Home/ 及川幸久 及川幸久 執筆者:及川幸久 小さな政府で成功した日米の事例とは?【前編】 2019.11.07 本日は、「小さな政府で成功した日米の事例とは?【前編】」をお送りいたします。 (広報本部) 小さな政府で成功した日米の事例とは?【前編】 https://www.youtube.com/watch?v=QVLc59tI2w8 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆税金を使わない大規模なインフラ投資の実現 これまで、「なぜ小さな政府なのか」について述べてまいりましたが、今回は、「小さな政府」をアメリカの具体例で説明致します。 前にもアメリカの減税推進団体ATRの会長であるグローバー・ノーキストという方を紹介しました。 数年前に、アメリカの大統領選挙やっている時に、ワシントンでノーキスト会長と話す機会がありました。 トランプとクリントンが一騎打ちをやっている時で、その時は間違いなくヒラリーが勝つだろうと言われていた時です。 ワシントンにいる政治関係者のほとんどが、共和党の人でもトランプを否定していました。 しかし驚いたことに、ノーキスト会長は「間違いなくトランプが勝つ」と言い、その理由は、「減税を言っているのはトランプだけだから」というものでした。 そこで私は、ノーキスト会長に次のように質問しました。 「トランプは減税を公約にしながら、交通インフラに大規模な投資をすると言っています。大規模なインフラ投資は、間違いなく増税につながるので、これでは共和党の支持が得られないのではないですか」と。 これに対して、ノーキスト会長は、「トランプが言う、大規模なインフラ投資というのは税金投入ではない。だから増税にはならない」と答えました。 では大規模なインフラ投資をするための、そのお金はどこから出てくるのでしょうか。 ◆ゴールデンブリッジの例 大規模なインフラ投資を税金を使わずに実現した例として、サンフランシスコのゴールデンブリッジがあります。今ではゴールデンブリッジはサンフランシスコで一番人気のある観光地になっています。 ゴールデンブリッジの工事は1933年に始まり1937年に完成しました。この時代は世界大恐慌で、1929年から、なんと10年以上も景気低迷が続いた時期です。 この時期に、サンフランシスコのある銀行と民間企業4社が、民間の資金だけで造ったのがこのゴールデンブリッジです。この時、自治体は補助金を一銭も出しませんでした。 官は許可をだし、民間企業だけで橋などを造ることをPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)と言います。日本語で言うと「官民連携」です。 これ以来、アメリカでは官民が連携(PPP)して、必ずしも税金を投入しないで、橋や道路を造ったりするようになりました。 インフラへの大規模投資に、一体誰が資金を提供したのか。それが例えば次のようなところです。 アメリカ最大の公的年金基金であるカリフォルニア州の職員退職者年金基金、通称カルパース(CalPERS)です。 世界最大の公的年金基金は日本の公的年金基金なのですが、世界的に有名なところはこのカルパースです。 カルパースのような大手年金基金は、国1個分くらいのお金持っており、株とか債権だけではなく、大規模なインフラにも投資しています。インフラ投資は長期運用ができて、着実にリターンがあるからです。 このように橋や高速道路などニーズがあれば、PPP による税金を使わないインフラ投資が実現できるのです。 ◆サンディ・スプリングスの例 このPPP で、アメリカで特に有名になったのが、アメリカ南部のジョージア州アトランタの北側にあるサンディ・スプリングスという市です。 この地域は特に土地の税金が高かったため、市民たちは独立して民間で町を運営すると決めました。 どんな町になったかというと、市長は1人、市会議員は6人。市の職員はわずか9人です。人口は9万人ですが、昼間の人口は大きな企業があるので20万人ぐらいになります。 ちなみに日本は人口9万人の市だったら、市会議員は20人くらいではないでしょうか。 同じ規模の市であればコストは約5000万ドルかかるところですが、サンディ・スプリングスは5つの民間企業に行政サービスを任せ、そのコストが1700万ドル。わずか3分の1です。市が直接行っているのは警察と消防署ぐらいです。 だから安い行政コストで運営でき、かつサービスのクオリティはものすごく高いわけです。 その結果、この街には全米だけでなく世界中の地方自治体の人たちが視察にやってきています。 (つづく) なぜ増税しても財源が足りないのか?【後編】 2019.11.03 本日は、「なぜ増税しても財源が足りないのか?【後編】」をお送りいたします。 (広報本部) なぜ増税しても財源が足りないのか?【後編】 https://www.youtube.com/watch?v=7am60ZTUV8s 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆どんな国でも所得税は15%以下でいい 前回、経済を強くするためには政府はできるだけ規制や干渉をすべきではないことを申し上げましたが、規制や干渉の一番象徴的なものが「税金」です。 政府は税金によって民間をいくらでも規制できる。その税金こそ制限すべきであるとハイエクはこう言っています。 「どんな国でも所得税は15%以下でいいはず」だと。 