Home/ 佐々木 勝浩 佐々木 勝浩 執筆者:佐々木 勝浩 幸福実現党 広報本部スタッフ チベットの「信仰の自由」を奪う中国に対して、日本政府は毅然として抗議せよ! 2012.01.29 チベットで1月23日、ダライ・ラマ14世のチベット帰還を求める住民のデモ隊に中国武装警察が発砲し、3人が死亡しました。続く24日にも、同デモ隊への発砲が行われ2人が死亡、けが人も多数出ている模様であることをチベット亡命政府が発表しています。 これに対して、中国当局は24日、暴動のきっかけは「『チベット人僧侶3人が焼身自殺する。遺体を政府に渡すな』とのデマと扇動だった」と発表しています。 今回のデモの発端は、昨年5月22日にチベット自治区ラサ市などで行われた「チベット平和解放60周年」の記念行事に遡ります。 この記念行事は60年前の1951年5月23日、中国中央政府と中国共産党の意向を受けたチベット地方政府が「チベットの平和解放の方法についての協議書」を交わしたことを祝ったものです。 しかし、実際には「平和解放」とは名ばかりの「中国によるチベット侵略」が行われました。 「チベット平和解放60周年」の記念行事の機に及んで、チベット独立とダライ・ラマ14世の帰還を訴える若い僧侶たちを中心とした中国政府への抗議を表明した焼身自殺が相次ぎました。中には中国政府の手によって遺体すら帰ってこない現状があります。 中国は、世界からの人権侵害に対する抗議をかわすために、仏教寺院を再建し、その中で礼拝することを許可しています。 しかし実際には、共産党の許可を受けた少数の人達だけが僧侶となれるだけで真の仏教信仰者の修行や布教活動は禁止されています。 中国政府への抗議は「国家反逆罪」も適用され、チベットでは5人以上の集会も認められていません。 したがって、「信教の自由」を奪われた若い僧侶たちの唯一の抗議は集会ではできず、単独行動で行う焼身自殺しか残されていないのです。 中国に自治区化されたチベットでは「ダライ・ラマ法王14世による五項目和平プラン」(1987年9月21日の米国議会における演説)によれば、過去数十年間に渡り、総人口の6分の1に当たる100万人以上のチベット人が中国人によって殺され、少なくとも同数のチベット人が信仰を持ち自由を求めたために投獄されてきました。 また、ウイグルもそうであったように中国の侵略は、大量の中国移民を送り込むことによって「民族浄化」(民族の殲滅)が行われることも共通しています。 一方で中国のチベット住民への発砲やチベット僧侶の焼身自殺が続いている報道について、米国チベット問題担当調整官を務めるオテロ国務次官は1月24日、「深刻な懸念」を表明を発表し、中国政府がチベット族の宗教や文化、言語の存続を脅かす「非生産的な政策」を実行していると批判しました。 また、国務省のヌーランド報道官も定例記者会見で、2月14日にホワイトハウスで実施されるオバマ大統領と習近平中国国家副主席の会談で、人権問題が取り上げられるとの見通しを示しています。 ヨーロッパ各国も中国の人権問題に対する関心は高く折りにふれて抗議をしてきたことは広く知られています。 特に天安門事件以降、各国は中国への人権侵害に対する抗議の機運が高まりましたが、これに口を塞いできた国は、先進国ではロシアと日本だけです。 チベットの問題は遠い国の問題ではありません。軍事的な力を背景にアジアで覇権を拡大する中国の侵略の触手は、尖閣諸島や沖縄へと伸びてきています。 中国のチベットの侵略は「チベット自治区」への中国地方政府から始まりました。 既に「沖縄琉球自治区設立」という言葉が中国で踊り始めているように、今日のチベットは「明日の沖縄」「明日の日本」になる可能性も否定できません。 チベットが中国の侵略を許してしまった背景には、争いを好まない仏教の教えの前に中国の「平和解放」の甘い言葉に潜む侵略の意図を見抜けなかったことがあります。 日本は戦後、「平和憲法」を信仰し、周辺国の「公正と信義に信頼して」、自国の平和を守ることが出来ると信じてきました。そして、「日本さえ外国に侵略しなければ、永遠に日本の平和は続く」と教え込まれて来ました。 しかし実際には、北朝鮮のような「核」で脅して食料を援助させる国や、中国のようにチベットやウイグルを侵略してきた「公正」や「信義」もない国が近隣に存在しているのです。 日本の平和は「日米同盟」という核の傘のなかにあって、米国との圧倒的な軍事的力の差の前に北朝鮮や中国が触手を伸ばせなかったに過ぎません。 「平和」とは、外交交渉の努力や国を守る気概と軍事的な背景の上に築かれているのです。日本の平和を守るためには、まず次々と侵略の歴史を重ねてきた中国の本質を知る必要があります。 しかし、中国のチベット弾圧に対して、民主党政権からは抗議する声すら聞こえてきません。 日本は「アジアのリーダー国家」としての自覚を持って、中国の人権問題に対して毅然たる態度で抗議し、中国の民主化をバックアップすべきです。(文責・佐々木勝浩) 「寸土を軽んずるもの、全土を失う」――日本政府は尖閣を守り抜け! 2012.01.24 民主党の仙谷氏は、1月22日の大阪市内の講演で「中国漁船衝突事件で中国人船長を釈放したことや事件時の撮影映像を非公開とした対応について、私はいまだにあの時のやり方、やったことすべて正しかったと思っている」と述べました。(1/22 産経⇒http://p.tl/oVJF) 鳩山氏や菅氏にも言えることですが、どうやら民主党の議員達は「反省」という言葉を知らないようです。 仙谷氏については、「衝突事件のビデオ映像を公開しない」という中国側からの要求を飲み、中国側と密約を結んでいたことが発覚しています。