Home/ 2020年 March 2020年 March 緊急提言:経済対策は新発想で中小企業を守れ【前編】 2020.03.31 https://www.youtube.com/watch?v=0xv6VgviiSM&t=16s (3月28日収録) 幸福実現党外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆コロナショックによって最優先で救済すべきは誰か? 各国政府はコロナウイルスの感染拡大に対して、医療的な対策を打ちながら、経済的な対策を進めていますが、今回は緊急提言として「経済対策は新発想で中小企業を守れ」というテーマで4点から述べて参りたいと思います。 第一に「救済すべき最優先は中小企業である」という事です。 大きな経済危機になると大企業が政府に援助を求めるのが通常で、政界と大企業とのつながりが中小企業よりもはるかに近いため、政府も大企業を優先しがちです。 しかし、日本の約358万社ある全企業のうち、99.7%にあたる357万社が中小企業にあたります。 また被雇用者数も4678万人のうち、約7割にあたる3200万人以上が中小企業に所属しており、日本の経済界は中小企業によって支えられているといって過言ではありません。 そして、今回のコロナウイルス危機の特徴として挙げられるのが、全産業がストップしてしまうという点です。 それによって、売上げは激減、経済全体がほぼストップしてしまいます。 一方、売上げが激減しても、人件費や家賃等、毎月の固定費は無くなるわけではなく、売掛金の回収が困難になれば、キャッシュ不足に陥り、黒字倒産、また得意先と共に連鎖倒産という事態が想定できます。 これが今回のコロナウイルスの恐ろしい特徴だといえます。 ◆中小企業の援助に全力を投じている米国 緊急支援について全世界で最も力が入っているのが米国です。 米国政府、そして連邦議会は緊急援助法案を制定し、220兆円にも上る超大型の予算を用意しています。 そしてこの220兆円の用途は、主に中小企業の雇用を守るために使われることになっています。 また大きな特徴として、大企業を支援するにあたって条件が設定されており、それは「自社株買いの禁止」という項目です。 こうした恐慌下においては、株主や株を保有している経営陣の利益を守るために、大企業は内部留保の資金を使って、自社株を買い支えようとしますが、それと同時に公的援助を求めるのは筋が違うのではないかというのがトランプ大統領の考え方なのです。 これは日本の大企業にも全く同じことを当てはめることが出来ます。 要するに、自社株を買い支える余剰資金があるなら、そのお金で自社の雇用を守ってくれというのがトランプ大統領、そして議会のメッセージです。 ◆日本政府が打ち出す2つの資金繰り対策 2点目は、資金繰り対策として日本政府が既に打ち出してくれている点も、なかなかマスコミに出てこないので、ここでご紹介したいと思います。 まず一つが信用保証協会の「セーフティネット」で、通常は担保等がないと民間銀行は融資してくれませんが、突発的自然災害時には、無利子・無担保で最大2億8千万円まで融資してくれるものです。 条件としては、コロナウイルスの感染拡大によって、売り上げが前年同月比でマイナス20%以上、落ち込んだ場合に限ります。 そして、もう一つが日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」というもので、新たに新設されたものです。 こちらも無担保・実質無金利で、前年対比で売上マイナス5%以上と少しハードルは低くなっている反面、最大6000万円までの融資と、信用保証協会よりは融資規模は小さくなっています。 (つづく) 新型コロナ感染拡大に対処する幸福実現党の経済政策提言 2020.03.29 ※本日は、「新型コロナ感染拡大に対処する幸福実現党の経済政策提言」をお送りいたします。 新型コロナウィルスが日本のみならず世界的に広がりを見せています。 日本の実質GDPは5.9%(31.1兆円)ほど押し下げるという試算も出ているなか、現政権は、かつてない規模の緊急経済対策を打ち出そうとしています。 