余計なお世話の「軽減税率」
文/幸福実現党・富山県本部副代表 吉田かをる
◆主婦からみた「軽減税率」の問題点
2017年4月に消費税を10%に増税するにあたり、自民公明両党は「軽減税率」をもうそろそろ決めないと実施に間に合わない・・・この頃、「軽減税率」がマスコミにたびたび取り上げられています。
家計を預かる主婦として、とても疑問に思うことがいくつかあります。
(1)軽減税率は「ぜいたく品に税金をかける」というものですが、その人にとってそれが「ぜいたく品」かどうかはその人の価値判断です。
政府国家や役人に決めてもらうことではありません。余計なお世話です。
(2)そもそも「10%に消費増税」が「もう決まった事」とされ、恩着せがましく「食料品には軽減税率!」などとサラリと言われても、これで「皆様の負担を軽くする」と言われても何か釈然としません。
今晩は家族の記念日、外食にするか、手作りにするかを税金がかかるかどうかで左右されるのは、余計なお世話で迷惑なことです。
(3)何が「軽減適用」でどれが「標準課税品」かで、今晩のおかずの材料を考えてしまう状況になることは、余計なお世話を超えて、自由の侵害です。
(4)どれを軽減の対象にするかで予想される税収が違うので線引きが難しい・・などという議論は国民のためではなく、政府国家とお役人の都合でしかありません。
国民にとっては「税金は安くて単純な方がいい」のです。
何かと忙しい主婦にとって、買い物でいろいろと考えなければならないことが増え、不便になることは明らかです。
「そのうちに慣れるからいいのだ」などと国民を「ゆでガエル」と同じレベルに貶めるのは、国民をないがしろにしているとしか思えません。
口先だけの「国民のため」は余計なお世話を通り越し、問題のすり替えです。
(5)そもそも、8%に消費増税して景気がよくなっていないのに増税するの?というのが国民の本心です。
「増税分は福祉に、社会保障にあてる」などと、老後を担保に取られているようで、思いきって本音を言えない状況です。
老後の備えは国に頼らなくても、自分で計画して十分に貯蓄することができれば、お仕着せの老後ではない「マイ老後」を過ごせるのに・・・税金で取られて自分の老後が自由にできないなんて、余計なお世話です。
(6)何を軽減対象にするかは、いろいろな「しがらみ」で業界議員、族議員の駆け引きや政党間の政治的思惑、お役所お役人の力関係などが関係し、すんなりと決まらないのは目に見えています。
こんなことを決めるのに議論して時間をかけるのは、国民の利益にはなりません。それよりも、景気を良くするためにはどうするかを真剣に議論してほしいです。
よく考えれば国民の幸せにならない議論を、いかにもそれらしく続け、恩を売られるのは、余計なお世話です。
(7)食料品でも税率が違うとその処理に膨大な労力がかかりますが、メリットは少ないのです。
間違いも出てくるでしょう。店先で「どうしてこれは税金が安くて、こっちは高いのか?」といったお客様からの問い合わせに、お店の人がかかりっきりになるのは明らかです。
お店や会社の余計な事務仕事、手間を増やすばかりです。本当に余計なお世話で、愚策といえます。
(8)処理のためにIT産業の仕事が増え景気が良くなるといわれますが、増税で国民が幸せになることはありません。
IT関連の人も食品の買い物をします。国民全員のお給料が増えるような景気回復の方が先です。
国民を豊かにしてから税金を「頂いて」欲しいものです。IT産業は政府国家のお世話にならなくても、料金などで自由競争を規制しない限りこれからも発展します。妙な肩入れは余計なお世話です。
(9)消費増税は所得の少ない層にとってダメージが大きい「逆進性」があります。エンゲル係数は所得の少ない層ほど高くなります。だからそれを軽減します!といっても、買い物は食品だけではありません。
マイナンバー制で所得の高い層からはしっかり税金を取りますから!というのでは、「税金地獄日本」という評判がたち、国家衰退のもととなります。
少子高齢化が緊急の課題なのに、出産もままなりません。自由な人生計画を奪い、国をつぶす増税は国民にとっては「大きな迷惑、余計なお世話」です。
まだまだ不信感や疑問は山ほどあります。
◆減税で経済と財政の立て直しを!
軽減税率は外国でも取り入れられていますが、理屈の合わない冗談かと思うほどの区別があります。
財政赤字は、政府とお役人の国家運営の失敗です。国民はもうすでに十分な税金を払っています。今年度の国民負担率(租税負担+社会保険負担率)の見通しは43.4%です。収入の約半分を国家に納めているのです。
2009年から幸福実現党は訴えています。「財政赤字は、健全な経済成長と好景気での自然な税収増加で解決できる。そのキーワードは『減税』。消費税を5%に戻し、ゆくゆくはゼロ%に。所得税・法人税は10%のフラットタックスにする」ことです。
いまの日本の抱える問題の多くは「減税」で解決します。お役人は「減税と10%のフラットタックス」はとても怖いらしいのですが、あのロシアが「フラットタックス」導入で経済と財政を立て直した事例をよい手本としたいものです。