(2010/11/8 毎日⇒http://p.tl/xOHh) 中国漁船から海保の巡視船にぶつかって来たことは、その後のビデオ流出で明らかですが、当初、仙石氏がビデオ隠蔽を指示していたため、中国は「日本の方から衝突させた」との主張を譲らず、日本側を非難し続け、日本に謝罪と賠償まで求めていました。 もし、一色正春氏(sengoku38)が職を賭してまで真実を暴露しなれば、日本は中国の手前勝手な要求に逆らえず、民主党政権は中国に謝罪と賠償をしていたはずです。仙石氏の「やり方、やったことすべて」が間違っていたことは明らかです。 親中国・弱腰外交の民主党政権になって以降、尖閣諸島近海は中国の海洋調査船等が頻繁に出没し、完全に「中国の海」になりつつあります。 今年1月3日、尖閣諸島の魚釣島に石垣市の仲間均市議ら4人が上陸しました。 この件について、中国政府は日本側に強い抗議を行っていますが、市議らの行動は民主党政権の中国に対する弱腰姿勢を正すべく、「やむにやまれぬ思い」からの行動であったと言えます。 尖閣諸島は、石垣市の行政管轄に入っています。しかし、民主党政権は中国との摩擦を恐れて、同諸島への日本の船の航行を警戒し、魚釣島への上陸も禁止しています。 石垣市の中山市長は、日本政府が認めた上で、固定資産税の評価などを目的として合法的に尖閣諸島・魚釣島に上陸する許可を政府に求めています。 市長が合法的に尖閣諸島に上陸すれば、日本政府として尖閣諸島が日本の領土であることを主張したことになるからです。 しかしながら、政府は石垣市長に対して上陸許可を出さず、日本の領土でありながら、管理義務のある市長ですら上陸できない状況を生み出しています。 そうした中、1月24日、中国当局は東シナ海における航空機による巡視活動について、日中中間線(日本が主張する日中両国の排他的経済水域(EEZ)の境界)を越えて、「中国の排他的経済水域(EEZ)の200カイリ(約370キロ)」まで巡視範囲を拡大する方針を明らかにしました。(1/24 共同⇒http://p.tl/rUlj) それを証明するかのように、領空侵犯の恐れがある中国機に対する航空自衛隊の緊急スクランブルの回数が激増しており、平成23年度は第3四半期までに143回(前年度比95回増加)と過去最高を記録しています。(1/19 防衛省「平成23年度第3四半期までの緊急発進実施状況について」⇒http://p.tl/OV49) 「寸土を軽んずるもの、全土を失う」と言います。ダムも「蟻の一穴」により崩壊します。国家の侵略は「一坪の土地」から始まります。尖閣諸島も守り抜けない民主党政権が、日本全土を守れるはずもありません。 日本は中国の戦略を見定め、知恵ある外交を展開し、南西諸島の国防を強化しなければなりません。 しかし、中国に対して弱腰の民主党政権は、「国防」という国家の責務を放棄し、石垣市の地方議会議員を矢面に立たせています。民主党政権では日本を守る責務を果たせないことは明らかです。 幸福実現党は無策・無能な民主党政権を早急に打倒し、全力を挙げて「危機に立つ沖縄・尖閣諸島」を守り抜いて参ります。(文責・佐々木勝浩) 北朝鮮の核ミサイル量産化を抑止せよ! 2012.01.19 1月13日、韓国政府当局者は昨年12月19日に続き、北朝鮮が日本海に向け短距離弾道ミサイル3発を発射したことを明らかにしました。 ミサイルは旧ソ連製の「SS-21」を改良した「KN-02」(射程120キロ)で、性能確認が目的の発射実験だったと報道されています。(1/14 読売) 液体燃料を使用するスカッドミサイルは発射準備に30分以上かかりますが、この「KN-02」は固体燃料を使用したロケットであるため、約5分間で発射体制に入る事ができます。また、移動式発射台を利用して発射されるため、発射場所を特定するのは極めて難しいと言えます。 「KN-02」は日本まで届く飛行距離はありませんが、ソウルを充分に射程内に収めることができます。2007年10月、ハンナラ党の金議員は「韓国軍に『KN-02』を迎撃できる兵器は無く、お手上げの状態だ」と語っています。 この状況は現在も変わっておらず、今回の「KN-02」発射は、北朝鮮の「韓国をいつでも火の海にできるぞ」という金正恩のメッセージであると言えます。 同時に、このタイミングでのミサイル発射は、金正恩の軍事を優先した「先軍政治」の新体制が盤石であることをアピールする狙いがあることは間違いありません。 こうした北朝鮮の軍事的脅威は韓国だけでなく、日本にも言えることです。 2009年4月、北朝鮮の長距離弾道「ミサイル・テポドン2」が、日本列島上空を越え太平洋に落下しました。これは、北朝鮮は日本を充分に射程内に収めたミサイル発射能力を持っていることを意味しています。 金正恩氏の誕生日の1月8日、国営朝鮮中央テレビが放送した正恩氏の記録映画に、「テポドン2号」発射の際に、正恩氏が「敵が迎撃してきたら、本物の戦争をしようと決心していた」という“勇敢”な言葉を吐いていたことを紹介しています。(1/16 毎日) これも内外の北朝鮮の金正恩新体制の盤石性をアピールし、強硬な姿勢を示すことで、日本を含む周辺国を牽制することが狙いだと見られます。 2012年、北朝鮮は、核の脅しを使って、食料支援を引き出だす交渉を米国や韓国、日本ににも仕掛けてくることが予想されます。 その際の時期的なキーポイントは、11月の米国大統領選挙、12月の韓国大統領選挙の2つの大統領選挙です。 韓国外交通商省傘下の研究機関・外交安全研究員は「二つの選挙の前後に、北朝鮮がウラン型の核実験を行う恐れがある」と指摘しています。 