に関しては我が党も、引き続き世界に「従軍慰安婦の嘘」について訴え続けてまいります。 ◆女性問題に対する様々な勧告 最終見解で示されたのは慰安婦問題だけではありません。 結婚に関することとして、選択的夫婦別姓や再婚禁止期間の廃止を含めた民法の改正についても言及してきました。 しかし、これらについては、昨年12月に最高裁が「夫婦同姓」を合憲としたことや「100日を超える再婚禁止期間」を違憲とした国内の司法判断と矛盾してしまいます。 さらに、女性の社会進出についても、国会議員や女性管理職などを2020年までに30%以上にすることも求めてきました。 この点については昨年、国会で成立した「女性活躍推進法」の目標で定められている比率と同じであり、委員会側も日本政府の取り組みに一定の評価を示した形となりました。 ◆「女性活躍推進法」で女性は幸せになれるのか? 前日の当ニュースファイルにもありますが、そもそも、私はこのような政府による管理職比率の数値目標が女性の幸福につながるのかどうかについて懐疑的意見を持っています。 「女性活躍推進法」で政府が求めている通り、会社が女性管理職を2020年に30%を目指そうとするならば、まずは女性社員の割合を増やす必要があります。 しかし、今から女性社員の採用を増やしても管理職に育てる時間を考えると間に合わない企業が大半です。また、業態によっては女性を増やすことに向いていないような企業もあり、この数字にはそもそも無理があるとしか思えません。 また「あの人は比率で決まったから管理職になれた」というような不名誉な噂が、女性管理職に対してたたないとも限りません。 全ての人が実力で評価され、チャンスが平等に与えられる仕組みこそが必要です。 ◆日本人女性は既に男性よりも幸せ? 日本人女性は、既に男性に比べて幸福だという調査もあります。 「世界価値観値調査(2010)」では、「非常に幸せ」、「やや幸せ」と回答した日本人女性は90.4%、男性は82.2%となっており、女性の方が幸福感が強いという結果がでました。 さらに、女性の中で幸福感が最も強かったのは主婦で、43.6%の方が幸福を感じていると答えています。そして女性の退職者は43.8%が幸せと回答しました。 その反面、主夫や退職者の男性の幸福感は非常に低い傾向があります。 一方で正規雇用者の幸福感をみると、男性は30.7%なのに対して女性は25.8%と逆の結果が現れています。 つまり、女性は家庭で多くの幸福感を感じ、男性は仕事で幸福感を感じている傾向があるのです。このように男女の幸福は同じ基準では測れない面があるのではないでしょうか。 現に、仕事と子育ての両立をしている友人から「主人の給料が高ければ、子育てに専念したい」という意見をよく聞きます。このような言葉が、一定数の女性の本音であることは間違いありません。 ◆必要なことは様々な場所で女性が輝くこと 女性差別撤廃委員会が目指している平等な社会が日本人女性をどこまで幸せにできるのでしょうか。 少なくとも「慰安婦問題」であれだけのミス判断をする委員会に、正しい日本人女性の現状がわかっているとは思えません。 このように考えると、本当に必要なことは、女性差別撤廃委員会や安倍政権が行おうとしている、数量的・配分的な社会主義的方法による結果平等ではありません。 機会の平等を確保する環境整備を進めることで女性の活躍を後押ししつつ、日本固有の文化や生活様式の美点の再認識を促し、多様な価値観の下、仕事のみならず、家庭や社会など様々な場で、女性がいきいきと活躍できる社会を目指すことこそ必要だと考えます。 そして、主婦として子育てに専念したい希望をもっている女性が、無理に働かなくてもいいように、日本の景気を良くし、給料を増やすこと、住環境を整えることも、日本の将来のために非常に重要なことではないでしょうか。 幸福実現党は、女性党首の釈量子を先頭に、これからも、真の意味で全ての女性が輝くための政策を訴えてまいります。 坂本龍馬に学ぶ財源確保策 2016.01.21 文/兵庫第12選挙区支部長 和田みな ◆政府の財政問題 年明けから国会では来年度の予算案をめぐって与野党の激しい論戦が行われています。その論戦の中でも「財源」の問題や「税金」の問題は大きなテーマとなっています。 また、22日に衆参両院本会議で予定されている安倍首相の施政方針演説でも、来年4月の消費税の増税や社会保障や復興再生のための財源確保や財政の健全化などの方針が盛り込まれる予定になっています。 そもそも、アベノミクスの「三本の矢」の成長戦略や「新三本の矢」の実現に向けてもその財源をどうするのかは大きな課題です。 ◆財源確保策は増税だけではない 財源を確保する策は増税だけではありません。 経済学者の丹羽春喜氏は「第三の財政財源」に「政府貨幣の発行権を必要な金額ぶんだけ日銀に売却すればよい」ということを提唱しています。(『経済倶楽部講演録』2014.8参照) 昭和62年に成立した「通貨の単位および貨幣の発行に関する法律」では「政府貨幣」の発行権が無限大に国にあることが定められています。 これを日銀法第4条、第43条、第38条に基づいて日銀に売却するだけで、政府の負債を増やすことなく、成長のために必要な潤沢な財源を確保することが可能になるというのです。 ◆「第三の財政財源」の着想は坂本龍馬 丹羽氏がこのような着想を得たのは、明治維新の時の維新政府の財源確保策を調べた時だといいます。 慶応3年の10月に、坂本龍馬の発案による「大政奉還」が成り、徳川幕府は瓦解しました。 しかし、その時には後の「明治政府」はまだ存在しておらず、新政府を立ち上げるにしても、何かをするにしても「財源をどうするのか」ということが大きな課題となりました。 「明治政府」のいきなりのピンチに、再び坂本龍馬が奔走します。 