Home/ 財政・税制 財政・税制 着陸料などの公租公課の引き下げで、航空利用促進へ 2014.03.24 文/HS政経塾3期生 瀬戸優一 ◆着陸料の引き下げへ 国土交通省は、2014年度から国内線において航空会社が支払う着陸料の算出において、新たな制度を導入します。これまでの着陸料は、着陸する航空機のトン数、騒音値と着陸回数を基本に計算され、その金額を航空会社に請求する仕組みでした。 例えば現行の基準の場合、ジャンボ機と呼ばれるB747-400(569人乗りの場合)では、約270t、騒音値96で着陸料は444,700円となります。(国土交通省『空港・航空管制の運営について』) こうした現行の着陸料では、旅客の少ないシーズンにおいて航空会社に対する負担が大きくなってしまうため、航空機の重量に応じて計算するこれまでの方式に加え、旅客数が減るほど着陸料が下がるような仕組みを取り入れることになったわけです。 シーズン要因に加え、景気悪化などによって旅客が減少した場合でも、それに応じて着陸料を減らすことができ、航空会社の負担を抑えられるようになります。 さらに本年1月には、国が管理する28の空港のうち、航空会社が支払う羽田空港を除いた地方都市に存在する各地方空港の着陸料を、新規就航や増便に限って3年間30~80%割り引く方針も決まりました。 航空会社の負担を軽減し地方路線の拡大につなげる狙いがあり、今秋のダイヤ改正に合わせて実施されることとなっています。 ただし、これは地元自治体と航空会社が効果的な集客策を提示することが条件となっているため、全ての空港が引き下げを認められるわけではありません。 とはいえ、従来の着陸料を考えれば大きな決定であり、路線増につながるものであると言えるのではないでしょうか。 ◆日本の着陸料 日本の空港における着陸料は、世界と比べても高水準にあると言われています。空港使用料の中に含まれる着陸料は、国際水準の2~3倍であるとされているためです。 もちろん、空港に着陸しその空港を使用する場合、着陸料だけではなく様々な費用がかかります。ボーディングブリッジ(飛行機と空港をつなぐ橋)の使用料など空港設備の利用料も含めたトータルの料金で比較した場合、日本よりも割高になる国が存在することも事実です。 しかし、高い着陸料は航空会社にとっての負担になるだけではなく、利用者の支払う金額にも関わることであり、競争力の面で見てもマイナス面が多く存在します。 そもそも着陸料や航空機燃料税なども含めた公租公課と呼ばれる租税は、利用者負担の原則によって行われています。この原則は、航空機の利用がまだ一部の富裕層に限られていた時代の名残といわれ、航空利用者のための設備費用は、利用者自身が拠出すべきであるとする考えに基づいているのです。 また空港は着陸料とテナント料を主な財源としており、特に滑走路などの国が管理している部分の維持には着陸料が使用されているため、引き下げが難しい面があるとも言われてきました。 ◆減税で日本の活性化へ 航空業界は、ハイシーズンとローシーズンの差が大きく、世界の様々な事件にも影響を受けるため、機体重量を基にした一律の税金というものは負担が大きいと言えます。 さらにはまもなく4月から消費税の増税が行われることもあり、さらに影響を受けることも考えられます。それを考えると今回の着陸料引き下げは当然行うべき措置であるとも言えるのです。 今後日本が航空利用者を増やし、また各国の航空会社の誘致を考えるにあたり、航空に関わる公租公課の引き下げを行っていく必要があると言えます。消費税率についても、利用者が減ってしまえば税収も下がることから、空港運営に影響が出かねません。 今後世界的にも需要増が見込まれる航空分野において、日本が国際競争力を失わず、さらに活性化していくためにも、公租公課及び消費税、法人税等の各種税金の引き下げを行っていくべきであると言えます。 東日本大地震から3年――被災地の復興事業と課題 連載第2回 2014.03.23 文/幸福実現党 総務会長兼出版局長 矢内筆勝 《ゴーストタウンのまま放置されている福島の被災地》 先週に引き続き、東日本大震災から3年目の被災地の現状をご報告いたします。今回は、津波の被害に加えて、福島第一原発の事故が発生した福島県です。 津波で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の三県の中で、福島県の復興の現状は、他の2県とはかなり違っています。 岩手、宮城県が文字通りの「震災(地震、津波)からの復興」であるのに対して、福島県はそうした震災に加えて、「原発事故からの復興」が大きな課題としてのしかかっているからです。 しかも、「目に見えない放射線への恐怖」と「政府や東京電力への不信」、そして「マスコミによる風評被害」など、原発事故による後遺症が深く、重く、県民と国民に浸透し、復興の流れを押し止めています。 3月10日、私たちは内陸部の福島市から伊達市、そして沿岸部の相馬市、そして放射線の被害が高かったとされる南相馬市、浪江町を車で視察しました。 ◆現在の避難指示区域 それぞれの地域の復興状況は、政府が定めた「避難指示区域」の線引きによって、全く違います。避難指示区域は、放射線レベルが高い地域から、三つに分けられています。 避難指示区域(平成26年4月1日時点) http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html#shiji (1)「帰還困難区域」:5年間を経過してもなお、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある、年間積算線量が50ミリシーベルトを超えている地域。 (2)「居住制限区域」:年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあり、住民の被ばく線量を低減する観点から引き続き避難の継続を求める地域。 (3』「避難指示解除準備区域」:年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であることが確認された区域。 これらの地域の住人は全員、事故当時の民主党政権によって強制避難させられました。 現在も実に13万5000人もの人たちが、自宅には戻れず、仮設住宅などの避難生活を強いられています(その内4万8000人は県外に避難しています)。 そうした人たちは、自宅への宿泊は禁じられており、家の掃除や修理のために戻れる時間等も、それぞれ厳重に規制されています。 現地を車で走ると、その指定地域によって、風景や復興現状は一変します。 ◆相馬市と南相馬市 福島市、伊達市は避難指示区域外であり、内陸部のため津波の影響もなく、震災の傷跡はほとんどなく、いわゆる「風評被害」を除けば、市民生活は通常に戻っています。(これは今回紹介する「避難指示区域」以外は、福島県の全ての市町村に当てはまります。) 相馬市は、「避難指示区域」外であり、放射線ではなく、津波の被害が甚大だった地域です。津波で家を流された住民以外の市民は自宅で生活しているため、沿岸部の瓦礫撤去や町の整備もかなり進み、相馬港の食堂も営業を再開するなど、ようやく復興に向けた動きが見えてきています。 相馬市 http://www.mapion.co.jp/m/37.802546504690504_140.9193213223777_5/ ただ、原発の汚染水問題によって漁業の操業が禁じられており、たとえ再開しても「風評」によって販売の可能性が閉ざされていることなど、今も続く原発事故と放射線の影響が、地元の人たちの暮らしと仕事、産業の再生を阻んでいます。(この問題については、後日ご報告いたします) そして南相馬市は、南側の三分の一が、放射線の影響による「避難指示解除準備区」に指定されており、海岸沿いの津波の被害が大きかった地域です。 南相馬市 http://www.mapion.co.jp/m/37.6391277_140.9606861_5/ その一帯に入ると、町には住民の姿は全くなく、大部分の家は被災した当時のまま放置され、まさに「ゴーストタウン状態」です。田んぼや畑の瓦礫の処理は始まっていますが、津波に流された車が逆さまになったまま放置されている所も残っています。 要するに、住民の帰宅と居住が許されていない「避難指示区域」に指定されているため、最低限の瓦礫処理がなされただけで、全く復興は始まっていないのです。. http://yanai-hissho.hr-party.jp/files/2014/03/DSC_0141.jpg それは、浪江町や飯館村など、「避難指示区域」に指定された周辺の全ての市町村も同じです。 ◆居住困難地区 さらに南下して、福島第一原発のある双葉町まで近づくと、そこは「居住困難地区」に指定されているため、道路には車の通行を止めるゲート(検問所)が設置され、原発関係者や行政関係者以外、許可がなければ住人であっても、一般人は一切侵入できません。 つまり、政府の指定した三つの種類の広大な「避難指示区域」の中は、復興どころか、「人っ子ひとりいない、ゴーストタウン」のまま、三年間放置されてきたというのが、福島の被災地の現状なのです。 避難指示区域 http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html#shiji 人がいなければ、復興が進むはずはありません。 それを妨げているのが、福島原発事故で発生した、「多くの人が被ばくし、現在も一帯を汚染し続けている」とされる“放射線汚染”の問題です。次回は、福島県の復興を止めている、放射線問題の現状と実態について、報告します。 <映像レポート> 3.11 復興のつち音~福島~ http://www.youtube.com/watch?v=iYJoQm2OuHo 消費不況の足音が聞こえる 2014.03.18 文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆実質GDPの下方修正 3月10日、内閣府はGDP(国内総生産)の下方修正を発表しました。 2013年10~12月期の実質GDPの成長率に関し、2月に公表した速報値「前期比0.3%増、年率換算で1.0%増」を「前期比0.2%増、年率換算で0.7%増」に下方修正しました。 日本経済新聞「実質GDP下方修正」(3/10)は、「個人消費と設備投資が速報時の推計よりも少なかった。輸出の伸び悩みが目立ち、景気回復の持続には海外需要の持ち直しが焦点となる」としています。 2013年10~12月期の3ヶ月間を振り返りますと、この間円安が進み、日経平均株価は上がっています。(為替97.88円→105.36円、7.6%円安。株価14,455円→16,294円、12.7%株高) 「円安・株高」を原動力にして来たアベノミクスが、「円安・株高」が進む中で失速したという事を、果たして安倍総理はどう受け止めておられるのでしょうか。 安倍総理のブレーンである浜田宏一・米エール大名誉教授も10~12月の実質GDP成長率の2次速報値が前期比年率0.7%にとどまったことについて「アベノミクスが本当にはうまくいっていない、十分力強くないことの印だと言えるかもしれない」と述べました。