「北朝鮮が2010年に公開した寧辺(ヨンビョン)のウラン濃縮施設を見たソグフリィード・ベッカー元米ロスアラモス国立研究所も、今月発表の論文で、年内に核実験を行う可能性を指摘しています。 その目的は、グアムまで射程に収める中距離弾道弾ミサイル「ムスダン」(推定射程距離4000キロ)に搭載可能な小型核弾頭の開発と見ています。(12/19 読売) 核の小型化が完成すれば、間違いなく、日本全土に届くノドンミサイルにも核が搭載されます。320発ものノドンミサイルが日本に同時に襲来した場合、日本のミサイル防衛(MD)では全く対応できません。 北朝鮮は金日成主席生誕100周年の「太陽節」(4月15日)にも、国威発揚となる軍事的暴発、若しくは核実験を行う危険が指摘されています。 野田首相や外務省は、朝鮮半島の「現状維持」を志向していることは明らかですが、このまま金正恩氏が権力を掌握し、核の小型化を成し遂げ、核ミサイルの量産化を進めていけば、最も大きな危険に直面するのは日本です。 その意味で、日本としては米国、韓国やロシアなどの周辺国をも巻き込み、制裁強化や核抑止力強化、予防防衛等を含めたシミュレーションを徹底し、早急に北朝鮮の先軍政治の「終わりの始まり」に向けた戦略を描く必要があります。 かつての宗主国として、日本は「南北に引き裂かれた民族の悲劇」を終わらせる責任があるのです。(参照:1/18発刊『北朝鮮―終わりの始まり―』大川隆法著) (文責・佐々木勝浩) 日本はロシアと連携を強化し、「対中国包囲網」を築け! 2012.01.10 2012年は、日本の周辺諸国の指導者が一斉に替わる年で、日本の隣国の一つであるロシアも例外ではありません。 ロシア大統領選挙においてプーチン首相が与党統一ロシアから立候補すると表明していますが、2011年12月のロシア下院選挙で統一ロシア側の不正が明らかになり、大規模な抗議デモが起きています。 しかし、ロシアにはプーチン氏を超えるカリスマを持つ政治家がいないため、紆余曲折を経ながらも、プーチン氏が再び大統領の地位に就く可能性は極めて高いと考えます。 プーチン氏が再び大統領の地位に就けば、軍事・安全保障における権限を握り、メドベージェフ氏を首相に据えて経済政策を中心とした内政に専念させることで「強いロシア」を目指すことが推測されます。 日本としては、中国がアジアにおける覇権を握ろうとする中、対ロシア外交戦略を早急に構築していく必要があります。 実際、日本としては、ロシアを取り込まない限り、安全保障において厳しい局面を迎えることになります。 現在、自衛隊は北方防衛から対中国・南西シフトが進んでいますが、ロシア・北朝鮮・中国に提携されると、自衛隊は「二正面作戦」「三正面作戦」になり、現在の兵力では、どう計算しても日本を守り切ることができません。 特に、日本とロシアとの関係を複雑化しているのは「北方領土問題」です。両国の北方領土問題の行き違いは、日本とロシアの友好関係に深い溝を落としています。 ここで日本とロシアの「北方領土」の認識の違いを整理しておきます。 日本は、終戦日をポツダム宣言を受け入れて降伏した1945年「8月15日」としています。 旧ソ連は8月8日に、米国との和平仲介を持ちかけられていた日本に対して「日ソ不可侵条約」を一方的に破り、日本に宣戦布告。武装解除していた日本に侵攻、北方領土を占領しました。 ロシアは、日本がポツダム宣言受諾文書へ調印した「9月2日」を対日戦勝記念日する法案を上院で可決しています。ロシアは、この法案に基づき、9月2日までに占領した北方領土は自国領土とする主張を展開しています。 一方、日本政府は旧ソ連が「日ソ不可侵条約」を破って宣戦布告した点と、サンフランシスコ平和条約に調印していないソ連が占領した北方4島をロシアが現在も実効支配している不当性を指摘し、日本の領土であることを主張しています。 日本は、こうした歴史観、終戦の定義の相違等も踏まえた上で、戦略的外交を展開していくことが不可欠です。 アジアの覇権を狙う中国は、ロシアの北方領土の領有を後押して、日ロ関係の悪化、分断工作を狙っていることも知らなくてはなりません。 したがって、日本がロシアを中国の覇権主義を封じ込める「中国包囲網構築」に参加させるためには知恵を使う必要があります。 例えば、シベリア資源開発等の協力関係の構築を通じて経済的、通商的な関係強化を図る外交戦略を築いていくことが有効です。 既にプーチン首相は昨年10月に野田首相との電話会談で、最大与党「統一ロシア」の11月下旬に開く党大会へ特使を派遣するよう要請した経過があり、プーチン氏は、政権復帰後に極東・シベリアの資源開発に日本の積極的な協力を得ようとしています。 ただし、したたかなプーチン氏は、日本は資源開発だけやらせて、ロシアが権益を奪う可能性もあるため、日本は国益を損なわない、したたかな外交交渉を展開していくべきです。 いずれにしても、資源開発の協力や経済協力等を通じ、ロシアとの友好な関係を強化し、それによって「中国包囲網」の陣形を築き、中長期的には粘り強く「北方領土返還」を交渉していくべきです。 また、エネルギー安全保障の観点からも、ロシアとの友好関係を築く必要があります。日本は原油を1日で約440万バレル消費していますが、その9割は中東に依存しているからです。 更に「脱原発」政策による全国の原発の停止、ホルムズ海峡を巡るアメリカとイランの対立が激化等も勘案すれば、中東以外にもエネルギー供給源を模索していくことは急務です。 日本が国民の生命・安全・財産を守り、経済的な繁栄を維持していくには、エネルギーの安定供給は不可欠です。その意味でもロシアとの連携強化を図っていくことは有意義です。 