総額30兆円を超える規模の企業の資金繰り支援を検討するなど、企業と雇用を守ろうとする政府の姿勢は評価できるものと言えます。 さらに全国民が一致団結してこの苦難を乗り越え、明るい未来を拓くために、幸福実現党は、以下提言いたします。 1.今すぐ消費税を5%に 今すぐに行うべきは、消費税を5%に下げることです。昨年10月に消費税が10%に増税されましたが、その結果、昨年10月から12月のGDPは年率換算でマイナス7.1%となりました。 経済対策としては現在、現金給付や期限付きの商品券の配布が検討されていますが、効果は一時的と言えます。30年もの間、構造的な不況の原因となってきた「消費税の減税」をまずは断行すべきです。 幸福実現党は2009年の立党以来、唯一の「減税政党」として消費税の減税を訴えてきました。減税による経済成長を起こし、国民を豊かにしたうえで税収アップを目指すべきだと考えているからです。ゆえに、所得税の累進課税撤廃や法人税減税も訴えています。 この点、消費税のみの減税を訴えている共産党やれいわ新選組と異なります。 ただし、消費税の税率を下げるには法律を変えなくてはならず、時間がかかります。緊急のため、当面、全品目に対して5%の軽減税率を適用しつつ、法律改正の手続きを進め、恒久的な5%への減税を目指します。 2.今こそ「ジャパン・ファースト!」~国内回帰で国産ブームを コロナウィルスの感染拡大によって、中国にある工場が止まり、サプライチェーンの分断も引き起こしました。ゆえにこれを機会に中国依存型経済を終わらせ、「産業の国内回帰」と「国産ブーム」を一気に起こすべきだと考えます。 海外にある日本法人の従業員は431万人。そのうち4分の1が中国です。中国にある工場を全部戻せば、約100万人分の雇用が国内に生み出されます。それだけで需要がものすごく増えるはずです。地方に工場を作れば雇用が生まれ、地方の活性化にもつながります。 コロナ問題が落ち着いたら、中国によるインバウンドが復活するとの期待もありますが、今回の問題で中国も大きなダメージを受けており、これ以上中国に頼ることはできないと考えるべきです。 「国産ブーム」を起こすためには、日本に帰ってきやすい環境をつくることです。政府は現在、国内に工場を移すときに必要となる資金を、日本政策投資銀行を通じて貸し出す対策を検討しています。財源は1兆円超の財政投融資を想定していますが、それだけでは十分とは言えません。 設備投資の額に応じて税務上の優遇措置をとる、国内回帰の際に生じた損失については何らかのサポートをするなど思い切った策が必要です。 さらには、法人税の減税や規制緩和、リニア新幹線や高速道路網などの交通インフラへの投資などで、日本で仕事がしやすい環境を整えることが不可欠といえます。 特に「国産ブーム」を起こすべき分野は、食料とエネルギーの分野です。 日本の食料自給率は、カロリーベースで37%(平成30年度)と、アメリカの130%、フランスの127%、ドイツの95%といった他の先進諸国に比べて低い水準にあります。 コロナ不況で全世界的に生産活動が落ち込んでいるうえ、アフリカから中国にかけてサバクトビバッタが襲来し、農作物を食い荒らしています。今後、食糧を輸入に頼るのは、厳しくなってくることが予想されます。 農地取得の自由化を進め、国内において食料を増産できる体制を早急に整えるべきです。 また、日本はエネルギー自給率も9.6%(17年)と、先進諸国の中で最低です。原発を再稼働するとともに、石炭・石油・天然ガスなど、大部分を輸入に頼っている状況を早急に見直す必要があります。その他、新エネルギー産業への投資も有効と言えるでしょう。 3.経済再生への「ジャンプ台」~未来産業への大胆な投資 そして最後に、未来産業への大胆な投資を進めるべきです。 政府は、延期となったオリンピックだけでなく、大阪万博などのイベント招致、そしてカジノなどで経済を活性化させようとしてきましたが、イベントやカジノで日本全体を上向かせることは難しいといえます。 やはり、国全体が長期的に活気づくような新しい産業を育てるべきです。