龍馬は当時、財政について最も学識のある福井藩士「三岡八郎」のちの「由利公正」を訪ねて福井へと向かいます。そこで二人が夜を徹して出した答えが「政府紙幣の発行」だったのです。 ◆龍馬から木戸孝允へと引き継がれた「政府紙幣発行案」 龍馬は由利公正と話した約2週間後に京都で暗殺されます。 しかし、この「政府紙幣の発行」という着想は、龍馬から桂小五郎(のちの木戸孝允)に伝わっており、桂はこの提言が「実行可能な唯一の方策」だとして賛成、実行のための準備を始めていたのでした。 このようにして慶応4年から13年間発行された政府紙幣が「太政官札」です。 明治政府がまともに税金を徴取できるようになるのは明治6年の地租改正からだと言われています。 もちろん大規模な国債の発行もまだできない時期に、長州や薩摩の寄付や豪商からの寄付だけでは、あの鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争を戦い抜き、近代国家の礎をつくるための数々の政策を実行することは不可能だったでしょう。 福井で坂本龍馬と由利公正が導き出した中央政府の特権としての「政府紙幣の発行」という知恵が、日本の近代化を支えたと言っても過言ではありません。 ◆日本の近代化を担った「政府紙幣」の発行 当時、明治政府の立ち上げから戊辰戦争の終結する明治2年の夏までのわずか1年半で明治政府が使った財政支出額は、5,130万両といわれています。幕末における江戸幕府の平均歳出額は700万両ですので、その額がいかに莫大であったかがわかります。 このうち4,800万両が政府紙幣でまかなわれ、これは政府の負債にもなっておらず、「悪性インフレ」現象も起こらなかったというのですから驚きです。 「太政官札」に関しては、全てが順調であったというわけではありません。 当時の国民が紙幣に慣れていなかったことや、まだ政府の信用が高くはなかったため、当初の流通は困難をきわめ、「太政官札100両を以て金貨40両に交換するほどであった」とも言われています。 しかし、様々な困難に直面しても、明治政府の人々は知恵と勇気でこれを切り抜け、大胆な近代化政策を行い、日本を欧米列強の植民地化から救ったのです。 ◆増税しか策のない政治家は退陣を 幸福実現党はこれまで一貫して、安易な増税には反対してきました。 それは「増税しても税収は増えない」ということが大きな理由ですが、私はそもそも「財源が足りないから増税するしかない」という政府や役人の考え方には反対です。 もし増税するのであれば、増税で得た財源をどのようにして経済を成長させることに使い、日本のGDPを上げていくかという明確な説明が必要だと思いますが、アベノミクス「新三本の矢」ではそれが見えないのが現状です。 わが党はこれまで、東日本大震災に際しては「速やかに復興債を」と訴え、デフレ脱却のために「大胆な金融緩和を」とアベノミクスより以前から訴えてきました。 そして、今も「消費増税ありき」で進んでいる財政再建、社会保障に対して、「まずは経済成長こそが大切」であると立党以来一貫して訴えています。 現在の日本で、龍馬が考えたような「政府紙幣」の発行は現実的ではないかもしれませんが、明確な成長戦略を立てて、そのための資金調達のために、丹羽氏の「政府貨幣」の発行権を日銀に売却する案や、メガバンク通貨の発行など考えられる手は打つべきです。 丹羽氏は私に「なぜ政府や国会議員は国民が本当に幸せになるための政策を打たないのか?」と質問されました。「経済学者はそのためであれば、様々な協力を惜しまないのに」と。 増税しか策のない政治家や役人にこれ以上任せていても新しい時代は開けません。国民は第二の龍馬の出現を待ち望んでいます。 マイナンバーは資産課税のカウントダウン――この国にもっと自由を! 2015.12.03 文責:兵庫県第12選挙区支部長 和田みな ◆不景気の中で努力してきた日本人 日本経済は90年代のバブル崩壊以来低迷してきました。厚生労働省の調査では、世帯当たりの所得の平均は1994年の664.2万円をピークに2013年には528.9万円にまで落ち込み、減少し続けています。 このような厳しい経済状況の中で、日本人が勤勉に努力してきたことを表す数字があります。「個人金融資産」です。この個人金融資産はこの約20年間の間で大幅に増えているのです。 1990年に1,017兆円であった個人金融資産は、現在は1,700兆円を超えました。70%の増加です。これを人口で割ると、全ての国民が金融資産を1,000万円以上持っているということにもなります。 これは個人に限ったことではありません。企業の内部留保(企業の儲けの蓄え)においても同じことが言えます。 財務省の調べでは2014年度の内部留保は過去最高の354.3兆円で、1997年度の142兆円と比較しても約2.5倍に増えています。 ◆マイナンバーと資産課税 個人も企業もこの20年間で努力をして多くの蓄えを作ってきましたが、それは裏を返せば、政府による経済政策に期待が持てないための「自己防衛」とも言えます。 しかし、そこに忍び寄るのが来年1月から運用が開始されるマイナンバー制度とその先に待っている「資産課税」です。 資産課税は、これまでのように年々減少している所得や売り上げに税金をかけるのではなく、これからは増加している「資産」に課税をしていく方が税収増に繋がる、という考えの下で推進されようとしています。 マイナンバーは今後、銀行口座や証券などとの「紐付け」を行うことにより、国家が個人の金融資産を完全に把握するための仕組みとして使われる筋書きが描かれています。 国家が個人の金融資産を把握する理由は、どこに課税をすれば最も多くの税金が取れるかを図り、効率よく課税するためです。 