Home/ 瀬戸優一 瀬戸優一 執筆者:瀬戸優一 HS政経塾3期生 10%への再増税を中止し、経済活性化へ 2015.04.08 文/HS政経塾3期卒塾生 瀬戸優一 ◆2017年4月の再増税 2015年度税制改正関連法が3月31日、参院本会議で可決され、消費税の10%への引き上げが2017年4月となることが決定しました。 今回の増税決定については、「景気条項」が削除されたことにより、景気情勢次第で延期することができなくなってしまいました。 つまり、どんなに景気が悪化しても増税を行うという意思の表れでもあると言えます。 ◆2014年4月増税後の状況 しかし、これに対し昨年4月の消費税増税以降、景気の悪化が止まらない状態にあります。 日銀が4月2日発表した3月の「生活意識に関するアンケート調査」(第61回)によると、昨年4月の消費税率引き上げ後に6割の家計が支出を控え、そのうち75%が現在も支出抑制を続けていることがわかりました。(4/2 ロイター) つまり、消費税が上がったことにより、消費が抑制されているといえます。景況感は改善されているということですが、実際には消費は心理であり、心理的に消費に対する支出の抑制がなされているということは、今後その影響が現実に出てくるといえるのです。 ちなみにこの調査では、消費増税後の支出の変化に対する問いについて「支出を控えた」「支出をやや控えた」という回答が合計で59.8%と全体の6割に達しています。 また、このうち影響の長さでは75.3%が「現在(冬)でもなお支出を控えている」と回答しており、多くの家計で増税後の支出抑制が続いている実態が浮かび上がっています。 さらに増税後に支出を控えた理由(複数回答可)では「物やサービスの値段が上がったから」が82.1%に達していて、次いで「収入が減ったから」が36.4%、「消費税率引き上げ前に前倒しで支出したから」との回答は13.4%ということで、深刻な影響が出てきているともいえると思います。(4/2 ロイター) ◆アベノミクスの効果も薄く これに対して、本来安倍政権では消費税を増税することで景気が悪化しないように、むしろ経済を活性化させて財政再建と景気回復の両者を同時に達成することを目指し、アベノミクスを打ち出し、効果があったとPRしています。 しかし残念ながらその効果はかなり限定的なものであったと言わざるをえないと思います。 消費が回復しかけてきた時点での消費税増税は、一気に消費に向かう心理を冷え込ませてしまったといえるのです。そしてそれが先に挙げたアンケート調査から如実に読み取れるということです。 この状態で2年後に再増税をしたらどうなるでしょうか?消費のさらなる冷え込みについては、想像に難くないと思います。 現時点でも政府は有効な手立てを打つことが出来ていない以上、極めて厳しい状況が予想されるのです。 ◆景気回復のために これに対し、幸福実現党は一貫して、景気回復には“減税”が必要であると訴え続けています。 確かに可決された税制改正関連法では法人実効税率を2年間で3.29%引き下げることで、企業収益が上がり、税収も上がることが期待されています。 しかし、消費税が上がる以上、最終消費者の消費が冷え込むことで、結局収益は悪化する可能性が高いといえるのです。 例えBtoBのビジネスであっても、その相手先がBtoCビジネスを展開していたとすれば、結果的に費用削減などにより、収益が悪化する可能性があります。 最終的に景気を回復させるためには、消費を活性化させなければならないのです。それによって、GDPも回復し、日本経済が活性化していくということを、立党以来訴え続けてきました。 消費が回復することで、企業の収入も増え、それによって働く人の収入も上がっていく、そうしたプラスのスパイラルに日本は入っていかなければならないといえるのです。 幸福実現党は、今後も減税路線を一貫して貫き、それが経済を活性化し、増税をしなくても結果的に増収にもつながっていくのだということを主張して参ります。 ■新刊紹介! 「幸福実現党テーマ別政策集 2 『減税』」 http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1442 著者 大川裕太 定価 1,404 円(税込) 発刊元 幸福実現党 幸福実現党の政策は 本当に実現可能なのか!? 同党に寄せられる疑問・反論を、検証に基づき一挙解決! ▽消費増税の中止 ▽所得税・法人税の引き下げ ▽相続税・贈与税の廃止 ▽経済成長による財政再建 目次 序 章 幸福実現党の経済政策について 第一章 消費減税 第二章 相続税・贈与税の廃止 第三章 法人税・所得税の減税 第四章 財政再建 日本は“戦後”を脱却し、世界に誇る大国たれ! 