Home/ 白川康之 白川康之 執筆者:白川康之 福井県本部副代表 これで良いのか、日本のエネルギー政策 2015.12.02 文/幸福実現党・福井県本部副代表 白川 康之 ◆未来塾フォーラム 11月29日(日)福井県敦賀市にて「未来塾フォーラム」が開催されました。 会場は「福井県若狭湾エネルギー研究センター」で、この施設では原子力発電だけでなく、陽子線治療や、放射線による植物の品種改良、その他の工業分野への活用などを研究しています。 「未来塾」とは、「福井県と日本の未来の繁栄を考える人々の会」であり、月に一度会合を開いており、テーマは、政治、経済、宗教、科学、歴史、文化など様々です。 今回のテーマは、日本の繁栄にとって極めて重要なエネルギー問題でした。 原発の再稼働の遅れが日本の繁栄にとって深刻な影響を及ぼしているということから、なかでも日本最大の原発の集積地域である福井県の住民として、「何故原発が必要なのか」という勉強会でした。 ◆驚くべき電気料金の推移 この「未来塾フォーラム」で、山野直樹教授(福井大学附属国際原子力工学研究所・特命教授)をお招きし、「日本のエネルギー安全保障の行方」と題して講演がありました。 中でも驚くべきことは、「日本の電気料金の推移」(「エネルギー白書2015」)です。2010年度と2014年度を比較すると、電気料金は、家庭用で25.2%、産業用で38.2%も増えているのです。 これでは家庭はもちろんの事、産業界も製造コストが高騰し悲鳴を上げるのは当然です。 電気代高騰の理由は、原発を止めたことで石油などの化石燃料で火力発電を動かしているからです。2010年と2014年を比べると、3.4兆円の燃料費が増加しています。 これは国民一人あたりにすると、年間3万円を負担していることになります。(「エネルギー白書2015」) そうした現状をみると原発によるエネルギー供給がどれだけ重要かがわかります。原発を稼働させれば、当然、火力発電の稼働が抑えられ、電気代は下がります。 ◆原発におけるリスクの受容をどう考えるか ここで重要なことは、原発のリスクも含めて、それでも原発を選択する理由です。山野教授は、講演の中で原発の「リスク」についても解説されました。 人類が生み出した「人工物」には、当然「便益」と「危害」の両方が存在します。この両方を考えた上でリスクを受容するのか、拒否するのか、つまりリスクのトレード・オフ(相関)関係を考慮しなければなりません。 例えば「放射線」には「便益」として高機能材料、病気の早期発見、エネルギー保障、豊かな生活などがあり、「危害」としては、発癌などの健康に対する影響があります。 その上で、原発を選択するのは、原発技術に対する価値観の違いによるものでもあります。 ◆世界人口100億に向けたエネルギー対策 原発技術に対する価値観には、様々あるとは思いますが、世界の人口問題から考えてみましょう。 「世界のエネルギー消費量と人口の推移」(「エネルギー白書2015」)を見ると、エネルギー消費と人口は正の相関関係にあることが明確に分かります。 1950年から2000年の間に、人口は2.4倍、電気の発電容量は21倍になっています。これから世界人口は100億に向かいます。日本は国内のエネルギーだけのことだけ考えていればよい状況ではありません。 日本は世界のリーダーとしての世界のエネルギー政策を支える行動が求められるのは明らかです。 ◆科学技術に退歩はない 動物にない人間の特性は進歩、発展することです。技術というものは開発を続ける限り、進歩することはあっても退歩することはあり得ません。 原発を止めることは簡単ですが、一度止めてしまえば、その技術もなくなってしまいます。 「原発は危ないから停止」ではなく、新たな「科学技術の挑戦」によって問題を解決することもできます。 科学技術の発展によって問題を乗り越え、人類の幸福に貢献することが真の選ぶべき道ではないかでしょうか。 幸福実現党は、エネルギー問題について、原発の稼働を推進し、「科学技術の挑戦」によって解決していくことを訴えて参ります。 