つまり、マイナンバーと資産課税はセットなのです。その目指すところは「格差是正」という美名の下で行われる個人金融資産への大増税です。 ◆資産課税へのカウントダウン このようなシナリオは決して私の空想ではありません。 経済財政諮問会議で委員をしている東大大学院教授の伊藤元重氏は次のように発言しています。 「日本は所得に比べて金融資産が増えているので、将来の財政問題を考えると、所得ではなく資産に課税するという方法もある。」 子供の将来のために一生懸命貯めた「貯蓄」に課税される日が来るかもしれません。 今年の6月に政府が発表した「骨太の方針」。そこにある税制改革の基本方針の中にも大増税につながる考え方が隠れています。 そこには、格差是正という大義名分の下で「遺産の社会還元」という観点を踏まえた見直しを行うことが盛り込まれました。 聞こえのいい「遺産の社会還元」という言葉の正体は「死ぬ時には資産を全て国に還元しろ」という社会主義的な思想からくるものです。 企業においては、強制的な賃上げ要請のみならず、以前から共産党や自民党からも提案されてきた企業の「内部留保への課税」も現実味を帯びてきました。 11月25日に自民党の菅官房長官が記者会見で内部留保課税について議論する発言をしたのです。 その背景には、前年比8.1%で増加した内部留保を賃金に結び付け、何としても来夏の参議院議員選挙までにアベノミクスの成果を国民に見せたい政府の思惑があります。 努力の結晶である「資産」、将来のための原資である「資産」、本来いつ、何に使うか「自由」なはずの「資産」が今、脅かされています。資産課税は、これまでの努力と未来の努力を無にする愚策です。 ◆格差是正は正義か? 政治は善悪の戦いです。日本社会には、格差是正を「正義」とする考え方があります。 元国勢調査官の大村大次郎氏はマイナンバーを書いた著書の中で「個人金融資産がこれほど膨れ上がっているのに遺産のたった2%しか税金を取れていないということは、かなり問題」と述べています。 それについて「一番、お金があるところから、ほとんど税金を取れていない」からだと言い切っています。 また、それは相続財産を明確に把握することの難しさが要因だと述べ、相続税の役割を「貧富の差を固定化」させないことだと言い切っています。 まさに「格差是正」という錦の御旗の下に正義を遂行しているわけです。 仮に「格差是正」というものを理想とするならば、遺産の社会還元を含めた資産課税は、資産の100%を税金として国に納めなければ実現できません。 しかし、人間は国家に税金を払うために働いている機械ではありません。「そこにお金があるから」という理由だけで、国民から税金を取る権利が国にあるはずもありません。 また、資産を把握されることへの嫌悪感を持つ国民も多いはずです。 このように考えると、「格差是正」が普遍の正義ではないことに気付くのではないでしょうか。 ◆幸福実現党の立党精神は「自由の大国」 幸福実現党が立党した2009年は日本の政治の分岐点でした。 アメリカやEU諸国など世界が左傾化しようとする中で、日本でも民主党に政権交代が誕生しようとしており、「社会主義化」の方向へと日本の政治が舵を切ろうとしていたのです。 力及ばず民主党政権が誕生しバラマキ型の政治は定着し「国から何かをもらう」ことが当たり前になりつつあります。 「格差是正」という結果平等の逆にあるのが、幸福実現党の「自由」という政治思想です。チャンスの平等、努力の報われる社会の実現です。 私は、本来人間は「国から何かをもらう」ことでは真なる幸福を得ることはできないと考えます。 想像してみてください。誰かの、社会のお役に立っているとき、自分の幸福を誰かに分け与えているとき、自分の力で一歩でも前進しているとき、つまり各人が自分で掴み取っていく幸福こそが、人間の真の幸福だと思うのです。 幸福実現党の目指す「幸福」の「実現」とはそのような幸福です。だからこそ、国防、豊かな教育、安い税金、小さな政府で、国民の自由を守り、自らで魂を向上させる幸福を全ての国民に保障する政府が理想だと考えます。 ばらまけば国民が喜ぶと思っている政治家や官僚には「国民をバカにするな」と言わなければなりません。 それは人間の真なる幸福ではないからです。大切なことは、国民一人一人の想いであり、行動であり、投票です。 真の幸福の実現のために、今こそ「この国にもっと自由を」。 教育の根幹――「道徳教育」を立て直せ! 2015.10.15 文/幸福実現党兵庫県第12選挙区支部長 和田みな ◆「特別の教科 道徳」の教科書検定基準が公表 9月30日、文部科学省は2018年度以降に「特別の教科」となる道徳の教科書検定の基準を公表しました。 近年文部科学省は、いじめ問題など学校教育上の諸問題に対処するために、道徳教育の充実に力を注いでいます。 そして昨年、文科省は中央教育審議会の道徳教育専門部会を開き、10回にわたる審議を受けて、「道徳」を「特別の教科」へと格上げされました。 「教科」となった道徳には「教科書」と「評価」が必要となり、教科書の検定基準が審議され、公表となりました。 ◆道徳の教科書の検定基準 公表された教科書検定基準では、道徳科の教科書について留意すべき点について、(1)準拠性、(2)公正性、(3)正確性の3つがあげられています。 「準拠性」とは、学習指導要領の内容等に照らして適切か、「公正性」は、取り上げる題材の選択・扱い等が公正か、「正確性」は、客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして事実関係の記述が正確かというものです。 そして、「特に」と付け加えて、選択・扱い及び構成・排列について「政治・宗教の扱いに関しては、検定基準2-(4)及び(8)」と記載されています。