2015.01.26 文/HS政経塾3期生 瀬戸優一 ◆未だに色濃く残る“戦後”の傷跡 日本は先の大戦の敗戦国としての傷が未だに癒えていないと言われています。自虐史観や、GHQによって押し付けられた憲法など、戦後レジームからの脱却ができていないというのが、残念ながら現状と言えるでしょう。 これだけの大国となりながらも、どこか世界の中で自国に対し自信を持てないでおり、他国の反応などに対して敏感で、自立した国家には見えないような部分があることは、否めないのではないでしょうか。 しかし、戦後、敗戦の傷跡が深く残っていた頃に、日本の誇りを取り戻すために死力を尽くした方々がいたことも事実です。 ◆国際地球観測年の国際共同観測 「南極観測船「しらせ」が12日午後2時6分(日本時間午後8時6分)、昭和基地に接岸した。 基地周辺ではこの数年、海氷が厚く接近が難しい状況で、船に勢いをつけて氷に乗り上げて重さで氷を砕いて進む航行を、往路で過去最多の3187回繰り返した。」(1/15 朝日新聞デジタル)というニュースが今年も流れました。 これは1956年から続く南極観測事業です。 戦後日本はサンフランシスコ講和条約に基づき、1952年4月に独立国として認められましたが、敗戦国のレッテルを貼られ、国際舞台への復帰は果たしていませんでした。 そうした中、第3回国際地球観測年(IGY)が、1957年~1958年に行われることが決まり、日本もその中で南極観測に参加することが決まります。 しかし、その決定が行われたIGY特別委員会ブリュッセル会議では日本は各国から罵倒を受けたと言われています。 まだ食糧難が続いていた頃でもあり、“日本には国際舞台に上がる資格はない”と言われながらも、「今こそ日本の底力を見せるときである」と、南極観測は関係者のみならず、国民全体が総力を挙げた一大プロジェクトとなりました。 もちろん様々な反対もあったそうですが、国や企業が資金援助には後ろ向きだったとき、全国の子供たちが自分のお小遣いを握りしめ、南極観測のための募金を行うなど、未来を信じる人たちによって、プロジェクトは進んでいきます。 この南極観測において日本の割り当てとなった場所は、アメリカやソ連なども接岸が出来ないという“Inaccessible=接近不可能”とされていた南極東部のプリンスハラルド海岸。これもまた大きな逆境でもありました。 しかし、日本は短期間で様々な企業も協力し、装備や物資を整えていきます。このとき、日本初のプレハブ住宅なども誕生しています。 ◆世界を驚かせた南極観測 こうして1956年11月8日東京港晴海埠頭を出港した初代南極観測船「宗谷」は数々の苦難を乗り越え、プリンスハラルド海岸へ接岸し、1957年1月29日オングル島に上陸し、日本初の南極観測基地を「昭和基地」と命名しました。このニュースは日本中を沸かせ、勇気と自信を与えることになります。 そしてこのとき、本来は基地の建設をして翌年再上陸し、1年間の越冬観測を行う予定だったのを、そのまま越冬観測に入ることが決定します。そしてその観測成果は、オーロラ発生の謎の解明に結びつくなど、世界を驚かせることとなります。 ◆日本の誇りを取り戻す この南極観測は国民に希望と勇気を与えるものとなりましたが、実際観測に携わった方々も、敗戦国の傷から立ち直り、日本を復活させたいという思いを強く持っておられたということです。 こうした先人の方々の多大な努力のもとに、今日の日本があることを忘れてはならないと思います。 私達幸福実現党は「日本の誇りを取り戻す」ことを掲げていますが、先人への感謝を深めつつ、日本を世界の一流国たらせるべく、努力してまいります。 高付加価値戦略で、持続的な成長へ 2014.10.20 文/HS政経塾3期生 瀬戸優一 ◆増税の影響 本年4月に消費税が8%に増税されてから、増税後の消費動向について、セブン&アイ・ホールディングスの村田社長は駆け込み需要の反動減が前回(1997年)とあまり変わらないとした一方で、前回に比べ6月からの戻りが悪いと指摘しています。(10/2 日経新聞) 消費においては消費は心理とも言われるように、心理的な影響が大きいとされています。3%という数字は小さく見えて、消費者心理的には少なからず影響が出ていると言えるのです。 セールなどで「3%引き」などと銘打たれているだけでも、お得な感じがするものですが、行動経済学では、人間は得よりも損の方を大きく見てしまう傾向があるとされています。 