感謝から始まる新しい国造り 2015.05.01 文/幸福実現党・福井県本部副代表 白川 康之 ◆天皇皇后両陛下のペリリュー島ご訪問 4月8日と9日、日本では桜咲く麗しき日に、天皇皇后両陛下が先の大戦の戦没者を慰霊するために、パラオ共和国のペリリュー島をご訪問なされました。 パラオの人々の歓迎ぶり、親日の様子がテレビの画面を通して日本全土に伝わりました。中国や韓国が歴史問題をあげつらう反日的報道に辟易している日本人にとって、心温まるホットなニュースでありました。 ◆ペリリュー島の戦いは侵略ではなく、防衛のための戦いだった 今回の両陛下のご訪問によって知れ渡ったペリリュー島ですが、NHKのドキュメンタリー番組などにみられるように、その悲惨さのみが報じられ、無駄な戦い、まるで犬死であったかのように報じられました。 このような報道の影響もあり、日本人の多くは、まだまだその戦いが、侵略ではなく防衛のための戦いであったという真実が知られていません。 「サクラ、サクラ、サクラ」これは中川大佐が最後に打たせた電文です。中川守備隊長はじめ一万人の兵隊さんが、祖国を愛するがゆえに、家族を愛するがゆえに、美しい国を護るがために勇敢に戦ってくださったのです。 きっと、サクラ咲く美しい故郷を思い浮かべながら。これは戦争を美化して言っているのではありません。真実を言っているだけです。 このペリリュー島の戦いの真実を知っていただくためにも、日本の誇りを取り戻すためにも、書籍『パラオ諸島ペリリュー島守備隊長 中川州男大佐の霊言』を多くの方々に読んでいただきたいと思います。 『パラオ諸島ペリリュー島守備隊長 中川州男大佐の霊言』 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1435 この書籍のあとがきに「先の大東亜戦争は、日本の神々のご意志でもあられた。欧米列強の植民地支配からアジアの同朋を解放したいという願いは本当だった。これを明言し、新しい国造りに入っていきたいと思う」とあります。これは幸福実現党の決意でもあります。 ◆パラオ共和国元大統領からのメッセージ ユーチューブに配信されているネット・オピニオン番組『ザ・ファクト』の「祖国への愛のために」は、両陛下に先立って、幸福実現党の釈量子党首がペリリュー島を訪問した時のものです。 天皇陛下のパラオ慰霊に寄せて 大東亜戦争「ペリリューの戦い」を知る(ザ・ファクト) 天皇陛下のパラオ慰霊に寄せて 大東亜戦争「ペリリューの戦い」を知る その中から、パラオの元大統領、日系人クニオ・ナカムラ氏のメッセージを紹介します。 「私は大統領として、日本に永遠に感謝しています。すでに戦争から70年が経ちました。天皇陛下の訪問によって、日本兵達の魂が弔われることを願います。第二次世界大戦の章を終わらせ、新しい章を始めなければなりません。平和のために、発展のために、絆を深めるために。それは日本とアメリカだけではありません。全世界がそうなのです。」 ◆感謝から始まる新しい国造り ペリリュー島での釈党首の感想も紹介させていただきます。 「今の自分があるのは誰のおかげであるのか、感謝の思いで込み上げてくるものがありました。今の日本の繁栄、私たちの平和な暮らし。これは、あの戦いを必死に戦ってくださった方々がいたからこそだと。この愛の思いを知ることによって、感謝から報恩へ。戦後70年の節目に、また新しい国を造っていこうという気持ちは、感謝から始まるんじゃないかなと。そういう意味でペリリュー島で先人たちの愛を発見したことは、私にとって大きな経験になりました。」 今、私たちは何故「日本の誇りを取り戻そう」としているのでしょうか。それは新しい国造りをするためです。 全ての日本人が、真なる歴史を知り、今自分があるのは、今日本が繁栄しているのは誇り高き先人たちのおかげだという感謝の思いに到ってこそ、愛からの新しい国造りが始まるのではないでしょうか。 ◆「一国平和主義」「一国繁栄主義」は許されない それでは、新しい国造りによって日本は、どのような国を目指すべきなのでしょうか。 現在、日本は迷走しています。経済にあっては、デフレ脱却のつもりが消費税の増税という反対の政策を推し進めています。 