宇宙産業、国防産業、自動運転車、空飛ぶ車など、宇宙、海中、地中のフロンティアは無限に広がっています。 財源は建設国債で賄いますが、これは未来の資産として残ります。 未来産業への投資は、コロナ不況で苦しむ経済のカンフル剤となるだけではなく、日本経済を力強く成長軌道に乗せる「ジャンプ台」ともなりうると考えます。 【関連動画】 【緊急提言】コロナ禍で世界恐慌の危機、恐怖に打ち勝つ経済構想を。減税、ジャパンファースト、未来産業投資。(釈量子)【言論チャンネル】 【緊急提言】経済対策は新発想で中小企業を守れ。コロナショックで全産業ストップ、黒字倒産、連鎖倒産、大量失業、信用保証協会、日本政策金融公庫。 https://www.youtube.com/watch?v=0xv6VgviiSM&t=904s 成長戦略ナレッジ(3)「新型コロナ対応の特措法改正について」 2020.03.13 http://hrp-newsfile.jp/2020/3840/ (2020年3月13日付) 幸福実現党成長戦略部会長 西邑拓真 ◆改正新型インフルエンザ等対策特別措置法とは ・13日、新型コロナウイルス感染症を新たな適用対象とする改正新型インフルエンザ等対策特別措置法が、参院本会議で可決、成立しました。 ・政府は、全国一斉の臨時休校、大規模なイベントの自粛を要請するなどしていますが、今回成立した改正法に基づいて首相が「緊急事態宣言」を行えば、これらの措置に法的根拠を持たせることができるようになります。 ・緊急事態が宣言されれば、都道府県の知事は学校や興行場の使用を制限したり、催し物を中止するよう指示ができるようになるほか、臨時の医療施設の開設のため、所有者の同意なしに土地や建物を使えるようになるなど、個人の権利に制限が課されるとの懸念もあります。 ・一般論として、安全保障や危機管理の観点からは、国民の生命・安全を確保するため、一定の範囲内で行政府に権限が集中するというのはやむをえない面もあります。 ・今後、緊急事態の宣言や対象地域で然るべき対処を行うべき事態に至る場合、私権を制限するとの性格を有する以上、政府や自治体は専門家等による然るべき情報のもと、明確な論拠に基づいた適切な判断が求められます。 ・その上、緊急事態宣言の発出いかんに関わらず、政府による自粛要請などは日本経済に対して既に多大なダメージをもたらしています。今月10日、安倍晋三首相は、全国規模のイベント自粛、中止、延期、規模縮小要請を10日間程度延長させる考えを示していますが、その解除にあたっては、政府に迅速で的確な判断を求めたいところです。 ◆必要な経済対策とは ・同感染症が日本経済に深刻な影響を及ぼしつつある状況に鑑み、政府はこれまで、一連の緊急対策を実施することを明らかにしています。 ・第一弾として153億円規模の水際対策や国内感染対策、また中小企業支援として日本政策金融公庫などに5000億円規模の緊急貸付や補償枠を確保することを盛り込んでいます。また、第二弾として、同感染症により休業を余儀なくされた一部フリーランスや、休校中の子供のために仕事を休まざるをえなくなった保護者に向けた助成金制度の整備、PCR検査の能力拡大策が取りまとめられています。 ・今、政府により、2020年度の補正予算案の編成を視野に、対策の第三弾が検討されています。 ・本来あるべき対策の方向について、成長戦略部会として下記の通りまとめています。 ◯ジャパンファーストの一環として、生産拠点の国内回帰を ・現在、感染症の影響で中国国内の生産現場が混乱していることによりサプライチェーンが寸断され、日本企業の一部は生産活動に支障をきたす事態となっています。 ・これまで、生産活動の面で中国に依存してきた日本企業が、中国リスクを踏まえて体制を見直し、生産拠点の国内回帰を推し進められるよう、政府として強力に後押ししたいところです。 ・この観点から、現行の29%台の法人実効税率は15%へと大幅に引き下げるほか、生産拠点の国内回帰に伴う設備投資額については、法人税の納税額を算出する際に損金扱いとするなど、大胆な投資減税を実行すべきと考えます。 ◯中小企業に対する強力なバックアップを ・今、中小企業を中心に多くの企業が経営的危機に立たされています。