つまり、増税が消費に与える影響は決して少なくないと言えるでしょう。 ◆迫られる戦略の転換 そのため、2015年に行われる可能性のある消費税の再増税はさらなる消費の冷え込みにつながり、景気回復どころか大きなブレーキになってしまいかねません。 それ故に再増税は避けなければならないと言えますが、現状8%となり、すでに消費が冷え込んでしまっている以上、各企業にとっては価格戦略で勝負をしていく場合には、増税分を負担しなければならないため、消耗戦となってしまうと言えます。 こうした状況下で持続的な成長をしていくための戦略の一つとして、高付加価値戦略を挙げることができます。 そもそも、日本企業は諸外国に比べても、商品やサービスの品質に定評があり、「Made in Japan」であるということ自体がブランドになっているという面もあります。 こうした付加価値の高さ、品質の高さといった部分がこうした厳しい消費の時代を切り抜けていき、成長していくための一つの戦略であると言えるのではないでしょうか。 ◆高品質米の例 今、日本の米の品質の良さが海外でも評判を得ています。 もともと品質の良い米であるだけでなく、現地に精米所を構え精米することで、日本で精米するのに比べて船便などの輸送時間を短縮でき、鮮度の高い米を提供することができるため、シンガポールに店を構える懐石料理店の料理長は、顧客から米を分けてくれないかと要望されるなどしているとのことです。(10/19 日経新聞) こうした設備投資などは費用もかかるだけでなくリスクも伴うため、難しい判断ではありますが、結果的に成功している事例であると言えます。 また、中国の百貨店では店頭に「純日本品質 越光」というジャポニカ米が、産地は中国であるにも関わらず、2kg1500円と一般的な中国産米の2倍の価格の商品が並んでいることからも、日本のブランドの強さが伺い知れます。 これは輸出の例ではありますが、日本のブランド力の高さや高付加価値のものの需要があることを表していると言えるのではないでしょうか。 ◆高価格家電の例 また、もちろん輸出だけではなく、日本国内においても高価格商品の需要を見出すことができます。ビックカメラでは、消費増税後の4月は単体ベースの売上高が約1割落ち込んだものの、6~8月では前年同期比でプラスとなっています。 天候不順などでエアコンは伸び悩んだものの高機能の冷蔵庫や洗濯機がけん引したということです。 さらには、CDよりも音の良い高品質オーディオ「ハイレゾ」の関連製品や理美容家電、タブレット、そして高画質の4Kテレビも堅調で、8月にはテレビの売上高の25%程度を占めるまでになり、特に50代以上の男性中心に売れているとのことです。(10/6 日経新聞) こうした国内消費の状況を見ても、高付加価値のものは消費が冷え込んでも需要があることを読み取ることができます。 ◆高付加価値と日本経済の成長 モノが溢れ、消費が飽和してきていると言われる昨今、必要のないものや価値が感じられないものに対する消費は落ち込み、対して必要なものや価値が感じられるものに対しては、消費意欲がまだまだ存在するとも言えるのではないでしょうか。 これ以上の消費意欲の低下を招くであろう消費税10%への増税は避ける必要があることはもちろんのこと、各企業の強みを生かした高付加価値戦略が、今後景気回復と更なる経済成長につながっていく道の一つなのではないかと思います。 減税政策――自国の産業強化へ 2014.08.11 文/HS政経塾3期生 瀬戸優一 ◆国内航空会社の苦境 日本の航空会社としては国内3位であるスカイマークが、欧州の航空機メーカーであるエアバスとの間で航空機購入に関して問題となっていることが、最近多数報道されています。 エアバスの世界最大の航空機であるA380を6機購入する契約をしていたスカイマークが、業績悪化に伴い、納入の延長を申し出たところ、エアバス側から契約解除を通告されたとされる問題です。 その際、エアバス側から違約金として7億ドル(約700億円)の支払いを通告されたということですが、スカイマーク側の無期限納入延長の交渉虚しく、「6機すべての購入を断念する見通しとなった」ことが分かりました。(8/9 SankeiBiz) ◆ニュース等で指摘される問題点 確かにこの問題には、様々なニュースでも指摘されている通り、円安による燃料費高騰や相次ぎ参入した格安航空会社(LCC)との競争激化などの環境変化に対する見通しが甘かったということは、社長自身も述べていますし、専門家等も指摘しています。 