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雨傘革命と同じように、日本は香港を見捨てるのか

http://hrp-newsfile.jp/2019/3600/

HS政経塾スタッフ 遠藤明成

◆雨傘革命のリーダーが来日

6月10日に香港の雨傘革命のリーダーだった周庭(アグネス・チョウ)さんが東京で記者会見を行いました。

この会見で、周庭さんは、中国本土への容疑者引渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案を「香港返還後、最も危険な法案だ」と批判。

9日に香港で103万人(主催者発表)がデモに参加したことを取り上げ、改正案の撤回を訴え、国際社会に支援を呼びかけました。

◆「逃亡犯条例」改正 どこまで影響が及ぶ?

「逃亡犯条例」の改正案は、香港が犯罪人引渡し協定を締結していない国や地域に対して、要請に基づいた容疑者の引渡しを可能にします。

香港は米国などの20カ国と引渡し協定を結んでいますが、中国本土やマカオ、台湾との間には結ばれていないので、立法会(議会)に改革案が提出されました。

しかし、市民の多くは、北京政府寄りの政治が続く現状では、通常の刑法犯だけでなく、民主活動家らが「容疑者」として中国に引き渡されてしまうと危機感をつのらせました。

周庭さんは、会見で、条例改正を「香港が返還されてから最も危険な法案だと思います」と批判。その影響は、香港訪問者にまで及ぶことを指摘しました。

(容疑者とされた)「香港人と香港訪問者、観光客や記者などが行政長官の当為のもと、中国に引き渡されることになります」

◆香港が、今まで、中国に容疑者を引き渡さなかったのはなぜ?

もともと香港が中国への犯罪者引き渡し協定を結んでいなかったのは、共産党が国を支配し、三権分立もない独裁国家では、容疑者の人権が守られない可能性が高いからです。

周さんは、会見で、この部分を強調しています。

「中国の司法制度はもともと香港と全然違います。中国は法治社会ではなく、公平・透明な裁判がある国ではありません。中国では恣意的な拘束、逮捕、拷問が常にあります」

「中国共産党政権が気に入らない人を、特に人権状況の改善を求める活動家や人権弁護士がしばしば国家政権転覆罪などで逮捕されたり収監されたりしています」

「中国で逮捕された人たちは家族や弁護士に会えないことや、虐待されることも少なくありません」

「中国に司法の独立と三権分立もありません。中国の司法機関は、中国政府と中国共産党政権の政治的道具だと言っても過言ではないのです」

◆香港の「一国二制度」崩壊の危機

ここ数年、北京政府の圧力は強まり続けているので、今回の抗議デモは、香港の自由を守るための最後のチャンスになるかもしれません。

2014年の雨傘革命の後、中国政府は香港への統制を強め、2017年にはキャリー・ラム新行政長官が就任。

新長官が推進する「愛国教育」の強化に対する反対運動が起きました。

18年3月に周庭さんは議会の補欠選挙に出ようとしたのですが、政府は「香港は中国の不可分の領土」と定めた香港基本法違反を理由に、立候補を認めませんでした。

さらに、19年4月には、雨傘デモの発起人である戴耀廷・香港大学准教授ら9人に対して道路占拠などを共謀・扇動した罪で有罪判決が言い渡されています。

こうした自由の圧迫が進む中で、周庭さんは、逃亡犯条例だけでなく、今後、香港基本法23条に基づいて国家安全条例がつくられる危険性があることを指摘しました。

(将来に)「香港人は国家安全法に違反したとして大陸に引き渡され、裁判を受けることになる可能性がある。そうなれば、政権により露骨に政府に対する反対意見を完全に消し去ることができる。香港は完全に中国になってしまうのです」

◆雨傘革命の時と同じく、日本は日和見なのか

「香港は私たちの家です。香港人は今、自分の家を守るために一生懸命抵抗しています。それは私達自身のためだけではなく、これから外国から来る人たちのためにもです」

周庭さんはそう述べ、各国に支援を呼びかけましたが、香港の状況は悪化しています。

6月13日にはデモ隊の一部と警官隊が衝突。警官隊がゴム弾などで鎮圧に乗り出し、70名以上が負傷したと報じられました。

行政長官は「組織的な暴動」とデモを非難し、自由主義国政府の指導者は相次いで自由の擁護を表明しました。

「市民や国際社会の友人たちの懸念に耳を傾け、立ち止まってこの議論を呼んでいる改正について熟慮する」(ジェレミー・ハント英外相)

「欧州各国は香港市民たちの懸念を共有している」「平和的な集会と意見表明の自由は尊重されるべきだ」(フェデリカ・モゲリーニ EU外務・安全保障政策上級代表)

「台湾や世界中の志を同じくする友人たちが支持していることを覚えていてください」(蔡英文・台湾総統)

日本では、河野太郎外相が「平和的な話合いを通じて、事態が早期に収拾され、香港の自由と民主が維持されることを強く期待します」と述べています。

しかし、日本が他人事のように「期待」したところで、もっと主要国が力強く支援しない限り、当局がデモ隊の要望を聞き、条例案を取り下げることなど、あろうはずもありません。

◆幸福実現党は香港の自由を支持する

G20を控えた安倍政権は、日中友好を掲げているために、香港市民の抗議活動を支援できません。

これは、2014年の雨傘革命の時と同じです。

しかし、過去に日本や主要国が十分な支援をしなかった結果、北京政府の統制が強まり、香港の自由は重大な危機にさらされました。

そのため、幸福実現党は、6月13日に党声明において、香港の自由を守る運動への支援を表明しました。

「日本政府は“八方美人外交”を改め、中国による覇権主義を抑止するという立場を明確にしながら、米国、英国などと連携し、香港の自由を守るべく国際世論の形成に尽力すべきです」

今後、日本政府や各党の議員などの政治関係者、国民の皆様に、香港の自由を求める運動を支援すべきことを訴え続けてまいります

【参照】

・日本記者クラブ「アグネス・チョウ(周庭)香港デモシストメンバー 会見」(2019.6.10)

https://www.youtube.com/watch?v=U8qpLjbKjEg

・BBC JAPAN「香港デモ72人負傷 行政長官は『組織的な暴動』と非難」(2019.6.13)

・幸福実現党「香港での大規模デモをめぐって(党声明)」(2019.6.13) 

https://info.hr-party.jp/press-release/2019/9181/

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

HS政経塾

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