政府による資金繰り支援策を柔軟に進めるのはもとより、政府が進める短時間労働者への厚生年金適用拡大策は当面凍結させるほか、4月より中小企業に適用される時間外労働の規制強化をはじめとする「働き方改革」についても、見直しを図るべきです。 ◯家計支援策としては、消費減税を ・また、政府は緊急対応策第3弾として、子育て世帯に3万円を給付する案などが検討されています。ただ、コロナ感染症による経済的な影響は子育て世帯に限ったものではなく、その支援は広く行うべきものです。ただし、その給付の対象範囲をむやみに広げれば、歳出額が大きく膨らむことになります。そうした観点から、現金給付策は得策とは言えません。 ・昨年10月に実施された税率10%への消費増税が家計を直撃し、内閣府が9日に発表した2019年10月-12月のGDP速報値(2次速報値)も、年率換算で実質マイナス7.1%を記録しています。ただし、これはコロナが経済に与える影響が明らかになる以前のものであり、今後、経済指標は一層深刻なものになるとも考えられます。 ・中国を中心にコロナが世界を覆う中、輸出も大幅に縮小すると見込まれます。今こそ、内需拡大策として5%への消費減税を実行すべきです。 ・また、一部有識者からは、全品目に軽減税率を適用すべきではないかとの案も出ているようです。これに関連し、自民党の一部若手議員などは消費税について、当面は軽減税率0 %を全品目に適用すべきと提言しているようです。経済の先行き不透明感が増す中、これも次善の策として十分に検討に値すると考えられます。ただ、あくまで減税は時限的な措置に留めるのではなく、幸福実現党がかねて訴えてきたように、標準税率そのものを変更し、当面は5%、財政状況に鑑みて将来的には消費税そのものを廃止すべきと考えます。 韓国経済、終わりの始まりか?サムスン工場で新型コロナ感染拡大 2020.03.08 https://www.youtube.com/watch?v=IW7q71gy4mg 幸福実現党 釈量子 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆新型コロナウイルスが韓国経済を直撃 中国発新型コロナウイルスの拡大に歯止めがかからず、世界経済にも大きな影響を与えています。 なかでも韓国は最も大きなダメージを受けており、2月18日には「韓国経済緊急事態宣言」を出すような状況になっています。 今回、韓国経済が大きなダメージを受けているのは、構造上の問題があるからです。 ◆韓国経済の構造上の問題 一つ目の構造上の問題は、「輸出依存型経済」です。 韓国のGDPに占める輸出の割合は、43%です。韓国経済の半分くらいは輸出で成り立っているということです。 韓国は資源や部品を海外から輸入し、それを生産、輸出することで成長してきました。 輸出主導型の経済の欠点は、他国の景気に左右されやすいので、景気のブレが大きくなるということです。 二つめは、「財閥依存型経済」です。 韓国の経済を牽引しているのは10大財閥で、韓国の売上高の7割を占めているといわれています。 財閥がダメになると、韓国経済もダメになります。 三つめは、「中国依存型経済」です。 「韓国と中国の輸出入シェア」をみると、2019年は輸出の25%、輸入の21%を中国が占めています。 韓国企業のサプライチェーンが中国と密接に関係していることがわかります。 ◆新型コロナウイルスがサムスンを直撃 韓国経済は、輸出トップ、財閥トップのサムスン無くして成り立ちません。実際に、サムスンだけで、昨年の韓国GDPの12.5%、韓国の法人税収の12%も生み出しています。 サムスンの2本柱は「スマホ」と「半導体」ですが、業績悪化しています。その理由は、半導体価格が下落し、半導体事業の不振が続いているからです。 幸いなことに、次世代通信網5Gが予想以上に早く普及し、高速通信を支える半導体がもっと必要になるということで、半導体業界が回復していました。 しかし、運が悪いことに新型コロナウイルスが発生し、出鼻を挫かれたわけです。 韓国の4番目の都市・大邱(テグ)でコロナウイルスの感染者が大量発生し、韓国国内で猛威を振るっています。 