アジアの平和を脅かす中国の覇権主義を打ち砕く「対中国包囲網」を構築していくためには、米国や韓国、東南アジア、インドと共に、ロシアとの緊密な関係を築いていくことが重要です。(文責・佐々木勝浩) 《国家社会主義》へと邁進する「社会保障と税の一体改革」の危険性 2012.01.02 昨年末12月30日、政府は「社会保障と税の一体改革」の素案を確定、公表しました。(内閣府「社会保障・税一体改革素案」⇒http://p.tl/pC0B) 同素案を精緻に読み込んでいくと、国民に大増税を課し、「国のかたち」を大胆に変質させ、「重税国家」「大きな政府」「国家社会主義」へと向かう一種の「社会主義革命」であることが分かります。 「社会保障と税の一体改革」の先にあるのは国民の富を「税金」として大量に吸い上げ、「富の再配分」を行う「社会主義国家」です。 今回は「社会保障と税の一体改革」について、三つの問題点を提示致します。第一の問題点は「消費税増税」を筆頭に「増税ラッシュ」を図るものであるということです。 「社会保障と税の一体改革」とは、一言で言えば、国民に対する「アメと鞭(ムチ)」です。同素案の前半では「アメ」となる「社会保障制度の持続と充実」を打ち出していますが、政府の本当の狙いは、後半の「鞭(ムチ)」である「大増税」にあります。 消費増税以外にも、所得税や住民税、相続税等の課税強化、地球温暖化対策税(環境税)の創設や金融課税の軽減特例の廃止など、「増税ラッシュ」をかけんとする財務省の強い意志が表れています。 また、素案には「隠れた増税」が至るところに仕組まれています。増税に加え、厚生年金の保険料引き上げや住民税の年少扶養控除の廃止等により、年収500万円世帯の場合、年間20万~30万円の負担増になるとの計算が出ています。(12/31日経) 顔は野田首相ですが、増税路線の手を引くのは財務省。言わば野田政権の裏から手をまわす財務省が「二人羽織」のように手引きしている実態が浮かび上がっています。 「社会保障と税の一体改革」の第二の問題点は「共通番号制度」による国民管理制度にあります。財務省の主眼は本当は「共通番号制度」にあると言われています。 今は、各省庁や自治体等がバラバラに管理されている国民情報を「共通番号制度」の下、統一して管理し、更に銀行・金融機関や医療機関等と情報を連携することで、国家が国民の全資産や些細な金銭の出入りまで把握掌握することができる制度です。 たとえ消費税増税で景気が悪化して税収が減ったとしても、「共通番号制」を機能させれば、パートや副業、アルバイト等の些細な収入であっても、いつでも、あらゆる収入や資産から合法的に税金を巻き上げるシステムが出来上がります。 また、政府素案には「15年度以降の共通番号制の本格的稼動を前提に給付付き税額控除の導入」を目指すとあります。「給付付き税額控除」とは、所得税額から税額控除を行い、所得が低く、控除額が税額を上回る場合、その差額を逆に給付する制度です。 2009年に実施された定額給付金は記憶に新しいところですが、その申請、給付者は、住民基本台帳に記録されている世帯主と外国人登録原票に登録されている人でした。 共通番号制による「給付付き税額控除」が実施された場合、自治体が管理している住民基本台帳と外国人原票がベースとなることが予想され、日本人の血税が「給付付き税額控除」という名目で、職に就いていない外国人に対して不正に給付される可能性が指摘されています。 「社会保障と税の一体改革」の第三の問題点は「国家の肥大化」「大きな政府」をもたらす構造となっていることにあります。 例えば、今回の「社会保障と税の一体改革改革」で、厚生労働省は真っ先に「未来への投資(子ども・子育て支援)の強化と貧困・格差対策の強化」を打ち出しています。(12/30厚生労働省「社会保障・税一体改革で目指す将来像」⇒http://p.tl/JYmb) 「子ども・子育て支援」では、幼稚園・保育所の一体化した「総合施設」をつくることを掲げ、文科省の管轄である幼稚園行政まで入り込んでおり、厚労省のスリム化どころか、「焼け太り」を目指していることは明らかです。 「社会保障と税の一体改革」が成立すれば、省庁は膨大な予算を手に入れ、「サービスの充実」と称して新たな部署を設置、更に人員を増員し、「大きな政府」へと肥大化することは避けられません。 サッチャー元首相以前の「イギリス病」のように、「福祉国家を目指す」と称して、国家がますます仕事を増やし、それが財政を圧迫し、更なる増税が要求され、経済が徐々に疲弊していく悪循環に陥ることになります。 「富の再配分」を盾に取り、国民から税金を吸い取る財務省の正体に、今こそ国民は気付かなくてはなりません。 規制を緩和し、事業を民間に委ねれば、企業の競争原理の中で国民はより良いサービスを受けることができ、そこから雇用も生まれます。 財務省に操られ、「経済成長なき増税路線」を突き進む「社会保障と税に一体改革」は国民を苦しめるものでしかありません。 こうした「国家社会主義」路線の最大の問題点は、ハイエクが指摘しているように、「自由」を侵害し、「隷属への道」に至る危険があることです。 特定の勢力によって「自由」は常に脅かされ続けています。ヒトラーが最も憎んだのは「自由」という言葉でした。だからこそ、「自由」は闘いを通じて、守り、育てていくことが大切なのです。 「国家社会主義」へと向かう野田政権の暴走を食い止めるには、本年の早い時期に野田首相を退陣させ、解散・総選挙に追い込み、民主党を政権の座から引きずり下ろすことが不可欠です。 2012年、幸福実現党は全力で民主党政権を退陣させ、政権獲得を目指して参ります。