ハイエクがかつて来日した際、当時の大蔵省の官僚に、「所得税は15%以下でいいはず、いや10%でいいはず」だと話したことがあります。 それに対しての大蔵省の官僚は、「国民の皆さんから取らせていただいたら、所得税10%は入りません。7%で結構です」と即座に答えたそうです。 今の日本のGDPが約500兆円で、GDPを日本の所得の合計の数値と考えたら500兆円に10%の税率だったら50兆円の税収があるはずです。 実際に所得税の税収は20兆円もありません。法人税を加えても35兆円くらいです。 ハイエクはこの時、「抜け道なしに税金を10%にすると、日本人がのびのびする」とも言っています。 抜け道とは、「控除」のことです。「控除」を止め、どんなお金持ちであっても10%しか取られない。 10億円稼いでいる人は、1億円の税金を払ったら、後は税務署がやってこない。もうお互いすっきりしているので、税務署が追ってくることもない。 そうすると、日本人が「のびのび」する。これが一番重要なことです。 ◆減税で「社会のムード」を変える ハイエクはなぜ、「小さな政府」にすべきだと言い続けたのか。その答えが「社会のムードを変える」ことです。 考えてみると30年前のバブルの時代は積極的で明るい社会のムードでした。 しかし、バブルがはじけてこの30年間、未来に対して希望を持てなくなってしまったというのが、今の「社会のムード」ではないでしょうか。 「社会の空気」と言ってもいい。この空気というものは目に見えませんが、しかし人々の心を支配し、人々の心を動かす最も強い力を持っています。 この「社会のムード」を変えて、日本人の心を自由にする、のびのびすることによって、日本の経済は真に復活するはずです。 ◆西郷南洲の遺訓――税金を少なくして国民生活を豊かに 明治時代の元勲西郷南洲の『西郷南洲遺訓』の中の13訓にこういう言葉があります。 「税金を少なくして国民生活を豊かにすることこそ国力を養うことになる。だから国にいろいろな事柄が多く、財政の不足に苦しむことがあっても、税金の定まった制度を守り、上層階級の人々をいためつけたり、下層階級の人たちをしいたげたりしてはならない」 この言葉は光り輝く真理だと思います。 金持ちや大企業を優遇すべきじゃないと言って、上層階級の人たちを痛めつけても社会は良くなりません。 ましてや消費税という庶民を痛めつける税金をどんどん上げ、下層階級の人たちをしいたげてもいいことは何もありません。 それでは、「社会のムード」は、ますます悪くなるだけです。 西郷南洲が言われた通り、税金の定まった制度を守って、どんなに財政が不足して苦しんでいるとしても、それは政府が努力して頑張るべきことです。 それを、ましてや国民にツケを回すというのはもってのほかです。 今こそ、この明治維新の精神に立ち返って、日本を「小さな政府」にすべきではないでしょうか。 なぜ増税しても財源が足りないのか?【前編】 2019.11.02 本日は、「なぜ増税しても財源が足りないのか?【前編】」をお送りいたします。 (広報本部) なぜ増税しても財源が足りないのか?【前編】 https://www.youtube.com/watch?v=7am60ZTUV8s 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆「税収の推移」からわかること 下記は、財務省のホームページに出ている税収の推移です。 一般会計税収の推移(財務省) https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.pdf 30年前、日本の税収は60兆円ありました。しかしバブルがはじけた後、民主党政権の時代には38兆円ぐらいまで減りました。 その後、自民党に政権が戻ってから、昨年、約30年ぶりに税収が60兆円を超え、過去最高になったのです。 この税収の内訳を見ると非常に面白い特徴があります。 「30年前の税収60兆円」と「昨年の税収60兆円」は、金額としては一緒です。ただし内訳が全く違います。 30年前の税収60兆円は所得税と法人税で稼いでいました。消費税の税収はせいぜい3兆円、4兆円でした。 所得税の税収は、30年前は26兆円でしたが、今は20兆円を切っています。端的に言えば「日本人全体が貧乏になった」ということです。 法人税の税収は、30年前は19兆円でしたが、今は12兆円です。 バブルが崩壊して30年も経っているのに企業の納税額が下がっているということは、日本の「産業界全体も貧乏になった」ということです。 しかし唯一上がったのが消費税の税収です。 消費税の税収は、30年前はわずか3兆円、4兆円でしたが、今や20兆円です。今の日本の税収の稼ぎ頭と言ってもいいのが消費税です。 結局、「30年前の税収60兆円」と「昨年の税収60兆円」は、税収としては全く一緒ですが、個人と企業は貧しくなり、強制的に取られている消費税の税収で帳尻が合っているだけです。 税収は戻ったけれども日本経済は全然戻ってない、これをまず認識しなければいけないと思います。 もちろん法人税は減税されていますが、「減税されたから法人税の税収が減った」と、必ずしも原因結果の法則では言えません。法人税の税収が下がったのは確かです。 ◆与党も野党も「増税」 消費増税に反対している人たちは大企業と金持ち優遇ではないかと批判しています。 この消費増税に反対している人たちの主張は次のようなものです。 「消費税を少なくとも5%に減税せよ」 「そして、法人税を増税すべきである」 しかし法人税を増税しても効果がありません。