2月22日には、亀尾(グミ)にあるサムスンのスマホ工場で感染者が出ました。その結果、24日まで工場は一時休止になりました。 二次感染を防ぐために従業員が、2週間、自宅で隔離されています。今後、サムスンの業績悪化は避けられません。 また、大きな成長が見込まれる次世代半導体の受託生産を行う「ファウンドリー」と呼ばれる事業のトップは台湾のTSMCで、そのシェアは、約53%です。 サムスンのシェアは約18%で、サムスンは、2030年までにTSMCを抜くことを目標にしていますが、実際にはかなりの技術力の差があり容易ではありません。 サムスン電子の韓国国内の生産活動に影響が出れば、台湾のTSMCに水をあけられることになるでしょう。 ◆韓国経済、終わりの始まり 新型コロナウイルスはサムスンを筆頭とする財閥企業を直撃しており、韓国経済の見通しが暗いため、自国通貨のウォンも売られています。 海外の金融機関からたくさんのお金をドル建てで借りている韓国企業は、ウォン安になると借金が増えることになります。 アジア通貨危機のように、急激なウォン安が起きると、一気に借金が増え、デフォルトになる可能性が高くなります。 文在寅政権の反日政策も、韓国経済のリスクを高めています。徴用工への賠償問題に対して、日本は輸出管理におけるホワイト国から韓国を除外しました。 その結果、最先端の半導体製造に不可欠なフッ化水素の調達にあたって、日本政府の許可が必要になっています。 また、韓国は通貨危機が起きた時にドルが必要になるため、ドルといつでも交換できる日本円を調達できる「日韓スワップ協定」の再開を本音では望んでいます。 しかし、文政権が反日姿勢を続ける限り、再開の見込みはないでしょう。文在寅政権は打つ手なしの八方塞がり状態です。 まさに「韓国経済、終わりの始まり」と言えるのではないでしょうか。 日本経済も、韓国と同じような問題を抱えています。まずは、中国依存型経済を脱するために、中国への忖度政治を終わりにしなければなりません。 さらに、ビジネスフレンドリーな減税や規制緩和を実行し、日本企業の国内回帰、親日国を取り込んだサプライチェーンの再構築を促していくことが大事だと思います。 成長戦略インサイト(5)コロナショックにどう立ち向かうか 2020.03.07 幸福実現党成長戦略部会長 西邑拓真 ――5日、日中両政府は、習近平国家主席の国賓来日を当面延期すると発表した 新型コロナウイルスの感染拡大の状況を見れば、当然の判断とも言えますが、中国政府による強まる覇権主義、人権弾圧に鑑みて、本来は日本として、「中止する」と断言すべきだったでしょう。 また、安倍晋三首相は同日、感染拡大を防ぐための新たな水際対策として、中国、韓国からの入国者に対し、指定場所での二週間の待機を要請するなど、実質的な入国規制を実施することを表明しています。 特に中国に関しては、習氏の国賓来日や、中国経済に大きく依存する日本経済への配慮などがあったのでしょう。米国は2月上旬より、中国全土からの入国禁止措置をとっていたことを考えても、日本政府の措置は、遅きに失したと言わざるをえません。 ――6日、自民、公明両党は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案を了承した これは、既存の「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の対象に、新型コロナウイルス感染症を新たに加えようというものです。 改正法に基づいて、首相が「緊急事態宣言」を行えば、対象となる地域の都道府県の知事は、学校や興行場の使用を制限したり、催し物を中止するよう指示することができるようになります。 政府はこれまで、全国の小中高校などへの臨時休校、大規模なイベントの自粛を要請するなどしてきましたが、特措法の改正により、これらの措置に法的根拠を持たせることができるようになるわけです。 ただ、緊急事態が宣言されれば、上記の点や、臨時の医療施設の開設に向けて土地や建物の収用が可能になるなどの点から、個人の権利に一定の制限が課されることへの懸念もあります。 