高度成長を謳歌してきた者たちが「下山の思想」と称して、「日本は成熟社会で、これ以上の成長は必要ない」などと、高度成長社会を経験していない若者たちには到底受け入れられない自分勝手なことを言っています。 国防にあっては、中国の侵略主義があきらかであるにもかかわらず、沖縄の普天間基地移設問題で揺れています。エネルギー問題においては、世界を見ることなく、原子力発電に関して司法の判断が割れています。 まさしく国難の中にあります。 それもこれも、日本に国家としての明確な未来ビジョンがないからです。進むべき正しい方向が分からないからです。世界に目を転ずれば、世界も混迷しています。 世界から日本を見たならばどのように見えているのでしょうか。戦後70年、平和国家として歩んできた日本、経済大国となった日本。 そのような日本に世界の多くの国は、世界のリーダーとしての振舞いを期待しているはずです。もう「一国平和主義」や「一国繁栄主義」のようなエゴイスティックな振る舞いは許されないのです。 ◆日本の未来ビジョンは「世界の平和と繁栄のリーダー国家」 日本は世界のリーダーとしての使命を果たさなければなりません。アメリカ合衆国は世界のリーダーとしての使命から撤退しつつあるように見えます。 世界の平和と繁栄に貢献する、そうした責任と義務が日本にあると自覚したならば、そうした未来ビジョンを描き、その実現に向かうならば、おのずと日本の新しい国造りの方向は定まり、現在の国難といえる問題も解決できるのです。 エネルギー安全保障強化の要諦は「多様化」にあり 2015.01.31 文/幸福実現党・福井県本部副代表 白川 康之 ◆電気は「インフラ中のインフラ」 前回は、原発が賄ってきた電力を老朽火力発電所でカバーしていることから、電力の予備率の面において、大規模停電になる可能性がある現状は、エネルギー安全保障上、重大な問題であることを指摘しました。 【前回】エネルギー安全保障強化のための原発再稼働 http://hrp-newsfile.jp/2015/1988/ 電気は「インフラ中のインフラ」です。水道、ガス、通信、交通など、私達日本国民の生活の基盤となっている各インフラストラクチャーも、電気によって管理されているからです。万が一、電力供給がストップしたならば、それらを維持できなくなるばかりではなく、防衛関連のシステムも、全面的な運用は不可能になってしまいます。 また、電力の供給が不安定になると、国内の製造業も稼働が不可能になります。特に半導体をはじめとする最先端の製造業は、またたく間に操業停止に陥ります。 工場は国外に移され、国内から雇用の場が失われていくことになります。日常、当たり前のように使っている電気ですが、安定した供給がいかに重要であるかを痛感せずにはいられません。 ◆原発再稼働で電気料金は下がる 現在、日本は原発を再稼働しないために、鉱物性燃料を中心に輸入が増え続け、貿易赤字が拡大しています。しかしなぜ、為替レートが円安に動いたにもかかわらず、輸出が拡大しないのでしょうか。 現在の日本は、リーマンショック後の工場などの流出により、すでに「構造的」に貿易赤字体質になっている可能性が高いといわれています。 為替レートが円安に振れたことで、外国に流出した工場が日本国内に回帰する可能性はあるものの、現状のまま、原油や、天然ガスなどの輸入が増え続け、電気料金が値上がりしていくと、円安効果は打ち消されてしまいます。 原発を再稼働すれば確実に、電気料金は下がるのです。 ◆エネルギー安全保障にとって重要なのは「多様化」 現在、我が国の発電電力量に占める火力発電の割合は88.3%にも達し、過去最高の水準になっています。 そのため、原油やLNG(液化天然ガス)の輸入が増大しているわけですが、このことは、エネルギー安全保障にとって最も危険な状況であると言わざるをえません。 何故ならば、エネルギー安全保障にとって重要なのは「多様化」にあるからです。 日本は、戦後の焼け跡から高度経済成長を経て世界に冠たる経済大国に駆け上がりました。しかし、約20年にわたった高度成長は突然、終わりを迎えます。1973年、イスラエルとアラブ諸国の戦争が勃発、原油価格が急騰したのです。