ご指導ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。(文責・佐々木 勝浩) 「人権委員会」設置法案―野田首相が推進する危険な「闇法案」 2011.12.25 12月15日、法務省は不当な差別や虐待で人権侵害を受けた被害者の救済を目的とする「人権委員会」の設置に関する法案の概要を発表しました。⇒http://p.tl/Yjdo 「人権委員会」の設置法案の発端は、小泉内閣時代の2002年に遡ります。当時、国会に提出され、「表現の自由を侵害する」という強い批判を受けて廃案となった「人権擁護法案」ですが、「人権侵害救済法案」と名称を変えて、今年7月に、その骨子が発表されています。 国民の目をくらますために、「人権擁護法案」から「人権侵害救済法案」、そして「『人権委員会』設置法案」と次々と名称を変えていますが、その危険な本質は変わりません。 野田首相は、姑息にも法案の名称を変え、同法案が「闇法案」であることが国民がにばれる前に国会を通過させようとしています。 国家社会主義的傾向を持つ野田首相は同法案成立に積極的で、野田首相が平岡法相に対して「人権救済機関の設置」を重要政策課題として指示していることが、同法相のブログに明かされています。⇒http://p.tl/mFV0 マスコミは同法案の内容について、ほとんど報道しておらず、産経のみが12/19の社説で「過去に指摘されてきた本質的な問題は変わらず、民間の言論表現活動に公権力が介入し、言論統制を招く危険性も消えていない。法務省は方針を撤回し国会提出も断念すべきだ」と警鐘を鳴らしています。⇒http://p.tl/lLMG この法案の最大の問題は「人権」の定義が曖昧で、何が「人権侵害」にあたるのか不透明であり、運用次第で、いくらでも「言論弾圧」や「新たな人権弾圧」をもたらす危険性があることです。 法案概要によると、「人権委員会」は、国家公安委員会や公正取引委員会などと同じく、政府から独立して動くことを認められた「三条委員会」として位置づけられており、「深刻な侵害事案」と判定すれば刑事告発できる強い権限が付与されています。 もし、「人権委員」に偏った左翼団体、人物が入り込んだ場合、正当な言論活動を行なっている団体や個人に対する言論弾圧が始まる危険性が強くあります。 また、都道府県に置く人権擁護委員は「地方参政権を有する者から選ぶ」としており、民主党は外国人への地方参政権付与を目指しているため、外国人が人権擁護委員に選ばれる可能性も生じます(8/3産経)。⇒http://p.tl/lxHe 外国人が人権擁護委員に就けば、例えば中国の軍拡に対する正当な批判を行ったり、「従軍慰安婦の強制連行はなかった」と発言しただけで、「人権侵害(民族差別)」として、「言論弾圧」が加えられる可能性が出てきます。 そうなれば、国益を守るための言論活動や政治活動も自由にできなくなります。民主党政権は「合法的に日本を外国に献上する法案」を密かに成立させようとしているのです。 そもそも、「『人権委員会』設置法案」とありますが、民主党も、政府も「人権」に対する考え方が根本的に間違っています。 『アメリカ独立宣言』の冒頭には「われわれは、自明の真理として、すべての人は平等に造られ、造物主によって、一定の奪いがたい天賦の権利を付与され、その中に生命、自由および幸福の追求の含まれることを信じる」とあります。 このように「人権」の大前提には「信仰心」があり、「神仏から創られた人間」として、お互いの「天賦の権利」を尊重する「愛の思想」があります。 しかし、左翼・リベラル勢力は「人権」から「信仰」を丸ごと抜き去り、「人権」を自らの利益を奪うための「エゴの道具」として濫用して来ました。 その「人権」とは「自分の権利を満たすこと」であり、自分の権利が満たされれば、他人の人権など、どうでも良いという身勝手な権利です。 幸福実現党は「宗教政党」として、正しい「人権」思想を広めると共に、「人権弾圧」を助長する「『人権委員会』設置法案」の成立に強く反対して参ります。(文責・佐々木勝浩) 西太平洋に中国空母が現れる日~「沖ノ鳥島」の戦略的重要性~ 2011.12.18 12月11日、中国の空母ワリャーグが2回目となる試験航海を終え、大連に帰港したことを、中国の「法制晩報」が伝えています。 今回の訓練では、ワリャーグの飛行甲板にエレベーター位置や発艦前の艦載機準備位置を示す塗装が施され、艦載機に予定されている戦闘機J-15が空母に接近、「親密な接触」を行ったと報じられています。 「親密な接触」とは、空母への着艦なのか明らかにされていませんが、空母の本格運用に向けた訓練であることは間違いなく、予想以上に速いペースで中国の空母運用が進んでいます。 先月11月に、中国艦船の西太平洋(沖ノ鳥島沖)で軍事演習が行われていますが、艦隊の編成や訓練内容を見れば、空母展開を見越した訓練であることは明らかです。 中国の西太平洋での活動をまとめると下記のようになります。 まず、中国は海洋調査船による沖ノ鳥島近海の海洋調査を行っています。02年2月に沖ノ鳥島の東北東約250kmの海域で、03年10~12月には同じく沖ノ鳥島周辺で、04年12月には、沖ノ鳥島南方の排他的経済水域内の海洋調査を実施しています。 海洋調査船の目的は、西太平洋の米空母艦隊の攻撃を目的とした潜水艦を展開するために必要な海底地図をつくるための調査であると推測されます。 国際海洋法条約によって、日本の排他的経済的水域(以下、「EEZ」)内での海洋調査の際には、日本への事前通告が義務づけられていますが、日本は簡単に許可を与えています。 