Home/ 表奈就子 表奈就子 執筆者:表奈就子 幸福実現党・東京都本部江東地区代表 HS政経塾第5期卒塾生 若者の希望あふれる政治参加を促すために 2016.12.03 HS政経塾第5期生 表なつこ ◆若い世代の投票率を上げる主権者教育 日本では、とくに若い世代の投票率の低下が長年の問題となっています。 今年7月の参院選は、18歳選挙権が導入されてから初の国政選挙だったことで、多くの学校に「主権者教育」が導入されました。 調査では、8割以上の国公私立高で、昨年12月に配布された副読本「私たちが拓く日本の未来」という副読本が活用され、有権者になることの意味や選挙の具体的な仕組み、議員の役割などが教えられました。 参院選での実際の投票率は、18歳、19歳の10代は46.78%となりました(18歳は51.01%、19歳は39.66%)。これは20代の投票率(35.60%)、30代の投票率(44.24%)よりも高い結果です。 また、18歳と19歳の間にある12%近い投票率の差は、学校で主権者教育を受けたか、受けずに卒業したかの違いだと指摘されており、学校で「政治参加の意味」や「実際の政治・選挙の仕組み」を教えることの効果が見られたと言えます。 ◆民主主義を支える市民をつくる教育 近年、「シチズンシップ教育」というものが注目されています。 これは2002年にイギリスで必修化され、欧米諸国の学校教育への導入が広まってきています。シチズンシップ教育とは、民主主義を支える市民(citizen)となるために必要なことを教える教育です。 ◆欧米諸国の事例 (1) イギリス イギリスがシチズンシップ教育を導入した背景には、1990年代の若者の政治的無関心や投票率の低下、また暴力や犯罪行為の増加がありました。 同時に、移民の増加によって多文化社会になっていき、共通の価値観が薄まっていったことも問題とされていました。 イギリスでは、キーとなる概念(民主主義と公正、権利と責任、アイデンティティと多様性)や、キーとなるプロセス(意見表明や責任ある行動など)を基礎とし、実施方法は教育現場に委ね、学習内容ではなく学習の成果のみを厳密に定めました。 (2) ドイツ ドイツでは、政治的判断力と行動力をつけることを目的とし、さまざまな教科が政治と関連づけて行われています。 また民間政治団体によって「ジュニア選挙」が行われています。実際の選挙の争点などの教材を学校に配布し、政治や選挙に対する理解を深め電子投票を行います。 この投票結果は実際の選挙が終わったあとにインターネットで公表されるようです。 また、メディアの情報を鵜呑みにせず自分で考え判断し行動するための教育も行われています。 このような取り組みをしているドイツは、比較的高い投票率を維持しています。 ◆日本の事例 現在、日本の学校でもこういった取り組みが行われています。 たとえば神奈川県では、キャリア教育の一環として、モデル校を指定し「よき市民となるため、政治参加意識を高め、 社会や経済のしくみについて理解を深めるとともに、ボランティア活動などを通じて、積極的に社会とかかわり責任を果たそうとする力を育成」する目的でシチズンシップ教育に取り組んでいます。 モデル校では、総合的な学習の時間を取り、論理的思考能力、自分の意見を述べる力を養いながら、教科を超えて生徒が身につけた力の活用を意識した指導を行っているといいます。 例えば国語では、社会問題について考えて意見をまとめ、新聞への投書を行うなどの実践をしたり、実際の選挙に合わせて模擬投票を行う活動などをしているそうです。 この活動によって投票所の臨時職員として活動する生徒や積極的にボランティアに参加する生徒が誕生したといいます。 ◆若者の希望ある未来と、日本の希望ある未来を築くために 政治教育に関しては、教育現場の政治的中立をどのように定義するかなど、今後より深い研究調査が必要とされると思われます。 ですが、厚生労働省の調査によると、「社会のために役に立ちたい」と考えている子供の割合は2000年頃から上昇傾向にあります。 教育現場は、こういった若者の意識をより育て、伸ばしていくために、政治参加の意義を含めて社会の実情把握の仕方や社会との関係のつくり方を教えていくことが大事だと言えるでしょう。 国民主権を謳う日本では、日本を導く政治家を選ぶ国民一人ひとりが主役です。そのためには、一人ひとりの政治的教養と徳性の向上が必要です。 「人間一人ひとりは、神仏がつくった存在であるから尊い」と考える幸福実現は、道徳・宗教・歴史教育の充実で子供たちの豊かな人間性と愛国心を育みたいと考えています。 愛と寛容の精神を身につけ、未来に希望を持って政治参加していく若者輩出のために、今後も教育政策提言などを進めて参ります。 天皇陛下の生前退位と憲法9条―日本の政治家よ、今こそ高貴なる義務を果たせ 2016.08.16 HS政経塾第5期生 表なつこ ◆天皇陛下が「生前退位」の強いお気持ちを示唆 天皇陛下は、加齢によって、「国と国民のために活動し続ける」という象徴天皇としての信念を果たし続けることができなくなる懸念に対して、「生前退位」のお気持ちがあることを示されました。 このことについて、マスコミ各社が行ったアンケートでは、生前退位を容認する人が多数を占めています。 政府は、来月にも専門家などによる有識者会議を設置して、議論を始める予定です。天皇陛下の生前退位に対して国民の容認があることや、ご高齢である天皇陛下のご体調の観点からも、早急に結論を出す必要があるでしょう。 ◆国会の改憲議論に影響も ただ、天皇陛下が「生前退位」の意向を強く示されたことによって、安倍晋三首相が目指す憲法改正の論議に影響が出そうだとの報道がなされています。