実際には労働者の賃金が下がるだけです。 なぜなら、税率が上がった分を企業の経営者は、社員の人件費カットで対応しようとするからです。 野党の「消費税の減税」は個人的には賛成ですが、しかし「法人税の増税」には賛成しかねます。 結局は、実際にはどちらも増税だということです。 ◆政府による国民の奴隷化 前回も説明しましたが、政府にお金を与えたら、それを補助金に使って、結局自分たちの天下りのために利用するだけです。 政府が使えるお金は逆に限定して、税金を無駄遣いさせないということが「小さな政府」の発想です。 この「小さな政府」を提唱していた方が、ノーベル経済学賞を受賞したフリードリヒ・ハイエクで、代表的な著作が『隷従への道』です。 『隷従への道』とは「奴隷になる道」のことで、ハイエクは次のように言っています。 「政府による計画の行き過ぎは政府の権力を増大させる。その権力が経済を支配すると自由が失われ、人は奴隷と化してしまう」 そして、「経済を強くするには、国家はできるだけ規制や干渉をすべきではない」と提唱しています。 国家の権力が強くなってしまうと、経済に口出しをし始め、例えば民間の企業の経営者に対して「社員の働く時間は週何時間にしろ」とか、「何曜日は何時にみんな帰せ」だとか、経営者が決めるべきことを政府が決め始めるわけです。 その結果、その国の経済は確実に弱くなります。経済を強くするためには政府はできるだけ規制や干渉をすべきではありません。 (つづく) 増税から国民を守る方法 2019.11.01 本日は、「増税から国民を守る方法」をお送りいたします。 (広報本部) 増税から国民を守る方法 https://www.youtube.com/watch?v=-EeYLxAJQlQ 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆官僚の天下り先をつくった「大学の無償化」 10月1日に消費税が増税されました。 この消費税が増税された分は何に使われるか。その1つが「大学の無償化」です。 必要な学生にとっては良い政策ですが、冷静に見ると授業料がタダになるということではありません。 実際には大学に無償化になる分の授業料を政府、文科省が払ってくれます。 でも、ただで授業料が支払われるわけではありません。そこには条件があります。 その条件とは、「大学に教員以外の外部の識者を理事会に入れること」や「外部の実務経験者を教師として採用すること」です。 その大学の理事会や教師に入れてもらうのは誰か。それが官僚です。つまり、「大学の無償化」で、官僚が天下りできる道をつくっているわけです。 政府はいろんな大学に補助金を出すことによって大学をコントロールする。これは税金の無駄遣いです。 ◆アメリカにある「減税推進団体」 アメリカのワシントンで最強のロビイストと言われている人に、ATRという減税推進団体の創始者であり会長であるグローバー・ノーキストという人がいます。 ATRはアメリカの選挙に出る候補者が当選する前に、「納税者保護誓約書」にサインをしてもらう活動をしています。 「納税者保護誓約書」とは、候補者に「納税者を保護する」ため、増税につながるあらゆる法案に絶対に賛成しないことを約束してもらうものです。 ATRは誰がこの誓約書にサインをしたのかを公表し、その上で当選後の議会活動をウオッチしています。 もし増税につながるような法案に賛成したら、それを公表し、次の選挙で「この人は増税に賛成したので落としてください」というキャンペーンを行っています。 このグローバー・ノーキスト会長に、私は「アメリカでいう保守、コンサバティブっていうのは、いったいどういう意味ですか」と質問しました。 彼の答えは極めてシンプルでした。 「保守とは小さな政府を提唱する人のこと」 「なぜ小さな政府にする必要があるのか」について聞くと、ノーキスト会長は次のような面白い話をしてくれました。 「東京のレストランをおいしいのか」 それは「競争」が激しく、努力精進を重ね、レベルを高くしていかないと生き残れないからです。 ◆「大きな政府」になる理由 これを政府に当てはめるとどうなるか。最大の特徴は政府には「競争」がないことです。 独占的な存在なので、質が高かろうと低かろうと人々はそこに行くしかない。ですからクオリティは良くならないわけです。 また政府は増税さえすればいくらでもお金が使えます。 日本の政府は、社会保障にも金を使わないといけない。大学も無償化する。幼児教育も無償化する。 お金が必要となれば消費税をいくらでもあげ、消費税で足りなければ別の税金を上げればいいわけです。 結果、政府はどんどんどんどん肥大化し、放っておけば「大きな政府」になっていきます。 ノーキスト会長の最大の目的も、アメリカの政府を「小さな政府」にして、税金の無駄遣いを止めるというものだったのです。 ◆政府の増税から国民を守るためには 政府は、増税して資金が増えると必ず肥大化し無駄遣いをする体質があります。それを変えるためには「政府自体を小さくすべき」です。これが「小さな政府」の発想です。 「小さな政府」というのは、政府が使えるお金を限定し税金の無駄遣いをさせないことです。 日本の政府で何が一番問題なのか。この税金の無駄遣いを止めようという視点がないことです。 その結果、われわれ国民、納税者は、税金が無限に奪われ続けています。 消費税、社会保障の保険料もずっと上がり続けており、結局、「国民の手持ちのお金はどんどん減っている」わけです。 