オイルショックです。 安い原油を使って成長を謳歌してきた日本経済は、この直撃で年率20%超のインフレを記録し、戦後初のマイナス成長に陥ったのです。 狂乱物価といわれ、店頭からトイレットペーパーがなくなり、夜の街ではネオンが消えました。このパニックを貴重な教訓に日本は「脱石油」「脱中東」のエネルギー戦略を進め、その柱として原子力発電が位置付けられたのです。 国産電源として活用できる原発の発電比率は30%に高まり、電源の「多様化」が進んでいたのですが、東日本大震災に伴う、福島第一原発の事故により、その後全国全ての原発が止められています。 結果、発電比率において火力発電が9割弱となり、「脱中東」どころか、以前にも増して中東に依存せざるおえない状況になってしまったのです。 ◆政府は主導力を示せ エネルギー供給源やエネルギー供給国は多様化すればするほど、わが国のエネルギー安全保障は強化されます。今やれる最善の策は原発の再稼働なのです。 しかし、未だに将来の具体的な電源比率は示されていないのが現状です。将来的に「何」が起きるかわかりません。そうした非常時を想定し、エネルギー安全保障を強化するための様々な対策を打つ必要があります。 エネルギー安全保障は、政府主導で進めなければならない大切な政策でありべきです。 エネルギー安全保障強化のための原発再稼働 2015.01.24 文/幸福実現党・福井県本部副代表 白川 康之 ◆安全保障 安全保障というと軍事力等の国防のことが先ず思い浮かびますが、ほかにも自国のエネルギーを自国で賄う「エネルギー安全保障」、自国民の食を自国で賄う「食糧安全保障」、自国民を自然災害から守る「防災安全保障」などがあります。 どれをとっても国民の生命と安全と財産を守るために必要な最重要課題であり、国政として常に最善なものにするべく対策を練り、ビジョンを描いていなくてはなりません。ここでは「エネルギーの安全保障」を考えたいと思います。 ◆ 現代は電力文明の時代 現代は電力文明の時代です。電力こそが、あらゆる経済活動の基盤となっています。現在、日本の一次エネルギー総供給のうち、電気をつくるために投入される割合は4割を超えるまでになっています。 電力がない場合、人々の日常的な暮らしはもちろんのこと、企業の生産活動、水やガス、通信など「電力以外のインフラ」の維持、さらには国家防衛すら成り立ちません。 国家そのものの存続が、電力というエネルギーが、安定的に供給されるか否かにかかっていると言っても過言ではないのが、現代という時代です。 現実問題として、エネルギー安全保障を疎かにした結果、大規模停電が発生すると、入院患者などの死亡事件が起きることもあるのではないでしょうか。 たとえば、2003年8月14日に北米北東部、中西部において、送電事業者の管理不備により大規模停電が発生しました。 停電の影響はアメリカの8州、さらにはカナダの一部まで及び、総計5000万人が被害を受けたのです。結果火災が60件発生、4名の死者が出てしまったのです。 ◆電力予備率3%とは 2014年、日本はおよそ半世紀ぶりに「原発ゼロの夏」を経験しました。昨年も多くの方が熱中症で病院に搬送されましたが、大規模停電が起きることもなく、なんとか乗り切ることができました。 「原発がなくても何も起きなかったではないか、だから原発は稼働させるべきではない。」 そのような声が聞こえてきそうです。 しかし、現実はきわめて危険な水域にあったということです。14年夏、すべての電力会社の予備率が一桁に低下するという異常事態の状態であったのです。 特に、関西電力と九州電力の予備率は、何と3%にまで落ち込んでしまったのです。予備率3%とは、一つ何かがあるだけで、ブラックアウトが発生しかねない危険な水域であったのだということを、私たちは知っておくべきです。 また、ひとたびブラックアウトが発生すると、復旧は簡単ではありません。電力サービスは「需要」と「供給」が一致しなければ、周波数が乱れて使い物にならないという、難しいサービスなのです。 ◆原発再稼働の決断は政治家の仕事 福島第一原発の事故前の電力サービスの目標予備率は15%でした。