(8月11日(木)日本経済新聞など) 7月の参院選で、改憲に前向きな勢力が衆参両院の3分の2を超える議席を確保し、首相は9月の臨時国会から、改憲論議を始めようとしていました。生前退位を最優先課題として検討すれば、改憲議論に遅れが生じそうです。 天皇陛下の生前退位については、論点が膨大なので、今の天皇に限った特例法で対応するという手もあるでしょう。 ですが、このような話題は、本来、象徴天皇のあり方などを定めた憲法と、密接不可分な関係にあるものです。それは、先の大戦における日本のポツダム宣言受諾までさかのぼります。 ◆憲法9条と天皇制の切っても切れない歴史 ポツダム宣言は、先の大戦で日本軍の降伏を求めた文書です。日本の完全武装解除や、再軍備を可能とするような産業の禁止、また、しばらくの間、日本を連合国が占領することも規定されていました。 降伏するにあたり一番の問題は、「日本は古来より天皇が国を治め、国民はこれをたすけていく」という「国体」が護持されるかどうかということでした。 そこで、日本政府は、「この宣言は、天皇の国家統治の大権を変更するという要求を含んでいないという了解のもとに受諾する」という条件付きで受諾したのです。 そして、天皇の権限は占領軍の最高司令官マッカーサーの下に置かれることとなり、この占領時下、戦争放棄や、軍備と交戦権の否認、「国民の総意に基づく」と天皇の地位を規定した、現在の日本の憲法ができたわけです。 これが、天皇制の存続と、日本の平和憲法が、ある意味でバーター(取引)のようなものだったと言われるゆえんです。 ◆矛盾する状況にある天皇陛下のお立場 話を現代に戻します。 安保関連法案の是非に関しては国論も二分していました。 先に述べたとおり、この7月の参院選で、改憲勢力が3分の2を超えましたが、選挙戦では、改憲勢力の主体である与党自民党は、憲法改正の是非を有権者の皆さまに問うことをしませんでした。 平和憲法の制定と引き換えに「国民の総意に基づく」象徴としての地位にあり続けた天皇が、以上のような、国民の総意があると言えない状況で、平和憲法の根幹にかかわる「憲法改正の交付」をしなければならなくなる可能性がある。 これは、大きな矛盾だと言わざるを得ません。 ◆政治家は正々堂々と責任を果たせ 日本国憲法が公表された日、マッカーサーは憲法9条を指し、「これによって日本は本来その主権に固有の諸権利を放棄した」と発言しています。 日本はこのような主権のない状態をいち早く脱し、中国や北朝鮮の軍拡という、現実に迫っている国防の危機に自国で対処できる法改正を急ぐべきです。 ですが、この重大な法改正には、元首の地位が不明確である、今の憲法を改正する必要があります。 対外的に国家を代表する存在が誰かを明確にせずに、万が一軍拡を進める国々と戦争が起こってしまった場合、誰が責任を取るのか。 この点、自民党の憲法改正草案では、天皇を元首と規定しており、天皇陛下が政治責任や戦争責任を負う危険性をはらんでいると言えます。 皇室が2000年以上も連綿と続いてきた要素の一つとして、「天皇が直接政治を執らなかったこと」が挙げられると、明治天皇の玄孫である竹田恒泰氏は指摘しています。(『旧皇族が語る天皇の日本史』PHP新書) 天皇のお仕事とは、今回のビデオメッセージで天皇陛下ご自身がおっしゃっている通り、「国民の安寧と幸せを祈ること」です。 日々国民の幸せを祈ってくださり、清らかな日本の心を体現してくださっている天皇というご存在をお守りするためにも、政治家は現代日本に適合した「国体のあり方」を提示し、国民に信を問う必要があるでしょう。 また、政治家や首相が国民の安全を実質的に守る存在だと、その責任を明確に憲法に記す時期が来たと言えます。 ●幸福実現党HP 天皇陛下の「お気持ち」の表明を受けて(党声明) https://info.hr-party.jp/press-release/2016/3455/ 宗教立国・国家ビジョン https://hr-party.jp/policy/future-nation/ ●幸福の科学出版公式サイト 『今上天皇の「生前退位」報道の真意を探る』(大川隆法) https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1712 「核兵器使用」への共通認識を新たな安全保障の土台に 2016.05.10 文/HS政経塾5期生 表奈就子 ◆北朝鮮が「核保有国の立場」をPR 北朝鮮の金正恩第一書記が、第7回朝鮮労働大会において、「北朝鮮は責任ある核保有国だ」と発言したことが、8日のマスコミ各紙で報じられました。 金正恩氏は「米国による核戦争の危機を、強力な核抑止力に依拠して終わらせる」と強調。他方で、他の核保有国と対等な立場で、核の不拡散や非核化に取り組むことを表明しました。 また北朝鮮は、近く5回目の核実験を行う可能性があると、米ジョンズ・ホプキンズ大学が分析しています(5月7日日本経済新聞)。 北朝鮮が今後、核兵器という武力を背景にし、自らを「責任ある核強国」と正当化して国際社会に圧力をかけようとしていることは明白です。 ◆核兵器をめぐる国際的な矛盾 日本としては、核兵器で恫喝しようとする北朝鮮に黙っていることはできません。 しかし核兵器をめぐってはダブルスタンダードが存在し、国際的に矛盾があります。 核不拡散条約(NPT)という国際条約がありますが、これは「国連常任理事国の5か国以外は、核兵器の製造、保有をしてはならず、厳しい国際査察を受ける義務がある。しかし常任理事国は核保有国として、核兵器の自由な製造、保有を認められる」という内容です。 