その後、中国海軍は西太平洋での軍事演習を開始しました。まず、08年10月、中国海軍司令員が日本を友好訪問している最中に中国海軍艦隊4隻が対馬海峡から津軽海峡を通って日本を一周しています。 銃口で取り囲んで交渉のテーブルでは「友好」という握手を交わす。これが中国の外交のやり方です。 こうして中国海軍の日本近海航行を既成事実した後、西太平洋の沖ノ鳥島沖での中国海軍の軍事演習が本格化していきます。 09年6月、中国海軍艦艇計5隻、10年4月には中国海軍艦艇計10隻(ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦など)の艦隊が沖ノ鳥島海域で軍事演習を行いました。 今年6月には、中国海軍の艦艇計11隻(射撃訓練や、無人航空機、艦載ヘリの飛行、洋上補給の訓練など)、さらに先月11月、中国艦艇8隻が沖ノ鳥島海域で軍事演習を実施しています。 恐らく、来年2012年は、軍事演習の規模も回数もさらに増し、近い将来、中国空母艦隊が西太平洋を航行することは間違いありません。 また、艦船の中には、旧ソ連から購入した「ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦」が加わっています。「ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦」は空母を標的にできる対艦ミサイルを持ち、冷戦時代、米軍空母が最も恐れた旧ソ連の駆逐艦です。 07年8月17日、米紙ワシントン・タイムズは、キーティング米太平洋軍司令官が訪中、中国軍事当局者と会談した際、中国側から「太平洋を東西に分割し東側を米国、西側を中国が管理することを提案」したことを報じています。 つまり、中国の意図は米国に米空母を標的にできる旧ソ連の駆逐艦を西太平洋に派遣することによって西太平洋の支配を本気で実現するというメッセージを送ったのです。 中国海軍が軍事展開する「沖ノ鳥島」近海は、米軍空母艦隊を封じ込めるための重要な位置にあります。 沖ノ鳥島の海域は、中国の海洋戦略である沖縄~台湾を結ぶ「第一列島線」と、グアム~サイパンとを結ぶ「第二列島線」との間の海域の中心海域を占めており、台湾侵攻の際、グアムから救援に向かう米軍を、この海域で阻止する必要があるからです。 中国は「沖ノ鳥島」を「島」ではなく、EEZを設定できない単なる「岩」だと主張し、国際社会にアピールしています。 実は、沖ノ鳥島を中心とする半径200海里のEEZは約40万平方kmという広大なもので、日本の全国土の面積を上回ります。 中国にしてみれば、「沖ノ鳥島」が単なる「岩」であるという国際的合意を形成できれば、「沖ノ鳥島」近海は「公海」ということになり、中国海軍が自由に支配できる海になります。 ちなみに、中国が南シナ海でEEZ設定しているほとんどは、岩(サンゴ礁)であり、中には軍事施設化しています。元々はベトナムやフィリピンが領有を主張してきた海域です。 つまり、日本政府は、中国に対して「沖ノ鳥島」を単なる「岩」と主張する資格はないことを毅然として主張すべきです。 中国の喫緊の目的は「台湾併合」ですが、米軍空母を西太平洋で阻止できれば、台湾併合は容易になります。そして、台湾を併合すれば、沖縄侵略も目前です。 「台湾併合」がなされれば、台湾海峡は中国の「内海」となり、日本のシーレーンは分断され、「脱原発」を進める日本のエネルギー供給が断たれ、日本は生命線を断たれます。 中国は、海洋法に関する国際連合条約第121条第3項「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない」を根拠に、沖ノ鳥島が岩であることを国際社会に訴えています。 日本政府は、そうした主張に対抗すべく、早急に岸壁や泊地、道路などの港湾施設を整備すると共に、海底資源開発に向けた構築物造成等の「経済的生活」の実態を構成することが不可欠です。 沖ノ鳥島周辺の海底にはメタンハイドレードやレアメタル(希少金属)等の資源が豊富に埋蔵されており、海産資源も豊富な海域で、日本は国益上も沖ノ鳥島のEEZを主張していくことは重要です。 沖ノ鳥島は日本の国防においても、アジアの安定のためにも非常に重要な位置にあることを忘れてはなりません。 その認識を持って、日本政府は中国に対して、「沖ノ鳥島」は「島」であり、強い領有の意思を持っていることを毅然とした態度で示すべきです。(文責・佐々木勝浩) 野田首相の訪中延期と今後の日中関係について 2011.12.11 12月12、13両日に予定されていた野田首相の中国訪問が延期され、日中両政府は訪中日程について、25、26の両日とすることで最終調整に入っていると報道されています(12/9時事通信)。 しかし、年末は予算編成等の内政や外交日程が立て込んでおり、年内の実現は厳しく、訪中は来年になるとの見方も出ています。 いずれにしても、日中政府は「国交正常化40周年」に当たる2012年を前に首相訪中を実現し、「戦略的互恵関係」の進展を確認したい考えです。 これまでHRPニュースファイルでも、12月12、13日に訪中すれば、「南京事件」について謝罪を迫られ、日本は更なる支援を要求される懸念を表明して来ました。 12月13日は旧日本軍が南京に入城した日です。中国では、旧日本軍による南京占領74周年に向けた記念行事が5日から13日まで江蘇省南京市の南京大虐殺記念館で行われています。 この記念行事が行われるのは例年通りですが、「74年目」という、節目でもない年に、例年以上の規模の行事を開催。まさに野田首相を謝罪させるにふさわしい演出がなされる予定でした。 