契約を結んだのが2011年でしたが、翌年には日本にもLCCが参入するなど、競争環境が厳しくなってきた面もあります。逆に言えば、それを見越してのプレミアム戦略への舵切りだったと言えるのかもしれません。 LCCや大手と競争するため、プレミアムと格安の部分の両方を持っておくということだったのかもしれませんが、競争環境が厳しくなってきたときこそ、選択と集中が大切であるとも言えるのかもしれません。 ◆報道されていない問題点 しかし、こうしたニュースの中であまり触れられていないことがあります。それは今年4月に施行された消費税の増税についてです。 特にスカイマークのように格安運賃で運航している企業にとっては、消費税の増税は大きくのしかかってきていたことは想像に難くありません。燃料費高騰や競争環境の激化があったにせよ、そこに消費税増税が追い打ちをかけてしまったと言えるでしょう。 1個100円のものであれば3円程度の違いにしか感じられないかもしれません。しかしながら、航空運賃のように10000円前後、時期や路線によってはもっと高くなりますが、こうしたものの場合負担はより大きくなります。 燃料や機材、設備など様々な仕入れにも影響が出てきますし、そもそも航空機の場合には公租公課と呼ばれる種々の税金がかかってきているため、日本は特に割高になりがちです。 ◆求められる減税政策 こうした消費税増税の影響も、航空利用者の減少及び業績悪化につながった面があると言えるのではないでしょうか。 特に観光目的での航空利用の場合は、消費税増税は家計の負担及び心理的負担がかかるため消費に影響してくると言えます。もちろんそれだけではなく、物流面でも影響が生じると言えます。 人・物の移動速度の速さは、経済の成長にもつながってくるものである以上、国家としても航空の利用促進のために政策を考えていく必要があります。 しかし、消費税の増税など“重石”になるようなものを載せてしまっては飛べなくなってしまいます。飛行機を“飛ばす”ためにも、航空機に関する工業の活性化の支援などとも合わせて国家として積極的に航空産業を促進していかねばなりません。 今後消費税の増税等の影響が様々なところで出てくることが予想されますが、政府は自国の産業を強化し、国際競争力をつけさせ、その上で国家の財政を豊かにしていくためにも、来年の10%への増税は絶対に阻止し、その上で減税政策を採っていくべきであると言えます。 日本の技術立国―技術大国日本の復活へ 2014.06.16 文/HS政経塾3期生 瀬戸優一 ◆世界で初めて治療ができるロボット 日本の技術は様々な分野において世界の先端を行っていると言えますが、最近注目されているものに、世界初のサイボーグ型ロボット「HAL(ハル)」があります。 このロボットはCYBERDYNE株式会社という筑波大学発のベンチャーによって開発され、製造・販売が行われています。 このロボットは足が不自由な人が一定期間装着して治療を行うことで、脳・神経系へ運動学習及び機能再生が促進され、歩行機能が改善されるもので昨年には欧州で医療機器の認証を取得し、世界で初めての治療ができるロボットとなりました。(6/13東洋経済オンライン『ロボットスーツで「寝たきりゼロ」を目指す』) 身体にこのロボットを装着することで、「人」・「情報」・「機械」を融合させ、身体の不自由な人のアシストを可能にするというものですが、こうした医療機器としてのロボットは、今後世界的な需要が見込めるのではないかと思います。 ◆失われし技術大国 日本はかつて技術大国と称され、世界の最先端を行く技術を次々と世に出していっていました。しかし、バブル崩壊後「失われた20年」と言われるように、日本経済が低迷し、長らく不況に陥ってしまいました。 その間、日本のメーカー等も不況の影響から優秀な技術者の流出が相次ぎ、その余波が町工場などにも及ぶことで、日本の技術の発展・継承などにもそのダメージが及んでしまったともいえるでしょう。 幸福実現党では日本を世界一の国家とするべく、様々な政策を訴えさせていただいていますが、日本だけではなく、世界の発展・繁栄へと直結してくる技術力の向上、先端技術開発を積極的に推進していくことで、日本の技術立国を実現していくべきであると考えています。 ◆技術開発事例―航空機の安全技術開発― 先端技術開発の一例として、航空機における安全技術の開発などが挙げられます。JAXA航空本部においては、環境技術や安全技術の研究開発プログラム、新分野創造プログラムなどが推進されていますが、その中でも安全技術については特に世界的にも求められる分野であると思います。 