(ブルームバーグ3/14) これらの動向は、本年1月24日に閣議決定された「平成26年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(http://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi/2014/0124mitoshi.pdf)のアベノミクス「三本の矢」による一体的な取組の政策効果から家計や企業のマインドが改善し、消費等の内需を中心として景気回復の動きが広がっているという楽観的な見通しと齟齬をきたしているのではないでしょうか。 ◆野田前政権時代の水準をも下回った消費者心理 さらに日本経済新聞「2月の消費者態度指数2年5か月ぶり低水準」(3/12)によりますと消費マインドの落ち込みが予想以上であると次のように報道しています。 「内閣府が3/12日発表した2月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比2.2ポイント低下の38.3と3カ月連続で悪化した。2011年9月(38.2)以来2年5カ月ぶりの低水準。(中略)4月の消費増税後に耐久消費財を買い控えようとする心理が働いたことなどが影響した可能性がある。」 2011年9月は、菅元総理が退陣し、第一次野田内閣が誕生した時期で、消費者態度指数が2011年9月以来の水準まで低下したということは、消費者心理が野田前政権時代の水準をも下回って来たということです。 「消費者心理」という点においては、「アベノミクス効果」は完全に剥げ落ちたということになります。(参考Japan was back. ~ 野田政権時代以下まで冷え込んだ消費者心理~ 近藤駿介氏) ◆アベノミクスの正念場 昨年10月に安倍晋三首相が消費税引き上げを決定した際に、日本経済は4%台のGDP成長率を記録していました。しかし、「景気が順調に回復している」という増税の前提は、今や見る影もありません。 このまま増税に突き進めば、新たな不況を招くと同時に、安倍政権が進めるアベノミクスも空中分解する恐れもでてまいりました。(「減速する日本経済 消費増税の根拠はすでに崩れている」The Liberty Web 3/15) 昨年夏、消費増税の是非について有識者の意見を聴く政府主催の「集中点検会合」があり、招聘された70人のうち、約7割の44人が、本年4月に予定通り3%引き上げるべきと主張しました。 筑波大学名誉教授の宍戸駿太郎氏(計量経済学の専門家として日本最大のマクロ計量モデル「DEMIOS」の開発に携わった)は、数少ない反対者として昨年8月27日第2回集中点検会合に参加されました。 宍戸氏は、「消費増税は計量モデルの分析によればデフレを加速させますよ、日本経済がようやく回復し始めたのがまた元に戻りますよ」と増税反対を主張。 「アベノミクスは、第一楽章は素晴らしかったけれども、第二楽章で葬送行進曲のようなことになってしまって、第三楽章はもう収拾不能、世界の笑い者になるだろう」と昨年9月の段階で警鐘を鳴らされました。 (THE FACT http://www.youtube.com/watch?v=aby8vaXWAZY) あれからわずか半年足らずでその兆候が上述の如く表れてまいりました。 ◆消費税率は8%で凍結すべし! 幸福実現党は、2009年立党以来、選挙戦、あるいは政治活動を通して繰り返し消費増税は消費不況を起こすと訴え続けてまいりました。 8%への増税はもはや覆すことは不可能でありますが、なんとしても10%への増税は止めなければならないと考えております。今後とも、皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。 人口増加に向けて世帯課税方式の導入を 2014.03.17 文責:HS政経塾二期生・千葉県本部副代表 古川裕三 ◆世帯課税方式とは 今月6日付の日経新聞に「所得税 抜本改革を議論」と題し、世帯課税所得の導入議論に関する記事が掲載されました。 これは、子供の数が多い程、所得税が減税される税方式で、現在フランスが採用しており、少子化対策の一環としてすでに効果を発揮しています。(N分N乗税制) 具体的には、大人を1、第2子までは0.5、第3子以降は1として世帯の人数を算出し、その数で所得総額を割って課税所得を計算し、そこに所得税率をかけて所得税を決めるというものです。 例えば、年収が700万円の夫婦2人世帯と、子供2人の4人世帯の所得税を比べた場合、この方式を採用するとします。(計算簡略化のため各控除を考えないものとする) 夫婦2人世帯の場合は課税所得が350万円で20%の所得税率が適用され、所得税は70万円であるのに対し、4人家族の場合は課税所得が233万円で10%の所得税率が適用され、23万円弱となります。 さらに子供が3人いる5人世帯の場合だと、所得税は8万円台まで下がります。つまり「高収入・大家族ほど減税幅が大きくなる」のです。 ◆世帯構成の変化 一方、現在の日本の所得税の課税単位は「個人」ですが、家族への配慮として、配偶者控除や各扶養控除などの人的諸控除があります。(※民主党政権下の「控除から手当へ」という方針は現政権でも継続されており、15歳以下の扶養控除は廃止されています。) 特に配偶者控除は、専業主婦の「内助の功」に対する配慮であると言われてきましたが、現実には、専業主婦がパートで働くに際して、夫の扶養から外れないように年収を103万円以内に抑えるという、いわゆる「103万円の壁」があり、女性の働き方は制限されてきました。 2013年版男女共同参画白書によると、共働き世帯が1054万世帯に上るのに対して専業主婦世帯は787万世帯であり、97年に共働き世帯が逆転して以降、その差は開き続けています。 