これでは核保有国の核兵器は永久になくならない可能性が高いのです。 ◆核兵器をめぐる日本の矛盾 また日本の立場にも矛盾があります。 一つは、唯一の核兵器被爆国として、核兵器の廃絶を訴えながら、アメリカの「核の傘」の下にいて安全を保っている矛盾。これは長年議論されてきました。 また、日本政府は核兵器について、「憲法9条は、自衛のための最小限度の核兵器の保有を禁止するものではない」としています。 ですが日本は先述のNPTに加盟していることや、原子力基本法で核の使用を平和利用に限っていることなどから、自衛のために核兵器を保有するには現状では矛盾があります。法改正と国際的な合意が必要です。 最大の矛盾は、日本は米国の核の傘の下にいることもあり、核兵器使用の善悪について一貫した主張をできないでいることです。 原爆投下は、1899年に採択されたハーグ陸戦法規で禁止されている民間人への攻撃であり、国際法違反だと言えます。 しかしオバマ大統領の広島訪問に際しても、日本政府は謝罪を要求していません。両国の友好関係を考えると難しい課題です。 ◆国際社会の危機を見据え、安全保障の本質を捉える 日本としては、国際情報を無視して核開発し続ける北朝鮮があることや、核兵器の保有を認められている中国が近隣の海洋に軍司基地を築いている周辺現状を見ると、戦争の勃発を防ぐには戦争を抑止する力が必要だと考えられます。 それは日本にとっては、米国との同盟関係の強化であり、核装備をも視野に入れた安全保障体制の構築です。 しかし、それには同盟国アメリカと、核兵器使用に対して共通の認識がなくてはなりません。 ◆核兵器に対する、「戦争をしない」ための考え方 昨今は核保有国も、他国より優位に立つために核兵器を積極的に誇示しようとする国と、そうでない国に分けられると考えられます。 そうすると優先順位は、核保有国の中でも、核兵器を笠に着て他国へ圧力をかける国を牽制するために、その他の国と共通の価値観を共有することが必要です。 それは、憎しみや恨み、差別に基づいて他国を打ち負かすために核兵器を使うことは正しくないという認識です。 これは核兵器を使用したアメリカが、戦後の日米の友好関係を鑑み、過去の経験を反省して発信してこそ説得力を持つものです。 難しい問題ではありますが、要は、核兵器を使う人間がどういう考えを持っているかという要素も勘案する必要があると認識することです。 日本は、憎しみや差別を越えて戦争を抑止することが新たな安全保障の基盤であり、それでこそより強く正義を実現できるという考え方を国際社会に広め、アメリカの反省と謝罪を国際的に讃えられるものにする必要があります。 幸福実現党は、実際に戦争を抑止し国民の皆様を守りながら、同時に世界の全ての国に住むあらゆる人の平和と幸福を実現する理想を掲げ、多くの国に理解を求めながら、平和主義国家日本の舵取りに責任を持ちたいと考えます。 緊迫する東アジア情勢――安全保障に貢献する原子力技術の見直しを! 2016.03.08 文/HS政経塾 第5期生 表 なつこ ◆北朝鮮が核の先制攻撃を示唆 3月7日、韓国で、アメリカ軍と韓国軍の定例の合同軍事演習が始まりました。 これに対して北朝鮮は前日の6日、合同軍事演習を非難する談話を発表しました。この演習を遂行するならば、米韓両国に無差別の核攻撃を実施するという、「正義の核先制攻撃」を実施する方針という内容です。 ◆高まる朝鮮半島の緊張感 毎年行われる米韓合同軍事演習は、今年、北朝鮮の水爆実験や長距離弾道ミサイルの発射を受けて、ゲリラ戦主体の戦闘を想定した過去最大規模の演習となっています。 米軍の原子力空母や最新鋭のステルス戦闘機の派遣、海から上陸し北朝鮮の内陸部へ進撃する訓練など、例年より実戦的な演習が行われるようです。 また韓国メディアは、北朝鮮から韓国へ核攻撃の兆候が確認された場合には、米韓両軍の特殊部隊が北朝鮮国内の核やミサイルの施設を破壊・制圧する訓練や、金正恩第一書記などを暗殺する訓練も行うと伝えています。 北朝鮮は、こういった訓練の内容に対し、「侵略の性格を露骨にさらけ出した危険千万な戦争行為だ」と批判し、「敵に対するわれわれの軍事対応をすべて先制攻撃の方式に転換する」という報道官談話を発表しました。 攻撃的な発言は北朝鮮としては珍しくありません。例年、北朝鮮は、米韓両が毎年行う合同軍事演習に対して、強く反発しています。 アメリカでは、核をミサイルに積めないのに脅しとして言っているのではと見ている専門家もいます。 しかし、大川隆法幸福実現党総裁は、先の水爆実験では爆発規模の大きさから「核の小型化に成功した」と分析しており、日本政府もそのように考えています。 ◆中国やロシアの反応は? 核に関する国際情勢は、北朝鮮以外の周辺国家でも動いてきています。 アメリカと韓国が、地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を韓国へ配備する実務協議を開始しました。これについては、北朝鮮のほか中国やロシアも、自国の安全保障を脅かすと反発しています。 中国政府は「THAADが自国の安全保障と核抑止力を損なうものだ」と批判、ロシアと協調路線をとって反THAAD体制を取り始めたとされています(3月8日付中央日報日本語版)。 以上のように、北朝鮮の核実験をめぐって、核兵器を保有する国同士が対立する、という図式が現れてきつつあります。 ◆日本は今どういう状況? 先日、国連安保理の対北朝鮮経済制裁が採択されました。国際的には、経済制裁は戦争行為の一つと認識されます。 