それがいまや、予備率4%、5%の「非常事態」に直面し続けているのです。現在、老朽化した火力発電所を中心に故障が増えてきています。 現在の日本の電力サービスは、築40年超えの「老朽火力発電所」たちが、最後の砦として辛うじて支えているのが実態であり、まさに、「非常事態」としか表現のしようがないのです。安全保障という面から考えると「極めて危険な状況」ということです。 結局のところ、日本の電力サービスを「非常事態」から「平時」に戻すためには、原発の再稼働しかないのです。 政府が原発再稼働の判断を明確化した場合、政権の支持率は下がる可能性は高いでしょう。それでも、「国家の安全保障」を考え、政治的な決断を下すのが政治家の仕事なのです。 参考文献 三橋貴明著 「原発再稼働で日本は大復活する」 KADOKAWA 国は肚をきめて原発の重要性を明確にせよ! 2014.09.11 文/福井県本部副代表 白川 康之 ◆電源構成を現実的なものにせよ 8月、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の基本政策分科会が開かれ、将来の最適な電源構成を決める検討作業が始まりました。安価な電力を安定的に供給するには、安全性が確認された原発を活用することが不可欠です。 「ベストミックス」を目指すのであれば、原発の重要性を明確にするべきです。電源構成は暮らしと産業の明日を左右します。現実的かつ積極的な原発比率の目標を明示することを期待したいものです。 ◆廃炉、廃棄物処理の道筋を明示せよ 原発の早期再稼働は喫緊の課題ですが、同時に使用済燃料の中間貯蔵の問題や最終処分場の選定など、廃棄物問題全般に対し国として、しっかりとした道筋を示し責任ある対処を進めていくことが重要です。 原子力発電所の廃炉は世界共通の課題になっています。世界では、これまで建設された558基のうち約4分の1に当たる132基が廃炉を決定しています。わが国においても、48基のうち今後10年で17基、20年で37基が運転開始後40年を経過します。 福井県には、現在13基の商業用原子力発電所がり、このうち運転開始後40年を経過したプラントが3基(敦賀1号機、美浜1,2号機)、30年経過したプラントが5基(高浜1,2号機、美浜3号機、大飯1,2号機)あります。 福島第一原子力発電所の事故後、平成25年7月に施行された原子力発電所の新規制基準において「40年運転制限制」が導入され、1回に限り最大20年の運転延長を認める例外規定が設けられました。廃炉の問題は福井県の原子力行政にとって大きな課題になっているのです。 文部科学省が2015年度概算要求で、福島第一原発の廃炉に関わる研究開発に81億円を計上するようです。 ただ、福島第一原発の廃止措置に関しては、高線量環境下で作業員が入れない現場が大半であることから、福島第一原発の廃止措置に特化した技術の開発が必要となり、通常プラントの廃止措置とは大きく異なります。 このことから、福井県をはじめ全国各地で発生する通常運転プラントの廃止措置に必要な除染、解体手法や、工期の短縮化、工程作業管理等の技術開発を、福島第一原発と並行して行う必要があると言えましょう。 ◆廃炉ビジネスは成長分野 廃炉ビジネスは原子力産業における21世紀最大の成長分野とも言われていますが、国内のプラントメーカーは、商業炉の廃止措置を完了した実績がありません。海外のプラントメーカーは、これまでの実績をもとに世界の廃止措置市場に参入しているようです。 今後、わが国が原子力産業の海外展開を図っていく上で、国内プラントメーカーが廃止措置業務を通じて知見や技術を蓄積し、建設、運転、保守管理、廃止措置をセットに高いレベルの技術をアピールいていく必要があるといえましょう。 ◆「原発は悪」では人材は育たない 廃止措置で海外展開の実績のあるドイツの廃炉専門の国営会社「EWN」が問題としているのは人材です。福島第一原発の事故以降、ドイツは2020年までの原発全17基の停止を打ち出しましたが、その影響で「原発は悪」といった社会風潮が高まり、若い人が入社せず若い技術者が育っていないのです。 