旧日本軍の南京占領向けた記念行事は、その時々の日中関係に応じて政治的なメッセージが込められています。 かつてない規模での記念行事の背景には、中国当局の日本謝罪を謝罪させる目的があったのではないかと推測されます。 しかし、中国側が6日、北京の日本大使館に「内政上の都合」で延期を要請してきました。今回の野田訪中の延期要請は、中国側からの要請であったことは間違いあいません。 ところが中国側は「訪問延期は、日本の首相官邸から申し出があった。国会の日程と関連しているようだ」と発表しています。(12/9レコードチャイナ) 延期要請の理由について日本政府内では「13日が旧日本軍の南京占領から74年にあたるので、インターネット上などで高まっている反日感情に中国側が配慮したため」との見方が出ています。(12/6毎日) また、そうではなく、中国共産党と政府の最高指導部が出席して経済運営方針を話し合う年に1度の「中央経済工作会議」が同時期に開催される方向となっていることが影響したとの見方もあります。 評論家の石平氏は「今回の野田首相の訪中延期は日中関係上の問題のからではなく、むしろ中国の『内政上の事情』によるものであるとはほぼ確実である」と断定しています。(12/7「石平のチャイナウォッチ」) その理由として、中国の経済の減速がかなり危険な方向へと進んでいる中で、現在の「金融引き締め政策」を堅持していくべきかどうかについての大論争があり、それが党内闘争の様相まで呈していると指摘しています。 つまり、中国の指導部にとって、今は外国の首脳を迎えて外交問題を語るところでなくなっているということです。 いずれにしても、元々、中国側の強い要請によって進められて来た日本首脳の訪中が、中国側の「内政問題」という一方的都合で延期されたこと自体、中国が日本をいかに軽視しているかが分かります。米国相手でしたら、こうした失礼な対応はなかったでしょう。 いずれにしても、これまでの中国外交を見て来ると「戦略的互恵関係」を強調する中国に対して、日本は中国侵略の謝罪の代償として一方的に奉仕させられる可能性が高いことは間違いありません。 中国の「嘘も百回唱えれば本当になる」歴史の歪曲に対して、正しい歴史事実に基づいて反論できる政治家が今必要とされています。 自民党時代より、中国の言うがままに謝罪を繰りかえし、ODAなどの支援を要求され、その都度、日本国民の「血税」が中国に吸い上げられ、結果的に、日本国民は中国の経済発展や軍事強化に奉仕させられて来ました。 こうした中国の外交戦略をしっかり見抜いた上で、日本の国益を守りながら、アジア全体の平和を見据えた日本の外交戦略を持たねばならない時期に来ています。 こうした「危機意識」無き、外交オンチな民主党政権に、いつまでも日本の舵取りを任すことはできません。(文責・佐々木勝浩) 野田首相は日本の国益を守る気概はあるのか――「日中の戦略的互恵関係」の裏にある中国の意図 2011.12.04 11月末から12月にかけての中国の直近の動きを三つ取り上げ、12月中旬の野田首相訪中に向けた中国の計略を推察してみたいと思います。 (1)中国海軍艦艇6隻が宮古島沖を通過 11月22~23日にかけて、中国海軍艦艇6隻が宮古島沖を通過、西太平洋上での軍事訓練を行いました。 同23日、玄葉外相は温首相らと会談、来年が国交正常化40周年となるのを契機に、両国の「戦略的互恵関係」を深化させる方針を確認しています。しかし、一連の会談で、玄葉外相から中国海軍の宮古島通過問題は一言も取り上げられませんでした。(11/24産経) (2)軍事訓練を終えた中国海軍の艦艇4隻が古島沖を通過 西太平洋で軍事訓練を終えた中国海軍の艦艇6隻にうち4隻が宮古島沖を通過しました。(12/1朝日) 実は、前日の11月30日に、東京で第5回「日中関係シンポジウム」(中国人民外交学会と日本世界平和研究所が共催)が開催されています。 ここで両国の政治界、財界、学界の代表が、日中の「戦略的互恵関係」の進展、相互理解を深めた日中関係発展の政策提言が行われています。 その翌日12月1日、中国海軍艦艇が宮古島を通過していたその日に、シンポジウム参加のために訪日していた中国全国政協外事委員会主任、趙啓正氏が首相官邸を訪れています。(12/3中国網) しかし、野田首相の口からは「中国海軍艦艇の宮古島沖通過」に対する抗議は一言もなく、「できるだけ早期の訪中を実現したい」との感謝の意を表しただけでした。 (3)中国が「日中境界画定に関する協議」の再開を提案 野田首相の12月中旬の中国訪問に向け、中国政府が2003年末を最後に中断していた国連海洋法条約に基づく東シナ海の「日中境界画定に関する協議」の再開を提案していることが明らかになりました。(11/28共同) 「日中境界画定協議」は、日中ガス田共同開発交渉にも影響を与えるばかりではなく、尖閣諸島の領有権をめぐる重要な問題です。 国連海洋法条約の関連規定では、双方の200海里までの排他的経済水域及び大陸棚が重なり合う部分について、双方の合意により境界を画定する必要があります。 ちなみに、「国連海洋法条約」の関連規定及び国際判例に照らせば、境界を「日中中間線」を基に画定することが国際的に常識な解決の道筋です。 しかし、中国側は「日中中間線」による境界画定は認められないとした上で、「中国大陸棚の自然延長」と言い張る「沖縄トラフ」(沖縄の近海)までを主張しています。 ここで問題となるのが2008年の「東シナ海ガス田の日中合意」です。これは、中間線より日本側海域のガス田も中国も参加して共同開発するというものです。 