これを止めるには、日本の政府を「小さな政府」にするしかないと思います。 減税が世界の潮流に!【後編】 2019.10.31 本日は、「減税が世界の潮流に!【後編】」をお送りいたします。 (広報本部) 減税が世界の潮流に!【後編】 https://www.youtube.com/watch?v=MdoQT8xJ6ds 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆トランプ減税の成果 トランプ減税は2018年から始まりましたが、結果はすでに出ています。 アメリカの株価は27000ドルで史上最高値を更新しました。 失業率は3.5%で51年ぶりの低さです。 その中身を見ると、黒人やヒスパニックの失業率は史上最低です。女性の失業率も市場最低です。障害者の雇用は過去最高です。 新規雇用も500万人以上増えています。大企業もそうですけど、中小企業も新たな雇用を増やすことができたわけです。 賃金の上昇率は、去年の一時期ですが3.9%の上昇です。 つまりトランプ政権の大減税が結果として何をもたらしたのか、それが「ジョブクリエーション(雇用創出)」です。 またアメリカのGDP成長率は、去年の一時期3.1%の上昇です。いまどき先進国でGDPが3.1%も伸びる。これは奇跡的な数字です。 雇用を増やし、賃金もあげて、その上で景気もよくなった。つまりアメリカの実体経済が実際にものすごく良くなったのです。これがトランプ減税の結果です。 なぜ、こういう減税が日本bではできないのか。これを最後に考えてみたいと思います。 ◆なぜ日本は減税ができないのか アメリカの政治の構造をみると、共和党と民主党という2大政党があります。 共和党はいわゆる保守と言われます。民主党はリベラル。この二大政党が常に政権交代をしながらアメリカの政治は動いています。 日本の政治はどうかというと、アメリカの共和党の保守にあたる政党は自民党だと思われがちですが、自民党はアメリカの尺度で言うと保守ではありません。 共和党は、減税政党です。民主党は、増税して社会福祉に使い、特に貧困層のために尽くしますというリベラルです。 自民党はどちらかと言うと、様々な増税をやろうとしていますから、リベラルです。 自民党がリベラルだとすると、もっと左の日本の野党は左翼になります。アメリカには左翼政党のポジションの政党はありません。 つまり日本にはアメリカの共和党にあたる保守で減税を訴える政党がありません。だから日本では減税が実現できないのです。 日本には減税の本当の意味を訴える政党がないのです。ここに問題があるわけです。このポジションに幸福実現党がこなければいけないと思っています。 幸福実現党こそ日本における共和党の位置であり、真の保守。アメリカのいう保守のポジションに立たないといけないのが幸福実現党だと思います。またこういう政党が日本に必要です。 こういう政党がないと、減税しないといけない時に、減税が具体的に議論されないからです。 いま日本に必要なことは増税ではく、「日本版トランプ減税」が必要なのです。 減税が世界の潮流に!【前編】 2019.10.30 本日は、「減税が世界の潮流に!【前編】」をお送りいたします。 (広報本部) 減税が世界の潮流に!【前編】 https://www.youtube.com/watch?v=MdoQT8xJ6ds 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆世界は減税、日本は増税 いま世界は減税が新たな潮流になっています。 インドは法人税を中心に大減税を発表しました。 オーストラリアでもモリソン首相が、トランプ減税のオーストラリア版を行っています。 また、フランスもどちらかというと増税をやるタイプのマクロン大統領が減税を発表しました。 さらに中国ですが、先日GDPを発表し成長率6%という数字が出てきました。本当は、すごく悪いと思われますが、その中国が今必死になっているのも減税です。 そんな中で日本はどうなっているかと言うと、消費増税の後にさらに新たな増税を考えています。 ◆日本の増税策 (1)法人税の増税 日本で今一番検討されているのが、法人税の増税です。 ここ数年、法人税の表面上の税率は下がってきたので、これを上げるという話がすでに出てきています。 しかし増税になったら企業の負担が増えるわけで、結局、増税分は労働者が負担することになります。 (2)お金持ちに対する増税 さらに高額所得者への所得税や相続税の増税です。 すでに海外の税金が安い地域にお金持ちはどんどん逃げていますが、また、控除でいくらでも税金の抜け穴はあるので、これをやっても増税の効果はありません。 (3)社会保険料の引き上げ また社会保障をまかなうために、社会保険料の引き上げをしていくでしょうが、これでは若い世代が勤労意欲を失いかねません。 ◆トランプ減税とは トランプ減税の正式名称は「Tax cut Jobs Act」です。「減税と共に雇用を増やす」「ジョブクリエイション」が、この法律の目的です。 簡単に言うと、「アメリカ人の手持ちで使える金を増やす」、これがトランプ減税です。 (1) 中間層の所得税減税 まず所得税です。アメリカ人の所得税は日本と同じように累進課税になっていますが、だいたい7段階あります。 7段階の累進課税の中で特に「中間層の税率を減税」しています。 富裕層は、ほとんど減税していません。むしろ人によっては増税になっています。ここが特徴です。 (2)法人税の減税と控除の廃止 一番大きな減税は法人税です。