すでに共働き世帯の方がメジャーであるという現実を鑑みても、課税単位を家族に変えるべき時期にきているのではないでしょうか。 ◆世帯課税方式のメリット 本課税方式のメリットは、今までパートで働いていた専業主婦層が、年収の上限を気にすることなく稼げるようになり、世帯年収アップが見込めることです。 また、世帯年収が増えることで子供を増やそうという動機づけにもなるばかりか、世帯人数は多ければ多いほど減税されるので、親の面倒をみようという三世代同居への誘因にもなります。 さらに、生涯現役社会の構築により、シニアでも働いて稼げるようになれば、おじいさんの所得でトリプルインカムも実現できます。 そして、日中は、おばあさんが孫の面倒をみれば、現在、都市部で深刻な待機児童問題の解決にも資するかもしれません。 ◆本課税方式の導入が進まなかった理由 実は、本方式の導入については06年の少子化対策においても議論されていました。 しかしこのときは、課税単位を「個人」から「家族」へ変更するというドラスティックな改革について慎重な意見が多く、また、当時行った本税制の導入効果の試算では、1000万円以下の世帯ではほとんど変化がないか若干増税される場合もあるとのことで、本方式よりも扶養控除の金額を引き上げるほうが現実的ではないかという結論に落ち着きました。 しかし、現在では多くの世帯で適用税率が下がり、減税になる可能性が高いと指摘されています。 ◆国はもっとポジティブな発信を! いずれにせよ、安倍政権が本気で「女性の活躍」を応援しようとするのであれば、本税制の採用は重要度の高い政策項目だといえます。 その際には、政府は国民に対し、「結婚し、家族を増やし、収入を増やすことはいいことだ!」というポジティブなメッセージを発信し、今こそ、「少子化対策」という後ろ向きな姿勢から、「人口増加策」という積極的な政策手段へと舵を切るべきです。 参考文献:『これでいいのか少子化対策』岡田雅暢著 政府「移民で日本の人口1億人維持可能」本格議論への提言 2014.03.14 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆日本の人口「移民で1億人維持可能」 内閣府は、15年以降に移民を毎年20万人受け入れ、出生率も回復すれば100年後も人口は1億人超を保つことができるとの試算を示しました。 試算によれば何もしなければ、2110年には4286万人に人口は減少するため、移民が、働き手の減少や社会保障の負担増に直面する日本を救えるのか、政府は議論を本格化させるとのことです。 (2/25朝日「日本の人口『移民で1億人維持可能』 政府、本格議論へ」 ◆移民政策への提言 理想的には将来の社会保障の負担を解決できる人口増があればよいのです。しかし人口増が難しいとすれば、それに代わる政策が必要となります。その解決策として移民政策を考えようとしているわけです。 日本は、古来より、単一民族として営んできた国なので、移民の受け入れは、抵抗感があります。ですから単に、移民を受け入れればいいというものではありません。 (1)外国人に参政権を与えてはならない たとえば、外国人地方参政権の問題です。移民に安易に参政権を与えてしまった場合、特に中国人や韓国人を大量に移民として受け入れた場合には日本の政治が左右される事態になりかねません。 また移民を受け入れる国家、民族が偏らないようにバランスを考える必要があります。反日国家、犯罪の多い国より、親日国からの受け入れを増やすべきです。 (2)日本への忠誠と日本人としての教育 日本に住んでいても「日本国籍」を取っていない外国人もかなりいるので、永住権から日本の国籍を与える場合は、日本政府がしっかりと日本人としての自覚を持つ教育をする必要があるでしょう。 日本に忠誠を誓う仕組みが必要と考えます。日本の国益に害を及ぶすスパイ行為や犯罪者に対しては「国籍はく奪」「国外追放」の厳しい処置も必要です。 (3) 高度な技術を持った知識層を受け入れ また人手が不足している介護などの労働力としての移民受け入れだけではなく、高度な技術を持った技術者や知識者層の受け入れを考える必要もあります。これが出来れば日本の経済発展にもプラスになります。 (4) 世界の富裕層の日本移住 さらに税金を安くし世界から富裕層を受け入れることができれば税収も増えます。また世界の富裕層の日本移住は、国防面からも日本のプラスになります。 ◆人口は国力でもある 国家の強さは人口が大きなカギを握っています。たとえば国民一人ひとりの生産量が少なくても、人口が多ければ、国家としての総生産量は多くなります。それで経済力も増し、国防費などに使えるお金も増えます。それが現在の中国です。 米国の世界の警察の役割が低下、中国の世界覇権の野望が現実化している中で、世界の平和を維持するためには、道徳心、正義心の高い国家が世界のリーダーとなるべきです。 共産国家で人権弾圧にも罪を感じない中国に世界の覇権を渡すわけにはいきません。ですから米国と協力は必要ですが日本こそが世界のリーダーとなるべきです。そうした国家ビジョンを日本は持つべきです。 理想的には日本人の出世率があがり人口を増やすことができれば言うことはありません。しかし日本が移民を受け入れざるを得ないとすれば、できるだけマイナスを減らして、プラスを生み出していけるような舵取りが不可欠です。 なぜ日本は負けたのか?――戦史に学ぶ、未来への舵取りと提言 《第1回》 2014.03.11 文/岐阜県本部副代表 河田成治 先の大戦において、日本人は大和魂を誇りとし、厳格な規律と、稀に見る勇敢さで、アジアの植民地を解放・独立へと導きました。日本は悪い国だったという自虐史観を一日も早く払拭し、正しく歴史を伝えたいと思います。 