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国民皆保険の未来

文/幸福実現党・岡山県本部代表 たなべ雄治

◆安心安全!?日本の医療

行かないに越したことがないのが病院ですが、皆さんは年に何回通院されますか?

日本人の医師受診回数の年平均は13.1回だそうで、OECD加盟国の中でトップです。

それもそのはず。日本にいると安心して、安くて優れた医療を受けられるからでしょう。

最先端の医療技術ながらも、「医療保険」のおかげで自己負担は3割に抑えられています。

◆保険とは何か

この「医療保険」は、政府が運営する「社会保険」の一つです。強制加入であり、国民皆保険とも呼ばれています。

また、社会保険とは別に、民間企業が運営する「生命保険」「自動車保険」「民間医療保険」などの多種多様な「民間保険」があります。

ところで保険とは、あるリスクに対して、その発生確率に見合う保険料を加入者が出し合って、万が一の時には積立金を支給してもらう相互扶助の制度です。

リスク発生時の支払いの総額を、徴収する保険料の総額で相殺できなければ、保険としては成り立ちません。

医療保険のように、たとえ強制加入であっても、たとえ社会的意義が大きいとしても、この原則には変わりはありません。

◆日本の社会保険の現状

とても使いやすい「医療保険」ですが、収支はどうなっているのでしょうか。

まず社会保障全体で見てみましょう。

118兆円の社会保障給付費のうち、「年金」は約48%、「医療保険」が約32%、「介護保険+その他」で残りの約20%という比率です。社会保障支出の多くの割合を社会保険が占めます。

その財源にあたる保険料収入はというと、社会保障給付費のうちの60%にも満たない有様です。年金、医療保険ともに、同様の比率です。

そして残り40%の財源には、税金が投入されているのです。

バブル崩壊の1990年以降、概ね毎年15~50兆円の財政赤字が発生しています。

もし社会保障給付費が保険料で賄えていたとすると、この財政赤字は丸々発生していなかったことになります。

政府の借金が1,000兆円を超えたとも言われますが、その原因は社会保障支出であり、政府の保険制度設計の不備が原因だったということです。

◆今後のトレンド

続いて、今後のトレンドを見てみましょう。

少子高齢化社会と言われて久しい日本ですが、2025年には団塊の世代が後期高齢者(75歳)となります。世に「2025年問題」と言われるものです。

その時には、人口比約30%が高齢者になります。

また、生涯医療費の49%が70歳以上の医療費にあてられるという推計もあります。

年金は言うに及ばず、医療保険にとっても、時間が経てば経つほど負担は大きくなってきます。

◆政府の方針は?

社会保障費増大の予想に対して、政府は消費税の増税で対応しようとしています。

2019年には消費税の10%引き上げが予定されていますが、税収増の見込みは、5%からの換算でも年間13.5兆円に過ぎません。

ところが、社会保障費の不足は現時点でも44.8兆円もあります。消費税増税は解決策ではありません。

それどころか、逆に景気を悪化させ、持続可能な財政再建を阻む愚策です。

保険料を賄おうとするならば、GDPを増やすしかありません。

増税で政府にお金を集めて、GDPを稼がない官僚の人員を増やしても意味はありません。

逆に減税で、民間がお金を使えるようにして、GDPを生み出す民間に資本を集中させるべきです。

◆どうすればよいのか

医療保険料が高くなるのは望ましくありません。診療報酬の自己負担が増えてしまうのは困ります。

しかし、自分にとって都合が悪くなるからと言って、現状維持で良いはずはありません。

医療保険が賄えるような適正な保険料が求められます。低所得者層には、医療バウチャーの導入も必要でしょう。

併せて、医療業界全体の改革に着手しなければならないでしょう。

今の医療業界は、参入の規制があり、診療報酬に規制があり、自由な競争状態にはありません。

診療報酬を監査する審査団体すら、厚生労働省の天下り先になり、不備も指摘されています。

そのような既得権益と戦いながら、国民の痛みを伴う改革を覚悟し、国民に対して正直に説明ができる政治が望まれます。

そのためにもまず私たち国民が、痛みを伴う改革を覚悟し、選択する必要があるのではないでしょうか。

次世代にツケを残さないために、今こそ、新しい選択を!幸福実現党は戦い続けます。

たなべ 雄治

執筆者:たなべ 雄治

HS政経塾 三期生

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