法人税35%を21%に減税しました。 この法人税は先進国で一番低いのです。かつ大きな特徴は控除をなくしたことです。 お金持ちにいくら増税しても抜け穴がいくらでもあります。その抜け穴の代表的なものが控除です。 その控除をなくし税制をシンプルにする。その代わり税率は、もっと下げるというのが、このトランプ減税の特徴です。 (3)中小企業向け減税 さらに法人税の中で中小企業向けの減税を行いました。これを「パススルー減税」と言います。 アメリカの中小企業は株式会社でありません。アメリカの中小企業の95%は、「パススルー」といわれる、日本で言えば「組合」のようなものです。 「パススルー」は、法人税のかからない会社形態です。しかし税金が取られない代わりに内部留保ができず、利益は、ほぼ経営者や株主に配当しなければならないのです。 そうすると経営者や株主は当然個人の所得が増えます。そして所得税の税率は累進課税でいうと最高税率になるわけです。残ったお金では自分の会社に再投資ができませんでした。 今回のトランプ減税は、中小企業の経営者向けに最高税率を20%台に下げ、個人の所得税の税率も下げました。 それによって残ったお金で自分の事業に再投資できる。工場を新たに作れる。雇用を増やすことができるようになったのです。 (4)低所得者層の優遇 また低所得者層の特に若い世代の子育て世帯に対しては、「チャイルド・タックス・クレジット」によって税負担を軽くしています。 「チャイルド・タックス・クレジット」とは、枠が2000ドルだとして、例えば所得が1500ドルだとしたら残り500ドルの枠が残っていますが、この500ドルの枠を給付金としてもらえるという最新型の制度です。 トランプの減税案が出たときに、アメリカのマスコミは大企業や金持ちの優遇だと言い、そのまま日本のマスコミもコピーしたように言っていましたが、しかし内容はまったく逆です。 (つづく) 年金の事実確認をしたら、ネズミ講より酷かった!?【後編】 2019.10.04 本日は、外務局長及川幸久の「年金」について第二弾の後編をお送り致します。 (広報本部) ■年金の事実確認をしたら、ネズミ講より酷かった!?【後編】 https://www.youtube.com/watch?v=3dm6hRqtdMw&t=8s 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ◆新たな積立式の年金制度を 前編では、年金の本質と現在の年金制度の問題点を明らかにしました。後編では、今後の日本の年金制度はどうあるべきかについて述べて参ります。 結論から申しあげると、現行の公的年金制度、実質ネズミ講を一日も早く止めることです。 そして一旦、年金制度を法的に精算して新たに積立式の年金制度に変えるべきであるというのが、幸福実現党としての提案です。 積立式の年金制度は、普通の保険商品、生命保険でも損害保険のように保険料を毎月払って積み立て、一定時期になったらそれが戻ってくるという、いわゆる貯蓄です。 ここで新たな積立式の年金制度の一つモデルになるものとしてシンガポール型の年金を提示します。 シンガポールにはCPFという年金があります。 Central Provident Fundと言いますがProvidentとは、「先々の将来のために備える」という意味です。つまり貯蓄型ファンドです。 シンガポールでは働いて収入のある人たちやシンガポールの国籍のある人たち、シンガポールに永住権を持っている人たちは強制的に収入から一定の金額をこの CPFに貯蓄することになっています。 その金額はまちまちで自ら選べるようになっています。 この CPFが優れているのは、毎月貯蓄していったお金が年2.5%増えるように政府が保証している点です。最低でも2.5%、もしくはもっと増えるのです。 55歳まで積み立てて55歳になったらこのお金が使えるようになりますが、すごいのは一定の条件が クリアされれば、例えば住宅を買うとか、子どもの学資のために55歳の前でもこの金額の一部を引き出すこともできます。 まさに積立式の年金ですが、こういうものをモデルにして日本こそ新たな積立式の年金制度をつくるべきだと思うのです。 公的年金として政府がやるとしたらシンガポールのように、運用益を出すものにすべきだと思うのです。ファンドの金額が大きくなるのでスケールメリットが出て運用益が出やすくなります。 ◆シンガポールの公的ファンドとは シンガポール政府は2つの巨大なソブリンファンド(公的ファンド)を持っています。 GICとテマセク(※1)という2つのファンドを持っていますが、この両方のファンドでものすごい運用益が出ています。世界中から腕利きのファンドマネージャーをヘッドハントしてきて運用させているからです。 またシンガポールの税金が安いのは、シンガポールの国家予算の15%を運用した利益で賄っているからです。 国債は一応発行しているようですが、ほぼ発行する必要がない程です。 シンガポールは財政赤字どころか、小さな政府、安い税金、年金も年2.5%の運用益を出すことができるのです。 ◆日本をセルフヘルプ型の繁栄国家に 本来であれば日本も運用できるお金が最低でも1000兆円、一説には1500兆円とか2000兆円ぐらい今頃あるはずなのです。 それがなぜか今160兆円くらいしかありませんが、これがまさに「使い込まれた」ということなのです。160兆円ぐらいを運用してもたかが知れています。 もし1000兆円の年金を国家が運用して5%のパフォーマンスを出したら年間50兆円です。 