その基準とは、次のような内容です。 「政治や宗教の扱いは、教育基本法第14条(政治教育)及び第15条(宗教教育)の規定に照らして適切かつ公正であり、特定の政党や宗派又はその主義や信条に偏っていたり、それらを非難していたりするところはないこと。」 「図書の内容に、特定の個人、団体などについて、その活動に対する政治的又は宗教的な援助や助長となるおそれのあるところはなく、また、その権利や利益を侵害するおそれのあるところはないこと。」 このような検定基準を読むと、「日本国憲法」、「教育基本法」の下で戦後教育を受けている多くの日本人は、「道徳教育においても宗教教育には触れない方がいい」と理解してしまうのではないでしょうか。 公教育において「宗教=タブー」とする考え方を持っているからです。この勘違いが最大の「曲者」であり、道徳の改革を骨抜きにしてしまうものであると考えます。 また、検定基準にある「公正性」とは、「取り上げる題材の選択・扱い等が公正か」というものですが、「宗教」的思想に触れないことが公正な態度なのかも私には疑問です。これこそ「偏向」なのではないかと思うのです。 ◆道徳教育には宗教が必要 2005年に行われた「義務教育に関する意識調査」において、六年生では道徳の時間は「最も好きになれない学習」となりました。 大切なはずの「道徳」の授業を、骨抜きにしてしまっている根本原因をしっかりと見つめなければ、道徳の授業改革も、その先の教育再生もないはずです。 骨抜きにされてしまっている「道徳」の授業を立て直すために必要なものの1つが「宗教教育」です。これは決して一個人の意見ではありません。 道徳教育の専門家である貝塚茂樹教授は「もともと道徳とは宗教的な権威に裏付けられて成立していた」と指摘されています。(貝塚茂樹著『道徳教育の教科書』) また、前述の道徳教育専門部会の主査を務めた押谷由夫教授は、道徳の再検討を研究していく中で「宗教の道徳教育が果たす役割について考えざるを得なく」なったと述べておられます。(押谷由夫他「学校における『宗教にかかわる教育』の研究1」2012) その一方、部会において、「宗教教育」は道徳教育の中の重要な課題であると認識され、委員からも何度か「宗教について」意見が出されていたにも関わらず、結局10回の審議で最後まで踏み込んで話し合われることはありませんでした。 日本国憲法や教育基本法の下でも宗教教育(正確には宗教的情操教育)は可能です。(http://hrp-newsfile.jp/2015/2022/) まずは私たち国民が抱いている「宗教=タブー」という偏見をなくし、「子供たちの教育にとって大切なものは何なのか」という視点で議論を進める必要があります。 ◆宗教を抜きに「道徳教育」が可能か 結局、子供たちが「特別の教科 道徳」において「宗教」に触れることはほとんどないでしょう。学習指導要領にその文字が盛り込まれなかったからです。 しかし、実際に現場で学習指導要領にキーワードとしてあがっている学習内容(キーワード)を教えるときに、「宗教」というものに触れないで教えることが可能なのでしょうか。 例えば、「畏敬の念」や「生命の尊さ」というキーワードを学ぶときに「宗教」的思想に一切触れずに、深い理解が可能なのでしょうか。 また、文科省が力を入れている「国際理解」というキーワードについても、世界のさまざまな宗教思想を学ばずに、真の意味で国際理解が深まるのでしょうか。 ◆教育再生には宗教教育の復活を 「教育」にとって道徳教育による「人格の完成」がいかに重要かは、文科省をはじめ、多くの人が認めるものです。 約70年前に田中耕太郎文部大臣は国会で「宗教こそは、道徳に生命を」与えるものだと語りました。残念ながら今の道徳には「生命」が宿っていないということになります。 道徳に生命を取り戻すためには、いつの間にか「宗教教育」を教育界のタブーとし、議論がいつも骨抜きになり、何の根本解決もできない文科省、日本の教育行政をなんとかしなければなりません。 今回の道徳改革が成功し、教育改革への希望とすることができるかどうかは、70年前に失われてしまった、道徳教育の根幹にあるべき「宗教教育」を日本の教育に取り戻すことができるか。それによって教育に善悪の価値観を取り戻すことができるかどうかにかかっています。(和田みな著『公立学校に宗教教育を!』) 文部科学省/「特別の教科道徳」の教科書検定について http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/seido/__icsFiles/afieldfile/2015/09/30/1362359_1.pdf 自虐史観という「原罪」から日本人の魂を解き放て! 2015.08.27 自虐史観という「原罪」から日本人の魂を解き放て! 文/幸福実現党・兵庫県第12選挙区支部長 和田みな ◆今年の夏を振り返る もうすぐ8月も終わります。大東亜戦争終結から70年の夏休み。各地で行われた節目の慰霊祭、マスコミによる特集、映画などで先の大戦が非常に注目された夏となりました。 その中でも最も注目を集めたものは、安倍総理による「戦後70年談話」の発表であったと思います。 安倍談話の内容をめぐっては、様々な意見がありましたが、安倍首相の立場に立つと「大成功」の談話となったのではないでしょうか。 中国や韓国をはじめとした反日国からの非難は最小限に、国内においては、左翼側からの批判は盛り上がらず、保守側からは大絶賛を受けることとなりました。 さらに、安倍内閣発足以来最低であった7月の内閣支持率も、マスコミ各社の世論調査において回復傾向がみられます。安保法案の成立を目指す安倍内閣にとっては何よりも嬉しい成果が得られたのです。 ◆保守からの大絶賛を受けた安倍談話 安倍談話の発表を受けて、国内の保守からは次々に「安倍談話支持」の声が寄せられました。 談話発表前、保守側が最も懸念していたことは、「21世紀構想懇談会」が発表した報告書において、「満州事変以降、日本は侵略を拡大していった」という歴史観がとられていたことでした。 これについて、渡部昇一氏は「この内容が踏襲されるのであれば(安倍談話の)内容には期待できないと思った」と振り返っておられます。(『WiLL』2015年10月号参照) また、櫻井よしこ氏は「最大の特徴は有識者会議『21世紀構想懇談会』が打ち出した『満州事変以降、日本は侵略を拡大していった』という歴史観を拒絶したことだ」と述べ、「大方の予想をはるかに超える深い思索に支えられた歴史観だった」と評価されています。(『週刊新潮』2015年8月27日号参照) つまり「21世紀構想懇談会」の報告書を読み、深い憤りの中にあった保守の方々にとって、安倍談話は「21世紀構想懇談会史観」を払拭した輝かしい内容に映ったのです。この安倍首相の戦略は天晴です。 ◆「想像する」には教養や知識が必要 左翼から保守まで多くの方々を納得させた安倍談話は「永田町文学の最高峰」と言えます。 安倍談話を読むと「反省が込められていて良い」と感じる人、「日本はこんなに悪いことをしたのか」と初めて知る方、「謝罪はこの談話をもって終わった」と喜ばれる方、様々な方がおられます。 この玉虫色の談話の正体は、「読む方の知識・信条をそのままそこに投影することができる」魔法の鏡です。これが永田町文学というものです。 例えば、渡部昇一氏は前述の論考の中で、「東京裁判を払拭する首相談話であった」と評価しておられます。 渡部氏によると、安倍談話は、アメリカの非人道的行為を批判し、大東亜戦争が自衛戦争であったことを主張し、現在の中国の動きを批判したものになっているというのです。 しかし、これは渡部氏のような深い歴史の知識、東京裁判への見識があればこそ、その奥に込められている「真の意味」「深い思慮」の部分を読み取ること、さらには「想像する」ことができたのではないでしょうか。 私が懸念するのは、私を含めた99%の日本人が、渡部氏や櫻井氏のほどの深い教養や見識を持っていない中で、安倍談話を読むと、はたしてこのようなことが「想像できるのか」ということです。 現在の学校教育を受けている人たちと渡部氏では、知識のバックボーンが違うという悲しい現実があるからです。 そのような人たちが何百回も安倍談話を読んで暗唱しても、東京裁判史観の払拭はできないと言わざるを得ません。 また、海外の方々は日本についての知識がさらに乏しく、戦勝国の歴史観にどっぷりつかった中でこれを読むことになるでしょう。 そうすると全く違った「想像」が出来てしまう危険性も含んでいます。 ◆幸福実現党の反省 今の日本にとって安倍内閣が成立を目指している「安全保障関連法案」の成立は急務であり、最重要であると認識しています。 その点において、今回の安倍談話が高評価を得て、内閣支持率が上がったことは、それを一歩前進することになると思います。 保守の方々が安倍談話を評価される理由の一つも、この「安全保障関連法案」の成立の重要性を考慮されてのことであろうと理解しています。 一方で、幸福実現党がこれまでの国政選挙において、一定の支持を得て議席を獲得していれば、安倍首相には永田町文学の談話ではなく、もっと本音の談話を出していただけたと反省しています。 行間を読んで、真の内容を想像するような談話を出させてしまったことに、自分たちの不甲斐なさを感じます。 ◆自虐史観という名の「原罪」から日本人の魂を解き放て! これまで政府がしっかりとした歴史観を示してこなかったことによって、戦後の日本には「自虐史観」が蔓延し、国民は領土問題、安全保障問題など、自分たちの国民の命を護る議論をすることにさえ、罪悪感やアレルギーを持つこととなりました。 戦後70年を経て、自虐史観は日本人の魂にまで入り込もうとしています。だからこそ「玉虫色」ではない日本の見解が必要なのです。 魂にまで入り込んだ自虐史観は一種の「原罪」になりつつあります。 日本人にはもともと「原罪」などという思想はありません。日本人は、人間は自然や神々と一体であり、仏へ向かって努力できる存在が人間の本質であるという信仰心をもっていました。 一方で西洋諸国の多くはキリスト教の原罪思想をもっています。 その「原罪」を日本人にも植えつけたのが、東京裁判史観・自虐史観です。この原罪から全ての日本人の魂を解き放つことが宗教政党である幸福実現党の使命だと考えます。 選挙権年齢が18歳に!大人こそ政治参加の意義を考え直すべきだ 2015.07.09 選挙権年齢が18歳に!大人こそ政治参加の意義を考え直すべきだ 文/幸福実現党・兵庫第12選挙区支部長 和田みな ◆選挙権が「18歳以上に」 先月17日、公職選挙法が改正され70年ぶりに、選挙権年齢を現行の「20歳以上」から高校生を含む「18歳以上」に引き下げられます。 海外の主流である18歳選挙権に合わせる形となり、対象となるのは全有権者の2%、約240万人。来夏の参議院選挙から適用される予定です。 先月行われた読売新聞調査では、18歳選挙権について賛成54%、反対39%と賛成が過半数を超えているものの、反対する声も少なくありません。「まだ十分な判断力がない」、「引き下げても投票に行く若者が増えるとは思えない」というのが反対の理由です。 一方で、政治・選挙情報サイト「政治山」による17~19歳への意識調査では、64.3%が投票に行く意欲があるという結果がでました。新聞の世論調査の心配とは裏腹に、10代の若者は選挙に高い関心を持っています。 ◆教員への罰則の強化 各党からは若者の政治参加に期待する声が上がると同時に、若者への「主権者教育」について提言がまとめられつつあります。 