過去10年間に起きた重大な航空機事故は、乱気流等の気象要因が引き金となった操縦不能によるものが最も多いとされています。 これに対しJAXAでは世界トップのレーザーレーダー(ライダー)技術をベースにして、乱気流中の揺れや翼振動を抑制する突風応答・荷重軽減システムの技術開発を行うことで、乱気流事故防止機体技術(ウェザー・セーフティ・アビオニクス)を実現することにより、航空機事故の防止や装備品産業の競争力を高めることに貢献するとしています。 具体的にはDREAMS(次世代運航システム)プロジェクトやレーザー光のドップラー効果を用いて乱気流を検知することができる航空機搭載用の「ドップラーライダー」の開発など、航空機の運航の安全性を高める技術の研究・開発がなされております。 こうした技術は実用化及び搭載が実現することで、世界に対しても貢献することのできる重要な研究・開発であると思います。 他にも日本の冬は厳しい環境であるため、機体防着氷技術や滑走路雪氷モニタリング技術など、季節要因が絡むような技術の研究・開発も行われています。 ◆日本の技術立国へ 世界一の国家を目指していく上では、今後こうした様々な分野においての科学技術の発展が不可欠であるといえると思います。そして、国家としてこうした技術研究・開発を推進していかなければなりません。 日本が世界を幸福にしていく道として、科学技術の発展による技術立国は必要不可欠であると思います。 ※参考:JAXA航空本部 研究開発(http://www.aero.jaxa.jp/research/) 着陸料などの公租公課の引き下げで、航空利用促進へ 2014.03.24 文/HS政経塾3期生 瀬戸優一 ◆着陸料の引き下げへ 国土交通省は、2014年度から国内線において航空会社が支払う着陸料の算出において、新たな制度を導入します。これまでの着陸料は、着陸する航空機のトン数、騒音値と着陸回数を基本に計算され、その金額を航空会社に請求する仕組みでした。 例えば現行の基準の場合、ジャンボ機と呼ばれるB747-400(569人乗りの場合)では、約270t、騒音値96で着陸料は444,700円となります。(国土交通省『空港・航空管制の運営について』) こうした現行の着陸料では、旅客の少ないシーズンにおいて航空会社に対する負担が大きくなってしまうため、航空機の重量に応じて計算するこれまでの方式に加え、旅客数が減るほど着陸料が下がるような仕組みを取り入れることになったわけです。 シーズン要因に加え、景気悪化などによって旅客が減少した場合でも、それに応じて着陸料を減らすことができ、航空会社の負担を抑えられるようになります。 さらに本年1月には、国が管理する28の空港のうち、航空会社が支払う羽田空港を除いた地方都市に存在する各地方空港の着陸料を、新規就航や増便に限って3年間30~80%割り引く方針も決まりました。 航空会社の負担を軽減し地方路線の拡大につなげる狙いがあり、今秋のダイヤ改正に合わせて実施されることとなっています。 ただし、これは地元自治体と航空会社が効果的な集客策を提示することが条件となっているため、全ての空港が引き下げを認められるわけではありません。 とはいえ、従来の着陸料を考えれば大きな決定であり、路線増につながるものであると言えるのではないでしょうか。 ◆日本の着陸料 日本の空港における着陸料は、世界と比べても高水準にあると言われています。空港使用料の中に含まれる着陸料は、国際水準の2~3倍であるとされているためです。 もちろん、空港に着陸しその空港を使用する場合、着陸料だけではなく様々な費用がかかります。ボーディングブリッジ(飛行機と空港をつなぐ橋)の使用料など空港設備の利用料も含めたトータルの料金で比較した場合、日本よりも割高になる国が存在することも事実です。 しかし、高い着陸料は航空会社にとっての負担になるだけではなく、利用者の支払う金額にも関わることであり、競争力の面で見てもマイナス面が多く存在します。 そもそも着陸料や航空機燃料税なども含めた公租公課と呼ばれる租税は、利用者負担の原則によって行われています。この原則は、航空機の利用がまだ一部の富裕層に限られていた時代の名残といわれ、航空利用者のための設備費用は、利用者自身が拠出すべきであるとする考えに基づいているのです。 また空港は着陸料とテナント料を主な財源としており、特に滑走路などの国が管理している部分の維持には着陸料が使用されているため、引き下げが難しい面があるとも言われてきました。 ◆減税で日本の活性化へ 航空業界は、ハイシーズンとローシーズンの差が大きく、世界の様々な事件にも影響を受けるため、機体重量を基にした一律の税金というものは負担が大きいと言えます。 さらにはまもなく4月から消費税の増税が行われることもあり、さらに影響を受けることも考えられます。それを考えると今回の着陸料引き下げは当然行うべき措置であるとも言えるのです。 今後日本が航空利用者を増やし、また各国の航空会社の誘致を考えるにあたり、航空に関わる公租公課の引き下げを行っていく必要があると言えます。消費税率についても、利用者が減ってしまえば税収も下がることから、空港運営に影響が出かねません。 今後世界的にも需要増が見込まれる航空分野において、日本が国際競争力を失わず、さらに活性化していくためにも、公租公課及び消費税、法人税等の各種税金の引き下げを行っていくべきであると言えます。 空の交通革命――国内開発力の向上へ 2014.01.27 文/HS政経塾3期生 瀬戸優一 ◆躍進する日本企業 先日の日経新聞に、東レが炭素繊維複合材の生産設備を増設し、主にボーイング向けの炭素複合材の供給能力を上げる旨の記事が掲載されていました。(1/26日経「東レ、米生産3割増強」) この背景には、米ボーイング社が開発し、最新技術が盛り込まれている機体として注目されているボーイング787型機の生産拡大があります。 現在の月産10機から、2016年には月産12機、さらに14~16機と、増産していくことから、供給体制の拡大が必要と判断されたためであると言えます。 このボーイング787型機には、従来の航空機に使用されていた金属よりも軽く、強度も強い炭素複合材が、構造体の全重量中50%採用されています。そして、その炭素複合材を供給しているのが、日本企業である東レであるのです。 このボーイング787型機には、他にも幾つものパーツで日本企業が生産を担当しており、その比率は過去最大と言われる約35%です。 日本にはこうした面からも、航空機を製造するための技術力が着実に上がってきており、信頼を得ているとも言えるのではないでしょうか。 ◆日本の未来を拓く技術力 我が党では、交通革命、未来産業投資、交通インフラ投資という政策に共通して、航空分野を今後さらに発展させていくことを掲げています。今後、その発展を実現させていくには、航空機の開発・製造を国内で行っていく必要があると言えるのです。 現在日本において国産で開発が進んでいる機体は幾つか存在します。例えば民間機の分野では三菱航空機のMRJ、自衛隊機の分野では次期哨戒機P1などです。このうちP1については、エンジンも機体も全て国内開発されています。 このように、日本には産業としての伸びが期待でき、より日本及び世界を身近にしていくためのインフラを構築するための技術があると言えます。 ◆国内開発の課題 しかし、開発にあたり幾つかの課題も存在します。1つは、機体及びエンジンの開発には莫大な費用、そして時間がかかる点です。数千億円から1兆円を超える開発費がかかるだけでなく、開発期間も平均5年程度かかることから、民間の企業だけで簡単に開発に踏み切ることができないのが実情でもあります。 2つめに、確実な投資の回収が見込めるわけではないという点です。今後世界的な航空機の需要が見込まれていますが、その需要を確実に取り込める保証がないことから、莫大な費用をかけて開発を行うリスクが高いというのも難点です。 さらに3つめは、開発後には安全性を確かめるための様々な試験設備が必要となり、この設備投資が巨額になってしまうという点です。 幾つもの機体を開発し続ければ、その設備も稼働しますが、ほとんど稼働させることがない状況での設備投資は大きな負担にもなります。その他の点については、紙幅の都合上割愛させていただきます。 ◆幸福実現党の未来ビジョン こうした問題点に対し、多くの皆様の幸福を実現していくためにも、交通インフラ投資、未来産業投資を積極的に行っていくことで、民間企業だけに負担をさせず、国家として空の利便性の向上を図ることが必要であると言えます。 現在、日本では超音速機や乱気流を検知する装置の研究なども進んでおり、国家として投資するに値する領域であり、民間機だけではなく、防衛力を高めるためにも、航空機の技術力向上、及び国内での開発・製造は必要です。 他国に依存するだけではなく、自国での航空機開発を推進することで防衛力も高まり、また日本の先進的な技術を駆使することで、より空の交通が便利になります。 世界的な航空機の需要増の予測からも、自国での開発は今後のさらなる経済成長の可能性を大いに秘めていると言えるでしょう。 