先に説明した1年間の年金の給付額は56兆円ですので、運用益だけで全部出るのです。 保険料は使わなくても済み、運用益だけで年金の給付金ぐらい全部カバーできます。保険料はぐっと抑えて積み立てればいいだけです。 もし2000兆円が運用できていたら5%のパフォーマンスで100兆円です。日本の年間の国家も予算もカバーできます。 とにかく国民の税金よりも高い毎月5万円以上もの年金保険料を若い人が取られていくような、そういうものを止めて、きちっと積み立てたら積み立てた分が毎年増えていってそれが将来返ってくるという形にしたらどういう国になるでしょうか。 そうしたら、この国はまさに自助努力型セルフヘルプ型の繁栄国家に生まれ変わります。 そして積立式プラス運用益によって得た余裕資金によって最低限の生活保障もできるようになるので、セーフティーネットも完璧につくることができるようになります。 ネズミ講の年金制度はいつまでも続きません。ネズミ講の年金を止めて発展繁栄のための新年金制度に。これが私たち幸福実現党からの提案です。 これをぜひ実現したいと思いませんか。 (※1) GIC https://www.gic.com.sg/ 1981年の設立時の運用資産は39億米ドル。2008年、20年足らずで、3440億米ドルと100倍近くに運用益を増やし、シンガポール政府の国家予算の約15%はGICの運用利益で賄われている。 テマセク https://www.temasek.com.sg/en/index.html テマセク・ホールディングスは、もう一つのシンガポールの政府所有の投資会社。1974年設立時の運用資は1.5億米ドル。2015年には2050億米ドルと1300倍以上。 GICもテマセクも世界中から優秀な人材を集め、国の大切な資産運用に最新の注意を払っている。 年金の事実確認をしたら、ネズミ講より酷かった!?【前編】 2019.10.03 本日は、外務局長、及川幸久の「年金」について第二弾の動画を収録致しましたのでご紹介します。 ぜひご覧ください。 (広報本部) ■年金の事実確認をしたら、ネズミ講より酷かった!?【前編】 https://www.youtube.com/watch?v=3dm6hRqtdMw&t=8s 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ※下記は上記映像を要約したものです。詳しくは映像をご覧下さい。 ◆年金と税金どっちが高い? 年金の問題というのは、あまりにも複雑で、教えてくれるところがありません。 知らないうちに年金の保険料は取られていますが、まずこの年金についての事実関係を把握してみたいと思います。 最初のテーマは、年金と税金どっちが高いかです。 社会人になって働き始めると給与明細には、年金と税金がいくら取られているかが書かれています。 ある30代前半の方の例ですが、給料は約35万円、手取りは27万円です。 まず所得税と住民税、この2つの税金が、自動的に引き落とされます。 住民税と所得税を合わせて2万円ちょっとくらいです。 一方、いわゆる社会保障といわれる保険は3つあります。「健康保険」「厚生年金」「雇用保険(失業した時のための保険)」です。 また40歳以上になると4つ目に「介護保険」が入ってきます。 この方は30代なので介護保険はありませんが、この「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」を合わせて、なんと5万円以上が取られています。 この中で一番高いのが厚生年金で3万5000円くらいです。 つまり年金の保険料だけでも税金より高いのです。しかも年金保険料は毎年ずっと上がり続けています。 ◆年金は社会福祉? 年金は、「社会保障」といわれるだけあって多くの人は「福祉」だと思うわけです。 私は、かつて国際金融マンでしたので実感としてよくわかりますが、年金は金融商品に過ぎないのです。福祉でもなんでもありません。 しかし、なぜか日本では、福祉という位置づけにされています。それはなぜかというと、そうした方が都合のいい人たちがいるからです。 「年金のために税金を取りましょう」というストーリーをつくっているのは財務省です。 国民は財務省からこう言われます。「年金のお金が大変なので、年金のお金を安定化させるためにも消費税が必要です」と。 ◆年金とネズミ講 それから「年金とはネズミ講ではないか」と時々言われます。 ネズミ講というのは、先に入った人のお金は、後で入った人が払います。 日本の公的年金も先に入った人のお金は、後で入った人が払います。 ただネズミ講と年金は一点だけ違うところあります。 ネズミ講は入るかどうかは本人が決めますが、公的年金は強制です。 大きな問題は、どちらも入る人が少なくなったら破綻するということです。 前回、年金の財政検証ついてお話ししました(注1)が、公的年金の財政的な面で2030年頃にはキャッシュが回らなくなると言われています。 つまり、実質的には破綻することになります。 では年金のお金はどこから出ているのかを見てみます。 ◆足りない分を税金で穴埋め 厚生労働省のホームページに出てくる「社会保障の給付と負担の現状」という表があります。 「社会保障の給付と負担の現状」 https://www.mhlw.go.jp/content/000523240.pdf この表を見ると、この年金を含めた社会保障給付費は1年間で合計123兆円です。 これが多いか少ないかというと、日本の1年間の国家予算(一般会計)よりも多いのです。 