この歴史に心よりの敬意を払いつつも、しかし、「なぜ日本は負けたのか?」を考えていきたいと思います。日本軍の欠点や短所を分析し、そこから教訓を学ぶことは、未来への航路を決めるのに極めて重要だからです。 今回は10回に渡って、大東亜戦争(太平洋戦争)の教訓を抽出し、未来への舵取りはどうあるべきか提言させていただきたいと思います。 ◆概論 日本が敗戦した理由は、専門家によって各方面から研究されてきました。 たとえば、 (1)数々の戦闘における失敗、弱点が次の戦いにフィードバックされず、「失敗から学ぶ」ことができなかったこと。 (2)兵員を消耗品として扱い、捕虜になるくらいなら自死を強要したことで、貴重なベテラン戦力をなくしたこと。 (3)インパール作戦やガダルカナルのような補給概念の欠如。 (4)陸海軍の意思疎通の悪さ。 (5)科学的・合理的思考の軽視 (6)情報戦の軽視 (7)人事の失敗などです。 (1)の日本軍の「失敗から学ぶ」、つまり失敗学の研究が十分でないのは、現代でも当てはまります。特に「大東亜戦争の敗因」そのものが、学校教育をはじめ、一般人の教養として、また政治家等の知識となっていないことは、残念なことです。 また、失敗を分析しない傾向性そのものは、いまでも散見されます。一例を挙げれば、消費税の失敗です。 我が国が消費税を導入(1989年に3%)したあと、大不況に陥りました。また、5%に増税(1997年)されると、せっかく上向きかけた景気が再び、不況に逆戻りしてしまいました。 消費税と景気の関係の研究を怠り、再び8%へと増税しようとしています。前回までの教訓からは、今回の消費増税が、再び不況を招くことを示唆しています。 政府は様々な経済対策を打ち出していますが、これこそ「消費税による不況」を恐れている証拠で、一方、政府が進める経済対策が有効かどうかの保証はまったくありません。 同様に、なぜバブルとまで言われた空前の大好況が崩壊したのか?その分析、研究が十分ではなく、経済を冷え込ませないための教訓が得られているように思えません。 (4)の陸海軍の仲の悪さは、致命的でした。太平洋方面の島を守るべき兵員は、わずかしか投入されなかったにもかかわらず、中国大陸には100万もの使われない陸軍兵力が残されたままでした。 また陸軍は、海軍に頼るくらいなら…と、陸軍製潜水艦を設計・建造しましたが、素人丸出しの潜水艦は水漏れが止まらず、使い物になりませんでした。日本の極めて少ない貴重な資源、予算を裂いてもメンツにこだわり、終戦まで陸海軍の仲は改善しませんでした。 現代の自衛隊では、陸海空の「統合運用」を目指していますが、かけ声だけの年月が長く続いています。 昨年のフィリピン台風の際には、海上自衛隊の輸送船(おおすみ)に陸上自衛隊の輸送ヘリを搭載しましたが、もともと陸自ヘリを乗せる設計ではないため、ヘリのローターを取り外さなければ格納できないという苦労を乗り越えて、フィリピンまで海上輸送しています。 陸海空の統合運用が、今後、本格的に進展することを期待しています。 以上、第1回目は、簡単に述べました。次回からは、既出の歴史研究を紹介するというよりも、それらを踏まえた上で、ややオリジナルな観点で「敗戦から学ぶ」べき事を論じてみたいと思います。 今こそ日本は「円国際化」の国家目標を掲げよ! 2014.03.03 文/HS政経塾2期生 川辺賢一 ◆「金融版CIA」米財務省の活躍 3月2日の日経朝刊には、イランで米欧と対話を望むロウハニ大統領を誕生させ、同国を交渉の場に引きずり出した影の立役者として、「金融版CIA」というべき米財務省の活躍に焦点を当てたコラムが載せられています。 当記事の要点としては、(1)05年北朝鮮への金融制裁は予想外の効果を発揮し、イラン制裁の雛形になったこと、(2)基軸通貨ドルによる国際決済網によって米財務省はドル決済に関わる不審な取引を次々と暴くことができること、(3)金融制裁の効力は対象となった国だけでなく、世界中の銀行もドル決済が出来なくなることを恐れるため、波及的に広がることです。 このように基軸通貨ドルによる国際決済網は米国最大の情報源の一つであり、外交評論家の岡崎久彦氏も指摘するように、基軸通貨国による金融制裁は国際政治の中で使える軍事力以外の有効な手段です。 参照:「金融制裁の効果」岡崎久彦氏 http://blog.canpan.info/okazaki-inst/archive/166 ◆矛盾を抱えつつ国際化を目指す中国人民元 さて中国では2011年、中国全土での元建て貿易決済が解禁され、2013年1~6月の人民元建貿易決済額は前年度比で64%も増加しています。さらに先月21日、上海自由貿易試験区が始動し、試験区内での資本取引の自由化が解禁されました。 このように中国は人民元の取引規制を段階的に緩和し、ドルやユーロ、円、ポンドに並ぶ人民元の国際化を推し進めていく戦略です。 一方で中国は急速な資金流入による元高を恐れ、先月26日には大幅な元売りドル買介入に乗り出しました。中国は試験区内で外国から資金を受け入れつつ、別のところで資金を吐き出す、矛盾した政策をとっていると言えるでしょう。 つまり上海自由貿易試験区での資本取引解禁といえども、人民元の為替レートを政府が人為的にコントロールできる範囲の自由化であり、人民元の本格的な国際化にはさらなる中国経済の成熟が不可欠であるということです。 しかし中国は矛盾を経済成長で解消してしまおうという戦略です。私たちは中国の人民元国際化戦略を軽視すべきではありません。 もしもアジアが人民元の海になってしまえば、アジアの国々は貿易決済をするにも元が必要になり、文字どおり中国に生殺与奪の権を握られてしまいます。