緊迫する東アジア情勢の中で、日米同盟を基盤とし、日米韓の共同防衛体制を堅持するべき日本としても、さらに独自の安全保障体制を考えなくてはならないのではないでしょうか。 日本の安全保障体制は極めて脆弱です。 沖縄米軍普天間基地の移設については、工事の中止でいったん和解しました。これからまた国と沖縄の協議が重ねられる予定で、対立は解消していません。 日本の安全を守る抑止力の機能がある米軍基地について、問題を抱えているという状態です。 また、中国や北朝鮮が、アメリカまで届く核ミサイルを保有していると考えられる現状では、アメリカ本土も脅される可能性があるので、日本はアメリカの「核の傘」に頼りきることはできません。 ◆日本は自国の有する原子力技術に十分な知識を こういった現状を踏まえると、日本も核装備を検討することが急がれます。しかし、日本の原子力アレルギーは根強く、こういった検討には時間を要すると考えられます。 したがって、今日本が有している原子力技術が、潜在的に抑止力となっていることから理解をしていく必要があります。 日本は、核燃料の再処理技術を有しています。日本はこの技術を平和利用していますが、これは軍事用の再処理と共通する技術なので、世界では、日本はもう核兵器を所有しているのではとみている国も多いのです。 つまり「潜在的核保有国」ということです。この認識によって日本は守られているという面もあるのです。 日本は、自国を防衛するために、「悪の暴走を止め、平和を守るための核技術の利用」という考え方があることを広く認識するところから、始めることが必要ではないでしょうか。 憲法改正、今こそ根本的議論が必要 2016.01.12 HS政経塾第5期生 表なつこ ◆今年、与野党間で憲法改正が大きな論点に 本年1月10日のNHK日曜討論で、安倍総理は、憲法改正に積極的な政党で改正の発議に必要な3分の2の議席確保を目指したいと述べました。 憲法改正を目指す幸福実現党としては、このような方向は大きく歓迎したいと考えます。 ◆憲法とは 憲法とは国家統治の基本を定めたものと言われます。 その内容として、政治権力を制限して人権を守るという「立憲的意味」が重要だとされています。 「立憲」という言葉がなぜこんな意味を持つと言われるかというと、「近代の始まりの一つとされるフランス革命が、王や貴族の統治に対して民衆の権利を求めて憲法を制定したから」という、西洋史の考え方に基づいています。 「憲法を立てて国を運営する」という字面である「立憲主義」という言葉は、西洋史的な意味に従えば、「一国の憲法はその国の国民の自由意思に基づいて制定され、かつ、国民個人の権利が守られる内容でなければいけない」ということになります。 今回は以上の意味をふまえ、日本国憲法改正の根本的な部分について説明いたします。 ◆占領期間に、GHQに作られた憲法 1945年(昭和20年)のポツダム宣言の受諾による終戦から、1951年に調印したサンフランシスコ講和条約が翌1952年(昭和27年)に発効されるまでの7年間が、日本が連合国に占領統治されていた期間です。 占領開始一カ月後の9月、米大統領からマッカーサーに与えられた「降伏後における米国の初期の対日方針」には、「究極の目的」として「日本国が再び米国の脅威となり又は世界の平和と安全の脅威となることなきよう保障すること」とありました。 マッカーサーはこの指示に従い、日本の牙を抜こうと考えました。10月にはマッカーサーは当時の国務相近衛文麿に対し、大日本帝国憲法変更を指示しました。 1946年2月8日、日本政府は憲法改正要綱を提出しました。 しかしその一週間前に毎日新聞がスクープした日本政府の憲法改正案を見ていたマッカーサーは、これを現状維持的だと判断。GHQ民生局に指令を出して6日6晩の超特急で独自の憲法草案をつくらせます。 この指示の内容に、現在の9条の元となる「国家主権の発動としての戦争の廃止」という規定が入っていました。 そして、GHQは日本の改正案を却下してマッカーサーの指示のもとつくった憲法草案を提示、この憲法草案を受け入れない時は天皇の御身柄を保障しかねると明言し、自らの持つ原子力の力を脅迫的に示唆したといいます。 ◆徹底した検閲で、総司令部の憲法作成という事実を秘匿 また、GHQは日本国内で徹底的に検閲を行いました。 民間検閲支隊(CCD)が検閲した内容は多岐にわたりますが、以下の内容も削除または発行禁止の対象とされていた資料が残っています。 「SCAP(連合国最高司令官または連合軍総司令部)が憲法を起草したことに対する批判」 「検閲制度への言及」 日本の憲法が他国の手でつくられたことを隠すことが大目的でしたが、そのために行う検閲が行われていること自体を検閲して隠した上で実行する、という、実に厳重な取り締まりようだったのです。 ◆憲法改正の必要性を正直に見よう 以上の経緯を見てみると、日本国憲法は「一国の憲法はその国の国民の自由意思に基づいて制定されなければならない」という憲法の原則に反していると言えます。 また、「米国の脅威となることなきよう」という方針のもとに制定されている条文では、個人の権利や自由を守るための国家権力が個人を守れない事態が発生しかねず、立憲主義の原則に反することにつながります。 憲法改正の議論には、以上のような成立過程を国民に周知させることと、現在ただいま日本国民の自由や権利を守るために欠けているものがある事実を見ることが必要です。 ◆それぞれの「正義」を理解し、重層的判断を そこで気をつけるべきは、憲法学は、今ある憲法の欠陥を指摘し手直しを言うべき立場にない、ということです。 