一般論として、安全保障や危機管理の観点からは、国民の生命・安全を確保するため、一定の範囲内で行政府に権限が集中するというのはやむをえない面もあるでしょう。 ただしこれは、政府や自治体が適切な対処を行うほか、その際、むやみに私権の制限が行われることなく、これが最小限に留められてこそ正当化されるものと言えます。これには、万全な情報収集体制が整っていることなどが前提となるでしょう。 今後、緊急事態の宣言や対象地域で然るべき対処を行うべき事態に至る場合、政府や自治体は、迅速な対応が必要となるのは言うまでもありませんが、それに加え、私権を制限するとの性格を有する以上、明確な論拠と情報に基づいた適切な判断が求められると思います。 ――また、10日にも、政府による緊急対策第2弾が打ち出されるとされている 中国製部品の供給滞りによるサプライチェーンの破綻や、国内消費の減退など、感染症の拡大が日本経済に需給両面で大きな影響を及ぼしています。 中小企業の資金繰り支援や生産拠点の国内回帰の後押しなどについて、政府として万全を期す必要があるのは言うまでもありません。 また、3日、FRB(米連邦準備制度理事会)が緊急利下げを行ったことで現在、為替相場は円高に振れていますが、これと感染症拡大による外需の縮小と併せ、日本の輸出関連企業が今後一層、大きな苦境に陥らないとも限りません。 こうした意味でも今、日本政府ができることとして、適切な内需拡大策を図ることは不可欠でしょう。 総務省は6日、1月の2人以上世帯の家計調査で、1世帯あたりの消費支出が前年同月比3.9%減(物価変動を除いた実質値)となったことを明らかにしました。 マイナスは4か月連続となりますが、これは、昨年10月の消費増税により、感染症の拡大の影響が本格的に出る前の段階で既に、国内消費が大きく冷え込んでいることを意味します。 今、増税と感染症のダブルパンチが日本経済に与えるダメージを考え、前回号(2月21日号)でも申し上げたように、消費税の標準税率を8%に戻す、ないしは5%に引き下げることが肝要と考えます。 世界同時株安は新型コロナ拡大が原因か?【後篇】 2020.03.05 https://www.youtube.com/watch?v=Y5Cw1Ax_ivg 幸福実現党外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆今回は第二のリーマンショックなのか? 一度、米国債の話に戻しますが、株式市場に入っていた資金が債券を買うようになったことは過去にも何度かありました。 特にそれが顕著だったのが2008年9月のリーマンショックの時で、当時の米国10年物国債の金利は直前では4%くらいありました。 これはまさに株式が売られて暴落し、そのお金が債券市場に動いた結果ですが、その後米国の金融市場は危機的な状況から脱し、国債の金利も急速に元の水準に戻っていますが、その答えが金融緩和でした。 米国の連邦準備制度(FRB)がいち早く量的緩和を打ち出し、それによって金利は戻り、危機的な状況を越えることが出来ました。 今回が第二のリーマンショックだと考えるならば、量的緩和が正しい答えかと言えば、今回はすでに金利が低くなっています。 米国には量的緩和によって利下げをする余地はあまり残っておらず、まして日本や欧州の中央銀行はそもそもマイナス金利ですので、利下げ余地は全くありません。 ◆トランプ大統領当選翌日から株価が上がった理由 量的緩和が出来ないとなると、もう一つの方法があります。 実際に、2016年11月頃にも、8年間のオバマ政権の経済政策によって、米国経済が全く動かなくなってしまい、10年物国債の金利が一気に下がり、今と同じ史上最低の水準まで下落したことがありました。 しかし、トランプ大統領が当選した翌日から、米国債の金利、株式市場が軒並み急上昇を始めましたが、その一番の要因は大統領選挙で「大減税」を公約していたからです。 今考えられるべきことは、リーマンショックの時のように量的緩和が十分できないとしたら、マーケットに必要なのは更なる減税政策であります。 