幸福実現党は、日本を経済的にも技術的にも世界ナンバーワン国家へと導いてまいります。 客船誘致で日本経済の発展を 2013.11.04 今、世界的に「クルーズ」と呼ばれる産業が発展してきています。 毎年毎年、新造船が多数建造されており、クルーズ人口も増加の一途を辿っているところです。国土交通省の発表によると、日本のクルーズ人口だけでも2012年度には20万人を突破しています。 さらには、日本国内の港に寄港したクルーズ船(日本船、外国船合わせ)は、2012年度に初めて1000回を超えました。 ◆海運大国としての日本 元来、日本はその四方を海に囲まれていることにより、海運業を発達させてきており、海運大国、造船大国として知られていました。しかし、戦後造船業なども、中国・韓国に抜かれ、世界3位に転落してしまっています。 しかし、今日本には大きなチャンスが到来しています。クルーズマーケットとして、アジア地域の人気が高まっており、日本もその寄港地の選択肢として外国船が入港回数を増やした結果、先ほどのように寄港回数が1000回を超える結果となっています。 ◆クルーズ船入港の経済効果 クルーズ船が1隻入港した際にもたらされる経済効果は、例えば横浜港を発着する外国のクルーズ船1隻あたり、約2億円、日本のクルーズ1隻当たり約3500万円と推計されています。 これは、入港する港によって燃料の補給の有無なども違うため、あくまで横浜港の場合ですが、しかしながらこれだけの経済効果があることで、入港する地域の経済の活性化にもつながるものと言えるのではないでしょうか。 実際こうした収入があることから、アジア各国はクルーズ船の誘致に積極的に動いており、港に寄港する際に発生するポートチャージ(港費)の減免措置などを行っている国が存在しています。 さらには、世界的に増加している超大型船と呼ばれるクルーズ船が入港可能なように、自国の港の拡張、および客船ターミナルの設置などをおこなっている国も存在しています。 ◆誘致においての問題点 日本の港では、ポートチャージの減免を行う港を増やすことが必要であるとともに、超大型船が入港できる環境整備を行っていく必要があると言えます。 残念ながら、現時点では世界最大級の客船(約22万総トン)が入港可能な国内港は数港であるとされ、客船用の岸壁を使用できる港は1つしかなく、その他は貨物船用の岸壁などを使用することで何とか入港できる、といった状況です。 これには、船には「喫水」と呼ばれる海の中に沈んでいる部分の深さを示す指標が存在しますが、大きな船ほど、この喫水の深さが深くなってきます。これに対し、日本の港の岸壁において安全に入港できるだけの深さがない場合が多く、入港が難しいとされています。 また、岸壁そのものの大きさ(長さ)が足りず、着岸することが出来ない、というのも入港が不可能とされる理由の一つです。 ◆今後の誘致と発展のために いつでもそうした大型船の受け入れが可能な体制を整えておくことにより、実際の誘致もしやすくなると言えますし、大型船になればなるほど乗船人数も増えることから、観光収入やその他の収入も合わせた経済効果もより大きいものになります。 また、港の整備をしておくことで、客船だけではなく、貨物船であっても大型船が入港可能となり、その港を大型の貿易港としても使用することもまた可能であると思います。 ただ、地方の港においては、各地方自治体の予算の問題などもあり、必ずしも整備をしようと思ってもその費用に限界がある場合があると言えます。 それに対し、国として予算を計上し、支援を行っていく必要もあるのではないでしょうか。 他のアジア各国が国家として客船の誘致に取り組んでいる中、今後日本としても、各地方自治体だけではなく、国家として客船の誘致を行うための環境整備を考える必要があると言えます。 日本が再び海運大国として復活し、海運業を活性化させることで、もう1段明るい未来ビジョンが描けるものと考える次第です。(HS政経塾3期生 瀬戸優一) LCC苦戦に見る、日本の空の問題点――空の「交通革命」の実現を! 2013.08.25 ◆日本の空をより身近に――LCC時代の到来 2012年、日本の空に新たな形態の航空会社が参入しました。 日本の既存の航空会社においては、手荷物受託サービスや機内ドリンク等、様々な付帯サービスが含まれることが一般的でした(一部の航空会社では、機内ドリンクサービスなどが有料の場合もありました)。 しかし、その分、日本の航空券の代金は世界的に見ても割高であると言われていました。 