そして、社会保障給付費123兆円のうちの半分弱の約46%(約57兆円)は年金です。 ここで問題は、123兆円のうち、国民全体から集めた社会保障の保険料が71兆円で、残り50兆円くらい足りません。 この足りない分を税金で穴埋めしています。 これを聞いて、多くの国民は、「消費税で年金を安定化させると聞いている」と思ってしまいます。 普通の国の社会保障は独立採算で政府の一般会計とは別です。当然保険料の中で年金の全部を賄っているわけです。 しかし日本はそうではなく、保険料の足りない分を税金でなんと50兆円ぐらいも使っているのです。 その税金を細かく見ると、政府が出しているのが34兆円。地方が出しているのが14兆円です。つまり50兆円のうち、7割ぐらいを政府が出しています。 これを日本の国家予算の約100兆円から出しているのです。 国家予算の約100兆円は、まるまる自由に使えるわけではありません。なぜなら日本は国債をたくさん発行して利息を払っていますから、国債の費用などが4割ぐらいあります。 ということは残り6割の60兆円しか自由に使えるお金はないのです。 その60兆円のうち34兆円が社会保障の穴埋めに使われています。 残り20数兆円がやっと国防費だとかに使えるお金です。 これが日本の年金の実情で、こんないびつな形が長く続くはずはありません。 この構造的な問題があるがゆえに消費税を払わされ、その消費税があるがゆえに景気はよくならず、中小企業がつぶれていく現状が延々と続いているわけです。 では、この年金制度をどうしたらいいのか、次回、後編で触れてみたいと思います。 (注1) 破綻か?再建か?日本の年金問題を斬る!! https://www.youtube.com/watch?time_continue=9&v=GvkDoaM_4Jo 破綻か?再建か?日本の年金問題を斬る!! 【後編】 2019.09.20 ※昨日の続きを、下記の映像からお送りいたします。 (広報本部) 破綻か?再建か?日本の年金問題を斬る!!~5年に1度の年金財政検証~(及川幸久) https://www.youtube.com/watch?v=GvkDoaM_4Jo&t=9s 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ◆税金を入れて破綻を免れている現行の年金制度 政府が皆さんから保険料として預かってきた公的年金は、事実上「破綻」寸前であり、政府は正直に言うべきだと、前編で述べてきました。 まだ日本の年金は「破綻」していないので、「破綻」と言うのは適切ではありませんが、「破綻」を免れているのはただ税金が投入されているからというのが真相です。 公的年金も「公的」とはいっても、私たちが生命保険や損害保険を買うのと同じように、本質的には保険商品です。 民間の保険会社が生命保険を売っていて、その保険を払う額がなくなってきたので、政府から税金を出してくれというのは、あり得ませんね。 では、なぜ政府の公的年金はお金がなくなったからといって、税金が投入されるのか。これが根本的な問題です。 税金で何とか延命措置をするというのは、一見いいように見えますが、長い目で見るとどんどん悪くなります。 思い切って清算して一からやり直す。そのときには経営の力、マネジメントの力が必要です。JAL再建と同じように、日本の公的年金が一つの企業だと思ったら、これはいったん整理すべきではないでしょうか。 ◆もともと積立方式だった日本の年金制度 振り返れば、日本の年金はもともと積立方式で始まりましたが、日本人が一生懸命働いて、得た収入をまじめに政府に保険料として払っていったら、いつしかとんでもなく大きな額になったわけです。 当時すぐに使う用途もなかったので、政府はあたかも税金のようにさまざまな政策に使い始めた結果、膨大に積立てた保険料はいつしかなくなってしまいます。 そこで政府は、積立方式をやめて賦課方式に変えました。一言で言えば、今の現役世代が保険料を払い、今の年金世代に支払われるという仕組みです。これで何とか年金を維持してきたわけです。 現状はGPIFという年金運用機関がわずか百数十兆円を運用するのみです。本来だったら数千兆円ものの保険料があったはずなのに。 いま1年間にだいたい50兆円ぐらいの年金の給付額が支払われていますが、この半分強は現役世代が毎月払っている年金の保険料です。しかし、これだけでは足りません。 残りをどうしているかというと、税金で埋め合わせているわけです。それでも足りないので、わずかに残っている年金の積立金をちょっとずつ取り崩して使っていますが、もうすぐなくなると言われています。 ◆年金国債を活用した新たな積立方式を日本に! 幸福実現党は新しい発想で、日本を変えようとしている政党ですが、積立方式の健全な公的年金に改めて変えていくべきではないかと提言させて頂いております。 1億以上の人口がおり、個人所得も国際的にはまだまだ高い日本において、本当に自助努力の精神で働いて、年金にお金を預けて、しっかり運用したら、公的年金はかなりの規模になり、うまくいくはずなのです。 年金で進んでいるのは北欧と言われますが、スウェーデンでは、もう賦課方式は限界だから、積立方式に移行しています。 積立方式に変われば、自分は今どれだけ積み立てているのかという金額も、自分でチェックできるし、それが老後に足りなければもっと積み立て額を増やすこともできます。 