自民党の文部科学部会では関係法令の早期の改正を目指しており、その一つは、教員の政治活動の制限を強化し、違反者に罰則を科すというものです。 改正により高校生も投票に行くことになるため、「学校教育に政治的なイデオロギーが持ち込まれることがあってはならない」と、教育公務員特例法を改正し地方公務員法の改正も盛り込まれました。 一方で、現場からはこのような厳しい罰則規制には「教育現場が委縮する」との批判も上がっています。 そのため、密室で行われる学校教育の現場において、どこまで政治的中立性が確保されるかは非常に難しい問題を含んでおり、まだまだ議論が必要でしょう。 ◆新科目「公共」の創設 自民党の提言のもう一つの柱として、新科目「公共(仮称)」の創設があります。この創設の目的は、政治参加への意欲を高めることにあります。模擬選挙や模擬議会を実施し、高校生に投票の意識付けさせることが話し合われました。 一方で、昨年末の衆議院選挙の投票率は、小選挙区では過去最低の52.66%、比例区でも52.65%と、約半数の国民が棄権している現状があります。冒頭の若者への調査では64.3%が投票に行く意欲があるという結果が出たことからも、政治参加の意欲を高める必要があるのは、高校生よりも大人にこそ必要であると言えます。 まずは、大人が政治参加の見本を示すこと、国民全体として選挙の意義を高めることが最大の意識付けになることは明らかです。 ◆政治家は未来のための政策立案を 昨年末の衆議院選挙における年齢別の投票率をみると、60代が最も多く68.28%。一方で40代以下は50%を切っており、20代に至っては32.58%と、60代と20代の間には倍以上の投票率の開きがあります。 人口比率が多い60代の方々の投票率が高く、人口の少ない若い世代の投票率が低いということは、政治家側からみると若者政策は後回しにしてでも、高齢者世代の政策の充実を図ることで、選挙に勝利することができるということを意味しています。 しかし、高齢者の政策を考えると福祉優先の考え方にならざるを得ず、日本の未来に投資し、若い世代に投資する政策は後回しにされてしまいます。 このような政治が、若者世代の政治離れを加速し、更なる票率の低下を招いているのです。 真に国の発展を考えるのであれば、政治家は若者世代の政策、更にその先の未来に対する政策をこそ国民に提示するべきです。 ◆民主主義に必要な「愛国心」 それと同時に有権者である私たち一人ひとりも、今一度「政治参加」の意味を考えなければなりません。 民主主義の発祥といわれる古代ギリシャの「ポリス」では愛国心は「祖国への愛情と奉仕」を意味しました。故に、民主主義に参加するということは、愛国心の顕現でした。 また、フランスの政治思想家トクヴィルも、アメリカの民主主義が繁栄した要因について「愛国心」を挙げています。著書の中で以下のように述べています。 「アメリカの公共心はこの愛国心によって、公益と私益が混合しており、人々は『自国の繁栄に関心を持っている』ことによって、個人の繁栄と国の繁栄が思想の上で結びついていることが指摘される。そしてこの想いは、人々を国の政治に参加させることによって実現される。つまり、民主主義の政治参加の根本にあるものは『愛国心』という宗教的精神であって、これによって個人の繁栄と国の繁栄が初めて結びつくのであり、民主主義を繁栄に導くために、必要なものであることが明らかになった。」 宗教心を根本に置いた「愛国心」があって、「公」と「私」の利益が一体となることが、民主主義の政治参加の根本であるのです。 ◆民主主義の健全化に向けて 現在、第一次安倍政権で改正された教育基本法では、「我が国と郷土を愛する」という愛国心が盛り込まれました。それに伴い、公民の教科書などでも「愛国心」という文言を使って、子供たちに愛国心を教えることが可能となりました。 しかし、それもまだまだ一部の教科書のみであり、その愛国心の根本にある「宗教心」については、公立学校では全く教えられていないのが現状です。 さらに政治参加への意欲を高めるには、学校教育のみの問題と考えるのではなく、「なぜ選挙に行かなければならないのか」ということを、国民全員が深く理解しなければなりません。それが民主主義を健全に機能させる方法なのです。 今回の選挙年齢の引き下げを契機として、国民全体で「政治参加」について深く考えていくことが大切です。 現地報告!――アメリカ人の歴史認識と戦後70年談話に必要なこと【その3】 2015.04.29 幸福実現党・兵庫第12選挙区支部長 和田みな ◆ロサンゼルスでの日本人差別の実態 前々回の報告でも触れましたが、アメリカ第2位の大都市であるロサンゼルス近郊には、全米で最も多い9.7万人以上が暮らしています。その他にもハーフやクオーターなど多くの日系人も住んでおられます。 今回取材に応じてくださった12名の内5名の方が、アメリカにおいて日本人以外から「従軍慰安婦」について「何か言われた」経験を持っていることがわかりました。 その内容は、従軍慰安婦についての質問を受けたり、内容について聞かれたことがあるというものでしたが、そこから議論になり、非難されたり、バカにされた経験をお持ちの方は5名中4名でした。 さらに、アメリカでの生活に「従軍慰安婦像」の問題などが悪影響を及ぼしているかという質問には、2名の方が「感じる」と答えられました。 ◆日本人差別の内容 お話を伺ったある女性の体験では、韓国系の住民が多い地域のスーパーなどで買い物をしていると、レジに並んでいて自分の順番になっても「日本人は一番後ろに並べ!」と店員さんに嫌がらせを受けたり、商店でお魚をさばいてほしいとお願いしても、自分だけ「出来ない」と断られたりしたご経験をお話しくださいました。 