イスラム国の悪を止めるためには――幸福実現党の広報外交活動
文/幸福実現党外務局長 及川幸久
◆世界各地での大混乱はオバマに遠因
「イスラム国」による日本人人質事件は、欧米のメディアでは異例の注目度で、大々的に報道されています。私がこのニュースを聞いたのは、幸福実現党の広報外交活動のためアメリカの首都ワシントンに向かう直前でした。
ワシントンでの広報外交の目的は、今の世界の混乱は、アメリカが国際問題から手を引いたことが原因だとアメリカの世論に訴えることでした。
米軍がアフガニスタンから撤退したあと、学校でテロリストが生徒たちを大量殺害。米軍がイラクから撤退し、シリア内戦を見過ごしたあと、「イスラム国」という怪物が現れました。
実は、私たちは「イスラム国」が出てきた原因は「世界の警察」をやめたアメリカにある、というように、オバマ大統領を批判した本、『国際政治を見る眼ー世界秩序の新基準とは何か』(大川隆法著、幸福の科学出版)を昨年発刊し、その英語版を今年アメリカで出したところでした。
『国際政治を見る眼ー世界秩序の新基準とは何か』(大川隆法著、幸福の科学出版)
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1307
今回は、この本のPRのために、ワシントンの要人に会い、ラジオ番組に出演する予定でした。そこに、日本人人質事件が起こり、この本が警告している内容が残念ながら最悪の形で実現してしまいました。
◆意味不明だった安倍首相のイスラエルでの記者会見
この事件発生直後に安倍首相はイスラエルで記者会見を行いましたが、その中で述べられたのは二点です。「人命尊重を第一優先にする」こと。さらに、日本政府は「テロには屈しない」ということです。
実は、この二つは相矛盾しています。人命尊重とは、身代金を払うことを暗に意味しますが、同時にテロに屈しないというのは意味不明です。
欧米メディアは、この記者会見を報道しましたが、一体どちらの姿勢なのかわからない感じでした。私が出演したラジオ番組でも、毎回司会者から日本政府の意図はどっちなのかと聞かれました。
◆悪は悪だと世界にはっきり言うべき
今回の事件が起きる直前、安倍首相は、中東諸国を訪問し、「イスラム国」と戦っている地域に2億ドルの軍資金支援をすると発表しました。
この発表は国際社会で高く評価されました。なぜなら、日本の首相が中東に自ら出向いて、「イスラム国」と一緒に戦う姿勢に「今までの日本と違う」と感じたからです。
ところが、日本人が人質になった途端、日本政府は「あの2億ドルはあくまで人道支援だ」と強調しました。これも意味不明でした。
日本政府はそう説明することで、「イスラム国」に対して「日本はあなた方の敵ではない」と言いたかった意図はわかりますが、それでテロリストが納得するはずはありません。
安倍首相と日本政府のわかりにくい発信とは違って、私が出演した、あるラジオ番組の司会者は、明確な意見を私に述べてきました。
「イスラム国は、これまで欧米キリスト教国を狙ってきたのに、日本人まで人質にして大金を要求してきた。彼らは、とんでもなく邪悪だ」と激しく非難しました。
このアメリカ人司会者は「神」という言葉は使いませんでしたが、「神」の目から見た善悪という意味で、はっきり「悪」だと断じていました。これこそ日本が言うべきことだったはずです。
◆
「イスラム国」の悪を阻止するためには
では、「イスラム国」の問題を解決する方法はあるのでしょうか?
今は目の前の日本人人質事件の解決には、残念ながら日本に手はほとんどありません。しかし、今後このようなことが繰り返されないために、この問題の根本的原因を知ることは重要です。
もし、書籍『国際政治を見る眼』の警告通り、「イスラム国」問題の根本原因が、アメリカが「世界の警察」から降りたことであるならば、アメリカが再度自己の「使命」を考え直すしかありません。
私がアメリカのラジオでそのことを話すと、ある番組の司会者から「いや、アメリカはもう世界の警察官の役には疲れたんだよ」という正直な反論が返ってきました。
確かに、イラク戦争をはじめ、自国のためではなく世界のためにアメリカ人の命を犠牲にして戦ったにも関わらず、アメリカは世界から非難され続け、この役に疲れ果て、国内の経済問題に集中したいのが本音でしょう。
しかし、アメリカのような大国がどこも、世界の問題に目を背け、自国の経済だけを考えるようになると、世界全体が景気後退し、経済規模は縮んでいきます。その中で、世界の人口だけが増えていくと、世界は極めて危険な状況になり、回り回って大国も危機に追い込まれます。
私がアメリカにこのように考え方を改めることをストレートに主張すると、番組の司会者のほとんどはこの視点には同意せざるを得ませんでした。
「イスラム国」のような悪を押しとどめるためには、アメリカが世界のリーダーに復帰し、同時に、日本がもっと明確な考えを持って、アメリカの最強のパートナーになることです。。そのような新しい世界秩序をつくるのは、アメリカや日本の国民世論です。
幸福実現党は、微力ならが、アメリカを説得するためにこのような広報外交を続けていきます。
執筆者:及川幸久