いまトランプ政権の減税政策の指揮を執っているのが、国家経済会議委員長ラリー・クドロー氏ですが、2月25日米国CNBCのインタビューの中で「全面株安を受けてどう思うか」ということについて以下のように回答していました。 「確かに中国で今起きていることは人類の悲劇である。しかし、(今の)世界同時株安は世界大恐慌になるという経済的な悲劇を意味しているわけではない。米国の経済統計の数字は強く、景気後退するという数字は出ていない」と明確に述べていました。 ◆「トランプ減税2.0」とは? そして、トランプ大統領やクドロー委員長以下の政権スタッフが考えているのは更なる減税、「トランプ減税2.0」です。 このことをクドロー委員長は昨年頃から示唆しており、今年の大統領選挙のメインの公約として掲げるということも言っていました。 というのは、トランプ政権は就任した2017年に大減税を打ち上げ、それを受けて議会は実際にトランプ減税に関する法律を作りましたが、議会が作った法律とトランプ政権側が用意していた減税案にはかなりの隔たりがありました。 例えば、法人税に関して35%と世界で最も高い部類に入りますが、トランプ政権側の元の案では法人税は15%まで下げるつもりでした。 しかし、議会側はさすがにそれは出来かねると、21%で妥協したという経緯がありました。 また、トランプ政権が最も実現したかったのが、個人の所得税の大減税で、特に年収1千万円以下位の中間層の税率を大幅に引き下げたかったと言われており、未だに「トランプ減税2.0」を行う伸びしろが残っているわけです。 これが本年の大統領選挙のトランプ大統領再選のための陣営の切り札であり、目玉政策です。 ◆「Buy Japanese, Hire Japanese」の重要性 こうした政策の打ち出しがマーケットに対する明確なメッセージになっていけば、米国経済は景気後退するどころか、今の下げがちょうどいい利益確定となって、もう一度次なる株高に向かう可能性もあるわけです。 ということで、中国発のコロナウイルスで世界経済が悪くなり、資本主義が終わるという論調は少し大げさです。 むしろ、トランプ政権の次なる一手に、米国、世界経済の未来がかかっています。 4年前の大統領選挙の際に掲げた「Buy American, Hire American」という公約、まさに中国に工場を作って、中国人を雇って、中国製を米国に輸入するのではなく、米国人を雇って米国製を消費するという流れが、この一件で加速するはずです。 そして、このことは日本にも当てはまります。 既に中国に進出し、投資されているかなりの部分は無駄になるかもしれませんが、中国リスクによってより大きなロスを抱え込むより、日本人を雇って日本で作る、そして日本で売るという「Buy Japanese, Hire Japanese」の流れが今の日本には求められています。 この政策を幸福実現党は日本の企業経営者の皆さんに訴えていきたいと思っています。 世界同時株安は新型コロナ拡大が原因か?【前篇】 2020.03.04 https://www.youtube.com/watch?v=Y5Cw1Ax_ivg 幸福実現党外務局長 及川幸久 ※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。 ◆世界同時株安は新型コロナウイルスが原因か? 今回は「ウイルス感染は深刻だが、世界同時株安は?」というテーマです。 週明けの2月23日から、欧州で全面安、米国株も1日1000ポイントも下落し、連休明けの日本でも株価は大幅に下がり、まさに世界的な同時株安の様相を呈しています。 その原因として、中国国内で広がっていたコロナウイルスの世界的な広がりと言われ、特にイタリアやイラン、韓国といった国々で感染者、死亡者が多数出ていることが大きな衝撃を与え、経済にも大きな影響を与えるとマスコミでは報じられています。 しかし、コロナウイルスが原因だったとしたら、もっと前の段階から株価が下がっていてもおかしくはなく、実際、2月16日の週には米国の株価はナスダック、SP等は軒並み史上最高値を更新していました。 ◆株安と米国債価格上昇、低金利の関係 一言で言えば、世界の資金が米国の株式から米国の債券に流れており、これによって、米国債の価格が上昇し、金利は史上最低になっているのが今起こっている現実です。 実際に、米国債の中心となる10年物金利の推移を見ても、数年前まで3%を超えていたのが、今は1.3%にまで下がっていて紛れもなく史上最低レベルです。 逆の言い方をすれば、それだけ大量の債券が買われているということで、ある種の「債券バブル」が起きていると言っても過言ではありません。 そして、大量の債券が買われる前のお金は、ちょっと前まで米国の株式市場にあり、それによって米国株は史上最高値を更新していたというのが事実です。 ◆投資家の視点から株式売却の最適時期を振り返る 投資家の視点から考えると、株価の指数が上がったからといって儲かるわけではなく、相場が上がった時に自分が持っている株を売って初めて利益が確定します。 売却しない限り、指数がどれだけ上がっても、含み益にはなっても、実際の利益にはなっておらず、投資家の心理というのは「いつ売るのか」という難しい判断を常に考え抜いています。 そして、米国内の全ての株式市場が上がっているとしたら、「どのタイミングで売るのか」をみんな考えていたはずです。 売却して利益を確定したら、次はその資金をどの市場に持っていくかも考えていなければいけません。 そして今回、多くの投資家はおそらく、コロナウイルスの話を一つのきっかけとして、史上最高値となった米国株を売って、10年物の米国債に乗り換えたのだろうと思っています。 ◆株式市場から債券市場への資金移動の二つの見方 10年物の米国債については、急に上がったわけではなく、1月半ばから価格は上がり始めており、金利は下がり始め、現在は史上最低の金利になっています。 逆に、3ヵ月物、6ヵ月物等の短期債券の方が金利が高くなっており、つまり「逆イールド」になっており、米国経済は後退するとみる向きもあります。 また「株が売られて、債券が買われる」ということは、高リスクの株式から、低リスクの債券に資金が動いており、リセッションに入るだろうという見方が一般的です。 確かにそうした点もありますが、もう一つ別の見方もあります。 米国債は今史上最低の金利ですが、日本や欧州などの先進国、中国等と比較しても、唯一米国経済だけが圧倒的に好調で、米国の消費者の満足指数も依然として非常に強くなっています。 世界の資金は、あくまでも米国内において株式市場から国債市場、為替市場に流れている意味を考えれば、マーケットが米国経済の底堅さを判断していると考えられるでしょう。 ◆中国の圧倒的な人手不足に苦慮する米国企業 では、コロナウイルスの経済への影響は全くないのかといえばそうではなく、中国の国内における圧倒的な人手不足を引き起こしています。 中国共産党政府は多くの人を隔離する政策と同時に、「会社に行くな」と行動規制を付けたことで、中国の多くの会社や工場は操業できない状況になりました。 確かに、ウイルスをこれ以上広めないためにはそうせざるを得なかったかもしれませんが、これによって中国経済はほぼストップしました。 そして、いざ「再稼働させろ」と指令を出していますが、深刻な人手不足となっており、その問題は全く解決していません。 上海にある米国商工会議所の調査によると、中国国内にある自動車部品や携帯、鉄鋼、薬品等の米国企業の5社中、4社が人手不足で実際に操業できない状態に陥っていると言われています。 そして、この事が米国の産業界に一つの引き金を引いてしまったかもしれず、安い人件費に釣られて、今まで中国に依存し過ぎていたのを止めて、中国から離れるきっかけになりそうだと言えます。 トランプ大統領が提唱する「アメリカファースト」の通り、米国への回帰はもちろん、そこまでいかなくても、他のアジアの国々に多様化させ、分散させることがいま産業界では考えられています。 いま米国の産業界が考えていることは、そのまま日本の産業界にも当てはまり、中国依存のリスクが極めて高いことは、今回のコロナウイルス問題ではっきりしました。このことが脱中国の引き金になっていると思います。 米国がこの方向にいくとしたら、日本企業も検討すべきだと思います。 (つづく) すべてを表示する