また、聞こえているはずなのに無視されるという「いじめ」のようなことも体験されていました。 その女性は「そんなことは何とも思ってないけどね。そのお店にはもう行かないから!」とおっしゃられていました。 「そんなこと」とおっしゃられていたことでもわかるように、アメリカで暮らされている日本人は強い方が多いです。差別や偏見に負けずに、たくましく暮らされているのでしょう。 しかし、「従軍慰安婦」という無実の罪の影響で、日本人が少なからず差別にあっているということは非常に悔しいことです。 ◆現地の日本人アクテビィストの方の訴え 今回、現地の「従軍慰安婦像反対運動」をされている日本人アクテビィストの方に取材をさせていただきました その方はこのように言われていました。 「仕事でアメリカに暮らしていましたが、定年を迎えたら大好きな日本で余生を過ごしたかったんです。しかし、子供もアメリカで結婚し、孫もアメリカに暮らしています。このままでは、将来日本人がアメリカで住みにくくなってしまう。私がなんとかしなければいけない。」 「しかし、あっちで像が建つと言われれば反対し、こっちで建つと言われれば反論し・・・実際はもぐらたたき状態です。私たちの力ではどうしようもない。」 「日本政府がはっきりと世界に訴えてくれれば、解決する。そうすれば、今すぐにでも、大好きな日本に帰りたい。」 私は、この訴えを聞いて胸が詰まる想いでした。日本政府、政治家は、未来の日本人のために現地で活動してくださっている方々のこのような想いをもっと真剣に受け止め、行動すべきです。 同時に、日本に住む私たち一人一人も、このように苦労をされながら日本人の汚名返上のために戦ってくださっている同朋の方のためにも、これ以上、ただの無関心でいてはいけないのではないでしょうか。 ◆日系人青年の背負った「日本人」という名の十字架 前々回の報告で従軍慰安婦像の建つフラトン市での意識調査について報告しましたが、そこでアンケートに答えてくれた一人の20代の白人青年がいました。少女の慰安婦像が建つ公園に隣接している図書館で働いている白人の青年です。 彼にも他の方と同じようにいくつかの質問をしましたが、「従軍慰安婦は歴史的事実であると考えますか?」という質問になった時に、青年は急に悲しそうな顔をして黙ってしまいました。 詳しく話を聞くと、「実は」と言って話してくれました。彼は日系人とのクオーターでした。 見た目はわからないのですが、彼はこのように私に言ってくれました。「自分には日本人の血が流れています。従軍慰安婦は真実であってほしくないけど、事実ですよね。自分はそれを認めるのがとても辛く、苦しい。」 彼は慰安婦像の建つ公園を毎日通り、横で働き、誰にも言えない「日本人としての罪」を抱えて日々暮らしていたのです。 ◆日本人であることに誇りを持てる国にするために このような想いをしているのは、私が出会った彼だけでないはずです。世界中の日本人、日系人が無実の罪のせいで、日本人であることを罪に思って暮らしていることは想像に難くありません。 これは本当に本当に悔しいことです。 彼らを日々苦しめている、朝日新聞、河野談話、村山談話の罪の深さは計り知れません。 安倍首相には、多くの方を今も苦しめ続けている「偽りの歴史観」、過去の談話から脱却し、真に日本人と世界の人々を幸せにする談話を発表されることを強く強く望みます。 現在苦しんでいる皆さんが、「日本人として誇りを持てる」と言えるような日本にすることを誓います。 現地報告!――アメリカ人の歴史認識と戦後70年談話に必要なこと【その2】 2015.04.19 幸福実現党・兵庫第12選挙区支部長 和田みな ◆フラトン市民の意識調査 ロサンゼルスの中心部から南東に約40kmのところに位置するフラトン市は、グレンデール市よりも素朴で緑豊かな美しい学術都市です。 フラトン駅から歩いて5分ほどの学校と住宅に囲まれた小さな市立博物館の敷地に従軍慰安婦像が建てられる可能性が出てきたのは昨夏で、その後、在米邦人の方々の反対運動と韓国側の対立が続いています。 このフラトンでも住民の方に駅前で意識調査を行いました。日本でもこれだけ話題に上っているフラトン市の問題なので、多くの方からご意見が聞けるかと思いましたが、私が聞いた方々の中で、まともに「従軍慰安婦」を知っている方は「ゼロ」でした。 また、数人の方は「私はアジア系移民ではないので、その問題には答えない。」と言われました。慰安婦像が建ってしまったグレンデールと、まだ建っていないフラトンの違いを目の当たりにし、改めて慰安婦像が建つことの影響力の大きさを実感しました。 ◆戦後70年談話に必要な「未来志向」の内容 今回の調査中、意見を下さったフラトン市のある男性が次のように教えてくださいました。 「アメリカは多くの民族が暮らす社会。お互いの祖国の批判や意見の違いを超えて、未来の事に対して考え、まとまっていく国だ。」 この話を聞き、アメリカで見た従軍慰安婦像に対する何とも言えない違和感の謎が解けるようでした。 アメリカの方々は決して過去に対して知識がないわけではないと思いますが、思考的に過去にこだわるのではなく、「これからどうするのか」に興味がある方が多いのです。 日本人は、単に相手を批判するのではなく、歴史的問題に対しても自分たちの立場で意見をはっきり述べた上で、未来に対して「どのようなビジョンを持ち、どのように責任を持ち、どのように実行していくのか」という具体的な未来ビジョンを世界に示し、実行していくことが必要であると感じました。 幸福実現党の大川隆法総裁が昨年発表した「大川談話―私案―」は正に、自らの国の見解、未来への強い決意、具体的内容が込められている談話です。安倍首相は今夏、「未来志向の戦後70年の談話をだす」と言っています。 