それは立法を仕事とする議員たちの仕事であり、司法は法律を解釈して争いを解決するのが仕事であって、議員の仕事に口出しするのは三権分立の精神を損なうという考えです。 この態度自体は、決められたルールを守り秩序を維持するために不可欠な態度でしょう。 ただ、ルールを守ることだけが安定をもたらす方法ではないことも確かです。 「不殺生」を説いたインドの釈迦教団が武力によって滅ぼされたように、状況によってはルールを作り変えて対応することが安定につながる場合もあるのです。 したがって大事なのは、「憲法学」「国際法学」「国際政治学」などが、それぞれ何を見、何を守ろうとしているかを理解した上で、できうるかぎり多くの人が幸福を享受できるような結論を出していくことです。 ◆真の憲法は「すべての人々の幸福を願う神仏の御心」から始まる このように正義とは何かを考えつつ憲法を見ていくことによって、「権力を縛り個人を守るのが憲法」という西洋史的な考え方とは別に、「すべての人々の幸福を願う神仏の御心」という法もまたあるということが見えてくるのではないでしょうか。 【参考文献】 ・大川隆法『正義の法』(幸福の科学出版) ・佐藤悠人『理想の憲法を求めて「新・日本国憲法試案」の研究』(HSU出版会) ・芦部信喜『憲法』(岩波書店) ・江藤淳『一九四六年憲法―その拘束』(文春学藝ライブラリー) ・長谷川三千子『九条を読もう!』(幻冬舎新書) もんじゅ見直し勧告、資源小国日本としての受け止め方 2015.11.17 文/HS政経塾 第5期生 表 なつこ ◆原子力規制委による、「もんじゅ」見直し勧告 11月13日、原子力規制委員会は、福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」について、今の日本原子力研究開発機構に代わる運営主体を探すように、文部科学大臣に対して異例の勧告をしました。 回答期限は半年後です。文科省は新たな運営主体を検討するとしていますが、見つからなければもんじゅは廃炉を含めて抜本的な見直しを迫られることになります。 もんじゅは研究段階ですが、日本のエネルギー問題の救世主になりえる存在なので、この問題についてはよく考える必要があります。 ◆「高速増殖炉もんじゅ」についておさらい もんじゅは、使用済み核燃料を再利用しながら増やし続ける「核燃料サイクル」の中核を担う研究開発施設です。 原子力発電の燃料はウランですが、じつはウランのうち発電に使えるのは0.7%だけで、99.3%は燃えなくて発電には使えません。 しかし、この99.7%のウランに中性子を一つ加えると燃えるプルトニウムに変わり、発電に使えるようになるのです。 この技術によってウランを今より60~70倍も有効に利用できるので、日本は数世紀にもわたって使えるエネルギーを確保できることになります。 もんじゅはこの技術を実用化するために研究しています。 「国家の血液」と言われるエネルギーの96%を海外からの輸入に頼っている日本にとって、自国の生命を他国に預けずに済むようになる、まさに「夢の技術」です。 しかしもんじゅは95年12月にナトリウム漏れ事故を起こし、核燃料の安全性自体には問題がなかったもののその情報を隠ぺいしたことが批判され、運転を中断。 組織の改革を経て2010年に運転を再開しましたが、装置の落下事故があり、おととし原子力規制委員会が試験運転を禁止する命令を出しました。 その後も多数の点検漏れが見つかるなど安全管理上の問題がある、というのが規制委の主張です。 ◆もんじゅが廃炉になると何が問題なのか? 今回の件で、もんじゅが廃炉になった場合の問題点を2つ挙げてみます。 (1)核廃棄物処理への高い可能性を放棄することになる 昨年政府は、もんじゅを高レベル放射性廃棄物を減らすことに主眼を置いた減容炉と位置づけ、「高速炉」の研究をすることにしていました。 もんじゅは原子力エネルギーで問題とされる廃棄物を減らしてくれる可能性があるのです。地層処理の研究は進んでいますが、さらに処理問題を前進させたいなら、この技術の開発にこそ注力すべきだと考えます。 安易なもんじゅの廃炉は、見えている廃棄物処理の可能性を一つ潰すことになります。 (2)平和主義国家としての地位が揺らぐことになる 日本は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理ができる、唯一の非核兵器保有国です。 日本はすでに約50トンものプルトニウムを保有しており、高速増殖炉という核燃料サイクルがなくなれば、国際社会から核兵器への転用を疑われかねません。 また逆に、使用済み核燃料の再利用がないのなら、日米原子力協定でのアメリカとのつながりに陰りが差し、日本の安全が揺らぐ可能性があります。 ◆もんじゅ運転は日本人全員に必要 原子力エネルギーは、経済、政治、外交、軍事と多岐にわたる問題です。とくに日本にとっては、最初に指摘した通り、現時点で「国家の血液」を自分で生み出せる唯一のエネルギーです。 民間企業に高速増殖炉の運転経験はなく、求められる技術レベルの高さを考えると、日本原子力機構以外に運営を担える主体はいないのではないでしょうか。 原子力機構の児玉理事長は「非常に幅の広い仕事をしており人材が豊富。しかしシナジー(相乗効果)がない。情報とか設備のシナジーをもっとやれば、1+1が2以上になる。ただ実行が追い付いていない」と発言しています(2015.10.22産経ニュース)。 誇り高く、自立した国として核の平和利用を主導していける国になるために、もんじゅ運営の問題解決について、官民両方の視点から日本全体で考えていく必要があるでしょう。 ≪参考文献≫ The Liberty Web「もんじゅ」の見直し勧告はなぜ理不尽なのか? http://the-liberty.com/article.php?item_id=10449 産経ニュース 2015.09.11「日米原子力協定 継続は安倍首相の課題だ」 http://www.sankei.com/politics/news/150911/plt1509110005-n1.html 産経ニュース 2015. 10.22「『もんじゅ』でまたも不祥事 「極めて異常」と規制委は怒り心頭 ついに廃炉カードもちらつかせ…」 http://www.sankei.com/premium/news/151022/prm1510220004-n4.html 世界経済の安定には「成長産業」が必要! 2015.09.29 文/HS政経塾第5期生 表なつこ ◆原油安で混乱する国際経済情勢 中国の景気減速によって、投資家の真理が冷え込みこれまで需要が見込めると思われていた原油価格が暴落しています。中東のみならず世界の原油産出国の景気も悪化させ始めています。 他方、原油安は日本にとってはメリットがあります。日本は世界第3位の原油消費国、世界最大のLNG輸入国であるため、原油価格の安さは貿易収支の改善などに寄与します。ガソリン代や電気料金の下落にもつながります。 その反面で石油の元売り業など資源ビジネスには苦境となります。 また、短期的にはメリットがあるものの、原油安が長期化すれば、投資の減少によって石油生産量が減ることが考えられます。 石油開発は、探鉱から生産まで3~5年ほどかかるため、開発が停滞すれば5~10年後に供給が不足して、油価が高騰する危険性もあるのです。このように、原油安は世界を混乱させる可能性を含んだものです。 ◆消費が低迷していては国内経済の成長も見込めない 安倍総理は9月24日の記者会見で、GDP(国内総生産)を600兆円に行き上げることを今後の目標に掲げました。ですが、9月8日発表の2015年4~6月木の実質GDPは、3四半期ぶりのマイナス成長となっています。 この原因は、輸出の悪化と個人消費の減少が原因だと言われています。輸出の悪化は、中国経済の成長鈍化という外部要因が強いため、ある意味仕方がないと言えますが、GDPの6割を占めている個人消費が低迷していることは不安材料です。 ここを改善しない限り、GDP600兆円は実現できないでしょう。 GDP公表後に出された各シンクタンクの見通しでは、7~9月のGDPはプラス成長に転じるという予測が主流ですが、日本総合研究所の枩村秀樹氏の観測によると、これは猛暑効果やプレミアム付き商品の使用によるもので、消費の押し上げ効果はわずかであり一過性のものだと指摘されています。 さらに、食品や身の回り品など家計に身近な品目は値上がりしており、内閣府の調査では家計の85%が1年後に物価が上昇すると予測しています(9月26日の日経新聞)。消費税10%への再増税の問題などもあります。 値上がりと合わせて所得も増えているなら問題ありませんが、所得が上がらないなか物価がさらに上昇すると考える人が増えれば、節約志向が強くなり消費が低迷することは明らかです。 アベノミクス開始以降、名目上の所得は上昇していますが、物価の上昇を上回っていないため、実質の所得はまったく増加していません。 先述の枩村氏は、「景気回復の恩恵は家計部門には全く波及しておらず、ここで好循環のメカニズムが途切れてしまっている」と指摘しています。これは、幸福実現党がアベノミクスは失敗すると主張していた通りの内容です。 個人消費を回復させるには、国内産業を活性化させ企業が利益を上げ、それによって雇用者の賃金上昇を実現させる必要があるでしょう。 翻って日本の産業界を見てみると、中小企業の多くが、電気料金が上がってもその値上がり分を価格に転嫁できず、人件費削減などで対応しています。 電気料金は、「燃料費調達制度」で原油などの輸入費用が電気料金に転換される仕組みで、電気の使用者も燃料の輸入代を負担しています。 現時点では原油価格は安くなっており日本にはメリットもありますが、長期的に見ると原油価格は上昇し続けてきたもので、さらに国際情勢の変化に応じて乱高下する不安定なものです。 ◆変動する経済環境に合わせて何が必要か考えよう! 電気料金の安定化には、原発の早期再稼働が有効です。また放射線を無効化する技術や使用済み核燃料を再利用する技術の実用化などは、人類が必要とする成長産業だといえるでしょう。 日本は、国内の可処分所得を増やし、消費拡大によってGDPを成長させ、新たな成長産業を創っていくべきです。 日本の成長産業が新たなパイを創出することによって、世界の経済的混乱も収束させることができるよう、大きな志で成長産業の育成を訴えていきたいと思います。 エネルギー供給の多様化を図り、危機に強い国家をつくろう! 2015.07.28 文/HS政経塾第5期生 表 なつこ ◆先の大戦の開戦の理由は何だった? 本年は戦後70年にあたる節目の年です。 各国戦没者の方々に哀悼の心を捧げ、祖国への愛情を持って戦った方々に感謝を表し、悲しい経験が再び繰り返されないように教訓を学ぶことが、私たちのするべきことだと考えます。 では「そもそも先の大戦がなぜ起こったのか?」という切り口から考えてみると、大きな原因の一つに、エネルギーの危機がありました。 ◆石油を全面禁輸された日本 欧州列強による植民地支配が当たり前だった弱肉強食の当時の国際情勢の中で、日清・日露戦争に勝利した日本は、石油の約75%をアメリカからの輸入に頼っていました。 アメリカ国内では世界に対して力を持ち始めた日本人移民への反感があり絶対的排日移民法が制定されました。 