さらに米国の金融制裁にも抜け穴ができてしまいます。 ◆元襲来を打破し、日本は「円国際化」の国家目標を掲げよ! さて米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は先月11日の議会証言で米国内景気の後退のみが金融政策の方向性を左右すると述べ、新興国の通貨不安やインフレについて配慮する姿勢を示しませんでした。 現在アジア地域の貿易や投資においてはドル建ての取引が圧倒的なウェイトを占めており、何らかのショックや米国の政策転換によって世界でドルへの需要が高まると、アジア新興国では輸入代金支払いや借入金返済のためのドル資金がひっ迫し、危機へとつながります。 今回の量的緩和縮小が示すように「過度なドル依存」はアジア新興国経済に危機を呼び込みます。アジア地域と緊密な関係にある日本経済にとっても、アジア新興国の「過度なドル依存」問題は他人事ではありません。 アジア新興国経済の安定化のためにも、日銀は米連銀に代わって追加金融緩和を打ち出し、日本政府はアジア地域での円建ての国際決済を増やしていくべく「円国際化」の国家目標を掲げるべきです。 既述の通り、中国は矛盾を抱えながらも着々と人民元の国際化に向けた取り組みを進めております。 今こそ日本政府は元襲来の危機に備え、円でアジア太平洋地域を一つにしていく、21世紀の対外経済戦略を構築していくべきです。 「出ずるを制して入るを量る」国家財政の実行を! 2014.02.27 文/HS政経塾1期生 伊藤のぞみ ◆法人税率引き下げと税収増を両立した独・英・韓 先週20日、政府の経済財政諮問会議の民間議員は、法人税を減税しながら税収が増えた英国、ドイツ、韓国の事例について報告書を発表しました。 1995年から2012年にかけて実効税率を24.9%下げたドイツは5.6%、9%下げた英国は年平均4.8%、2000年から12年までに6.6%引き下げた韓国では9.4%法人税の税収が増加しています。 税率を下げ税収を増やすことに成功し、モデルとなっているのがアメリカのレーガン政権二期目の法人税改革です。 当時46%だった法人税率を34%まで引き下げながら、重厚長大産業に対する特別措置を廃止することで課税ベースを増やし、法人税収を増やしました。 今回の分析を受けて、報告書では「アベノミクスの成果による税収増の還元などによって、(法人税率をアジア主要国並の)25%の水準に引き下げていくべきだ」と提言をまとめています。 ◆減税による税収増のポイントはデフレ脱却と景気回復 ただし、単純に法人税率を下げれば税収が増えるわけではありません。減税による税収増を実現するためには、景気回復とデフレ脱却が必須です。 日本においては、1999年と2004年の2回にわたり、法人税の実効税率を49.98%から39.54%に10.4%減税しましたが、残念ながらデフレによる景気悪化の影響で、法人税収は1.7%減少しています。 昨年から続く金融緩和でデフレ脱却の期待がありますが、4月からの消費税増税で、景気回復、デフレ脱却ともに難しくなります。 消費税の増税が景気を悪化させるのは、説明するまでもありませんが、補足すると、2013年10月から12月期の経済成長率の速報値は年率換算で1.0%と前期から落ち込んでいます。 甘利経済産業大臣は「民間需要を中心に景気が着実に上向いている」(2月17日)と発言していますが、消費税増税前の駆け込み需要であり、増税後の消費の冷え込みを楽観することはできません。 消費税増税は景気を後退させるだけでなく、デフレも悪化させます。デフレは需要の不足、供給の過剰によって発生します。 消費税の増税は企業の投資と個人消費を減らし、経済全体の需要を引き下げるので、デフレは長期化します。法人税減税で税収増を実現したいのであれば、デフレ脱却、景気回復は必須であり、消費税は増税すべきではありません。 ◆減税のために必要な社会保障改革 もうひとつ、減税の議論が出るたびに、問題となるのが増えていく一方の社会保障給付費です。国民医療費(公的保険が適用される医療費の総額)は2011年度で38.5兆円と過去最高を更新し、13年度には40兆円を突破する見込みです。 また、介護保険に関しても、2012年の8兆円から2025年には20兆円に増加すると予測されています。2012年度末、53兆円を超えた年金の給付も、2025年には60兆円を突破し、社会保障給付の総額は149兆円に上ると言われています。(厚生労働省試算) 「増え続ける社会保障費にいかに対応するか」 政府の回答は以下のような形です。 ・年金からの収入が年280万円を超える高齢者と、所得から経費を引いた年収が160万円以上ある自営業の高齢者が介護を受けるさいの負担を1割から2割に ・40歳から64歳が負担する毎月の介護保険料が4972円から5273円に ・国民年金の保険料が7%引き上げ(新規加入者に関して) 「給付をいかに増やさないか」ではなく、「負担を増やす」変更が目白押しです。 こういった「改革」で介護保険給付費を年1430億円抑制できると厚生労働省は試算していますが、8兆円から20兆円に増加する介護保険給付費にとっては焼け石に水です。 経営の基本として、「出ずるを制して入るを量る」ということが言われています。まだ入ってきていない収入を期待して、支出を決めるのではなく、まず出ていくお金を最小限に抑え、収入を増やす工夫をすることです。 国家財政の経営を見ると、全く「出ずるを制して」いません。現在の国家財政にとって必要なことは、この「出ずるを制す」仕組みです。 ◆生涯現役―日本モデルの高齢社会を発信せよ 昨年、65歳以上の就業者数が41万人増加し636万人となり、就業者全体のうちの1割に達したという発表がありました。 ※『高齢者が働く人の1割に』日経新聞電子版 http://www.nikkei.com/article/DGXNZO66980330Y4A210C1MM8000/ そして、増えたうちの6万人が建設業に就職しています。高齢の就業者に似つかわしくないと思える業種ですが、2020年の東京五輪開催に向けて、技術に信頼のおける高齢者を即戦力として積極的に採用したいと考える企業もあるようです。 年齢に関係なく働けることは、健康の維持にもなり、働いている人が多い地域は、一人当たりの医療・介護費が低いともいわれています。 社会保障において「出ずるを制す」もっとも根本的な政策は、年齢に関係なく健康で働くことができる社会をつくっていくことです。そして年金に頼るのではなく、生涯現役で活躍できる日本モデルの老後を世界に発信するべきときです。 参考文献 大川隆法『未来創造のマネジメント』(第二章デフレ時代の経営戦略) 起業大国・日本の挑戦――シリコンバレーを超えるベンチャー創造国家へ 2014.02.17 文/HS政経塾二期生 鈴木純一郎 ◆日本復活の鍵は“ベンチャースピリット” 日本は90年代から「失われた20年」とも言われる長きにわたる経済低迷に襲われました。慢性的なデフレ状態の下、経済成長のない世界というものを経験したのです。 現在、アベノミクスという形でこの失われた20年にピリオドを打つ試みがなされていますが、今年来年と続く消費増税の悪影響が懸念されるなど、まだまだその行き先には不透明感が漂っています。 日本がこれから経済的に復活し、世界を牽引できる未来産業国家になるためには、大胆な金融緩和や財政政策などのマクロ政策が必要なことは言わずもがなですが、それ以上に大切なことは、日本人の内に眠るベンチャースピリット・起業家精神を呼び覚まし、新しい価値を創造する起業家を数多く輩出することではないでしょうか。 ◆シリコンバレー成功の秘密―スタンフォード大学 90年代、バブル崩壊に沈んでいた日本とは対照的に、当時のアメリカは80年代の経済的苦境を脱出して空前の繁栄を謳歌していました。 その大きな原動力となったのが、シリコンバレーに代表される地域から生まれた新進気鋭の起業家群、ベンチャー企業群の台頭です。 Google、Yahoo、マイクロソフト、インテルなど世界有数の企業の活躍が90年代以降のアメリカ経済の成長を牽引しました。90年代以降、日本における会社の廃業率は開業率を上回り続けていますが、その一方でアメリカからは次々と野心的な起業家が誕生したのです。 シリコンバレーはアメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ南部のサンタクララ郡を中心とした地域の俗称です。なぜこの地域が上で挙げたような世界企業を生み出し、今も“イノベーションの聖地”と言われているのでしょうか。 軍需の存在、頭脳移民の力、フリーウェイなどの発達した交通インフラの存在など数多くの理由がありますが、ここで取り上げたいのは、シリコンバレーの中心に存在するスタンフォード大学の役割です。 このスタンフォード大学から数多くの優秀な起業家が輩出され、この大学の周辺地域に産業が集積し、シリコンバレーが形成されてきたという歴史があるからです。ヒューレット・パッカード、YahooやGoogle、ナイキなどの創始者もスタンフォード大学出身者で、皆在学中に起業しています。 アメリカには、シリコンバレー以外にも様々な産業クラスター(産業集積地)が存在しますが、その中心には、必ずスタンフォード大学のような「知識と技術と人材の創造の主体としての大学」の存在があります。 「新たな知と技術シーズ、優秀な起業家の創造の供給拠点としての大学が中心となって、その周辺地域に企業・産業が育成されていく」というセオリーがありました。 その下に、大学への研究開発資金の大胆な投下、大学から民間への技術移転の促進、ベンチャー企業育成のためのリスクマネーの供給システム(ベンチャーキャピタルなど)の整備などを行い、産学連携の成功モデルを創りだしたことがアメリカ経済の成功の秘訣でした。 日本においても大学改革こそが産業発展の道であると考えられます。 ◆起業大国・日本への道 昨年、安倍首相が打ち出した成長戦略においては、スタートアップを支援する方針が出され、現在5%程度の日本の開業率を英米並みの10%に引き上げることや、ベンチャーキャピタル投資への税制優遇、大学発ベンチャー支援なども打ち出されています。 しかし、開業率に関して言えば、経済成長率(実質GDP成長率)と正の相関関係があることがわかっており、二段階にわたる消費増税によって経済成長率が低下すれば、開業率にも悪影響であると考えられます。 ベンチャーキャピタル投資についても同じで、株式市場が活況を呈していなければ、本当の意味でベンチャー投資にお金は回らないでしょう。 増税ではない正しい金融財政政策でマクロ経済環境を安定的に発展させつつ、日本の大学改革を含めたイノベーション政策、産学官連携を押し進めることが重要です。 そして何より大事なことは、ホリエモン事件に見られるような資本主義精神への攻撃を是とするような風潮を脱却することです。シリコンバレーの成功の最大の理由は、「起業は偉いことであるという信仰」が存在することとも言われています。 新しい雇用と価値を創造し、国家社会を豊かにする起業家を尊敬し応援する価値観を広く共有することこそが、起業大国・日本への道ではないでしょうか。 【参考文献】 『改革の経済学』 若田部昌澄 『産業クラスター政策の展開』 西山太一郎 日本経済の本格的な冬到来は4月から 2014.02.15 HS政経塾1期生 城取良太 ◆盛り上がる「安倍春闘」と経営現場の実態 各業界の労働組合から久方ぶりとなるベースアップ(ベア)要求が経営陣に対して提出され、春季労使交渉が本格的にスタートしました。 