つまり、年金というのは実質上、未来のための貯蓄制度で、国民が健全な老後生活を送れるように、サービスとして提供するのがこの公的年金のあるべき姿なのです。 また、今の公的年金を、いったん整理する良い方法があります。それは年金国債というものを政府が発行して、国債という形で今までの積立金を年金加入者に返していくという方法です。 国債は事実上の有価証券、お金ですので、特に日本の国債は国債の取引市場で売ることができますし、お子さんやお孫さんに相続するということもできます。 また、それを未来事業のために投資として使うこともできると思います。 例えばいち早くリニア新幹線を日本中に通したり、または数時間でいくような超音速の飛行機を開発するための未来事業に投資するとか、国民の皆さんが、今よりも豊かになっていくような社会の仕組みをつくることは可能だと思うのです。 今の政府がやっている社会の仕組みは、だんだん貧乏になっていく仕組みです。 この流れを断ち切り、幸福実現党はみんなが未来に向けて豊かになっていく仕組みをつくるべく、声を上げ続けて参ります。 破綻か?再建か?日本の年金問題を斬る!! 【前編】 2019.09.19 ※今回は、下記の映像からお送りいたします。 (広報本部) 破綻か?再建か?日本の年金問題を斬る!!~5年に1度の年金財政検証~(及川幸久) https://www.youtube.com/watch?v=GvkDoaM_4Jo&t=9s 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ◆「財政検証」は年金制度の健康診断 8月27日、厚生労働省が5年に1回行っている年金の財政検証の結果が発表されましたが、これは要するに、今の年金制度の健康状態を診断するようなものです。 その結果、何がわかったかというと、要するに「公的年金」の健康状態がだんだん悪くなってきて、今までは「100年健康だ」と言われていたはずなのに、だんだん、100年はちょっと危なくなってきたなというわけです。 どういうことかと言うと、少し専門的になりますが、「所得代替率」という「年金額が、現役世代の手取り収入額と比較してどのくらいの割合か」を表す指標があり、現状として「50%」という無理のある想定がベースとなっているのです。 そして、その指標をベースに「(平均所得の)50%は必ずもらえますよ、100年安心ですよ」という話だったのですが、その50%がだんだん下がってきているという話です。 100年安心するためには、そもそも年金給付の年齢を68歳、70歳、そして75歳とか、どんどん先送りにしないとならないというのが、財政検証の結果から分かるシンプルな事実です。 ◆大炎上した「老後の2000万円問題」 財政検証から少しさかのぼりますが、今年の5月頃、突然「老後の2000万円問題」というものも出てきました。 金融庁から提出されたこの報告書の内容は、要するに「公的年金だけでは足りませんよ。今から一生懸命働いて、毎月ちゃんと貯めて、老後までに2000万円用意して下さい。」というものでした。 これが日本中で炎上しました。100年安心だという話が、いつのまにか自助努力とか言われて、自分で2000万円貯めろという話になってしまったからです。 5月に出てきた老後2000万円問題、そして8月27日に出てきた財政検証。この辺は全部つながっていて、与党にとっては都合が悪く、参議院選挙が終わるまで隠していたのが真相です。 ◆「政府君」という友達のたとえ話 ここで、日本で今起こっている年金問題を友人関係のたとえ話を使って説明してみたいと思います。 皆さんの友達の一人に「政府君」という名前の友達がいて、彼は皆さんに、「毎月毎月、3万円貸してくれよ」とお金を借りに来るんです。 政府君は「利息を付けて必ず返す。ただ返すのは、お前が60歳になった時だ。必ず増やして返すから」と皆さんに約束します。 皆さん、とてもいい人なので、その言葉を信じて「わかった」と言って、毎月3万円貸してきました。 ただ、その政府君の仕事ぶりを見ていて、「なんかちょっとこいつの仕事ぶりは、あやしいなあ」と。徐々に自分が貸しているお金を無駄遣いしているように見えてきたわけです。 そこで、政府君を呼び出して、「お前の仕事ぶりを見ていると、とても60歳で増やして返してくれるように見えないけど」と言ったところ、「悪かった」という反省の言葉どころか、「いや、確かにそうだ。60歳までに返せない。約束の年を65歳に延ばしてくれ」と言ってくるわけです。まあ仕方ないということで我慢します。 するとある日、政府君は「借りてきた金を増やして返すのは、もう無理だ。これからは3万円から5万円にしてくれないか」と言ってくる始末。 こうした事態が何度か続き、ついにおかしいじゃないかと言う声を挙げると、政府君は「これからは自助努力だ。ちゃんと働いて、自分で自分金はためろ」と言い始めるわけなのです。 いま、私たち国民と政府の間で起きている関係というのは、こういうことです。 「必ず増やして返す」という約束で、毎月政府にお金を預けていたにもかかわらず、いつのまにかその約束はどこかへいってしまい、返してはくれそうだけど、返してくれる時期がどんどん遠のいて、金額もどんどん減っていっている。なおかつ、それ以外に自分でお金を貯めておけよと。 それが自助努力だというふうに説教されているというのが、今の状態なのです。 皆さん、これをどう思いますか? 私は、政府はもう少し正直になったほうがいいと思いますね。 (つづく) すべてを表示する « Previous 1 … 6 7 8 9 10 Next »