その中で、ヨーロッパでドイツと対戦していたイギリスは、アメリカに加勢してもらうために、「アメリカが日本と戦争すれば、アメリカは日本と同盟関係にあるドイツとも自動的に戦うことになる」というシナリオを考え、対日石油輸出の全面禁止を画策したのです。 国民の生活・経済・国家防衛など国家の運営に必要な石油が入ってこなければ、日本は必ず開戦するだろう、という作戦でした。 75%もの石油をアメリカに頼っていた日本は、なんとか石油禁輸の解除がなされるよう働きかけましたが実現せず、開戦へと向かっていった、という経緯があります。 ◆似通っている当時と今の日本のエネルギー構造 以上の歴史を振り返ると、エネルギーを他国に頼らず自給できていれば…と考えてしまいます。しかし、これは過去の問題ではありません。 日本は今も昔も資源小国であり、エネルギー資源の96%を輸入に頼っています。 当時は石油の75%をアメリカからの輸出に頼っていましたが、現在の日本はエネルギーの90%以上を、中東からの石油・石炭・天然ガスなど化石燃料の輸入で賄っています。 また東日本大震災後、原子力発電所の稼働がストップしてからは、電力の中でもこれらの化石燃料による火力発電の比率がより高まっており、その比率は90%近くにも及びます。 つまり、日本はエネルギーの9割を輸入に頼り、そのうち9割を中東に頼り、そのエネルギーでつくる火力に国内発電の9割を頼っている、という構造になっているのです。 ここに、今も昔も変わらない日本のエネルギー安全保障の脆弱性があると言えるでしょう。 ◆これからの日本のエネルギー安全保障を考える 経済産業省は、2030年時点で実現されることが望ましいとされる原子力や火力、水力などの「電源構成(エネルギーミックス)」を公表しました。 原子力の比率は「20~22%」と東日本大震災前より低く抑えて、太陽光などの再生可能エネルギーを「最大24%」とし原子力を上回る普及を目指しています。 しかし、再生可能エネルギーに大きく依存するエネルギー政策は現時点では効率的とは言えないため、結局、最も効率的で環境上も望ましい自律的エネルギーである原子力エネルギーを拡大させることが重要だと言えるでしょう。 原子力エネルギーを運営管理するに当たっては、福島原発や40年廃炉の問題、放射線廃棄物処理をどうするか―など、問題が山積しているため、2030年時点で20~22%の稼働を実現できるかどうかには疑問符が付きます。 原子力はコストが低く国民経済に与える恩恵は大きく、環境への影響も最小限、高い技術の保有が国際的な競争力を高め、さらにエネルギー自給率も高めてくれるものです。 その運転再開までを埋めるため、当面のうちは化石燃料のうち環境に優しい天然ガスを、安定的に確保・活用することが最適なのではないかと考えます。 イギリスの元首相チャーチルが海軍卿時代に発言したように、「供給の安全は多様化の中のみにある」ということを考えるなら、日本は中東以外に、複数のエネルギーの供給先を確保しておくべきでしょう。 歴史に学び、世界を見つめ、平和と安定のうちに世界が繁栄していくよう、着実な歩みを重ねる日本であるように、私も努力したいと思います。 国防で自由を守ろう!――アジアと日本の危機 2015.06.03 HS政経塾第5期生 表なつこ ◆中国軍幹部が、埋め立てている人工島は「軍事目的」と公式表明 今年のアジア安全保障会議が、5月31日に終了しました。 最大の焦点は、中国による南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島の埋め立て問題でした。 アメリカのカーター国務長官が5月30日に埋め立ての即時中止を求めましたが、中国人民解放軍の孫建国副総参謀長は、最終日の31日、岩礁埋め立てや施設の建設は「中国の主権の範囲内の問題」とし、中止要請には一切応じない姿勢を公に明らかにしました。 さらには、埋め立てと施設建設について「軍事防衛上の必要性を満たすため」と明言。岩礁埋め立てについて、中国軍幹部が公の場で軍事目的だと表明したのは初めてとみられます。(5/31産経ニュース) また中国は5月26日発表の国防白書で、海上戦力を強化する戦略を改めて明確に打ち出しています。 中国軍では、習近平国家主席から、海洋の要衝を先んじて押さえる「占領海洋」の内部方針も出ており、埋め立て以外の軍事拠点設置にも乗り出しています。(6/1読売新聞) ◆強まる中国の脅威 さらに中国は、南シナ海で領有権を争うベトナムやフィリピンに対して、「小国は挑発的な行為を取るべきではない」と強圧的な批判をしました。(6/1朝日新聞) 軍事的・経済的に巨大となった中国のこれらの発言から、アジアの海洋諸国にとっては、中国以上の軍事的な抑止力を持たない限り、中国による軍事進出という危機が避けられない状況が迫っていると言えるでしょう。 これは日本でも同じことです。日本で一番中国に近い県は沖縄で、沖縄県の尖閣諸島を中国が自国領だと言っているのは皆様ご存じのとおりです。 中国の方針が現状のままならば、沖縄に中国以上の軍事的抑止力がない限り、中国は沖縄県でも南シナ海と同じことをすると予想されるのです。 ◆日本を守る抑止力としての駐沖縄米軍 日本は、世界第6位の海洋国家です。石油を運ぶシーレーン、海上の防衛はとても重要な要素です。これまで、日本の広い海を日本だけで守ることは難しく、アメリカの力に頼ってきました。 駐沖縄米軍の主な役割は、北朝鮮による朝鮮半島有事、中国による台湾海峡有事・尖閣諸島有事への抑止と対処とされています。 沖縄からなら、米軍がこれらの地域へ1日で駆けつけることができるためです。 ◆日本の防衛体制の現状は? このように在日米軍は、アジアの紛争に対する抑止力となっていましたが、現在はテロとの戦いで力が弱まったため、中国の力による一方的な現状変更の試みを許してしまったというのが、現在の南シナ海埋め立て問題の原因だと言えます。 これらの状況を踏まえ、日本では現在、自国を応分の負担で守る形、力の弱まったアメリカを補う形という双方の観点から、安全保障の法整備が進められています。 頼るばかりではなくアメリカと一緒に自国を守り、アジアの平和を脅かす者への抑止力になろうというのが、今の日本の考えでしょう。 ◆地方自治の範疇を超えた翁長知事の動き ですがその一方で、沖縄県の翁長雄志知事は、5月27日から6月4日の間、米軍普天間基地の辺野古移設反対を直接伝えるため、アメリカを訪問中です。 在日米軍については住民の方に十分なご納得をいただくことは必要でしょう。そのために、国が誠意ある意見交換を繰り返し、住民の皆様と相互理解を深めることが重要です。 ですが国民全員がかかわる問題である安全保障で、国同士が約束した取り決めについて、県知事が相手国まで反対表明しに行くというのは知事の分限を越えていると言わざるを得ません。 ◆オールジャパンで自由を守ろう! 中国国内では政府への批判は認められず、もちろん対外的にも自国の主張以外を受けとめるという民主主義的考えがありません。今回のアジア安全保障会議でもその態度は変わりません。 沖縄に米軍がいなくなれば喜ぶのは中国で、その中国は多様な意見を認めない国家体制を取っているのです。 沖縄の米軍移設反対を民意としてそれが通ったとしても、その結果は「民意を抑えつける中国の政治体制に組み込まれてしまうこと」になりかねません。 「国防で一人ひとりの自由を守る」ことを多くの方からご理解いただき、オールジャパンで国防に取り組みたいと考えます。 まだ見ぬ若者の力を政治に反映し、発展する日本をつくろう! 2015.04.06 文/HS政経塾 第5期生 表 奈就子(おもて なつこ) ◆高校生も政治参加できる! 選挙の投票権を持つ年齢を、現在の20歳以上から18歳以上へ引き下げる公職選挙法改正案が、今国会で成立する見込みです。 早ければ来年2016年夏に予定されている参院選から、良識の府の一員にふさわしいのは誰か、18歳なら高校生でも一票を投じることになります。 これによって、日本の若者が政治に参加する間口が広がると考えられます。世界的には、18歳から選挙権を与えられる国は実に9割の国や地域におよびます。 ◆18歳選挙権で危惧される問題点と期待 しかし、日本の若者の政治参加の現状はとても厳しいものです。昨年12月に行われた衆院選における20代の投票率は、年代別でもっとも低い32.58%でした。 この現状を改善しなければ、選挙権を18歳に引き下げても投票率は低いまま、ということになりかねません。 少子高齢化や年金制度の問題、個人消費の伸び悩みなど、乗り越えるべき課題は山積みですが、若者の感覚を取り入れること、実際に若者が求めることは何かを知ることによって、今までとは違う視点の解決法も出てくるのではないでしょうか。 だからこそ、若者の政治参加を歓迎するべきだと考えます。 ◆なぜ若者は政治参加しないのか? 政治活動をしているとき、ある若者から「未成年のときには『未成年を政治にかかわらせてはいけない』と締め出されるのに、20歳になったら手のひらを反して『若者が政治に関心を示さない』と言われるのは心外だ」という声を聞きました。 このような、若者の政治参加への動機付けがうまくなされていない理由として、1969年に文部省から出された「高等学校における政治的教養と政治的活動について」という、高校生の政治活動が望ましくないという内容の通達が影響しているという指摘があります。 しかしこの通達が出された背景には、当時、沖縄返還や安保闘争など過激で暴力的な政治活動が頻発していたという背景があったことを押さえておくことが必要です。 現在ではむしろ、学生の政治的関心を醸成する教育や取り組みが必要でしょう。 そのために投票所を大学内に設ける、疑似投票を設けて選挙の雰囲気を知ってもらうなどの取り組みも、すでに始まっています(2015年4月2日朝日新聞「若き一票 キャンパスで」)。 また、実際に議員が小学校や中学校に出向き政治や自身の役割を語るなど、政治家とのふれあいの機会を持つことによって、早いうちから政治に対する具体的イメージを持ってもらうことも必要ではないでしょうか。 またその際は選挙の公平性を保つための取り決めも必要でしょう。 ◆政治参加は個性ある自分たちの可能性を表現すること 選挙年齢を18歳に引き上げると新たに約240万人が選挙権を得ることになります。ここで私たちが認識しておくべきことは、「政治参加の意義」だと思います。 政治学者のハンナ・アーレントは、政治の最高の理想を「自由の創設」だとし、政治の場である「公的領域は、人々が、他人と取り換えることのできない真実の自分を示しうる唯一の場所」であると言っています。(『人間の条件』p.65) 政治に参加することによって、社会に関わる唯一の自分という存在に誇りを持ち、自分たちの暮らす場所をもっと愛し、もっと良くしていこうという公共心が養われていくことでしょう。 政治に参加する若者が増えるこの機会に、「より良い国をつくる自分たちの可能性を信じよう!」ということを訴えたいと思います。 多くの国民の皆様が自分らしく元気に働いて国が繁栄するという、希望の持てる魅力的な日本のビジョンを示すべく、努力してまいります! すべてを表示する « Previous 1 2