その内容が、聞こえのいいお題目で終わることなく、上記のようなことをしっかりと踏まえて、日本の立場を明確に示し、世界に対して、日本の進むべき具体的な道を示せるだけの決意と内容が込められたものになることを切に願います。 次回、アメリカ現地報告【その3】では、現地に暮らされている日本人の皆さんの生の声をお伝えします。 ■参考「大川談話―私案―」 村山談話・河野談話は遡って無効である http://special.hr-party.jp/policy2013/okawa-danwa/ わが国は、かつて「河野談話」(一九九三年)「村山談話」(一九九五年)を日本国政府の見解として発表したが、これは歴史的事実として証拠のない風評を公式見解としたものである。 その結果、先の大東亜戦争で亡くなられた約三百万人の英霊とその遺族に対し、由々しき罪悪感と戦後に生きたわが国、国民に対して、いわれなき自虐史観を押しつけ、この国の歴史認識を大きく誤らせたことを、政府としてここに公式に反省する。 先の大東亜戦争は、欧米列強から、アジアの植民地を解放し、白人優位の人種差別政策を打ち砕くとともに、わが国の正当な自衛権の行使としてなされたものである。 政府として今一歩力及ばず、原爆を使用したアメリカ合衆国に敗れはしたものの、アジアの同胞を解放するための聖戦として、日本の神々の熱き思いの一部を実現せしものと考える。 日本は今後、いかなる国であれ、不当な侵略主義により、他国を侵略・植民地化させないための平和と正義の守護神となることをここに誓う。 国防軍を創設して、ひとり自国の平和のみならず、世界の恒久平和のために尽くすことを希望する。なお、本談話により、先の「河野談話」「村山談話」は、遡って無効であることを宣言する。 平成二十五年 八月十五日 現地報告!――アメリカ人の歴史認識と戦後70年談話に必要なこと【その1】 2015.04.18 現地報告!――アメリカ人の歴史認識と戦後70年談話に必要なこと【その1】 幸福実現党・兵庫第12選挙区支部長 和田みな ◆ロサンゼルスでの現地調査 アメリカに暮らす日本人が、「従軍慰安婦」の影響で深刻ないじめに合っているということが最近明らかになりました。(『正論3月号』髙橋史朗氏の報告参照) その調査報告を受けて、私もカリフォルニア州のロサンゼルス近郊へ現地調査に行かせていただきました。 アメリカ第2位の大都市であるロサンゼルス近郊には、全米で最も多い9.7万人以上の日本人が暮らし、600以上の日系企業の拠点もあります。 今回の調査目的は主に以下の2つです。 (1) 従軍慰安婦の像が建っている町(もしくは建つ可能性のある町)の住民の方々がどのような認識を持っているのか。(本稿 調査報告・その1、その2) (2) 現地で暮らす日本人の方々が、どのような「いじめ」や「差別」に受け、この問題をどのように感じているのか。(調査報告・その3にて) 本稿では、現地住民の皆さんの認識と、そこから見えてきたこれからの日本に必要なものをまとめました。 ◆グレンデール市の少女の慰安婦像 グレンデール市はロサンゼルスのダウンタウンから北へ約15kmに位置する郊外の静かで美しい街です。ここに少女の慰安婦像が建立されたのは2013年7月で、アメリカ西海岸では最初の建立でした。 慰安婦像が建っている公園は、市の中心部や商業施設、図書館、高齢者施設などに隣接する場所で、朝はヨガや体操、お昼にはランチ、夕方には散歩をする方々で賑わう美しい公園になっています。 この少女の慰安婦像は、悲しい顔をしてイスに座る少女として有名です。 その横の碑文には、歴史的事実とは異なる「アジア各国の20万人以上の女性を、旧日本軍が強制連行をし、性奴隷にしたこと」が切々と書かれ、最後には、「日本政府にこの犯罪を受け入れ責任を取ること」を促す内容となっています。 ◆グレンデール市民の意識調査 私はこの慰安婦像の建つ公園に隣接している市立図書館の前で慰安婦に対する意識調査アンケートを試みました。アンケートに答えていただいた方の半数以上が「従軍慰安婦」のことをご存じで、何らかの意見をお持ちでした。 その内容は、「20万人以上の女性か日本政府によって強制連行された。」「日本政府は反省と謝罪をすべきだ。」「とにかく日本政府が悪い。」「女性の人権問題だ。」といったステレオタイプの意見ばかりで、これらの意見は全て碑文に記されているそのままの内容でした。 私はある方に「では、日本政府は何をしたらよいですか?安倍さんは何をすべきでしょうか?」と質問しました。するとその方は「安倍って誰だ?」と言われたのです。 その後も、何人かご意見をお持ちの方に同じ質問をしてみました。すると誰も安倍首相の事を知る方はおられませんでした。それでもみなさん「日本政府が悪い。謝罪しろ。」と口を揃えて言われていました。 このことは、住民の皆さんは、もともと日本政府や従軍慰安婦に詳しいわけではなく、碑文の文言のままに「洗脳」されてしまっていることを物語っています。 私が出会った全ての方が「従軍慰安婦は事実として『あった』と思いますか?」という質問に対して、「Yes」と答えられました。残念ながら、多くの日本人が行っている「誤解」を解く活動はまだまだ伝わっていません。 慰安婦像ができて、まだ2年も経っていないこの町で、このような認識が広がっていること、これが10年、20年、70年と経ったときのことを考え、全米に慰安婦像が建てられることの恐ろしさを改めて感じるとともに、日本政府による対応が早急に必要であると感じました。 次回、ロサンゼルスの中心部から南東に約40kmのところに位置するフラトン市でも意識調査を行いましので、その様子については次回紹介致します。 すべてを表示する « Previous 1 2 3 Next »