中国が主張する「沖縄トラフ」までを日中の境界とする交渉を日本が飲めば、尖閣諸島はもちろんのこと、共同開発した東シナ海のガス田も共同開発が終われば、最終的には全て中国のものとして接収されることになるでしょう。 それを狙って、野田首相訪中のタイミングに合わせて東シナ海に軍艦を航行させ、無言の圧力を加えているものと見られます。しかし、野田首相は、これに対して何ら抗議をしていません。 表向きは「戦略的互恵関係」を強調しておきながら、日本を中国の利益ために奉仕させる、これが中国の「戦略的互恵関係」の隠れた意図です。 この「東シナ海ガス田開発」の解決策は、「日中中間線」より日本側の海域で日本単独のガス田開発を一日も早く行い、「日中中間線」を既成事実化してしまうことです。これは「海域の実効支配」を行うことを意味しています。 野田首相が訪中を検討している12月13日は、日本軍が南京に入城した日にあたり、中国では「南京大屠殺同胞遭難記念日」として、「南京大虐殺記念館」を中心に関連行事が集中しています。 その渦中に訪中した野田首相は中国の前に大謝罪させられ、更なる経済支援と、ガス田共同開発交渉の譲歩を迫られることは目に見えています。 野田首相に日本の国益を守る気概はあるのか、その覚悟が試される訪中となることは間違いありません。(文責・佐々木勝浩) 野田首相訪中と「東シナ海ガス田開発交渉」――日本は毅然とした態度を示せ! 2011.11.20 野田首相が12月12、13日に中国を訪問し、胡錦濤国家主席と会談する方向で調整に入りました。 会談では、来年の日中国交正常化40周年に向けた取り組みや東シナ海での「ガス田開発」の条約交渉の再開が話し合われると報じられています。 この点について政治家として知っておかなくてはならない重要なポイントを2点、指摘しておきます。 1点目は、「12月13日」がいかなる意味を持った日であるかということです。 昭和12年12月13日は、日本軍が「南京」に入城した日にあたります。 なぜこの日に会談が設定されたのか、日本政府は推して知るべきです。 日本の対中ODA(発展途上国への政府開発援助)は、1979年からこれまで過去20年間で6兆円にのぼります。 内訳は、円借款(有償資金協力)が約3兆2079億円、無償援助1472億円、技術協力が1505億円。さらには、すでに廃止された「資源開発ローン」が3兆円弱になっています。ちなみに外務省の中国ODAの数値は、関与する公的な援助だけで「資源開発ローン」をカウントされていません。(数値は『SAPIO』2010年11月10日号より) 「対中ODAは既に終了した」との誤解がありますが、終わったのは円借款(08年度で終了)であり、驚くべきことに、残りの無償援助と技術協力は、今なお続いているのです。 中国は、既に日本のGDPを追い抜き、世界第二位の経済大国となっています。とても「発展途上国」とは呼べません。その中国に、なぜ日本はODAを続けているのでしょうか? その糸口は、江沢民前国家主席の国家戦略にあります。 江沢民氏は在任中の1998年8月、在外大使ら外交当局者を一堂に集めた会議の席上でこのように述べています。「日本に対しては歴史問題を永遠に言い続けなければならない」(江沢民著『江沢民文選』より) つまり、江沢民氏は、お金を日本から引き出す外交圧力カードとして「歴史問題」を位置付けたのです。それは胡錦濤国家主席にも受け継がれています。 来月、野田首相が訪中した際、中国側から「今日は何の日か知っているか?」と恫喝され、「南京大虐殺」の謝罪を迫られることは間違いありません。その後に待っていることは、多額の補償です。 「事実に基づいた正しい歴史観」と、それを武器として中国に言い返せるだけの気概を日本の政治家が持っていないがために、今まで私たち国民の血税が中国にまんまと吸い取られてきたのです。 2点目として、首相の訪中の前後には、必ず中国は圧力をかけ来ます。これを指摘しておきます。 過去には、2007年12月、当時福田首相が、ガス田開発交渉の解決を中国に持ちかけようと訪中した最中、中国は軍機をガス田上空に2日間に渡って40回超、集中飛来させました。まさに「ガス田開発交渉を口に出したらタダではおかないぞ」という脅しをかけたのです。 また、2009年10月の北京での日中韓首脳会談に出席した当時鳩山首相は、胡錦涛国家主席に「東シナ海を友愛の海にしよう」と語りかけたことは記憶に新しいことです。 しかし、中国が行ったことは、翌12月、共同開発で合意した東シナ海のガス田 「白樺」で、中国は一方的に天然ガスの掘削施設を完成させたことでした。 中国にとっては、東シナ海は「友愛の海」でもなんでもなく「中国の海」でしかないのです。 また、昨年2010年9月には、菅首相の訪中は実現しませんでしたが、ガス田「白樺」で中国が洋上施設に掘削用と見られる機材を搬入したことを重視し、自制を求めていく方針を明らかに際にも、中国は海軍艦艇をガス田付近に展開させたことを付け加えておきます。 このように過去の経過を見ても、日中ガス田開発交渉の話が持ち上がった際、中国は何らかの圧力を加えていていることが分かります。 来月の野田首相訪中の際も中国は軍事的、外交的圧力を加えてくる可能性は高いということです。 野田首相には、日本の国益を預かる日本の代表として「日本の国益を守る気概はあるのか?」――自らに問いかけていただきたいと思います。 また、野田首相が気安く「増税」し、私たち国民の「血税」を惜しみなく中国に注ぐことを、日本国民は黙って見ていてはならないと思います。(文責・佐々木勝浩) すべてを表示する « Previous 1 … 19 20 21 22 Next »