13日には電機各社の労働組合は足並みを揃え、2014年の春季労使交渉の要求書を経営側に提出し、トヨタ自動車と同水準の月額4000円のベアを5年ぶりに要求しました。 また、年間一時金(賞与など)についても、業績連動方式の企業を除いて、「最低4か月分」が統一基準となっております。 その背景にあるのは、昨年初頭から繰り返し述べてきた安倍首相のデフレ脱却を名目とした強い賃上げ要請、経団連のベア容認発言であり、今年は「安倍春闘」とも揶揄される位、賃上げ機運は高まっております。 これに対するサラリーマンたちの反応は上々なようで、新聞社の新橋駅前の街頭インタビューなどでも「今年の春闘にかなり期待している」「最近覚えた単語は『ベア』」「給料が増えたら貯金して家を買いたい」などと賃上げに期待する声が多いようです。 しかし一方で、日本生産性本部系の団体が1月下旬に公表した経営者アンケートによると、今回「ベアを行う」と答えた経営者は200人弱の3割にとどまっております。 全体的に好調にみえても、個別にみるとばらつきがあり、リストラなどを続けて経営環境が厳しい企業も少なくなく、特に中小企業の多くでは、自社の経営状態を立て直すのに精一杯だというのが実際の経営の現場だと考えられます。 ◆国の経済政策を成功させるための賃上げ干渉はアリか? そうした経営の現場感覚を軽んじ、アベノミクスを成功させるために、国家が民間企業の賃上げに介入しようという現政権の姿勢には疑義を挟まざるを得ません。 なぜなら、従業員のベースアップによって内部留保を取り崩さなくてはならず、企業によっては新規工場建設などの設備投資、将来の飯の種を創造するような研究開発費を削減する必要が発生するからです。 企業の手元資金をどのように活用するかは、企業の経営戦略の中核部分であり、民間企業においては企業経営の自由を与えられているはずです。 しかしながら、昨年10月に経済産業省が個別企業の賃上げ状況を監視し、賃金アップにつなげていく方針を示している通り、現政権は企業に与えられた自由を明らかに制限しようとしているのです。 ◆政府の賃上げ干渉の「ツケ」は従業員に返ってくる また、アベノミクスの成否とは別に、この現政権による賃上げへの干渉は、サラリーマンへのバラマキ政策のように見えてなりません。 日本における平成24年度の雇用者(役員を除く)は5,154万人に上り(内訳は正規雇用が3340万人、非正規雇用が1,813万人)、日本の半数近くに達します。 彼らの期待感を高めることで政権の支持基盤の安定度を高める意図があるかどうかは分かりませんが、反面でベースアップを行えない企業に対する従業員たちの不信感や不満を政府が間接的に募らせてしまうという事実があることをキチンと見据えるべきです。 しかしながら、賃上げのツケは従業員に戻ってくるとも言えるでしょう。 実際に、銀行側がコスト上昇となる賃上げを含む事業資金には貸し渋りをする事例がでており、賃上げ企業が事業資金調達を行いづらくなることで、経営環境が悪化してしまうことも予測できます。 更に、賃上げを享受する従業員が出る一方、企業のリストラが更に進行し、失業率が上昇してしまうという矛盾も発生する可能性があるのです。 ◆同時に待ち受ける4月からの「消費税増税」 企業にとって4月に待ち受けるのは「ベア」だけでなく、「消費税増税」もあります。 消費税増税によって家計が苦しくなるのは一目瞭然ですが、企業にとっても「売り上げを落としても今の利益率を守るためにサービス価格を引き上げるか」、または「売り上げ死守のため利益を圧縮してもサービス価格を据え置くか」といった苦しい判断を迫られることになります。 苦しくなる企業にとって唯一の朗報は「法人税減税」だと言えます。 現在の法人実効税率35%強を25%程度まで減税すると踏み込んでおりますが、現在行われている政府税調での議論の焦点は早くも「10%引き下げによる5兆円の税収減をどう補填するか」という内容に終始し、財務省主導の財政規律主義がまかり通っている現状で、先行きは暗いと言わざるを得ません。 ◆「企業の自由こそが富の源泉」という哲学が必要だ 安倍政権においては、「河野談話」を初めとする歴史認識についての踏み込みが足りないところがあるものの、外交・安全保障の領域においては安倍首相のリーダーシップによって大きな成果を挙げていると言えます。 しかし、反面で経済政策においては、過度な賃上げ干渉によって社会主義化への道を歩みながら、消費税増税によって更に企業と個人を苦しめようとしております。 皮肉なことに、春を迎える4月から日本の企業にとっては本格的な「冬」が到来するのです。 そして忘れてはならないのが、企業にとっての「冬」は、私たちにとってもいずれ「冬」になるという事実で、決して短期的利益のみを見て、賃上げを肯定するべきではありません。 幸福実現党は立党当初より、消費税増税に反対し、「安い税金」を党是として訴えて参りました。 また、国家のあるべき経済政策には、まず起業家精神の発揮を推奨し、企業の自由な行動こそが国を富ませ、強くするという哲学が必要です。 そして、企業経営にとって最適な環境を整え、企業の活力を引き出すことで、新しい価値の創造、雇用の増大、ひいては賃金の上昇につながっていくものだと確信します。 今の安倍政権は経済面において左翼政党と同じ穴のムジナだと言わざるを得ません。 是非とも、財務省の論理に負けず、企業の自由を死守して頂きたいと思います。 すべてを表示する « Previous 1 … 15 16 17 18 19 … 33 Next »