そのため技術そのものは確立されているが、蓄積された知識をどう維持し継承していくかが大きな課題となっているのです。とはいってもドイツでは今も原発は稼働しています。わが国では48基もありながら稼働原発はゼロという惨憺たるありさまです。 「脱原発」「原発は悪」といった風潮は一向に収まらず状況はドイツより深刻です。このままでは人材は育たないばかりか、人材という国富が海外に流出してしまいます。 この様な異常事態を正常にしていくためにも、国は肚をくくって原発の重要性を明確にするときです。 世界の原子力安全の向上に貢献するのは日本の責務 2014.09.05 文/福井県本部副代表 白川 康之 ◆福井地裁の不合理な判決 今年5月21日、福井地裁は、関西電力大飯発電3、4号機の再稼働を認めない判決を言い渡しました。それは「ゼロリスク」を求めた、あまりにも不合理な判決だと言わざるをえません。 そもそも「100%の絶対安全」などあり得ません。原子力規制委員会が定めた原発の新規制基準も全く考慮せず、科学的検討もない、原子力の素人が下した無見識なものでした。 1992年の伊方原発の安全審査を巡る訴訟の判決で、最高裁は「極めて高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」との見解を示し、原発の審査に関しては、司法の役割は抑制的であるべきとしました。 極めて妥当な判決です。各地で起こされた原発関連訴訟の判決には、この最高裁の考え方が反映されてきたにもかかわらず、福井地裁の判決は最高裁の判決に反するものであり、「脱原発ありき」の判断だったのではないでしょうか。 さらに判決は、原発の運転停止によって多額の貿易赤字がでるとしても「国富の流出や喪失というべきでない」とし、国富を「豊かな国土に国民が根を下ろして生活していること」と定義し、それを取り戻せなくなることが「国富の喪失だ」という現実を無視した環境左翼的な実に無責任な私見に基づくものでもありました。 ◆原発の再稼働は不可欠 現在わが国は、原発はあるが使えない「原発稼働ゼロ」という異常事態の中にあります。東日本大震災後、火力発電の燃料輸入費が増大し、毎日百億円という国富がムダに垂れ流されていることは厳然たる事実です。 結果、平均的な電気料金は家庭用で2割、産業用で3割も上がっています。家計の負担増だけでなく、産業界も値上げで悲鳴を上げているのが現実です。国民生活と産業の基盤である電力を安価で安定的に供給するためには、安全性を確認した原発の早期再稼働が不可欠です。 ◆世界は原発を必要としている 今の日本の世論は、原発についても「一国平和主義」の中にあるのではないでしょうか。 今や、国防は一国のみにてできる時代ではありません。そうした現実から、政府は集団的自衛権の行使容認を決定しました。ましてや、エネルギー自給率が6%のわが国においては、エネルギー安全保障についても一国にてできるものではありません。 他国から資源を輸入するだけでなく、エネルギーの面においても日本が世界に貢献してこそ、エネルギーの安全保障が成り立つといえます。 世界人口が100億に向かう中、食糧増産のためにも大きなエネルギーが必要となります。安価で安定した電力の需要は増すばかりであり、世界が原発を必要としているのです。 世界の原子力発電所については、運転中が426基(内、日本は運休中48基)、建設中が81基、計画中100基であり、建設、計画中については、中国、韓国やインド等のアジア諸国が約5割を占めています。 「エネルギー基本計画」においても、国際的な原子力利用は、特にアジアにおいて拡大を続ける見込みとしており、そうした世界のニーズに応えるためにも、わが国は原子力利用先進国として、原発の建設、運転、保守管理、廃止措置(原発の廃炉は世界共通の課題)をセットに高いレベルの原子力技術、人材を維持、発展させることが必要とされているのです。 福島第一原子力発電所事故の経験と教訓に基づいた、安全性を高めた原子力技術を世界に提供し、世界の原子力安全の向上に貢献していくことは日本の責務であり、成長戦略、国際協力の観点からも意義のあることなのです。 すべてを表示する