そうした中、「LCC(Low Cost Carrier)」と呼ばれる格安航空会社3社(ピーチ、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパン)が日本の空に登場し、空の交通をより身近なものにしました。 「LCC」とは、サービスの簡素化や業務の徹底的な効率化によって、既存の航空会社よりも低費用を実現し、低価格の運賃で航空輸送サービスを提供する航空会社を指します。欧米やアジア諸国ではメジャーな航空会社です。 日本においても2010年、国際線において、日本と中国を結ぶ格安航空会社である「中国春秋航空」の参入が話題となりましたが、こうした航空会社も「LCC」と呼ばれる航空会社の一つです。 国内線にもLCCが登場したことで、日本の空がより一層、身近になったと言えます。 ◆格安なLCC運賃 このLCCは、従来の日本の航空会社、特に大手航空会社と言われるANAやJALの運賃と比べて、三分の一から十分の一程度の価格で搭乗することができます。 例えば成田―新千歳線は約5千円程度と、長距離バスや新幹線等とも価格的に勝負でき、従来の日本の航空運賃と比べれば「破格」と言っても差し支えない価格です。 LCCの運賃は予約時期や季節等によって大きく変動し、「バーゲン運賃」では更に安い価格となっています。 ところが2013年に入り、日本に就航した3社のLCCの内、2社については思ったよりも業績が芳しくなく、その内の1社であるエアアジア・ジャパンについては、本国マレーシアのエアアジアが撤退を決め、ANAとの提携を解消しました。 その後、ANAが完全子会社化し、新ブランド「バニラ・エア」として路線の見直しを含めて再出発することとなりました。(8/20 産経「新ブランドは『バニラ・エア』 ANAHD傘下のLCC」) LCCは価格の安さが最大のポイントですが、LCC就航後一年を経て、低価格を維持するのが容易ではない現状が見えて来ました。 そこには大きく2つの問題点があると言えます。 第一は、航空に関わる税金等の問題。第二は、LCCの拠点とする空港の問題です。 ◆航空に関わる税金等の問題 日本は欧米等と比べて、航空における税金が高い水準にあると言われています。 航空券の価格には、航空会社が政府に納める税金が含まれており、この税金が「公租公課」と呼ばれるものです。 この公租公課にあたるものは、主に空港使用料や航空機燃料税等です。 中でも、空港使用料の中に含まれる着陸料は、国際水準の2~3倍と言われ、航空会社の大きな負担になっています。 こうした課税は「利用者負担の原則」によって、利用者が支払う航空券代に上乗せされています。 この原則は、航空機の利用がまだ一部の富裕層に限られていた時代の名残と言われており、航空利用者のための設備費用は、利用者自身が拠出すべきとする考えに基づいています。 こうした税金等は、安い価格を維持して運航しているLCCにとって、経営を圧迫する「死活問題」であると言えます。 ◆LCCの拠点とする空港の問題 現在、国内線に就航しているLCCは、ジェットスターとエアアジアは成田空港を拠点に、ピーチは関西国際空港を拠点としています。 いずれも都心に近い、羽田空港や伊丹空港ではなく、少し離れた場所にある空港を利用していることが特徴です。 こうした都心に近いメイン空港ではなく、「セカンダリー空港」と呼ばれる都心から離れた空港を利用するのがLCCのビジネスモデルです。 LCCがセカンダリー空港を選択する理由として、空港での駐機時間の問題があります。 航空機の駐機時間を短くし、多頻度で航行した方が空港使用料のコスト削減、並びに一機あたりの稼働時間を長くすることで無駄な費用を減らすことができるためです。 ところが、成田空港などは騒音の問題等から、24時間、空港を使用することができません。 すると、空港の使用可能時間内に飛行機が到着できない場合、着陸できないため、LCCのコスト削減法でもある「多頻度航行」ができません。その他、代替便の保証の問題等も発生します。 紙幅の関係上、詳しく述べることはできませんが、大きくは以上のような問題点が存在します。 ◆空の「交通革命」の実現を! しかし、海外においても、日本においても、LCCは今まで航空機を利用してこなかった層を新たな顧客として開拓しているとされています。 幸福実現党は、航空分野の更なる活性化を含めた「交通革命」の実現を経済成長政策の柱の一つに掲げています。 その実現には多くの方々が気軽に利用できる「空の交通」が必要であり、そうした土壌を作ることが喫緊の課題であります。(HS政経塾3期生 瀬戸 優一) すべてを表示する