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新総理の下でどうなるエネルギー政策?

民主党代表選が近づいてきました。その中でも、菅首相が打ち出した「脱原発」の方向性は継続されるのか否かが争点の一つに上がっています。立候補予定者の中では、原発依存度を下げていくことに関しては一致を見ています。

前原氏が出るまでは、ポスト菅の最有力候補だった野田佳彦財務相は、「安全チェックをしながら再稼動できるものはしていく」旨を表明しています。考え方自体は極めて正しいものなので、実行に移していくべきでしょう。

候補予定者の中には、極端な「脱原発」の流れを進める方はいないものの、揺れ動く原発停止問題への処理は、新総理にとって不可避の政治議題となることは間違いありません。

原子力発電は、エネルギーが乏しいわが国にとっては必要なものとして推進してきました。自民党政権時代から継続しており、福島第一原発事故以前までは、民主党政権も推進側の立場をとっていたほどです。

わが国は、原発を輸入と考えた時のエネルギー自給率は4%、国産としても18%にしかなりません。昨今話題の再生エネルギーにいたっては、全体で9%ほどですが、8%は水力発電です(2009年の値)。

つまり、太陽光や風力発電等は、わずか1%しかありません。資源の枯渇を心配することのない点を考慮すれば、実に魅力的なエネルギーとは言え、発電シェアの3割を代替するほどのものではありません。

再生可能エネルギー法案が可決されますが、これには数多くの問題点があります。例えば、市場より高い値段で電力会社が買い取ることが本当に良いのか。価格は経産大臣が決めることができますが、果たして大臣が市場価格を適正に決定できるのでしょうか。

欧州でさえ、10年から20年かけて導入していますが、必ずしも成功した事例ばかりではありません。欧州とは、地形や天候も異なりますし、市場経済に対する考え方、法律や規制も異なります。それを日本に導入することで、バラ色のエネルギー政策になると考えるならば、安易な「原発安全神話」となんら変わりないことになります。新総理は、欧州での失敗事例の研究も忘れないで欲しいと思います。

現時点、原子力発電を補っているのは火力発電です。比較的コストの安いLNG(液化天然ガス)を使用することが多くなるといえ、化石燃料系による発電には、二酸化炭素の排出が伴います。

鳩山由紀夫前首相が国連にて宣言した二酸化排出量1990年比25%削減は、現実的に一層難しくなったとみるべきでしょう。つまり、民主党のマニュフェストでもある地球温暖化対策は一旦棚上げをすることも検討するくらいの現実感を持ってエネルギー政策にあたるべきです。

さらに付け加えれば、火力発電に依存すればするほど、中東からの輸入に80%以上頼っているわが国は、国防上のリスクが高まったと見るべきです。中東は、リビア情勢も含めて極めて不安定で、いつ原油が上がるか分かりません。近年では、中国による石油をはじめとした資源外交が進行している事、東シナ海から南シナ海へ軍事的権力を強めている以上、シーレーン防衛は日本の資源外交と国防の生命線となっています。

憲法の改正もままならない現状を考慮すれば、ベターな解決策は日米同盟強化しかありません。

このように、エネルギー政策には、理想や夢、目標は必要とはいえ、冷静な分析と現実的な対応がカギとなります。さもなければ、大東亜戦争時代のABCD包囲網と同じ現実がやってきます。資源を抑えられた国は、他国に支配されるというリスクも出てきます。特に、中国によるシーレーン封鎖だけは避けなければなりません。

新総理には、エネルギー政策は、国防政策でもあるということを認識して頂きたいと思います。

(文責・中野雄太)

中野 雄太

執筆者:中野 雄太

幸福実現党 静岡県本部幹事長

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